LRTKレフィクシア株式会社

低い天井のSLAM計測で機器接触と欠測を防ぐ7つの保持方法

低い天井でSLAM計測が難しくなる理由

SLAM 計測は、計測機器を持って空間を移動しながら、周囲の壁、床、柱、梁、設備などの特徴を連続的に捉え、自己位置の推定と周辺形状の記録を同時に進める方法です。広い通路や天井の高い室内であれば、計測者は比較的自然な姿勢で歩けます。しかし、天井が低い場所では、単に歩行速度を落とすだけでは十分とは限りません。機器そのものが天井や梁、配管、ケーブルラックなどに接触する危険と、接触を避けようとして保持姿勢を崩した結果、必要な面が計測できなくなる危険を同時に考える必要があります。

特に注意したいのは、機器を守ることだけを意識して身体の近くへ引き寄せすぎることです。センサーの種類や構成によって差はありますが、身体、腕、衣服、ヘルメットなどが周囲を捉える視野の一部を遮ると、その方向の点群が薄くなったり、連続した形状を十分に取得できなかったりする場合があります。狭い場所で機器を胸に抱え込むように保持すると、接触しにくくなる一方、計測者自身による遮蔽が増える可能性があります。

反対に、欠測を避けようとして機器を高く掲げればよいわけでもありません。低い梁下や設備下では、頭より高い位置に機器を保持すると接触余裕が小さくなります。計測者が天井との距離を目視しにくい位置まで機器を上げてしまうと、突起物への接触にも気付きにくくなります。また、腕を高く上げた状態を長時間続ければ、疲労によって上下動や回転が増え、一定した軌跡で歩くことも難しくなります。

低天井空間で重要なのは、機器をできるだけ高くすることでも、できるだけ低くすることでもありません。天井との安全な離隔を確保しながら、周囲の形状を継続して捉えられる位置に機器を保ち、その位置を急激に変えないことが基本です。

また、低い天井といっても環境は一様ではありません。地下通路のように天井面が連続して低い場所もあれば、梁だけが部分的に下がっている場所、配管が交差している場所、設備の下だけ高さが制限される場所もあります。したがって、計測開始時に一つの保持姿勢を決め、それを最後まで変えない運用も適切とは限りません。空間の高さと障害物に合わせて、あらかじめ数種類の保持位置を使い分ける考え方が必要です。

さらにSLAMでは、その瞬間に形状を取得できるかだけではなく、前後のフレームや走査結果との連続性も重要になります。狭い箇所を通るたびに機器を大きく下げたり、左右へ振ったり、急激に回転させたりすると、周囲の見え方が短時間で大きく変化します。安定した計測を目指すなら、接触回避の動作そのものも計測ルートの一部として設計しておく必要があります。

保持方法1 天井との離隔を優先して胸元で安定保持する

低い天井を連続して歩く区間では、まず胸からみぞおち付近を基準にした保持を検討します。頭上へ掲げる保持と比べて天井との距離を確保しやすく、計測者自身が機器と上部障害物の位置関係を確認しやすいためです。

ただし、胸元保持は機器を身体へ密着させることとは異なります。身体に押し付けるように持つと、計測者の胴体や腕によって後方や側方の視野が遮られる可能性があります。そこで、身体との間に一定の距離を持たせながら、無理のない範囲で前方へ保持します。重要なのは、その距離を計測中に頻繁に変えないことです。

低天井区間に入る直前で急に腕を曲げ、機器を胸元へ引き寄せると、計測機器の位置と姿勢が短時間に変化します。可能であれば、障害物へ近づく前から徐々に保持高さを下げ、低天井区間へ入る時点ではすでに安定した姿勢になっている状態を作ります。同様に、低天井区間を抜けた瞬間に高く持ち上げるのではなく、周囲に十分な空間が戻ったことを確認してから滑らかに通常位置へ戻します。

