法面をSLAM計測するとき、草や低木、つる植物などの植生が多い場所では、コンクリート構造物や舗装面を計測する場合とは異なる難しさがあります。風で動く葉や枝が複数の位置に記録されたり、地表面が植生に隠れて点を取得できなかったりすると、完成した点群が厚く見えたり、地面の位置が分かりにくくなったりします。
特に法面では、地表の形状や変状、排水施設、法肩、法尻、小段などを確認するために点群を利用することがあります。そのため、単に大量の点を取得するだけではなく、「どの点が地表で、どの点が植生なのか」を判断しやすい状態で計測することが重要です。
SLAMは周囲の形状やセンサーの動きを利用しながら自己位置を推定し、連続的に周囲を三次元化する技術です。一方、SLAMでは基本的に静的な環境の情報が位置推定に利用しやすく、移動する対象が多い環境では点群や自己位置推定に影響が生じる場合があります。風で揺れる植生も、条件によってはこのような動的な対象として扱う必要があります。
この記事では、「SLAM 計測」で法面を測りたい実務担当者に向けて、植生が多い場所で点群ノイズを減らすための5つの方法を解説します。現場での計測方法だけでなく、後処理を見据えた考え方や品質確認まで含めて整理します。
植生が多い法面でSLAM計測が難しくなる理由
植生が多い法面の点群が乱れやすい最大の理由は、計測対象が完全な静止物ではないことです。コンクリート擁壁や建物の壁であれば、通常は計測中に表面形状が大きく変化することはありません。しかし、草、葉、細い枝、つる植物などは風によって絶えず動きます。
例えば、ある瞬間には法面から30cm離れた位置にあった葉が、次の瞬間には風によって20cm程度別の位置へ移動することがあります。センサーから見れば、それぞれの瞬間で異なる位置に反射面が存在することになります。その結果、点群上では一枚の葉が一点として記録されるのではなく、一定の範囲に広がった点として残る場合があります。
植生が密集している場所では、このような点が大量に重なります。その結果、本来の法面よりも手前に厚い点群の層ができ、地表面との境界が分かりにくくなります。
もう一つの問題が遮蔽です。レーザーなどを利用する計測では、センサーから対象までの間に葉や枝が存在すると、その背後にある地表へ十分な計測光が届かないことがあります。つまり、植生が多い場所では「余計な点が増える」と同時に「必要な地表の点が減る」という二つの問題が発生します。
さらにSLAM計測では、取得した周囲の形状を利用してセンサー自身の移動を推定します。動いている物体や一時的にしか見えない対象が多く含まれると、位置合わせに利用できる安定した特徴が少なくなる場合があります。動的な対象がSLAMの位置推定や地図品質を低下させることは、動的環境を対象としたSLAM研究でも広く扱われています。
法面ではさらに、斜面そのものが比較的単純な面形状になっている場合があります。草に覆われた均質な斜面を長時間歩き続けると、周囲の形状変化が少なくなり、位置推定に利用できる特徴が不足することがあります。
そのため植生法面のSLAM計測では、計測後にノイズを削除するだけでは十分ではありません。計測前から植生の動き、地表への視線、周囲の固定物、歩行経路、再走査方法まで考えておくことが重要です。
方法1 風が弱い時間帯を選んで植生の動きを抑える
植生による点群ノイズを減らす方法として、最初に検討したいのが計測時間帯です。植生が動いてから後処理で除去するより、計測時点でできるだけ植生が静止している状態を作る方が、点群処理は容易になります。
風が強い状態では、草の先端や細い枝が常に動き続けます。同じ場所を数秒間計測しただけでも、それぞれの瞬間で反射位置が異なるため、点群が一定の厚みを持った帯のようになることがあります。
法面全体が低い草に覆われている場合、この現象が斜面全体に発生します。点群を断面表示すると、本来一つの地表面として見たい部分が数cmからそれ以上の幅を持つ点の層に見えることがあります。実際の厚みは植生の種類、風、計測距離、センサー特性などによって変わるため、一律の値で判断することはできません。
したがって計測前には、現地の風の状態を確認することが重要です。風速の数値だけで判断するのではなく、実際に法面を見て、草の穂先や葉がどの程度動いているかを観察します。
