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NETIS活用で工事成績はどう変わる?評価前に押さえる5つの観点

NETISを公共工事で活用すると、「工事成績が上がるのか」「登録技術を使えば自動的に加点されるのか」と気になる実務担当者は多いでしょう。結論からいえば、NETISに掲載されている技術を現場で使ったという事実だけで、すべての工事に一律の点数が加算されるわけではありません。活用方式、技術の位置付け、受注者側からの提案であるか、現場でどの程度の活用効果が確認されたか、必要な計画書や調査表が適切に作成されているかなど、当該年度の発注機関の運用に照らして確認する必要があります。

そもそもNETISは、新技術に関する情報を共有し、公共工事等での活用を促進するための仕組みです。NETISに掲載されていること自体が、国土交通省による性能の証明や認証を意味するわけではありません。申請情報には技術開発者から提出された情報も含まれるため、実際に採用するときは、技術の適用条件や評価情報、現場条件を確認することが重要です。

工事成績評定との関係では、一定の条件を満たす新技術活用が評価対象になる運用があります。ただし、対象範囲や具体的な配点は、発注機関や年度によって確認が必要です。

例えば、関東地方整備局が公表している令和8年度の「新技術活用について」では、新技術活用に関する工事成績の加点は主任技術評価官の評定部分で最大2点とされ、その40%が工事成績に反映されるため、工事成績への反映は最大0.8点と整理されています。また、同資料では、工事成績の加点対象は受注者側から新技術活用を提案した場合のみとされ、発注者が指定して活用した場合には加点措置を行わないと示されています。

ただし、これは関東地方整備局の令和8年度資料に示された運用例です。他の地方整備局、発注機関、年度まで同じ配点や条件であると決めつけることはできません。

工事成績を意識してNETISを活用するのであれば、技術を導入すること自体を目的にするのではなく、従来技術と比較して何が変わったのかを現場で確認できる状態にすることが重要です。工程、品質・出来形、安全性、施工性、環境、経済性などの観点から効果を説明するには、施工前から比較方法を考え、施工中の状況を記録し、施工後に根拠を整理する必要があります。

本記事では、NETISを工事成績との関係から理解するときに、評価前に押さえておきたい5つの観点を実務の流れに沿って解説します。

NETIS活用と工事成績評定の基本関係

NETISは、新技術に関する情報の収集と共有、公共工事等での活用、効果の検証や評価、さらなる技術開発へつなげる新技術活用スキームの中核となる情報システムです。したがって、NETISを工事成績の加点だけを目的とした制度として捉えるのではなく、公共工事等で新技術を適切に活用し、その効果を確認していく仕組みとして理解することが基本です。

また、NETISへの掲載自体を技術性能の保証と考えないことも重要です。国土交通省は、NETISの掲載情報について、技術の証明や認証などの裏付けを行うものではないと案内しています。技術を選定するときには、NETIS登録番号の有無だけではなく、適用範囲、従来技術との比較、評価情報、現場条件などを確認する必要があります。

そのうえで、一定の条件を満たす新技術活用については、工事成績評定に反映される運用があります。特に注意したいのが、「NETIS登録技術を使った」という一点だけで評価が決まるわけではないことです。誰が活用を提案したのか、どの活用方式なのか、技術がどのような評価状況にあるのか、現場でどの程度の効果が確認されたのかといった条件が関係します。

具体的な配点についても全国一律と考えない方が安全です。関東地方整備局の令和8年度資料では、「新技術活用」について複数技術の評価を可能としつつ、主任技術評価官評定部分で最大2点とされています。主任技術評価官の評定は40%が工事成績に反映されるため、新技術活用による工事成績への反映は最大0.8点という整理です。

同資料では、事後評価未実施技術または事後評価で「有用とされる技術」と評価された技術を活用し、活用効果が相当程度確認できた場合には2点、一定程度確認できた場合には1点とするなど、技術の位置付けと効果に応じた評価項目が示されています。一方、加点対象は受注者側から新技術活用を提案した場合のみとし、発注者が指定して活用した場合には工事成績の加点措置を行わないとされています。

