LRTKレフィクシア株式会社

NETIS技術のワークプロファイル分離でデータが見えない時の5つの確認

NETIS技術でデータが見えないときに最初に理解したいこと

公共工事や建設現場でNETIS技術を活用する際、現場担当者がスマートフォンやタブレットなどの端末を使って写真、位置情報、計測結果、施工記録などを取得する場面が増えています。ところが、会社の情報管理ルールに合わせて端末へワークプロファイルが設定されていると、「昨日まで確認できたデータが表示されない」「撮影した写真を業務アプリから選べない」「同じ端末なのに別の担当者が保存したデータが見つからない」といった問題が発生することがあります。

ここでいうワークプロファイルは、Androidの仕事用プロファイルを想定しています。Androidの仕事用プロファイルでは、仕事用のアプリやデータを個人用のアプリやデータから分離して管理できます。端末のOSや組織が採用している端末管理方式によって名称や設定項目、共有方法は異なるため、Android以外の端末や別方式の端末管理では、実際の管理仕様に合わせて確認する必要があります。

このとき最初に整理しておきたいのは、NETISとワークプロファイルは別の仕組みだという点です。NETISは、新技術に関する情報の共有や提供を目的として運用されている新技術情報提供システムであり、公共工事等における新技術活用スキームの中核として、新技術に関する情報収集や提供を行う仕組みです。端末内の業務用領域と個人用領域を分離するワークプロファイルそのものは、NETISの機能ではありません。

そのため、NETISに掲載されている技術を現場で利用している最中にデータが見えなくなったとしても、ただちにNETIS側の障害や登録技術そのものの不具合と判断するのは適切ではありません。利用している業務アプリ、端末内の保存領域、利用者アカウント、アクセス権限、通信環境、組織の端末管理設定などを順番に切り分ける必要があります。

ワークプロファイルが設定されたAndroid端末では、業務用のアプリやデータと個人用のアプリやデータが分離されています。同じ種類のアプリが業務用領域と個人用領域の両方に存在する場合でも、それぞれのアプリデータは原則として別の領域で管理されます。また、仕事用プロファイル内の管理対象アカウントと個人用領域で利用するアカウントも別に扱われるため、一方の領域に保存したデータをもう一方から自由に参照できるとは限りません。

現場では、この仕組みを知らないまま「同じ端末だからデータも共通」と考えてしまうことがあります。例えば、個人用領域で撮影した写真を業務用領域の施工管理アプリへ添付しようとしても、組織のセキュリティ設定やアプリの対応状況によっては写真が一覧に表示されないことがあります。逆に、業務用領域で作成した計測ファイルを個人用領域のファイル管理機能から探しても見つからない場合があります。

さらに注意したいのは、「データが見えない」と「データが消えた」は同じ意味ではないことです。保存された領域が異なっているだけで、データ自体は残っていることがあります。ログインしているアカウントや選択している工事が違うために一覧へ表示されていない場合もあります。同期が完了していないだけというケースも考えられます。原因を確認せずにアプリを削除したり、ワークプロファイルを削除したり、端末を初期化したりすると、本来残っていたローカルデータまで失うおそれがあります。

特にワークプロファイルを削除すると、そのプロファイル内に保存されている端末上のアプリやローカルデータが削除されます。そのため、原因確認のためにワークプロファイルを作り直すといった操作は、未同期データの有無を確認してから行う必要があります。

NETIS技術を施工現場で安定して利用するには、技術そのものの操作手順だけでなく、それを動かす端末の管理状態まで含めて運用を設計することが重要です。ここからは、Androidのワークプロファイル分離によってデータが見えないと感じたときに確認したい5つのポイントを順番に整理します。

確認1 業務用領域のアプリを開いているか

最初に確認したいのは、現在開いているアプリが業務用領域のものか、それとも個人用領域のものかという点です。

ワークプロファイルを利用する端末では、同じ種類のアプリが業務用領域と個人用領域の両方に存在することがあります。画面上では名称やアイコンが似ている場合がありますが、仕事用アプリには仕事用であることを識別する表示が付けられます。内部では異なるプロファイルとして扱われ、それぞれ別のアプリデータを保持します。

