LRTKレフィクシア株式会社

ガラス張り通路のSLAM計測で反射による誤点を減らす6つの対策

ガラス張り通路でSLAM計測の誤点が出やすい理由

建物内の渡り廊下、駅や空港の連絡通路、商業施設の通路、展望施設などでは、壁面の大部分がガラスで構成されていることがあります。このような場所をSLAM計測すると、一般的なコンクリート壁や内装壁を計測した場合とは異なり、ガラス面付近に本来存在しない点が現れたり、壁面が二重になったように見えたり、ガラスの向こう側にある物体と反射由来の点が混在したりすることがあります。

この現象は、SLAMそのものが一律に誤作動しているというより、センサーが透明面や鏡面反射に近い表面を観測したときに、通常の不透明面とは異なる測定結果を返すことが主な要因です。ガラスでは入射した光の一部が反射し、一部が透過します。LiDARなどの距離センサーでは、ガラス面そのものの戻り、ガラスを透過して奥の物体から戻る信号、ガラスで反射して別の物体に当たった後に戻る信号などが、機器や条件によって混在することがあります。

そのため、点群にはガラス面そのものが疎らに現れる場合もあれば、ガラス越しに存在する実物が取得される場合もあります。さらに鏡のような反射経路が成立すると、実在する物体がガラス面の反対側にあるような仮想点として記録されることがあります。どの現象が強く出るかは、ガラスの種類、表面処理、入射角、距離、LiDARの波長や受光方式、周囲の物体配置などで変化するため、一つの設定ですべてのガラス環境を安定化できるわけではありません。

カメラ画像を利用するVisual SLAMやVisual-Inertial SLAMでも注意が必要です。ガラス面は模様が乏しいことが多く、特徴点を取りにくい一方、照明、人、柱、天井、反対側の景色などが映り込みます。こうした反射像は視点によって見え方が変わるため、固定物の表面にある通常の特徴とは異なる挙動を示します。長い直線通路で左右の構成が似ている場合には、反射の問題に加えて、繰り返し形状や低テクスチャによって自己位置推定の条件が厳しくなることもあります。

また、ガラス張り通路で問題になるのはガラスだけではありません。磨かれた石材、金属パネル、鏡面仕上げの壁、光沢の強い床などが組み合わされると、反射しやすい面が空間の多くを占めます。人や台車、扉などの動体が多ければ、固定環境を前提とする観測との不整合も増えます。

したがって、ガラス張り通路のSLAM計測では、ガラス面をきれいに点群化することだけを目標にせず、ガラスから不安定な観測が入っても、柱、床、天井、梁、壁、サッシなどの固定形状を継続して取得できる計測経路を組み立てることが重要です。誤点を完全にゼロにするというより、誤点が出やすい領域を把握し、実在する点と区別できるデータを残す考え方が実務では安全です。

対策1 ガラスへの角度を固定せず安定する観測方向を選ぶ

ガラス張り通路をSLAM計測するときに最初に見直したいのが、ガラス面に対するセンサーの向きです。ただし、ガラスへ正対しなければ必ず誤点が減る、あるいは一定の斜め角度にすれば常に安定する、と考えるのは適切ではありません。

LiDARでは、ガラス面そのものからセンサーへ戻る信号は入射角によって大きく変化します。機器によって差はありますが、ガラス面にほぼ垂直に光が当たる条件で面の戻りが得られやすくなる一方、角度が付くと鏡面反射がセンサーから外れ、ガラス面が欠測しやすくなることがあります。その一方で、斜め方向ではガラスで反射した光が別の物体へ向かい、条件によっては反射由来の仮想点が生じることもあります。このため、斜めにすればよいという単純なルールではなく、実際の機器と現場で短い試験計測を行う必要があります。

Visual SLAMでも同様に、正対と斜めのどちらが常に有利とは限りません。視点を変えると映り込みの位置や明るさが変わるため、ガラス面を画像の大部分に入れ続けるより、柱、床、天井、サッシなどの実体面が同時に入る向きを選ぶことが重要です。

長いガラス通路では、中央線上だけを一直線に歩くのではなく、通行と安全に支障がない範囲で歩行位置や向きを少し変え、同じガラス面を異なる条件から確認できるようにします。ただし、センサーを意図的に大きく振り回す必要はありません。SLAM機器の推奨する移動速度や姿勢を守り、連続した観測が保てる範囲で視点を変えます。