胸元保持の利点は、頭部を障害物確認に使えることにもあります。機器を頭上へ掲げていると、機器そのものによって前方上部が見えにくくなることがあります。胸元であれば、計測者は梁、配管、照明器具、天井からの吊り材などを目視しながら進みやすくなります。

一方で、低い位置に保持すると、机、機械、柵、資材など床側の障害物へ接近する場合があります。そのため、保持高さは天井だけを基準に決めるのではなく、上下双方の空間を見て設定します。頭上障害物を避けた結果、今度は手元の機器を設備へ接触させてしまっては意味がありません。

現場では、通常区間用の保持高さと低天井区間用の保持高さを事前に決めておくと動作を単純化できます。計測者がその場で毎回判断するより、基本姿勢を決めておく方が急な上下動を減らしやすくなります。

保持方法2 機器を身体の正面から少し前へ出して遮蔽を減らす

低い天井では機器を下げる必要が生じやすい一方、下げすぎるほど身体による遮蔽の影響を受けやすくなります。そのため、胸元付近で保持する場合でも、身体の正面から少し前方へ出すことが有効です。

SLAM 計測では、周囲に存在する複数の形状を継続的に観測できる状態が望まれます。機器のすぐ後ろに計測者の身体があると、後方や斜め後方が長時間見えない状態になる場合があります。狭い通路ではもともと観測できる特徴が限られやすいため、身体による遮蔽を必要以上に増やさないことが重要です。

ただし、腕を完全に伸ばす必要はありません。腕を伸ばし切ると疲労しやすく、歩行に合わせて機器が上下に振れやすくなります。また、前方の壁や設備との距離が短い区間では接触の危険も高まります。肘を軽く曲げた状態で、機器を身体から適度に離す程度が基本になります。

この保持方法では、計測者の歩き方も重要です。機器だけを前方へ出して上半身が大きく後ろへ反ると、姿勢が不安定になります。身体の重心は通常の歩行に近い位置へ保ち、機器だけを無理のない範囲で前方へ配置します。

低天井区間で前方へ機器を出す場合は、機器より先に身体を進めないことも意識します。前方に突き出した機器は障害物へ近づくため、梁の縁、壁から突出した金具、配管支持材などへの接触余裕が減ります。前方に障害物がある場合は、歩行速度を下げ、機器の位置を確認しながら通過します。

狭い空間ほど、計測者は機器を守るため身体へ抱え込みたくなります。しかし欠測を防ぐ観点では、身体と機器を完全に一体化させるより、周囲を見るための空間を少し確保することが重要です。安全な離隔とセンサー視野の両方を確保できる距離を現場ごとに決めておくことで、低い天井でも安定した保持を続けやすくなります。

保持方法3 高さを固定せず障害物に合わせて段階的に変える

低天井区間でよく起こる失敗の一つが、機器の高さを一度に大きく変更することです。通常の保持位置から突然腰付近まで下げ、障害物を通過した直後に再び高く戻すと、計測中の機器軌跡に大きな上下変化が生じます。

必要な高さ変更そのものが問題なのではありません。重要なのは変化のさせ方です。梁へ近づく数歩前から少しずつ下げ、梁下を通過する時点で必要な高さに到達させます。通過後もすぐに元へ戻さず、数歩を使って緩やかに通常位置へ復帰します。

例えば、通常区間、やや低い区間、非常に低い区間というように複数の保持高さをあらかじめ想定しておけば、現場での判断を単純化できます。障害物ごとに全く異なる高さを選ぶのではなく、数段階の姿勢を使い分けることで、保持位置の変化を管理しやすくなります。

この考え方は、天井高さが短い間隔で変化する設備室などで特に重要です。梁を一本通過するたびに上げ下げを繰り返すと、計測者の疲労も増えます。周囲を確認して、数本の梁が連続する区間では低い保持姿勢を維持し、十分な高さの区間へ出てから通常姿勢へ戻した方が動作を減らせます。

また、高さを変える際に手首だけで機器を上下させると、姿勢も同時に変わりやすくなります。可能な範囲で肘や肩を使って機器全体を移動し、意図しない回転を抑えることが大切です。

