LRTKレフィクシア株式会社

初めてのものづくりで作業時間を短縮する6つの工程管理術

初めてのものづくりは何から始める?工程管理が必要な理由

初めてものづくりに取り組む際、「何から始めればよいのかわからない」「製作途中で予定より時間がかかってしまう」「作業の進め方が担当者によって異なる」といった悩みを抱えることがあります。特に、製品開発や試作品製作、部品加工、小ロット生産などでは、作業の順序や準備方法によって必要な時間が大きく変わります。

ものづくりの作業時間を短縮するには、単純に加工速度を上げたり、作業人数を増やしたりするだけでは十分ではありません。設計情報の不足、材料の手配遅れ、工程間の待ち時間、製作ミスによる手戻りなど、実際の加工以外にも多くの時間が発生するためです。

そこで重要になるのが工程管理です。

工程管理とは、製品や部品を完成させるまでの作業を整理し、作業順序、担当者、設備、材料、品質確認、納期などを適切に管理する活動です。工程管理を行うことで、作業全体の流れを把握しやすくなり、無駄な待機や重複作業を減らすことにつながります。

例えば、簡単な金属部品を製作する場合でも、設計、材料調達、加工準備、切削加工、仕上げ、検査、出荷という複数の工程が存在します。材料が届いていなければ加工設備が空いていても作業できません。また、図面に必要な寸法や公差が記載されていなければ、加工担当者が設計者へ確認する時間が発生します。

こうした問題を製作開始前に把握できれば、作業を止める原因を減らせます。

初めてのものづくりでは、すべてを最初から完璧に管理する必要はありません。まずは製作するものを明確にし、必要な工程を整理し、進捗と問題点を記録することから始めるのが現実的です。

特に重要なのは、作業そのものの時間と、製品が完成するまでの総時間を区別することです。加工時間が短くても、材料待ちや承認待ちが長ければ納期短縮にはつながりません。一方、準備や確認を適切に行うことで、加工速度を変えなくても全体の所要時間を短縮できる場合があります。

本記事では、ものづくりを何から始めるべきか迷っている実務担当者に向けて、作業時間の短縮につながる6つの工程管理術を解説します。初めて製作を依頼する場合にも、社内で試作品を作る場合にも活用できる方法を紹介します。

工程管理術1:目的と完成条件を最初に明文化する

初めてのものづくりで最初に取り組みたいのが、製作目的と完成条件の明確化です。

製作を始める段階で「どのようなものを作るのか」が曖昧なままだと、途中で仕様変更が発生しやすくなります。その結果、設計の修正、材料の再手配、加工のやり直しなどが発生し、作業時間が増加します。

例えば、設備に取り付ける金属ブラケットを製作する場合、単に「金属製の固定部品を作る」という指示だけでは十分ではありません。取り付け対象の寸法、必要な強度、使用環境、取付穴の位置、表面処理の必要性などを確認する必要があります。

製作目的を明確にする際は、まず完成品がどのような場面で使われるのかを整理します。試作品として機能を確認するのか、実際の設備に組み込むのか、量産を前提とした評価を行うのかによって、必要な品質や工程が変わるためです。

試作品であれば、初期段階では外観よりも基本機能の確認を優先することがあります。一方、量産前の確認品では、実際の製造工程で再現できる寸法や品質が重要になることがあります。

次に、完成条件を具体的に設定します。

完成条件とは、どのような状態になれば製作作業を終了できるのかを判断する基準です。寸法、形状、材質、数量、外観、機能、検査方法などが該当します。

例えば、ある部品について「指定した取付位置に干渉なく組み付けられること」「図面で指定した重要寸法を満たすこと」「必要な荷重条件で機能を維持すること」といった条件を設定します。ただし、具体的な許容値や試験方法は製品用途に応じて決める必要があります。

完成条件が明確であれば、製作担当者と検査担当者の判断が一致しやすくなります。

また、初めてのものづくりでは、最初からすべての要求を盛り込まないことも重要です。

機能確認が目的の試作品に、量産品と同等の外観や仕上げを求めると、必要以上に工程が増える可能性があります。反対に、安全性や組付け精度に関わる条件を省略すると、後工程で重大な問題が発生するおそれがあります。

