土木CADでブロック属性の一括変更が必要になる理由
土木CADを使った図面作成では、同じ種類の構造物、設備、測点、注記記号などを何度も配置する場面があります。毎回同じ図形を描き直すのではなく、複数の線や文字をひとまとまりのブロックとして登録しておけば、同じ形状を繰り返し利用できるため、作図時間の短縮につながります。
さらにブロックへ属性情報を持たせると、見た目が同じ図形でも配置場所ごとに異なる情報を管理できます。たとえば管理番号、測点名、構造物名称、施工区分、規格、標高、確認状態などを属性として持たせれば、図形そのものを作り直さなくても、個別の情報だけを書き換えることができます。
この仕組みは土木CADの効率化に有効ですが、図面完成後に大量の属性を変更する必要が生じることがあります。設計変更によって構造物番号が変わった場合、仮の管理番号を正式番号へ置き換える場合、施工段階に合わせて状態を変更する場合、工区名や測点表記のルールを統一する場合などです。
対象が数個なら、一つずつブロックを選択して属性値を編集しても大きな負担にはなりません。しかし、数十個から数百個のブロックを個別に修正するとなると、入力作業だけで多くの時間を要します。また、作業件数が増えるほど、変更漏れや入力間違いも起こりやすくなります。
たとえば「A-01」を「A-001」の形式へ統一する単純な修正でも、100か所を手入力すると桁数の違い、不要な空白、文字の入力漏れなどが混在する可能性があります。担当者によって表記方法が異なれば、全角と半角、空白の有無、区切り記号の違いなどが積み重なり、後から検索や集計を行う際にも扱いにくくなります。
そこで利用したいのが、ブロック属性の一括変更です。複数の対象を条件によって抽出し、共通する属性値をまとめて変更できれば、単純な入力作業を大幅に減らせます。それぞれ異なる値を更新する場合でも、属性情報を一覧化し、外部データとして整理してから反映する方法を検討できます。
ただし、一括変更では「一度にたくさん編集できること」だけを重視すると危険です。対象条件を誤れば、本来変更しないブロックまでまとめて書き換える可能性があります。大量処理では、一つの操作ミスが大量の図形へ反映されるため、個別編集よりも事前確認が重要になります。
効率的に進めるには、変更対象の整理、属性ルールの確認、対象の絞り込み、一括編集、大量データの更新、変更後の検査という順序で作業することがポイントです。操作方法の名称は利用する土木CAD環境によって異なりますが、この基本的な流れは多くの属性管理で応用できます。
手順1|変更対象のブロックと属性項目を整理する
ブロック属性の一括変更を始める前に、まず「何を変更するのか」を明確にします。ここを曖昧にしたままCAD上で対象を選択すると、途中で条件を追加したり、変更後に対象外の図形が含まれていることに気付いたりして、かえって作業時間が増えることがあります。
最初に確認するのはブロックの種類です。画面上では同じ記号に見えても、内部では異なるブロックとして作成されているケースがあります。反対に、同じブロックを利用しながら、属性値やレイヤーによって既設、新設、撤去、計画などを区別していることもあります。
たとえば排水構造物を表す同じ記号が図面内に多数配置されていても、すべてが一括変更の対象になるとは限りません。計画対象だけを変更したいのに、ブロック名だけで選択すれば既設物まで含まれる可能性があります。そのため、見た目だけで判断せず、ブロック名、レイヤー、現在の属性値など、対象を識別するための情報を確認します。
次に確認するのが属性項目です。ブロックには画面上に表示されている文字以外にも、管理用の属性が設定されている場合があります。図面上では管理番号しか表示していなくても、内部には工区、種別、施工状態、確認区分などが記録されていることがあります。
一括変更前には、どのブロックの、どの属性項目を、どの条件で変更するのかを整理しておく必要があります。「排水構造物の番号を変更する」という表現だけでは条件が不足しています。「特定工区に配置された計画対象の排水構造物について、管理番号の接頭部分だけを変更する」と整理できれば、後の選択条件も決めやすくなります。
現在値と変更後の値も確認します。単純に全対象を同じ値へ変更するのか、文字列の一部だけを置き換えるのか、ブロックごとに異なる値を設定するのかによって、適した処理方法が異なるからです。
