LRTKレフィクシア株式会社

機械設計を依頼するときに適用規格・法令を確認する6つの手順

機械設計を外部へ依頼する際、機構や寸法、処理能力などの技術仕様に目が向き、適用される規格や法令の確認が後回しになることがあります。しかし、機械設計では性能や製造性だけでなく、安全性、設置条件、使用環境、保守方法なども考慮しなければなりません。設計が進んでから法令への対応不足が判明すると、構造変更や部品の再選定、制御回路の変更、安全装置の追加などが必要になり、製作工程全体に影響する可能性があります。

特に、製造設備、自動化装置、搬送装置、検査装置、専用機などを設計会社へ依頼する場合は、機械の用途によって確認すべき規制が異なります。同じような構造を持つ機械でも、使用目的や設置場所、扱う材料、運転方法が変われば、適用される要求事項が変わることがあります。

また、法令と技術規格は同じものではありません。法律上の義務として守る必要がある要求事項と、安全性や性能を確保するために採用する規格、発注者と設計会社の契約によって求められる仕様を区別する必要があります。この違いを理解しないまま設計を依頼すると、必要な対応が抜け落ちたり、反対に適用対象ではない要求を過剰に盛り込んだりするおそれがあります。

機械設計の依頼を成功させるには、発注者がすべての法令や規格を詳しく理解している必要はありません。重要なのは、設計会社と協力しながら適用条件を整理し、確認結果を設計仕様書や図面、検査記録に反映できる体制を整えることです。

この記事では、機械設計を依頼する実務担当者に向けて、適用規格・法令を確認する6つの手順を解説します。国内で使用する産業機械を中心に、依頼前の準備から設計審査、受入検査まで、具体的に何を確認すればよいかを紹介します。

機械設計の依頼前に規格・法令の確認が必要な理由

機械設計で適用規格や法令を確認する目的は、単に法律違反を避けることではありません。機械を安全に製造、設置、運転、保守できる状態にすることが、より本質的な目的です。設計段階で要求事項を明確にすれば、安全上の問題を構造や制御方式の選定時点で検討でき、完成後の大きな設計変更を減らしやすくなります。

例えば、作業者が加工物を投入する装置では、可動部分に手が接近する可能性があります。必要な安全対策を検討せずに機構を決めてしまうと、完成後に防護カバーやインターロックを追加する際、作業スペースや搬送経路との干渉が発生することがあります。安全対策によって作業効率が大きく低下すれば、設計の再検討が必要になるかもしれません。

一方、初期段階から可動範囲、作業者の接近経路、停止方法、清掃や保守の頻度まで考慮していれば、安全性と作業性を両立しやすくなります。安全設計は完成後に追加する付属的な対策ではなく、機械の基本構成を決める重要な設計要件です。

規格・法令への対応は、機械の種類によっても変わります。一般的な生産設備では、労働安全衛生法や関連規則に基づく要求事項を確認する必要があります。さらに、機械の構成によっては、電気用品安全法、高圧ガス保安法、消防法などの対象になるかを検討する場合があります。これらの法令がすべての産業機械に一律に適用されるわけではなく、対象となる機器、設備、使用条件などを個別に確認することが重要です。

技術規格についても同様です。国内の産業規格は原則として任意の規格ですが、法令に引用されている場合には、その法令上の位置付けを確認する必要があります。また、契約や発注仕様書で規格への適合を約束した場合は、法令上の強制力とは別に、契約上の要求事項となります。

このように、機械設計における確認事項は、法律上の義務、技術的な安全基準、契約上の要求という複数の側面から整理する必要があります。

さらに注意したいのが、発注者と設計会社の責任分担です。設計を外部委託しても、機械の製造者、販売者、設置者、使用者などが法令上負う義務まで自動的に設計会社へ移るわけではありません。個々の義務は法令上の立場によって決まるため、契約で作業を分担すると同時に、誰が何を確認して最終判断するかを明確にする必要があります。

規格・法令を確認する作業は、設計会社の専門性を評価する機会にもなります。依頼先を評価する際には、適用対象を確認するために必要な情報を質問し、判断根拠を整理しながら設計条件を提案できるかが重要な判断材料になります。発注者が確認すべき事項を理解していれば、依頼先との認識の違いを早期に発見しやすくなるでしょう。

手順1:機械の用途・使用条件・納入先を定義する

適用規格・法令を調べる前に、最初に行うべきことは機械の使用条件を明確にすることです。法令の適用対象は、機械の名称だけで決まるとは限りません。構造や能力、使用目的、取り扱う物質、設置環境、運転方法などによって判断が変わるためです。

