LRTKレフィクシア株式会社

TS出来形管理要領に沿うデータ作成ミス防止6ポイント

TS出来形管理要領に沿って出来形データを作成する場合、現場で測った数値をそのまま整理するだけでは十分ではありません。測定前の座標設定、基本設計データの扱い、観測条件の記録、出来形計測点の選定、帳票への反映、提出前の照合までがつながって初めて、発注者や社内確認で説明しやすい資料になります。特にTSを用いた出来形管理では、現場作業とデータ作成作業が分断されると、測点名の違い、座標系の取り違え、単位の不一致、設計値と実測値の対応ミスなどが起こりやすくなります。この記事では、実務担当者がTS出来形管理要領に沿ってデータを作成する際に、ミスを防ぐための6つのポイントを現場目線で整理します。

TS出来形管理要領に沿うデータ作成で最初に確認すべき前提

TS出来形管理要領に沿うデータ作成で重要なのは、測定作業だけを正確に行うことではなく、測定した結果がどの設計値に対応し、どの出来形項目を説明するものなのかを一貫して示せる状態にすることです。現場では、TSで観測した座標値や高さ、測点情報などが複数の資料に展開されます。測量機器内のデータ、現場メモ、出来形帳票、社内確認資料、発注者協議用資料が別々に作られると、同じ測点を指しているはずなのに名称や値の見え方が変わり、確認時に不整合が見つかることがあります。

要領に沿った管理では、まず適用する工種、測定対象、管理項目、測定方法、出来形確認の基準を整理することが欠かせません。すべての工事で同じ形式のデータを作ればよいわけではなく、工種や発注条件、施工計画、協議内容によって必要な整理の仕方は変わります。そのため、データ作成を始める前に、どの範囲をTS出来形管理の対象にするのか、どの測点を成果として残すのか、どの帳票に反映するのかを決めておく必要があります。

また、TS出来形管理要領という言葉を見て、機器の操作方法だけを確認すれば足りると考えると、後工程で手戻りが発生しやすくなります。実際には、現場の基準点確認、基本設計データの受け渡し、座標リストの作成、出来形計測データの管理、帳票への反映、提出前の照査までが一連の作業です。どこか一つの工程で表記や基準がずれると、後で修正する範囲が大きくなります。

データ作成ミスを防ぐには、測量担当者だけで完結させず、施工管理担当者、出来形管理担当者、資料作成担当者が同じ前提を共有することが大切です。現場で測った人は正しいつもりでも、帳票を作る人が測点の意味を誤解すれば、成果としては不十分になります。逆に、資料担当者が帳票形式だけを整えても、元データの基準や測定条件が不明確であれば、確認時に説明が難しくなります。

したがって、TS出来形管理要領に沿うデータ作成では、作業前の段階で、どの基準で測るか、どの設計値と比較するか、どの名前で整理するか、どの記録を残すかを決めることが出発点になります。この前提をあいまいにしたまま観測を始めると、測定精度そのものに問題がなくても、出来形管理データとしては扱いにくい成果になってしまいます。

ポイント1 座標系と基準点情報を作業前に統一する

TS出来形管理のデータ作成で最も基本的な確認は、座標系と基準点情報の統一です。座標が正しく見えていても、基準としている座標系が違えば、設計値との比較は成立しません。公共座標、ローカル座標、仮座標、現場独自の基準線など、現場によって使われる基準はさまざまです。データ作成段階でこれらが混在すると、平面位置や高さにずれが生じ、出来形差分の解釈を誤る原因になります。

まず確認したいのは、TSに入力する器械点、後視点、既知点の情報が、基本設計データや出来形管理に使う座標と同じ前提になっているかです。座標値の桁数、単位、符号、標高の扱い、点名の表記を事前にそろえておかないと、観測時には気づきにくい不整合が残ります。特に、過去工区の座標データや別担当者が作成した座標リストを流用する場合は、ファイル名が似ていても中身の基準が同じとは限りません。

基準点情報を確認するときは、現地に存在する点とデータ上の点が一致しているかを丁寧に見ます。点名だけで判断すると、移設された点、使用停止になった点、仮設点として使った点を誤って選ぶ可能性があります。現地確認では、点の位置、標識の状態、周囲の施工影響、視通の確保、沈下や損傷の有無を確認し、使用できる状態かどうかを判断します。データ上では、点名、座標、標高、作成日、更新履歴、出典となる図面や資料を合わせて確認します。

