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NETIS活用でストレージ暗号化後の復旧不能を防ぐ6つの管理ポイント

NETIS活用でストレージ暗号化管理が重要になる理由

NETISに掲載された新技術のうち、デジタル端末やデータ保存を伴う技術を施工現場で活用すると、写真、位置情報、測量記録、施工履歴、検査資料、図面、帳票など、多くの現場データを端末や記録媒体で扱う場合があります。こうしたデータには施工状況を説明する資料として使われるものもあり、単に「保存されている」だけではなく、必要なときに読み出せる状態を維持することが重要です。

そこで検討されるのがストレージの暗号化です。端末の紛失や記録媒体の持ち出しなどが発生した場合でも、第三者による保存内容の読み取りを難しくする対策として、暗号化は有効な手段の一つです。一方で、暗号化を有効にすればすべて安心というわけではありません。認証情報を失ったり、暗号鍵や復旧情報を適切に管理していなかったりすると、正規の利用者であってもデータへアクセスできなくなる場合があります。

施工現場では、端末故障、担当者の交代、機器交換、設定変更、長期保管、アカウント変更などが発生することがあります。現場では問題なく使えていた端末が、工事完了後の資料整理時に読み出せなくなることも考えられます。施工中は毎日確認していたデータでも、数か月後に検査や説明資料として必要になったとき、暗号化された保存領域へアクセスできなければ業務に影響が出る可能性があります。

NETISは、公共工事等で活用する新技術に関する情報を共有・提供するデータベースであり、新技術活用の仕組みの中核となるものです。NETIS自体が、個々の端末の暗号鍵やバックアップ方法を管理する仕組みではありません。そのため、NETIS掲載技術を活用する際にも、使用する端末やデータ管理環境については、利用する技術や組織のルールに応じて適切な運用を整える必要があります。

重要なのは「暗号化したかどうか」だけではなく、「暗号化された状態から必要なデータを復旧できるか」という視点です。情報漏えいへの対策として暗号化を強化した結果、自社でもデータを取り出せなくなってしまっては、施工記録を守るという目的を十分に果たせない場合があります。

ストレージ暗号化後の復旧不能を防ぐには、暗号化設定そのものだけでなく、復旧経路、バックアップ、暗号鍵、認証情報、端末変更履歴、緊急時の代替運用まで含めて管理することが重要です。ここからは、NETIS掲載技術のうちデータ保存を伴う技術を扱う実務担当者が押さえておきたい6つの管理ポイントを順に解説します。

管理ポイント1|暗号化前に復旧経路と管理責任者を明確にする

最初の管理ポイントは、暗号化を開始する前に「誰が、どの情報を使って、どのように復旧するのか」を決めておくことです。

ストレージ暗号化では、正常に利用できている間は復旧手順を意識する機会が少ないため、設定した担当者しか仕組みを理解していない状態になることがあります。施工現場では、担当者の異動、休職、退職、工事終了後の引き継ぎなどが発生する場合があります。暗号化を設定した担当者しか解除や復旧の方法を知らなければ、必要なデータが残っていても組織として利用できない状態になる可能性があります。

そのため暗号化を有効にする前に、対象となる端末、保存されるデータ、認証方法、復旧情報の保管先、管理責任者、代理担当者を整理しておくことが大切です。

ここで注意したいのは、通常利用時のログイン方法と、障害発生時の復旧方法を混同しないことです。日常的に端末へログインできるからといって、端末故障や設定破損が発生した場合にも同じ手順で復旧できるとは限りません。利用環境によっては、通常の認証情報とは別に、復旧用の情報や管理者権限が必要になる場合があります。

また、現場担当者個人の記憶だけに依存しないことも重要です。「担当者なら覚えている」「いつもの番号を使っている」といった運用では、担当変更時に復旧経路が失われるおそれがあります。復旧に必要な情報は、会社の管理ルールに基づいて記録し、担当者が不在でも権限を持つ関係者が確認できるようにしておく必要があります。

ただし、誰でも閲覧できる場所に復旧情報を書いておけばよいわけではありません。復旧情報そのものが第三者に知られれば、暗号化による保護を弱めるおそれがあります。そのため、閲覧権限を限定しながら、必要な担当者が確実にアクセスできる保管方法を設計します。

