LRTKレフィクシア株式会社

配電設備の部分放電を見逃さない音・臭い・測定の7手順

配電設備の部分放電を早期に捉える必要性

配電設備では、絶縁物の内部や表面、導体周辺の空気中などで部分放電が発生することがあります。部分放電とは、導体間の絶縁を完全には橋絡せず、絶縁系の一部で局部的に起こる放電現象です。発生した直後に保護装置が動作するとは限らないため、設備が運転を続けているように見えても、内部では絶縁劣化が進んでいる可能性があります。

部分放電が繰り返されると、絶縁物の表面や内部が少しずつ損傷し、侵食、炭化、化学的な変質などが進むことがあります。進行の速さは、電圧、絶縁材料、放電の種類、湿度、汚損、温度、負荷状態などによって異なります。したがって、部分放電を検出したという事実だけで故障時期や残存寿命を断定することはできませんが、放置してよい現象ともいえません。

配電設備の巡視では、音、臭い、変色、粉状の付着物などが異常の手掛かりになります。ただし、人の感覚だけで部分放電の有無や発生位置を確定するのは困難です。変圧器の励磁音、冷却ファンの回転音、接触器の振動音、空気漏れ、外部から侵入する高周波ノイズなどが、部分放電と似た兆候や測定信号を示す場合もあります。

そのため、実務では音や臭いを初期の気付きとして利用し、超音波、構造伝搬音、過渡接地電圧、電磁波、高周波電流などの測定を段階的に組み合わせます。露出した空気中のコロナ放電では、光学的な観察や紫外線を利用する方法が適用できる場合もありますが、密閉された金属盤の内部診断にそのまま使えるとは限りません。ひとつの方法だけに頼らず、設備構造、絶縁方式、接地方式、現場のノイズ環境に合った複数の情報で判断することが重要です。

手順1 点検対象と安全条件を整理する

最初の手順は、測定器を持って配電設備へ向かうことではありません。まず、点検対象、運転状態、接近可能な範囲、異常時の連絡経路を明確にします。部分放電を疑う状況では、すでに絶縁性能が低下している可能性があります。通常の巡視と同じ感覚で扉を開けたり、顔を近づけたり、盤内へ測定器を差し入れたりする行為は避けなければなりません。

対象設備について、単線結線図、盤配置図、機器台帳、定格電圧、設置年、更新履歴、過去の点検結果を確認します。高圧配電盤、変圧器、ケーブル端末、母線、計器用変成器、遮断器、開閉器、コンデンサ、リアクトルなど、どの機器に異常の可能性があるかを整理すると、測定の優先順位を決めやすくなります。

直近に負荷の増加、回路変更、機器交換、締結部の整備、清掃、漏水、空調停止、換気条件の変化などがなかったかも確認します。以前は発生していなかった音が設備変更後に現れた場合、変更内容が原因究明の重要な手掛かりになります。反対に、設備を変更していなくても、長期的な汚損や吸湿、絶縁物の劣化が進行している可能性があります。

現場へ入る前には、電気主任技術者や設備管理責任者と点検範囲を共有し、事業場の保安規程や作業手順に従います。異常音や焦げたような臭いが強い場合は、通常巡視として扱わず、立入制限、負荷の切替、停止判断などを含めた異常時対応へ移行することが必要です。

充電中の配電設備に対しては、事前に認められた方法で筐体外側から行える非接触確認を基本とします。通電中の測定を行う場合も、対象設備の危険性を理解した有資格者または適切な教育を受けた担当者が、定められた接近限界と保護措置を守って実施します。

扉の開放、内部への接近、清掃、締結確認などが必要な保守点検は、原則として停電状態を確立してから行います。停電範囲の明確化、開路、誤投入防止、施錠や表示、検電、残留電荷の処理、必要な接地、役割分担を含む作業計画を立て、関係者間で共有することが重要です。計器表示や操作位置だけで無電圧と判断せず、定められた手順で確認します。