低い天井でのSLAM 計測では、機器の高さを一定にすること自体が目的ではありません。必要に応じて高さを変えながらも、その変化を予測可能で滑らかな動作にすることが重要です。計測ルートを事前に確認し、高さを変える場所を想定しておけば、現場で慌てて機器を上下させる場面を減らせます。

保持方法4 機器を大きく傾けず視野を保ったまま通過する

梁や配管を避ける際、機器全体を横へ大きく寝かせて通過したくなることがあります。しかし、機器の姿勢を短時間で大きく変えると、周囲の見え方も大きく変わります。

機器構成によって観測方向は異なりますが、基本的には通常の計測姿勢から急激に傾ける操作を繰り返さない方が扱いやすくなります。高さだけを下げれば通過できる障害物であれば、まず高さ調整で対応します。横方向へ避ける必要がある場合も、必要最小限の傾きに抑えます。

特に注意したいのが、低い天井を避けようとして機器をほぼ水平に寝かせたまま長い区間を歩くことです。計測者にとっては接触しにくい姿勢でも、通常時とは周囲の観測条件が大きく変わる可能性があります。また、手首に負担が集中し、時間とともに角度が変化しやすくなります。

機器を傾ける必要がある場所では、障害物直前に急操作するのではなく、周囲の十分な形状が観測できる場所からゆっくり姿勢を変えます。そして障害物通過後も、周囲を観測しながら徐々に通常姿勢へ戻します。

低天井区間に複数の配管がある場合は、一本ずつ避けるより、通過できる一定の高さと姿勢を先に見つける方が安定します。例えば、配管の最下端と床面設備の最高部の間に安全な通過帯を設定し、その帯の中で機器を維持する考え方です。

SLAM 計測では、計測者が機器をどう持ったかが最終的な点群の見え方に影響します。現場で重要なのは、障害物を避けたという事実だけではなく、回避動作中も周囲の観測をできるだけ継続させることです。大きな傾きを使わず、滑らかな姿勢変化で通過することで、接触防止と観測の連続性を両立しやすくなります。

保持方法5 両手保持で上下動と回転を抑える

低い天井の現場では、周囲の安全確認や身体のバランス維持に注意を取られるため、片手保持では機器の動きが大きくなることがあります。可能な場所では両手で安定して保持することが基本になります。

片手だけで機器を支えていると、歩行による上下動に加えて手首の回転も入りやすくなります。特に身体をかがめて歩く区間では、通常歩行より重心移動が大きくなり、手元も揺れやすくなります。両手で保持すれば、意図しない回転を抑えやすく、機器と身体との距離も一定に保ちやすくなります。

ただし、両手保持を優先するあまり、安全確保に必要な手までふさぐことは避けなければなりません。階段、急な段差、滑りやすい床、狭い点検通路などでは、現場の安全ルールを優先します。手すりを使用する必要がある環境では、計測方法そのものを見直し、一度に無理をして進まない判断も必要です。

平坦な低天井通路であれば、左右の手で機器を支え、肘を軽く曲げた状態で胸の前へ配置すると安定させやすくなります。このとき、歩行のたびに腕で上下動を打ち消そうとする必要はありません。過度に修正すると、かえって不規則な動作が増えます。自然な歩行を保ちつつ、大きな振れだけを抑える意識が適しています。

両手保持には、接触時の回避操作を行いやすいという利点もあります。前方に予想外の障害物を見つけた場合、片手保持より機器を身体側へ安定して引き寄せやすくなります。ただし、突然引き寄せるのではなく、可能な限り歩行を停止してから姿勢を変える方が安全です。

長い低天井区間では疲労も考慮します。最初は安定していても、時間が経つにつれて腕が下がり、機器の傾きが増える場合があります。保持姿勢を維持できなくなってきたら、そのまま進み続けるのではなく、安全な場所で計測を区切る判断も重要です。