「施工前」を「施工済み」へ変更するように、全対象へ共通値を設定する処理であれば、一括属性編集との相性が良好です。一方で「A-001」「A-002」「A-003」のように、対象ごとに異なる番号を割り当てる場合は、単純な共通値の変更では対応できません。連番処理や外部データ連携など、別の方法を検討する必要があります。
図面が複数ファイルに分かれている場合は、対象範囲の確認も欠かせません。平面図だけにある属性なのか、詳細図、縦断図、横断図などにも同じ番号が存在するのかを確認します。一つの図面だけ番号を変え、関連図面に旧番号が残ると、成果物全体で整合しなくなる可能性があります。
一括変更を行う前には、元データを保持しておくことも重要です。大量の属性を短時間で書き換えられるということは、誤った条件を指定した場合も短時間で大量に変更されるということです。変更前の状態へ戻せるよう、正式データと編集用データを区別し、変更前後を比較できる状態を確保しておくと安心です。
この最初の整理は、一見すると遠回りに感じられるかもしれません。しかし、一括変更では編集操作そのものよりも対象確認に時間がかかるケースが多いため、最初に条件を固めたほうが結果的には効率的です。
手順2|属性名と入力ルールを統一して変更条件を決める
対象を整理したら、次は属性名と属性値の入力ルールを確認します。土木CAD上では同じように見える情報でも、内部の文字列が完全には一致していないことがあります。この表記揺れは、一括検索や置換を行う際の変更漏れにつながります。
分かりやすい例が番号の桁数です。「1」「01」「001」が混在していると、人が見れば同じ系列の番号と判断できても、文字列としては別の値です。検索条件によっては一部が対象外になったり、文字順で並べた際に期待した順序にならなかったりする場合があります。
測点番号、構造物番号、管理番号などを継続的に利用するのであれば、桁数をあらかじめ統一しておくと扱いやすくなります。特に将来、属性一覧を抽出して並べ替えたり、別データと照合したりする予定がある場合は、入力形式の統一が重要です。
空白にも注意が必要です。「工区A」と「工区 A」のように途中へ空白が入った値や、末尾に目立たない空白が付いている値は、画面上ではほとんど同じに見えることがあります。しかし、属性検索や外部データとの照合では異なる文字列として扱われる場合があります。
属性名そのものが統一されていないケースもあります。たとえば同じ管理番号を示す項目が、あるブロックでは「番号」、別のブロックでは「管理番号」と設定されていると、同じ意味の情報でもまとめて扱いにくくなります。
ブロック属性を長期間利用する場合は、属性名を単なる画面上の説明ではなく、データ管理の項目名として考えることが重要です。同じ意味の情報には同じ属性名を設定し、異なる目的の情報には明確に別の名称を付けます。
変更条件を決める際は、できるだけ具体化します。「番号を一括変更する」ではなく、「計画レイヤー上にある特定種類のブロックのうち、工区属性が第1工区になっている対象について、管理番号の接頭文字を変更する」といった具合です。
条件を具体化するほど、誤って変更する範囲を狭くできます。一括変更で大切なのは、変更したい対象だけを正確に選ぶことです。操作速度を上げる前に選択条件を明確にすることが、安全性と効率の両方につながります。
変更後の入力形式も先に決めておきます。桁数、区切り記号、単位、空欄時の扱いなどが担当者任せになっていると、せっかく一括変更しても次回の修正時に再び表記揺れが発生します。
標高などの数値情報を属性として管理する場合は、数値そのものと表示上の単位をどのように扱うかも検討します。数値と単位をまとめて一つの文字列にする方法と、数値だけを保持して表示方法を別に決める方法では、後から集計や照合を行う際の扱いが異なります。
重要なのは、どの方式を選ぶにしても図面内でルールを統一することです。一括変更のしやすさは、変更機能の性能だけで決まるものではありません。入力段階から整った属性データを作っておけば、検索、抽出、置換、検査のすべてを効率化できます。
手順3|検索・選択条件を使って対象ブロックを絞り込む
変更ルールが決まったら、CAD上で対象ブロックを絞り込みます。大量のブロックを一括編集する場合、一つずつ画面上でクリックして選択していては、一括処理の利点が小さくなります。
一般的なCAD環境では、図形の種類、ブロック名、レイヤー、属性値などを利用して対象を絞り込める場合があります。利用できる検索項目や操作方法は環境によって異なるため、実際には使用中の機能を確認しながら進めます。
