NETIS活用による省人化は「人数を減らすこと」だけではない
建設現場では、人手不足への対応や生産性向上を目的として、新しい施工技術や計測技術、情報管理技術の導入が進んでいます。その中でNETISを調べている実務担当者の中には、「NETISに登録されている技術を使えば、現場の必要人数を減らせるのではないか」と考えている方も多いでしょう。
ただし、NETIS活用と省人化を単純に結び付けるのは適切ではありません。NETISは国土交通省が運用する新技術情報提供システムであり、新技術に関する情報の共有や公共工事等での活用を支える仕組みです。NETISに技術情報が掲載されていることだけで、その技術の性能や特定の現場への適合性が一律に保証されるわけではありません。そのため、登録技術を導入しただけで、自動的に作業員を一人減らせると考えることは避ける必要があります。
実際の現場では、施工方法、作業範囲、現場条件、安全管理方法、品質管理方法、発注者との取り決め、使用する技術の適用条件などによって必要人数が変わります。同じ技術を使用しても、従来三人で行っていた作業を二人で実施できる現場もあれば、安全確保などの理由から三人の配置を維持する必要がある現場も考えられます。
そのため、省人化を検討するときには「何人減らせるか」から考えるのではなく、「誰が、どの作業に、どの程度の時間を使っているのか」を整理することが重要です。
たとえば、測量作業そのものに二人必要だった現場で、新しい計測方法によって一人で測定できるようになったとしても、それだけで現場全体の作業量が半分になるとは限りません。測定後の写真整理、座標の転記、帳票作成、成果確認、事務所への移動、データ共有といった後工程が従来のまま残れば、期待したほど総作業時間が減らない可能性があります。
反対に、現地で必要な人数が変わらなくても、再測定や事務所での入力作業が減れば、現場全体として省力化につながる場合があります。
NETIS活用による効果を判断するときには、現場に立っている人数だけではなく、現場と事務所を含めた業務全体を見る必要があります。省人化とは単純な人員削減だけを意味するものではなく、限られた人員で必要な業務を安全かつ確実に処理できる状態をつくることだと考えると、導入効果を判断しやすくなります。
ここからは、NETISを活用しながら必要人数を見直す際に確認しておきたい6つのポイントを具体的に解説します。
確認ポイント1:現在の作業工程と必要人数を細かく分解する
最初に確認したいのは、現在の施工や測量、検査、記録作業を工程単位に分解し、それぞれの工程で何人が何をしているのかを整理することです。
「この作業は三人で行っている」という情報だけでは、省人化できるかどうかを正確に判断できません。同じ三人作業でも、一人が機器を操作し、一人が測定対象を確認し、もう一人が安全確認を行っている場合と、三人がそれぞれ別の測定を担当している場合では、技術導入後の人数の考え方が異なります。
たとえば現場測量では、機器の設置、基準点の確認、測定位置への移動、測定値の確認、野帳などへの記録、写真撮影、安全確認など、複数の作業が同時または連続して発生する場合があります。
新しい計測技術によって機器操作と記録作業を一人で行えるようになれば、測量そのものに必要な人数を見直せる可能性があります。しかし、交通誘導や重機との接触防止など、安全管理上別の役割が必要な場合、その人員まで同時に減らせるとは限りません。
重要なのは、「人」ではなく「役割」を見ることです。
現在三人で作業しているのであれば、なぜ三人必要なのかを明確にします。操作担当、記録担当、安全確認担当、補助担当、誘導担当など、それぞれが担っている役割を整理します。そのうえでNETISに登録されている技術などを利用した場合、どの役割に関係する作業を機械化、自動化、一体化できるのかを検討します。
この整理を行うと、単純な人数削減以外の改善点も見つかります。
たとえば二人で行っている作業を一人にすることは難しくても、一回30分かかっていた作業を15分に短縮できれば、同じ人数で一日に処理できる作業量を増やせる可能性があります。別の場所へ移動する回数が減れば、車両移動や準備に使う時間も減少する場合があります。
また、一人で測定から記録まで完結できるようになれば、もう一人の担当者を別の工程に配置できることもあります。これも現場全体で見れば人員配置の効率化につながります。
工程を整理するときは、施工や測定を始めてから終えるまでだけを見るのではなく、その前後まで含めることがポイントです。