特に注意したいのが、平地では穏やかでも法肩付近だけ風が強いケースです。法面の形状や周囲の地形によって風の流れが変わるため、計測開始地点だけを見て判断すると、途中から植生の揺れが大きくなることがあります。
可能であれば、計測前に法尻から法肩まで短時間歩き、植生の動き方を確認します。法面全体が大きく揺れている場合は、時間を変えて計測した方が良い結果を得られることがあります。
ただし、「朝なら必ず風が弱い」「特定の時間なら必ず安定する」と決めつけるのは適切ではありません。風の状態は地形や季節、天候によって変化します。現地の状態を確認したうえで、植生が比較的静止している時間を選ぶことが基本です。
また、風が一時的に止んだ瞬間だけ急いで計測するのではなく、ある程度安定した状態が続いているかを見ることも重要です。広い法面では計測に時間がかかるため、開始時だけ無風でも途中から風が強くなると、区間ごとに点群品質が変わってしまいます。
点群を後から比較するときに品質差の原因を追えるよう、計測開始時と終了時の植生状態を写真や記録として残しておく方法も有効です。特に同じ法面を定期的にSLAM計測する場合は、植生の状態や風の強さが異なるだけで点群の見え方が変化する可能性があるため、計測条件を記録しておくと比較しやすくなります。
方法2 地表が見える方向を変えながら複数方向から計測する
植生法面では、一本の動線だけで計測を完了させようとしないことが重要です。
葉や草による遮蔽は、見る方向を変えることで改善できる場合があります。正面から見ると葉に完全に隠れている地表でも、斜め方向や反対方向から見ると葉の隙間を通して地面が見えることがあります。
この性質を利用し、同じ法面を複数方向から観測します。
例えば法尻を一方向へ歩いた後、折り返して逆方向から同じ斜面を計測します。小段がある場合は、小段から上下方向を観測することで、法尻からだけでは取得しにくかった場所を補える可能性があります。
ここで重要なのは、単純に計測回数を増やせば良いわけではないことです。同じ位置、同じ方向、同じ高さから何度も計測しても、同じ葉によって地表が遮蔽されていれば欠測部分はほとんど変わりません。
有効なのは、センサーから地表への視線方向を変えることです。
法面に対して真正面から近づくだけではなく、左右方向から斜めに観測したり、可能な範囲で高さを変えたりします。植生の隙間を通る方向が変われば、地表から得られる点が増える可能性があります。
ただし、急な法面や崩落のおそれがある場所へ無理に近づくべきではありません。点群取得のために安全性を下げることは避け、立入可能範囲や現場の安全ルールの中で走査方向を調整します。
また、法面に近づきすぎると視野の一部しか取得できず、周囲の固定物が少なくなる場合があります。反対に離れすぎると、植生の隙間から取得できる地表点が少なくなることがあります。対象法面の高さや植生密度を見ながら、法面全体と周囲の固定物を同時に捉えられる距離を探すことが重要です。
特に草丈が高い法面では、法面に平行な移動だけでは地表の見える方向がほとんど変わらない場合があります。その場合には、立入可能な場所で少し前後方向にも移動し、観測角度を変えます。
複数方向から得た点群を見ると、どの場所が常に植生で隠れているのかも分かります。すべての方向から地表が見えない部分については、後処理で無理に地表形状を推定するのではなく、「地表点を十分に取得できていない範囲」として扱う判断も必要です。
植生を計測した点と実際の地表を計測した点は同じものではありません。取得できていない地表を周囲の点から補間すると、一見滑らかな法面を作成できる場合がありますが、それが実際の地表形状を表しているとは限りません。
そのため、地表形状を評価する目的でSLAM計測を行う場合は、「点があること」と「地表を直接計測できていること」を分けて考えることが重要です。
方法3 植生の少ない固定物をつないでSLAMの軌跡を安定させる
植生が多い法面では、地表そのものだけを見ながら計測するのではなく、周囲に存在する固定物を積極的に利用します。
SLAMでは連続する観測データの特徴を利用しながら自己位置を推定するため、位置や形状が変化しない対象を継続して観測できる環境の方が安定しやすくなります。
法面周辺には、排水構造物、擁壁、側溝、階段、小段の構造物、支柱、法枠など、植生より動きにくい対象が存在する場合があります。このような対象を計測経路の中で連続的に捉えることがポイントです。
