土地改良工事では、農道、用排水路、揚排水機場、ため池、擁壁、盛土など、さまざまな施設を地盤上に施工します。これらの施設を安定して使用するためには、施工前に地盤の支持力と沈下特性を把握し、設計条件に適した基礎形式や地盤改良方法を選定することが欠かせません。
特に注意したいのが、軟弱地盤が局所的に分布している現場です。地表が乾いていて重機が走行できる場合でも、地下に軟弱な粘性土や緩い砂質土、有機質土などが存在すれば、施工後に不同沈下やすべり、構造物の傾斜、舗装のひび割れが生じる可能性があります。
支持力不足を見抜くためには、一つの試験結果だけで判断するのではなく、資料調査、現地踏査、ボーリング調査、貫入試験、原位置載荷試験、室内土質試験を組み合わせることが重要です。本記事では、土地改良工事の実務担当者が確認しておきたい6つの調査と、調査結果を設計・施工へ反映する際の考え方を解説します。
土地改良工事で軟弱地盤調査が重要な理由
地盤の支持力とは、構造物や盛土から伝わる荷重を地盤が安全に支えられる能力を指します。ただし、土地改良工事で問題になるのは、地盤が急激に破壊するような支持力不足だけではありません。地盤が荷重を受けて徐々に圧縮され、長期間にわたって沈下する現象も重要な検討対象です。
例えば、農道の路床に軟弱な粘性土が残っていると、施工直後は平坦に見えても、供用開始後にわだちや段差が発生することがあります。用排水路では、基礎地盤の不同沈下によって継ぎ目が開き、漏水や通水断面の変形につながる可能性があります。揚排水機場や樋門などでは、構造物の傾斜や配管接続部の変位が機能に影響することもあります。
軟弱地盤は、必ずしも地表から明確に識別できるとは限りません。表層が比較的締まっていても、その下に軟弱層が分布している場合があります。また、同じ工事範囲の中でも、旧河道、埋戻し部、湿地跡、ため池跡などに沿って地盤条件が急変することがあります。
そのため、土地改良工事の地盤調査では、地盤が軟らかいか硬いかだけでなく、軟弱層の厚さ、深さ、連続性、土質、地下水位、圧密特性、荷重条件を把握する必要があります。調査範囲を狭く設定しすぎると、局所的な軟弱部を見落とし、施工中の追加対策や工事後の変状につながりかねません。
支持力不足を見抜くには、構造物の種類と必要な性能を明確にすることも大切です。農道のように延長が長い施設と、機場のように荷重が集中する施設では、必要となる調査密度や確認項目が異なります。調査を始める前に、何を支える地盤なのか、許容できる沈下量はどの程度か、施工時にどのような重機が入るのかを整理しておく必要があります。
調査1 地形・土地利用履歴・既往資料を確認する
最初に行いたいのが、地形、土地利用履歴、既往調査資料の確認です。現地で試験を行う前に資料を集めることで、軟弱地盤が分布する可能性の高い場所を推定し、調査位置や調査深度を合理的に設定できます。
地形を確認するときは、現在の地表形状だけでなく、周辺を含む広い範囲を見ることが重要です。低地、谷底、後背湿地、旧河道、自然堤防の背後などは、細粒分の多い軟弱な堆積物が分布している場合があります。山間部であっても、谷を埋めた盛土や崩積土の上に施設を施工する場合は、地盤の不均一性に注意が必要です。
過去の土地利用も有力な判断材料です。以前に水田、湿地、沼地、ため池、土取り場、廃棄物の埋立地として使われていた場所では、軟弱土、有機質土、不均一な埋戻し土などが存在する可能性があります。現在は造成されて平坦になっていても、旧地形が地中に残っていることがあります。
古い地形図、航空写真、造成記録、過去の工事図面などを時系列で確認すると、河川の位置変更、ため池の埋立て、盛土造成、道路の付け替えなどを把握しやすくなります。土地改良区や自治体、施設管理者に残されている維持管理記録も有効です。過去に沈下補修を繰り返している場所や、降雨後に通行障害が起きやすい場所は、地盤条件に課題がある可能性があります。
既往のボーリング柱状図や土質試験結果がある場合は、調査地点と今回の施工範囲との位置関係を確認します。近隣のデータであっても、旧河道や盛土境界を挟むと地盤条件が大きく異なることがあります。そのため、既往資料をそのまま今回の設計値として使用するのではなく、地層構成を推定するための参考情報として扱うことが基本です。