例えば、前日の施工で業務用領域のアプリを利用して写真や計測結果を保存し、翌日に誤って個人用領域にある同じ種類のアプリを開いた場合、昨日のデータが一覧に表示されないことがあります。この状態では「保存したはずのデータがなくなった」と感じますが、実際には異なる領域を参照しているだけという可能性があります。

この問題は、端末を複数の担当者が引き継いで使用する運用でも注意が必要です。前の担当者が業務用領域のアプリで作業していたにもかかわらず、次の担当者が別の領域や別のアカウントから操作を開始すると、過去の作業履歴が連続して見えないことがあります。操作方法そのものに問題がなくても、入口となるアプリやアカウントを間違えているだけで現場記録の連続性が失われたように見えてしまいます。

まず確認するべきなのは、会社から指定されている業務用アプリを開いているかどうかです。端末上で仕事用アプリを示す識別表示がある場合は、それを確認します。そのうえで、現在表示しているデータの更新日時や利用者情報を確認し、前回の作業時と同じ環境であるかを照合します。

ここで重要なのは、データを見つけるために個人用領域と業務用領域の間で無理にファイルを移そうとしないことです。Androidの端末管理では、組織のポリシーによって仕事用領域と個人用領域の間のデータ共有やコピーを制限できます。制限されている操作を独自の方法で回避すると、施工記録の管理方法や組織の情報セキュリティルールから外れてしまう可能性があります。

また、ワークプロファイルそのものが一時停止していないかも確認対象になります。仕事用プロファイルが一時停止されている間は仕事用アプリが動作せず、通知やアプリによる通信、同期処理なども行えない状態になります。利用者自身で変更してよい設定か判断できない場合は、端末管理担当者へ確認する方が安全です。

NETIS技術を利用する現場では、始業時の確認項目として「指定された業務用領域からアプリを起動しているか」を決めておくと、単純な取り違えを減らせます。特に複数人が端末を利用する現場や、現場ごとに異なる端末を使用する担当者では有効です。

確認2 ログイン先と利用者権限が一致しているか

業務用領域の正しいアプリを開いているにもかかわらずデータが見えない場合は、次にログイン状態を確認します。

施工記録を扱う仕組みでは、端末内に保存されたデータだけでなく、ネットワーク上の保存領域から案件情報を取得することがあります。その場合、どのアカウントでログインしているかによって表示される現場、工事、測点、写真、計測結果などが変わることがあります。

よくあるのが、端末を交換した後や業務用領域を再設定した後に、以前とは異なるアカウントでログインしてしまうケースです。本人は同じアプリを利用しているつもりでも、別の利用者として認識されているため、以前担当していた工事データが一覧に表示されないことがあります。

同じ会社のアカウントであっても、所属する現場やプロジェクトごとに閲覧権限が設定されるサービスがあります。現場から外れた利用者、閲覧のみの利用者、新しく追加された利用者などでは、見える範囲が異なる場合があります。そのため、「同僚には見えるのに自分だけ見えない」という場合は、端末故障と決めつける前に利用者権限を確認することが重要です。

確認するときは、表示されている利用者名、所属、対象現場、工事名などを前回正常に利用できた状態と照らし合わせます。複数の組織や現場に参加できる仕組みでは、現在選択している作業領域が正しいかも確認します。

認証情報の有効状態にも注意が必要です。サービスによっては画面上に以前取得した情報が残っていても、認証の更新に失敗しているため新しいデータを取得できない場合があります。この場合、端末へ保存済みの情報は表示される一方、別の担当者が追加した最新データだけ見えないといった状態になる可能性があります。

一方で、ログインできないからといって短時間に何度も認証情報を変更することは避けた方が安全です。組織やサービス側で認証失敗時の制限が設定されている場合があります。業務用アカウントの管理方法に従い、必要であれば管理担当者へ確認します。

NETIS技術の現場利用では、技術の操作担当者と端末の利用者が必ずしも同じ管理単位になっているとは限りません。施工班単位で端末を利用している場合や、協力会社を含む複数の担当者でデータを利用する場合には、誰がどのアカウントを利用し、どの工事情報を閲覧できるのかを事前に整理しておくことが重要です。