例えば、植生だけが広がる斜面を見ながら一直線に移動するよりも、法尻の側溝や擁壁などを視野に含めながら移動した方が、固定した形状を継続的に取得しやすくなります。
もちろん、どの固定物がどの程度位置推定に利用されるかは、使用するSLAM方式やセンサー構成、処理方式によって異なります。しかし実務上は、動いている草だけで画面や計測範囲が占められる状態を避け、静止した立体形状をできるだけ同時に取得するという考え方が有効です。
注意したいのが、細長い法面を一方向へ長距離移動するケースです。
同じような植生が続く法面では、計測開始地点から離れるほど、特徴の少ない環境を長時間移動することがあります。そこで一定間隔で固定構造物を確認しながら進む、短い区間ごとに折り返す、既に計測した場所へ戻るなど、経路に変化を持たせます。
開始地点付近に固定した構造物がある場合は、計測開始時にその周囲を十分に取得してから法面へ移動する方法も考えられます。終了時に再び同じ場所へ戻れる経路であれば、計測全体の整合性を確認しやすくなります。
ただし、同じ場所へ戻っただけで必ず位置ずれが補正されるとは限りません。ループを利用した補正の有無や動作条件はSLAMの処理方式によって異なるため、使用するシステムの仕様を確認する必要があります。
重要なのは、現場で計測軌跡を設計するときに「法面をすべて見れば終わり」と考えないことです。
地表を取得するための視線と、SLAMの位置推定を安定させるための視線は必ずしも同じではありません。植生の隙間から地面を見ることに集中しすぎると、固定構造物が視野から外れることがあります。
そのため、地表確認用の走査と、周囲の固定形状を維持する走査を両立できる動線を考えることが、植生法面では重要になります。
方法4 同じ区間を往復して一時的な点と固定した点を見分ける
植生が多い法面では、一度だけ計測した点群から「地面」と「植生」を完全に見分けることが難しい場合があります。
そこで有効なのが、同じ区間を時間差を持って再計測する方法です。
地面、擁壁、側溝、法枠などは通常、短時間の間に位置が大きく変化することはありません。一方、草や葉は風によって位置が変わります。
往路と復路の点群を比較したとき、両方で同じ場所に安定して存在する点は、固定した対象である可能性が高くなります。反対に、一方の走査にだけ現れる点や、広い範囲で位置が変化している点は、植生や一時的な対象である可能性があります。
この考え方は後処理にも利用できます。
例えば法面を断面表示し、往路と復路で地表付近に共通して存在する点を確認します。植生部分だけが大きくばらついていて、その奥に比較的連続した面が存在するのであれば、その連続面を地表候補として確認できます。
ただし、往復したからといって単純に二つの点群を重ねればよいとは限りません。
往路と復路の位置合わせ自体にずれがある場合、固定物まで二重に見えてしまいます。その状態で「二重に見える点は植生」と判断すると、本来残すべき構造物を削除する危険があります。
まず固定構造物や地表の露出部分を確認し、二つの走査が正しく整合しているかを見ることが必要です。
同じ法面を往復するときは、できれば完全に同じ経路を逆向きに歩くだけではなく、周囲を確認できる範囲で少し観測方向を変えると、遮蔽対策にもなります。
往路では法尻側から斜め上方を観測し、復路では少し異なる位置から同じ斜面を見るといった方法です。これにより、再現性の確認と遮蔽部分の補完を同時に行えます。
また、植生の揺れが非常に大きい場合、往路と復路で取得される草の形状が大きく異なることがあります。この差はノイズの原因になる一方、どこが動的な部分なのかを判断する材料にもなります。
動的な対象を検出または除外し、静的な特徴を利用することでSLAMや点群地図の品質を改善する考え方は、動的環境向けのSLAMでも採用されています。
現場計測でも同様に、すべての点を同じ信頼度で扱わず、「何度計測しても同じ位置にある点」と「計測するたびに位置が変わる点」を分けて見ることが重要です。
方法5 後処理で孤立点と植生点を段階的に除去する
計測方法を工夫しても、植生が多い法面では一定量の不要点が残ることがあります。そのため、最終的には点群処理による整理が必要です。
ここで重要なのは、一度の強いフィルタリングですべてを消そうとしないことです。