機材準備、現場までの運搬、機器設置、初期設定、作業実施、結果確認、機器撤収、データ保存、事務所での整理、成果品作成までを一連の業務として確認すると、どこに多くの作業量が発生しているのかが見えやすくなります。
NETIS活用によって省人化できるかを検討する第一歩は、技術の機能だけを見ることではありません。現在の作業を十分に理解し、「どの役割に、なぜ人が必要なのか」を明らかにすることです。
確認ポイント2:移動・待機・転記などの間接作業を確認する
省人化というと、施工機械を自動化したり、一人で測量できるようにしたりする場面を想像しやすいですが、実際の現場では移動、待機、準備、転記といった間接作業にも時間が使われています。
こうした作業を減らせるかどうかは、NETIS活用による生産性向上を考えるうえで重要な確認ポイントです。
たとえば、現場で測定した結果を紙に記録し、事務所へ戻ってから表計算用のデータへ入力している場合、測定そのものだけでなく転記作業にも時間がかかります。
さらに、記載内容の確認や入力間違いの修正が必要になれば、担当者だけでなく確認者の時間も使います。
現場で取得した情報をデジタルデータとして保存し、そのまま後工程へ利用できる仕組みであれば、二重入力を減らせる可能性があります。
位置情報、現場写真、測定結果などを関連付けて管理できる仕組みであれば、「この写真はどの地点だったか」「この数値はどこで測定したものか」といった確認作業を減らせる場合もあります。
また、移動時間も見逃せません。
従来は測量担当者が現場へ来るまで施工班が待機していたとしても、必要な教育や手順を整えたうえで現場担当者が対象となる測定を行えるようになれば、待ち時間を短縮できる場合があります。
逆に、操作できる担当者が一人しかいなければ、その人が別の現場へ移動するたびに作業が停止してしまう可能性があります。技術的には一人で作業できる仕組みであっても、運用方法によっては省人化につながらないこともあります。
そこで確認したいのが、作業者が「仕事をしている時間」だけでなく、「仕事をするために待っている時間」です。
測量待ち、機材待ち、確認待ち、データ送信待ち、承認待ちなどを洗い出してみると、直接作業以外にも工数が発生していることがあります。
新技術の導入によって省人化できるかを判断するときは、直接作業だけを比較するのでは不十分です。
たとえば従来方式では二人で30分、新技術では一人で30分だった場合、直接作業に要する人・時間は従来の1人・時間から0.5人・時間になります。しかし新技術では事前準備に時間が必要で、作業後に別途データ変換が必要になるのであれば、その時間も含めて評価する必要があります。
反対に、現場での人数が二人から二人のままであっても、事務所で毎回一時間かかっていた整理作業が短縮されれば、業務全体では改善効果が大きくなる可能性があります。
省人化を評価するときは、現場作業者数、作業時間、移動時間、待機時間、入力時間、確認時間まで含めて考えることが重要です。
確認ポイント3:安全管理や品質管理で減らせない人員を整理する
NETIS活用によって作業を効率化できても、安全管理や品質管理上必要な人員まで自動的に減らせるわけではありません。
この点を確認せず、技術上は一人で操作できるという理由だけで配置人数を決めてしまうと、現場条件によっては無理が生じる可能性があります。
たとえば道路付近で計測を行う場合、計測機器の操作自体は一人で完結できても、施工条件や交通規制の方法などによっては周辺交通への対応や作業者の安全確保を別途検討する必要があります。
重機が稼働している施工区域では、計測担当者が画面を確認しながら移動することで周囲への注意が不足する可能性もあります。その場合、操作人数を減らせることと、安全管理上必要な体制を変更できることは分けて考える必要があります。
高さのある場所、狭い場所、地下構造物、車両が頻繁に通行する場所、水辺、斜面などでも同様です。
新しい機器を使えば一人でデータを取得できるとしても、現場条件や作業内容によっては複数人で行動することが適切な場合があります。
また、品質管理の観点も重要です。
一人で測定、記録、確認まで実施できるようになると作業を効率化できる場合がありますが、工事内容や管理基準によっては別担当者による確認が必要になることがあります。
確認工程を省略して作業量を減らした結果、測定条件の設定間違いや記録漏れを見逃し、後日再測定になれば、かえって工数が増える可能性があります。