データが見えないときに「通信が悪い」「アプリが壊れた」と判断する前に、現在のログイン先とアクセス権限が正しいかを確認することで、原因を絞り込める場合があります。

確認3 保存先が業務用領域と個人用領域のどちらか

三つ目の確認は、データが実際にどこへ保存されたかです。

ワークプロファイルが設定されたAndroid端末では、業務用領域と個人用領域のアプリやデータが分離されます。そのため、写真を撮った、ファイルを書き出した、計測結果を保存したという操作が正常に完了していても、別のプロファイルから同じデータを自由に確認できるとは限りません。

例えば、現場で施工状況を個人用領域のアプリから撮影した後、業務用アプリから写真を選択しようとしても候補に表示されない場合があります。このとき、写真が個人用領域側に存在し、業務用アプリから参照できない状態になっている可能性があります。ただし、領域をまたいだ共有の可否は端末管理ポリシーやアプリの対応状況によって異なります。

逆に、業務用アプリから出力した現場資料を個人用領域のファイル一覧から探しても見つからないことがあります。この場合も、削除されたとは限りません。業務用領域側の保存先に残っている可能性があります。

特に注意が必要なのが、「保存完了」という表示だけで保存場所まで判断しないことです。保存処理そのものが成功していても、端末内のどの領域に保存されたのか、クラウドなどの共有先へ送信されたのかは別の確認事項です。現場で初めて利用する端末では、実際に一つテストデータを作成し、どこから確認できるかを事前に確かめておくと安全です。

施工写真や計測データでは、保存場所だけでなく同期状態も確認する必要があります。端末内にだけ保存されているデータと、ネットワーク上の保存領域まで送信済みのデータを区別できていないと、別の端末へ交換した際に「データが消えた」と誤認することがあります。

現場で撮影直後に画面へ表示されていた写真が、端末交換後には表示されない場合、最初の端末内にだけ保存されていて同期が完了していなかった可能性があります。このような問題を防ぐためには、作業終了時にデータの保存だけでなく、組織で定めた共有先への反映状況まで確認する運用が必要です。

また、現場の記録データを個人用領域へ一時保存して後から業務用領域へ移すという運用は、端末管理ポリシーによっては実行できないほか、記録管理を複雑にする原因になります。どの段階で正式な施工記録になったのかが分かりにくくなり、複製されたファイルのうちどれが最新版なのかも判断しづらくなるためです。

NETIS技術を活用した施工記録では、「どの端末で取得したか」だけではなく、「どの領域へ保存し、どこへ同期するか」まで決めておくことが重要です。写真、位置情報、計測結果、帳票用データなどについて保存と共有の流れを統一しておけば、担当者が交代したときの混乱を抑えられます。

保存場所を確認するときも、原因が分からない状態でワークプロファイルを削除することは避けるべきです。ワークプロファイルを削除すると、そのプロファイル内の端末上のアプリやローカルデータが削除されます。データが見えないだけの状態から、本当にローカルデータを失う状態へ変わってしまわないよう、変更操作を行う前に保存と同期の状況を確認することが重要です。

確認4 ファイル共有・カメラ・位置情報の権限が許可されているか

四つ目は、業務アプリに必要な権限や端末管理ポリシーです。

建設現場で利用する技術では、カメラ、位置情報、写真やファイルの参照、データ保存など、複数の端末機能を組み合わせることがあります。ワークプロファイルを導入している端末では、こうした機能について、アプリ自体の権限だけでなく組織の端末管理ルールによる制御が加わる場合があります。

代表的なのが、写真は撮影できるものの、業務用アプリから既存写真を選べないというケースです。これは写真データが存在するプロファイルとアプリの利用領域が異なる場合などに起こり得ます。また、業務用領域と個人用領域の間でデータを受け渡す機能が制限されていれば、共有操作を行っても目的のアプリが候補として利用できない場合があります。

Androidの仕事用プロファイルでは、仕事用と個人用のアプリやデータを分離し、組織の設定によってプロファイル間のデータ共有やコピーなどを制御できます。そのため、管理されていない端末ではできた操作が、会社管理端末では制限されること自体は不自然ではありません。

位置情報にも注意が必要です。NETISに掲載されている技術の中には、現場位置や施工箇所と記録を関連付けて利用するものがあります。位置情報を使用する業務アプリに必要な権限が付与されていなかったり、管理ポリシーで利用が制限されていたりすれば、現在位置を取得できない、または位置を利用する機能が正常に動作しない可能性があります。