手順2 正常時の音と運転条件を基準として残す

部分放電を見逃さないためには、異常を探すだけでなく、正常時の状態を記録しておく必要があります。初めて訪れた配電室で音を聞いても、その音が以前から存在していたのか、最近発生したのかを判断できません。正常時の基準がなければ、異常を見逃す可能性と、正常な音を異常と判断する可能性の両方が高くなります。

配電設備には、運転中にさまざまな音が発生します。変圧器では電源周波数とその高調波に関係する連続的なうなり音が聞こえることがあります。冷却ファンや換気扇からは回転音や風切り音が発生します。電磁接触器や継電器では、構造や運転状態によって振動音が生じる場合があります。これらの音は必ずしも異常ではありません。

正常時の記録では、盤番号、回路名、測定位置、測定方向、設備からの距離、時刻、負荷電流、周囲温度、湿度、天候、扉の開閉状態などをそろえます。音声を記録する場合は、毎回できるだけ同じ位置と条件で収録します。測定条件が変わると音量や周波数特性も変わるため、単純な大小比較ができなくなるからです。

隣接する同種設備との比較も有効です。同じ形式、同程度の負荷、同じ設置環境の配電盤が複数ある場合、ひとつの盤だけに高周波音や断続音が現れていないか確認します。ただし、隣接設備が正常であることを事前に確認せず、比較対象を絶対的な基準とするのは避けます。

部分放電は環境条件によって現れ方が変わる場合があります。湿度が高い時間帯だけ音が強くなる、雨天の翌日に発生する、負荷や電圧条件の変化に伴って増減するなど、条件依存の兆候が見られることがあります。そのため、一度の巡視で異常が聞こえなかったからといって、部分放電が存在しないと断定することはできません。

汚損した絶縁物が吸湿すると表面抵抗が低下し、漏れ電流や局所的な乾燥帯が生じ、表面放電やトラッキングへ進む場合があります。沿岸部、粉じんの多い工場、結露しやすい電気室、換気が不十分な盤では、負荷だけでなく湿度、結露、塩分や粉じんの付着状況も併せて記録することが大切です。

手順3 放電音を安全な位置から確認する

部分放電が発生している配電設備では、条件によって「ジー」「シュー」「チリチリ」「パチパチ」と表現される音が聞こえることがあります。連続的な音になる場合もあれば、不規則または断続的に現れる場合もあります。ただし、音の表現には個人差があり、聞こえ方だけで現象を確定することはできません。

音を確認するときは、最初に配電室の入口付近など安全な位置で全体の音を聞きます。異常音が強い場合には、無理に発生源へ近づかず、その場で責任者へ報告します。音源を探すために耳を盤へ近づけたり、盤の継ぎ目へ顔を寄せたりする方法は適切ではありません。

次に、事前に定めた巡視経路を一定の速度で移動し、どの位置で音が強くなるかを確認します。盤の正面、側面、背面で聞こえ方が変わる場合がありますが、立入可能範囲を越えてはいけません。通電状態の盤扉を開け、内部の音を直接確認することも避けます。

音が確認できた場合は、その音が連続しているか、負荷変動に伴って変化するか、雨天や高湿度時だけ現れるかを記録します。変圧器の励磁音のような低く安定した音に、高い周波数の音や不規則なパルス音が重なっていないかも確認します。

異常音の発生位置を記録する際は、「高圧盤付近」のような広い表現だけで終わらせず、盤番号、扉面の上部または下部、母線室側、ケーブル室側など、外部から確認できる範囲で位置を細かく残します。ただし、外側で音が最も大きい位置と、内部の発生箇所が一致するとは限りません。筐体内部で音が反射したり、構造材を通じて別の位置へ伝わったりするためです。

録音データは、現場で感じた印象を後から共有するために役立ちます。一方、一般的な録音機器では、人の可聴域を超える成分や微弱な高周波成分を十分に記録できない場合があります。録音できなかったことを理由に、部分放電ではないと判断しないよう注意が必要です。