強い条件でノイズ除去をすると、草や葉だけでなく、細い排水施設、法枠の角、地表の小さな凹凸など、本来残したい形状まで消える可能性があります。
まず確認したいのが孤立点です。
点群本体から離れた位置に少数だけ存在する点は、不要点として判断しやすい場合があります。周囲に十分な点が存在しない点を候補として抽出し、明らかに計測対象から離れているものを整理します。
次に、局所的に密度や厚みが異常に大きい場所を確認します。
風で揺れた植生は、断面上で見ると地表から上方へ広がる点の帯として現れる場合があります。一方、地表は比較的連続した面として現れることがあります。
ただし、地表が必ず最も低い点になるわけではありません。法面周辺には側溝、凹地、石、倒木などがあるため、「低い点だけ残す」といった単純な処理では誤判定する可能性があります。
地表分類を行う場合は、局所的な高さだけではなく、周囲との連続性や傾斜も確認します。
法面では特に注意が必要です。水平地面向けの条件をそのまま急斜面へ適用すると、実際の地表を植生や異常点として除去してしまうことがあります。
例えば、周囲との高さ差だけで地表を判定する処理では、急勾配の斜面そのものが大きな高さ変化として扱われる場合があります。そのため、対象法面の勾配に合わせて処理条件を確認する必要があります。
実務では、最初から法面全体を処理するのではなく、地表が露出している部分と植生が密集している部分を含む小さな範囲を選び、フィルタリング結果を確認してから全体へ適用する方が安全です。
処理前と処理後の点群を必ず比較することも重要です。
ノイズが減って見た目がきれいになったとしても、それだけでは良い点群とは言えません。法肩や法尻の形状、排水溝、段差、局所的な凹凸など、必要な情報が維持されているかを確認します。
さらに、フィルタ処理後に地表面を生成する場合は、点が取得できていない範囲と、植生除去によって点がなくなった範囲を区別する必要があります。
大量の植生点を削除すると、その場所に大きな空白ができます。その空白を自動的に補間すると、一見連続した法面が生成されますが、実測していない地表を推定によって埋めている可能性があります。
法面の変状確認や施工管理など、実際の形状が重要になる用途では、この違いを意識して処理することが欠かせません。
植生法面では点を減らしすぎないことも重要
点群ノイズを減らすというと、「不要な点をできるだけ削除すること」が目的になりがちです。しかし、植生法面では削除量を増やせば品質が高くなるとは限りません。
点群処理の目的は、きれいな画像を作ることではなく、計測対象を適切に把握できるデータを作ることです。
例えば法面に小さな落石や表面の侵食が存在している場合、それらは周囲の地表面から突出した形状として現れることがあります。強い外れ値除去を適用すると、このような実在する形状までノイズと判断される可能性があります。
排水管の先端、細い法枠、小規模な段差、露出した根なども同様です。
特に自動処理を行った後は、「消えた点が本当に不要だったか」という視点で確認する必要があります。
確認しやすい方法の一つが断面表示です。
三次元表示だけでは、植生の点と地表の点が重なり、どの程度の厚みがあるのか分かりにくい場合があります。法面に対して縦断方向と横断方向の断面を作成すると、地表候補となる連続面と、その表面から離れて分布する植生点を区別しやすくなります。
断面位置を少しずつ移動し、地表形状が連続しているかを見ることも重要です。
一つの断面だけを見ると、たまたま植生の隙間から得られた点を地表と誤認することがあります。隣接する複数の断面でも同様の面が確認できれば、地表として判断できる材料が増えます。
点密度だけで品質を評価しないことも重要です。
植生部分では非常に多くの点が取得されているのに、肝心の地表点がほとんど存在しない場合があります。この状態では「高密度な点群」であっても、法面地表の形状確認には十分ではありません。
必要なのは、目的とする対象から点を取得できていることです。
したがって、植生法面のSLAM計測では総点数よりも、地表、法肩、法尻、小段、排水施設など必要な対象が連続して取得できているかを見る方が実務的です。
法面のSLAM計測で確認しておきたい品質ポイント
計測が終了したら、現場を離れる前に可能な範囲でデータを確認することが重要です。
最初に確認したいのは、点群全体の形状です。