施工現場では、本社管理者、現場責任者、情報管理担当者など複数の関係者が関わる場合があります。誰が暗号化設定を変更できるのか、誰が復旧情報を閲覧できるのか、誰が端末交換を承認するのかをあらかじめ決めておけば、障害発生時にも判断が止まりにくくなります。

NETIS掲載技術のうち、端末でデータを生成・保存する技術を利用する場合も同様です。技術そのものの操作教育だけでなく、生成された施工データをどこに保存し、端末故障時にどのように取り出すかまで運用として整理しておくことが重要です。

暗号化設定を開始する日を「セキュリティ対策の完了日」と考えるのではなく、「復旧管理を始める日」と考えると、必要な準備を整理しやすくなります。

管理ポイント2|バックアップではなく復元できる状態まで確認する

2つ目の管理ポイントは、バックアップを作るだけで安心せず、実際に復元できることまで確認することです。

ストレージ暗号化後の復旧不能を防ぐうえで、バックアップは重要な対策です。ただし、「コピーが存在している」ことと「必要なデータを復旧できる」ことは同じではありません。

例えば、暗号化されたデータをそのまま別の保存領域へコピーしていても、そのコピーの復号に必要な暗号鍵や認証情報を失えば、コピー先でも読み出せない場合があります。また、自動的にバックアップされているつもりでも、途中から同期が停止していたり、一部のフォルダだけ対象外になっていたりする可能性があります。

施工現場では写真や帳票が日々増えていくため、「以前バックアップ設定をした」という記憶だけで管理すると、実際の保存状況とのずれが生じることがあります。

そこで重要なのが復元確認です。一定の間隔で任意のデータを選び、バックアップ先から別の環境へ取り出し、正しく開けるかを確認します。写真であれば画像が表示できるか、施工記録であれば必要な項目を閲覧できるか、位置情報を含むデータであれば必要な属性が保持されているかなど、業務上必要な状態まで確認します。

この確認では、最新データだけを見るのではなく、必要に応じて過去の世代も確認します。バックアップの世代管理を行っている場合、直前のデータは利用できても、過去の世代に問題がある可能性は否定できません。特に工期が長い現場では、着工時の記録を工事終盤に再確認することもあるため、長期間保存したデータを復元できるかという視点も重要です。

また、端末内部だけにバックアップを置く構成は慎重に考える必要があります。同じ端末内の別領域にデータを複製していても、端末そのものが故障した場合には両方へアクセスできなくなる可能性があります。バックアップは、想定する障害に対して元データと同時に失われにくい構成にすることが重要です。

例えば、端末故障、紛失、誤削除、設定破損など、想定する事故ごとにバックアップが機能するかを確認します。一つの障害ですべてのコピーが同時に失われる構成では、十分な復旧性を確保しにくくなります。

施工データでは、「データファイルだけあればよい」とも限りません。使用した座標系、現場名、工区、測点、撮影日時、施工区分などの情報が別の設定情報として管理されている場合があります。データ本体をバックアップしていても、そのデータを正しく解釈するための設定や関連情報が失われれば、実務上利用しにくくなることがあります。

そのためバックアップ対象を決める際は、ファイルだけではなく「その施工記録を再現するために必要な情報は何か」という視点で確認します。

暗号化を有効にした直後だけでなく、端末交換や設定変更後にも復元確認を行うことが重要です。環境が変われば、以前成功した復旧方法がそのまま利用できるとは限りません。

「バックアップ済み」という管理表のチェックだけで終わらせず、「別環境から復元確認済み」という状態まで確認することが、復旧不能を防ぐ実務上の大きなポイントです。

管理ポイント3|暗号鍵・復旧情報・認証情報を端末と分離して管理する

3つ目は、暗号化されたストレージを復旧するための情報を、対象端末だけに保存しないことです。

暗号化では、データそのものとは別に、復号や復旧に必要な情報があります。その具体的な仕組みは利用環境によって異なりますが、重要なのは「暗号化されたデータ」と「そのデータへアクセスするための情報」を同時に失わないことです。

典型的に避けたいのは、復旧に必要な情報を暗号化対象の端末内だけに保存してしまうことです。端末が正常に動いている間は問題に気付きません。しかし端末が故障して起動できなくなったとき、復旧情報も同じ端末の中にしか存在しなければ確認できなくなる可能性があります。

