NETIS活用で環境負荷低減を評価するときの基本的な考え方
NETISを活用して新技術の導入を検討するとき、施工時間の短縮や省人化、品質向上、安全性向上と並んで重要になるのが環境面の効果です。建設現場では、燃料の消費、建設機械の稼働、資材の使用、廃棄物の発生、車両による運搬、騒音、振動、粉じんなど、さまざまな活動が環境負荷につながります。そのため、新技術を導入した結果としてこれらをどの程度減らせたのかを整理できれば、技術採用の理由を説明しやすくなります。
NETISは、公共工事等で新技術を活用するための情報共有と活用促進の仕組みの中核となるシステムです。新技術の活用効果については、工程、品質・出来形、安全性、施工性、環境などの技術的事項や経済性などを、従来技術との比較を通して確認する考え方が採られています。したがって、環境負荷低減を説明するときにも、単に「環境にやさしい技術です」と表現するのではなく、比較対象となる従来技術と条件をそろえ、具体的な変化を示すことが重要です。
ここで注意したいのは、NETISにおける「環境」という評価項目が、この記事で紹介する5つの数値を一律に測定する制度だという意味ではないことです。実際に何を評価するべきかは技術の特性や施工条件によって異なります。ある技術では燃料削減が大きな効果になる一方、別の技術では廃材削減、騒音低減、運搬回数削減などが主要な効果になる場合があります。
そのため実務では、最初に「この技術によって何が変わるのか」を分解し、その変化を測定できる指標へ置き換えることが必要です。たとえば、作業を自動化する技術であれば施工時間や建設機械の稼働時間が短くなり、結果として燃料消費やCO2排出量が減少する可能性があります。現場で取得したデータをそのまま環境効果として扱うのではなく、「技術導入による変化」「活動量の変化」「環境負荷の変化」というつながりを整理しておくと、説明の説得力が高まります。
環境評価で特に避けたいのは、異なる施工条件の結果をそのまま比較することです。施工延長、施工面積、土量、作業人数、施工日数、運搬距離などが異なれば、燃料使用量や車両台数が変わるのは当然です。新技術の効果なのか、単に施工規模が小さかったためなのかを区別できるよう、比較条件を明確にする必要があります。
NETISを活用する実務担当者にとって重要なのは、複雑な環境評価モデルをつくることではありません。現場で取得可能なデータの中から、従来技術との差を説明できる指標を選び、同じルールで記録することです。その出発点として整理しやすいのが、CO2排出量、エネルギー使用量、資材・廃棄物、運搬・機械稼働、周辺環境という5つの視点です。
評価指標1 CO2排出量を整理する
環境負荷低減を説明する指標として、最も分かりやすいものの一つがCO2をはじめとする温室効果ガス排出量です。公共工事に限らず、脱炭素や温室効果ガス削減への関心が高まる中で、新技術導入によってどの程度の排出削減につながるのかを数値化できれば、環境面の効果を説明しやすくなります。
ただし、現場で直接CO2を測定するケースは一般的ではありません。実務では、建設機械が使用した燃料量、使用した電力量、車両の走行量などの活動データを記録し、それぞれに適切な排出係数を適用して排出量を算定する考え方が基本になります。
たとえば、従来技術では施工に10時間必要だった作業が、新技術によって7時間で完了したとします。同じ種類の建設機械を使用し、負荷条件もおおむね同等であれば、機械稼働時間の短縮に伴って燃料消費量が減少する可能性があります。その燃料削減量を把握できれば、CO2排出量の変化へ換算できます。
一方で、「施工時間が30%短縮したからCO2も30%削減した」と単純に判断するのは適切ではありません。新技術で別の機械や電気設備を追加している場合には、その分のエネルギー消費を含める必要があります。従来技術では人力だった工程に機械を導入した場合などは、施工時間が短くなってもエネルギー使用量が増える可能性があります。
したがって、CO2排出量を比較するときは、まず評価範囲を決めます。施工中の建設機械だけを対象とするのか、資材運搬車両を含めるのか、仮設設備で使用する電力まで含めるのかを明確にします。従来技術と新技術で同じ範囲を採用することが重要です。
