LRTKレフィクシア株式会社

試作品1個の製作で樹脂筐体の光漏れを抑える5つの設計対策

樹脂筐体を使った電子機器の開発では、試作品を1個だけ製作する段階でも、光漏れによる外観不良が問題になることがあります。内部に配置したLEDなどの光源から出た光が、本来発光しないはずの筐体側面や合わせ目、ねじ穴、開口部などから見えてしまう現象です。特に暗い場所で使用する機器や、表示ランプの視認性が重視される製品では、わずかな光漏れでも品質上の課題になります。

試作品1個の製作では、外形寸法や部品の組み付けを優先し、光の透過や内部反射まで十分に検討できていないケースがあります。しかし、光漏れは完成後に外側から塗装するだけでは解決しない場合もあり、材料選定、肉厚、内部構造、部品の合わせ方を設計段階から考えることが重要です。

また、試作に使用する樹脂材料や製作方法によって光の透過特性は異なります。最終製品では光が漏れない設計でも、試作品では積層方向や造形条件、表面仕上げの違いによって光が目立つことがあります。そのため、1個の試作であっても、どの部分から光が漏れる可能性があるのかを整理し、必要な対策を優先的に盛り込む必要があります。

この記事では、試作品1個の製作を検討している開発担当者や設計担当者に向けて、樹脂筐体の光漏れを抑える5つの設計対策を解説します。光源配置、材料と肉厚、内部遮光構造、合わせ面、表面処理と評価方法まで、少量試作で実践しやすい考え方を紹介します。

試作品1個の製作でも樹脂筐体の光漏れ対策が必要な理由

樹脂筐体の光漏れとは、内部に配置された光源からの光が、意図しない場所を通過して外部から見える現象です。表示ランプ用の窓だけを光らせたいにもかかわらず、筐体の側面が薄く発光したり、上下ケースの接合部分から細い光の線が見えたりする状態が代表的です。

光漏れは単なる見た目の問題にとどまりません。複数の表示ランプを配置した機器では、隣接する表示部に光が回り込むことで、どのランプが点灯しているのか判別しにくくなる場合があります。また、光が漏れる位置によっては、操作ボタンの周辺が不均一に明るくなり、製品の使用感に影響することもあります。

試作品1個の製作では、内部回路が正常に動作するか、部品が干渉せずに組み付くか、外形が設計どおりになっているかといった項目が優先されがちです。しかし、最終的に外観品質が重視される製品では、初期試作から光漏れを確認しておくことが有効です。

特に注意したいのが、樹脂自体を通過する光と、部品の隙間から直接出てくる光では対策が異なる点です。

樹脂自体を透過する光は、材料の透過率や肉厚、顔料の種類などが関係します。一方、合わせ面からの光漏れは、ケースの形状、寸法精度、組み付け状態、内部の遮光構造などによって発生します。

例えば、筐体の壁が均一に明るく見える場合は、樹脂を透過した光が原因の可能性があります。これに対し、ケースの境界部分だけが線状に光る場合は、合わせ面に形成された隙間や内部反射が関係している可能性があります。

原因を区別せずに肉厚だけを増やしたり、外側から遮光塗装を施したりしても、十分な改善につながらないことがあります。

また、試作段階の製作方法と量産段階の製作方法が異なる場合にも注意が必要です。樹脂積層造形で作った試作品と、金型を用いて成形した製品では、材料や内部構造、表面状態が異なることがあります。そのため、試作で確認した光漏れの状態が、そのまま量産品にも再現されるとは限りません。

試作品1個の段階では、製品としての最終的な遮光性能を確定することよりも、光漏れが発生しやすい場所を把握し、設計上の改善方法を確認することが重要です。

最初の試作で光の通り道を特定できれば、その後の設計変更を必要な部分に絞りやすくなり、筐体構造と内部部品の調整を効率的に進められます。

対策1:光源の配置と照射方向を見直す

樹脂筐体の光漏れを抑えるために、最初に確認したいのが内部光源の配置です。光漏れが発生すると筐体材料や遮光部品に注目しがちですが、そもそも光が不要な方向へ広がりにくい配置にすることで、後工程の対策を簡素化できる場合があります。

