LRTKレフィクシア株式会社

試作会社探しで試作品の電気絶縁性能を確かめる5つの試験項目

電気・電子機器や産業用装置の試作品を製作する際、動作確認だけでなく、電気絶縁性能を十分に評価することが重要です。試作品が設計どおりに動作していても、絶縁材料の選定や配線の取り回し、部品間の距離に問題があれば、漏電や感電、短絡などのリスクにつながる可能性があります。

特に、電源回路を備えた機器、高電圧を扱う装置、金属筐体を使用する製品、屋外や高湿度環境で使用する機器では、試作段階から絶縁性能を確認しておく必要があります。しかし、試作会社探しを進める実務担当者の中には、どのような試験を依頼すべきか、試作会社の対応力を何で判断すればよいか、試験結果を量産設計へどう反映すればよいか迷う方も少なくありません。

電気絶縁性能の評価には、絶縁抵抗試験や耐電圧試験などの電気的な試験に加えて、絶縁距離の確認や環境負荷後の性能評価も関係します。それぞれ確認する目的が異なるため、単に試験の実施件数を増やすのではなく、製品の使用条件に合った評価を組み合わせることが大切です。

この記事では、試作会社探しで押さえておきたい電気絶縁性能の5つの試験・検査項目を中心に、試験条件の決め方、依頼先の比較ポイント、不具合発生時の改善方法、量産移行に向けた管理の進め方まで詳しく解説します。

試作会社探しで電気絶縁性能の評価が重要な理由

試作品の評価では、機能が正常に動作するか、外観や寸法が設計どおりか、必要な強度を確保できているかといった項目に注目しがちです。しかし、電気を使用する製品では、絶縁性能も製品の安全性や信頼性を左右する重要な評価対象です。

電気絶縁とは、本来電流が流れてはいけない部分への電流の流れを抑えるため、絶縁材料や空間距離などによって電気的な分離を確保することです。例えば、電源回路と人が触れる可能性のある金属部分との間に適切な絶縁を設けることで、通常使用時や想定される故障時の感電リスクを低減できます。

ただし、絶縁材料を使用していれば必ず安全というわけではありません。樹脂部品の厚みが不足していたり、基板上の導体間隔が狭かったり、組立時に配線の被覆が傷ついたりすると、必要な絶縁性能を満たせない場合があります。

試作段階では、設計図面上で問題が見つからなくても、実際に組み立てることで新たな課題が明らかになることがあります。例えば、筐体内部で電線が金属部品の角に接触する構造や、ねじの締結によって絶縁シートが変形する構造では、完成品の状態で評価しなければ判断できない問題が生じます。

また、試作品の製作方法と量産時の製造方法が異なることにも注意が必要です。試作では切削加工した樹脂部品を使用し、量産では成形品へ変更する場合、肉厚や材料特性、成形時の欠陥、組立公差などが変わる可能性があります。試作で得られた試験結果が、そのまま量産品の安全性を保証するわけではありません。

そのため、試作会社探しでは、単に部品を加工できるか、電子回路を組み立てられるかだけでなく、完成した試作品の絶縁性能をどのように確認できるかまで検討することが重要です。

試験設備を自社で保有する試作会社もあれば、専門の試験機関と連携して評価を実施する会社もあります。どちらの体制であっても、製品に必要な試験項目を理解し、適切な条件で評価し、結果を設計改善につなげられることが大切です。

電気絶縁性能の問題を量産開始後に発見すると、基板設計の変更、筐体構造の修正、部品の再選定など、複数の工程に影響が及ぶ可能性があります。試作段階でリスクを洗い出すことは、安全性の確保だけでなく、量産移行時の手戻りを減らすうえでも有効です。

試験前に決めたい使用条件と合否基準

電気絶縁性能の試験を依頼する前に、まず製品の使用条件と求める安全性能を明確にする必要があります。試験項目が同じでも、製品の定格電圧、回路構成、使用環境、適用される安全要求によって、試験電圧や測定方法、合否判定基準が変わるためです。

最初に整理したいのは、製品が使用する電源の種類と電圧です。交流電源を使用する機器なのか、直流電源で動作する機器なのか、内部で高電圧を生成する回路があるのかによって、確認すべき絶縁部分が異なります。

例えば、外部から供給される低電圧だけで動作する機器と、内部に高電圧回路を備える機器では、同じ樹脂筐体であっても必要な絶縁設計が異なる場合があります。回路ごとの最大使用電圧や通常時と異常時の電位関係を把握し、どの部分を絶縁によって分離する必要があるか整理します。