そのため、要求事項を検討する際は、製品の機能や安全性に不可欠な条件と、初期段階では調整可能な条件を区別します。

仕様変更が発生した場合にも、変更内容が製作目的と完成条件にどのような影響を与えるか確認することが大切です。

さらに、図面や仕様書を作成する際は、最新版を明確にします。紙の図面と電子データが混在している場合、古い情報を参照して加工してしまうことがあります。

図面番号、改訂番号、発行日、承認者などを管理しておけば、使用すべき情報を判断しやすくなります。

製作開始前に目的と完成条件を整理することは、一見すると準備時間を増やす作業です。しかし、製作途中の確認作業や手戻りを減らすうえで重要な工程になります。

工程管理術2:作業を分解して順序と依存関係を整理する

製作目的が明確になったら、次は完成までに必要な作業を分解します。

ものづくりでは、複数の工程が順番に進むだけでなく、一部の作業を並行して進めることもあります。工程同士の関係を整理せずに作業を開始すると、先に必要な作業が終わっておらず、後工程が停止することがあります。

例えば、金属部品の製作では、設計確定後に材料を手配し、加工条件を決め、切削加工を行い、必要に応じて表面処理や検査を実施します。

このとき、加工設備の選定や工具の準備は、材料手配と並行して進められる場合があります。一方、確定していない寸法を前提に加工を開始すると、設計変更によって製作し直すリスクがあります。

そこで、作業を必要な単位に分解し、それぞれの開始条件と終了条件を整理します。

作業の分解では、設計、調達、製造、検査といった大きな分類だけでなく、実際に進捗を確認できる程度まで細かくすることが重要です。

例えば、設計工程であれば、要求仕様の確認、寸法設計、材質選定、図面作成、図面承認などに分けられます。加工工程であれば、加工方法の検討、工具選定、段取り、加工、寸法測定などが考えられます。

ただし、必要以上に細分化すると管理項目が増え、かえって記録や確認に時間がかかります。担当者が作業の完了を判断できる単位にまとめることが現実的です。

次に、各工程の依存関係を確認します。

依存関係とは、ある作業を始めるために別の作業の完了が必要になる関係です。材料の入荷が加工開始の条件になる場合や、加工完了が表面処理開始の条件になる場合などが該当します。

依存関係を整理することで、作業順序を変更できる部分と変更できない部分が明確になります。

特に納期に影響しやすいのが、全体の完了時期を左右する一連の工程です。工程計画では、こうした工程のつながりを確認し、遅延が全体納期に直結しやすい作業を優先的に管理します。

例えば、特注材料の入荷に長い期間が必要な場合、加工設備の準備が早く終わっても材料待ちによって製作が停止する可能性があります。そのため、材料の仕様が確定した段階で手配可否を確認し、調達に必要な期間を工程計画に反映することが重要です。

一方、材料が届くまでに治具の設計や検査方法の検討を進められれば、待ち時間を有効に活用できます。

工程ごとの予定時間を設定する際は、実際の加工時間だけでなく、段取り、移動、運搬、待機、確認、検査なども考慮します。

初めて行う作業は所要時間を予測しにくいため、経験者の意見や類似製品の製作記録を参考にします。過去の実績がない場合は、仮の予定時間を設定し、実作業の結果を記録して次回の計画に生かします。

また、すべての作業を最短時間で詰め込むと、設備故障や品質不良が発生した際に計画全体が崩れやすくなります。必要に応じて確認作業や手直しに対応できる余裕を持たせることも重要です。

作業の分解と依存関係の整理によって、どこから着手すればよいかが明確になり、無駄な待ち時間を減らしやすくなります。

工程管理術3:材料・設備・外注手配を工程前にそろえる

ものづくりの作業時間を短縮するには、必要なものを必要なタイミングで使える状態にしておくことが重要です。

製作工程が途中で停止する原因には、材料不足、工具不足、設備の使用予定の重複、外注先との調整不足などがあります。これらは加工技術そのものの問題ではなく、事前準備や調達管理によって改善できる場合があります。