LEDなどの光源には、それぞれ光の広がり方を示す配光特性があります。正面方向に比較的強い光を出すものもあれば、広い角度に光を放射するものもあります。こうした特性を考慮せずに筐体内部へ配置すると、表示窓以外の壁面や隙間へ光が到達しやすくなります。

例えば、表示ランプを筐体側面に配置する場合、光源を表示窓に対して斜めに取り付けると、光の一部が筐体内部の壁面へ直接当たる可能性があります。内壁が明るい色であったり、反射しやすい仕上げであったりすると、その反射光が別の開口部から見えることもあります。

このような問題を防ぐには、光源の中心方向と表示窓の位置関係を確認し、できるだけ必要な範囲に光が届く構造を検討します。

ただし、光源を表示窓へ近づければ必ず改善するわけではありません。距離が近すぎると、表示窓の一部分だけが強く光る明るさのむらや、発光素子の形状が見える問題が生じることがあります。反対に、距離を離しすぎると内部で光が広がり、周辺部への回り込みが増える可能性があります。

そのため、光源と表示窓の距離は、視認性と遮光性の両方を考慮して決めることが重要です。

複数の表示ランプを備える機器では、隣接する光源同士の干渉も確認します。光源間の距離が短い場合、一方の光がもう一方の表示窓へ入り込み、本来消灯している表示部が薄く光って見えることがあります。

こうした状態は、機器の動作状況を誤認する原因になる可能性があるため、単純な外観不良よりも慎重な検討が必要です。

対策としては、光源ごとに照射方向を調整し、表示窓へ向かう光路と周囲へ広がる光路を分ける方法が考えられます。必要に応じて光源周囲へ遮光壁を設けたり、光を目的の位置へ導く導光部品を利用したりすることも有効です。

また、光源の明るさを必要以上に高く設定しないことも大切です。表示ランプの視認性は、光源の出力だけで決まるものではありません。表示窓の材質、周囲の明るさ、表示面積、観察方向などの条件によって変化します。

使用環境に対して過剰な明るさを設定すると、不要な方向へ漏れる光も目立ちやすくなります。明るい屋外での視認性を重視する場合と、暗い室内で使用する場合では、必要な発光条件が異なるため、実際の用途を想定した確認が欠かせません。

試作品1個の製作では、光源位置を複数回変更できるように、取り付け部分の調整余地を確保する方法もあります。光源を固定する前に仮組みを行い、位置や向きを変えながら光漏れの変化を確認すれば、遮光部品を追加する前に改善できる可能性があります。

特に初期試作では、光源位置を完全に固定した構造よりも、原因を検証しやすい構造にしておくことが、次の設計判断につながります。

対策2:樹脂材料と肉厚を適切に選定する

光源配置と並んで重要なのが、樹脂筐体に使用する材料と肉厚です。樹脂は外観上不透明に見えても、材料の種類や色、厚さ、内部構造によっては光を透過することがあります。

特に高輝度の光源を筐体内部に設ける場合や、暗い環境で使用する製品では、通常の照明下では気付かなかった透過光が目立つ可能性があります。

樹脂材料を選ぶ際は、色だけで遮光性能を判断しないことが重要です。

一般的に、黒色系の樹脂は光を吸収しやすい傾向がありますが、黒色であれば必ず光が透過しないというわけではありません。材料に配合された顔料の種類や濃度、壁の厚さ、使用する光の波長によって結果が変わります。

また、白色や淡色の樹脂では、内部で光が散乱し、筐体の広い範囲がぼんやり明るく見える場合があります。明るい色の外観が必要な製品では、外装色と遮光性能を両立させる工夫が求められます。