これは、鍵を開けるための鍵を、鍵の掛かった箱の中へ入れてしまうような状態です。

現場端末の暗号化を行う場合は、復旧に必要な情報を別の安全な管理場所へ保管します。ただし、単純に紙へ書いて机に置く、共有フォルダへ無制限に保存するといった方法では、情報漏えいのリスクが高まります。必要な人だけがアクセスでき、担当者交代後も組織として管理できる方法を選ぶことが重要です。

管理する情報には、復旧情報だけでなく、対象端末を特定するための情報も必要です。複数の現場端末を運用していると、どの復旧情報がどの端末に対応しているのか分からなくなることがあります。

そのため、端末管理番号、利用現場、利用期間、暗号化設定日、管理責任者などをひも付けて記録しておくと、復旧時の混乱を減らせます。

ここで避けたいのが、現場名だけで端末を管理することです。端末は別現場へ転用される場合があるため、「○○工事用端末」とだけ記録していると、時間が経過した後に端末と復旧情報の対応関係が分からなくなる可能性があります。端末ごとに一意に識別できる管理番号を付け、その番号を基準に履歴を残す方法が有効です。

また、認証情報を複数の担当者で共有する場合も、管理方法には注意が必要です。口頭や個人間のメッセージだけで伝達すると、後から誰が情報を保有しているのか確認しにくくなります。反対に、多数の関係者へ一律に配布すれば、管理範囲が広がり過ぎます。

現場で求められるのは、「復旧できること」と「不用意に復旧情報を広げないこと」の両立です。

工事が完了した後も、この管理は続きます。施工中に使った端末からデータを移管しても、保存先が暗号化されていれば、その環境で必要となる復旧情報を管理する必要があります。工事完了時に現場担当者が異動し、数か月後に書類確認が必要になる状況も想定しておくことが重要です。

NETIS掲載技術を活用した施工では、技術導入の効果や施工結果を後から確認する場面も考えられます。その際、暗号化された記録を正常に読み出せる状態を維持しておかなければ、蓄積した現場データを十分に活用できない場合があります。

暗号化の強度だけに注目するのではなく、「復旧情報を失わない仕組み」を同時に作ることが重要です。

管理ポイント4|端末交換・設定変更・更新時の暗号化状態を記録する

4つ目の管理ポイントは、端末や設定が変わるタイミングを重点的に管理することです。

ストレージ暗号化に関する問題は、端末交換、修理、初期化、設定変更、システム更新、担当者変更など、環境が変わるタイミングで顕在化することがあります。

現場で長期間利用していると、端末の故障や容量不足などを理由に別の端末へ移行することがあります。その際、データファイルだけを移し、復旧情報や暗号化設定の管理を引き継がなければ、旧端末と新端末で管理状態が分断されます。

例えば、旧端末では復旧情報を保管していたものの、新端末では設定担当者が異なり、新しい復旧情報が管理台帳へ登録されていないという状況が考えられます。普段の作業には影響がなくても、新端末が故障した時点で問題が表面化する可能性があります。

そのため、端末変更時にはデータ移行だけでなく、暗号化状態を含む管理項目を確認します。

重要なのは、「変更前」「変更内容」「変更後」の3点を記録することです。どの端末からどの端末へ移行したのか、暗号化を再設定したのか、認証方法は変わったのか、復旧情報を更新したのか、旧端末のデータをどう処理したのかを記録します。

設定変更についても同様です。セキュリティ方針の変更により認証方法を変えたり、端末管理方法を変更したりした場合には、その変更が復旧方法へ影響する可能性があります。

日常業務では「今ログインできるか」に目が向きがちですが、管理上は「障害が起きたときに復旧できるか」を変更のたびに確認することが重要です。

端末やシステムの更新後に暗号化設定がそのまま引き継がれるかどうかは、製品や構成によって異なります。そのため、「以前設定したから現在も同じ」と決めつけず、重要な更新後には暗号化状態と復旧方法を確認します。

また、施工現場では複数の協力会社や担当者が端末を利用するケースがあります。利用者だけが交代し、端末自体は継続利用することもあるでしょう。このとき、前任者だけが知っている認証情報が残っていたり、新任者が復旧方法を知らなかったりすると、トラブル時の対応が難しくなります。