TSの据付後には、後視確認や既知点確認を行い、入力した座標と現地の関係に大きな矛盾がないかを見ます。この確認を省くと、器械点や後視点の取り違えに気づかないまま出来形測定を進めてしまう恐れがあります。測定後に差分が大きく出た場合、それが施工誤差なのか、基準設定の誤りなのかを切り分けるのに時間がかかります。作業前に基準点確認を行い、その結果を記録しておけば、後で差分を説明するときにも根拠が明確になります。

データ作成時には、座標系の名称や基準点の情報を資料内で一貫して扱うことも重要です。現場メモでは仮BMと書き、帳票では別名で書き、座標リストでは略称を使うと、第三者が確認したときに同じ点かどうか判断しにくくなります。点名の表記を統一し、必要に応じて備考欄に補足を入れることで、確認作業の負担を減らせます。

高さの扱いにも注意が必要です。標高、設計高さ、施工基準高さ、仮ベンチからの高さなどが混在すると、出来形差分の見方を誤りやすくなります。平面座標は合っているのに高さだけが合わない場合、ミラー高や器械高の入力ミスだけでなく、そもそも比較している高さの基準が違うこともあります。データ作成の前に、高さの基準をどこに置くのか、どの資料の値を正とするのかを確認しておくことが大切です。

座標系と基準点情報の統一は、地味な作業に見えますが、出来形データ全体の信頼性を左右します。測定点が多くなるほど、後から基準の違いを直す作業は大きくなります。最初に基準をそろえ、使用した点と確認結果を残すことが、TS出来形管理要領に沿ったデータ作成ミスを防ぐ第一歩です。

ポイント2 設計データと測定データの対応関係を明確にする

TS出来形管理では、現場で取得した測定データを設計値と比較して出来形を確認します。そのため、測定データそのものが正しくても、比較する設計データとの対応がずれていると、出来形管理としては正しい判断ができません。データ作成ミスの多くは、測定値の誤りよりも、どの設計値と比べるべきかがあいまいなまま整理されることで発生します。

設計データを扱うときは、まず最新版であることを確認します。施工中に図面変更、協議結果、施工範囲の変更、基準高さの変更があった場合、古い設計データを使うと、測定値との差分が実際より大きく見えたり、逆に問題が見えなくなったりします。ファイル名だけで最新版を判断せず、更新日、変更内容、承認状況、社内での共有履歴を確認し、どの設計データを出来形管理に使うのかを明確にします。

次に、設計データと測定点の関係を整理します。たとえば、同じ測点番号でも、中心線上の点なのか、端部なのか、法肩なのか、法尻なのか、構造物の角なのかによって意味が変わります。測点名だけを頼りに比較すると、設計上の位置と実測位置がずれていることに気づきにくくなります。出来形管理に使う測点は、設計図面上のどの位置に対応しているのかを、事前にルール化しておく必要があります。

横断方向や縦断方向の管理では、測点の位置関係が特に重要です。中心線からの離れ、測点間隔、施工幅、勾配、計画高さなどが関係するため、単純に座標値を並べるだけでは十分ではありません。測定点が設計断面のどの位置を表すのか、端部の管理なのか、中間点の確認なのか、出来形の代表点として扱うのかを明確にしておくと、帳票作成時の迷いが減ります。

データ作成では、設計値を手入力する場面にも注意が必要です。桁の入力間違い、符号の反転、単位の違い、小数点位置の誤り、セルの参照違いなどは、見た目では発見しにくいミスです。設計値を取り込む場合でも、元データの形式や読み込み条件によって、不要な点が含まれたり、必要な点が抜けたりすることがあります。取り込み後には、点数、範囲、代表点、座標の桁、標高の傾向を確認し、不自然な値がないかを見ることが必要です。

測定データ側でも、設計データとの対応を意識した名前付けが重要です。現場で仮に付けた点名をそのまま使うと、後から帳票に反映するときに、どの設計点に対応するか分からなくなることがあります。測定点名には、工区、測点、位置区分、測定対象、測定日など、現場で管理しやすい情報を必要に応じて含めます。ただし、長すぎる点名や担当者ごとの独自表記は混乱の原因になるため、事前に扱いやすいルールを決めておくことが大切です。