本計測前には、数メートルから十数メートル程度の代表区間で、正対に近い条件、やや角度を付けた条件、歩行位置を変えた条件などを比較します。その際に見るべきなのは、ガラス面が多く点群化されたかどうかだけではありません。柱や床が二重化していないか、ガラスの外側に仮想面が生じていないか、軌跡が安定しているかを確認します。

計測後にガラス面と平行な不自然な点の帯や、実際には存在しない位置の壁状点群が見える場合は、反射や透過によるアーティファクトを疑います。同じ区間を別方向から取得し、固定物が同じ位置へ再現されるかを比較すると判断しやすくなります。

重要なのは、特定の角度を万能な対策として扱わず、ガラス以外の安定した実体面を十分に観測できる向きを優先することです。ガラスの見え方と軌跡の安定性を短い試験計測で比較し、その機器と現場に合う観測方向を選びます。

対策2 ガラス以外の固定物が取れる離隔を確保する

ガラス張り通路では、どこを歩くかも点群品質に影響します。ただし、ガラスから何メートル離れれば安全という共通の基準はありません。適切な離隔は、使用するSLAM機器の有効距離、視野角、センサー配置、通路幅、ガラス以外の固定物の位置などによって変わります。

避けたいのは、ガラス壁のすぐ近くを長時間平行移動し、観測範囲の大部分がガラスや映り込みだけで占められる状態です。距離そのものより、柱、床、天井、壁、梁、サッシなど、位置推定に使える固定物が複数方向から継続して観測できるかを基準に歩行位置を選びます。

通路の片側がガラスで反対側が不透明壁の場合には、ガラスぎりぎりではなく、反対側の壁や床、天井も安定して取得できる位置を候補にします。両側が全面ガラスの場合には、サッシ、支柱、天井梁、床境界、固定設備など、透明ではない構造が十分に視野へ入る位置を探します。

距離を取ることには、ガラス面だけが視野を占める状態を避けやすいという利点があります。ただし、距離を離せば反射由来の誤点が必ず減ると断定はできません。受光強度や有効距離は機器ごとに異なり、ガラス面と周囲の物体配置によって反射経路も変わるためです。距離は単独の対策ではなく、観測できる固定形状の割合を確保するための計画要素として扱います。

通路が狭く十分な離隔を確保できない場合は、距離だけで解決しようとせず、移動速度を安定させ、柱や扉枠など特徴のある場所を確実に通過し、必要に応じて往復や追加経路を設定します。LiDAR主体の機器では形状が連続して取れるかを、カメラ主体の機器では十分な特徴と露出が得られているかを確認します。

ガラス面そのものを詳細に取得したい場合も、近づけば必ず精細になるとは限りません。透明面では、近距離でも面の戻りが不安定になったり、ガラス越しの実体や反射由来の点が混在したりします。詳細なガラス位置が成果上重要な場合には、SLAM点群だけに依存せず、サッシや枠など実体形状から面位置を推定できるか、別方式の計測を併用すべきかを検討します。

本計測の前には短い試験区間を設け、通路中央、ガラス寄り、反対側寄りなど異なる歩行位置から同じ区間を取得します。ガラス付近の誤点だけでなく、柱、床、サッシ、天井などの再現性を比較し、最も安定する経路を決めます。

この確認を省略して全区間を一度に計測すると、後処理の段階で軌跡ずれや反射由来の仮想点に気づき、再計測が必要になる場合があります。ガラス張り通路のような特殊環境では、距離の絶対値を決め打ちするより、代表区間で機器と環境の相性を確認してから本計測へ進む方法が安全です。

対策3 柱や床など安定した実体面を軌跡推定に使う

ガラス張り通路のSLAM計測では、何を点群化したいかと同じくらい、どの固定物を自己位置推定の手掛かりとして継続的に残すかが重要です。

全面がガラスに見える通路でも、サッシ、柱、梁、床、天井、扉枠、壁面、設備、案内板の支持部など、不透明で動かない構造物が存在します。こうした物体を計測経路へ意識的に取り込むことで、ガラス由来の不安定な観測だけに依存する状況を避けやすくなります。

特に長い直線通路では注意が必要です。同じ形状が繰り返される環境では、ガラスの問題がなくても幾何学的な変化や画像特徴が不足する場合があります。柱の間隔が一定で、床材も同じ、天井形状も同じという空間では、似た場面が連続するためです。