次に、使用環境を確認します。屋内の乾燥した場所で使用する製品と、屋外で雨水や結露にさらされる製品では、絶縁性能に影響する条件が異なります。湿度が高い環境では、絶縁材料の表面に水分が付着したり、材料内部に水分が吸収されたりすることで、絶縁抵抗が低下する場合があります。

粉じんや油分が付着する環境も注意が必要です。絶縁物の表面に導電性の汚れが蓄積すると、表面を伝わる漏れ電流が増える可能性があります。試作会社には、設置環境だけでなく、想定する清掃方法や保守条件も伝えると、より実使用に近い評価を計画しやすくなります。

また、製品が人の手に触れるものなのか、設備内部に組み込まれるものなのかも重要です。使用者が触れる可能性のある部分と危険な電圧を持つ回路との間では、適切な感電保護が求められます。必要な絶縁方式や試験条件は製品分類によって異なるため、設計担当者と安全評価の担当者が要求事項を共有しておく必要があります。

合否基準を設定するときは、数値だけを先に決めないことが大切です。例えば、絶縁抵抗が一定値以上であれば合格とする場合でも、測定する二点間、印加電圧、測定時間、温湿度条件が違えば、結果を単純に比較できないことがあります。

耐電圧試験についても、試験電圧を高くすれば必ず安全性を厳しく確認できるとは限りません。必要以上の電圧を印加すると、正常な部品に過度な負荷を与え、試作品を損傷する可能性があります。

そのため、適用される安全規格や製品仕様を確認し、評価する絶縁箇所ごとに適切な試験条件を決めることが重要です。適用規格が明確でない開発初期でも、想定用途とリスクを基に暫定的な評価条件を設定し、後工程で正式な要求事項と照合できるようにしておくとよいでしょう。

試作会社に相談する際には、完成図面だけでなく、回路構成、使用環境、想定寿命、使用者が触れる部分、求める安全水準を共有すると、必要な試験の抜け漏れを減らしやすくなります。

試験項目1:絶縁抵抗試験で絶縁状態を確認する

絶縁抵抗試験は、試作品の電気絶縁性能を確認するうえで基本となる試験の一つです。絶縁されているべき二点間に所定の直流電圧を印加し、流れる微小な電流から絶縁抵抗を測定します。

絶縁抵抗が十分に高い場合、測定条件において電流が流れにくい状態にあると判断できます。一方、想定より低い値が測定された場合は、絶縁材料の状態、配線の損傷、表面の汚れ、水分の付着などを確認する必要があります。

例えば、電源回路と金属筐体の間、独立した回路間、配線と導電性部材の間など、設計上絶縁が必要な箇所を測定対象とします。ただし、すべての製品で同じ測定箇所を選べばよいわけではありません。回路構成や感電保護の方式によって、適切な測定点を決める必要があります。

試作会社へ絶縁抵抗試験を依頼するときは、測定箇所と試験電圧を明確にすることが重要です。測定器の接続位置が異なれば、同じ試作品でも異なる値が得られる場合があります。また、電子部品の種類によっては、絶縁抵抗測定のために印加する電圧が回路へ悪影響を与えることもあります。

そのため、試験前には回路図を確認し、測定対象に含める部品と、必要に応じて切り離す部品を整理します。電子回路を含む完成品で測定する場合には、試験方法が製品や部品の耐電圧条件に適合しているか、設計担当者が確認することが欠かせません。

絶縁抵抗は測定環境の影響も受けます。高湿度の環境では、絶縁物の表面に水分が付着し、乾燥状態より低い測定値が出ることがあります。樹脂材料の種類によっては吸湿による特性変化が生じる場合もあります。

試作品を乾燥した室内で測定した結果だけでは、湿度の高い使用環境で同じ性能を維持できるか判断できないことがあります。必要に応じて、温湿度条件を変えた測定や、環境試験後の再測定を組み合わせます。

さらに、測定時間にも注意が必要です。絶縁材料や構造によっては、電圧を印加してからの経過時間に応じて測定電流が変化し、絶縁抵抗の表示値が安定するまで時間を要することがあります。比較評価を行う場合には、電圧印加から測定値を記録するまでの時間を統一すると、結果の再現性を確保しやすくなります。

試験報告書には、単に合格または不合格と記載するのではなく、測定値、試験電圧、測定箇所、測定時間、温湿度条件などを残すことが望まれます。数値の変化を追跡できれば、材料変更や構造改善の効果を比較しやすくなるためです。