ここで重要なのは、この配点をNETIS全体の全国共通ルールだと読み替えないことです。実際の工事では、発注機関、工事種別、年度、特記仕様書などを確認する必要があります。

また、入札段階における総合評価落札方式の評価と、工事完成時の工事成績評定も分けて考える必要があります。新技術に関する提案が入札時の評価対象になる場合があっても、その評価と完成後の工事成績評定は同じものではありません。入札時に評価されたことを理由に、完成時にも同じ点数が自動的に付与されると考えるのは適切ではありません。

したがって、NETIS活用を検討するときは、最初に「この工事では、どの制度上の評価を確認しているのか」を整理します。契約前の技術提案なのか、契約後に施工者が提案する新技術活用なのか、発注者が指定する技術なのかを区別するだけでも、工事成績との関係を整理しやすくなります。

観点1:活用方式と加点対象を先に確認する

最初の観点は、NETIS技術を選定するときに、性能だけではなく活用方式と評価条件を確認することです。

現場では、「この技術なら省力化できそうだ」「施工時間を短縮できそうだ」と技術面から選定を始めることが多いでしょう。しかし、工事成績との関係まで考えるのであれば、技術の適用性を確認すると同時に、その工事ではどのような活用方式になるのかを整理しておく必要があります。

代表的な活用方式として、施工者からの提案に基づいて新技術を活用する施工者選定型と、発注者の指定により活用する発注者指定型があります。関東地方整備局の令和8年度資料では、施工者選定型について工事成績加点の対象となる整理が示される一方、発注者指定型で特記仕様書により指定されたNETIS登録技術は工事成績加点の対象外として整理されています。

つまり、見た目には同じNETIS登録技術を使っていても、誰の提案に基づき、どの活用方式で導入されたかによって工事成績上の扱いが異なる場合があります。

例えば、施工条件を確認した結果、施工者側が「従来方法より工程を短縮できる可能性がある」「危険箇所への立入りを減らせる」と判断して新技術を提案するケースがあります。この場合は、何を現場課題として設定し、なぜその技術を選択し、どの範囲で活用するのかを施工前に整理することが重要です。

一方、特記仕様書などで発注者から使用技術が指定されている場合には、施工者が自主的に改善策として提案した場合と制度上の扱いが同じとは限りません。そのため、「NETIS登録番号が付いているから工事成績の加点対象になる」と判断しないことが大切です。

実務では、施工計画を作成する段階で、NETIS上の技術情報だけを見るのではなく、入札説明書、特記仕様書、当該年度の発注機関の運用資料などを確認します。そして、施工者選定型に該当するのか、発注者指定型なのか、必要となる手続きや提出物は何かを整理してから活用する方が安全です。

契約後に現場条件を踏まえて新技術を追加したい場合も、施工してから事後的に扱いを整えるのではなく、活用前に監督職員等と必要な手続きを確認しておくことが重要です。地方整備局の現行案内では、新技術活用計画書を活用前に作成・提出するよう求めている例があります。

また、同じ工事で複数の新技術を使えば、その数に比例して工事成績が増えると考えるのも適切ではありません。例えば関東地方整備局の令和8年度運用では複数技術を評価できる一方、新技術活用による主任技術評価官評定部分の加点は最大2点とされています。

新技術の数を増やすことより、現場課題との対応関係が明確で、実際の効果を確認できる技術を適切に使うことを優先する方が、施工管理上も合理的です。

つまり最初に確認すべきなのは、「どのNETIS技術なら高い点数になるか」ではありません。「この工事で、この技術を、この活用方式で使用すると、どのような手続きと評価条件になるのか」です。この順序で確認することで、施工後になってから想定していた評価条件と異なることに気付くリスクを減らせます。

観点2:技術を使った事実ではなく活用効果を示す

2つ目の観点は、新技術を使った事実だけではなく、その結果として何が変わったのかを説明できるようにすることです。

NETISの活用効果調査では、NETISに掲載されている従来技術との比較を基本として効果を整理します。地方整備局の現行案内では、経済性、工程、品質・出来形、安全性、施工性、環境の6項目について活用効果を確認する運用が示されています。