例えば、同じ搬送機構でも、人が直接荷物を載せる装置と、自動化ライン内で製品を移動させる装置では、作業者が危険源に接近する状況が異なります。荷をつり上げる機構を備える場合には、クレーン等に関する規制への該当性も確認する必要があります。装置の一般名称だけで判断せず、具体的な構造と運用方法まで整理することが大切です。

まず確認したいのは、機械の用途です。加工、組立、搬送、検査、洗浄、包装など、機械がどのような作業を行うのかを明確にします。そのうえで、対象となる製品や材料の大きさ、質量、形状、温度、状態などを整理します。

次に、運転条件を具体化します。想定する動作速度、駆動力、ストローク、稼働時間、起動停止の頻度などは、機械構造と安全対策の両方に影響します。空気圧や油圧を使用する場合は、作動圧力や蓄積エネルギーも重要です。電気的な駆動機構では、供給電圧や電源方式、停電時の動作、制御装置の構成などを整理します。

ここで重要なのは、通常運転だけを想定しないことです。機械の事故は、段取り替え、材料交換、清掃、異常復旧、保守点検など、通常とは異なる作業中にも発生します。設計会社へ依頼する段階で、作業者がどの部分に接近し、どのような操作を行うのかまで伝えておくと、安全設計の検討精度が高まります。

設置環境も忘れてはいけません。屋内か屋外か、床面の状態、周囲温度、湿度、粉じん、水分、腐食性物質の有無などによって、必要な構造や保護対策は変わります。可燃性ガスや粉じんが存在する可能性のある環境では、一般的な機械とは異なる防爆上の検討が必要になる場合があります。湿潤環境で使う装置では、電気機器の保護構造や配線方法について慎重な検討が求められます。

設置場所が既存の工場内であれば、周辺設備との関係も重要です。安全柵の配置、作業通路、非常停止の範囲、既設設備との信号連携、保守スペースなどを確認します。機械単体では安全に設計されていても、既存設備に組み込むことで新たな危険が発生する場合があるためです。

さらに、納入先と使用国を確定します。国内向けの機械と海外向けの機械では、適用される法令や要求される適合手続きが異なることがあります。将来的に海外展開を想定する場合でも、当初からどの地域まで対応する必要があるかを整理しておくと、後から構造を変更するリスクを減らせます。ただし、海外向けの要求があるという理由だけで、特定の国や地域の制度を国内向け機械に一律に適用する必要があるとは限りません。

この段階では、機械の使用目的、使用場所、運転条件、作業者の関与、保守方法、納入先をまとめた要求仕様書を作成すると効果的です。未確定の条件がある場合には、推測で埋めるのではなく、未決定事項として記録します。

設計会社へ相談する際には、要求仕様書だけでなく、設置予定場所の写真や既存設備の配置情報なども共有するとよいでしょう。機械の周辺環境を具体的に把握できれば、法令の適用判断だけでなく、搬入方法や据付方法、安全対策の検討にも役立ちます。

手順1の完了時点では、設計会社が機械の使用条件を理解し、適用規格・法令を調査するために必要な情報がそろっている状態を目指します。

手順2:適用される法令と行政上の手続きを洗い出す

機械の用途や使用条件が整理できたら、次は適用される法令を確認します。この作業では、単に関係しそうな法律を列挙するだけでなく、対象となる設備の範囲、具体的な義務、必要な手続き、義務を負う事業者を確認することが重要です。

最初に確認する法令の一つが労働安全衛生法です。工場や事業場で労働者が使用する機械については、機械の種類や使用方法に応じて、危険防止措置や構造、安全装置などに関する規定が関係することがあります。

ただし、すべての機械に同じ規制が適用されるわけではありません。例えば、特定機械等に該当する設備では、製造許可や検査などの規制が設けられている場合があります。また、一定の機械等については、個別検定や型式検定の対象になることがあります。

これらの規制では、対象となる機械の定義や構造、能力などが関係するため、装置の名称や外観だけで判断してはいけません。該当する可能性がある場合は、法律だけでなく施行令、省令、関連する構造規格などを確認する必要があります。

例えば、プレス機械に関連する設計を依頼する場合、作業者が危険な可動部分に接近する可能性、安全装置の構成、操作方式などを検討します。ただし、プレス機械そのものに対する規制と、安全装置などの構成品に対する規制は区別して確認しなければなりません。名称が似ているという理由だけで、同じ手続きを適用することは適切ではありません。

電気を使用する装置では、電気用品安全法への該当性を確認する場合があります。ただし、電気で動く産業機械がすべて同法の対象になるわけではありません。対象となる電気用品は、法令で定められた品目や範囲によって判断されます。機械全体が対象となるのか、特定の構成品が対象となるのか、あるいは対象外となるのかを分けて確認する必要があります。