保持方法6 狭い場所では身体と機器を別々に動かす

狭い低天井空間では、身体を横向きにして通過しなければならない場面があります。このとき、身体の向きと機器の向きを常に同じにすると、必要以上にセンサー方向が変わることがあります。

例えば、肩幅では通りにくい設備間を横向きで抜ける場合でも、機器まで完全に横へ向ける必要がないことがあります。身体は障害物を避けるため横向きになりつつ、機器はできるだけ前後の空間を継続して観測できる姿勢へ保つという考え方です。

もちろん、機器と身体を無理に別方向へ向けると姿勢が不安定になります。そのため、腕の可動範囲に余裕がある場所でのみ行います。狭すぎる場所では、姿勢を無理に維持するより、一度停止して通過方法を確認する方が安全です。

特に低天井と狭い壁間が同時に存在する場所では、計測者は頭上、左右、足元を同時に確認しなければなりません。この状況で歩きながら複雑な機器操作をすると接触の危険が増えます。先に身体が通れる方向を決め、次にその姿勢で機器をどこへ保持するかを決めます。

重要なのは、狭い場所へ入ってから持ち方を考えないことです。入口で一度周囲を確認し、出口までの姿勢を想定してから進みます。途中に配管、弁、ケーブル、突出金具などがある場合は、それらを避ける位置まで含めて保持方法を決めます。

身体と機器の動きを分けて考えることで、必要以上に機器を回転させずに済む場合があります。SLAM 計測では、通過できるかどうかだけでなく、通過中にどの方向を継続して観測するかを意識することが欠測防止につながります。

保持方法7 往路と復路で保持位置を変えて死角を補う

低天井空間では、一度の通過だけですべての面を十分に計測しようとすると、無理な姿勢になりやすくなります。そこで有効なのが、往路と復路で保持位置を変え、片側から見えにくかった面を反対側から補う方法です。

例えば、通路中央に配管があり、往路では機器をやや右寄りへ保持した方が安全に通過できる場合、左側の設備裏面が十分に見えない可能性があります。その場合、復路では可能な範囲で左寄りの保持位置を使い、往路で見えにくかった方向を観測します。

この考え方の利点は、一回の走査ですべてを取得しようとして機器を大きく振り回す必要がなくなることです。通路の途中で左右へ大きく振ったり、後方へ向けたりするより、安定した姿勢で一方向を通過し、別の走査で補完する方が安全な場合があります。

ただし、往復すれば自動的に欠測がなくなるわけではありません。往路と復路がほぼ同じ保持位置、同じ高さ、同じ方向であれば、同じ死角が残る可能性があります。再走査する場合は、何を補うための走査なのかを明確にします。

低い天井では、上面や梁裏を狙おうとして機器を持ち上げることがありますが、接触余裕が小さい環境では危険です。無理に真下から近づけるのではなく、少し離れた位置から斜め方向に観測できる走行位置を探します。往路で片側、復路で反対側から見ることで、天井近くの構造物でも複数方向から形状を捉えやすくなります。

また、折り返し地点は十分な空間がある場所を選びます。狭い場所で身体と機器を一度に180度回転させると、壁や設備への接触が起こりやすくなります。広い場所まで進んでから方向転換し、安定した保持姿勢を作って復路へ入る方が安全です。

SLAM 計測では、一度の移動ですべてを終わらせることより、必要な形状を安全かつ安定して取得することが重要です。低天井区間ほど、複数方向からの計測を前提にルートを組んだ方が、無理な保持動作を減らしやすくなります。

低い天井で欠測を増やす代表的な動き

低い天井で欠測を防ぐためには、適切な保持方法だけでなく、避けたい動作を理解しておくことも重要です。

代表的なのが、障害物を発見した瞬間に機器を大きく下げる動作です。計測前にルートを確認していないと、梁や配管の直前で初めて高さ不足に気付き、反射的に機器を下げることになります。このような急な動きは、接触を避けられたとしても計測姿勢の安定性を損ねます。