対象選択では、一つの条件だけに頼りすぎないことが重要です。同じブロックを複数の用途で使っている図面では、ブロック名だけで選択すると対象外の図形まで含まれる可能性があります。
たとえば、同じ構造物記号を既設と新設の両方で使い、レイヤーだけで区別している場合、ブロック名による選択だけでは両方が対象になります。この場合はブロック名に加えて対象レイヤーを条件にする必要があります。
既設と新設を属性値で分けているなら、属性条件を組み合わせます。ブロック名、レイヤー、属性値といった複数の要素を利用すると、変更範囲を絞り込みやすくなります。
選択後はすぐに変更を実行せず、まず選択結果を確認します。予定では80個程度を変更するはずなのに、選択件数が数百個になっている場合は、条件が広すぎる可能性があります。逆に予定より少なければ、表記揺れや別ブロックの混在などを疑います。
選択範囲を図面上で視覚的に確認することも有効です。全体を縮小して表示し、対象区間以外の図形まで選ばれていないかを確認します。特定工区だけを変更する予定なのに離れた場所にも選択図形があるなら、その段階で条件を見直せます。
条件を段階的に適用する方法も効果的です。最初に対象レイヤーを限定し、その中から特定ブロックを抽出し、最後に属性値で対象を限定します。このように段階を分けると、どの条件によって対象が増減しているか確認しやすくなります。
大量変更だからといって、一度ですべてを処理する必要はありません。図面規模が大きい場合や変更内容が重要な場合は、工区や施工区間などの単位に分けて処理したほうが確認しやすいケースがあります。
特に初めて使用する変更条件では、まず数個のブロックで試験的に編集します。結果が正しいことを確認してから対象範囲を広げれば、文字列の置換条件などに誤りがあっても影響を小さく抑えられます。
一括変更の成否を決めるのは、編集ボタンを押す速さではなく、対象選択の精度です。「変更対象を正確に選択できる仕組み」を作ることが、ブロック属性編集を安定させる中心的なポイントになります。
手順4|属性編集機能で共通する値をまとめて変更する
対象ブロックを正しく絞り込めたら、属性値の変更に進みます。複数のブロックへ同じ属性値を設定する作業は、一括編集の効果が特に大きい処理です。
たとえば対象ブロックの施工状態を一斉に変更する場合、対象が正確に選択されていれば、個別に編集するより効率よく作業できます。工区名や分類、確認状態など、複数ブロックで同じ値を持たせる項目も一括変更と相性があります。
一方、すべての属性変更を同じ方法で処理できるわけではありません。ブロックごとに異なる番号を付ける場合や、既存の番号の一部だけを変更する場合には、単純な共通値の上書きでは対応しにくくなります。
たとえば「A-001」「A-002」「A-003」を「B-001」「B-002」「B-003」に変更したい場合、番号部分を残しながら接頭文字だけを変更する必要があります。属性全体を同じ値で上書きすると、すべて同じ番号になり、個別情報が失われてしまいます。
そのため、変更前に「属性全体を変更するのか」「特定文字だけ置換するのか」「対象ごとに異なる値を設定するのか」を区別しておきます。利用できる機能によっては、文字列置換や連番処理などを使える場合があります。
属性の構成が異なるブロックが混在していないかにも注意が必要です。古い図面から複製したブロックと新しい定義のブロックが混在している場合、見た目は同じでも属性項目が異なることがあります。
一部のブロックに変更対象の属性自体が存在しなければ、同じ操作を行ってもすべてに反映されない可能性があります。予定件数と実際の変更件数が一致しない場合には、このようなブロック定義の違いも確認します。
属性値を書き換えた後は、文字データだけではなく図面上の表示も確認します。短い仮番号を長い正式名称へ変更すると、属性文字が他の線と重なったり、ブロックの表示範囲からはみ出したりすることがあります。
管理上の値が正しくても、成果図として読みにくければ実務上の問題になります。土木図面では構造物線、寸法、引出線、注記など多くの情報が近接して配置されるため、属性文字が長くなった際の干渉には注意が必要です。
属性文字の位置や角度がブロックごとに異なる場合もあります。一括して値を変更した結果、特定方向に回転しているブロックだけ文字が読みにくくなることも考えられます。データとして正しく更新されていることと、図面として視認できることの両方を確認します。