ここで重要なのは、「新しい機器を導入した」「デジタル化した」「作業員が便利になったと感じた」という説明だけで、活用効果を十分に示せるとは限らないことです。

工程であれば、従来技術と比べて、どの工程が省略されたのか、どこで作業時間や待ち時間が変化したのかを確認します。一部分の操作時間だけを比較すると、準備や撤去の負担を含めた実際の効果を捉えられない場合があります。準備、施工、確認、記録、後処理など、比較する範囲をそろえることが重要です。

品質・出来形については、新技術を使った結果、目的物の品質や出来形にどのような違いが生じたのかを整理します。測定作業が簡単になったことと、構造物そのものの品質が向上したことは同じではありません。管理作業が効率化したのであれば、その内容に適した項目で整理し、品質・出来形への効果を示す場合には、それを確認できる測定結果などを用意する必要があります。

安全性についても、「人が少なくて済んだから安全になった」という抽象的な説明だけではなく、危険箇所への立入り回数が減った、高所で行っていた確認作業を別の安全な位置から行えるようになった、交通規制を伴う作業時間が短くなったなど、作業方法の変化を確認できる記録を残すと説明しやすくなります。

施工性では、作業人数、作業手順、機材準備、計測や確認に必要な手間などが比較材料になります。ただし、新技術には初期設定や操作教育が必要な場合もあります。良かった点だけを取り出すのではなく、適用条件や追加作業も含めて比較した方が、現場での実態を正確に示せます。

環境面については、対象技術によって見るべき内容が異なります。騒音、振動、車両移動、廃棄物、使用材料など、技術と直接関係する事項を確認します。すべての技術について6項目全部に大きな改善が出るとは限りません。

経済性についても、機器や技術の導入部分だけで判断するのではなく、工期短縮によって変わる人件費や仮設費など、比較条件をそろえて確認することが重要です。

工事成績を意識すると、「高く評価される表現」に意識が向きがちです。しかし、評価前に必要なのは文章を強くすることではありません。施工前の想定、従来技術との比較条件、施工中の実績、施工後の結果を追えるように記録することです。

事実を比較できる状態にしておけば、活用効果を説明しやすくなり、想定ほど効果が得られなかった場合も、その理由を客観的に整理できます。

観点3:計画書・実施報告書・活用効果調査表を一連で管理する

3つ目の観点は、NETIS活用に関する書類を工事完成前にまとめて作成するのではなく、計画段階から一連の記録として管理することです。

NETIS掲載技術を活用するときには、新技術活用計画書、実施報告書、活用効果調査表などを取り扱います。ただし、すべての情報種別で同じ書類が必要になるわけではありません。技術の情報種別や発注機関の運用によって作成対象が異なるため、実際の工事では最新の案内を確認する必要があります。

例えば、関東地方整備局の令和8年度資料では、工事成績の加点措置を受けるには、原則として新技術活用計画書と新技術活用効果調査表の提出が必要とされています。一方、NETIS登録番号の末尾に付く情報種別記号が「-VE」の技術については、新技術活用効果調査表の提出は不要とされています。また、評価時には、活用効果調査表の提出が不要な場合を除き、発注者と受注者双方の活用効果調査表や新技術活用計画書、実施報告書等を確認する運用が示されています。

このため、「NETIS技術だから全件同じ書類を作ればよい」と判断せず、対象技術の情報種別と発注機関のルールを確認する必要があります。

計画段階では、何のために新技術を使うのかを明確にします。測定作業の省力化を目的とするのか、危険区域への立入り削減を目的とするのか、施工状況の記録を効率化するのかによって、施工後に確認する内容は変わります。

ここを曖昧にしたまま施工すると、工事終了後になって「効果を示す記録がない」「従来技術の作業時間が分からない」「施工前の状況を示す写真が残っていない」といった問題が起こりやすくなります。活用効果は完成後に文章を考えるだけでは整理できません。