手順4 臭いと外観の変化を補助情報として捉える

空気中や絶縁物表面で放電が発生すると、条件によってオゾンや窒素酸化物などが生じ、刺激を感じる独特の臭いにつながることがあります。また、絶縁材料の加熱や分解が進んでいる場合は、樹脂が焦げたような臭い、焼けた電線に似た臭いなどが感じられることもあります。ただし、臭いの種類だけで部分放電、過熱、アークを区別することはできません。

臭いは人によって感じ方が異なり、空調や換気によって離れた位置まで運ばれます。臭いを感じた位置が発生源とは限りません。配電室内の接着剤、塗料、清掃剤、過熱した機械部品など、電気的な放電以外の原因で似た臭いが生じる場合もあります。

臭いを確認する目的で盤へ顔を近づけたり、排気口から出る空気を意図的に吸い込んだりしてはいけません。巡視中に自然に感じた臭いを異常の手掛かりとして記録し、測定や停電点検へつなげるのが基本です。刺激が強い場合や目、鼻、喉に違和感がある場合は、その場から離れて立入を制限し、事業場の安全手順に従います。

外観については、充電部へ接近せず、盤外から確認できる範囲を観察します。通気口周辺の変色、すす、白色または灰色の付着物、局所的な腐食、塗装の変色、異常な結露、盤内からの煙などがないかを確認します。これらは原因を特定する証拠ではなく、追加調査を促す兆候として扱います。盤外面の温度上昇や焦げ臭さを伴う場合は、部分放電だけでなく、接続部の過熱やアークを含む重大な異常も考慮します。

停電後に内部を確認できる場合は、絶縁物表面の変色、放電痕、炭化した筋、侵食、ひび割れ、浮き、端末部の汚損、締結部周辺の変色などを確認します。表面に枝分かれした炭化経路が形成されている場合は、トラッキングが進行している可能性があります。

臭いと外観は、部分放電の存在を疑う補助情報になりますが、それだけで故障箇所や緊急度を決定することはできません。音、運転条件、温湿度、測定結果、設備の構造と組み合わせて評価する必要があります。

手順5 超音波と音響測定で発生位置を絞り込む

人の耳で聞き取りにくい放電に伴う音を捉える方法として、超音波や音響を利用した測定があります。放電時に生じる音波を検出し、信号の強さや方向から異常が疑われる位置を絞り込みます。音を可聴化して確認する方式のほか、複数のセンサで到来方向を計算し、画面上に音源分布を表示する方式もあります。

測定を始める前に、周囲の背景音を確認します。圧縮空気の漏れ、蒸気、換気設備、回転機械、摩擦、風切り音なども超音波成分を発生させます。これらを部分放電と区別するため、配電設備から離れた位置、隣接盤、空調設備付近などでも測定し、周囲のノイズ分布を把握します。

盤面を測定するときは、測定距離、角度、感度設定、周波数帯、測定時間をできるだけ統一します。毎回設定が異なると、数値の増減が設備変化によるものか、測定条件によるものか分からなくなります。同じ盤面を複数回測り、再現性があるか確認することも重要です。

配電盤の継ぎ目、通気口、ケーブル引込部などでは、内部音が外部へ伝わりやすい場合があります。しかし、音が漏れやすい位置と放電の発生箇所が一致するとは限りません。ひとつの測定点だけで内部位置を断定せず、盤の正面、側面、背面など、立入可能な複数方向から信号の分布を確認します。

超音波信号が検出された場合は、耳で聞いた音、湿度、負荷、盤外面の状態と照合します。高湿度時に特定の絶縁区画付近で信号が増え、乾燥時に低下するなど、条件との相関が繰り返し確認できれば、表面放電を疑う材料になります。ただし、超音波の表示値だけで絶縁の残存寿命や故障時期を算出することはできません。

