LRTKレフィクシア株式会社

配電設備のケーブル端末部で部分放電を防ぐ5つの点検項目

配電設備のケーブル端末部は、導体、絶縁体、外部半導電層、遮へい層、接地線など、電気的な役割の異なる部分が集中する箇所です。端末処理の状態が適切でなかったり、施工後に汚損、吸湿、緩み、熱劣化などが進行したりすると、局所的に電界が集中し、部分放電が発生する可能性があります。 部分放電は、絶縁物の一部で生じる微小な放電現象です。発生した時点で直ちに設備全体が絶縁破壊に至るとは限りませんが、繰り返されると絶縁材料の劣化を進め、トラッキング、炭化、沿面放電、地絡などにつながるおそれがあります。そのため、異常が顕在化してから対応するのではなく、施工時の確認と運用中の継続的な点検を組み合わせることが重要です。 本記事では、配電設備を管理する実務担当者に向けて、ケーブル端末部における部分放電の発生リスクを低減するための5つの点検項目を解説します。外観だけで判断できる範囲と、測定や専門的な診断が必要な範囲を区別しながら、安全で再現性のある点検方法を整理します。

配電設備のケーブル端末部で部分放電が発生する背景

配電設備に使用される高圧ケーブルなどは、導体を絶縁体で覆い、その外側に半導電層や金属遮へい層を設けることで、電界を安定させる構造になっています。しかし、変圧器、開閉器、配電盤、接続箱などへケーブルを接続する端末部では、これらの層を段階的に切り戻し、導体を機器側へ接続しなければなりません。 ケーブルの中間部分では比較的均一だった電界が、端末部では構造の変化によって乱れやすくなります。特に、外部半導電層の切り口、絶縁体表面の傷、ストレス緩和部材の位置ずれ、導体接続部周辺などは、局所的な電界集中が起こりやすい箇所です。施工手順や寸法が適切でなければ、通常の運転電圧でも絶縁体に想定以上の負担が加わる可能性があります。 さらに、ケーブル端末部は、じんあい、塩分、油分、金属粉、結露などの影響を受けることがあります。表面が汚れた状態で湿気が加わると、絶縁物の表面に漏れ電流が流れやすくなります。その状態が継続すると、局所的な乾燥帯が形成され、微小な放電が繰り返されることがあります。やがて表面に炭化した経路が生じれば、沿面方向の絶縁性能が低下するおそれがあります。 端末部内部に空隙が残っている場合も注意が必要です。絶縁材料とケーブル表面の密着が不十分な箇所や、施工時に異物を巻き込んだ箇所では、空気を含む微小な空間が形成されることがあります。空気と固体絶縁物では電気的な性質が異なるため、空隙部分に電界が集中し、内部放電が発生する場合があります。 部分放電は、外観上の変化がほとんどない段階から始まることがあります。一方で、端末表面の変色や音が見つかっても、それだけで部分放電と断定することはできません。熱による変色、周辺機器から伝わる振動音、表面の通常の経年変化など、別の原因も考えられるためです。 したがって、配電設備のケーブル端末部を点検するときは、一つの現象だけで結論を出さず、外観、施工状態、接地状態、湿気、温度、音、測定信号などを組み合わせて評価する必要があります。設備固有の構造、使用電圧、設置環境、製造者の保守要領、社内基準も踏まえ、必要に応じて専門技術者による診断につなげることが基本です。