設計データと測定データの対応関係は、発注者や社内確認で説明を求められる部分でもあります。出来形差分が示されていても、その差分がどの設計位置に対するものか説明できなければ、資料としての信頼性は下がります。測定前に対応表を作り、測定後に実測値を反映し、帳票作成前に照合する流れを作ることで、データ作成ミスを大きく減らせます。

ポイント3 測点名と測定区分のルールをそろえる

TS出来形管理のデータ作成では、測点名と測定区分の統一が欠かせません。測点名は単なるラベルではなく、現場で取得した測定データを設計値、出来形項目、帳票、写真、日報と結び付けるための手掛かりです。測点名が担当者ごとに異なると、同じ位置を示すデータが複数存在するように見えたり、別の位置のデータを同じものとして扱ってしまったりします。

測点名のルールを決めるときは、現場で使いやすく、後から確認しても意味が分かる形式にすることが大切です。工区名、測点番号、左右や中心などの位置区分、管理対象、測定回数などをどこまで入れるかを決めます。すべての情報を詰め込みすぎると入力ミスが増えますが、情報が少なすぎると後工程で判断できなくなります。現場の作業量と資料整理のしやすさのバランスを見て決める必要があります。

測定区分も同様に重要です。施工前確認、施工途中確認、出来形確認、再測定、確認測量などが混在すると、どのデータを正式な出来形として扱うのかが分からなくなることがあります。特に、再測定を行った場合は、古いデータを残すのか、参考扱いにするのか、正式成果から除外するのかを明確にしておかないと、帳票に誤って反映される恐れがあります。

現場では、急な作業変更や天候の影響によって、予定外の測定が発生することがあります。その場で便宜的に点名を付けると、後から整理する際に混乱しやすくなります。たとえば、同じ測点に対して確認、再確認、修正後などの表記が混在すると、どれが最終値なのか判断できません。測定区分には、正式なルールを設け、必要に応じて測定日時や担当者、測定目的を記録しておくと、データの履歴が追いやすくなります。

帳票に反映する段階では、測点名の表記揺れが大きな問題になります。全角と半角、ハイフンの有無、ゼロ埋めの有無、略称の違い、左右表記の違いなどは、人が見れば同じ意味に見えても、データ上では別物として扱われることがあります。これにより、並び順が崩れたり、集計対象から漏れたり、設計値との対応がずれたりします。データ作成前に表記ルールをそろえ、入力後に表記揺れを確認する工程を入れることが有効です。

測定区分をそろえることは、出来形管理の説明性にもつながります。発注者や社内確認で、この数値はいつの測定か、再測定前後でどちらを採用したのか、施工途中の確認値と完成後の出来形値が混ざっていないかと問われたとき、測定区分が整理されていれば、落ち着いて説明できます。逆に、測定区分があいまいだと、数値そのものが正しくても、資料全体の信頼性が下がります。

TS出来形管理要領に沿ったデータ作成では、測定点を増やすことよりも、必要な測定点を正しく整理することが重要です。測点名と測定区分のルールを作業前にそろえ、現場で例外が発生した場合も記録に残すことで、後工程の取り違えを防げます。

ポイント4 現場観測条件と補正情報を記録に残す

TSによる出来形測定では、現場の観測条件が測定結果に影響することがあります。機器の据付状態、視通、気象条件、ミラー高、器械高、反射条件、作業時間帯、周辺の振動や風の影響など、数値だけを見ても分からない情報が多くあります。データ作成ミスを防ぐには、測定値だけでなく、その値がどのような条件で取得されたのかを、現場ルールに応じて記録に残すことが大切です。

特に注意したいのは、ミラー高と器械高の入力です。TS出来形管理では、高さの差分を扱う場面があり、ミラー高や器械高の入力を誤ると、測定値全体に影響が出る可能性があります。現場では、プリズムの高さを変更した後に入力値を更新し忘れる、複数人で作業しているうちに設定値の認識がずれる、再測定時に前回の設定を引き継いでしまうといったミスが起こりやすくなります。

ミラー高や器械高は、測定前、測定中、測定後のどの段階で確認するかを決めておくと安全です。作業開始時に読み合わせ、変更時に記録し、作業終了時に観測データと照合するだけでも、入力ミスに気づきやすくなります。測定データに高さ情報を含めて整理する場合は、帳票に反映される値がどの設定に基づくものかを確認することも重要です。