このような場所では、ガラス区間の途中から突然計測を始めるのではなく、入口付近の壁、柱、扉、曲がり角など特徴の多い領域から開始し、周辺形状を十分に観測してから本区間へ入ります。終端側でも可能であれば、特徴の多い空間まで計測を継続し、軌跡の確認材料を増やします。

床や天井も観測対象として有用ですが、どちらか一面だけで十分とは限りません。光沢床は反射の影響を受けることがあり、平坦な床や天井だけでは移動方向によって拘束が弱くなる場合もあります。段差、目地、床端部、梁、設備、柱など、複数方向の形状変化が同時に入る状態をつくることが重要です。

また、通路内を人が頻繁に移動する場合には、歩行者や台車を固定形状の代わりにしないようにします。動体は計測中に位置が変化し、ガラス面には反射像も現れるため、実体と反射像の両方がデータへ影響することがあります。施設運用上可能であれば、人通りの少ない時間帯を選ぶほうが後処理を行いやすくなります。

計測者自身や同行者の姿がガラスへ大きく映り込む環境にも注意します。画像を利用するSLAMでは、反射像が画面の大部分を占める状態が長く続くと、固定環境とは異なる視覚変化が増えます。同行者が必要な場合も、センサー前方を一定距離で歩き続けるなど、画面内で大きな動体になり続ける配置は避けます。

つまり、ガラス張り通路では通路全体を均等に見ることより、安定している固定物の観測を途切れさせないことを優先します。どの柱や壁面を通過するか、どこで特徴の多い領域へ戻るかを計画しておくと、局所的に反射由来の誤点が発生しても、軌跡全体の品質を確認しやすくなります。

対策4 同じ区間を異なる方向から重ねて計測する

ガラスによる誤点を判断するとき、1回の計測結果だけでは、どの点が実体でどの点が反射や透過の影響を受けたものか分かりにくいことがあります。そこで有効なのが、重要区間を異なる方向や位置から重ねて取得し、再現性を確認する方法です。

ガラスの反射や映り込みは、観測位置や角度が変わると見え方が変化します。一方、柱、床、サッシ、壁など実際に固定されている物体は、観測方向が変わっても基本的には同じ位置に存在します。この差を利用すると、視点依存で現れる疑わしい点を見分けやすくなります。

例えば通路を入口から出口まで計測した後、施設運用と安全条件が許せば、出口側から入口側へ戻ります。往路と復路で観測方向が変わるため、ガラスへの入射条件や映り込みも変化します。その結果、片方向だけに現れる点と、両方向で同じ場所に再現される構造を比較できます。

ただし、往復すれば必ず品質が上がるわけではありません。往路と復路の自己位置推定がそれぞれ不安定であれば、実体面そのものがずれて二重になることがあります。そのため、重複計測ではガラス面だけを見るのではなく、柱、床、壁、梁などの固定物が正しく重なっているかも確認します。

固定物まで往路と復路で大きく離れている場合は、ガラス由来の局所ノイズだけではなく、軌跡全体にずれが生じている可能性があります。反対に、柱や床はよく一致しているのにガラス付近だけ点が分散しているのであれば、透明面や鏡面反射の影響を疑いやすくなります。

SLAM方式によっては、既に通った場所を再び観測してループ閉合の候補を得られることがあります。ただし、開始地点へ戻れば自動的にすべての誤差が修正されるわけではありません。ループ閉合の成立条件や最適化方法は機器やソフトウェアによって異なり、ガラスのように観測自体が不安定な場所では誤対応の可能性も考慮する必要があります。

そのため、長いガラス通路だけで軌跡を閉じるより、入口、曲がり角、柱の集中部、固定壁のあるスペースなど、特徴が比較的豊富な場所を重複させるように経路を設計します。重要箇所では、通路中央からの往復だけでなく、安全に可能であれば左右位置を変えた追加取得も有効です。

重複計測の目的は単純に点数を増やすことではありません。異なる観測でも同じ位置に再現される点なのか、視点を変えると移動したり消えたりする点なのかを確認し、ガラス周辺の誤点を判断する材料を増やすことにあります。

対策5 許可される範囲で一時的な目印を配置する

ガラス張り通路では、透明な面が続くことで位置推定に使える特徴が不足する場合があります。特に柱やサッシが少なく、左右の構成も似ている通路では、計測中だけ識別しやすい特徴を追加する方法が有効になることがあります。