特に、機械に組み込む電源装置や電動機、配線器具などについては、構成品単体の適用条件と、完成した機械全体の適用条件を混同しないことが重要です。電気用品に該当するかどうかは、品目の定義、定格、構造、用途などに基づいて確認します。

また、高圧のガスを使用する装置では高圧ガス保安法、危険物を取り扱う設備では消防法などについて、該当性を検討する場合があります。これらの法令も、圧力やガスの種類、危険物の分類と数量、設備の用途などによって対象範囲や要求事項が異なります。

製品が設置される建物や設備の条件によっては、建築基準法や関係する施設の規制を確認する必要が生じることもあります。特に、大型装置の設置、建築物への固定、既存施設の改修などを伴う場合は、機械単体の設計だけでなく、施設側の要件も調査対象となります。

さらに、製造物責任法についても理解しておくことが大切です。製造物責任法は、製造物の欠陥によって生命、身体、財産に損害が生じた場合の損害賠償責任に関する法律です。特定の機械について事前の認証や届出を一律に要求する制度ではありませんが、設計上の安全性や使用上の情報を検討するうえで重要な法律です。

発注者が特に注意したいのは、設計会社へ依頼しただけでは、法令上の義務主体が変わるとは限らないことです。機械の製造者、輸入者、譲渡者、設置者、使用事業者など、それぞれの立場に応じた義務が存在する場合があります。

例えば、設計会社が図面を作成し、別の会社が製造し、発注者が自社工場に設置して使用する場合、どの会社がどの法的義務を負うかは、実際の取引形態と法令の規定によって判断されます。契約書に設計会社が安全性を確認すると記載していても、それだけで発注者や製造者の法令上の責任がなくなるわけではありません。

そのため、法令の調査結果は、適用法令名、対象となる設備や行為、該当判断の根拠、必要な対応、実施時期、担当者を対応表として整理すると効果的です。適用しないと判断した法令についても、判断の理由を記録しておくと、後の設計変更時に再確認しやすくなります。

また、法令の確認は最新の公布・施行状況を前提に行う必要があります。法令改正では公布日と施行日が異なる場合があり、経過措置が設けられることもあります。適用される時点が設計着手時なのか、製造時なのか、設置時や使用開始時なのかについても、該当する規定に従って確認します。

判断が難しい場合には、法令を所管する行政機関や専門家へ、具体的な設備仕様を示して確認することが重要です。設計会社の過去の経験だけで適用対象外と判断せず、必要に応じて確認結果を記録に残します。

手順2では、機械の構造や用途に関係する法令を洗い出し、必要な手続きと責任分担を明確にすることが目標です。

手順3:適用する規格と版、要求事項を決める

関連法令を確認したら、次は設計で採用する技術規格を整理します。機械設計では、強度、電気安全、機械安全、寸法公差、試験方法など、さまざまな分野の規格を参照することがあります。

ここで重要なのは、規格の存在を知ることと、その規格が今回の機械に適用されることは別だという点です。規格の対象範囲や適用条件を確認せずに使用すると、本来必要な要求事項を見落としたり、対象外の規定を設計条件に含めたりする可能性があります。

国内で使用する機械では、日本産業規格を参照する場面があります。機械安全に関する規格の例として、JIS B 9700があります。この規格は、機械類の安全性について、設計の基本概念、リスクアセスメント、リスク低減などを扱うものです。

また、機械の電気装置に関する規格として、JIS B 9960-1などがあります。電気装置の安全性を検討するうえで参考になる規格ですが、規格を採用すればあらゆる電気的危険への対応が自動的に完了するわけではありません。機械の具体的な構成と、適用範囲に応じて必要な要求事項を確認します。

機械安全には、基本的な考え方を定める規格のほか、安全距離、ガード、インターロック、非常停止、制御システムなど、個別の安全対策に関する規格があります。基本規格だけを採用すれば十分とは限らず、機械の危険源や必要な保護方策に応じて、関連する規格を組み合わせる必要があります。

例えば、作業者が手作業で製品を投入する装置では、危険な可動部分へ身体が到達しないようにするため、開口部の寸法や安全距離を検討します。この場合、防護カバーの強度だけでなく、開口部の大きさ、危険源までの距離、アクセス方向などが重要になります。

また、ガードを開くと装置が停止する設計では、単に開閉を検知できるだけでは十分とは限りません。危険な動作が停止するまでの時間、ガードの開放方法、故障時の状態、再起動条件なども検討対象になります。

これらの要求事項を確認する際には、規格番号だけでなく規格名称と版を特定することが重要です。規格は改正や廃止、置き換えが行われる場合があるため、過去の設計資料に記載された規格番号をそのまま使用すると、現在の要求事項との違いが発生する可能性があります。