次に注意したいのが、身体の後ろへ機器を逃がす動作です。前方に障害物があると、無意識に機器を身体側へ引き寄せることがあります。さらに狭い場所では身体の横や後方へ回してしまうこともあります。しかし、その間は計測者自身によって周囲の大部分が遮られる可能性があります。

歩きながら頻繁に機器を覗き込む動作にも注意が必要です。画面や状態表示を確認しようとして手元を顔へ近づければ、保持高さと姿勢が変わります。同時に前方の障害物確認も遅れます。状態確認が必要な場合は、安全な場所で一度停止して行う方が確実です。

低い梁をくぐる際に、身体だけを急に沈み込ませる動作も問題になります。頭を守るため腰や膝を急に曲げると、手元の機器も大きく下がります。梁下を通ることが事前に分かっている場合は、数歩前から姿勢を低くしておく方が動きを滑らかにできます。

また、接触を恐れて極端に低い位置だけで長時間計測することにも注意します。低く持つほど安全とは限らず、腰付近や脚付近では身体による遮蔽や周囲設備との接触が増える場合があります。天井との離隔を確保できる範囲で、必要以上に下げないことも大切です。

さらに、同じ場所を何度も行き来しながら毎回異なる持ち方をすると、後からデータを確認した際に、どの区間をどの姿勢で計測したのか分かりにくくなります。再計測が必要な場合も、目的と保持方法を決めてから実施した方が管理しやすくなります。

低天井空間では、急操作を減らすことが接触防止にも欠測防止にもつながります。現場に入る前に障害物を把握し、「どこで下げるか」「どこで戻すか」「どこを復路で補うか」を決めるだけでも、不要な動作は大きく減らせます。

計測前に決めておきたい保持高さと歩行ルート

低い天井でSLAM 計測を成功させるためには、計測中の技術以上に、計測前の確認が重要です。現場へ入ってから障害物ごとに対応方法を考えると、保持姿勢が不規則になりやすいためです。

まず確認したいのが、ルート上で最も低い部分です。天井面そのものだけでなく、梁、配管、ダクト、吊り材、照明設備、ケーブル類など、局所的に低くなっている部分を確認します。見た目では十分な高さがある通路でも、一部の設備だけが突出しているケースがあります。

次に、低い部分が単発なのか、連続しているのかを確認します。一か所だけ低いのであれば、その前後で徐々に保持高さを変える方法が使えます。一方、低い梁が短い間隔で続く場合は、区間全体を一段低い保持位置で通過した方が動作を安定させやすくなります。

床面も同時に確認します。低い天井ばかりを見ていると、段差、開口部、配線、資材、濡れた床などを見落とす可能性があります。特に身体をかがめた姿勢では視線が上側へ向きやすいため、足元の安全を事前に確認することが欠かせません。

歩行ルートについては、最短距離よりも安定して歩ける経路を優先します。障害物の間を細かく蛇行するルートより、多少距離が長くても一定の保持姿勢を維持できる経路の方が計測しやすい場合があります。

また、折り返し場所も事前に決めます。低天井区間の中で無理に方向転換すると、機器を壁や設備へ接触させる危険が高まります。可能であれば、十分な幅と高さのある場所で方向転換できるルートにします。

計測対象の優先順位も整理しておくと有効です。床と壁の形状が主目的なのか、梁裏や設備上部まで必要なのかによって適切な保持位置は変わります。必要のない場所まで無理な姿勢で取得しようとすると、接触リスクだけが増えることがあります。

低い天井では「どこまで取れば計測完了なのか」を明確にしておくことが大切です。必要な範囲が明確であれば、往路と復路の役割も決めやすくなります。往路で通路全体、復路で設備裏側というように役割を分ければ、一回の通過で機器を頻繁に動かす必要がなくなります。