さらに、総排出量だけでなく施工量当たりの排出量を見ることも有効です。施工延長1メートル当たり、施工面積1平方メートル当たり、処理土量1立方メートル当たりなど、対象工事に適した単位へ換算すれば、施工規模が異なる現場でも比較しやすくなります。
測定時には、燃料給油記録、機械稼働時間、電力使用量、施工数量、作業期間などを同時に残しておくことが重要です。CO2排出量だけを最終結果として保存してしまうと、後から算定根拠を確認できません。「何リットルの燃料を使用し、どの係数を用いて、どの範囲を計算した結果なのか」を追跡できる状態にしておくことで、評価の再現性が高まります。
また、排出係数は評価時点で利用する公的な資料や発注者側のルールなどを確認し、適切なものを使用する必要があります。異なる係数を使った数字を直接比較すると、新技術そのものとは関係のない差が発生するためです。
CO2排出量は環境効果を一つの数値に集約しやすい反面、その数字だけでは削減理由が分かりません。そのため、次に説明する燃料や電力などの活動量と組み合わせて管理することが重要です。
評価指標2 燃料・電力などのエネルギー使用量を整理する
環境負荷低減の効果を現場で把握するとき、CO2排出量よりも直接記録しやすいのが燃料や電力などのエネルギー使用量です。CO2排出量が最終的な環境指標だとすれば、燃料使用量や電力量は、その結果を生み出した活動データと考えることができます。
建設現場では、油圧ショベル、発電設備、運搬車両、揚重設備、各種施工機械など、多くの設備がエネルギーを使用します。新技術の導入によって工程が統合されたり、施工回数が減ったり、測量や確認作業が効率化されたりすると、機械の稼働時間そのものを短縮できる場合があります。
たとえば、従来は施工前後に何度も確認測量を行っていた作業が、現場で効率的に計測・確認できる技術へ置き換われば、測量作業だけでなく、待機していた建設機械の稼働や現場内移動を減らせる可能性があります。こうした間接的な削減効果も、対象範囲を明確にしたうえで記録すれば環境評価へ反映できます。
燃料使用量を整理するときには、施工期間全体の給油量だけを見るのではなく、可能な範囲で対象作業との関係を明確にすることが重要です。複数の施工区間で同じ機械を使用している場合、工事全体の燃料使用量から特定技術の効果を切り分けることが難しくなるためです。
その場合には、機械稼働時間を補助指標として利用できます。たとえば、ある工程に使用した機械の稼働時間を従来技術と新技術で比較し、さらに実際の給油記録と照合する方法です。時間だけで正確な燃料使用量を決めることはできませんが、作業実績との整合性を確認する材料になります。
電力についても同様です。電動機器や現場設備を使用する技術では、消費電力量を記録します。新技術によって燃料を使用する機械から電動機器へ置き換わった場合、燃料だけを比較すると一見大きな削減に見えることがあります。しかし実際には電力を使用しているため、エネルギー全体の変化を見る必要があります。
エネルギー評価では、削減率だけを強調しないことも大切です。「従来は何を何時間使用していたのか」「新技術では何に置き換わったのか」「施工数量は同じなのか」という背景情報と合わせることで、数字の意味が伝わります。
また、エネルギー使用量には現場条件の影響があります。地盤条件、天候、施工距離、高低差、機械の規模、待機時間などによって燃料使用量は変化します。一つの現場で得られた削減率を、条件の異なる全現場へそのまま適用するのは避けるべきです。
NETIS活用に関連する環境効果を整理するときには、「この技術なら必ず燃料を何%削減できる」と断定するよりも、「この施工条件では従来技術と比べてこの程度の変化が確認された」と記録する方が実務的です。現場データを積み重ねれば、技術が効果を発揮しやすい条件も次第に明確になります。
評価指標3 資材使用量と廃棄物発生量を整理する
環境負荷は、施工中に使用するエネルギーだけで決まりません。資材をどれだけ投入し、施工後にどれだけ廃棄物が発生するかも重要な評価対象です。