設計会社へ依頼する際には、採用する規格の発行年や改正版、関連する追補の有無を確認し、最新版を採用するのか、契約で定めた特定の版を採用するのかを明確にします。ただし、法令が特定の規格や版を引用している場合は、契約上の指定だけで法令上の要求を変更できるわけではありません。

次に、規格の要求事項を具体的な設計条件へ変換します。例えば、安全性を確保するという抽象的な表現では、設計者がどのような構造を採用すればよいか判断しにくくなります。

これに対して、危険な可動部分に作業者が接触しない構造とすること、ガード開放時の危険な動作を適切に停止させること、保守作業時にエネルギーを安全に遮断できることなど、設計で実現すべき条件を明確にすると、具体的な検討を進めやすくなります。

ただし、この段階で安全対策の具体的な構造をすべて固定する必要はありません。設計会社が複数の保護方策を比較できる余地を残しつつ、守るべき安全目標と判断条件を共有することが重要です。

適用規格の整理では、規格番号、版、適用対象、関連する要求事項、採用理由、設計上の対応方法を記録しておくと便利です。適用しないと判断した要求事項についても、その理由を残すことで、審査時の説明が容易になります。

また、規格への適合は、必ずしも第三者による認証を意味しません。自己確認でよい場合もあれば、法令や契約によって特定の検査、認証、適合評価などが求められる場合もあります。どのような方法で適合を確認するのかは、法令の要求、規格の位置付け、契約条件に基づいて決める必要があります。

規格を選定する作業は、設計会社だけに任せきりにしないことが大切です。発注者は、使用目的や要求性能、受入条件を提示し、設計会社は、それらを実現するための技術規格や具体的な設計方法を提案するという役割分担が考えられます。

手順3の完了時点では、どの規格のどの版を採用し、どの要求事項を設計へ反映するのかについて、発注者と設計会社が共通認識を持っている状態が理想です。

手順4:リスクアセスメントと安全設計の分担を決める

適用する規格や法令が整理できたら、実際の機械にどのような危険があり、どのような安全対策を設けるべきかを検討します。この段階で中心となるのがリスクアセスメントです。

リスクアセスメントとは、機械に存在する危険源を特定し、危害の発生可能性や危害の程度などを考慮してリスクを見積もり、必要な低減措置を検討するプロセスです。機械の設計段階で実施することで、事故につながる危険を事前に発見し、構造や制御方式へ安全対策を組み込むことができます。

機械の危険源には、可動部分による挟まれや巻き込まれ、落下物による衝突、鋭利な部分による切創などがあります。これに加え、感電、火傷、騒音、振動、圧力の解放、蓄積エネルギーによる予期しない動作なども検討対象です。

例えば、空気圧シリンダーを使用する装置では、電源を切っただけでは機械内部の圧力が解放されない場合があります。保守作業中に残圧によって機構が動けば、作業者が負傷する危険があります。そのため、残留圧力を適切に排出する方法や、可動部分を安全な位置で保持する方法などを設計段階で検討します。

モーターで重量物を昇降させる装置でも同様です。通常運転時の位置決め精度や搬送速度だけでなく、停電時や駆動系の故障時に荷が落下する可能性を評価しなければなりません。必要に応じて、保持機構や機械的な落下防止対策を設けることが考えられます。

リスクアセスメントでは、通常運転だけでなく、合理的に予見できる誤使用や異常状態も検討することが重要です。作業者が製品を取り出すために手を伸ばす場合、詰まった材料を除去しようとする場合、安全カバーを開いた状態で調整する場合など、現場で起こり得る行動を想定します。

ただし、考えられる危険を列挙するだけでは十分ではありません。危険が発生する条件を明確にし、危害のひどさや発生可能性を評価したうえで、必要な保護方策を決めます。評価方法は採用する規格や社内基準に応じて定めますが、点数による評価だけで安全性が証明されるわけではありません。評価結果と実際の設計対策が対応していることが重要です。

安全対策には、優先順位があります。まず検討するのは、本質的安全設計によって危険そのものを取り除く、または小さくする方法です。危険な動作を必要としない構造に変更する、作業者が危険領域へ接近せずに作業できるようにする、可動部の配置を変更するなどが該当します。

本質的安全設計だけでは十分にリスクを低減できない場合には、防護カバーやインターロックなどの安全防護、その他の付加保護方策を検討します。そのうえで残るリスクについて、警告表示や取扱説明書、必要な教育情報などを提供します。

ここで注意したいのは、警告表示や取扱説明書だけで、設計によって低減できる重大な危険を放置してよいわけではないという点です。安全対策は、構造上の改善を優先し、必要に応じて防護方策を組み合わせることが基本です。