したがって、必要人数を見直す際には「技術的に何人で操作できるか」と「現場管理上何人必要か」を分けて整理する必要があります。
NETISに掲載された技術であっても、あらゆる現場条件で同じ運用方法が適用できるとは限りません。また、NETISへの掲載そのものは、特定の現場での性能や適用性を国土交通省が一律に保証するものではありません。技術ごとの適用条件や使用上の注意を確認したうえで、実際の施工条件に合わせて判断することが大切です。
発注図書、施工計画、安全管理上のルール、現場独自の運用基準などによって必要な体制や手順が定められている場合もあります。
新技術の導入を理由に、これまで必要だった人員を一律に外すのではなく、その人が担っていた役割が本当に不要になったのかを確認します。
「作業者を一人減らす」のではなく、「この作業方法の変更によって、この役割を別の方法で処理できるようになった」と説明できる状態にすることが重要です。
この考え方を徹底すれば、安全性や品質を損なわないよう配慮しながら、省力化できる工程と維持すべき工程を整理しやすくなります。
確認ポイント4:記録作成やデータ整理まで含めて省人化を評価する
建設現場の生産性を考えるとき、現場で作業している時間だけに注目すると、本来確認すべき省人化効果を見落とすことがあります。
特に施工管理、測量、出来形確認、写真管理などでは、現場作業後の情報整理にも時間がかかります。
たとえば現場写真を撮影した後、事務所で撮影場所や工種を確認し、フォルダを整理し、必要な情報を付け加える作業が発生することがあります。
現場で座標を測定していても、写真と座標が別々に保存されていれば、後から対応関係を確認しなければならない場合があります。
こうした作業が一日数回、一週間、一か月と積み重なると、無視できない作業量になることがあります。
そのため、NETIS活用による省人化を検討するときは、「現場で何人必要か」だけでなく、「成果を利用できる状態にするまで何時間必要か」を見る必要があります。
たとえば、現場での測定時間を20分短縮できても、その後のデータ整理に従来と同じ二時間が必要なら、業務全体への影響は限定的かもしれません。
一方、現場で取得したデータを位置情報と関連付けて保存し、そのまま関係者と共有できる仕組みであれば、測定時間が変わらなくても後工程を短縮できる可能性があります。
ここで重要なのは、単にデジタル化することではありません。
紙を電子ファイルに置き換えただけで、同じ情報を複数の帳票へ入力しているのであれば、作業そのものは大きく減っていない可能性があります。
一度取得した情報を複数の工程で再利用できるようにすることが、省力化につながる場合があります。
たとえば現場で取得した座標、写真、計測データが相互に関連付けられていれば、後から資料を探す時間を減らせることがあります。担当者が不在でも、権限や共有方法が適切に設定されていれば、別の担当者が記録を確認しやすくなる場合があります。
これは直接的な人数削減ではありませんが、現場全体の運用を安定させるうえで意味があります。
また、記録方法を見直すことで再作業を減らせる場合もあります。
情報が不足していて再び現地へ行く場合、一人の作業時間だけでなく、移動、車両、日程調整、関係者への連絡など複数の工数が発生します。
一度の現地作業で必要な情報を過不足なく残せる仕組みを整えることは、省力化につながる場合があります。
新技術を評価するときには、現場作業、記録、整理、共有、確認、成果作成まで一連の流れを確認してください。
省人化効果は、現場での操作人数だけでなく、後工程に現れる場合もあります。
確認ポイント5:操作技能とトラブル対応を含めた運用体制を確認する
新しい技術を導入すると、従来より少人数で作業できる可能性があります。しかし、少人数運用を安定して続けるためには、その技術を扱える担当者や代替手順を準備しておくことが重要です。
特定の一人だけが操作できる状態では、見かけ上は省人化できても、運用上のリスクが高くなる場合があります。
たとえば一人で測量できる機器を導入したとしても、その担当者が休暇や別現場への応援で不在になっただけで測量作業が止まるのであれば、現場全体として安定した運用とは言いにくくなります。
省人化を進めると、一人が担う役割が増える場合があります。そのため、担当者の不在や機器トラブルが工程へ与える影響も確認しておく必要があります。