例えば、外側は指定色の樹脂とし、内側へ遮光性のある塗膜を形成する方法があります。また、外観に影響しない内部部品を暗色系の材料で製作し、光源周囲を囲む構造にする方法も考えられます。

ただし、内面塗装や別部品の追加には、組み立て性、寸法、密着性、耐久性などの検討が必要です。塗膜が剥がれたり、組み立て時に傷付いたりすると、その部分から光が見える可能性があります。

肉厚の設定も重要な設計要素です。一般に、同じ材料であれば光が通過する距離が長くなるほど透過光が減少する傾向があります。ただし、光の減衰は材料の吸収特性や散乱特性によって異なるため、単純に肉厚を増やせば必要な遮光性能が得られるとは限りません。

さらに、樹脂筐体は肉厚を大きくすることで別の問題が発生する場合があります。

例えば、量産時に射出成形を想定している場合、局所的に厚い部分があると、冷却収縮の違いによってヒケや反りが生じやすくなることがあります。試作品では問題なく製作できた形状でも、量産工程へ移行した際に外観や寸法へ影響が出る可能性があります。

そのため、光漏れを防ぐ目的だけで壁全体を厚くするのではなく、必要な部分に遮光リブを設けるなど、構造的な対策との組み合わせを検討することが有効です。

試作品1個の製作では、実際に使用する樹脂材料の小片や簡単な試験片を用いて、光の透過状態を事前に確認する方法もあります。使用予定の光源を材料の裏側から照射し、肉厚や表面仕上げを変えたときの見え方を比較します。

このとき、材料が同じ色に見えても、製造方法が異なると光の透過特性が変化する可能性があるため注意が必要です。

特に積層造形では、内部の充填状態や積層間の微細な隙間が光の散乱や透過に影響する場合があります。材料の仕様上は不透明であっても、薄肉部分や内部空隙によって局所的に明るく見えることがあります。

また、樹脂の光学特性は可視光だけでなく、使用する波長によって異なります。赤色や青色などの表示光では、材料を通過する光の強さや見え方が変わる可能性があります。そのため、可能であれば最終製品で使用する光源に近い条件で評価することが望まれます。

試作品1個の段階では、材料名や色だけで判断せず、肉厚と製作方法を含めて遮光性能を確認しておくことで、後から大幅な設計変更が必要になるリスクを抑えられます。

対策3:遮光リブと内部仕切りで光の通り道を遮断する

材料や肉厚だけで十分な遮光性能を確保できない場合に有効なのが、筐体内部へ遮光リブや仕切り壁を設ける方法です。

遮光リブとは、光が不要な方向へ進むのを防ぐために設ける壁状の構造です。光源の周囲を囲んだり、隣接する表示部の間に配置したりすることで、直接光や反射光の回り込みを抑えます。

例えば、筐体内部に複数のLEDを並べる場合、各光源の間に仕切り壁を設けると、一方の光が隣接する表示窓へ到達する経路を減らせます。

この方法は、材料の光透過を抑える対策とは異なり、光が進む空間そのものを区切る設計です。そのため、薄肉化が必要な筐体や、外観色の変更が難しい製品でも検討しやすい特徴があります。

ただし、仕切り壁を設けただけで光漏れが完全になくなるとは限りません。

仕切り壁の先端と表示窓の裏側に隙間があると、その部分を通って光が回り込む可能性があります。また、リブの材料自体が光を透過する場合には、リブを通過した光が隣接部分へ届くこともあります。

そのため、遮光リブの形状を検討する際は、リブの高さ、厚さ、配置、周辺部品との距離を一体で考える必要があります。

特に重要なのが、光源から見たときに、意図しない開口部まで直線的な光路が形成されていないかという点です。

例えば、表示窓の裏側に遮光壁を設けても、壁の端部からケースの合わせ目が直接見える配置では、光漏れが残る可能性があります。こうした場合は、仕切り壁を延長したり、壁の位置をずらしたりして、直接光が届かない構造を検討します。