担当者交代時には、通常操作の引き継ぎだけではなく、保存先、暗号化状態、バックアップ状況、復旧連絡先まで確認することが重要です。

旧端末の処理にも注意が必要です。データ移行が完了したと思って旧端末を初期化した後で、新端末側へ一部のデータが移っていなかったことが判明する可能性があります。端末を初期化する前に、必要なデータが移行され、必要に応じてバックアップからも復元できる状態になっていることを確認しておく必要があります。

機器管理台帳とデータ管理台帳を完全に分離してしまうと、こうした確認が抜けやすくなることがあります。どの端末に、どの現場の、どの期間のデータが保存されていたかを追えるようにしておけば、移行時の漏れを確認しやすくなります。

NETIS掲載技術を複数現場で継続的に活用する企業では、端末が現場間で転用される場合もあります。導入台数や利用現場が増えるほど、個人の記憶だけに依存した管理は難しくなります。端末のライフサイクルと暗号化情報をひも付けて管理する仕組みが重要です。

管理ポイント5|現場停止を防ぐための復旧手順と代替運用を決める

5つ目は、暗号化されたストレージへアクセスできなくなった場合の対応手順を、事前に決めておくことです。

どれだけ対策していても、端末故障や設定不具合を完全に防ぐことは困難です。そのため「障害を起こさない」ことだけではなく、「障害が起きた場合でも施工業務への影響を抑えやすい」運用を設計することが重要です。

現場では、施工写真の記録や位置情報の取得などを毎日の作業として行っている場合があります。端末へアクセスできなくなったからといって、復旧が完了するまで施工記録を一切残さないわけにはいかないケースもあります。

そこで、障害発生時の連絡先、復旧判断者、代替端末の有無、データ記録の一時的な方法、復旧後のデータ統合方法を事前に決めておきます。

まず必要なのは、利用者が独自判断で何度も設定変更や初期化を行わないルールです。ストレージへアクセスできなくなったとき、状況を確認しないまま設定変更や初期化を行うと、復旧に利用できる情報や未移行データを失うおそれがあります。

利用者が行ってよい確認範囲と、管理担当者へ引き継ぐタイミングを明確にしておくことが重要です。

例えば、通常の再起動や接続状態の確認までは現場担当者が行い、認証設定変更、暗号化設定変更、初期化、保存領域の再構成などは管理責任者の判断で行うといった役割分担を決めます。実際の対応範囲は、使用する端末やシステムの手順に合わせて定めます。

次に、作業継続用の代替方法を用意します。予備端末を利用する場合は、その端末で必要な業務を実施できるか、事前に確認しておく必要があります。代替端末があっても、必要な設定や現場情報が入っていなければ、すぐには使えないことがあります。

また、一時的に別の方法で施工記録を作成した場合は、復旧後にどのように正式な記録へ統合するかまで決めておきます。障害期間中だけ別の保存場所を利用し、そのままデータが分散すると、後の検査や資料作成時に記録漏れが発生するおそれがあります。

現場名、工区、日付、作業内容などを共通ルールで記録しておけば、復旧後の整理もしやすくなります。

復旧手順では、優先順位も決めておくと有効です。すべてのデータを一度に戻そうとするのではなく、当日の施工に必要な情報、近日中の検査に必要な情報、過去資料などに分けて復旧順を整理します。

工事工程に直結するデータを優先的に戻せれば、障害による影響を抑えやすくなります。

また、復旧判断の記録も残しておくと、同様の問題が発生した際の参考になります。どのような症状が発生し、どこまで確認し、どの手順で復旧したのかを記録します。

単なる障害対応記録ではなく、次回の復旧手順を改善するための資料として活用します。同じ原因が繰り返されている場合は、端末設定や運用そのものを見直す判断材料になります。

NETIS掲載技術を現場へ導入する場合、操作手順だけでなく、利用できなくなったときの対応まで含めて標準化すると、担当者による対応差を小さくしやすくなります。

技術導入の効果を継続的に得るためには、正常時の操作マニュアルだけでなく、異常時の復旧手順も整備しておくことが重要です。

管理ポイント6|定期的な復旧訓練とデータ棚卸しを行う

6つ目の管理ポイントは、復旧方法を文書化するだけで終わらせず、定期的に実際の復旧確認を行うことです。

復旧不能を防ぐための仕組みを作っても、長期間確認しなければ実際の運用と手順書がずれていく可能性があります。

端末が交換されている、保存先が変更されている、担当者が異動している、認証方法が変わっている、バックアップ対象が追加されているなど、施工現場のデータ環境は時間とともに変化することがあります。