なお、絶縁抵抗試験に合格したからといって、高い電圧に対する絶縁破壊耐性まで確認できたことにはなりません。絶縁抵抗試験は、所定の測定条件で絶縁状態を把握するための評価であり、必要に応じて耐電圧試験などと組み合わせて判断します。

試験項目2:耐電圧試験で絶縁破壊への耐性を評価する

耐電圧試験は、試作品の絶縁部分に規定された電圧を印加し、絶縁破壊などの異常が発生しないか確認する試験です。通常の使用電圧より高い試験電圧を用いる場合がありますが、具体的な条件は製品に適用される要求事項や絶縁構造によって決まります。

絶縁抵抗試験が主に電流の流れにくさを数値で確認するのに対し、耐電圧試験は、所定の電圧ストレスに対して絶縁構造が耐えられるかを評価する役割を持ちます。

例えば、電源回路と金属筐体の間に絶縁シートを設けた試作品では、シートの材料特性だけでなく、組立後の厚みや配置、周辺部品との接触状態が重要です。組立時にシートがずれていたり、鋭い金属部分によって局所的に損傷していたりすると、耐電圧試験で問題が表面化することがあります。

試作会社へ依頼するときは、印加する電圧の種類、電圧値、印加時間、試験対象箇所、判定基準を指定します。交流電圧を使用する方法と直流電圧を使用する方法では、測定される電流や絶縁物への負荷が異なるため、単純に同等の試験として扱うことはできません。

また、試験中に流れる電流の性質にも注意が必要です。絶縁物には静電容量が存在するため、交流電圧を印加したときには容量性の電流が流れることがあります。この電流が存在することだけで絶縁破壊が発生したとは判断できません。

そのため、試験装置の電流検出方式や判定しきい値を適切に設定し、試験対象の正常な容量性電流も考慮して異常を判定できる条件にする必要があります。試験対象にフィルタ回路や電子部品が接続されている場合は、その構成も考慮しなければなりません。

耐電圧試験で特に重要なのは、安全に試験できる構造と手順を確保することです。高電圧を印加する試験では、試験対象に電荷が残る場合があり、試験終了後にも感電の危険が生じる可能性があります。適切な安全設備を備え、専門知識を持つ担当者が試験を実施する必要があります。

また、試験そのものが試作品の状態に影響する可能性も考慮します。試験電圧や印加回数が不適切な場合には、絶縁材料や電子部品に過剰な負荷が加わることがあります。設計検証で実施する耐電圧試験と、量産時の出荷検査で実施する試験は、目的や条件が異なる場合があるため、同じ設定を無条件に適用しないことが大切です。

試験後には、外観異常や焦げ跡、放電痕などの有無を確認し、必要に応じて絶縁抵抗の再測定を行います。合格判定だけでなく、試験前後で特性が変化していないか確認することで、異常の早期発見につながります。

試作会社探しでは、耐電圧試験装置を保有しているかだけでなく、製品構造に応じた試験条件を設定できるか、部品を保護するための事前確認を行えるか、異常発生時に原因を解析できるかを確認するとよいでしょう。

試験項目3:漏れ電流試験で使用中の電流経路を確認する

漏れ電流試験は、製品の使用中に安全上評価が必要な経路へ流れる電流を測定し、製品に求められる安全要求を満たしているか確認するための試験です。

電気機器では、絶縁材料の特性や回路構成によって、完全に電流を遮断できるとは限りません。例えば、電源回路に使用される部品の静電容量や絶縁材料の特性により、微小な電流が流れる場合があります。

漏れ電流が存在すること自体が、必ずしも製品の異常を意味するわけではありません。重要なのは、どの経路に、どのような条件で、どの程度の電流が流れるかを確認し、対象製品に適用される安全要求と照合することです。

漏れ電流試験では、製品を実際に動作させた状態で測定する場合があります。そのため、絶縁抵抗試験や耐電圧試験とは異なり、製品の電源条件や動作モードが結果に影響することがあります。

例えば、交流電源を使用する機器では、接触電流や保護接地導体に流れる電流など、評価対象に応じて測定方法が異なります。金属筐体がある製品では、人が触れる可能性のある導電性部分を適切に評価する必要があります。

一方、電池のみで動作する製品では、交流電源を使用する機器と同じ漏れ電流試験が必要とは限りません。内部回路の電圧やエネルギー、外部接続端子の構成などを考慮し、必要な評価を判断します。