内部の光路を確認するときは、光源を起点として、どの方向に光が広がるかを考えます。光源から目的の表示部までの経路は確保し、それ以外の壁面や開口部へ向かう光は、必要に応じて遮断する考え方です。

一方で、遮光リブを増やしすぎると、筐体内部の部品と干渉したり、配線経路を圧迫したりする可能性があります。発熱部品の周辺では、仕切りによって空気の流れが変化し、温度上昇へ影響する場合もあります。

したがって、光学的な対策だけでなく、電子部品の配置、放熱、組み立て作業、保守性などを含めて設計することが重要です。

また、リブを一体造形する場合には、製作方法に応じた形状制約を確認する必要があります。

樹脂積層造形では、細く高いリブが造形中に変形したり、取り外し作業で破損したりする可能性があります。光造形方式では、細い壁の周辺に未硬化樹脂が残らないよう、洗浄しやすさにも配慮が必要です。

将来的に射出成形を想定している場合は、リブの厚さや根元形状、抜き方向なども検討します。厚いリブを外壁へ直接接続すると、成形時の収縮差によって外観へ影響することがあるためです。

試作品1個の製作では、最初から複雑な一体構造にせず、遮光リブを別部品として仮設置できるようにする方法もあります。

例えば、光源周囲の遮光カバーを取り外し可能な構造にしておけば、遮光壁の位置や高さを変更しながら効果を比較できます。この方法で必要な遮光範囲を把握した後、次の設計段階で筐体と一体化することも可能です。

初期試作では、完成形の再現だけを目的とせず、光漏れの原因を確認しやすい内部構造にしておくことが、効率的な設計改善につながります。

対策4:筐体の合わせ面と開口部の隙間を管理する

樹脂筐体の光漏れで見落としやすいのが、上下ケースの合わせ面や、ボタン、コネクタ、ねじ穴などの開口部から漏れる光です。

材料自体の遮光性能が十分でも、内部から外部まで連続する隙間が存在すると、そこを通って光が見えることがあります。特に暗い環境では、わずかな隙間でも線状の光として目立つ場合があります。

合わせ面の光漏れを抑える方法として、ケース同士の接合部分を段差のある形状にする設計があります。

単純な平面同士の突き合わせでは、内部から外部へ直線的な隙間が形成されやすくなります。これに対し、片側のケースへ突起を設け、反対側へ対応する溝を設けると、光が外部へ直接到達しにくい構造にできます。

このような構造は、一般にラビリンス構造と呼ばれる考え方を利用したものです。光が通る経路を折り曲げることで、直接光の漏れを抑える効果が期待できます。

ただし、光は内部表面で反射するため、通路を曲げるだけで完全な遮光が保証されるわけではありません。反射の状態や隙間の寸法によっては、複数回反射した光が外部へ届く場合があります。

そのため、必要に応じて内面の反射を抑える材料や仕上げと組み合わせることが有効です。

また、合わせ面の形状を複雑にすると、寸法精度や組み付け性への要求が高くなる場合があります。溝と突起の間に十分な余裕がなければ、部品が干渉してケースが閉じにくくなります。反対に余裕が大きすぎると、光が通る隙間が広がる可能性があります。

試作品1個の製作では、使用する加工方法によって実現できる寸法精度が異なるため、図面上の隙間だけで判断しないことが重要です。

例えば、積層造形で製作したケースでは、造形方向や後処理によって合わせ面の平面度が変化する場合があります。切削加工で製作する場合でも、工具の到達範囲や加工時の固定方法によって、形状精度に制約が生じることがあります。

また、ねじによって上下ケースを固定する構造では、締め付け位置と固定点の間隔が重要です。固定点から離れた部分が浮き上がると、局所的な隙間が発生する可能性があります。