気象条件や視通条件も、記録として残しておくと後の説明に役立ちます。雨天、強風、逆光、陽炎、粉じん、施工機械の通行、足場の揺れなどがある現場では、測定値のばらつきや再測定の判断に影響することがあります。測定結果に疑問が出たとき、観測条件の記録がなければ、原因が施工誤差なのか、観測条件によるものなのかを判断しにくくなります。

補正情報の扱いにも注意が必要です。気象補正や機器設定に関する情報は、現場ごとの運用や使用する機器の設定によって扱いが変わる場合があります。ここで大切なのは、補正の有無や設定内容を担当者任せにせず、現場のルールとして確認し、必要に応じて記録に残すことです。設定内容が不明確なまま複数日のデータをまとめると、日ごとの条件差を説明しにくくなることがあります。

観測条件の記録は、細かく残しすぎると現場負担が増えますが、必要な情報が不足するとデータの信頼性を説明しにくくなります。記録すべき項目は、工事内容や管理項目に応じて絞り込み、日報や測定記録、出来形資料とつながる形で残すと運用しやすくなります。たとえば、測定日、測定者、器械点、後視点、測定範囲、天候、使用した基準点、再測定の有無、特記事項をそろえておくと、後から確認しやすくなります。

TS出来形管理要領に沿うデータ作成では、数値の整合だけでなく、測定の再現性や説明性も重要です。現場観測条件と補正情報を記録に残しておくことで、単なる測定結果ではなく、確認可能な出来形管理データとして整理できます。

ポイント5 帳票作成前に差分と許容値の見方を確認する

TS出来形管理のデータ作成では、帳票に数値を入れる前に、差分と許容値の見方を確認することが重要です。設計値と実測値の差分は、出来形の良否判断や施工精度の説明に関わるため、計算方法や符号の向きがあいまいなまま帳票化すると、誤った判断につながる恐れがあります。差分がプラスの場合に何を意味するのか、マイナスの場合にどの方向のずれを示すのかを、作業者間で統一しておく必要があります。

出来形管理では、位置、高さ、幅、厚さ、勾配、延長など、管理項目によって差分の意味が変わります。高さの差分では、設計より高いのか低いのかが重要になりますが、幅や厚さでは不足側の評価が特に問題になる場合があります。平面位置では、単純な数値差だけでなく、どの方向へのずれなのか、設計線に対してどの位置にあるのかを見る必要があります。これらを同じ感覚で扱うと、帳票上の数値は整っていても、実態と合わない説明になることがあります。

許容値の扱いも慎重に確認します。許容値は、工種、管理項目、発注条件、施工段階によって異なる場合があります。過去の工事で使った値をそのまま流用すると、今回の条件に合わないことがあります。また、社内管理値と提出用の管理値を分けている現場では、どちらを帳票に反映するのかを明確にしておく必要があります。許容値の確認を後回しにすると、帳票作成後に判定欄を修正する手戻りが発生します。

帳票作成前には、差分計算の元になる設計値と実測値が正しい列に入っているかを確認します。列の入れ替わり、単位の違い、小数点桁数の丸め、測点順のずれ、不要な行の混入などは、帳票作成時によく起こるミスです。特に、測点数が多い場合は、先頭と末尾だけを見ても途中のずれに気づけないことがあります。代表点だけでなく、範囲全体の並びや傾向を確認することが必要です。

差分の傾向を見ることも有効です。特定の区間だけ差分が大きい場合は施工上の問題が考えられますが、全体的に同じ方向へずれている場合は、基準点、設計データ、器械設定、計算式のいずれかに原因がある可能性があります。帳票に反映する前に差分の分布を確認しておけば、単発の異常値なのか、全体的な設定ミスなのかを切り分けやすくなります。

再測定が必要な値がある場合は、帳票作成前に扱いを決めます。異常値を見つけたときに、すぐに削除したり、都合のよい値だけを採用したりすると、後で説明が難しくなります。再測定の理由、再測定日時、採用値、参考値として残す値を整理し、履歴が追える状態にしておくことが大切です。出来形管理では、結果だけでなく、なぜその値を採用したのかを説明できることが求められます。