まず、必要な材料を明確にします。

金属部品であれば材質、形状、寸法、必要数量、材料の状態などを確認します。樹脂部品であれば材料の種類やグレード、必要な特性、加工方法との適合性を確認します。

材料名だけを指定しても、寸法や状態が異なれば予定していた加工ができない場合があります。

また、必要数量を決める際は、完成品の数量だけでなく、試し加工、検査用サンプル、工程中の損失なども考慮します。

ただし、余分な材料を無条件に多く準備すればよいわけではありません。保管場所や在庫管理の負担が増えるため、工程の安定性と必要量のバランスを取ることが重要です。

次に、使用する設備と工具を確認します。

例えば、切削加工では、設備の加工範囲、主軸性能、工具の種類、固定方法、測定器などが加工内容に適している必要があります。

加工開始後に必要な工具がないことが判明すると、工具の手配や加工条件の変更に時間がかかります。

そのため、加工開始前に設備の使用可否を確認し、工具、治具、測定器を準備しておきます。

作業内容によっては、加工治具を製作する時間も必要です。複数個の部品を加工する場合には、専用治具を使用することで段取り時間を短縮できる可能性があります。ただし、少量の試作品では治具製作の時間が全体の所要時間を増やす場合もあるため、製作数量や形状に応じて判断します。

外注加工を利用する場合は、社内工程と外注工程の接続を早い段階で確認します。

例えば、切削加工を社内で行い、表面処理を外注する場合、外注先が受け入れ可能な材質、寸法、数量、仕上げ状態、納期などを確認します。

加工が終わってから外注先を探し始めると、見積もりや仕様確認、輸送手配によって完成までの時間が延びることがあります。

さらに、外注先へ渡す図面や仕様書の内容も重要です。必要な情報が不足していると、問い合わせが繰り返され、作業開始が遅れます。

社内と外注先で使用する図面の改訂番号を統一し、検査基準や納品条件を共有しておくことが大切です。

工程前の準備を効率化するには、製作開始条件をあらかじめ設定しておく方法が有効です。

例えば、設計承認が完了していること、必要材料が確保されていること、使用設備が決まっていること、工具や治具が準備されていること、検査方法が決まっていることなどを確認します。

これらの条件を満たしてから加工を開始すれば、途中で作業が止まるリスクを抑えられます。

初めてのものづくりでは、実際の加工作業に意識が向きやすくなります。しかし、準備不足による停止時間を減らすことも、全体の作業時間を短縮するための重要な管理術です。

工程管理術4:作業手順と引き継ぎルールを標準化する

同じ製品を製作していても、担当者によって作業時間や品質が異なることがあります。

こうしたばらつきを抑える方法の一つが、作業手順の標準化です。

標準化とは、作業の進め方や確認方法を共通のルールとして整理し、担当者が変わっても一定の方法で作業できるようにすることです。

初めてのものづくりでは、作業経験が少ないため、担当者ごとに判断が分かれやすくなります。特に、段取り方法、工具の選び方、加工順序、測定位置などが曖昧な場合、作業のやり直しや確認待ちが発生します。

例えば、部品の穴加工を行う際、加工前に材料の固定状態を確認し、基準位置を合わせ、加工条件を設定し、加工後に寸法を測定するという流れを定めます。

単純な作業でも、確認する順序が統一されていれば、作業漏れを減らしやすくなります。

作業手順を標準化する際は、文章だけでなく、必要に応じて工程写真や図面を活用することも有効です。

例えば、材料の固定方向や治具への設置位置は、文章だけでは伝わりにくい場合があります。実際の設置状態を写真で記録しておけば、次回の段取りや別の担当者への説明に利用できます。

ただし、写真だけで安全上の注意点や加工条件を十分に伝えられるとは限りません。必要な寸法や条件は、文書や図面と組み合わせて管理することが重要です。

標準化する内容には、作業手順だけでなく、引き継ぎ方法も含まれます。

ものづくりでは、設計担当者から製造担当者、製造担当者から検査担当者など、工程間で情報を受け渡す場面が発生します。

このとき、必要な情報が口頭でしか伝えられていないと、担当者の不在時に確認できなくなることがあります。

例えば、加工担当者が図面に記載されていない注意点を把握していても、その情報が検査担当者へ共有されなければ、検査時に問題が発生する可能性があります。

工程間の引き継ぎでは、作業完了状態、未解決事項、次工程で注意する点、使用図面の版、検査結果などを共有します。

引き継ぐ情報を明確にしておけば、次工程の担当者が改めて確認する時間を減らせます。

また、標準化した手順は一度作成して終わりではありません。

実際の作業で無駄な動作が見つかった場合や、新しい設備を導入した場合には、手順を見直す必要があります。

例えば、加工後の測定器までの移動距離が長い場合、作業場所の配置を変更するだけで移動時間を減らせることがあります。工具の保管位置を統一することも、探索時間の削減につながります。