ところが、問題が起きない限り復旧手順を使う機会は多くありません。その結果、以前に作成した手順書だけが残り、現在の環境ではそのまま利用できないという状況が生じる可能性があります。

これを防ぐには、組織の運用に合わせた間隔で復旧確認や復旧訓練を行います。

大規模な訓練を毎回行う必要はありません。例えば対象端末を一台選び、バックアップから一部の施工記録を別環境へ復元して、正常に閲覧できるか確認する方法があります。

その際、実際の管理台帳や手順書を使って作業します。担当者の記憶だけで復旧できても、文書を見た別担当者が作業できなければ、組織としての復旧性には課題が残ります。

復旧訓練は、担当者交代への備えとしても有効です。特定の一人だけが手順を理解している状態では、その担当者が不在のときに対応できません。複数の担当者が手順を確認し、同じ流れで復旧作業を進められる状態を目指します。

同時に行いたいのがデータ棚卸しです。

施工データは蓄積するほど管理対象が増えます。すでに工事が終了しているデータ、現在施工中のデータ、保存期間を確認すべきデータなどが混在すると、どのデータを優先的に保護すべきか分かりにくくなります。

棚卸しでは、現場ごとの保存場所、管理責任者、暗号化状態、バックアップ状況、復元確認日などを整理します。

特に確認したいのが、「誰も管理していない古いデータ」です。工事完了後に担当者が異動し、端末だけ保管庫に残っているような状態では、後から必要になったときに復旧できない可能性があります。

工事完了時には、現場データを会社として定めた保存先へ移し、復旧に必要な情報も合わせて管理する流れを作ることが重要です。

棚卸しでは不要な複製データの扱いも確認します。安全のためにコピーを増やし続けると、どこに何が保存されているのか分かりにくくなり、管理負担が増えることがあります。

どれが正式な保存データなのかを明確にし、必要なバックアップ数と保管場所を管理します。

暗号化されたストレージの場合、長期保管時のアクセス確認も重要です。保管しているだけでは、将来の復元可否まで確認したことにはなりません。必要になったときに読み出せるよう、組織の運用に応じて復元可能性を確認します。

施工データは、保存した瞬間だけ価値があるものではありません。施工後の説明、検査、維持管理、社内振り返りなどで利用される場合があります。

そのため、ストレージ暗号化の管理も工事期間中だけで終了させず、必要な保存期間全体を対象に考えることが重要です。

「暗号化済み」という状態を管理するのではなく、「必要な担当者が必要な時点で復旧できる」という状態を維持することが、長期的な情報管理では重要です。

NETIS活用とストレージ暗号化を両立する運用設計

NETIS掲載技術のうち、デジタル端末やデータ保存を伴う技術を現場で活用する場合、ストレージ暗号化は情報管理を支える一つの要素です。ただし、暗号化だけを独立して考えると、運用が複雑になり過ぎることがあります。

実務では、データを作成する段階から保存、共有、バックアップ、工事完了後の保管まで、一連の流れとして設計することが重要です。

まず現場で取得する情報を整理します。施工写真、位置情報、測量結果、点検記録、出来形に関する情報など、データごとに重要度や利用期間が異なります。

次に、それぞれのデータが最初にどこへ保存され、どこへバックアップされ、最終的にどこへ保管されるのかを整理します。

この流れが明確になれば、暗号化すべき領域や復旧情報を管理すべき場所も整理しやすくなります。

現場担当者にすべてのセキュリティ判断を求めないことも重要です。施工担当者は施工品質、安全、工程管理など多くの業務を抱えています。暗号化方式やバックアップ構成を現場ごとに個人判断させれば、運用にばらつきが出やすくなります。

会社として基本方針を決め、現場担当者が確認すべき項目を絞ることで、管理漏れを防ぎやすくなります。

例えば、新しい現場を開始するときには、利用端末、保存先、バックアップ先、管理責任者を確認します。端末交換時には移行確認を行い、工事完了時にはデータ移管と復元確認を行うというように、工程の節目へ管理作業を組み込みます。