また、非常停止装置は重要な安全対策ですが、すべての危険に対応できる万能な装置ではありません。非常停止を操作してから危険な動作が止まるまでの時間や、慣性による動作、残留エネルギーなどを考慮する必要があります。非常停止があることを理由に、必要なガードやその他の保護方策を省略することは適切ではありません。

外部へ機械設計を依頼する場合は、このリスクアセスメントを誰が実施するのかを決める必要があります。設計会社が設計段階の危険源を分析し、発注者が実際の使用環境や作業方法を提示する形が考えられます。

ただし、設計会社だけでは、現場での清掃方法、保守手順、作業者の動線、既存設備との干渉などを十分に把握できない場合があります。そのため、発注者側の設備担当者、安全衛生担当者、保守担当者などが検討に参加することが望まれます。

リスクアセスメントの成果物としては、危険源、危険が発生する場面、評価結果、採用した保護方策、対策後の残留リスクなどを記録します。さらに、対策を実施した結果をどのように確認するかまで明確にしておくと、後の設計審査や受入検査につなげやすくなります。

重要なのは、リスクアセスメントを一度作成して終わりにしないことです。設計変更によって新たな危険が発生する可能性があるため、機構や制御方式、使用条件などが変わった場合には、影響を受けるリスク評価を見直します。

手順4では、危険源と保護方策を具体化するとともに、設計会社と発注者がどの段階で何を確認するのかを明確にすることが必要です。

手順5:図面・仕様書・検証計画へ要求事項を落とし込む

適用規格や法令、安全対策を整理しただけでは、設計業務が適切に進むとは限りません。それらの内容を実際の図面や仕様書、検証計画へ反映して初めて、製造や検査で確認できる要求事項になります。

機械設計を依頼する際に起こりやすい問題の一つが、要求仕様書には安全に関する記載があるものの、具体的な設計資料とのつながりが不明確な状態です。例えば、作業者の安全を確保するという要求が記載されていても、どの部分にどのような防護対策を設けるのかが決まっていなければ、設計の妥当性を確認できません。

そのため、規格や法令から導かれる要求事項を、機械の各部分に対応させる必要があります。機構に関する要求は組立図や部品図に、電気に関する要求は回路図や配線仕様に、制御に関する要求は制御仕様書や動作説明書に反映します。

例えば、防護カバーが必要な装置では、カバーの配置、材質、固定方法、開口部の寸法、危険源との距離などを設計図面に反映します。カバーを開いたときに装置が停止する必要がある場合は、検出装置の構成や停止動作を制御仕様書へ反映し、必要な安全性能を満たすかどうかを検証できるようにします。

機械の電気装置では、保護接地、過電流保護、電源遮断、配線の保護、制御回路の構成などが検討対象となります。特に、電気装置の停止方法や異常時の挙動は、機械構造と密接に関係するため、機械設計者と電気・制御設計者の間で整合を取ることが重要です。

例えば、モーターを停止させる制御を設けても、機械構造によっては慣性で動作が続く場合があります。制御回路上では停止信号が出ていても、作業者が危険領域に到達する前に危険な動作が停止するとは限りません。このような場合には、実際の停止時間とアクセス条件を踏まえて保護方策を設計します。

また、保守作業に関する要求事項も具体化する必要があります。点検箇所に安全に接近できること、エネルギーを遮断できること、交換部品を無理な姿勢で取り扱わずに済むことなどは、設計段階で検討する価値があります。

保守性を後回しにすると、作業者がガードを取り外したまま作業したり、狭い空間へ無理に入り込んだりする状況が生じる可能性があります。こうした行動を作業者の注意だけで防ごうとせず、安全に保守できる構造を目指すことが重要です。

次に、要求事項ごとに検証方法を設定します。機械設計では、図面上の寸法確認で検証できる項目もあれば、実機の動作試験が必要な項目もあります。強度に関する要求であれば、計算や解析、必要に応じた試験によって検討します。安全装置の動作であれば、設定条件に基づく機能試験などを行います。

例えば、防護カバーの開放時に危険な動作を停止させる要求については、図面上に検出装置が記載されているだけでは十分な検証になりません。実際にガードを開放した際の停止挙動や、再起動条件などを確認する必要があります。

また、部品の強度を確認する場合には、想定荷重、荷重方向、繰り返し回数、材料特性、接合部の条件などを適切に設定することが重要です。解析結果が良好であっても、解析の前提条件が実際の使用状態と異なれば、十分な検証とはいえません。

検証計画では、何を、どの条件で、どのような方法によって確認し、どの結果を合格と判断するのかを定めます。特に、停止時間、耐荷重、動作精度、温度上昇などの数値評価が必要な項目については、評価条件と判定基準を明確にしておきます。