ただし、位置情報が取得できない原因は権限だけとは限りません。GNSSを使用する機能では、屋内、地下、構造物の近くなど、衛星からの信号を受信しにくい環境によって測位状態が悪化する場合があります。したがって、アプリの権限設定と実際の測位環境を混同せずに切り分ける必要があります。

カメラについても同様です。業務アプリから直接撮影できない場合は、そのアプリにカメラ利用が許可されているかを確認します。一方、撮影はできるが後から写真を選択できない場合は、カメラ権限だけではなく、写真が保存された領域やプロファイル間の共有制限を確認した方が原因へ近づきやすくなります。

ファイルを外部へ出力する機能が使えない場合も、単純なアプリ不具合とは限りません。情報漏えい対策として、業務用領域から個人用領域へのデータ共有や利用できる共有先が制限されている可能性があります。

ここで重要なのは、利用者の判断でセキュリティ制限を解除しないことです。公共工事の施工データには、現場写真、図面、位置情報、構造物の情報など、組織のルールに基づいて取り扱う必要がある情報が含まれることがあります。データを取り出すためだけに管理設定を変更すると、情報管理ルールから外れる可能性があります。

正常に利用できている別の管理端末がある場合は、その端末と設定状態を比較すると切り分けがしやすくなります。ただし、個人情報や認証情報をコピーするのではなく、アプリに許可されている機能、仕事用プロファイルの稼働状態、同期状態など、必要な設定項目を比較することが基本です。

NETIS技術を導入するときは、現場投入前に実際の管理端末を使って、撮影、位置取得、保存、読み込み、共有、同期まで一連の動作を確認しておくと安心です。事務所の検証用端末では正常でも、本番用端末へ異なる管理ポリシーが適用されていれば、現場で初めて制限に気付くことがあります。

確認5 同期・通信・端末管理ポリシーに制限がないか

五つ目は、同期、通信、端末管理ポリシーの確認です。

業務用領域とアカウント、保存場所、権限に問題がないのに最新データが表示されない場合、端末から共有先までの通信や同期が正常に行われているかを確認します。

施工現場では、通信環境が不安定な場所も少なくありません。山間部、地下、トンネル、建物内部などでは、作業中に取得したデータが端末内には保存されても、ネットワーク上の保存領域まで送信されていないことがあります。

この状態では、データを作成した本人の端末には表示される一方、事務所や別の作業員の端末には表示されません。そのため、「Aさんには見えるがBさんには見えない」という現象が起こったときは、利用者権限だけでなく同期状況も確認する必要があります。

通信状態を確認するときは、単に端末がインターネットへ接続されているかだけを見るのでは不十分な場合があります。業務用アプリが通信可能な状態になっているか、同期処理が完了しているか、アプリ内にエラー表示が残っていないかなどを確認します。

組織によっては、仕事用プロファイルにVPNやネットワーク関連のポリシーを設定したり、アプリやデータの利用方法を制御したりすることがあります。端末の個人用領域では一般的なウェブ閲覧ができていても、それだけで仕事用アプリの通信が正常であるとは判断できません。

また、現場で利用する業務アプリや端末OSが更新された後に挙動が変わるケースも考慮します。アプリ側の権限要求や保存方法、対応OSなどが変わることがあるため、更新前後で問題が発生した場合は、提供元の案内と組織の端末管理設定の両方を確認します。

ただし、利用者が独自判断でアプリの再インストールやワークプロファイルの削除を行うのは避けた方が安全です。端末内だけに残っている未同期データがある場合、削除操作によって回収できなくなるおそれがあります。

まず対象データの名称や取得日時を確認し、作成した端末内に残っているかを確認します。次に同期済みかを確認し、そのうえで通信状態やアカウント状態を確認します。それでも原因が分からない場合に、端末管理担当者や技術提供側へ問い合わせるという順序にすると、不要な設定変更を減らせます。

問い合わせを行う際には、「データが見えない」という説明だけでは原因特定に時間がかかります。どの端末で、いつ作成し、どの業務用領域で、どのアカウントを利用し、作成した端末では見えるのか、他の端末では見えないのか、といった状況を整理して伝えることが有効です。