新技術によって施工精度が高まれば、過剰な材料投入を抑えられる場合があります。また、工場製作や施工方法の変更によって端材が減ったり、仮設材を繰り返し利用できたりする場合もあります。このような技術では、資材使用量と廃棄物発生量が環境負荷低減を説明する中心的な指標になります。
評価するときには、まず従来技術と新技術の投入資材を整理します。主要材料だけを見るのか、仮設材や消耗品まで対象にするのかを決めます。対象を広げれば詳細な評価が可能になりますが、記録負担も増えるため、技術によって差が生じる項目を中心にすることが現実的です。
たとえば、新技術によって施工位置を高精度に確認しながら作業できることで手直しを減らせる場合、材料の追加使用や撤去材の発生が抑えられる可能性があります。このとき重要なのは「精度が向上した」という説明だけで終わらず、実際に再施工件数、追加材料量、廃棄量などがどう変化したかを記録することです。
廃棄物については、重量や体積など現場で管理可能な単位を統一して記録します。従来技術と新技術で異なる単位を使用すると比較が難しくなるためです。また、単純な総量だけではなく、施工数量当たりの発生量を見ることで規模の違いを補正できます。
資材についても同様で、工事全体で100単位削減したという数字だけでは、その工事が大規模だったのか小規模だったのか分かりません。施工延長や施工面積、出来高などとの関係を整理することで、別の現場へ展開するときの参考にしやすくなります。
また、新技術そのものに追加資材が必要になる場合もあります。主要材料が減っていても、新たな仮設部材や消耗品が増えている可能性があります。そのため、削減された項目だけを取り出すのではなく、追加された項目も含めて比較する姿勢が必要です。
資源循環という観点では、廃棄物の発生量だけでなく、再使用や再資源化につながる仕組みも整理できます。ただし、実際に再使用されたのか、単に再使用可能な材料なのかは区別する必要があります。計画上の可能性ではなく、現場で確認できた実績を記録することが基本です。
資材・廃棄物の評価は、環境効果だけでなく施工管理改善の手掛かりにもなります。余剰材料が多い工程や、手直しに伴う廃棄が発生しやすい工程を可視化できれば、次回施工の改善につなげられるからです。NETIS活用を単発の技術採用で終わらせず、施工方法の改善サイクルへつなげるためにも有効な指標です。
評価指標4 運搬回数・移動距離・機械稼働時間を整理する
建設現場の環境負荷を考えるうえで見落としやすいのが、資材、建設発生土、機械、作業者などの移動に伴う負荷です。新技術によって現場への搬入回数が減ったり、施工工程を集約できたり、確認のための往復移動を減らせたりする場合、その効果は燃料消費やCO2排出量の削減につながります。
運搬による環境効果を把握するためには、まず車両台数だけでなく運搬回数と移動距離を確認します。同じ10台の車両を使用していても、片道5キロメートルの現場と50キロメートルの現場では環境負荷が大きく異なるためです。
新技術によって運搬量自体が変化する場合には、積載量も確認します。たとえば廃棄物の発生量が減れば、搬出車両の台数や往復回数が減る可能性があります。これは資材・廃棄物の評価と運搬評価がつながっている例です。
また、施工機械の稼働時間も重要な活動指標になります。施工時間が短縮されても、機械を停止させず待機運転していれば期待したほど燃料が減らない場合があります。そのため、単純な工期だけではなく、可能であれば対象機械が実際にどの程度稼働していたかを確認します。
特に、新技術によって測量、確認、位置出し、出来形確認などの周辺作業が効率化される場合には、主作業だけでなく待ち時間の削減に注目すると効果を捉えやすくなります。施工そのものは同じ時間でも、確認作業待ちで停止していた機械の時間を短縮できれば、全体のエネルギー消費を抑えられる可能性があります。
作業者の移動についても、評価目的によっては記録対象になります。たとえば、離れた事務所と現場を何度も往復して確認していた作業を、現場で情報共有できる仕組みに変えた場合、車両移動を減らせる可能性があります。ただし、「人員が減ったから環境負荷も減った」と直接結び付けるのではなく、実際に削減された車両移動や走行距離を記録することが重要です。