導入前には、基本操作を何人が習得するのか、初期設定を誰が行うのか、データ保存先を誰が管理するのか、エラーが発生したときに誰へ確認するのか、といった運用体制を整理しておくことが重要です。
特に複数現場で利用する場合は、一部の詳しい担当者に質問が集中しすぎない仕組みを検討する必要があります。
操作方法を標準化し、現場ごとに独自の使い方が増えすぎないようにすることも重要になります。
一人で作業できる機器でも、毎回複雑な設定変更が必要であれば、経験者と初心者で作業時間に大きな差が出ることがあります。特定の熟練者だけを基準にしてしまうと、会社全体での省人化効果を実態より大きく見積もる可能性があります。
そこで、試験導入時には熟練者だけで評価しないことが重要です。
実際に使用する担当者にも操作してもらい、準備からデータ保存まで一通り実施します。その結果を確認すれば、教育に必要な時間やつまずきやすい操作を把握しやすくなります。
また、通信環境や衛星受信環境などの外部条件に影響を受ける技術では、現場条件によって通常どおり使用できない場合も想定しておく必要があります。
技術が利用できないときに従来方法へ切り替えるのか、別の手段を用いるのか、作業順序を変更するのかなどを事前に整理しておけば、少人数運用でも工程への影響を抑えやすくなります。
省人化は、単に作業者を少なくすることではありません。
少ない人数でも必要な業務を安定して継続できる仕組みをつくることが重要です。そのためには、教育、代替要員、トラブル対応、データ管理まで含めて運用設計を行う必要があります。
確認ポイント6:試験運用で実際の人工と作業時間を比較する
最後の確認ポイントは、本格導入の前に実際の現場で試験運用を行い、必要人数と作業時間を比較することです。
カタログや技術情報だけでは、実際の現場で何人必要になるかを正確に判断することは困難です。
現場には、障害物、交通、作業スペース、通信状況、天候、作業員の習熟度など、多くの条件があります。同じ技術でも、現場条件によって効果が異なる可能性があります。
そのため、省人化の効果を確認するには、従来方法と新しい方法を可能な範囲で同じ条件にそろえて比較することが重要です。
比較するときは、単純な作業人数だけではなく、作業開始から成果が利用できる状態になるまでの時間を記録します。
たとえば従来方法が二人で60分、新しい方法が一人で40分だった場合、直接作業量を人・時間で表すと、従来は2人・時間、新しい方法は約0.67人・時間です。このように人数と時間を組み合わせて比較すると、作業量の違いを把握しやすくなります。
ただし、新しい方法のデータ整理にさらに一時間必要なのであれば、その時間も加えて評価しなければなりません。
また、一度だけの試験で結論を出さないことも重要です。
初回は操作に慣れていないため時間がかかることがあります。反対に、試験時だけ詳しい担当者が操作すると、通常運用より短い時間で作業できることもあります。
複数回試し、通常運用に近い条件で比較すると、現実的な省人化効果を判断しやすくなります。
さらに、作業時間だけでなく、再作業の発生状況も記録すると比較に役立ちます。
測定漏れによる再測定、写真不足による再訪問、入力間違いによる修正などが減っているのであれば、それも作業量の変化として評価できます。
反対に、操作ミスやデータ変換作業が増えた場合は、その原因を確認する必要があります。
試験結果は「一人減った」「30分短くなった」といった単一の数値だけで整理するのではなく、どの工程がどの程度変化したのかを残しておくと、その後の展開に役立ちます。
別の現場へ導入するときも、現場条件との違いを比較しやすくなるからです。
NETIS活用による省人化を社内や発注者へ説明するときにも、実際の施工条件で取得した比較結果があれば説明材料になります。
重要なのは、大きな効果を示すことではなく、どの条件でどの作業がどの程度変化したのかを明確にすることです。
必要人数を見直すときは工程単位で考える
必要人数を見直す際に避けたいのが、「これまで三人だったので二人にする」と作業全体の人数を一括して変更してしまうことです。
実際には、一日の中でも必要人数は工程によって変わる場合があります。
準備段階では二人必要でも、測定中は一人で実施できるかもしれません。機器撤収時には再び二人必要になる場合もあります。
つまり、「この仕事は何人」という固定的な考え方ではなく、「この工程にはどのような役割が必要か」と考える方が、省人化できる範囲を整理しやすくなります。