そのため、ねじの位置や数、ケースの剛性、合わせ面の形状を一体として検討する必要があります。

ボタンやコネクタなどの開口部では、可動部品や接続部品との干渉を避けるために、一定のクリアランスが必要です。この部分を単純に狭くするだけでは、操作性や組み立て性が損なわれる可能性があります。

こうした場合は、開口部の内側へ遮光壁を追加したり、光源から直接見えない位置に開口部を配置したりする方法が考えられます。

また、柔軟性のある遮光部材を使用する方法もありますが、材料の圧縮状態や経年変化によって性能が変わる可能性があるため、取り付け条件を確認することが重要です。

光漏れを防ぐためには、隙間をなくすことだけを目指すのではなく、必要なクリアランスを維持しながら、光が外部へ届きにくい経路を設計することが求められます。

対策5:表面処理と試作評価で光漏れを最小限に抑える

光源配置、材料、内部構造、合わせ面を検討しても、最終的な光漏れの状態は実物を確認しなければ判断できない場合があります。

そのため、試作品1個の製作では、表面処理による調整と、実際の使用環境を想定した評価を組み合わせることが重要です。

樹脂筐体の内面は、光の反射に影響します。滑らかで反射しやすい面では、光源から出た光が内部で反射し、意図しない方向へ届くことがあります。一方、反射を抑えた暗色系の表面では、反射光を減らせる場合があります。

こうした特性を利用し、筐体内面に遮光性の塗装を施す方法があります。

ただし、暗い色の塗装であっても、すべての条件で十分な遮光性能が得られるとは限りません。塗膜の厚さや光学特性、下地材料との密着性、塗布状態によって効果は異なります。

また、塗装面に細かな傷や塗り残しがある場合、そこから光が透過したり反射したりする可能性があります。特に鋭い角や深い溝の周辺では、塗膜が均一になりにくいことがあるため、施工方法にも注意が必要です。

試作品1個の段階で内面塗装を試す場合は、塗装前後の状態を同じ条件で比較し、光漏れの変化を記録すると効果を判断しやすくなります。

塗装以外にも、遮光シートや遮光テープなどを利用する方法があります。

これらは初期評価において、どの部分を遮光すると改善するのかを確認するための一時的な対策として活用できます。例えば、光漏れが発生している内壁へ遮光材を仮設置し、外部から見える光が減少するかを確認します。

ただし、仮設置で効果が得られたからといって、そのまま最終製品へ採用できるとは限りません。接着部分の耐久性、温度変化、部品との干渉、保守時の剥がれなどを考慮する必要があります。

特に発熱する部品の近くでは、遮光材の使用温度範囲や難燃性など、安全性に関わる材料特性も確認することが大切です。

光漏れの評価では、観察環境を一定にすることも重要です。

明るい室内で問題が見つからなくても、暗い場所では筐体全体が薄く光って見える場合があります。反対に、暗い環境でわずかに見える光が、実際の使用条件では問題にならない場合もあります。

そのため、製品の使用環境に応じて評価条件を設定することが望まれます。

例えば、屋内設置機器では通常の室内照明下と暗い室内の両方を確認し、屋外設置機器では周囲が暗くなる時間帯の見え方も考慮します。表示ランプの最大出力時だけでなく、通常動作時や点滅時の状態も確認すると、実使用に近い評価ができます。

また、観察方向によって光漏れの見え方が変わる場合があります。正面からは問題なくても、斜め方向から見ると合わせ面の奥が見え、内部光が目立つことがあります。

そのため、正面、側面、斜め方向など、製品の使用時に想定される角度から確認することが重要です。

写真で記録する場合は、撮影位置や露出、周囲の明るさをできるだけ統一します。撮影条件が異なると、実際には改善していないにもかかわらず、写真上では光漏れが小さく見えることがあります。