運搬・移動評価では、施工条件の違いに注意が必要です。残土処分先や資材供給元までの距離は現場ごとに異なるため、一つの現場で確認した効果を他の現場へそのまま当てはめることはできません。
そのため、評価結果には前提条件を残します。対象区間、運搬先までのおおよその距離、施工数量、対象車両、作業日数などが記録されていれば、別の現場で技術を検討するときにも参考にできます。
運搬回数、移動距離、機械稼働時間は、それ自体が最終的な環境影響を表す数値ではありません。しかし、現場で比較的取得しやすく、燃料使用量やCO2排出量の変化を説明する根拠として非常に使いやすい活動指標です。
評価指標5 騒音・振動・粉じんなど周辺環境への影響を整理する
環境負荷という言葉からCO2や燃料を思い浮かべることが多いものの、建設現場では施工場所の周囲に与える影響も重要です。住宅地、市街地、学校、病院、商業施設、供用中の道路などに近接した工事では、騒音、振動、粉じんなどの低減が新技術採用の大きな理由になる場合があります。
この評価で重要なのは、技術の特徴に合った項目を選ぶことです。すべての新技術について騒音、振動、粉じんを一律に測定する必要があるという意味ではありません。掘削方法が変わる技術であれば騒音や振動が重要になる可能性がありますし、切断や破砕を伴う工程であれば粉じんが重要になる場合があります。
騒音や振動を定量的に比較するときには、測定位置、測定時間帯、作業内容、使用機械などの条件をできるだけそろえる必要があります。測定場所が数十メートル違うだけでも値が変わることがあるため、数値だけを並べるのではなく、測定条件を記録しておくことが重要です。
粉じんについても同様です。目視による印象だけで「減った」と判断すると主観的な評価になりやすいため、測定機器による記録を行う場合は測定位置や時間を統一します。定量測定が難しい場合には、同じ位置からの現場写真、散水回数、清掃回数、苦情や対応履歴などを補助情報として残す方法があります。
施工方法の変更によって周辺環境への影響時間が短くなることもあります。たとえば、騒音レベルそのものがほぼ同じでも、対象作業が8時間から4時間へ短縮できれば、周辺が影響を受ける時間は減ります。この場合、「最大値が下がった」という説明ではなく、「発生時間が短縮した」という異なる効果として整理する必要があります。
こうした区別はNETIS活用の説明でも重要です。技術導入によって何が改善したのかを具体的に示し、数値と説明内容を一致させる必要があるからです。現在のNETIS関連資料でも、従来技術との比較において周辺環境への影響を含め、何が向上または低下したのか具体的に示す考え方が確認できます。
また、騒音や振動を低減するために施工時間が大幅に増えたり、別の機械を追加したりすれば、別の環境負荷が増える場合があります。そのため、一つの指標だけで技術全体を評価するのではなく、CO2、エネルギー、資材、運搬と合わせて確認することが重要です。
環境負荷低減には、ある負荷を減らす代わりに別の負荷が増えるトレードオフが生じることがあります。環境面の効果を客観的に説明するには、有利な数字だけを選ぶのではなく、増加した項目があればその理由も整理することが必要です。
環境負荷低減を比較するときにそろえたい評価条件
5つの指標を設定しても、比較条件がそろっていなければ評価結果の信頼性は高まりません。NETIS活用に限らず、従来技術と新技術を比較するときに最も重要なのは「同じ仕事をした結果として何が変わったのか」を確認できる状態にすることです。
最初に整理したいのが比較対象となる従来技術です。新技術と比較する技術が実際の現場で一般的に採用される方法と大きく異なっていれば、削減効果が過大に見える可能性があります。NETISでも新技術の特性を明確にするうえで従来技術との比較が重要とされており、比較対象を適切に設定することが基本になります。
次にそろえるのが施工数量です。施工延長100メートルの実績と200メートルの実績を総燃料量だけで比較することはできません。施工量が異なる場合には、単位施工量当たりへ換算します。ただし、単位化したからすべての条件差がなくなるわけではありません。地盤や地形、施工深さ、現場への進入条件など、エネルギー消費に大きく影響する条件は別に記録しておく必要があります。