資料調査では、地下水に関する情報も確認します。地下水位が高い砂質地盤では、掘削時の湧水やボイリング、地震時の液状化などを検討する必要があります。軟弱な粘性土地盤では、地下水位と排水条件が圧密沈下の進行に影響します。農地では、かんがい期と非かんがい期で地下水位が変動する場合があるため、調査時期にも注意が必要です。
資料調査の結果は、地図上に重ねて整理すると活用しやすくなります。施工範囲、旧地形、既往調査地点、沈下履歴、湧水箇所、盛土境界などを一つの図面にまとめれば、追加調査が必要な場所を検討しやすくなります。
調査2 現地踏査で軟弱地盤の兆候を探す
資料調査の次に行うのが現地踏査です。現地踏査では、図面や既往資料だけでは把握できない地表の変状、排水状況、植生、周辺構造物の状態などを確認します。
軟弱地盤の兆候として注目したいのが、地表の沈み込み、局所的な水たまり、重機や車両の深いわだち、路面の波打ち、舗装の繰り返し補修跡です。晴天が続いた後でも地表が湿っている場所や、歩行時に地面が揺れるように感じる場所では、表層付近に含水比の高い軟弱土が分布している可能性があります。
周辺の既設構造物も重要な観察対象です。水路の継ぎ目に段差がある、擁壁が傾いている、農道の一部だけが沈下している、電柱や柵が不自然に傾いているといった変状は、地盤の不均一な沈下を示している場合があります。ただし、変状の原因は地盤だけとは限らないため、施工履歴、排水不良、洗掘、荷重条件なども合わせて確認します。
植生の違いも地下水や土質の目安になります。湿潤な環境を好む植物が局所的に集中している場合、その場所は地下水位が高い可能性があります。一方で、植生だけから地盤の強度を断定することはできません。あくまで調査位置を選ぶための補助情報として利用します。
現地踏査では、排水経路の確認も欠かせません。表面水が集まりやすい窪地、排水路の閉塞箇所、盛土によって自然排水が遮られている場所では、地盤が長期間飽和しやすくなります。地盤が飽和すると、施工機械の走行性が低下するだけでなく、掘削底面の乱れや盛土材料の締固め不足が生じやすくなります。
踏査時には、調査機械の搬入経路、作業空間、架空線、埋設物、農作業との調整条件も確認します。地盤調査の位置が適切でも、機械を設置できなければ計画どおりの調査はできません。農地内では、作付け時期、用水の通水期間、地権者との調整なども調査工程に影響します。
踏査結果は、位置が分かる写真と記録をセットで残します。写真だけを保存すると、後から撮影位置や方向が分からなくなることがあります。撮影地点、撮影方向、日時、天候、観察内容を記録し、平面図と対応させることが重要です。広い範囲を効率的に把握する場合は、位置情報を伴う写真や三次元計測を利用し、変状箇所を現場座標と結び付けて管理する方法も有効です。
調査3 ボーリング調査と標準貫入試験で地層を把握する
ボーリング調査は、地中から試料を採取しながら地層構成を確認する代表的な調査方法です。地表からは分からない軟弱層の深さ、厚さ、土質、層の連続性を把握するために用いられます。
調査では、採取した試料の色、粒径、含水状態、におい、混入物、締まり具合などを観察し、地層を区分します。粘性土、砂質土、礫質土、有機質土、盛土などでは、支持力や沈下の性質が異なります。特に有機物を多く含む土や高含水比の粘性土は、荷重を受けた後に大きな圧縮を生じる可能性があるため、分布範囲を慎重に確認します。
標準貫入試験では、所定の方法で試験用の器具を地盤に打ち込み、貫入に必要な打撃回数から地盤の硬さや締まり具合を評価します。得られる値は一般にN値と呼ばれ、砂質土の締まり具合や粘性土の硬さを推定するための指標として広く利用されます。
ただし、N値だけで支持力を判断するのは適切ではありません。粘性土では、土の乱れや含水状態、試験条件の影響を受けます。また、非常に軟らかい層では、値の小さな範囲で強度の違いを細かく評価しにくい場合があります。礫や玉石が混じる地盤では、器具が礫に当たって値が大きくなり、地盤全体の締まり具合を正しく表していないこともあります。