一方、規格や法令から直接決まらない性能条件については、発注者と設計会社が協議して設定する必要があります。装置の用途に合った条件を定めなければ、検査で合格しても実際の生産現場では十分に使えない可能性があります。

この段階で有効なのが、要求事項と設計資料、検証記録の対応関係を管理する方法です。例えば、特定の安全要求が制御仕様書のどこに反映され、どの試験で確認されるのかを追跡できる状態にします。

このような対応関係を残しておけば、設計変更時に影響を受ける要求事項を確認しやすくなります。また、検査で問題が発生した場合も、設計要求、図面、試験条件のどこに原因があるかを調べやすくなります。

図面や仕様書には、改訂番号や変更履歴を設定することも重要です。設計会社から複数回にわたって図面が提出される場合、どの版が正式な製作用図面なのか不明確になると、古い仕様に基づいて部品が製作されるおそれがあります。

特に、安全装置の追加や制御方式の変更を行った場合には、機械図面、電気図面、部品表、制御仕様書、検証計画を整合させる必要があります。一部の図面だけが更新された状態を放置しないことが大切です。

設計を外部委託するときは、最終的に提出される成果物を契約や発注仕様書で明確にします。組立図や部品図だけでなく、必要な電気図面、制御仕様、リスクアセスメント記録、検証結果、取扱説明書などについて、作成範囲と提出形式を決めておくと、後から認識の違いが生じにくくなります。

手順5では、規格・法令への対応を抽象的な説明で終わらせず、設計資料と検証方法によって確認できる状態にすることが目標です。

手順6:設計審査と受入検査で適合の根拠を確認する

設計が完成に近づいたら、適用規格や法令に対応できているかを設計審査で確認します。また、実機が完成した後は、図面や仕様書の要求を満たしているかを受入検査で確認します。

ここで重要なのは、設計審査と受入検査の目的を区別することです。設計審査では、設計内容が要求事項に適合しているかを検討します。一方、受入検査では、製作された機械が承認済みの設計や仕様に基づいて正しく製造され、必要な性能と安全機能を備えているかを確認します。

設計審査では、まず要求仕様書と設計資料の整合性を確認します。機械の用途、能力、使用条件、寸法、設置環境などが設計へ反映されているかを確認したうえで、規格・法令に関する要求事項が満たされているかを確認します。

例えば、安全ガードが必要な装置であれば、ガードの配置や寸法、固定方法、開閉機構、危険源への接近防止などを確認します。電気的な安全対策については、必要な回路構成、遮断方法、異常時の動作などが設計資料に反映されているかを確認します。

さらに、リスクアセスメントで特定した危険源について、必要な保護方策が設計へ反映されているかを確認します。対策が未実施の項目や、対策後も残るリスクがある場合は、追加対策の必要性と使用上の情報を検討します。

設計審査は、機械設計者だけで実施するよりも、必要に応じて電気・制御担当者、製造担当者、保守担当者、現場の安全管理担当者などが参加する方が、異なる視点から問題を発見しやすくなります。

特に、複数の設計会社や製作会社が関与する場合には、機械と電気、制御の境界部分に注意が必要です。機械設計側では安全装置が必要だと考えていても、制御設計側へ要求が伝わっていなければ、完成した装置に必要な機能が実装されない可能性があります。

設計審査の結果は、指摘事項、対応方針、担当者、完了条件などを記録し、未解決の問題が残っていないかを管理します。重要な問題については、口頭で対応済みと判断するのではなく、修正された図面や仕様書、検証結果によって確認することが望まれます。

設計審査を完了した後、機械の製作が進んだ段階では、工場での完成検査や試運転を実施します。確認内容は機械の種類によって異なりますが、寸法や動作性能だけでなく、安全装置の動作や異常時の挙動を含めることが重要です。

例えば、非常停止装置については、操作した際に意図した危険な動作が停止することを確認します。また、非常停止状態を解除しただけで、予期しない危険な再起動が発生しないかについても、設計仕様に基づいて確認します。

インターロック付きのガードについては、ガードを開放した場合に必要な停止動作が行われることや、危険な状態で再起動できないことなどを確認します。必要に応じて、停止時間や安全距離との整合性も評価します。

検査では、正常に動作する場合だけでなく、合理的に想定できる異常状態も確認する必要があります。ただし、故障状態の再現や安全装置の機能試験には危険を伴う場合があります。試験方法を事前に検討し、作業者の安全を確保したうえで実施することが前提です。

また、工場での検査に合格しても、設置後の確認が不要になるとは限りません。現場への据付後には、周辺設備との干渉、作業動線、床への固定状態、電源や配管の接続、既存設備との連動など、設置条件を踏まえた確認が必要になる場合があります。