点検項目1 端末表面の汚損・傷・変色を確認する

最初の点検項目は、ケーブル端末部の絶縁表面を丁寧に観察することです。目視点検は基本的な方法ですが、部分放電につながる可能性のある環境変化や表面劣化を早期に把握するうえで重要です。 確認する範囲は、端末本体だけではありません。ケーブルの立ち上がり部、端末材料の端部、相間および対地間の空間、接続端子の周辺、支持金具の近傍、保護カバーの内側なども対象にします。見やすい正面だけを確認すると、背面や下側に生じた汚損、水滴の跡、変色を見逃すことがあります。 表面の汚損には、単なるほこりの付着だけでなく、油分を含んだ汚れ、導電性を持つ粉じん、塩分を含む付着物、虫や小動物の痕跡などがあります。乾燥しているときには問題が目立たなくても、高湿度や結露によって表面抵抗が低下する場合があります。汚損の種類や周辺環境を考慮し、前回点検時から付着範囲が広がっていないかを比較します。 傷については、線状の擦り傷、工具による切り傷、材料端部の欠け、ひび割れ、膨れ、剥離などを確認します。絶縁体や端末材料に深い傷があると、その部分に電界が集中する可能性があります。ただし、表面に見える細かな線が直ちに危険な傷であるとは限りません。傷の位置、深さ、方向、周囲の変色や放電痕の有無を記録し、材料の許容状態と照合する必要があります。 変色も重要な確認対象です。白化、黒ずみ、茶色い筋、局所的な光沢の変化、炭化したような痕跡がないかを確認します。放電が繰り返された箇所では、樹枝状または筋状の痕跡が現れることがありますが、油汚れや清掃跡と見分けにくい場合もあります。乾いた布で不用意に拭き取る前に、位置関係が分かる写真を残しておくと、後の原因調査に役立ちます。 清掃を行う場合は、対象となる端末材料に適合する方法を選ぶことが必要です。材質に合わない薬剤や研磨性の高い用具を使用すると、絶縁表面を傷める可能性があります。清掃後に繊維くずや溶剤成分が残ることも避けなければなりません。使用できる清掃材や手順は、設備の保守要領や端末材料の仕様に従います。 日常巡視で通電中の設備を確認するときは、必要な離隔距離を保ち、扉や保護カバーを無断で開放しないことが大前提です。近づかなければ見えない箇所がある場合でも、安全手順を省略して確認してはいけません。詳細な接触点検や清掃は、原則として停電、検電、接地などの安全措置を講じ、作業資格と教育を備えた担当者が実施します。 外観点検の精度を高めるには、「汚れている」「傷がある」といった主観的な表現だけで終わらせないことが大切です。相の区分、設備番号、端末の方向、異常の位置、長さや範囲、色、前回からの変化を記録します。同じ角度と距離で定点撮影を続けると、徐々に進行する変色や汚損を比較しやすくなります。

点検項目2 ストレスコーンと端末処理形状を確認する

2つ目の点検項目は、電界を緩和する部分の位置、形状、密着状態を確認することです。ケーブル端末部では、外部半導電層の終端付近に電界が集中しやすいため、端末構造に応じた電界緩和処理が施されています。この処理が設計どおりに機能しないと、部分放電の発生リスクが高まる可能性があります。 点検では、ストレスコーンや電界緩和部材が傾いていないか、所定の位置からずれていないか、端部に浮きや隙間がないかを確認します。収縮型、差し込み型、テープ巻き型など、端末の構造によって確認方法は異なります。外観から内部の状態を直接確認できない構造もあるため、見える部分だけで良否を断定しないことが重要です。 外部半導電層の切り戻し部分は、端末施工の品質を左右する箇所の一つです。切り口が不均一であったり、段差や突起が残っていたりすると、電界集中の原因になる場合があります。また、半導電層を除去する作業で絶縁体に刃物傷を付けると、その傷が電気的な弱点になる可能性があります。 既設設備の通常点検では、端末内部に隠れた切り口を直接見ることは困難です。そのため、新設時や端末再施工時に、処理寸法、切り口の状態、絶縁体表面の仕上がり、各部材の取り付け位置を施工記録として残しておくことが有効です。完成後の外観写真だけでは内部状態を追跡できないため、施工工程ごとの記録が重要になります。 端末材料の浮きや膨れも確認します。局所的な膨らみ、端部のめくれ、巻き付け材料のずれ、表面の波打ちなどがある場合は、内部に空隙が形成されている可能性を考慮します。ただし、端末材料には構造上の段差や成形跡があるため、正常な形状を事前に把握しておかなければ誤判定につながります。同形式の他相や同時期に施工した端末と比較する方法も有効ですが、比較対象も同じ不具合を抱えている可能性があるため、施工図や標準形状との照合が必要です。 ケーブルの曲げや支持状態にも注意します。端末直下で無理に曲げられていると、端末材料や接続部に継続的な機械力が加わります。ケーブル自重が端末に直接かかっていたり、支持金具の位置が不適切だったりすると、温度変化による伸縮と組み合わさって、端末のずれや密着低下を招くことがあります。 相間距離や対地距離についても、設計および設備仕様に照らして確認します。ケーブルが傾いたことで隣接相や接地金属部へ近づいていないか、保護板や配線が後から追加されて必要な空間を狭めていないかを見ます。離隔の適否は外見だけで決めず、対象設備に定められた寸法や保守基準と照合します。 端末処理形状に異常が疑われる場合、外側から押したり、位置を戻そうとしたりしてはいけません。通電中であれば感電やアーク事故の危険があり、停電中であっても不用意な力によって内部の密着状態を悪化させる可能性があります。施工不良が疑われるときは、端末構造を理解した技術者が記録を確認し、再施工、部材交換、追加診断の必要性を判断します。