たとえば二人で機材を設置し、その後一人が測定を続け、もう一人が別の施工管理業務を行えるのであれば、作業全体の人員を減らさなくても人員配置を改善できます。
このような改善も現場の生産性向上につながります。
人手不足の状況では、必ずしも在籍人数そのものを減らす必要はありません。同じ人数で対応できる業務量を増やしたり、施工管理担当者が確認業務に使える時間を増やしたりすることも、省力化の効果として考えられます。
また、工程単位で考えると、安全管理との両立も検討しやすくなります。
作業内容や現場条件に応じて必要な安全管理体制を維持しながら、機器操作や記録など省力化できる部分を切り分けることができます。
新技術を導入する際には、「一人で操作できる」といった情報だけで判断するのではなく、自社の作業工程へ当てはめて確認することが重要です。
施工条件や担当者の役割を分解することで、本当に減らせる作業量と、維持すべき役割を明確にできます。
NETIS活用で省人化しやすい現場の特徴
NETIS掲載技術を活用する場合でも、すべての現場で同じように省人化効果が得られるわけではありません。
一般的には、同じ作業を繰り返す工程では、一回あたりの短縮効果が積み重なるため、改善効果を確認しやすい傾向があります。
たとえば一日に何度も同じ測定を行う現場では、一回あたり数分の短縮でも、回数が多ければ全体の時間削減につながります。
現場写真や位置情報を繰り返し記録する作業でも、一回の記録時間を短縮できれば累積効果が生じる可能性があります。
また、現場と事務所を頻繁に往復している業務にも、省力化の余地がある場合があります。
現場で取得したデータを適切な方法で関係者が共有できれば、情報確認のための移動を減らせることがあります。
複数の担当者が同じ情報を別々に入力している業務も改善対象になり得ます。
一度取得したデータを施工管理、写真管理、測量、報告資料などの複数工程で再利用できれば、転記作業を減らせる可能性があります。
一方、毎回条件が大きく変わる特殊作業では、事前設定や調整に時間がかかり、省人化効果が限定的になる場合があります。
新技術の適用範囲と実際の現場条件が合っているかを確認することが重要です。
省人化しやすいかどうかは、技術の新しさだけで判断するのではなく、現在の作業にどれだけ重複、待ち時間、移動、転記などが存在するかを確認して判断するとよいでしょう。
省人化だけを目的にすると失敗しやすい理由
新しい技術の導入効果を「何人減らせるか」だけで評価すると、現場で定着しないことがあります。
省人化を優先しすぎると、一人当たりの負担が増える可能性があるためです。
たとえば従来は二人で測定と記録を分担していた作業を一人で行う場合、一人の担当者が機器操作、周囲確認、記録確認など複数の作業を担うことになります。
技術上は一人で操作できても、複数の確認を一人へ集約することで負担や見落としのリスクが増えないかを確認する必要があります。
また、担当者が急いで操作するようになり、記録漏れや確認不足が増えれば、後工程で修正が必要になる可能性があります。
省人化で重要なのは、人を減らすことを先に決めるのではなく、不要な作業を減らすことです。
転記、二重入力、待機、探し物、確認のためだけの移動などを減らし、その結果として必要な作業量が少なくなる状態を目指します。
この順序を逆にし、人員数だけを先に減らすと、残った担当者が従来作業をすべて抱えることになり、生産性が下がる可能性があります。
新技術導入時には、削減できた時間をどこへ振り向けるかも考えておくと、導入効果を整理しやすくなります。
品質確認、施工計画、工程調整、安全管理など、人による判断が必要な業務へ時間を使えるようになれば、省人化と業務品質の両立を検討しやすくなります。
発注者や社内へ省人化効果を説明するときの考え方
NETISを活用した新技術の導入では、社内だけでなく発注者や現場関係者へ運用方法を説明する場面があります。
このとき、「NETISに掲載された新技術なので省人化できます」という説明だけでは十分ではありません。
NETISへの掲載は、その技術の情報を共有し活用を検討するためのものであり、特定の工事で一定の省人化効果が得られることを一律に保証するものではないためです。
どの工程がどのように変わるのかを具体的に説明することが重要です。
たとえば、従来は測定担当と記録担当の二人で行っていた工程について、使用する技術によって測定結果の記録方法が変わり、一人で処理できる範囲が増えるのであれば、その役割の変化を説明します。