また、NETISに掲載されていることと、すべての端末環境や端末管理ポリシーとの組み合わせで動作が保証されることは別の話として考える必要があります。国土交通省は、NETISの掲載情報について、掲載された技術を証明、認証するものではなく、新技術活用にあたっての参考情報であるとしています。したがって、実際の端末やアプリ、管理環境で利用できるかは、技術提供者が示す対応条件などを確認したうえで、現場で使用する環境による事前確認を行うことが重要です。

現場で切り分けるときの安全な確認手順

ワークプロファイルによるデータ分離の問題は、確認する順番を決めておくと対応しやすくなります。

最初に確認するのは、「本当にデータが消えているのか、それとも表示されていないだけなのか」です。データを作成した端末を確認し、作成直後の状態が残っているかを確認します。ここでデータが確認できるのであれば、少なくともその端末上ではデータが残っている可能性があります。

次に、現在開いているアプリが業務用領域のものか確認します。前回の作業時と異なる領域を開いている場合は、正しい業務用領域から確認します。

その後、ログインしているアカウントと対象工事を確認します。複数現場を切り替えて利用する仕組みでは、別工事の画面を表示しているだけということもあります。日付や工事名まで含めて確認することで、取り違えを防げます。

続いて保存場所を確認します。端末内だけに保存されているのか、共有先へ同期済みなのかを整理します。データ作成端末では確認できるが他端末では確認できない場合は、同期状態を重点的に調べます。

次に必要な権限や共有設定を確認します。写真だけ選択できないのか、位置情報だけ取得できないのか、仕事用アプリ自体が利用できないのかによって確認すべき場所が変わります。すべてを一度に変更するのではなく、発生している症状に関係する項目から確認することが重要です。

最後に通信と端末管理ポリシーを確認します。組織側の管理設定は利用者自身では変更できない場合があるため、その場合は管理担当者へ状況を共有します。

この順序で確認すると、原因を特定する前にアプリを削除したりワークプロファイルを削除したり端末を初期化したりする危険を減らせます。

特に工事写真や計測結果など、再取得が難しいデータを扱う場合は、データ保全を優先する必要があります。埋め戻し前の状況、施工途中の寸法、当日の出来形などは、後から同じ状態を再現できないことがあります。操作不具合への対応中に記録を失うことは避けなければなりません。

現場担当者が対応できる範囲と、端末管理担当者が対応する範囲を決めておくことも重要です。通常のログイン確認や同期状態の確認までは現場で行い、ワークプロファイルの削除や管理ポリシーの変更は管理担当者の判断で実施する、といった役割分担があると安全です。

また、障害発生時の記録も残しておくと再発防止に役立ちます。発生日時、端末、利用者、対象工事、直前に行った操作、表示された状態などを整理しておけば、同じ問題が別現場で発生したときにも原因を絞り込みやすくなります。

NETIS技術の施工記録で再発を防ぐ運用方法

ワークプロファイルによるデータの見え方の違いは、発生するたびに個別対応するより、現場運用の段階で予防した方が効率的です。

まず、利用する端末の役割を明確にします。会社管理端末を使用するのか、組織の規定に基づき個人所有端末を業務利用するのかによって管理方法は変わります。少なくとも一つの工事の中で、担当者ごとに保存方法がばらばらにならないようにすることが大切です。

次に、業務データを作成する入口を統一します。撮影だけ個人用領域で行い、後から業務用領域へ移す運用にすると、プロファイル間の共有が制限された端末では作業が止まる可能性があります。業務記録については、組織が指定した業務用の環境から作成を開始できるようにしておく方が、データ管理を単純化しやすくなります。

また、現場開始前の動作確認を重要な工程として扱います。実際に使用する端末で業務用領域からアプリを起動し、テスト用の記録を一件作成します。そして保存、再表示、同期、必要に応じて別端末や管理画面での確認まで行います。

この確認を現場初日に行うのではなく、可能であれば施工開始前に済ませておくことが理想です。施工が始まってから設定不足が分かると、現場作業を止めて端末や管理設定を確認しなければならない場合があります。

担当者交代時の引き継ぎも重要です。「この端末を使ってください」だけでは不十分です。どの業務用領域を使用するのか、どのアカウントでログインするのか、どの工事を選択するのか、作業終了時にどこまで同期確認するのかまで共有します。