計測後に確認したい欠測と軌跡のチェックポイント

低天井区間を計測した後は、計測できたつもりで終了するのではなく、データを確認して欠測がないか判断することが重要です。

最初に確認したいのは、天井、梁、配管、壁面など、本来連続しているはずの形状が途中で途切れていないかです。低い天井では身体に近い位置で機器を保持するため、特定方向だけ点群が薄くなることがあります。

次に、梁の裏側や設備の背面を確認します。正面からは十分に取得できていても、突出物の後ろに細長い欠測が残る場合があります。これらは計測中の画面だけでは気付きにくいため、取得後に視点を変えて確認することが大切です。

床面の連続性も確認します。天井接触を避けることに集中すると、機器を頻繁に上下させることになり、低い位置で周囲の見え方が変化することがあります。床や壁の形状が途中で不自然につながっていないかを確認します。

軌跡を確認できるシステムであれば、低天井区間だけ極端な蛇行や急な上下動が発生していないかを見ることも有効です。障害物回避のための動きが集中している場所は、点群についても重点的に確認する対象になります。

往路と復路を計測した場合は、同じ構造物が大きくずれて重なっていないかも確認します。完全に同一の結果になるとは限りませんが、目視で明らかな二重化や不自然な形状が見られる場合は、その周辺を詳しく確認する必要があります。

不足が見つかった場合は、現場から退出する前に追加計測できることが理想です。後日再訪すると、設備位置や仮設物、資材配置などの条件が変わる可能性があります。その日の計測条件が維持されているうちに不足部分を確認し、必要であれば補完走査を行います。

追加計測では、同じルートをそのまま繰り返すのではなく、欠測の原因を考えて保持位置や通過方向を変えます。右側が欠けているなら左寄りから、梁裏が不足しているなら少し離れた位置から斜めに見るなど、観測方向を変えることが重要です。

計測後の確認までを一連の作業として考えることで、「安全に歩けたが必要な形状が取れていなかった」という事態を減らせます。低い天井ほど取得条件が厳しくなるため、現場での確認時間を計測工程に含めておくことが重要です。

まとめ 低い天井では高く掲げるより安定して見せ続ける

低い天井でのSLAM 計測では、機器を天井へ接触させないことと、必要な形状を欠測なく取得することを同時に考える必要があります。接触だけを恐れて身体へ抱え込めば周囲が遮蔽されやすくなり、反対に欠測を避けようとして高く掲げれば梁や配管への接触リスクが高まります。

基本となる考え方は、天井との離隔を確保できる胸元付近を基準にしながら、身体から適度に離して保持することです。高さを変える場合は一気に上下させず、障害物へ到達する前から段階的に移動させます。機器の大きな傾きもできるだけ避け、両手で安定させながら周囲を継続して観測できる姿勢を作ります。

さらに、狭い場所では身体の向きと機器の向きを別々に考え、一度の走査ですべてを取得しようとしないことも重要です。往路と復路で保持位置や通過位置を変えれば、無理な姿勢を取らずに死角を補える場合があります。

低天井空間では、現場に入ってから即興で対応するほど急な動作が増えます。事前に最低高さ、突出物、床面障害物、保持高さ、折り返し位置、補完走査の方向まで確認し、保持方法を計測ルートの一部として設計することが大切です。

SLAM 計測は、単に機器を持って歩けば均一な点群が得られる作業ではありません。どの高さで、どの方向へ向け、どの速度で移動し、対象を何方向から観測したかによって取得状況は変わります。特に低い天井では、計測者の保持動作そのものが結果へ影響しやすいため、安定性を意識した運用が欠かせません。

重要なのは、機器を必要以上に高く掲げることではなく、接触しない位置で周囲を安定して見せ続けることです。急な上下動や回転を減らし、必要に応じて複数方向から補完することで、安全性とデータ取得の両立を図りやすくなります。

こうした現場計測をより身近な運用へ落とし込み、取得した位置情報や3次元データを現場業務につなげたい場合は、次の選択肢としてLRTK Phoneを確認してみるとよいでしょう。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る

技術記事一覧へ戻る →