ボーリング調査では、地下水位の確認も行います。ただし、掘削直後に確認した孔内水位が、周辺地盤の安定した地下水位と一致するとは限りません。必要に応じて観測用の設備を設け、時間を置いて水位を確認します。水位が季節によって変動すると考えられる場合は、設計時にどの水位条件を用いるかを整理する必要があります。
土地改良工事では、調査地点の配置が特に重要です。長い農道や水路では、一定間隔の調査だけでなく、地形が変化する場所、盛土と切土の境界、旧河道、構造物の設置位置などを重点的に確認します。調査地点間の地層は推定となるため、地盤が急変する可能性がある場所では、追加調査を検討します。
ボーリング柱状図を確認するときは、軟弱層の存在だけでなく、上部構造からの荷重がどの深さまで影響するかを考えます。浅い軟弱層は表層改良や置換で対応できる場合がありますが、厚い軟弱層が深くまで続く場合は、深層改良、杭基礎、盛土荷重の軽減などを検討する必要があります。
調査4 コーン貫入試験などで支持力の分布を確認する
コーン貫入試験は、先端が円すい形の器具を地盤へ貫入し、その抵抗から地盤の硬さや土質を推定する調査です。ボーリング調査に比べて短い間隔で実施しやすく、軟弱層の平面的な広がりや深度方向の変化を把握するために利用されます。
静的に器具を押し込む方法では、貫入抵抗を連続的に測定できるため、薄い軟弱層や地層境界を捉えやすいという特徴があります。先端抵抗に加えて周面摩擦や間隙水圧を測定する方法では、土質区分や排水条件をより詳細に推定できます。
打撃によって器具を貫入させる簡易な動的調査は、比較的狭い場所でも実施しやすく、農道、畦畔、構造物周辺などの確認に利用できます。ただし、試験方法によって得られる指標が異なるため、設計で利用するときは試験方法、地盤条件、換算方法の適用範囲を確認する必要があります。
貫入試験の大きな利点は、複数地点を調査して軟弱部の分布を比較できることです。例えば、ボーリング調査で確認された軟弱層が施工範囲のどこまで続いているかを把握したい場合、周辺で貫入試験を行うことで平面的な広がりを推定できます。
一方、礫や硬い障害物が多い地盤では、器具が貫入できず、途中で試験を終了することがあります。貫入不能が硬い支持層を示しているのか、局所的な礫や埋設物に当たっただけなのかは、周辺の試験結果やボーリング結果と合わせて判断しなければなりません。
軟弱地盤の調査では、一地点の数値よりも、数値が深度方向と平面方向にどう変化しているかが重要です。抵抗値が急に小さくなる深度、低い値が連続する範囲、隣接地点との差が大きい場所を確認すると、軟弱層の境界や不均一性を把握しやすくなります。
また、施工中の確認調査として貫入試験を利用する方法もあります。地盤改良後に複数地点で試験を行い、改良前後の抵抗値を比較すれば、改良効果のばらつきを把握する参考になります。ただし、改良体の品質確認方法は工法ごとに異なるため、貫入抵抗だけで合否を決めず、設計条件に対応した試験と組み合わせることが必要です。
調査5 平板載荷試験などで地盤の変形特性を確認する
平板載荷試験は、地盤上に載荷板を設置し、段階的に荷重を加えながら沈下量を測定する試験です。実際に地盤へ荷重を作用させるため、地盤の支持特性や変形しやすさを直接的に確認できます。
農道の路床、構造物の基礎底面、改良地盤の表面などで実施され、設計上必要な地盤反力や支持力を確認するために用いられます。荷重と沈下量の関係を確認することで、荷重を増加させたときに沈下がどの程度進むかを把握できます。
ただし、試験結果が代表する範囲は載荷板の周辺に限られます。載荷板よりも深い位置に軟弱層がある場合、その影響を十分に捉えられないことがあります。表層が締まっていて試験結果が良好でも、その下に厚い軟弱層が存在すれば、構造物全体では長期沈下が生じる可能性があります。
そのため、平板載荷試験は単独で用いるのではなく、ボーリング調査や貫入試験によって地層構成を確認したうえで実施します。試験位置は、代表的な地盤条件の場所だけでなく、支持力が不足すると予想される場所や改良品質を重点的に確認したい場所に設定します。