試作会社へ漏れ電流試験を依頼する際には、製品の電源方式、定格入力条件、測定対象箇所、運転状態を明確にします。複数の動作モードがある場合には、どの状態で漏れ電流が大きくなる可能性があるかを検討します。

例えば、モーターやヒーターを搭載する装置では、停止状態と運転状態で回路の状態が変わります。電源回路に切り替え機能がある製品では、切り替え状態によって測定結果が異なる場合があります。

試験条件によっては、通常動作時だけでなく、規定された単一故障状態などを想定した評価が必要になることもあります。ただし、異常状態を再現する試験は、製品の構造や適用要求に基づいて計画する必要があり、無条件にすべての故障状態を試すものではありません。

また、漏れ電流試験には、測定対象に応じた測定回路や測定装置が必要です。一般的な電流計で測定した数値を、そのまま安全評価の判定値として使用できるとは限りません。人体への影響を考慮した測定方法が指定される場合もあるため、試験の目的に適した設備と手順を選択します。

試作会社探しでは、漏れ電流を測定できる設備の有無だけでなく、試験対象となる電流経路を理解しているかが重要です。例えば、保護接地に流れる電流と、人が触れる部分を介して流れる可能性のある電流では、評価目的が異なります。

測定結果が基準を満たさなかった場合には、電源回路の構成、絶縁部品の配置、配線経路、筐体との関係などを確認します。電源回路の部品を変更することで漏れ電流が変化する可能性がありますが、その変更が電気的な雑音対策や製品機能に影響する場合もあるため、複数の性能を総合的に評価することが大切です。

漏れ電流試験の結果は、試験時の電源条件や動作状態と一緒に記録します。測定値だけでは再現試験が難しいため、どの構成で、どの条件において得られた数値なのかを明確にしておくことが、設計改善と量産移行の両方で役立ちます。

試験項目4:絶縁距離と構造の測定検査で設計上の弱点を見つける

電気絶縁性能を確保するためには、電気的な測定だけでなく、絶縁構造そのものを確認することも重要です。特に、空間距離や沿面距離、絶縁材料の厚み、部品の固定状態などは、試作品の安全性に直接関係します。

この項目は電圧を印加する電気試験ではなく、寸法測定や外観観察によって絶縁構造を確認する検査です。しかし、絶縁抵抗試験や耐電圧試験だけでは発見しにくい設計上の問題を把握するため、試作段階で組み合わせたい重要な評価項目といえます。

空間距離とは、二つの導電性部分の間にある空気中の最短距離を指します。一方、沿面距離とは、絶縁物の表面に沿って測った二つの導電性部分間の最短距離です。

空間距離が不足すると、電圧条件によっては空気中で放電が発生する可能性があります。また、沿面距離が不足すると、湿気や汚れなどの影響を受けた絶縁物の表面で漏れ電流が増え、絶縁性能が低下するおそれがあります。

必要な距離は、使用電圧だけで一律に決まるものではありません。過電圧の条件、汚損の程度、絶縁材料の特性、設置高度、要求される絶縁方式などによって変わるため、対象製品に適用される設計要求を基に判断します。

試作品では、基板上の配線間隔に問題がなくても、完成品として組み立てることで必要な距離を確保できなくなる場合があります。

例えば、基板を筐体へ固定するねじや金属スペーサーが導体に近づいたり、コネクタの端子が金属カバーに接近したりすると、図面上では想定していなかった絶縁経路が形成されることがあります。

また、配線の曲がり方や固定方法によっては、組立作業者ごとに絶縁距離が変動する可能性があります。試作会社には、単体部品の寸法だけでなく、実際に組み立てた状態で最も距離が短くなる箇所を確認してもらうことが重要です。

絶縁材料の厚みも確認対象となります。樹脂筐体や絶縁シートを使用する場合には、設計上の厚みだけでなく、加工公差や組立時の圧縮、変形などを考慮する必要があります。

さらに、金属部品の角やバリが配線被覆へ接触していないか、ねじ締結時に絶縁材料が損傷しないか、可動部が動いたときに電線が挟み込まれないかといった確認も重要です。

構造検査では、完成状態の外観観察に加えて、必要に応じて分解観察や断面確認を行うことがあります。ただし、分解によって試作品の状態が変化する場合もあるため、試験前の状態を写真などで記録しておくと原因解析に役立ちます。