ここでのポイントは、「一括変更を入力省力化に使い、確認まで省略しない」ことです。個別入力に使っていた時間を削減できれば、その分を対象確認や変更結果の検査へ充てられます。それによって作業速度だけでなく図面品質も維持しやすくなります。
手順5|外部データを活用して大量の属性値を更新する
複数のブロックへ同じ値を設定するのであれば、CAD内の一括編集で対応しやすいですが、各ブロックへ異なる値を設定する場合は作業方法を変える必要があります。
たとえば数百個の構造物について、管理番号、規格、工区、状態などを個別に更新する場合です。一つずつ属性編集画面を開いて入力していると、対象を一括選択できても十分な時間短縮にはなりません。
利用しているCAD環境が属性情報の書き出しや読み込みに対応している場合は、いったん属性情報を表形式などの構造化データとして取り出し、外部で編集してから図面へ反映する方法を検討できます。
ここで最も重要なのが、図面上のブロックと外部データを正しく対応付けられる識別情報です。同じ種類の構造物が100個並んでいて、すべて名称が同じでは、どのデータをどのブロックへ戻すべきか判断しにくくなります。
そのため、将来一括更新する可能性のあるブロックには、一意に識別できる管理番号を持たせておくと便利です。管理番号が重複していなければ、外部データの各行とCAD内の対象を照合しやすくなります。
この考え方は一括変更だけでなく、図面と施工記録、点検情報などを対応付ける場合にも役立ちます。図面作成段階から識別番号を整理しておけば、その後の工程で同じ対象を探す手間を減らせます。
外部データを編集するときは、項目名を不用意に変更しないことも大切です。属性名と列名などを対応付ける仕組みの場合、名称を変えると正しく反映されない可能性があります。
数字の形式にも注意します。たとえば「001」という管理番号を外部データで扱った際、「1」に変化すると、図面側で想定している表記と一致しなくなることがあります。管理番号は計算する数値ではなく識別用文字列として扱うなど、用途に応じたデータ形式を意識します。
更新前のデータを保存しておくことも欠かせません。外部で大量編集すると、短時間で多くの値を変更できる一方、誤った編集内容もまとめて反映される可能性があります。元の一覧と更新後の一覧を比較できる状態にしておけば、想定外の変更を見つけやすくなります。
特に確認したいのが変更件数です。120件を更新する予定なら、変更された対象も120件になっているかを確認します。130件なら余分な対象が含まれている可能性があり、110件なら変更漏れが疑われます。
大量更新では、個々の値を目視で最初から最後まで確認するだけでは効率が落ちます。そこで、件数確認、識別番号の重複確認、旧値の残存確認、更新前後の差分確認など、検査しやすい仕組みを作ることが重要になります。
図面と属性情報を構造化して管理できれば、CAD担当者だけで情報を抱え込む必要も減らせます。設計、施工、維持管理など、それぞれの工程で共通する識別番号を使えるようにしておけば、図面と各種情報を結び付けやすくなります。
手順6|変更結果を検査して再利用できる状態にする
ブロック属性の一括変更は、値を書き換えた時点では完了ではありません。最後に検査を行い、意図した対象だけが正しく更新されていることを確認する必要があります。
最初に見るべきなのは変更件数です。事前整理では80個を対象としていたのに、実際には78個しか変更されていない場合、残り2個には何らかの違いがあると考えられます。
原因としては、ブロック名が異なる、別のレイヤーに配置されている、属性値に空白が含まれている、桁数が異なる、古いブロック定義を使っているなどが考えられます。この差を調べることで、今回の変更漏れを修正できるだけでなく、次回の一括処理を安定させる改善材料にもなります。
次に旧属性値が残っていないか確認します。変更前の値を検索し、対象範囲内に残存していれば変更漏れを疑います。反対に変更後の値で検索し、予定外の区域に設定されていないか確認することも有効です。
属性の値だけでなく表示状態も検査します。文字の長さが変わったことで構造物線と重なっていないか、枠からはみ出していないか、縮尺に対して読みにくくなっていないかを確認します。
土木CADでは、データ上の正しさと成果図の視認性が必ずしも一致しません。属性欄に正しい番号が保存されていても、印刷時に番号が他の文字と重なって読めなければ、図面としての利用性は低下します。