試験面の状態も結果に影響します。掘削後に地盤を乱したまま試験を行ったり、試験面に緩んだ土や水が残ったりすると、実際の地盤特性とは異なる結果になる可能性があります。試験面を平坦に整え、必要に応じて薄い調整層を設け、載荷板と地盤を適切に接触させることが重要です。
反力の取り方や計測機器の設置にも注意が必要です。反力装置の変形が沈下量の測定に影響しないようにし、変位計の基準となる支持点は載荷による地盤変形の影響を受けにくい位置へ設けます。試験中に降雨や振動がある場合は、計測値の安定性を確認します。
盛土や路床の品質管理では、現場密度試験、含水比測定、締固め度の確認などと組み合わせることが大切です。平板載荷試験の結果が良好でも、含水状態や締固めのばらつきが大きければ、供用後の変形につながる可能性があります。
調査6 室内土質試験で強度と沈下特性を評価する
室内土質試験は、ボーリングなどで採取した試料を用いて、土の物理的性質、強度、圧縮性、透水性などを確認する調査です。原位置試験で得られた数値を設計に結び付けるために重要な役割を持ちます。
最初に確認する基本的な項目として、自然含水比、土粒子の密度、粒度、液性限界、塑性限界などがあります。これらの結果から、土が砂質土、粘性土、有機質土のどれに近いか、含水状態の変化によって性状がどの程度変わりやすいかを判断します。
高含水比の粘性土や有機質土では、施工機械の走行によって土がこね返され、さらに強度が低下することがあります。自然状態で採取した試料の強度だけでなく、掘削、運搬、敷均し、締固めの過程で性状が変化する可能性も考える必要があります。
一軸圧縮試験は、自立する粘性土試料に軸方向の荷重を加え、破壊時の強度を測定する試験です。結果から地盤のせん断強さを推定し、支持力や安定性の検討に利用します。ただし、試料採取時の乱れや亀裂、試料の成形状態によって結果が変わるため、試料の品質を確認しながら評価します。
三軸圧縮試験では、周囲から圧力を加えた状態で試料を圧縮し、排水条件や応力状態を考慮した強度を求めます。盛土、擁壁、基礎地盤の安定性を詳細に検討する場合に利用されます。施工中の短期的な安定と、排水が進んだ後の長期的な安定では適用する強度条件が異なるため、工事工程と地盤条件に合った試験条件を選ぶ必要があります。
圧密試験は、粘性土に荷重を加えたときの圧縮量と圧縮に要する時間を確認する試験です。軟弱粘性土地盤では、構造物や盛土の施工後すぐに全沈下が発生するとは限らず、間隙水が排出されるにつれて長期間にわたり沈下が進行します。
圧密試験の結果を用いることで、最終的な沈下量や沈下速度を推定できます。工事期間内にどの程度沈下が進むか、供用開始後に残る沈下が許容範囲かを検討する際に重要です。必要に応じて、盛土を先行して載せる方法、排水を促進する方法、軽量な材料を使用する方法などを検討します。
室内試験では、代表性のある試料を採取できているかが大きな課題です。軟弱な試料は採取や運搬の際に乱れやすく、乱れた試料では本来の強度や圧密特性を正しく評価できません。試料採取方法、密封状態、保管温度、試験までの時間を適切に管理する必要があります。
6つの調査結果を総合して支持力不足を判断する
支持力不足の判断では、六つの調査結果を個別に見るのではなく、相互に照合することが重要です。資料調査で旧河道が推定された場所に、現地踏査で沈下跡があり、貫入抵抗の低い層が連続し、室内試験でも圧縮性が高いことが確認されれば、軟弱地盤が存在する可能性は高まります。
一方で、試験結果が一致しない場合は、その原因を確認します。ボーリングでは軟弱層が確認されたのに、隣接する貫入試験では抵抗値が高い場合、地層が短い距離で変化している可能性があります。局所的な礫、埋戻し材、改良跡、試験方法の違いが影響していることも考えられます。
地盤の支持力は、土質や強度だけで決まるものではありません。基礎の幅、根入れ深さ、荷重の大きさ、荷重の作用位置、地下水位、施工による地盤の乱れなどによっても変化します。地盤調査結果が同じでも、軽い水路と重い機場では必要な対策が異なります。