基板の導体間距離を確認する場合には、設計データと完成基板の双方を照合することが望まれます。基板の製造工程や部品実装によって、設計時には問題のなかった部分に新たなリスクが生じる可能性があるためです。

絶縁距離を確保する目的で設けた溝や隔壁についても、その形状が実際に有効か確認する必要があります。溝が存在するだけで必要な沿面距離を確保できるとは限らず、寸法や形状によって評価上の扱いが異なる場合があります。

試作会社探しでは、電気試験の設備だけでなく、細かな寸法を測定できる機器や、基板・筐体・配線を一体として評価できる設計知識があるかを確認するとよいでしょう。

電気絶縁性能の問題は、材料の電気的特性だけでなく、部品配置や製造公差によって生じる場合があります。構造検査を通じて設計上の弱点を見つけることで、電気試験に不合格となる前に改善できる可能性があります。

試験項目5:環境負荷後の絶縁性能を確認する

試作品が常温の室内で絶縁性能を満たしていても、実際の使用環境で同じ性能を維持できるとは限りません。電気絶縁性能は、温度、湿度、振動、汚れ、経年変化などの影響を受ける場合があるためです。

そのため、製品の用途によっては、環境負荷を与えた後に絶縁抵抗試験や耐電圧試験などを再実施し、性能の変化を確認することが重要です。

特に注意したいのは、高温高湿環境です。絶縁材料の種類によっては、水分を吸収することで絶縁抵抗が低下する場合があります。また、基板表面に湿気や汚れが存在すると、表面の絶縁性能が変化する可能性があります。

例えば、屋外に設置する制御装置や、結露が発生しやすい場所で使用する機器では、乾燥状態の測定だけでは十分な評価にならないことがあります。

高温高湿試験を計画する際には、試験温度、相対湿度、保持時間、通電の有無、試験後の測定タイミングを明確にします。試験直後に測定する場合と、一定時間乾燥させてから測定する場合では、得られる結果が異なることがあります。

製品の要求事項に応じて、湿潤状態での絶縁性能を確認するのか、環境負荷後の回復状態を確認するのかを区別することが大切です。

温度変化に対する評価も重要です。異なる材料を組み合わせた製品では、材料ごとの熱膨張の違いによって、接着部分や絶縁部品に応力が生じることがあります。

例えば、金属筐体と樹脂部品を組み合わせた構造では、温度変化によって固定部分に負荷が加わり、絶縁材料に亀裂や変形が生じる可能性があります。温度サイクル試験などで繰り返し温度変化を与えた後、絶縁状態を確認することで、初期状態では発見しにくい問題を把握できる場合があります。

振動や衝撃が加わる製品では、配線の固定状態や絶縁材料の摩耗にも注意が必要です。装置の稼働中に電線が金属部品へ繰り返し接触すると、被覆の損傷につながることがあります。

移動機器や産業設備に組み込まれる試作品では、想定される振動条件を考慮し、必要に応じて振動試験後の絶縁性能を確認します。

ただし、環境試験は負荷を強くすればよいものではありません。製品が実際に経験する条件や、適用される要求事項に応じて試験を設計する必要があります。過度な試験条件では、実使用との関係を説明しにくい損傷が発生する場合があります。

試作会社に依頼するときは、環境試験の前後で比較可能な測定条件を使用し、変化を確認できるようにしておくことが重要です。試験前の絶縁抵抗、試験後の絶縁抵抗、外観変化、部品の変形などを記録することで、性能低下の原因を分析しやすくなります。ただし、適用される試験方法で測定時の温湿度や試験後の放置時間が指定されている場合は、その条件を優先します。

また、環境試験後の試作品を耐電圧試験に使用する場合には、試験の順序や試作品への負荷を考慮する必要があります。一つの試作品に複数の試験を連続して実施すると、前の試験による影響が後の試験結果へ反映される可能性があるためです。

試作会社探しでは、環境試験設備を保有しているかだけでなく、環境負荷と電気絶縁性能の変化を関連付けて評価できるかを確認するとよいでしょう。自社で環境試験を実施できない場合でも、外部の試験機関と連携し、試験条件や結果を一元管理できる体制があれば、評価を進めやすくなります。

試作会社に依頼する際の試験計画とサンプル管理

電気絶縁性能の試験を適切に進めるには、試験項目を決めるだけでなく、評価する試作品の状態や試験順序、試験結果の記録方法を計画することが重要です。

最初に整理したいのは、試験の目的です。設計段階で絶縁構造の妥当性を確認するための試験なのか、設計変更による改善効果を比較するための試験なのか、量産移行前の設計検証なのかによって、必要な評価内容が異なります。