密閉度が高い設備では、空中へ伝わる音が弱く、外側から超音波を検出しにくいことがあります。その場合は、筐体や構造物を伝わる振動を検出する接触式の音響センサ、過渡接地電圧、電磁波、高周波電流など、別の方式を検討します。設備構造に合わない測定方法で異常が検出されなかったとしても、部分放電がないとは限りません。

音響測定は、通電中に盤外から実施できるスクリーニングとして有効な場合がありますが、測定器の適用範囲、対象設備の構造、周囲ノイズの影響を理解する必要があります。複数の検出方法を組み合わせ、異常の再現性と時間変化を確認することが欠かせません。

手順6 電気的測定を組み合わせてノイズを切り分ける

音響測定で異常が疑われる場合や、音が外部へ伝わりにくい設備では、電気的な測定を組み合わせます。部分放電では、短時間の電流パルスや電磁波が発生します。これらを適切なセンサで検出し、発生頻度、信号強度、位相との関係、波形、時間変化などを分析します。

金属閉鎖形の配電盤では、内部放電に伴って金属筐体の外面に現れる過渡的な電位変化を検出する過渡接地電圧測定が用いられる場合があります。盤面の複数箇所を同じ条件で測定し、信号が局所的に強い箇所を探します。ただし、筐体構造、接地状態、盤間の金属接続、開口部の位置によって信号の伝わり方が変わるため、数値が最も高い場所をそのまま放電源と判断するのは適切ではありません。

接地線やケーブルシールドの接地部などに高周波対応の電流センサを取り付け、部分放電に伴うパルスを捉える方法もあります。取付位置や対象回路を誤ると、隣接設備の信号や外部ノイズを拾うことがあります。測定対象の回路構成、接地方式、センサの周波数特性、許容される取付方法を確認したうえで実施します。

アンテナを用いて放電に伴う電磁波を測定する方法は、非接触で確認できる利点があります。一方、通信機器、電源変換装置、照明設備、モーター制御装置、無線設備などからも高周波ノイズが発生します。配電設備の近くで信号を検出したというだけでは、部分放電とは断定できません。

ノイズを切り分けるには、対象盤と隣接盤の比較、対象から離れた場所での背景測定、負荷変化との連動、時間帯による変化、複数センサでの同時検出などを確認します。測定器が位相分解表示に対応している場合は、商用周波数の位相に対するパターンも判断材料になります。ただし、典型的に見えるパターンだけで放電源を確定せず、再現性やほかの測定結果と照合します。

特定の測定方式だけで信号が現れ、ほかの方式では再現しない場合でも、直ちに外来ノイズと決めつけることはできません。放電の種類や設備構造によって、検出しやすい方式が異なるためです。センサ位置、感度、帯域、接触状態、背景ノイズを再確認し、その方式が対象設備に適しているかを評価します。

オンラインの超音波、過渡接地電圧、高周波電流などで得られる表示値は、測定器の方式や設定に依存します。試験回路を用いて見掛け電荷を評価する部分放電試験の値と、現場スクリーニングの表示値を同じ単位感覚で比較することはできません。また、異なる測定器の数値を単純に横並びにすることも避けます。判定は、対象機器の仕様、測定方法、製造時の試験記録、保守基準、同一条件での過去傾向を踏まえて行います。

通電中の測定で異常が疑われた場合は、必要に応じて停電後の精密診断を計画します。絶縁抵抗測定だけでは把握できない劣化もあるため、対象機器に応じて部分放電試験、誘電特性の測定、ケーブル診断、絶縁油や分解生成物の分析などを検討します。試験電圧を加える診断は設備へ電気的な負担を与える場合があるため、専門知識を持つ担当者が機器の状態、試験目的、適用規格、試験条件を確認して実施可否を決定します。