特に、複数の機械を連結して自動化ラインを構成する場合には、単体機械では想定していなかった危険が生じることがあります。例えば、前工程の装置が停止しても後工程の搬送機構が動作を続ける場合や、装置間の隙間に作業者が入り込める場合などです。こうした危険は、ライン全体の動作と作業環境を考慮して評価する必要があります。

受入検査では、検査結果だけでなく、検査条件も記録することが重要です。同じ装置でも、運転速度、積載荷重、使用材料、電源条件などが異なれば、結果が変わる可能性があります。どの条件で合格したのかを明確にしておけば、後の改造や再検査の際にも判断しやすくなります。

また、法令によって検査、届出、許可などが必要な場合には、社内の受入検査と法定の手続きを混同してはいけません。設計会社や製作会社の自主検査に合格したことが、法令で定められた検査や手続きの完了を意味するとは限らないためです。

引き渡し時には、完成図面、電気図面、制御仕様書、必要な計算書、リスクアセスメント記録、検査成績書、取扱説明書、保守に関する情報などを確認します。どの資料が必要かは機械の用途や契約条件によって異なるため、設計依頼の段階で提出範囲を定めておくことが重要です。

なお、検査に合格した時点の状態を記録するだけでなく、その後の変更管理も必要です。運用開始後に制御プログラムを変更したり、部品を異なる仕様へ交換したりした場合には、安全性への影響を確認し、必要に応じて関連する検証をやり直します。

手順6の完了時点では、適用規格・法令への対応状況を説明でき、設計資料、検査結果、必要な手続きの記録がそろっている状態を目指します。

機械設計の依頼で起こりやすい規格・法令確認の失敗

機械設計の依頼では、技術的な検討を十分に行っていても、規格・法令への対応方法が曖昧なために問題が発生することがあります。こうした失敗を防ぐには、設計の初期段階で確認すべき事項を明確にし、設計途中でも継続して管理することが重要です。

代表的な失敗の一つが、過去に製作した機械の設計条件をそのまま流用することです。過去の設備が問題なく使用できていても、今回の機械に同じ規格や法令が適用されるとは限りません。機械の用途、構造、能力、設置環境などが異なれば、必要な安全対策が変わる可能性があります。

既存機械の図面や仕様書は、設計を効率化するうえで有用な資料です。しかし、過去の設計が現在の適用要件を満たしていることまで保証するものではありません。流用する場合でも、最新の使用条件と適用要求事項に基づいて確認する必要があります。

次に注意したいのが、適用規格の確認を設計会社へ全面的に任せ、発注者側で判断結果を把握していない状態です。設計会社には専門知識が期待されますが、現場特有の使用条件や運用方法をすべて把握しているとは限りません。使用目的や設置条件が正確に伝わっていなければ、適切な規格を選定できない可能性があります。

この問題を防ぐには、設計会社から適用規格や法令の確認結果を提出してもらい、発注者側で使用条件との整合性を確認することが効果的です。判断が難しい部分については、必要に応じて専門家や関係機関への確認を行います。

また、安全設計を装置完成後の検討事項として扱うことも避けるべきです。完成後に防護カバーや安全装置を追加する場合、装置全体の寸法、操作性、保守性などへ影響することがあります。安全対策の後付けによって、かえって作業しにくい構造になる可能性もあります。

安全性と作業性を両立するには、機械の基本構成を決める段階から危険源を検討することが重要です。必要な保護方策を早期に整理できれば、作業者の動線や保守スペースも含めた設計を進めやすくなります。

さらに、規格への適合を宣言するだけで、検証方法が決まっていないことも問題です。仕様書に規格準拠と記載されていても、どの要求事項をどのように確認したのかが不明確では、受入時に妥当性を判断しにくくなります。

このような状況を避けるためには、適用する規格の範囲、要求事項、設計上の対応、確認方法を関連付けて管理することが重要です。必要な試験や検査については、設計段階で条件と判定基準を決めておくとよいでしょう。

設計変更の管理不足にも注意が必要です。機械設計では、製造性の改善や部品調達、現場からの要望などによって、設計途中で構造や制御を変更することがあります。変更内容によっては、それまでのリスクアセスメントや規格適合の判断が成立しなくなる可能性があります。

例えば、可動部の速度を上げた場合には、必要な停止距離や安全距離が変わることがあります。また、ガードの形状を変更した場合には、作業者が危険源へ接近できる経路が新たに生じる可能性があります。

このため、設計変更の際には性能や寸法だけでなく、安全性と規格・法令への対応状況も確認する必要があります。変更によって影響を受ける要求事項を特定し、必要な検証を追加する仕組みを設けることが大切です。