例えば、開発初期では複数の絶縁材料や構造を比較することが重要になる場合があります。一方、量産移行前には、製品として定められた要求事項を満たしているか、完成状態で確認することが中心になります。

次に、試作品の製作条件を整理します。同じ設計図面で製作した試作品でも、部品のロットや組立方法、作業者、加工条件などが異なれば、測定結果に差が出る可能性があります。

試験に使用する試作品には識別番号を付け、どの設計版で製作されたものか、どの部品を使用しているか、どの試験を実施したかを追跡できるようにします。

特に、耐電圧試験や環境試験など、試作品に負荷を与える試験では、試験履歴を正確に管理する必要があります。異なる試験を同じサンプルに実施する場合、先に行った試験が後の測定に影響する可能性があるためです。

試作品の数量に余裕がある場合には、試験目的に応じてサンプルを分ける方法も考えられます。ただし、必要な数量は試験内容や適用要求によって異なるため、試作会社と相談して決めることが望まれます。

また、試験前の状態確認も重要です。外観、部品の固定状態、配線経路、筐体の組付け状態などを記録しておけば、試験後に異常が発見されたとき、その変化が試験によるものか判断しやすくなります。

設計変更を伴う再試験では、変更箇所を明確にします。例えば、絶縁材料の厚みを変更した場合、その他の条件も同時に変更してしまうと、どの対策によって性能が改善したのか判断しにくくなることがあります。

試験計画には、測定対象、試験条件、判定基準、使用設備、記録方法、試験順序、異常時の対応方法を含めると、関係者間で認識を合わせやすくなります。

さらに、試験が不合格となった場合の対応も事前に決めておくと効率的です。不合格が発生したときに、設計担当者へ連絡するのか、試験を中断するのか、原因解析に進むのかを明確にしておけば、現場での判断のばらつきを減らせます。

試作会社探しでは、このような試験計画を一緒に検討できるかどうかも重要な判断材料になります。依頼された試験だけを実施する会社と、製品の使用条件を踏まえて評価計画を提案できる会社では、開発段階で得られる情報の内容が変わる可能性があります。

試作会社探しで比較したい技術力と試験体制

試作会社を探す際には、加工設備や製作実績だけでなく、電気絶縁性能の評価に関する技術力と試験体制を確認することが大切です。

まず確認したいのは、対象製品に近い電気・電子機器の試作経験です。機械部品の製作を得意とする会社でも、電源回路や高電圧回路を含む製品の評価経験が十分とは限りません。

試作品の用途に応じて、電気回路設計、基板設計、筐体設計、配線設計、絶縁材料の選定など、必要な技術分野に対応できるか確認します。

例えば、基板上の絶縁距離に関する問題であれば、基板設計と製造工程の知識が重要です。一方、金属筐体と電源回路の絶縁に関する問題では、機構設計や組立公差、絶縁部品の固定方法なども関係します。

電気絶縁性能の問題は複数の技術分野にまたがるため、設計担当者と試験担当者が連携できる体制があると、不具合の原因を整理しやすくなります。

次に、試験設備の対応範囲を確認します。絶縁抵抗試験、耐電圧試験、漏れ電流試験などについて、必要な測定範囲や試験条件に対応できるかを確認することが重要です。

ただし、試験設備を保有していることだけで十分とはいえません。測定器が適切に校正されているか、試験条件を管理できるか、作業者が試験方法を理解しているかといった点も確認する必要があります。

測定器の校正状態が不明確な場合、測定結果の信頼性を判断しにくくなることがあります。試験報告書で測定器の識別情報や校正状況を確認できる体制があれば、測定値の追跡性を確保しやすくなります。

外部の試験機関と連携する試作会社を選ぶ場合には、試験を外部へ依頼できるかだけでなく、試験条件の調整や結果の解釈まで対応してもらえるかを確認します。

例えば、試験機関から不合格という結果が返ってきた場合に、その原因を製品の設計と関連付けて検討できるかが重要です。試験結果を受け取るだけでは、次にどの部品や構造を改善すべきか判断できない場合があります。