帳票は提出資料として見られるため、形式を整えることに意識が向きがちです。しかし、見た目が整っていても、差分と許容値の見方が誤っていれば、出来形管理データとしては不十分です。帳票作成前に計算条件、判定条件、符号の意味、採用値の根拠を確認することで、データ作成ミスを防ぎ、説明しやすい資料に仕上げられます。

ポイント6 提出前チェックでデータの取り違えを防ぐ

TS出来形管理要領に沿ってデータを作成しても、提出前チェックが不十分だと、ファイルの取り違えや古いデータの混入によってミスが発生します。現場では、測定データ、設計データ、帳票、写真、日報、協議資料など、多くのファイルを扱います。作業途中で修正版が増えると、どれが最終版なのか分からなくなり、誤ったデータを提出してしまう可能性があります。

提出前チェックで最初に確認したいのは、ファイル名と保存場所です。似た名前のファイルが複数ある場合、日付や担当者名だけでは最終版を判断できないことがあります。ファイル名には、工事名、工区、管理項目、測定日、版数、提出用か確認用かを分かりやすく入れると、取り違えを防ぎやすくなります。ただし、長すぎるファイル名や担当者独自の略称はかえって混乱を招くため、現場内で統一した命名ルールを使うことが大切です。

次に、データの中身が提出対象と一致しているかを確認します。測定範囲、測点数、管理項目、施工範囲、出来形対象、測定日が、提出する帳票や図面と一致しているかを見ます。ファイル名が正しくても、中身が古い設計データに基づいていたり、別工区の測定点が含まれていたりすることがあります。提出前には、ファイル名だけで判断せず、主要な中身を開いて確認する習慣が必要です。

帳票と元データの照合も欠かせません。帳票に記載された実測値、設計値、差分、判定結果が、元の測定データや整理表と一致しているかを確認します。手入力や貼り付けを行った箇所は特に注意が必要です。途中で行を追加したり、並び替えを行ったりした場合、参照先がずれていることがあります。数値の見た目だけでなく、測点名、管理項目、単位、桁数、採用値の根拠まで確認します。

提出前チェックでは、第三者確認を取り入れると効果的です。データを作成した本人は、入力した内容を正しいと思い込んで見てしまうため、表記揺れや測点の抜けに気づきにくいことがあります。別の担当者が、設計データとの対応、測点名、差分、許容値、提出対象の範囲を確認することで、見落としを減らせます。確認者は細部だけでなく、全体の流れが要領や現場ルールに沿っているかを見ることが大切です。

提出用データには、不要な作業途中の情報を含めないことも重要です。仮の計算欄、未確認の測定値、参考扱いの点、古い判定結果が残っていると、確認者が誤解する原因になります。必要な履歴は別に管理し、提出資料には採用値と説明に必要な情報を整理して載せます。ただし、再測定や修正の履歴を完全に消してしまうと、後から経緯を説明できなくなるため、社内管理用の記録として残しておくことが望ましいです。

また、提出前には、データ形式や読み取り環境も確認します。作成した側では問題なく見えていても、提出先や社内確認者の環境では表示が崩れたり、文字化けしたり、桁数が丸められて見えたりすることがあります。特に、座標値や高さの小数点桁数、測点名の表記、判定欄の表示は、出力形式によって見え方が変わる場合があります。提出用に変換した後のファイルを開き直し、意図した内容で表示されるか確認することが大切です。

提出前チェックは、単なる最終確認ではなく、データ作成ミスを最後に止める工程です。測定から帳票化まで問題なく進んでいても、提出直前の取り違えで信用を損なうことがあります。ファイル管理、中身の照合、第三者確認、提出形式の確認を組み合わせることで、TS出来形管理要領に沿った資料を安定して提出できます。

TS出来形管理要領に沿ったデータ作成を安定させる運用の考え方

TS出来形管理要領に沿ったデータ作成を安定させるには、担当者の注意力だけに頼らない運用が必要です。どれだけ経験のある担当者でも、測点数が多い現場、変更が多い工事、複数人で作業する現場ではミスが発生します。ミスをゼロに近づけるには、作業の流れを標準化し、確認ポイントを固定し、例外が起きたときの扱いを決めておくことが大切です。