さらに、安全確認が必要な場所では必要な体制を維持するなど、省人化しない条件も明確にしておけば、運用方法を共有しやすくなります。
試験運用の結果があれば、従来方法との違いを作業人数や人・時間などで整理できます。
ただし、ある現場で得られた結果がすべての現場にそのまま当てはまるとは限りません。
地形、施工条件、作業範囲、担当者の熟練度などの条件を併せて説明することが重要です。
また、NETISに掲載されていることと、特定の工事でその技術を使用すれば必ず省人化できることは別の話です。
技術情報を確認したうえで、実際の施工条件に適合するかを検討し、発注図書や施工計画などに応じて必要な手続きや関係者との確認を行うことが基本になります。
社内説明でも同様です。
「何人削減できるか」だけではなく、「削減できた時間を何に使えるか」まで示すと、導入目的を整理しやすくなります。
測量担当者の移動を減らせる、施工管理担当者の記録作業を短縮できる、現場確認を迅速化できるなど、業務全体への効果を整理することが重要です。
NETIS活用を継続的な生産性向上につなげる
一度技術を導入して終わりにするのではなく、実際の運用結果を継続的に確認することで、省人化効果を把握し、改善につなげやすくなります。
導入直後は従来方法と併用したり、操作確認に時間がかかったりするため、一時的に作業時間が増える場合があります。
担当者が操作に慣れ、手順が標準化され、データの利用方法まで整理されることで、導入効果が変化することもあります。
そのため、初回の結果だけで導入効果を判断せず、一定期間運用した後に再評価する方法も有効です。
特に確認したいのは、当初想定していなかった追加作業です。
データ変換に時間がかかっている、保存先が分からず探す時間が増えている、現場ごとに設定が違う、担当者によって操作手順が異なる、といった問題が発生すると、技術そのものが便利でも業務全体では十分な効率化につながらない可能性があります。
反対に、当初は省人化の対象としていなかった作業が短縮されることもあります。
現場写真を探す時間が減った、位置確認のための再訪問が減った、関係者への説明がしやすくなったなどの効果が確認できる場合です。
こうした副次的な変化まで把握すると、NETIS活用による生産性向上をより実態に近い形で評価できます。
現場ごとの結果を蓄積していけば、「どのような現場なら一人で対応できる可能性があるか」「どの条件では補助者が必要か」といった自社の運用基準を検討する材料にもなります。
これにより、新しい現場で毎回ゼロから検討する範囲を減らし、技術導入の手順自体を効率化できる可能性があります。
省人化を一度だけの人数削減として考えるのではなく、業務手順を継続的に改善する取り組みとして考えることが重要です。
まとめ
NETIS活用によって省人化できるかを判断するときは、登録技術を導入すれば自動的に必要人数が減ると考えるのではなく、現在の業務を工程ごとに分解して確認する必要があります。
NETISは新技術に関する情報の共有や活用を支える仕組みであり、掲載されていること自体が特定の工事での性能や省人化効果を一律に保証するものではありません。使用する技術の適用条件と実際の現場条件を照合して判断することが重要です。
まず、現在何人がどの役割を担当しているのかを整理します。そのうえで、移動、待機、転記などの間接作業を含め、技術導入によって減らせる可能性のある作業を確認します。
同時に、安全管理や品質管理のために維持すべき役割や体制を明確にすることも欠かせません。
さらに、現場作業だけではなく、写真整理、測定データ整理、共有、成果作成といった後工程まで含めて人数と作業時間を比較すると、省人化効果をより正確に把握できます。
操作できる担当者を複数育成し、トラブル時の対応方法まで決めておけば、少人数での運用を安定させやすくなります。
そして、本格導入前には実際の現場で試験し、作業人数、作業時間、後処理時間、再作業の有無を記録することが重要です。
省人化の目的は、単に現場から一人を減らすことではありません。不要な作業を減らし、限られた人員を安全管理、品質確認、工程管理など必要性の高い業務へ振り向けられる状態をつくることです。
特に測量や現場記録では、位置情報、写真、計測データを別々に扱うことが業務負担につながる場合があります。現場で取得した情報を関連付けて管理できれば、測定だけでなく、記録整理や情報共有まで含めた省力化を検討できます。
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