試験報告書の内容も比較ポイントです。合否判定だけの簡単な記録ではなく、試験条件、測定値、測定箇所、試作品の識別情報、異常の内容などを確認できるかが重要です。

また、試作品の設計変更に対して柔軟に対応できるかも確認します。電気絶縁性能の評価では、一度の試験で要求を満たせず、材料変更や構造修正を繰り返すことがあります。

試験結果から改善方針を検討し、試作品を修正して再評価できる体制があれば、開発工程を進めやすくなります。

さらに、秘密保持や設計データの管理も重要です。電源回路や製品内部の構造には、開発上の重要な情報が含まれる場合があります。図面や回路情報、試験結果を安全に共有できる仕組みがあるか確認することも、試作会社探しの一部です。

試作会社を比較するときは、設備の数や対応可能な試験名だけで判断せず、製品の要求事項を理解し、試験計画から不具合解析、再試験まで一貫して支援できるかを重視するとよいでしょう。

試験で不具合が見つかった場合の改善方法

電気絶縁性能の試験で不合格が発生した場合には、すぐに試作品の設計を変更するのではなく、まず測定条件と異常の発生箇所を確認することが重要です。

例えば、絶縁抵抗試験で想定より低い測定値が出た場合、絶縁材料そのものに問題があるとは限りません。基板表面の汚れや水分、配線の損傷、測定器の接続状態などが影響している可能性があります。

最初に、試験電圧や測定箇所、測定時間、環境条件が適切だったかを確認します。測定条件に問題がなければ、試作品の構造や材料を調査し、電流が流れている可能性のある経路を絞り込みます。

基板表面の汚れが原因と考えられる場合には、洗浄工程や乾燥工程、製造時の取り扱い方法を見直します。ただし、洗浄によって部品が損傷する可能性もあるため、使用材料や電子部品との適合性を確認したうえで対策します。

絶縁距離の不足が原因であれば、導体の配置変更、絶縁隔壁の追加、筐体内部の構造変更などを検討します。単に絶縁テープやシートを追加するだけでは、長期使用時の信頼性や組立品質を十分に確保できない場合があるためです。

耐電圧試験で異常が発生した場合には、絶縁破壊の発生位置や放電痕の有無を確認します。金属部品の角や基板上の狭い間隔など、局所的に電界が集中しやすい部分が関係している可能性があります。

ただし、不合格となった試作品へ繰り返し高電圧を印加すると、損傷が進行する場合があります。再試験の実施は、原因解析と安全性の確認を行ったうえで判断する必要があります。

環境試験後に絶縁性能が低下した場合には、材料の吸湿、結露、熱変形、接着部分の劣化などを確認します。外観に異常が見えなくても、内部に水分が残っていたり、微小な亀裂が発生していたりする可能性があります。

改善策を検討するときは、電気絶縁性能だけでなく、製品全体への影響も考慮します。例えば、絶縁距離を増やすために基板を大型化すると、筐体寸法や放熱設計、部品配置などに影響する場合があります。

同様に、絶縁材料を厚くすると、部品の固定方法や熱の伝わり方が変化することがあります。改善後には絶縁性能だけでなく、関連する機能や構造についても必要な再評価を実施することが望まれます。

また、不具合が発生した原因と改善内容を記録することも重要です。試作段階では担当者の経験によって問題を解決できても、その経緯が記録されていなければ、量産設計や次の製品開発に十分活用できません。

試作会社と協力して、原因、対策、変更した設計箇所、再試験結果を関連付けて管理することで、同じ問題の再発防止につなげやすくなります。

試験報告書を量産設計につなげる管理方法

試作品の電気絶縁性能を評価した後は、試験結果を量産設計へ反映できる形で整理することが重要です。試験に合格したという情報だけでは、量産時に同じ性能を再現できるか判断するための材料が不足する場合があります。

まず、試験報告書には、試作品の設計版、識別番号、使用した主要部品、試験日、測定箇所、試験条件、測定値、判定結果などを記録します。

設計変更を繰り返した試作品では、どの版がどの試験に合格したのかを明確にすることが大切です。試験後に絶縁材料や配線経路を変更した場合、変更前の試験結果だけで変更後の設計を評価済みと判断することはできません。

また、試作品の製作方法と量産時の製造方法の違いを整理します。

例えば、試作段階では手作業で配線を固定していても、量産では組立治具を使用する場合があります。配線の取り回しが変化すると、金属部品との距離や被覆への負荷が変わる可能性があります。

樹脂部品を切削加工から成形加工へ変更する場合にも、材料や肉厚、寸法公差、成形条件などを確認する必要があります。試作品で合格した絶縁構造を量産品で再現するには、製造工程による違いを把握することが欠かせません。