実施段階では、計画した施工範囲と実際に活用した範囲が一致しているかを確認します。現場条件の変更によって施工数量や施工位置が変わった場合は、当初計画と実績の違い、その理由を説明できるように記録します。

写真も重要な記録です。近畿地方整備局の現行案内では、活用効果調査表の施工者用について施工状況写真の添付が必要とされています。実務上も、新技術を使用している機器だけを撮影するのではなく、どの作業で、どの場所に、どのように使ったかが分かる写真を残しておくと確認しやすくなります。

施工前、施工中、施工後を比較できる写真を残し、撮影日時、施工箇所、測点、工種、作業内容などを関連付けて管理すると、完成時の資料整理が容易になります。数週間後に写真だけを見て施工区間を判断するのは難しいため、撮影時点で情報を紐付けることが大切です。

実施報告書では、計画に対して実際にどのように活用したかを整理し、活用効果調査では従来技術との比較によって結果を確認します。この三つを別々の事務作業として扱うのではなく、「目的を決める、計画する、施工する、記録する、結果を確認する」という一つの流れで管理することがポイントです。

特に注意したいのが、計画時の目的と施工後の評価内容がずれるケースです。安全性の向上を主要目的として採用したのであれば、その目的に対して施工方法がどう変わったのかを確認できる記録を残します。施工中に工程短縮など別の効果が確認された場合は、それも事実に基づいて整理できますが、当初の導入目的を確認できない状態にはしないことが重要です。

工事成績を意識する場合も、完成間際に書類の体裁だけを整えることより、評価に必要な情報を施工中に失わない仕組みをつくる方が重要です。

観点4:工事成績の直接加点と施工全体の評価を分けて考える

4つ目の観点は、NETIS活用に関する直接的な加点と、工事全体について行われる工事成績評定を混同しないことです。

一定の条件を満たす新技術活用は、発注機関の運用に応じて工事成績の評価対象となることがあります。しかし、それだけを見て「NETISを導入すれば工事成績全体が大きく上がる」と考えるのは適切ではありません。

工事成績評定では、新技術活用以外にも、施工体制、施工管理、工程管理、安全対策、出来形、品質など工事全体に関する複数の事項が評価されます。新技術を活用していても、施工計画との不整合がある、必要な品質管理が行われていない、安全管理に問題があるといった場合には、工事全体として望ましい評価につながるとは限りません。

むしろNETISを活用するときほど、新技術以外の基本的な施工管理を崩さないという視点が重要です。

例えば、省人化を目的とした技術を導入したとしても、新しい作業手順を担当者が十分に理解していなければ、確認漏れや操作ミスにつながる可能性があります。機器を扱う担当者だけが操作方法を知っており、施工管理者が取得データの意味や確認方法を把握していなければ、そのデータを品質管理へ適切に利用しにくくなります。

測定や記録を効率化する新技術でも、データ保存のルールが決まっていなければ、完成時に必要な記録を探せなくなることがあります。データ量が増えるほど、施工箇所、測点、日付、担当者、データの版などを一定のルールで管理することが重要になります。

このように考えると、NETIS活用は「加点項目だけを見る」のではなく、「新技術によって施工管理のどの部分を改善できたのか」という視点で捉えることが実務的です。

工程短縮によって工程上の余裕を確保できる場合があります。現場確認を効率化すれば、管理担当者がほかの確認作業に時間を充てられる可能性があります。危険箇所への立入りが減れば、安全管理上の負担を減らせる可能性があります。

ただし、こうした効果が確認されたとしても、それぞれが自動的に別々の工事成績加点になるという意味ではありません。評価項目や配点については発注機関の基準に従って判断する必要があります。同じ成果を複数の項目で重複して加点できると決めつけないことが重要です。

NETIS活用そのものに関する加点条件は制度上の基準に沿って確認し、それとは別に、施工全体の品質、安全、工程、記録管理を適切に行う。この二つを分けて考えることで、「新技術を使ったから工事成績は上がるはずだ」という誤解を防げます。