もう一つの失敗が、設計成果物の範囲を明確にしないまま依頼することです。発注者は安全性に関する検証資料も提出されると考えていた一方、設計会社は図面作成のみが業務範囲だと認識している場合、引き渡し時に必要な資料が不足する可能性があります。

こうした問題を防ぐには、設計業務の範囲と成果物を事前に明確にします。法令調査、適用規格の選定、リスクアセスメント、計算や解析、図面作成、試験計画、現地確認などについて、どこまでを設計会社へ依頼するかを整理することが重要です。

特に、設計のみを委託する場合と、製作や据付まで一括して委託する場合では、必要な調整や責任分担が異なります。実際の契約形態に応じて、誰が各工程を担当し、どの資料によって完了を判断するのかを決めておきます。

規格・法令の確認は、一度実施すれば終わる作業ではありません。要求仕様の変更、設計変更、使用環境の変更などが発生した場合には、適用判断そのものを見直す必要があります。

そのため、法令や規格の確認結果を単独の資料として保管するだけでなく、要求仕様、図面、設計変更記録、検査結果と関連付けて管理することが効果的です。

まとめ:機械設計の依頼は適用判断と証拠の共有まで行う

機械設計を外部へ依頼する際には、機械の性能や製造性だけでなく、適用される規格・法令への対応を初期段階から計画することが重要です。適用条件を十分に確認しないまま設計を進めると、完成後に構造変更や安全装置の追加が必要になり、製造や据付、運用開始に影響する可能性があります。

適切に進めるためには、まず機械の用途、使用条件、設置環境、納入先を明確にします。その情報をもとに、適用法令と必要な手続きを洗い出し、採用する技術規格と要求事項を整理します。

次に、リスクアセスメントを通じて危険源と保護方策を検討し、その結果を図面や仕様書へ反映します。さらに、要求事項ごとの検証方法を決め、設計審査と受入検査を通じて適合状況を確認します。

この一連の作業では、発注者と設計会社の役割分担が重要です。設計会社の専門知識を活用しながら、発注者側も実際の使用環境や運用条件を正確に伝え、要求事項が満たされているかを確認する必要があります。

特に意識したいのは、規格に対応しているという説明だけで判断を終わらせないことです。何を根拠として適用対象を判断したのか、どの要求事項を設計に反映したのか、どのような検証を実施したのかを追跡できる状態にすることが、後の運用や保守にも役立ちます。

また、機械の安全性を継続して維持するには、完成後の設備管理や変更管理も欠かせません。設計段階で想定した使用条件と実際の運用条件に違いが生じた場合には、必要な見直しを行うことが重要です。

機械設計を依頼する実務担当者は、今回紹介した6つの手順を活用し、要求仕様の整理から設計審査、受入検査まで一貫して確認できる体制を構築するとよいでしょう。規格・法令の確認結果を設計資料と結び付けて管理することで、設計変更への対応や関係者間の情報共有も進めやすくなります。

さらに、設計した機械を現場へ設置する段階では、据付位置や周辺環境、施工状況などを記録しておくことも大切です。設計図面と現場の状態を照合し、変更が生じた箇所を把握できれば、設備の引き渡しやその後の維持管理にも役立ちます。

こうした現場情報の整理には、現場写真・位置情報・施工記録を管理できるLRTK Phoneの活用も考えられます。機械の設置場所や周辺設備の状態を写真と位置情報に関連付けて記録することで、現場の状況を関係者間で共有しやすくなります。設置前後の状態や施工過程を記録しておけば、設計資料との照合や後日の現場確認にも活用できます。

ただし、工場建屋内など衛星信号を受信しにくい場所では、位置情報の取得可否や測位精度に注意が必要です。必要に応じて現地寸法の計測や図面との照合を併用し、取得した位置情報だけで据付精度を判断しないことが重要です。また、写真や位置情報による記録は、法令上必要な検査や規格への適合性評価そのものを代替するものではありません。正式な設計資料や検査記録と併せて活用する必要があります。

機械設計の依頼では、設計の品質を確保すると同時に、現場で安全に使用できることを確認する必要があります。適用規格・法令の確認から設計、検証、据付、施工記録の管理までを一連の業務として捉えることが、安全性と実用性を両立した機械づくりにつながります。

ものづくりの次の一歩を、
相談から始めてみませんか。

加工・製造の外注先や共同開発のパートナー探しに。大田区産業振興協会の受・発注あっせん相談サービスをご利用いただけます。

ものづくり 外注先を探す。公益財団法人大田区産業振興協会の受・発注あっせん相談。無料でプロに相談!公的機関だから安心!
ものづくりの協力先探し大田区産業振興協会無料相談