量産時の検査方法も検討対象です。試作段階では詳細な設計検証を実施し、量産では製造上のばらつきや組立不良を検出するための検査を行うなど、目的によって試験方法が異なる場合があります。

すべての量産品に同じ試験を実施する必要があるか、抜き取り検査を組み合わせるかは、製品の安全要求や適用される規格、製造工程のリスクに応じて判断します。

絶縁抵抗試験や耐電圧試験を量産検査へ組み込む場合には、検査時間だけでなく、試験による部品への負荷、安全設備、作業者の保護、異常品の識別方法などを考慮する必要があります。

また、材料変更や部品の調達先変更が発生した場合には、その変更が絶縁性能に影響するかを評価する仕組みも重要です。絶縁材料の種類が同じでも、製造条件や特性に差がある可能性があるためです。

製品開発の担当者と品質管理の担当者が、試験条件や合否基準を共通の情報として管理できれば、試作から量産への引き継ぎが円滑になります。

特に、試作会社と量産委託先が異なる場合には、図面だけでなく、試験報告書や不具合履歴、改善経緯も共有することが重要です。

試作会社探しの段階から、試験結果をどのような形式で受け取れるか、設計変更履歴と関連付けて管理できるかを確認しておけば、量産移行後の品質管理にも活用しやすくなります。

まとめ|電気絶縁性能を適切に評価できる試作会社を選ぶ

試作会社探しで電気・電子機器の製作を依頼する際には、試作品が設計どおりに動作することだけでなく、必要な電気絶縁性能を備えているか確認することが重要です。

絶縁抵抗試験では、所定の条件で絶縁部分に電流が流れにくい状態を確認します。耐電圧試験では、規定された電圧に対して絶縁構造が耐えられるかを評価します。漏れ電流試験では、使用中に流れる電流を測定し、必要な安全要求を満たしているか確認します。

さらに、絶縁距離や構造の測定検査によって、電気的な測定だけでは発見しにくい設計上の弱点を把握できます。環境負荷後の評価を組み合わせれば、温湿度の変化や振動などが絶縁性能へ与える影響も確認しやすくなります。

ただし、これらの項目をすべての試作品に同じ条件で実施すればよいわけではありません。製品の電源方式、使用電圧、設置環境、使用者との接触条件、適用される安全要求に応じて、必要な試験と判定基準を設定することが大切です。

試作会社を選ぶ際には、必要な試験設備の有無だけでなく、電気回路と機構構造の両面から問題を分析できるか、試験条件を適切に設定できるか、不合格時の原因解析や設計改善に対応できるかを確認しましょう。

また、試験結果を試作品の設計版や部品情報と関連付けて記録し、量産時にも追跡できるようにすることで、開発後半の手戻りや品質管理上の混乱を減らしやすくなります。

試作品を工場設備や屋外現場へ持ち込んで実使用評価を行う場合には、電気試験の結果に加えて、設置場所の状態や配線の施工状況、試験時の現場写真などを記録しておくことも有効です。

特に、複数の現場で試作品を評価する案件では、どの場所で、どの構成の試作品を使用し、どのような設置条件だったのかを把握できることが、後の不具合解析や設計改善に役立ちます。

こうした現場情報の管理には、LRTK Phoneの活用も選択肢となります。LRTK Phoneは、位置情報を付けた現場写真の撮影や現場データの共有などに活用できる製品です。試作品の設置状況や評価現場の情報を位置情報と関連付けて整理することで、現場で得られた記録を関係者間で共有しやすくなります。

なお、LRTK Phoneは電気絶縁性能を測定する試験装置ではないため、絶縁抵抗や耐電圧などの評価は、適切な測定設備と試験方法によって実施する必要があります。電気試験の報告書と現場記録をそれぞれ適切に管理し、必要に応じて関連付けることが重要です。

試作品の安全性と量産時の品質を確保するためには、設計、試作、試験、現場評価の各工程で得られた情報を継続的に活用できる体制が求められます。電気絶縁性能を適切に評価できる試作会社を選び、LRTK Phoneによる現場記録の管理も必要に応じて取り入れることで、試作から量産へつながる製品開発を進めやすくなります。

ものづくりの次の一歩を、
相談から始めてみませんか。

加工・製造の外注先や共同開発のパートナー探しに。大田区産業振興協会の受・発注あっせん相談サービスをご利用いただけます。

ものづくり 外注先を探す。公益財団法人大田区産業振興協会の受・発注あっせん相談。無料でプロに相談!公的機関だから安心!
ものづくりの協力先探し大田区産業振興協会無料相談