また、地盤が破壊しないことと、沈下が許容範囲に収まることは別の問題です。支持力に余裕があっても、圧密沈下が大きければ、施設の機能に支障が生じる可能性があります。特に水路や管路のように勾配が重要な施設では、わずかな不同沈下でも通水性能や接続部に影響することがあります。
判断時には、全沈下量だけでなく、隣接部分との沈下差を確認します。構造物本体と取付道路、改良地盤と未改良地盤、盛土部と切土部などの境界は、不同沈下が発生しやすい場所です。必要に応じて段階的に改良範囲を変える、すり付け区間を設ける、接続部に変位への追従性を持たせるといった対応を検討します。
調査結果を整理するときは、平面図、地質断面図、試験結果一覧、地下水位、想定荷重を関連付けます。数値だけを一覧にするのではなく、どの施設のどの部分に、どの地層が影響するかを図面上で確認できるようにすることが大切です。
軟弱地盤が見つかった場合の主な対応
軟弱地盤が見つかった場合は、地盤条件、構造物の重要度、施工条件、工期、周辺環境などを踏まえて対策を選びます。すべての軟弱土を除去すればよいとは限らず、必要な性能を満たす範囲で合理的な対策を検討することが重要です。
軟弱層が浅い場合は、軟弱土を掘削して良質な材料へ置き換える方法があります。施工手順が比較的分かりやすく、改良後の状態を目視で確認しやすい方法ですが、地下水位が高い場所では掘削底面が乱れやすくなります。掘削中の排水、周辺地盤の安定、発生土の処理方法まで含めて計画する必要があります。
表層部分を固化材などで改良し、強度を高める方法もあります。農道の路床や構造物の浅い基礎などで検討されますが、対象土の含水比、有機物含有量、混合性などによって改良効果が変わります。事前の配合試験を行い、必要な強度を得られる条件を確認することが大切です。
軟弱層が深い場合は、地中に改良体を造成する方法や、支持力のある層まで荷重を伝える基礎形式を検討します。改良体の配置、直径、深さ、強度は、構造物の荷重と地盤条件に応じて設計します。施工時には、改良深度、材料使用量、施工位置、施工時間などの記録を残し、品質確認試験と対応させます。
盛土による圧密沈下が問題となる場合は、本施工前に荷重を載せて沈下を進行させる方法があります。地盤内の排水距離を短くして圧密を促進する方法と組み合わせることもあります。工期内に必要な沈下が進むかを事前に検討し、施工中は沈下量や間隙水圧を計測して進行状況を確認します。
構造物側で荷重を軽減する方法も選択肢です。盛土高を抑える、軽い材料を使用する、基礎幅を広げる、構造形式を変更するなどにより、地盤へ作用する応力を小さくできます。地盤改良だけで対処するのではなく、構造計画と合わせて検討すると、施工性や維持管理性を高められる場合があります。
対策を決める際は、施工時の安定性も確認します。完成後の支持力を満たす設計であっても、掘削中や盛土途中にすべりや沈下が起きれば安全に施工できません。施工段階ごとの荷重、重機の配置、仮設道路、排水条件を考慮し、必要に応じて段階施工や計測管理を行います。
調査計画を立てるときの実務上の注意点
地盤調査は、調査項目を増やせば必ず十分になるわけではありません。施工する施設の特性と想定される地盤リスクを整理し、そのリスクを判断できる調査を組み合わせることが重要です。
まず、調査目的を具体的に定めます。支持力を確認したいのか、沈下量を推定したいのか、軟弱層の分布を把握したいのか、地下水対策を検討したいのかによって、必要な試験は変わります。目的が曖昧なまま調査を進めると、数値は得られても設計に必要な情報が不足することがあります。
次に、調査深度を適切に設定します。基礎底面付近だけを調べても、荷重の影響範囲内に深い軟弱層があれば見落とす可能性があります。盛土では、盛土荷重が広い範囲の地盤へ作用するため、深部まで圧密沈下の対象となることがあります。
調査地点は、一定間隔で機械的に配置するだけでなく、地形や施設条件に応じて重点化します。旧河道、谷埋め盛土、構造物位置、盛土高が大きい場所、既設施設との接続部などは、地盤条件の変化や不同沈下の影響が大きくなりやすい場所です。
調査結果が想定と異なった場合に、追加調査を行える計画にしておくことも重要です。最初からすべての調査地点を固定するのではなく、初期調査の結果を確認してから詳細調査の位置を決める段階的な方法が有効です。