手順7 緊急度を判断して停電点検と処置につなげる

部分放電が疑われた後に重要なのは、測定を続けること自体ではなく、得られた情報を安全な処置へつなげることです。異常音や測定信号を記録しただけで通常運転へ戻してしまうと、絶縁劣化の進行を見逃す可能性があります。

緊急度は、音や測定値の大きさだけで決めません。信号の増加傾向、焦げ臭さ、煙、変色、温度上昇、保護装置の動作履歴、設備の重要度、予備回路の有無、故障時の影響範囲などを総合して判断します。複数の兆候が同時に現れている場合や、短期間で信号が急増している場合は、早い対応が必要です。

煙、火花、強い焦げ臭さ、異常な発熱、急に強くなった放電様音などがある場合は、通常の傾向監視として扱わず、事業場の異常時手順に従います。異常設備へ近づいて現場操作を試みず、立入を制限して責任者へ連絡します。負荷の切替や停止は、設備の状態と操作に伴う危険を評価したうえで、権限を持つ担当者が定められた手順により行います。遠方操作や上位側からの切離しが常に安全とは限らないため、個別設備の運用手順に従うことが重要です。

緊急停止には至らない場合でも、臨時点検の時期、監視頻度、停止可能日、交換部品、代替電源などを具体化します。「次回の定期点検で確認する」という曖昧な対応では、異常の進行速度に追いつけないことがあります。監視を継続する場合は、測定条件と判断基準、報告先、停止へ移行する条件をあらかじめ定めます。

停電点検では、停電範囲を明確にし、開路、誤投入防止、施錠や表示、検電、残留電荷の処理、必要な接地を行った後に内部を確認します。放電痕や炭化物を清掃して終わらせるのではなく、なぜその場所で電界が集中したのか、なぜ汚損や結露が生じたのかまで確認することが重要です。

原因としては、絶縁物のひび割れ、内部空隙、表面汚損、吸湿、結露、端末処理の不良、導体配置のずれ、部品の緩み、接地の不具合、異物、換気条件の悪化などが考えられます。原因を除去せず表面だけを清掃した場合、再通電後に部分放電が再発する可能性があります。

修理、部品交換、清掃、乾燥、端末処理のやり直しなどを行った後は、再測定して処置前後の変化を確認します。信号が低下していても、測定条件が異なれば正しい比較になりません。処置前と同じ位置、感度、測定時間、負荷、環境条件に近づけて再測定します。必要に応じて停電試験や一定期間の経過監視も組み合わせます。

点検で放電様音や測定信号が確認された場合は、緊急性を評価し、速やかな連絡、原因究明、臨時停止計画、監視強化などへつなげます。測定結果を保全計画へ反映し、必要な処置を先送りしない運用が重要です。

部分放電と間違えやすい異常を整理する

配電設備から異常な音が聞こえても、すべてが部分放電とは限りません。接続部の緩みや接点不良によるアーク、電磁力による部品の振動、鉄心の振動、ファンの軸受異常、盤扉の共振、空気漏れなども音を発生させます。

接触不良による過熱では、負荷電流の増加に伴って温度が上昇し、焦げ臭さや変色が現れる場合があります。部分放電と同時に発生する可能性もあるため、音響測定だけでなく、定められた方法による非接触温度測定や停電後の締結状態確認を組み合わせます。

変圧器の励磁音は、一般に連続性があり、電圧、負荷、鉄心や取付状態などによって音量が変化します。部分放電音は高い周波数成分や不規則なパルスを含むことがありますが、耳だけで両者を確実に区別できるとは限りません。測定波形や周波数成分を確認し、正常時との違いを比較します。

換気設備や圧縮空気の漏れは、超音波測定で強い信号を示す場合があります。空気の流れを止められる設備であれば、設備管理者の許可を得て安全な条件のもとで運転状態を変え、信号が消えるか確認します。停止できない場合は、音源の方向、連続性、周囲設備との位置関係から切り分けます。