標準化では、品質や安全性を維持するために必要な確認を省略しないことが大切です。単純に工程数を減らすのではなく、重複した確認や不要な移動を見直すことが基本になります。

初めての作業では、最初から詳細な作業標準書を完成させることが難しい場合もあります。その場合は、実際に作業した内容を記録し、問題が発生した箇所を修正しながら標準化を進めます。

こうした取り組みを継続することで、担当者間の作業時間のばらつきを抑え、工程の安定化につなげられます。

工程管理術5:進捗と設計変更を一元管理する

ものづくりの工程が増えると、現在どの作業が進んでいて、どの作業が止まっているのか把握しにくくなります。

特に、設計、調達、加工、検査を複数の担当者が分担している場合、情報の共有不足によって作業が重複したり、必要な判断が遅れたりすることがあります。

そこで重要になるのが、進捗情報の一元管理です。

一元管理とは、工程の予定、実績、担当者、問題点、変更内容などを共通の管理場所に集約することです。

管理方法は必ずしも複雑な仕組みである必要はありません。小規模な製作であれば、共有できる工程管理表を用意し、作業名、担当者、予定日、完了日、進捗状況などを記録するだけでも効果が期待できます。

重要なのは、誰が確認しても現在の状況を同じように理解できることです。

例えば、加工工程が予定より遅れている場合でも、原因が材料の入荷遅れなのか、設備の故障なのか、図面の確認待ちなのかによって対応方法が変わります。

単に「遅延中」と記録するだけでは、適切な対策を判断できません。

進捗管理では、遅延の有無に加えて、その原因、対応担当者、対応予定、後工程への影響を記録します。

また、工程の状態を表すルールも統一すると管理しやすくなります。

例えば、作業開始前、作業中、確認待ち、完了などの状態を決めておけば、担当者間で進捗状況を共有しやすくなります。

ただし、作業の進捗率を数値で表す際には注意が必要です。担当者の主観だけで進捗率を設定すると、実際の残作業量と一致しない場合があります。

そのため、図面承認完了、材料入荷完了、初品加工完了、検査合格など、客観的に確認できる節目を設定する方法が有効です。

進捗管理と同時に重要なのが、設計変更の管理です。

初めてのものづくりでは、試作品を製作して初めて問題が見つかることがあります。部品同士が干渉する、組み立てにくい、必要な強度を満たさないといった問題が発生すれば、設計変更が必要になる場合があります。

設計変更自体は製品開発において珍しいことではありません。問題になるのは、変更内容が工程全体へ正しく共有されないことです。

例えば、設計担当者が穴位置を変更したにもかかわらず、加工担当者が旧版の図面を使用すると、不適合品が製作される可能性があります。

また、変更前の材料や加工済み部品をそのまま使用できるのか判断しないまま作業を続けると、後工程で追加の手戻りが発生します。

こうした問題を防ぐためには、変更内容、変更理由、対象部品、影響する工程、承認状況、適用開始時点を記録します。

変更が発生した場合は、設計だけでなく、材料調達、加工条件、検査方法、納期への影響も確認します。

さらに、変更後の図面を共有すると同時に、旧版を誤って使用しないように管理することも重要です。

工程管理では、予定通り進めることだけが目的ではありません。問題が発生した際に状況を正しく把握し、必要な変更を関係者へ伝えられることが重要です。

情報を一元管理することで、確認待ちや伝達漏れによる時間の損失を減らしやすくなります。

工程管理術6:工程内検査と振り返りで手戻りを減らす

作業時間の短縮を考える際、見落としやすいのが品質管理です。

検査には時間がかかるため、初めてのものづくりでは、検査工程を後回しにしたくなる場合があります。しかし、製作の最後に不具合が見つかると、加工や組立を最初からやり直す必要が生じることがあります。

そのため、品質確認を完成時だけに集中させず、適切な工程の途中にも配置することが重要です。

例えば、複数の加工を必要とする部品では、初期工程で基準となる面や穴を加工することがあります。

この基準位置が誤っていると、後続の加工を正しく実施しても、最終的な寸法が図面の要求を満たさない可能性があります。

そこで、重要な基準面や穴を加工した段階で必要な寸法を確認すれば、後工程へ不具合を持ち込むリスクを減らせます。

ただし、すべての工程で同じ量の検査を実施する必要があるとは限りません。

検査頻度や測定項目は、製品の重要度、不良が発生した場合の影響、工程の安定性、顧客要求などに応じて設定します。

特に、安全性や機能に関係する寸法については、適切な測定方法と判定基準を事前に決めることが重要です。

試作品の段階では、加工条件や設計条件が確定していない場合があります。そのため、初品の測定結果を確認し、必要に応じて加工条件を調整してから次の製作へ進む方法が有効です。