端末交換時には、交換前の端末で同期状況を確認してから新しい端末へ移行します。故障などで確認できない場合を除き、旧端末やワークプロファイルを削除してからデータ不足に気付くという順序は避けるべきです。

施工データの管理では、端末だけを唯一の保存場所にしないことも重要です。現場端末は故障、紛失、破損などの影響を受ける可能性があります。施工記録として残す必要があるデータについては、組織で定められた保存先へ確実に反映されていることを確認する運用が必要です。

また、NETIS技術を導入するときは、技術の操作説明だけでなく端末条件も導入資料へ含めると、現場での混乱を抑えられます。対応OS、必要な権限、通信環境、データの保存場所、利用するアカウント、端末管理上の制約などを整理しておけば、新しい担当者も迷いにくくなります。

現場で問題が発生した際に問い合わせる窓口も決めておくと効率的です。端末管理の問題なのか、業務アプリの問題なのか、NETIS掲載技術の利用手順の問題なのかによって担当先は変わります。現場担当者が複数の窓口を転々としないよう、まず社内の一次窓口で状況を整理する方法も有効です。

そして施工記録では、単にデータが存在するだけでなく、必要なときに確認できる状態を維持することが重要です。現場担当者の端末には残っているものの、工事終了後に別の担当者が参照できない状態では、記録として十分に活用しづらくなります。

写真、位置情報、計測結果、施工内容を一貫した運用で管理すれば、「誰の端末に入っているか分からない」「別のプロファイルにしか残っていない」「同期されていなかった」といった問題を減らすことができます。

まとめ

NETIS技術を利用している現場で、Androidのワークプロファイル分離によってデータが見えないと感じた場合は、すぐにデータ消失と判断せず、端末の利用領域から順番に原因を切り分けることが重要です。

まず、業務用領域の正しいアプリを開いているかを確認します。次に、ログインしているアカウントと対象工事、利用者権限を確認します。そのうえで、データが業務用領域と個人用領域のどちらに存在するのか、端末内だけなのか共有先へ同期済みなのかを確認します。写真、位置情報、ファイル参照などに必要な権限やプロファイル間の共有設定も確認し、最後に同期状態、通信環境、組織の端末管理ポリシーを確認します。

この5つを順番に確認することで、「データが存在しない」のか、「別の領域に存在する」のか、「閲覧権限がない」のか、「まだ同期されていない」のかを整理しやすくなります。

注意したいのは、原因が分からないままワークプロファイルを削除したり、アプリを削除したり、端末を初期化したりしないことです。ワークプロファイルを削除すると、そのプロファイル内の端末上のローカルデータも削除されます。現場端末内にだけ残っている未同期データがある場合、復旧を難しくする可能性があります。施工途中の写真や計測記録のように再取得が困難な情報では、設定変更より先にデータの所在と同期状態を確認する必要があります。

NETIS技術を現場へ導入するときは、技術そのものの性能や操作だけを見るのではなく、実際に使用する端末、OS、業務用領域、アカウント、権限、通信、保存先まで含めて事前確認を行うことが重要です。特に複数人で端末を利用する現場では、データをどこに残し、どこまで同期を確認するのかという運用ルールを統一することで、担当者交代や端末交換による混乱を減らせます。

現場写真や位置情報、計測データの取得と共有には、LRTK Phoneを活用する方法もあります。ただし、AndroidのワークプロファイルはAndroid端末の管理機能であり、LRTK Phoneの現在の公式取扱説明書ではiOS・iPadOS系の対応端末での利用が想定されています。そのため、本記事で説明したAndroidのワークプロファイルに関する設定をLRTK Phoneの利用環境へそのまま当てはめるのではなく、実際に使用する対応端末、組織の端末管理方式、LRTK Phoneのアカウントやクラウドへの保存・共有方法に合わせて確認することが大切です。NETIS技術の活用とあわせて、それぞれの端末環境に合ったデータ管理の流れを整備することで、現場で「記録したはずなのに見えない」というトラブルを抑え、必要な施工情報を必要なときに確認しやすい運用につなげられます。

現場を3Dで残して、あとから測る。
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