点検項目3 遮へい層・接地線・接続部の状態を確認する

3つ目の点検項目は、ケーブルの遮へい層、接地線、導体接続部、固定部の状態です。ケーブル端末の絶縁性能を考えるときは、絶縁材料だけでなく、電位を安定させる遮へいと接地の状態も確認する必要があります。 金属遮へい層や接地線は、設備構成に応じて適切に接続されていなければなりません。接地線の断線、素線切れ、端子の緩み、腐食、接続位置の誤りなどがあると、遮へい部分の電位が不安定になったり、異常時の電流経路が期待どおりに機能しなかったりする可能性があります。接地方法はケーブルの種類、回路構成、長さ、設計条件によって異なるため、単に両端が接地されているかを見るだけでは不十分です。 外観点検では、接地線が鋭く曲げられていないか、機器扉や可動部に挟まれていないか、振動で擦れていないかを確認します。端子部に赤さび、緑青、白色生成物などが見られる場合は、材質や環境に応じた腐食が進行している可能性があります。異種金属の接触、水分、薬品雰囲気などが腐食に影響することもあるため、周辺条件を含めて評価します。 端子の緩みは発熱につながることがあります。発熱によって端末材料が熱劣化すると、硬化、収縮、変色、密着低下などが生じ、結果として部分放電が発生しやすい状態をつくる可能性があります。したがって、部分放電対策であっても、導体接続部の締結状態や熱履歴を確認することが欠かせません。 ただし、締結部を点検する際に、すべての端子を一律に増し締めする方法は適切とは限りません。過大な締付けは、ねじ、端子、導体、接続金具を損傷させるおそれがあります。接続方式に応じた工具を用い、定められた締付け条件や施工手順に従う必要があります。締付け確認を行った日時、対象、使用工具、確認結果を残しておくと、後の追跡が容易になります。 圧縮接続部では、接続管の位置、圧縮痕、導体の挿入状態などが施工品質に関係します。これらは端末完成後に見えなくなる場合が多いため、施工途中の確認記録が重要です。導体の挿入不足や圧縮位置の誤りがあっても、完成外観だけでは発見できないことがあります。 ケーブル支持金具やクランプも確認対象です。締め過ぎによってケーブル外被が変形していないか、逆に緩みによってケーブルが移動していないかを見ます。固定部周辺に擦れ跡がある場合は、短期間の振動だけでなく、負荷変動や温度変化に伴う長期的な動きも考慮します。端末本体に引張りや横方向の力が加わっている場合は、支持位置の見直しが必要になることがあります。 接地線や遮へい層の状態を電気的に確認する場合は、回路構成を理解したうえで測定方法を選定します。測定対象を誤ると、並列経路の影響を受けたり、設備に不要な電圧を加えたりする可能性があります。測定結果は単独で評価せず、新設時の値、過去の点検値、同一構成の他回路、周囲温度などと比較します。