例えば、加工した穴の寸法が許容範囲から外れた場合、工具径、加工条件、材料の固定状態、測定方法などを確認します。

原因を特定せずに同じ条件で加工を続けると、不適合品が増える可能性があります。

また、検査結果は単に合格か不合格かを記録するだけではなく、必要に応じて測定値や不具合の状態も残します。

測定値の変化を確認できれば、工具の摩耗や設備状態の変化など、工程に影響する要因を検討する材料になります。

ただし、少数の測定結果だけで原因を断定することは避け、必要な追加確認を行います。

品質管理とあわせて取り組みたいのが、作業後の振り返りです。

製作が完了したら、当初の工程計画と実際の作業を比較します。

例えば、想定より時間がかかった工程、材料待ちが発生した工程、図面確認が必要になった工程、加工や検査をやり直した工程などを確認します。

ここで重要なのは、担当者個人の作業速度だけを問題にしないことです。

時間がかかった背景には、作業手順の不備、設備の配置、情報共有の不足、設計条件の曖昧さなど、仕組みに関する問題がある場合があります。

改善策を検討する際は、問題の原因と対策を対応させます。

例えば、工具を探す時間が長かった場合は工具の保管位置を統一します。図面確認で作業が止まった場合は、加工前の図面確認項目を見直します。検査で同じ不良が繰り返された場合は、加工条件や測定方法を再確認します。

こうした改善内容を次回の作業手順へ反映することで、同じ問題の再発を抑えられます。

初めてのものづくりでは、予定と実績が一致しないこともあります。その差を失敗として終わらせるのではなく、次回の工程計画に活用することが大切です。

工程内検査と振り返りを組み合わせることで、品質を確保しながら無駄な作業時間を減らす仕組みを構築できます。

6つの工程管理術を実践する具体的な進め方

ここまで紹介した6つの工程管理術を、初めての製作案件へどのように取り入れるべきか、具体例を使って考えます。

例として、工場内の設備に取り付ける小型の位置決め治具を製作する場合を想定します。

位置決め治具とは、部品や作業対象を決められた位置に保持するための補助具です。形状が比較的単純な場合でも、取付寸法、材質、加工精度、組付け方法などを確認する必要があります。

最初に行うのは、治具の使用目的を整理することです。

どの設備に取り付けるのか、何を位置決めするのか、繰り返し使用するのか、位置決め精度はどの程度必要なのかを確認します。

この段階で完成条件を決めておけば、不要な加工や仕上げを追加することを避けやすくなります。

次に、製作工程を分解します。

具体的には、現物寸法の確認、簡易設計、図面作成、材料調達、加工準備、切削加工、寸法検査、組付け確認といった流れが考えられます。

このとき、図面作成と並行して使用可能な設備や工具を確認できる場合があります。ただし、設計が確定する前に材料を発注する場合は、仕様変更によって材料が使えなくなるリスクを考慮する必要があります。

続いて、必要な材料と工具を準備します。

治具の材質や寸法に適した材料を確認し、加工設備の使用予定を調整します。必要な工具が不足していれば、加工開始前に対応します。

この段階で段取り方法も決めておくことで、加工当日に固定方法を検討する時間を減らせます。

加工を開始する際は、作業手順を簡単に記録します。

例えば、材料の固定方向、加工する面の順序、重要な寸法の測定タイミングなどを整理します。

初回の作業で問題なく加工できた方法を記録しておけば、同じ治具を追加製作する際の参考になります。

さらに、工程の進捗を記録します。

予定していた日に加工を開始できたか、材料調達で遅れが発生しなかったか、設計変更が必要になったかなどを確認します。

加工後は寸法検査を実施し、実際の設備への組付け状態を確認します。

ここで問題が発生した場合は、治具の寸法だけでなく、取付対象の実寸や測定基準も確認します。図面上で問題がなくても、取付対象の製作誤差や組付け状態によって干渉が発生する場合があるためです。