試作品1個の評価では、単に光が漏れているかどうかを確認するだけでなく、どの対策によって改善したのかを記録することが、その後の設計判断に役立ちます。

試作品1個の製作方法によって異なる光漏れ対策の注意点

樹脂筐体の試作品を1個だけ製作する場合、積層造形、光造形、切削加工などの方法が候補になります。それぞれ材料や加工特性が異なるため、光漏れ対策も製作方法に応じて調整する必要があります。

樹脂積層造形では、材料を層状に重ねて立体形状を作ります。この方法では、内部リブや複雑な形状を比較的自由に設計できますが、積層方向によって表面状態や強度、寸法精度が変化することがあります。

また、造形条件によっては微細な空隙が形成され、光が内部を通過したり散乱したりする場合があります。特に薄い壁や、積層線が表面に現れやすい部分では、光漏れの見え方が変わる可能性があります。

積層造形を使用する場合は、造形方向、壁の構成、内部充填、後処理などが遮光性に与える影響を確認することが重要です。

光造形方式では、液状の光硬化性樹脂を硬化させて形状を作ります。比較的細かな形状を再現しやすいため、遮光リブや表示窓周辺の構造を検証する用途にも利用できます。

一方で、使用する樹脂によって光の透過特性が異なります。外観上は暗色でも、薄い部分で光が透過することがあります。

さらに、洗浄や追加硬化などの後処理によって、表面状態や寸法が変化する場合があるため、完成状態で評価することが必要です。

切削加工では、樹脂の板材やブロック材から不要な部分を削り取って筐体を製作します。使用する材料の特性を把握しやすい場合がありますが、工具の形状や加工方向によって製作できる内部構造に制限があります。

例えば、深く細い溝や複雑な内部仕切りは、工具が届かないために加工が難しくなる場合があります。そのため、遮光リブを別部品として製作し、後から組み付ける設計が適していることもあります。

また、切削面の粗さや仕上げ状態によって内部反射の状況が変わる可能性があるため、必要に応じて表面処理を検討します。

試作品1個の製作方法を選ぶ際は、単に外形を再現できるかどうかではなく、光漏れ対策に必要な内部構造まで製作できるかを確認することが重要です。

さらに、将来的に射出成形による量産を予定している場合は、試作品と量産品の違いを理解しておく必要があります。

試作用の樹脂と量産用の樹脂では、光の透過率や顔料の配合、表面状態が異なる場合があります。また、積層造形では問題なかったリブ形状が、射出成形では成形性の制約によって変更を必要とすることもあります。

そのため、初期試作では光漏れの発生箇所と対策原理を確認し、量産に近い材料と製法を用いる段階で、最終的な遮光性能を再評価する考え方が適切です。

光漏れを防ぐために製作依頼前に確認したい設計情報

試作品1個の製作を外部へ依頼する場合、光漏れに関する要求をどこまで伝えるかによって、完成品の評価や設計変更の進めやすさが変わります。

特に注意したいのが、外観色や寸法だけを指定しても、遮光性能までは十分に伝わらないことです。

例えば、黒色の樹脂筐体を指定した場合でも、製作担当者が外観上の色を満たす材料を選ぶことと、内部光源の透過を抑える材料を選ぶことは、必ずしも同じではありません。

そのため、内部に光源があることや、特定の部分から光が漏れないようにしたいことを、製作依頼の段階で共有する必要があります。

最初に整理したいのが、光源に関する情報です。

光源の種類、発光色、配置、明るさ、点灯条件などが分かれば、どの方向へ光が広がる可能性があるかを検討しやすくなります。また、表示窓の位置や形状、必要な視認角度も、筐体設計に関係する重要な情報です。

次に、光を通してよい部分と、光を通したくない部分を明確にします。

例えば、操作パネル上の表示窓だけを発光させたい場合は、表示窓の範囲と、周囲の非発光部分を区別して伝えます。複数の表示窓がある場合には、隣接する表示部への光の回り込みを避けたいことも指定しておくと、内部仕切りの設計方針を共有しやすくなります。