点検項目4 水分の浸入と防水処理の劣化を確認する

4つ目の点検項目は、水分の浸入、結露、防水処理の劣化です。水分は端末表面の絶縁抵抗を低下させるだけでなく、内部への浸入、金属部の腐食、界面の密着低下などを通じて、部分放電の発生や進展に影響する可能性があります。 屋外端末では、雨水が直接当たる箇所だけでなく、ケーブルに沿って水が伝わる経路を確認します。ケーブル導入口の上側から流れた水が端末側へ回り込んでいないか、保護管や金属管の内部にたまった水がケーブルを伝っていないか、防水処理の端部に隙間がないかを観察します。 シール材や防水テープには経年変化が生じます。ひび割れ、剥がれ、硬化、べたつき、収縮、端部の浮きなどがないかを確認します。外側が健全に見えても、内部で水が滞留していることがあるため、水滴の跡、腐食、白い析出物、周辺だけに集中した汚れなどの間接的な兆候にも注意します。 ケーブルグランドや盤への引込部では、ケーブル径とシール部材が適合しているか、締付け不足や偏りがないかを確認します。複数のケーブルをまとめて通した開口部や、後から配線を追加した箇所は、隙間が生じやすい部分です。未使用の開口部が適切に閉塞されていないと、雨水だけでなく、湿気、粉じん、小動物が侵入する可能性があります。 屋内設備でも水分対策は必要です。外気温と盤内温度の差が大きい場所では、結露が生じることがあります。換気口の詰まり、ヒーターの機能低下、扉パッキンの劣化、空調条件の変化などによって、以前は問題のなかった設備で結露が発生することもあります。床面や盤底部だけでなく、端末の下側、支持金具、扉内面などに水滴跡がないかを確認します。 地中から立ち上がるケーブルでは、管路やピットから湿気が供給される場合があります。ピット内の排水不良、排水口の閉塞、地下水位の変化、豪雨後の浸水などが端末周辺の湿度を高めることがあります。端末だけを清掃しても、発生源となる排水や換気の問題が残っていれば再発する可能性があります。 塩害地域や薬品を扱う施設では、水分と汚損物質が組み合わさることで、表面漏れ電流や腐食のリスクが高まる場合があります。点検周期を一律に決めるのではなく、設置環境、季節、過去の異常履歴に応じて見直すことが重要です。台風、豪雨、設備浸水、換気設備の停止などがあった場合は、通常周期を待たずに臨時確認を検討します。 水分の浸入が疑われるときに、表面を乾燥させただけで復旧を判断するのは危険です。端末内部やケーブル内部に水分が入っている可能性があるためです。浸入範囲が不明な場合は、絶縁状態の確認や端末の分解調査などを含め、適切な診断方法を検討します。分解した端末材料は、状態や構造によって再使用できないことがあるため、作業前に交換計画も準備しておく必要があります。 防水処理を補修する場合は、既存材料との適合性を確認します。異なる材料を重ねることで密着不良や化学的な影響が生じる可能性があるため、汎用のシール材を現場判断で追加するだけでは十分とはいえません。補修後は外観だけでなく、水の流れ、排水、固定、端末への機械力まで確認します。

点検項目5 温度・音・放電信号の変化を確認する

5つ目の点検項目は、温度、音、におい、放電に伴う信号などの変化です。部分放電は目視だけでは発見できないことがあるため、状態監視や測定を組み合わせることで点検の精度を高めます。 温度確認では、ケーブル端末と導体接続部の局所的な発熱に注目します。異常発熱は、接続部の緩み、接触抵抗の増加、過負荷、相ごとの電流差、端子の劣化などによって生じることがあります。発熱そのものが部分放電を意味するわけではありませんが、絶縁材料の熱劣化を進め、端末内部の密着や形状に影響する可能性があります。 非接触の温度測定や熱画像による確認を行う場合は、負荷電流、周囲温度、風、日射、表面材質、測定角度などを記録します。負荷がほとんど流れていない状態では、接続不良があっても温度差が現れにくいことがあります。また、光沢のある金属部は周囲の熱を反射し、実際とは異なる温度に見える場合があります。温度値だけで判断せず、同一条件に近い他相や過去記録と比較することが重要です。 音の確認では、通常運転時にはなかったパチパチ音、ジージー音、断続的な放電音などに注意します。ただし、変圧器の励磁音、開閉器の機械振動、換気装置、雨音、昆虫の音などが混在することがあります。音が聞こえた位置だけで発生源を断定せず、運転状態や周辺機器の動作と照合します。 オゾンに似た刺激臭や、樹脂が加熱されたようなにおいが異常の手掛かりになることもあります。しかし、においを確認するために充電部へ顔を近づけることは避けなければなりません。異臭を感じた場合は安全な位置から状況を確認し、社内の異常対応手順に従います。 部分放電の診断には、超音波、電磁波、接地線を流れる高周波電流、過渡的な対地電圧などを利用する測定方法があります。どの方法が適するかは、端末の構造、盤の材質、接地方式、周囲ノイズ、測定目的によって異なります。一つの測定方法ですべての放電を確実に検出できるわけではありません。 超音波を利用する方法は、空気中や表面付近で発生する放電の探索に役立つ場合があります。一方で、密閉された端末内部の放電は信号が外部へ伝わりにくいことがあります。周囲のエア漏れや機械摩擦も超音波成分を発生させるため、検出値だけで部分放電と断定することはできません。 高周波電流を利用する方法では、接地線などを伝わる信号を捉えますが、インバーター機器、無線通信、開閉動作、電源装置などから発生するノイズの影響を受ける場合があります。センサーの取り付け位置や向き、接地経路、周波数特性が測定結果に影響するため、毎回の条件を統一して記録する必要があります。 診断では、信号の大きさだけでなく、電源電圧の位相との関係、発生頻度、時間変化、負荷との関係、複数箇所での信号差などを分析することがあります。単発の測定値よりも、同じ条件で継続的に測定した傾向のほうが、異常の進行を捉えやすい場合があります。 部分放電が疑われても、発生箇所を特定できないことがあります。信号は接地線や金属筐体を伝わり、実際の放電箇所とは離れた場所で検出される場合があるためです。複数の測定手法を組み合わせ、運転条件を変えたときの応答や、他回路との比較を行いながら絞り込みます。 必要に応じて停電状態で絶縁診断を行うこともありますが、試験電圧や方法の選定を誤ると、劣化した絶縁体へ不要な負担を与える可能性があります。設備の種類、使用年数、事故履歴、重要度を考慮し、専門知識を持つ担当者が試験の必要性と条件を判断することが重要です。