こうすれば、暗号化管理だけを別業務として忘れることを防ぎやすくなります。

NETIS掲載技術を複数の現場へ展開する企業では、こうした標準化が特に重要です。現場ごとに異なる保存方法を採用すると、会社全体でデータを管理する際の負担が大きくなる可能性があります。

同じ種類のデータについては、可能な範囲で保存ルール、ファイル名、現場識別方法、バックアップ確認方法をそろえると、担当者が変わっても管理しやすくなります。

ただし、すべての現場へ同じ設定を機械的に適用すればよいとは限りません。通信環境、工期、施工場所、扱うデータ量、発注者との情報共有方法などは現場によって異なります。

基本となる管理ルールを共通化しながら、現場条件や使用する技術の仕様に応じて必要な部分を調整する考え方が現実的です。

ストレージ暗号化についても、「暗号化を有効にする」という設定だけを標準化するのではなく、「復旧情報を保管する」「バックアップを確認する」「端末変更時に記録する」「定期的に復元確認する」といった管理行動まで標準化すると効果的です。

もう一つ重要なのが、現場データと端末を切り離して考えることです。

施工記録の価値は端末そのものではなく、端末で取得したデータにあります。端末は一定期間で交換されることがありますが、施工データはそれより長期間利用する可能性があります。

そのため「この端末を守る」という発想だけでなく、「この施工記録を将来も読める状態で維持する」という視点が必要です。

暗号化はその目的を支える手段であり、目的そのものではありません。

暗号化設定が適切でも、データの保存場所が分からなければ利用できません。バックアップが存在していても、施工日や工区との対応が分からなければ実務で使いにくくなります。

そのため位置情報、日時、現場名、作業区分などを記録時点から整理しておくことも、長期的な復旧性を高めるうえで重要になります。

まとめ|暗号化は設定よりも復旧できる管理体制が重要

NETIS掲載技術のうち、デジタル端末やデータ保存を伴う技術の活用が広がると、現場で扱うデータの重要性も高まります。写真、位置情報、測量結果、施工記録、検査資料などを安全に管理するため、ストレージ暗号化を活用する場面も考えられます。

一方で、暗号化は設定しただけで管理が完了するものではありません。

暗号化前に復旧経路と管理責任者を決めること、バックアップを実際に復元できるか確認すること、暗号鍵や復旧情報を端末と分離して管理すること、端末交換や設定変更の履歴を残すこと、障害時の復旧手順と代替運用を準備すること、そして定期的に復旧訓練とデータ棚卸しを行うことが重要です。

特に注意したいのは、「現在使えているから問題ない」という判断です。暗号化に関する管理不備は、通常利用中には表面化せず、端末故障や担当者交代、工事完了後の資料確認などのタイミングで初めて分かる場合があります。

その時点で必要な復旧情報が存在しなければ、過去の施工記録へアクセスできなくなる可能性があります。

そのため、日常的な操作確認だけでなく、将来の復旧まで含めて管理することが重要です。

NETIS掲載技術を現場へ導入するときも、技術の機能や施工効率だけを見るのではなく、データを生成・保存する技術であれば、そこで取得するデータをどのように保存し、保護し、必要な時に取り出すかまで含めて運用を設計すると、継続的に活用しやすくなります。

また、現場写真や位置情報、施工記録を扱う業務では、記録の取得段階からデータを整理しておくことが、後のバックアップや復旧管理にもつながります。現場ごとに保存場所や記録方法がばらばらになると、暗号化されたデータを復旧できても、必要な情報を探す作業に時間がかかる場合があります。

そこで、現場で取得する写真、位置情報、施工記録を一連の業務として管理したい場合は、LRTK Phoneの活用も検討できます。現場で記録を残す段階からデータの整理方法を意識することで、日々の施工管理だけでなく、後から記録を確認する場面でも情報を扱いやすくなります。

ストレージ暗号化では、強く守ることと同時に、必要なときに正規の利用者が復旧できることが欠かせません。NETIS掲載技術を継続的な現場改善につなげるためにも、「暗号化したか」ではなく「将来も復旧できる状態を維持できているか」という視点で管理体制を整えていくことが重要です。

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