最後に、製作全体を振り返ります。

例えば、初回製作では材料の固定方法を検討する時間が長かったものの、加工自体は予定通り終了したとします。

この場合、次回の短縮対象は加工時間ではなく、段取り方法の標準化になる可能性があります。

また、組付け確認で穴位置の修正が必要になった場合は、設計前の現物寸法確認を改善すべきか検討します。

このように、作業の流れと問題点を記録すれば、工程管理を具体的な改善活動につなげられます。

初めてのものづくりでは、工程管理の仕組みを一度に複雑化しないことが重要です。

まずは一つの製作案件で管理方法を試し、必要な記録項目や確認タイミングを調整します。その後、類似する製作案件へ適用範囲を広げることで、無理なく管理体制を整えられます。

初めてのものづくりで工程管理に失敗しやすい原因

工程管理を導入しても、運用方法が適切でなければ作業時間の短縮につながらない場合があります。

特に初めてのものづくりでは、管理そのものが目的になってしまうことに注意が必要です。

例えば、細かな作業をすべて記録しようとすると、記録に多くの時間がかかります。必要以上に複雑な管理表を作成すると、担当者が更新を負担に感じ、情報が古いまま放置されることもあります。

工程管理では、作業の遅れや問題を発見し、必要な対応を判断できることが重要です。そのため、最初は管理対象を絞り、実際に判断へ利用する情報を中心に記録することが効果的です。

また、予定時間を短く設定しすぎることも失敗の原因になります。

加工設備の稼働時間だけを基準に工程計画を作成すると、段取り、工具交換、材料運搬、検査などの時間が不足することがあります。

さらに、初めて行う加工では、加工条件の調整や試し加工が必要になる場合があります。

過去の作業実績がない状態で極端に短い予定を設定すると、少しの問題で工程全体が遅延してしまいます。

予定時間は実際の作業内容を踏まえて設定し、実績を蓄積しながら精度を高めることが重要です。

もう一つ注意したいのが、作業を並行化しすぎることです。

複数の工程を同時に進めれば、全体の所要時間を短縮できる場合があります。しかし、設計が確定していない状態で加工を進めるなど、依存関係を無視した並行化は手戻りを増やす原因になります。

並行してよい作業と、前工程の完了を待つべき作業を区別する必要があります。

担当者間の連絡方法が統一されていない場合も、工程管理が機能しにくくなります。

例えば、設計変更を一部の担当者にだけ伝えたり、加工中に発生した問題を個人の記録に残したりすると、関係者が最新の状況を把握できません。

変更や問題が発生した場合は、誰が情報を更新し、誰が確認し、誰が次の対応を決定するのかを明確にします。

また、工程管理では予定と実績の差だけに注目しないことも重要です。

予定より作業時間が短かった場合でも、必要な検査を省略した結果であれば、改善とはいえません。反対に、作業時間が長くなった場合でも、重大な品質問題を早期に発見できたのであれば、後工程の損失を防いだ可能性があります。

時間短縮の効果は、品質、安全性、納期の安定性などとあわせて評価する必要があります。

特に初めてのものづくりでは、短期的な作業時間だけでなく、次回も同じ品質で製作できる仕組みを作ることが大切です。

作業時間の短縮効果を確認するための管理指標

工程管理の改善効果を確認するには、作業時間を記録し、改善前後の変化を比較する必要があります。

ただし、単純に製作開始から完成までの日数を比較するだけでは、どの工程が改善されたのか判断しにくい場合があります。

そこで、工程をいくつかの時間に分けて記録する方法が有効です。

まず確認したいのが、実作業時間です。

実作業時間とは、加工、組立、検査など、対象となる作業を実際に行っている時間です。作業内容によっては、加工設備が自動運転している時間と、担当者が直接作業している時間を区別することも重要です。