ケーブル端末部の点検精度を高める記録管理

ケーブル端末部の点検では、その時点の良否を判定するだけでなく、変化を追跡できる記録を残すことが重要です。部分放電につながる劣化は、ある日突然外観へ現れるとは限りません。わずかな変色、汚損範囲の拡大、温度差の増加、信号発生頻度の変化などを時系列で比較することで、異常の兆候を捉えやすくなります。 記録には、設備番号、回路名、相、端末形式、設置場所、点検日時、運転状態、負荷、周囲温度、天候、盤内環境などを含めます。温度や放電信号を記録するときは、使用した測定方法、測定位置、センサーの向き、測定距離、設定条件も残します。測定値だけが記録されていても、条件が異なれば単純に比較できません。 写真は、端末全体の位置関係が分かるものと、異常箇所を拡大したものを組み合わせます。拡大写真だけでは、どの相のどの位置なのか分からなくなることがあります。撮影方向を統一し、設備番号や撮影位置を記録すると、次回点検でも同じ条件に近い比較ができます。 施工記録も保全資料として重要です。外部半導電層の切り戻し寸法、絶縁体の表面処理、接続管の位置、圧縮状態、端末材料の取り付け位置、接地線の処理、施工者、使用材料などを工程ごとに記録します。端末完成後に隠れる部分ほど、施工時の写真や確認記録に価値があります。 点検結果は、「異常なし」だけで終わらせないことが望まれます。確認した範囲と確認できなかった範囲を区別し、清掃前後の状態、前回との差、経過観察の条件、次回確認時期を明確にします。保護カバーの内側を確認していないのに、端末全体を異常なしと評価すると、記録の意味が曖昧になります。 設備改修やケーブル更新が行われたときは、図面、設備番号、点検台帳、写真の関連付けも更新します。現場の表示と台帳が一致していないと、異常を発見しても対象回路を正確に特定できません。誤った設備を停止したり、別回路の記録へ点検結果を登録したりするリスクもあります。 点検記録の標準化には、撮影位置、入力項目、判定区分、報告手順を定めた共通様式が役立ちます。ただし、入力項目を増やし過ぎると記録作業が目的化し、肝心の観察が不十分になる場合があります。異常の発見と傾向管理に必要な情報を優先し、現場で継続できる方法に整えることが大切です。

部分放電の兆候を発見したときの対応

点検中に放電音、異臭、発光、炭化痕、異常発熱などを確認した場合は、無理に接近したり、その場で端末へ触れたりしてはいけません。ケーブル端末部の異常は、地絡やアーク事故へ進展する可能性があります。まず安全な距離を確保し、設備の管理責任者へ連絡します。 緊急停止の要否は、異常の程度、設備構成、負荷の重要度、代替回路の有無などを踏まえ、定められた手順で判断します。異常を見つけた担当者が単独で開閉操作を行うのではなく、操作権限、連絡系統、停電範囲を確認することが重要です。 発光、煙、強い異臭、急激な温度上昇など、絶縁破壊が迫っている可能性を否定できない兆候がある場合は、通常の経過観察として扱わないことが必要です。一方、測定信号がわずかに変化しただけで直ちに端末交換が必要とは限りません。信号の再現性、ノイズの影響、他の診断結果を確認し、リスクに応じた対応を選択します。 停電後に詳細点検を行う際は、開路、施錠、表示、検電、放電、接地など、対象設備に必要な安全措置を実施します。ケーブルには残留電荷が存在する可能性があるため、開閉器を開放しただけで安全と判断してはいけません。作業範囲と充電部の境界を明確にし、誤送電を防止します。 原因調査では、異常が見つかった端末だけでなく、同一回路の反対側端末、同時期に施工した他相、同一施工方法を用いた他回路も確認します。施工手順や使用環境に共通原因がある場合、一箇所を補修しただけでは別の端末で同様の異常が発生する可能性があります。 端末を解体した場合は、焦げ跡、空隙、水分、異物、接続部の変色、半導電層の切り口、絶縁体の傷などを記録します。解体と同時に部材を清掃すると、原因の痕跡を失うことがあります。調査に必要な写真を残し、部材の位置関係を確認してから処置を進めます。 復旧時には、不具合箇所を単に元の状態へ戻すのではなく、原因に対応した改善を行います。水分浸入が原因であれば防水処理だけでなく水の侵入経路を是正し、端末に機械力が加わっていたのであればケーブル支持も見直します。施工寸法の不備が疑われる場合は、同じ手順を繰り返さないよう、施工要領と確認工程を再検討します。