まず、測定前、測定中、測定後、帳票作成前、提出前の各段階で確認する内容を分けます。測定前には、座標系、基準点、基本設計データ、測点名、測定範囲を確認します。測定中には、器械点、後視点、ミラー高、観測条件、再測定の有無を記録します。測定後には、点数、測点名、異常値、設計値との対応を確認します。帳票作成前には、差分計算、許容値、採用値を確認します。提出前には、ファイル名、中身、版数、提出形式を確認します。

このように段階ごとに確認内容を分けると、作業が整理され、チェック漏れを防ぎやすくなります。すべてを最後にまとめて確認しようとすると、問題が見つかったときに原因をさかのぼるのが難しくなります。早い段階で発見できるミスは早く見つけ、後工程に持ち込まないことが効率的です。

次に、現場ごとのルールを文書化することも有効です。座標リストの作成方法、測点名の付け方、再測定データの扱い、帳票への反映方法、提出用ファイルの保存場所を明確にしておけば、担当者が変わっても同じ水準で作業しやすくなります。口頭だけで伝えると、忙しい現場では認識違いが起こります。簡潔なルールとして残し、作業開始前に共有することが大切です。

また、データ作成の効率化を進めるときは、確認工程を省略しないことが重要です。作業を速くすることと、確認を減らすことは同じではありません。むしろ、入力ルールや保存ルールを整え、転記を減らし、確認しやすい形にすることで、結果的に作業時間を短縮できます。効率化の目的は、急いで帳票を作ることではなく、手戻りや再確認を減らすことです。

現場で使うデータは、できるだけ一元管理に近づけることが望ましいです。同じ測定データを複数の担当者が別々に加工すると、どれが正しいか分からなくなります。元データ、整理済みデータ、提出用データの関係を明確にし、更新時には履歴を残すことで、古いデータの混入を防げます。特に、図面変更や再測定が発生した場合は、更新前後の違いを記録しておくことが重要です。

TS出来形管理のデータ作成では、現場と事務所の情報連携も大きな課題になります。現場で測定した担当者がその場で気づいた注意点が、資料作成担当者に伝わらないと、帳票上の数値だけで判断することになります。測定条件、現場の状況、再測定の理由、採用値の判断を簡潔に共有できる仕組みを作ることで、資料作成時の誤解を減らせます。

運用を安定させるには、完璧な仕組みを一度に作るよりも、ミスが起きやすい箇所から改善することが現実的です。たとえば、測点名の表記揺れが多い現場では命名ルールを先に整え、設計データの取り違えが多い現場では版管理を強化します。再測定が多い現場では、観測条件や基準点確認の記録を見直します。現場ごとの弱点に合わせて改善することで、無理なく品質を高められます。

まとめ

TS出来形管理要領に沿うデータ作成では、測定値の正確さだけでなく、設計データとの対応、座標系の統一、測点名の整理、観測条件の記録、差分と許容値の確認、提出前の照合までを一連の流れとして管理することが重要です。どれか一つの工程があいまいになると、数値そのものに問題がなくても、出来形管理資料として説明しにくい状態になります。

ミスを防ぐ第一歩は、作業前に基準をそろえることです。座標系、基準点、高さの扱い、設計データの版数、測定範囲を確認してから測定を始めれば、後から大きな手戻りが発生するリスクを減らせます。次に、測定データと設計データの対応関係を明確にし、測点名と測定区分のルールを統一します。これにより、帳票作成時の取り違えや表記揺れを防ぎやすくなります。

さらに、現場観測条件や補正情報を記録に残すことで、測定結果の根拠を説明しやすくなります。差分と許容値の見方を帳票作成前に確認し、提出前にはファイル名、版数、中身、元データとの整合を丁寧に照合することが大切です。最後に、これらの確認を担当者個人の注意力に任せず、現場の標準運用として定着させることで、TS出来形管理の品質は安定します。

TSを用いた出来形管理は、現場の測定作業とデータ整理作業が密接につながっています。だからこそ、測る段階から提出資料を意識し、データ作成の流れを整えておくことが、確認のしやすさと手戻り削減につながります。特定の機器やソフトに頼り切るのではなく、適用要領、契約図書、発注者指示、現場ルールを照合しながら、基本設計データ、出来形計測データ、帳票、提出用データを一貫して管理することが、公開前・提出前のミス防止につながります。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

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