例えば、自動加工中に別の準備作業を進められる場合、設備の稼働時間と担当者の作業時間は一致しません。

そのため、改善目的に応じて何を作業時間として扱うのか定義します。

次に確認したいのが、段取り時間です。

段取り時間には、材料の設置、工具交換、加工条件の設定、治具の調整、作業場所の準備などが含まれます。

段取り時間を記録することで、作業標準化や工具配置の改善による効果を把握しやすくなります。

例えば、同じ部品を繰り返し製作する場合、段取り手順を統一することで準備時間を減らせる可能性があります。

ただし、製品形状や加工数量が異なると段取り時間も変わるため、比較する際は条件をそろえることが重要です。

さらに、待ち時間の記録も欠かせません。

材料待ち、設備待ち、図面確認待ち、検査待ち、外注先からの納品待ちなどは、全体の完成時期に影響します。

待ち時間が長い工程を把握できれば、材料手配の前倒しや担当者間の連絡方法の改善など、具体的な対策を検討できます。

また、手戻りに関する指標も重要です。

例えば、加工のやり直しが発生した件数、追加の検査が必要になった件数、設計変更によって再製作した件数などを記録します。

手戻りの発生件数だけでなく、原因や追加作業時間を確認することで、どの工程の改善が効果的か判断しやすくなります。

工程全体の評価では、製作着手から完成までの所要時間も確認します。

この時間には実作業だけでなく待機や工程間の移動なども含まれるため、製作全体の流れを改善できたかを確認する指標になります。

ただし、製作着手の定義を材料手配開始とするのか、加工開始とするのかによって結果が変わります。比較する案件では、開始時点と終了時点を統一することが重要です。

工程管理を始めたばかりの段階では、すべての指標を細かく測定する必要はありません。

まずは予定時間、実際の作業時間、待ち時間、手戻りの原因などを記録し、時間がかかっている工程を把握することから始めます。

そして、改善した内容とその結果を記録します。

例えば、材料手配の時期を変更した結果、加工開始までの待機時間が減った場合、その方法を次回の製作へ取り入れます。

一方、管理項目を増やしても作業時間の短縮につながらなかった場合は、記録方法や管理対象を見直します。

工程管理の目的は、数値を集めることではなく、数値を使って改善につなげることです。

記録した情報を定期的に確認し、具体的な改善策へ反映することで、作業時間の短縮効果を継続的に高められます。

まとめ:工程管理を仕組み化してものづくりを効率化する

初めてのものづくりで作業時間を短縮するには、加工や組立の速度だけに注目するのではなく、製作全体の流れを整理することが重要です。

最初に製作目的と完成条件を明確にし、必要な工程を分解することで、作業の順序や優先順位を判断しやすくなります。

続いて、材料、設備、工具、外注先などを事前に準備すれば、作業途中で発生する待ち時間を減らせます。

さらに、作業手順と引き継ぎ方法を標準化することで、担当者による作業のばらつきや情報共有の不足を抑えられます。

進捗と設計変更を一元管理することも重要です。工程ごとの予定と実績を確認し、問題が発生した場合に関係者が同じ情報を共有できる体制を整えれば、対応の遅れを減らしやすくなります。

そして、工程内検査と作業後の振り返りを組み合わせることで、不具合の早期発見と継続的な改善につなげられます。

初めてのものづくりでは、工程管理を最初から複雑にする必要はありません。まずは小さな製作案件を対象に、作業内容、担当者、予定、実績、問題点を記録することから始めるとよいでしょう。

記録した内容を次回の工程計画へ反映することで、経験や勘に頼りすぎない管理方法を構築できます。

また、製作や施工を伴う現場では、作業の進捗だけでなく、どの場所でどのような作業を行ったのかを記録することも重要です。

例えば、設備の設置、現場での部材確認、施工状況の記録などでは、写真と位置情報を関連付けて残すことで、後から状況を確認しやすくなります。

こうした現場情報の記録と管理を効率化したい場合には、LRTK Phoneの活用も選択肢になります。

LRTK Phoneは、現場写真や位置情報、施工記録の管理に活用できる自社プロダクトです。製作した部材の設置状況や施工現場の記録を残す際に、位置情報と写真を関連付けて管理することで、関係者間で現場状況を共有するための情報整理に役立ちます。

もちろん、製造工程の管理表や品質検査記録など、用途に応じた管理方法との使い分けは必要です。それぞれの記録を適切に組み合わせることで、製作から現場での確認までの情報を整理しやすくなります。

ものづくりの効率化は、一度の大きな改善だけで実現するものではありません。作業の準備、工程の順序、情報共有、品質確認、記録の方法を少しずつ見直すことが大切です。

まずは今回紹介した6つの工程管理術を一つの製作案件に取り入れ、実際に時間がかかっている工程を把握することから始めましょう。工程ごとの問題を具体的に改善していくことが、作業時間の短縮と安定したものづくりの実現につながります。

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