また、筐体の色や表面仕上げに制約がある場合は、早い段階で伝えることが重要です。

遮光性能を優先して暗色材料へ変更する方法が使えない場合には、内面塗装や別部品による遮光など、代替案を検討する必要があります。外観上の制約を後から伝えると、材料選定や内部構造を見直すことになる可能性があります。

製作方法に関する条件も整理しておきます。

試作品1個の段階では、外形確認が主目的なのか、実際に光源を組み込んで遮光性能を評価したいのかによって、適した製作方法が異なる場合があります。

単純な外形確認であれば、短期間で形状を確認しやすい方法を選ぶことができます。一方、光漏れ評価が主目的であれば、材料の光学特性や表面状態を重視して製作方法を選ぶ必要があります。

また、組み立て状態を再現するためには、基板や光源の固定方法、ねじ位置、コネクタ位置、配線経路などの情報も重要です。

これらが未確定のまま筐体だけを製作すると、実際の組み付け時に光源位置が変わったり、合わせ面が浮いたりして、想定と異なる光漏れが発生する場合があります。

評価条件についても、依頼前に認識を合わせておくと効果的です。

例えば、暗い室内で通常の使用距離から見たときに、指定した表示窓以外が目立って発光しないことを目標とする場合、その観察環境や点灯条件を共有します。

ただし、目視による判定には個人差があるため、厳密な外観品質が必要な場合は、基準となる見本や測定条件を設定することが望まれます。

試作品1個の製作では、設計仕様をすべて確定できないこともあります。その場合は、確定済みの条件と、試作によって検証したい条件を分けて整理すると、製作担当者との相談が進めやすくなります。

光漏れ対策は、単純な加工精度だけで解決できる問題ではありません。設計、材料、光源、組み立て、評価条件を共有し、どの段階で何を確認するのかを明確にすることが重要です。

試作品完成後の光漏れ評価と不具合の切り分け方

試作品1個が完成した後は、実際に光源を組み込んで光漏れの状態を確認します。このとき重要なのが、光漏れを一括して評価するのではなく、発生している場所と原因を切り分けることです。

最初に確認したいのは、光が漏れている位置です。

筐体の広い面が均一に明るくなっている場合は、樹脂自体の透過や散乱が関係している可能性があります。ケースの合わせ面に沿って線状に明るくなっている場合は、接合部の隙間が原因として考えられます。

また、ねじ穴やコネクタ周辺だけが明るい場合は、内部光源からその部分まで直接光が届いている可能性があります。

このように光漏れの形状を観察することで、どの設計要素を優先して見直すべきかを判断しやすくなります。

次に、光源の位置や点灯条件を変えたときの変化を確認します。

例えば、光源の向きを少し変えることで光漏れが大きく減少する場合は、直接光の影響が強い可能性があります。一方、光源の向きを変えても筐体全体が同じように明るくなる場合は、材料の透過特性や内部散乱が関係していることが考えられます。

ただし、光源位置を変えると表示窓の明るさも変化するため、光漏れの改善だけで判断しないことが重要です。

表示窓の視認性を維持しながら、不要な部分の発光を抑えられているかを同時に確認する必要があります。

合わせ面からの光漏れが疑われる場合は、組み付け状態を確認します。

ねじの締め付け状態やケースの浮き、反りなどによって隙間が変化することがあります。組み付け直すと光漏れの状態が変わる場合は、部品形状だけでなく、固定方法や寸法精度が関係している可能性があります。