作業範囲も統一します。従来技術では準備工から片付けまで含めているのに、新技術では主作業だけを測定していれば、公平な比較にはなりません。どこからどこまでを評価対象としたのかを作業工程単位で決めておくことが重要です。
測定期間もそろえます。特定の1時間だけを切り出したデータと一日全体のデータを比較すると、待機時間や準備作業の違いが反映されません。環境負荷の削減効果が主作業ではなく周辺工程に現れる技術もあるため、技術特性に応じて適切な評価期間を設定します。
さらに重要なのが、評価前に指標を決めることです。施工後に残っているデータだけを見て評価項目を選ぶと、都合のよい結果だけが残りやすくなります。可能であれば新技術を導入する前に「燃料使用量を比較する」「運搬回数を記録する」「施工時間と機械稼働時間を残す」など、評価計画を決めておきます。
削減率を計算するときには、計算方法も統一します。従来技術を基準とするのか、新技術を基準とするのかによって割合の表現が変わるためです。社内資料、現場報告、技術説明資料などで異なる計算方法を使わないようにします。
そして、最終的な削減率だけでなく元データを保存します。燃料使用量が20%削減されたという情報だけでは、その数字を後から確認できません。従来技術の使用量、新技術の使用量、施工数量、実施日、対象機械などが残っていれば、必要に応じて再計算できます。
環境評価では精密な数値を示すこと以上に、比較方法を説明できることが重要です。小数点以下まで細かく算出した数字でも、測定条件が不明であれば再現性は高まりません。反対に、比較範囲と記録方法が明確なら、一定の誤差を含むデータでも技術検討の有用な資料になります。
NETIS活用の効果を記録として残すための実務ポイント
NETISに掲載された新技術を現場で活用するとき、環境効果の評価を成功させる鍵は、施工後の資料作成ではなく施工中の記録にあります。工事が完了してから燃料使用量や運搬回数を調べようとしても、必要な情報が残っていないことが少なくありません。
そのため、新技術を使用する前に「何を記録すれば効果を説明できるか」を決めておくことが重要です。CO2排出量を評価したいのであれば燃料や電力量が必要です。廃棄物削減を評価したいのであれば、従来施工と新技術施工で発生量を比較できる記録が必要です。運搬削減なら車両の往復回数や距離、周辺環境なら測定位置と施工状況の記録が必要になります。
特に有効なのが、数値データと現場写真を結び付けておくことです。数値だけでは、その日にどのような施工をしていたのか分からないことがあります。同じ日に撮影した施工状況写真、施工場所、作業内容などを確認できれば、後からデータの妥当性を検証しやすくなります。
位置情報も重要です。同じ工事内でも地盤条件や施工方法が異なる区間があるため、「どこで取得したデータなのか」が不明になると比較が難しくなります。施工区間と位置情報を紐付けておけば、新技術を使用した場所と従来技術を使用した場所の条件差を確認できます。
また、一度だけ良好な結果が得られたからといって、技術の一般的な削減効果だと判断しないことが重要です。可能であれば複数の施工日や複数区間で記録し、結果のばらつきを確認します。ある日は30%削減、別の日は5%削減という結果であれば、その違いが施工条件によるものなのかを検討できます。
逆に、想定した環境効果が確認できなかった場合も、その記録には価値があります。たとえば施工時間は短縮したものの、追加設備の使用によってエネルギー削減が小さかったという結果が得られれば、次の現場で適用条件を見直す材料になります。
NETISは掲載されているという事実だけで、その技術のすべての効果を一律に保証する仕組みではありません。国土交通省も、NETISの掲載情報は技術の証明や認証そのものではなく、新技術活用の参考情報であることを明示しています。したがって、実際の現場で得られたデータを施工条件とともに記録し、その現場でどのような効果が確認できたのかを整理することが重要です。
記録の方法についても、担当者ごとにばらばらにならないようにします。写真のファイル名だけで現場を判別したり、個人のメモだけで燃料使用量を管理したりすると、担当者が変わったときに情報を追跡できなくなります。