複数図面で同じ番号を共有している場合は、図面間の整合性も確認します。平面図だけ新番号になり、詳細図や数量確認用図面には旧番号が残っていると、施工や照査の場面で混乱する可能性があります。
こうした問題を防ぐためには、変更前に関連図面を把握しておくことが重要です。一括変更後になってから影響範囲を探すよりも、先に「この番号はどの図面に使われているか」を整理しておけば確認漏れを減らせます。
検査が終わったら、今回の作業で使った条件やルールを次回も利用できる形に整理します。ブロック名、属性名、番号形式、対象レイヤー、変更判断のルールなどを標準化できれば、同じ種類の作業を繰り返すときに条件を一から考える必要がありません。
特に頻繁に利用する構造物記号、測点記号、設備記号などは、属性構成をそろえた標準ブロックとして管理すると効果的です。新しい図面でも同じ属性名と入力形式を使えば、検索や一括変更の方法も再利用できます。
一括変更を単発の便利操作で終わらせず、次回の作業まで短縮できる仕組みへ変えることが、土木CADの継続的な効率化につながります。
一括変更で起こりやすいミスと防止策
ブロック属性の一括変更では、個別入力とは異なる種類のミスに注意が必要です。特に問題になりやすいのは、操作そのものより対象条件の間違いです。
一つの属性を手作業で誤入力した場合、通常はその一か所を修正すれば済みます。しかし、一括変更の条件を間違えると、同じ誤りが数十個、数百個のブロックへ同時に反映される可能性があります。
代表的なのが対象範囲を広く取りすぎるケースです。同じブロックが既設と新設の両方で利用されているのに、ブロック名だけを条件にすると両方が対象になります。用途によってレイヤーや属性値が分かれているなら、それらを追加条件として利用します。
反対に条件が厳しすぎることで変更漏れが起きる場合もあります。同じ意味の属性でも、「第1工区」「第1工区」「第1 工区」のような表記差があれば、一つの完全一致条件ではすべてを抽出できないことがあります。
この問題は一括変更の段階だけで解決するより、入力時点から表記を統一するほうが効果的です。図面作成ルールとして番号形式や名称表記を決めておけば、後工程で複雑な検索条件を作る必要が減ります。
ブロック定義の世代差にも注意します。長期間使われている図面では、過去に作成したブロックと現在のブロックが混在していることがあります。形状がほぼ同じでも、一方には新しい属性が追加され、もう一方には存在しないといった状態が考えられます。
この場合、見た目だけでは違いが分かりにくく、一括変更が一部にしか反映されないことがあります。変更件数が合わない場合には、ブロック定義や属性構成の違いを確認します。
また、複数ブロックを選択した状態で、属性値以外のプロパティを誤って編集しないよう注意が必要です。利用環境によっては位置、角度、尺度、表示設定などもまとめて変更できる場合があります。変更する欄を確認せず操作すると、属性以外まで変わるおそれがあります。
有効な防止策は、小さな範囲で試験することです。本番対象が500個あっても、最初から500個へ適用する必要はありません。同じ条件の数個で変更結果を確認し、問題がなければ範囲を拡大します。
また、一括変更直後にそのまま保存して作業終了とせず、旧値と新値の検索や図面全体の確認を行う工程を設けます。重要な成果図であれば、操作担当者以外が確認する方法も考えられます。
一括変更の目的は確認工程をなくすことではありません。手入力を減らし、その時間を対象確認や検査へ振り分けることで、作業量とミスの両方を減らすことが本来の効率化です。
土木CADの属性管理を標準化して次回作業を短縮する
ブロック属性の一括変更を継続的な業務改善につなげるには、変更操作だけではなく、ブロックや属性の作り方そのものを標準化することが重要です。
まず整えたいのがブロック名称です。同じ用途のブロックに複数の名称が使われていると、検索条件が複雑になります。担当者ごとに異なる名称で新しいブロックを作成すると、年月が経つほど種類が増え、どれが標準なのか分かりにくくなります。
同じ用途には同じ命名規則を使い、用途の違いが分かるように整理しておけば、一括選択や検索を行いやすくなります。
属性名称も同様です。「管理番号」「番号」「管理No」のように似た項目が混在すると、同じ意味のデータでも一括処理しにくくなります。属性名は表示上の名称というより、データを扱うための共通項目として設計することが重要です。