このような状態では、遮光塗装だけを追加するよりも、合わせ面の形状や固定位置を見直す方が根本的な改善につながることがあります。

一時的な遮光材を使用した切り分けも有効です。

例えば、疑わしい内壁に遮光材を仮設置し、光漏れが減少するかを確認します。改善が見られれば、その部分を通る光が原因の一つである可能性が高まります。

ただし、遮光材を追加すると内部反射や光源周辺の状態も変化するため、一つの試験結果だけで原因を断定しないことが大切です。

光漏れの評価では、複数の条件を同時に変えないことも重要です。

材料、光源位置、遮光リブ、表面処理を一度に変更すると、どの対策が効果をもたらしたのか分からなくなります。試作品が1個しかない場合でも、取り外し可能な遮光部品や仮設置材を利用すれば、同じ筐体で複数の条件を比較できることがあります。

また、評価結果は写真だけでなく、光源の点灯条件や観察位置、変更内容と合わせて記録しておくと、設計変更時の判断材料として活用できます。

特に、試作品を製作した担当者と設計担当者が異なる場合は、どの条件で不具合が発生したのかを共有できる記録が重要です。

評価の結果、光漏れが十分に抑えられた場合でも、その状態が最終製品で維持されるとは限りません。

部品の個体差や組み付け条件、材料変更、使用環境の違いによって、光漏れの状態が変化する可能性があります。量産や実使用を想定する段階では、必要に応じて温度変化や繰り返し組み立てなどの影響も確認することが望まれます。

試作品1個の評価で重要なのは、すべての条件を一度に保証することではなく、現時点で発生している問題と、その改善方法を明確にすることです。

不具合の原因を整理し、検証結果を設計へ反映することで、次の試作や製品化へ進む際の不確実性を減らせます。

まとめ|試作品1個から光漏れを考慮した筐体設計を進める

樹脂筐体の光漏れは、材料の透過性だけでなく、光源配置、内部反射、遮光構造、合わせ面の隙間、表面仕上げなど、複数の要因によって発生します。

そのため、試作品1個の製作であっても、完成後の塗装や応急的な遮光だけに頼らず、設計段階から光の通り道を検討することが重要です。

まず、光源の配置と照射方向を見直し、必要な表示部分へ効率よく光を届ける構造を検討します。次に、樹脂材料の透過特性と肉厚を確認し、外観と遮光性能の両立を図ります。

さらに、遮光リブや内部仕切りを利用して不要な光路を遮断し、ケースの合わせ面や開口部では、必要なクリアランスを保ちながら光が外部へ直接届きにくい構造を考えます。

最後に、内面の表面処理と実機評価を組み合わせ、光漏れの原因を確認しながら改善します。

試作品1個の製作では、すべての設計条件を最初から確定する必要はありません。むしろ、どの条件が光漏れに影響しているのかを検証できる構造と評価方法を用意することで、少ない試作回数でも有用な知見を得られます。

また、試作した機器を実際の設備や現場へ持ち込んで確認する場合には、評価した場所や設置状況、外観の状態を記録しておくことも重要です。特に屋外で使用する機器では、試験環境や設置位置の違いによって見え方や使いやすさが変化することがあります。

こうした現場での検証や施工に関する記録管理には、LRTK Phoneの活用も選択肢になります。LRTK Phoneは、現場写真に位置情報を関連付けて記録し、施工状況や現場データの管理・共有を支援するプロダクトです。樹脂筐体の光学性能を直接測定するものではありませんが、試作機を使用した現場の位置や設置状況を写真とともに残すことで、後から評価条件を確認する際に役立ちます。

試作品の完成度を高めるには、筐体そのものの設計品質に加え、検証結果を適切に記録し、次の設計へ反映できる体制が欠かせません。1個からの試作でも、光漏れの発生原因を丁寧に確認し、設計・製作・評価をつなげて進めることが、品質の安定した製品開発につながります。

ものづくりの次の一歩を、
相談から始めてみませんか。

加工・製造の外注先や共同開発のパートナー探しに。大田区産業振興協会の受・発注あっせん相談サービスをご利用いただけます。

ものづくり 外注先を探す。公益財団法人大田区産業振興協会の受・発注あっせん相談。無料でプロに相談!公的機関だから安心!
ものづくりの協力先探し大田区産業振興協会無料相談