歩行経路に沿って法面が不自然に曲がっていないか、同じ構造物が二重に表示されていないか、往路と復路で位置が大きくずれていないかを確認します。
植生ノイズとSLAM自体の位置ずれは区別して考える必要があります。
植生だけが厚く表示されている一方で、側溝や擁壁などの固定構造物が一致しているのであれば、主な原因は植生の揺れである可能性があります。
反対に、固定構造物まで二重になっている場合は、植生除去だけでは解決できません。自己位置推定や点群の位置合わせに問題が生じている可能性も考え、計測軌跡や周囲の固定物の取得状態を確認します。
次に、地表の欠測範囲を確認します。
植生点が大量に存在すると、一見すると法面全体を計測できているように見えます。しかし植生を非表示にしたり断面で確認したりすると、地表点がほとんど取得されていない範囲が見つかることがあります。
この確認を現場で行えれば、必要に応じて観測方向を変えて追加計測できます。
法肩や法尻も重点的に確認します。
法面の形状を評価するとき、法肩と法尻は境界を把握するうえで重要ですが、草が集中しやすい場所でもあります。境界付近が植生に隠れていると、法面の高さや範囲を判断しにくくなります。
小段がある法面では、小段の奥側や排水施設周辺も確認します。正面からの計測だけでは、小段上面や壁際が死角になることがあります。
また、同じ法面を定期的に計測して変化を確認する場合は、計測経路をある程度そろえることが重要です。
毎回まったく異なる位置から計測すると、植生による遮蔽範囲が変化し、実際の地表変化ではなく計測条件の違いを変状として捉えてしまう可能性があります。
計測開始位置、主な動線、折返し位置、固定物の確認地点などを記録しておけば、次回も近い条件で計測できます。
ただし、植生量そのものは季節によって大きく変化します。同じ経路を歩いても、草丈や葉の密度が異なれば地表の取得状態は変わります。そのため、時系列比較では点群だけではなく、植生状況や現場写真も合わせて確認すると判断しやすくなります。
さらに、SLAM点群を測量成果や施工管理などに利用する場合は、求められる精度や確認方法を事前に整理する必要があります。
SLAMで三次元形状が作成できたことと、必要な座標精度が確保できたことは同じ意味ではありません。既知点などを利用できる場合は、独立した確認点との比較を行い、目的に対して十分な精度が得られているか確認することが重要です。
法面全体の概況把握に使うのか、局所的な変状確認に使うのか、施工位置の記録に使うのかによって、必要な確認項目は変わります。
計測前に「何を判断するための点群なのか」を決めておくと、植生をどこまで除去する必要があるのかも判断しやすくなります。
まとめ
植生が多い法面のSLAM計測では、点群ノイズを後処理だけで解決しようとしないことが重要です。
まず植生の揺れが小さい条件を選び、計測時点で動的な点をできるだけ減らします。次に、法面を一方向だけから見るのではなく、左右や高さを変えながら複数方向から観測し、葉や枝によって隠れた地表を取得できる可能性を高めます。
さらに、草だけを見ながら長距離を移動するのではなく、側溝、擁壁、法枠などの固定した対象を視野に含め、SLAMが安定した形状を継続して取得できる動線を考えます。
同じ区間を往復することも有効です。繰り返し計測しても同じ位置に存在する点と、風によって位置が変化する点を比較することで、固定物と植生を判断する材料が増えます。
最後に後処理で孤立点や植生候補を段階的に整理します。ただし、フィルタリングを強くしすぎると、地表の凹凸や排水施設など必要な形状まで失われる可能性があります。処理前後を断面や固定構造物で比較しながら、必要な情報が残っていることを確認することが大切です。
植生法面では、「点が多いほど良い」「点群が滑らかなほど良い」とは限りません。重要なのは、計測目的に必要な地表や構造物を実際に取得できているかです。
風の状態、走査方向、固定物、往復計測、後処理という5つの視点を組み合わせることで、植生の影響を受けやすい法面でも、より判断しやすいSLAM点群を作りやすくなります。
また、法面の現況を現場で確認しながら三次元データや位置情報を扱いたい場合には、携帯しやすい計測環境を用意することで、追加計測が必要な場所をその場で判断しやすくなります。現地で位置情報や三次元データを活用する方法を検討している場合は、LRTK Phoneを組み合わせた現場計測も選択肢の一つです。