ただし、一時的な目印が有効かどうかはSLAMのセンサー方式に依存します。カメラ主体のVisual SLAMでは、高コントラストで十分な大きさの模様や専用マーカーが画像特徴として利用できる場合があります。一方、幾何形状を主に使うLiDAR SLAMでは、平面に印刷物を貼るだけでは三次元形状が増えないため、自己位置推定への効果が限定的なことがあります。

LiDAR主体の機器で環境側へ特徴を追加する場合は、機器が距離形状として識別できる固定物や、メーカーが想定するターゲットを使用する考え方が適しています。反射強度だけを利用するターゲットについても、波長や受光方式、アルゴリズムによって扱いが異なるため、機器仕様を確認せず一般化しないことが重要です。

施設管理者や施工管理者の許可が得られる場合には、既設柱の近くや許可された仮設物へ一時的な目印を配置します。ガラスへ直接加工したり、粘着剤や塗料が残る材料を使ったりすることは避け、仕上げ保護と施設運用のルールを優先します。

目印を配置する場合も、同じ形のものを一定間隔で大量に並べればよいわけではありません。同じ外観が規則的に繰り返されると、カメラ系では似た特徴が増え、識別しにくくなる場合があります。配置や周辺構造との組み合わせに違いを持たせ、どの位置の目印か後から確認できるようにします。

また、目印は十分に固定します。空調の風、人の接触、扉の開閉などで移動するものは固定環境の特徴として利用できません。計測途中で位置が変われば、むしろ不整合の原因になります。

目印を使用できない施設では、既存の固定構造を確認点として利用します。柱の形状、扉枠、床目地の交点、天井設備の支持部、壁の凹凸など、動かず三次元的に識別しやすい対象を優先します。文字や表示内容そのものを特徴として期待する場合は、カメラ系で認識できる大きさや照明条件が必要になります。

一時的な目印を設置した場合には、位置と種類を現場写真やメモで記録します。後処理で点群を確認するときに、仮設物を恒久構造物と誤認しないためです。最終成果に不要な仮設物は、目的に応じて除外します。

ガラス通路で特徴が不足している場合は、機器設定だけで解決しようとせず、センサー方式に合う固定特徴を増やすことも選択肢になります。ただし、施設保護、安全管理、機器仕様の三つを確認してから実施することが重要です。

対策6 後処理で誤点を識別して除去する

どれだけ計測経路を工夫しても、ガラス張り通路で反射や透過の影響を完全になくすことは難しい場合があります。そのため、現場計測と同じくらい重要なのが、取得後に誤点を識別し、成果用途に応じて整理する工程です。

最初に確認したいのは、ガラス面付近に不自然な点群がないかです。実際には何も存在しない空間に点が浮いている、壁面が平行に二重化している、ガラスの反対側に実物を鏡写ししたような点群がある、といった状態は反射由来の仮想点を疑う材料になります。

ただし、ガラスの向こう側に実際の柱や建物が存在する場合、その点群は必ずしも誤点とは限りません。LiDARがガラスを透過し、奥の実物から戻った信号を距離として取得する場合があるためです。このため、ガラスより外側の点をすべて削除するような単純処理は避けます。

正しい判断には現場状況との照合が必要です。平面図、現地写真、往復計測の結果、既知の柱位置、ガラス枠の位置などを利用し、実在する構造物なのか、反射で生じた仮想点なのかを確認します。

点群を断面表示すると判断しやすくなることがあります。平面表示だけでは密集して見える点も、横断面や鉛直断面で見ると、ガラス面を境に鏡写しのような配置になっていたり、実際の壁とは異なる位置に面状の点が現れていたりすることがあります。複数方向の断面と三次元表示を組み合わせて確認します。

誤点除去では、一括して強いフィルターを適用する方法だけに頼らないことも重要です。細いサッシ、手すり、配管、ケーブルなど、本来必要な細部まで孤立点やノイズとして除去される可能性があります。設備調査や改修設計で利用する点群では、必要な対象の太さや密度を考慮して処理条件を決めます。

最初に明らかに不要な遠方点や孤立点を整理し、その後、ガラス周辺を範囲ごとに確認する方法が安全です。自動フィルターや反射除去機能を使用する場合も、処理後の点群だけを見るのではなく、原データと比較し、必要な実体点まで消えていないか確認します。