外部ノイズについては、配電室内だけでなく、建物内の電源変換装置や通信設備の稼働状況も確認します。特定の時間帯だけ電磁波信号が増える場合、その時間に動作する設備がないか調べます。対象盤から離れても同じ傾向で検出される信号は、外来ノイズの可能性を検討します。

一方で、測定値が小さいことだけを理由に安全と判断するのも適切ではありません。密閉構造、センサ位置、遮蔽、放電の種類によっては、外部で検出できる信号が小さくなることがあります。臭い、変色、湿度依存性など、ほかの兆候がある場合は、測定値が低くても追加調査を検討します。

測定記録を蓄積して配電設備の変化を追う

部分放電の管理では、一回の測定値よりも、同じ条件で測定した結果の推移が重要になることがあります。初期値が比較的小さくても、数週間または数か月の間に増加していれば、劣化が進んでいる可能性があります。反対に、一時的に大きな信号が出ても、外来ノイズや一過性の環境変化による場合があります。

記録には、設備名称、盤番号、回路名、測定点、測定方向、距離、測定器の型式、センサ、設定、測定値、波形、音声、写真、温度、湿度、負荷電流、天候、測定者、異常の感じ方を含めます。異常がなかった場合も記録を残すことで、次回の比較基準になります。

「異常音あり」だけでは、別の担当者が状況を再現できません。「盤正面から一定距離の位置で、高い連続音に断続的な音が重なっていた」「雨天翌日の高湿度時に信号が増加した」など、条件と特徴を具体的に記載します。

測定点には識別番号を付け、毎回同じ場所で測定できるようにします。写真を残す場合は、盤全体、盤番号、測定位置、異常箇所の周辺が分かる構成にします。接写だけでは、後からどの盤のどの位置か分からなくなることがあります。

処置を行った場合は、処置内容、交換部品、清掃範囲、乾燥方法、端末処理、再測定結果をひも付けます。処置後に信号が下がったかだけでなく、その後に再び増えていないかを追跡することが重要です。

点検結果は、次回の点検だけでなく、中長期の更新計画にも反映します。同じ形式の設備で同様の異常が発生する可能性がある場合は、ほかの設備も確認します。故障した一台だけを修理するのではなく、設置環境、施工方法、使用年数が近い設備を横断的に確認することで、再発や類似事故の予防につながります。

点検記録は、写真やグラフを用いて長期間蓄積し、測定結果の傾向を追える形にすることが望まれます。異常の有無だけでなく、変化量、測定条件、処置履歴を継続的に管理することが、保全計画の精度を高めます。

まとめ 配電設備の部分放電は複数の兆候から判断する

配電設備の部分放電は、発生直後に停電や保護装置の動作として現れるとは限りません。音や臭いなどの小さな変化を早期に捉え、絶縁破壊や地絡へ進む前に調査することが重要です。

実務では、最初に安全条件と対象設備を整理し、正常時の音や運転条件を基準として残します。そのうえで、安全な位置から放電様音を確認し、臭いと外観の変化を補助情報として記録します。異常が疑われる場合は、超音波、音響、過渡接地電圧、高周波電流、電磁波などの測定を組み合わせ、外来ノイズや機械的な音を切り分けます。

測定で異常が疑われた後は、緊急度を評価し、監視強化、臨時停止、停電点検、修理、更新などへ確実につなげます。測定値だけで安全性や残存寿命を断定せず、設備構造、環境条件、負荷、過去の傾向を含めて総合的に判断することが欠かせません。

また、配電設備の点検品質を高めるには、異常を発見する技術だけでなく、発見した場所と状況を正確に残す仕組みも必要です。盤番号、測定位置、写真、周辺状況、処置履歴を現場の位置情報とひも付けて整理することで、再点検や関係者間の共有が進めやすくなります。配電設備の点検記録を場所ごとに管理し、現場情報の再現性を高めたい場合は、LRTK Phoneを活用した記録方法も検討できます。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

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