観点5:現場条件と発注者の評価基準に合わせて運用する

5つ目の観点は、NETISに掲載された一般的な情報だけで判断せず、実際の工事条件と発注者側の運用を確認することです。

同じ技術でも、施工場所、施工数量、施工時期、作業空間、通信環境、気象、周辺構造物、交通条件などによって得られる効果は変わります。

ある現場では大幅な省力化につながる技術でも、対象数量が少ない現場では準備時間の割合が大きくなり、工程短縮効果が小さくなることがあります。広い施工範囲で効果を発揮する測定技術でも、狭い区間だけで使えば従来技術との差が小さくなる場合があります。

そのため、NETISに掲載されている申請情報や一般的な効果を、そのまま自分の工事の実績として扱わないことが重要です。

施工前には、対象技術の適用条件と現場条件を照らし合わせます。対象工種、施工数量、必要な作業空間、地形、気象、電源、通信、既設構造物などを確認し、想定している効果を確認できる条件なのかを検討します。

施工中には、計画時の想定と実際の状況に差がないかを確認します。予定より作業時間が長くなった場合や、現場条件によって追加作業が必要になった場合も記録します。想定ほど効果が得られなかったとしても、その理由を記録しておけば、技術を適切に評価するための材料になります。

また、発注機関の最新資料を確認することも欠かせません。関東地方整備局の令和8年度資料で示されている最大0.8点という工事成績への反映や、受注者提案のみを工事成績加点対象とする扱いを、他の発注機関や将来年度にもそのまま適用できるとは限りません。

過去の別工事で使った社内マニュアルや提出書類だけを根拠にすると、制度変更を見落とす可能性があります。新技術活用の配点、技術の位置付け、必要書類、提出方法などが更新される可能性を考え、施工する年度の公式資料を確認します。

実務担当者は、新技術を採用する段階で、監督職員等と確認すべき事項を整理しておくとスムーズです。活用方式、施工範囲、従来技術との比較方法、必要な書類、記録方法などを施工前に確認しておけば、完成時になって認識の違いが判明するリスクを小さくできます。

NETIS活用で大切なのは、高い評価を得ることだけを目的として新技術を無理に現場へ当てはめることではありません。現場課題に適した技術を選び、その技術が実際の現場でどのような効果を生んだのかを確認し、必要な記録を残すことです。その結果が発注機関の評価条件に合致した場合に、工事成績評定へ反映されるという順序で理解するのが適切です。

評価前に実務担当者が整えておきたい記録

工事成績の評価時期が近づいてからNETIS関連資料を探し始めると、比較に必要な情報が不足していることがあります。特に失われやすいのが、施工前の状況、従来技術との比較に必要な作業時間、実際の施工場所を確認できる写真、計画時と実施時の数量差などです。

そのため、NETIS活用が決まった時点から、評価に必要となる情報を通常の施工記録と関連付けて管理しておくことが重要です。

まず残しておきたいのが、技術を採用した理由です。現場にどのような課題があり、その課題に対してなぜ新技術を選択したのかを整理します。人力で行う確認作業に時間を要していた、危険箇所への立入りが必要だった、複数人で行う測定を効率化したかったなど、施工前の状態を具体的に残します。

次に、従来技術との比較条件を決めます。作業時間を比較するのであれば、どこからどこまでを作業時間として計測するのかを統一します。新技術だけ準備時間を除外し、従来技術だけ準備時間を含めれば、公平な比較にはなりません。作業人数を比較する場合も、直接作業者だけを見るのか、確認者や誘導員まで含めるのかをそろえます。

施工中は、実際の活用日、施工位置、施工数量、作業人数、作業時間、天候、現場条件など、技術の効果を説明するうえで必要な情報を残します。すべての項目を機械的に記録する必要はありませんが、施工後に比較の根拠を追える状態にしておくことが重要です。

写真についても、機器を使用している様子だけではなく、その写真が何を示しているのか分かるようにします。施工前の状況、新技術を使用している施工中の状況、施工後の確認状況など、目的を意識して撮影すると比較しやすくなります。