成果用途によって必要な処理レベルは変わります。通路幅や柱位置を確認する用途であれば、ガラス面そのものを完全な平面として再現する必要がない場合があります。一方、サッシ改修やガラス取付位置の詳細確認を目的とする場合は、SLAM点群だけで寸法を確定せず、必要精度に応じて別の測量方法や既知点との照合を検討します。

後処理の目的は、点群を見た目だけきれいにすることではありません。実際の構造を誤認しない成果へ整えることです。削除した範囲や判断基準を記録しておけば、後から成果を利用する担当者もデータの性質を理解しやすくなります。

誤点対策と同時に確認したいSLAM計測の品質

ガラス張り通路のSLAM計測では、反射による誤点だけを確認していると、別の問題を見逃すことがあります。特に注意したいのが軌跡全体のずれです。

ガラス面周辺に疑わしい点があっても、柱や床、壁などの固定物が異なる観測で同じ位置へ整合していれば、問題が局所的である可能性があります。一方、通路の入口と出口で全体がねじれていたり、往路と復路で柱位置までずれていたりする場合は、反射由来の点だけではなく、自己位置推定の誤差が蓄積している可能性を確認する必要があります。

確認の基本は、実在する固定物の再現性を見ることです。同じ柱を複数回通過したときに同じ位置へ重なるか、往復した床端部が一致しているか、開始地点付近へ戻ったときに周囲の壁や柱が二重化していないかを確認します。

高さ方向も見逃せません。長い通路を往復した結果、同じ床面が上下に分かれている場合には、高さ方向の軌跡差が生じている可能性があります。ガラス付近の誤点だけを消しても、床や天井そのものがずれていれば、用途によっては再計測や再処理が必要です。

計測中の移動方法も品質へ影響します。急激な方向転換、機器を大きく振る動き、走るような移動は避け、機器メーカーが推奨する姿勢と速度を守ります。ガラス張り通路では観測条件自体が難しいため、センサー追跡をさらに不安定にする動きを加えないことが重要です。

通行人が多い時間帯では、施設運用上可能であれば計測時間を調整します。全面ガラスでは実際の歩行者に加えて反射像も生じるため、多数の人が動いている状況では点群や画像の判定が難しくなります。ただし、利用者の安全や施設管理を優先し、無理な時間帯で計測する必要はありません。

扉の開閉にも注意が必要です。ガラス扉が計測途中で開閉すると、同じ部材の位置や向きが変わります。自動扉などがある場所では、可動物そのものを固定基準とせず、周囲の固定壁や柱を十分に取得しておきます。

日射や照明条件も確認します。時間帯によってガラスへの映り込み、外部景色の明るさ、逆光の強さが変化します。カメラ画像を利用するSLAMでは、極端な明暗差や反射が特徴抽出や追跡へ影響する場合があります。重要区間では、現場条件が大きく変わる時間帯を避けるか、短い試験計測で状態を比較します。

このように、ガラスの誤点対策は単独で考えるのではなく、軌跡、固定物の重複、高さ、動体、扉、照明条件まで含めて品質を確認することが重要です。

現場で使える計測前後の運用手順

実務でガラス張り通路を計測するときは、本番計測を開始する前に現場を歩いて確認します。どこまでガラスが連続するのか、固定壁や柱がどこにあるのか、通行人が多い場所はどこか、扉が動く場所はどこか、強い逆光や鏡面床があるかを把握します。

次に、開始地点を選びます。可能であれば、ガラスだけに囲まれた場所から開始するのではなく、壁、柱、床、天井、扉など特徴の多い場所から計測を始めます。機器の初期化や自己位置推定が安定したことを確認してからガラス区間へ入る考え方です。

その後、代表的な短い区間で試験計測を行います。歩行位置、観測方向、移動速度を大きく変えすぎない範囲で条件を比較し、ガラス付近の仮想点だけでなく、柱や床の重なり、軌跡の安定性も確認します。ここで適切な離隔と経路を決めます。

ガラス区間へ入ったら、周囲の固定物が継続してセンサーへ入る経路を取ります。必要であれば歩行位置を少し変え、ガラス面だけが視野の大部分を占める状態を避けます。柱、扉枠、梁など特徴のある場所では、通常の運用範囲で安定した速度を保ち、確実に観測します。

通路終端ではすぐに計測を止めず、可能であれば特徴の多い周辺空間まで取得します。その後、復路を計測できる場合には別方向から同じ区間を重ねます。往復の際は、ガラス付近の点だけでなく、柱、床、壁が重なるかを確認します。