値の入力形式も標準化します。番号の桁数、文字の区切り方、空欄の表現、日付や工区名称の書き方などをそろえておけば、検索精度が高まり、外部データとの照合もしやすくなります。
レイヤーと属性の役割を整理することも大切です。表示のオン、オフや作図上の分類に適した情報はレイヤーで管理し、個々の構造物に紐付く管理番号や状態などは属性で管理するといったように、情報の置き場所を決めます。
同じ情報をレイヤー名と属性値の両方へ重複して持たせる場合は注意が必要です。一方だけを変更してもう一方が旧情報のままになれば、どちらを正しい情報として扱うのか分からなくなります。
標準ブロックやテンプレートを用意する方法も有効です。新規図面のたびに属性項目をゼロから設定するのではなく、必要な情報を備えたブロックを共通で利用すれば、担当者が変わっても同じデータ構造を維持しやすくなります。
ただし、標準化したブロックも更新管理が必要です。新しい属性項目を追加したときに古いブロックがそのまま残れば、将来の一括処理で世代差が問題になります。更新時期や属性構成を整理し、どの定義を使用するのかを明確にしておくことが望まれます。
土木CADのブロック属性は、図面上へ文字を表示するだけの機能として利用するより、構造物や測点を識別する情報として設計したほうが活用範囲が広がります。
管理番号を一定のルールで付与しておけば、対象検索、属性変更、一覧整理、照査などに同じ情報を利用できます。さらに施工段階でも同じ管理番号を使えば、図面上の対象と現場の対象を結び付けやすくなります。
高度な機能を多く導入することだけが土木CADの効率化ではありません。同じデータを誰が扱っても同じルールで入力でき、必要な対象をすぐ検索できる状態を作ることが、日常業務では大きな効果を持ちます。
作図業務では、線を描く時間だけでなく、変更箇所を探す時間、表記を直す時間、図面間を照合する時間、修正内容を確認する時間も積み重なります。属性管理の標準化は、こうした周辺作業をまとめて減らすための基盤になります。
まとめ|ブロック属性の一括変更を土木CADの業務改善につなげる
土木CADのブロック属性を一括変更するときは、複数のブロックを選択して値を書き換える操作だけに注目するのではなく、対象整理から変更後の検査までを一つの工程として設計することが重要です。
最初の手順では、どのブロックのどの属性を変更するのかを整理し、変更対象と対象外を明確にします。次に属性名や入力ルールを確認し、番号の桁数、空白、名称などの表記揺れを減らします。
そのうえでブロック名、レイヤー、属性値などの条件を使って対象を絞り込み、選択件数や配置範囲を確認してから変更します。すべての対象へ同じ値を設定する場合は一括編集を利用し、それぞれ異なる値を大量に更新する場合は、利用環境に応じて外部データを使った方法も検討できます。
変更後には件数を確認し、旧値が残っていないか、新しい値が想定外の場所に設定されていないかを調べます。文字が長くなった場合には、属性表示が構造物線や他の注記と重なっていないかも確認します。
さらに、今回の変更条件を次回へ活かすため、ブロック名称、属性名称、管理番号、入力形式などを標準化します。ここまで実施して初めて、一回の属性修正が将来の作業時間短縮につながります。
土木CADを効率的に運用するうえでは、「修正を速くする」だけでなく、「後から修正しやすいデータを最初から作る」という視点が欠かせません。ブロック属性の構造を整理しておけば、設計変更や施工段階の更新が発生しても、対象を検索してまとめて処理しやすくなります。
また、図面内で管理番号や対象名称を整理しておくことは、CAD作業だけでなく現場情報との照合にも役立ちます。構造物や測点を共通の識別情報で管理できれば、図面上の対象と現場で確認した対象の対応関係を把握しやすくなります。
今後の土木業務では、CAD上の作図と現場で取得する位置情報や施工記録を完全に別々のものとして扱うのではなく、同じ対象を共通の情報で管理していく考え方が重要になります。図面側の属性管理を整えることは、そのための準備にもなります。
土木CADの属性整理に加えて、現地での位置確認、測量、記録、情報共有まで含めたデジタル化を進めたい場合は、LRTK Phoneを活用した運用も検討できます。CADで整理した図面情報と現場で取得する位置情報をつなげていくことで、作図だけでなく確認、施工管理、記録、共有まで含めた業務全体の効率化につなげやすくなります。