調査時期にも注意します。農地では、かんがい期と非かんがい期、降雨期と乾燥期で地下水位や地表の含水状態が変化します。乾燥した時期の調査結果だけで施工時の条件を判断すると、降雨後や通水期間中に想定外の軟弱化が生じる可能性があります。
埋設管、水路、電線などがある場所では、調査前に位置を確認します。資料上の位置と現地の位置が一致しているとは限らないため、必要に応じて管理者への確認や試掘を行います。調査機械の転倒や埋設物の損傷を防ぐため、作業地盤の安定性も確認しなければなりません。
調査報告書では、数値の提示だけでなく、調査上の制約や推定の範囲も明記します。試験を実施できなかった地点、試料の乱れが大きかった箇所、地下水位が安定していない可能性などを残しておけば、設計者や施工担当者が結果を適切に評価できます。
土地改良工事の品質を高める現場記録の残し方
軟弱地盤への対応では、施工前の調査だけでなく、施工中の記録が重要です。掘削によって初めて確認できる地層や湧水もあり、事前調査の想定と現地条件が異なる場合があります。
掘削面では、土の色、粒径、含水状態、におい、異物、湧水の有無を確認します。設計で想定した支持層が現れない場合や、軟弱な層が局所的に残っている場合は、そのまま次工程へ進まず、設計条件との整合を確認します。
地盤改良を行う場合は、施工位置、施工深度、材料使用量、施工回数、施工時刻、機械の状態を記録します。完成後に地中の改良状況を目視できない工法では、施工記録が品質を確認する重要な資料になります。
施工前後の地表面を三次元的に記録しておくと、掘削範囲、置換量、盛土量、改良範囲を確認しやすくなります。現場で取得した点群や位置情報付き写真を平面図と関連付ければ、施工箇所の取り違えや記録漏れを減らせます。
沈下が想定される現場では、基準点と沈下計測点を施工前に設置し、施工段階ごとの高さを記録します。盛土高さ、施工日、降雨、地下水位などと一緒に管理すると、沈下の進行と施工条件の関係を把握しやすくなります。
計測値に変化があったときは、数値だけで判断せず、基準点の移動、機器の設置状態、測定条件も確認します。測定方法や使用する座標系、高さの基準を担当者間で統一し、誰が測定しても同じ手順になるようにします。
現場記録は、完成検査のためだけに残すものではありません。供用後に沈下やひび割れが生じた場合、施工時の地盤状況や改良履歴を確認できれば、原因の絞り込みや補修方法の検討に役立ちます。将来の維持管理まで見据えて、位置、日時、施工内容、計測結果が追跡できる状態で保存することが大切です。
まとめ
土地改良工事で軟弱地盤の支持力不足を見抜くには、地形・土地利用履歴・既往資料の確認、現地踏査、ボーリング調査と標準貫入試験、コーン貫入試験などの原位置調査、平板載荷試験、室内土質試験を組み合わせる必要があります。
一つの試験値だけでは、軟弱層の厚さや平面的な広がり、長期沈下の可能性まで十分に判断できません。資料から地盤形成の背景を推定し、現地で変状を確認し、原位置試験と室内試験によって強度や圧縮性を数値化することで、支持力不足を見落としにくくなります。
調査結果を評価するときは、地盤の破壊だけでなく、即時沈下、圧密沈下、不同沈下、施工時の走行性や掘削安定性まで確認することが重要です。農道、水路、機場、擁壁などでは求められる性能が異なるため、施設の荷重条件と許容変位に合わせて調査結果を設計へ反映します。
軟弱地盤が確認された場合は、置換、表層改良、深層改良、載荷による沈下促進、構造物の軽量化などから、地盤条件と施工条件に適した方法を選びます。施工中も地層、湧水、改良位置、材料使用量、沈下量を記録し、事前調査の想定と現場の状態を継続的に照合することが大切です。
現場の地形や施工状況を正確に共有するには、位置情報付き写真や三次元計測による記録も役立ちます。地盤調査地点、変状箇所、改良範囲、施工前後の高さを同じ座標上で管理することで、設計、施工、維持管理の情報をつなげやすくなります。現場計測と記録作成を効率化したい場合は、次にLRTK Phoneの活用方法を確認してみてください。