そこで、施工日、施工場所、施工内容、使用した技術、施工数量、機械稼働時間、燃料・電力、運搬実績、資材量、廃棄物量、写真などを、可能な範囲で同じ施工記録と関連付けて管理します。すべての項目を毎回記録する必要はありません。今回評価する環境指標に必要な項目をあらかじめ決めておくことで、現場の負担を抑えながら必要な証拠を確保できます。
さらに、環境評価のためだけに特別な記録作業を増やしすぎないことも大切です。施工管理のために日常的に作成している写真や作業記録、機械稼働記録などを利用できれば、現場の負担を抑えながらデータを蓄積できます。
現場写真・位置情報・施工記録を管理できるLRTK Phoneを活用する場合も、こうした考え方が有効です。環境負荷の計算結果だけを別管理するのではなく、どの場所で、どの施工を行い、そのときどのような状況だったのかを現場記録と結び付けておけば、後から比較結果を確認しやすくなります。
たとえば、燃料使用量そのものを別の管理記録から取得する場合でも、LRTK Phoneで施工場所や施工状況の写真を整理しておけば、「この燃料記録がどの施工区間に対応しているのか」を確認するための補助資料として利用できます。環境評価を現場から切り離された資料作成作業にせず、日々の施工記録と一体で管理することが、継続的な評価につながります。
まとめ
NETIS活用による環境負荷低減を説明するときには、「環境に配慮できる技術」という抽象的な表現だけでは十分ではありません。従来技術と比べて何が変わり、その変化をどのデータで確認したのかを整理することが重要です。
実務で整理しやすい評価指標として、まずCO2排出量があります。燃料や電力などの活動量から排出量を整理することで、環境効果を共通の尺度として示しやすくなります。ただし、算定範囲と使用したデータを明確にしておく必要があります。
次に燃料・電力などのエネルギー使用量です。これは現場で比較的取得しやすく、CO2削減が生じた理由を説明する基礎データになります。施工時間だけではなく、建設機械の稼働や待機、追加設備の使用なども含めて確認することがポイントです。
三つ目は資材使用量と廃棄物発生量です。施工精度向上、手直し削減、材料削減、再使用など、新技術によって資源消費が変化する場合には重要な評価指標になります。投入量だけでなく、追加された材料や発生した廃棄物についても同じ範囲で確認する必要があります。
四つ目は運搬回数、移動距離、機械稼働時間です。これらは直接的な環境影響量ではありませんが、燃料消費やCO2排出がなぜ減ったのかを説明するための有効な活動指標です。特に施工工程の短縮や省力化を特徴とする技術では、環境面の副次的効果を把握する手掛かりになります。
五つ目は騒音、振動、粉じんなど周辺環境への影響です。市街地や周辺施設に近い現場では、CO2とは異なる意味で重要な環境評価となります。最大値だけではなく、発生時間や対象工程の短縮なども含め、実際に何が改善したのかを具体的に整理することが大切です。
そして、これらの指標以上に重要なのが比較条件です。従来技術、新技術、施工数量、対象工程、施工条件、測定期間、計算方法をできるだけそろえなければ、削減率だけを示しても技術の効果を適切に判断できません。
環境負荷低減の評価は、施工後に数字をつくる作業ではなく、施工前から始まります。何を比較するかを決め、施工中に必要なデータを取り、写真や位置情報、施工数量と結び付けて残すことで、初めて説明可能な結果になります。
NETISを単に新技術を探すための情報源として利用するだけでなく、実際の施工データを蓄積しながら技術の効果を検証していけば、自社の現場条件に適した技術を選ぶための判断材料も増えていきます。
そのためには、環境評価の数値と現場の実態を切り離さないことが重要です。LRTK Phoneで現場写真、位置情報、施工記録を整理し、燃料、施工時間、運搬実績、資材量などの評価データと対応関係を持たせておけば、「どこで、どの条件で、どのような効果が確認できたのか」を後から振り返りやすくなります。NETIS活用の環境効果を一度きりの報告で終わらせず、次の技術選定や施工改善につながる現場データとして蓄積していくことが、継続的な環境負荷低減への第一歩です。