本計測が終わったら、その場でデータ確認を行える環境であれば、現地を離れる前に代表箇所を確認します。入口、中央、出口などで、ガラス付近に異常な点が集中していないか、柱が二重になっていないか、床に段差状のずれが出ていないかを見ます。

問題が一部区間だけであれば、その場で追加計測できる可能性があります。現場を撤収してから異常に気づくと、再入場手続きや施設調整が必要になることもあります。そのため、難しい環境ほど現地での一次確認を重視します。

後処理では、まずガラス以外の固定物が整合していることを確認します。その後、ガラス付近の点を調べます。この順序にすると、ガラス由来の局所的な問題なのか、軌跡そのものの問題なのかを区別しやすくなります。

さらに、成果として必要な範囲を明確にします。SLAM計測で得られた点群を、現況確認、設備配置、改修検討、施工記録など何に利用するかによって、残すべき点と除去できる点は変わります。通路の柱芯や床形状が目的であれば、ガラス越しの外部景色まで完全に残す必要はありません。一方、サッシ周辺を利用する場合には、必要な細部を誤って削除しないよう慎重に処理します。

SLAM点群を現場全体の座標や別の測量成果と組み合わせる場合には、座標基準の確認も必要です。SLAM内部で形状がきれいに見えていても、それだけで外部座標との整合が保証されるわけではありません。既知点や別測量の成果を利用して、位置、方向、高さが必要精度に収まっているかを確認します。

屋外や開口部付近など、衛星測位を安定して利用できる場所がある場合には、SLAMとは別に高精度な位置を取得し、基準点や検証点として位置関係を確認する方法があります。ただし、GNSSで取得した点をSLAM点群へどのように結合するかは、使用する機器、アプリ、処理ソフトの仕様に従います。相対的なSLAM形状と現場座標への位置合わせを分けて検証することが重要です。

まとめ

ガラス張り通路は、SLAM計測にとって条件の厳しい環境の一つです。ガラスは光の一部を反射し、一部を透過するため、LiDARではガラス面、ガラス越しの実物、反射経路による仮想点が混在する場合があります。画像を使うSLAMでも、低テクスチャ、映り込み、強い明暗差、繰り返し形状などが位置推定を難しくする要因になります。

対策の基本は、ガラスだけに依存しないことです。特定の斜め角度を万能な対策とせず、短い試験計測で観測方向を比較します。距離についても一律の数値を決めるのではなく、柱、床、天井、梁、壁など安定した固定物を複数方向から継続して取得できる歩行位置を選びます。

重要区間では方向や位置を変えて重複計測し、異なる観測でも同じ場所に再現される構造かを確認します。特徴の少ない長い通路で一時的な目印を使う場合は、カメラ主体かLiDAR主体かによって有効な目印が異なるため、センサー方式と機器仕様に合う方法を選びます。

計測後には、ガラスの外側にある点を機械的にすべて削除するのではなく、現場写真、断面表示、往復計測結果、既知の構造位置などと比較して誤点を判断します。ガラスを透過して実在する構造物を取得している場合もあるため、反射由来の仮想点と実体点を区別する確認が欠かせません。

同時に、柱、床、天井などガラス以外の固定物が正しく重なっているかを確認します。固定物まで二重化している場合には、局所的な反射ノイズだけではなく、軌跡全体のずれを疑う必要があります。SLAM計測では、見た目の点群密度だけで品質を判断せず、同じ構造が異なる観測でも同じ位置へ再現されるかを見ることが重要です。

ガラス張り通路で安定したSLAM計測を行うには、機器設定だけに頼るのではなく、試験計測、歩行位置、観測方向、固定物の配置、重複計測、現地確認、後処理までを一つの工程として設計します。反射を完全になくすことを目標にするのではなく、反射や透過の影響を予測し、実体点と疑わしい点を識別できるデータを取得することが実務上のポイントです。

さらに、SLAM点群を施工管理や現況確認で活用するときは、点群内部の形状だけでなく、現場の基準座標との関係も確認します。屋外や開口部周辺など衛星測位が安定して利用できる場所では、LRTK Phoneで高精度な位置情報を取得し、既知点や検証点としてSLAM計測で得た三次元情報と照合する運用も検討できます。実際の結合手順は使用する機器やソフトウェアの仕様に従い、ガラスの反射対策と座標整合性を分けて確認することが、安全で再利用しやすい点群成果につながります。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る

技術記事一覧へ戻る →