位置情報を扱える場合は、施工位置と写真を関連付けておくと後から確認しやすくなります。道路や河川など施工区間が長い現場では、似た写真が大量に残ることがあるため、撮影位置や測点と関連付ける効果は大きくなります。

変更履歴も重要です。当初計画では100メートルの区間で新技術を使用する予定だったものが、施工条件の変更によって70メートルになった場合、最終的な施工量だけでは変更の経緯が分かりません。計画値、実績値、変更理由を関連付けておけば、実施報告を整理するときにも確認しやすくなります。

新技術を使用したときに発生した課題も記録します。初期設定に時間を要した、特定の施工条件では使いにくかった、作業員への事前教育が必要だったといった情報も、実際の適用性を判断するための重要な材料です。

NETISの活用効果調査は、良い結果だけを並べるためのものではありません。従来技術と比較して、実際の現場でどのような違いがあったのかを確認するための調査です。そのため、施工者側でも後から事実を追える記録を整えておく必要があります。

工事成績を考える場合も同じです。完成時に文章を工夫することより、施工中に比較可能な事実を記録しておくことの方が、評価時の説明を支えます。

NETIS活用を工事成績につなげるための考え方

NETIS活用で工事成績がどう変わるかを考えるとき、最も避けたいのは「NETIS登録技術を使えば自動的に何点上がる」という理解です。

実際には、活用方式、技術の位置付け、発注機関の当該年度の評価基準、現場で確認された活用効果、必要書類などを踏まえて評価されます。特定の地方整備局で示された配点を全国共通の固定値として扱わないことも重要です。

評価前に押さえておきたい第一のポイントは、施工者提案なのか発注者指定なのかなど、活用方式を明確にすることです。第二は、新技術を使用した事実だけではなく、従来技術との比較によって活用効果を説明できる状態にすることです。第三は、計画書、実施報告書、活用効果調査表を別々の事務処理として扱わず、計画から施工、評価まで一連の記録として管理することです。

第四は、新技術活用に対する直接的な評価と、施工体制、施工管理、工程、安全、出来形、品質などを含む工事全体の評価を分けて考えることです。そして第五は、過去の事例だけで判断せず、実際の現場条件と施工年度の発注者側の評価基準を確認することです。

この5つを整理すると、NETIS活用の目的も明確になります。

工事成績の点数だけを目的に新技術を選ぶのではなく、まず現場課題を明確にし、その課題の改善に適した技術を選定します。そして施工前に比較方法を決め、施工中に必要なデータや写真を残し、施工後に従来技術との違いを確認します。その結果として、発注機関が定める評価条件を満たしていれば、工事成績評定にも反映され得るという考え方です。

この流れでは、現場記録の管理が重要になります。新技術による効果が確認できていても、「いつ、どこで、どのように使ったのか」が整理されていなければ、完成時に施工状況を再確認する作業が必要になります。担当者が変わった場合や、複数の施工区間で技術を活用した場合は、さらに確認が難しくなります。

そこで、施工写真、位置情報、施工日時、施工内容などを現場で記録し、後から施工箇所ごとに確認できるようにしておく方法が有効です。

LRTK Phoneでは、測位した位置情報の記録や、撮影位置と写真を関連付けた測位写真の保存、クラウド上でのデータ確認などを行えます。施工前、施工中、施工後の写真を位置情報と関連付けて整理することで、どの場所で撮影した記録なのかを後から確認しやすくできます。

ただし、こうしたデジタル記録を作成しただけでNETISの活用効果調査や工事成績上の要件を満たすわけではありません。新技術活用計画書、実施報告書、活用効果調査表など、発注機関から求められる正式な手続きや提出書類とは分けて管理し、必要な資料の根拠を整理するための現場記録として活用することが重要です。

NETIS活用で工事成績への評価を意識する場合は、技術選定だけに注目するのではなく、活用した事実と効果を説明できる記録まで含めて準備する必要があります。LRTK Phoneを用いて位置と写真などの現場情報を整理しておけば、活用状況を後から確認し、完成時の資料整理へつなげやすい環境をつくれます。

現場を3Dで残して、あとから測る。
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