配電設備の端末点検を継続的な予防保全につなげる

ケーブル端末部の部分放電対策は、定期点検の当日だけで完結するものではありません。新設時の施工管理、初期状態の記録、日常巡視、定期的な精密点検、異常傾向の分析を一つの流れとして管理する必要があります。 新設直後には、端末ごとの基準状態を記録します。外観写真、温度、周辺環境、施工確認結果などを残しておけば、運用開始後の変化を判断しやすくなります。初期値がなければ、数年後に測定値を得ても、それが当初から存在した特徴なのか、劣化によって生じた変化なのかを判断しにくくなります。 点検周期は、すべての端末で同じにする必要はありません。高湿度、塩害、粉じん、薬品、振動、負荷変動などの影響を受ける箇所は、一般的な屋内環境よりも短い間隔で状態を確認する必要が生じる場合があります。過去に異常があった回路や、停止による影響が大きい重要回路も、重点管理の対象になります。 一方で、測定回数を増やすだけでは予防保全の質は高まりません。測定条件が統一されていなかったり、記録が設備と結び付いていなかったりすると、有効な傾向分析ができません。点検項目、判定基準、記録方法、異常時の連絡先、再点検の期限を明確にしておくことが重要です。 部分放電の兆候を管理する際は、絶対値だけでなく変化率や継続性にも注目します。測定値が一時的に上昇した後に戻った場合は、湿度、負荷、周囲ノイズなどの影響が考えられます。反対に、値が小さくても同じ箇所で継続的に増加している場合は、詳細診断を検討する材料になります。 点検担当者の教育も欠かせません。正常な端末形状、典型的な汚損、放電痕と紛らわしい跡、安全上近づいてはいけない兆候などを、写真や実例を用いて共有します。担当者ごとに判定が大きく異なると、同じ劣化を継続的に追跡できません。 点検結果を保全計画へ反映する仕組みも必要です。異常を記録しても、補修の優先順位や期限が決まらなければ、未処置のまま残る可能性があります。設備の重要度、劣化の進行性、事故時の影響、予備回路の有無などを踏まえ、経過観察、追加診断、計画停止時の補修、早期停止といった対応区分を設定します。

まとめ

配電設備のケーブル端末部で部分放電の発生リスクを低減するには、絶縁表面の汚損や傷だけでなく、電界緩和部の形状、遮へいと接地、接続部、水分、温度、音、放電信号まで総合的に確認する必要があります。 点検項目1では端末表面の汚損・傷・変色、点検項目2ではストレスコーンと端末処理形状、点検項目3では遮へい層・接地線・接続部、点検項目4では水分の浸入と防水処理、点検項目5では温度・音・放電信号の変化を確認します。いずれも単独で部分放電の有無を断定するものではなく、過去記録や複数の診断結果を組み合わせて評価することが大切です。 また、外観から確認できない内部状態については、施工工程の記録が重要な手掛かりになります。端末処理寸法、絶縁体の仕上がり、接続状態、部材の位置を施工時に残しておけば、運用中の異常原因を絞り込みやすくなります。 点検結果を設備番号、位置、写真、測定条件と結び付け、時系列で比較できる状態にすることが予防保全の基盤です。現場の位置情報や写真、三次元データを一体的に記録したい場合は、高精度な位置情報を活用できるLRTK Phoneを、配電設備の点検記録や現場情報共有を支援する選択肢として確認してみてください。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る