水中掘削で現場で即土量を把握する意味
河川、ため池、調整池、水路、港湾施設周辺などで水中掘削や浚渫を行う場合、施工管理で難しいのが、今どれだけ掘れているのかを水面上から直接確認しにくいことです。陸上の掘削であれば掘削面を目視できる場合がありますが、水中では水面下の地形を計測しなければ、掘削深さや残存土量を数量として把握できません。
そこで重要になるのが、水底の高さを共通の鉛直基準で整理し、施工前の水底面、施工途中または施工後の水底面、計画上の掘削面を比較する考え方です。施工途中の概算や作業計画の判断を目的とする場合には、代表的な横断面を設定し、その断面上の複数地点で水底位置を確認する方法が使えます。
本記事で扱う5測点は、左右の掘削境界、左右の中間部、中央部付近を確認するための簡易的な配置例です。5測点が浚渫工に共通する公的な標準測点数という意味ではありません。発注工事の出来形数量、契約数量、検査用数量などを算出する場合は、設計図書、適用される数量算出要領、測量基準、監督職員との協議事項などに従う必要があります。
比較的単純な横断形状を施工中に概算する用途であれば、5測点の水底高さを折れ線状に結び、計画面との差から断面積を近似できます。さらに複数の横断面を計測し、断面間の距離を用いれば、区間土量を平均断面法の考え方で概算できます。
一方、水底に急激な凹凸がある場合、局所的な洗掘や堆積がある場合、構造物周辺で形状が複雑な場合には、5点では形状を十分に捉えられません。必要に応じて測点や横断面を増やすほか、求める精度や適用基準によっては面的な深浅測量や三次元データによる数量算出を検討します。
現場で即土量を把握する目的は、最終的な出来形数量だけではありません。施工途中で残存量の傾向を確認したり、浚渫土の搬出計画を見直したり、次に掘削する区間を判断したりするための参考値として活用できます。重要なのは、概算値と正式な出来形数量を混同しないことです。
浚渫量計算の基本は水面ではなく河床・水底の高さを捉えること
水中掘削の数量を比較するときに最初に整理したいのが、水深と水底位置の違いです。
たとえば水面から水底まで2.0mという水深だけを記録しても、異なる日時の水底位置をそのまま比較できるとは限りません。河川やため池では降雨、放流、取水、排水などで水位が変わり、海域では潮位も変化するためです。
河川や池などで、水面の高さを共通の標高基準に結び付けて管理でき、かつ水深を鉛直方向に適切に測定している場合は、考え方を単純化すると水底の高さを水面の高さから水深を差し引いて求められます。
たとえば同一の高さ基準で水面高が10.00m、水深が2.30mであれば、水底高は7.70mです。別の日に水面高が10.20m、水深が2.50mであれば、同じ基準で整理した水底高は7.70mとなります。このように水位変化を考慮して共通の鉛直基準へ変換することで、異なる日時の結果を比較しやすくなります。
ただし、港湾や航路などでは、水深や計画水深に用いる基準面が工事や測量の基準によって定められている場合があります。そのため、すべての現場で単純に一般的な標高だけを使えばよいわけではありません。適用する基準面、潮位補正方法、設計図書の水深基準を確認してから比較します。
施工管理では、同一の鉛直基準にそろえた現況水底と計画掘削面との差を確認します。現況水底が計画面より高ければ、その地点に掘削対象となる土砂が残っている可能性があります。一方、計画面より低い場合には、計画より深くなっている可能性を確認します。
重要なのは、水深の数字だけを残して終わらせないことです。測定日時、水位または潮位に関する情報、測点位置、使用した基準面、計測方法を対応させておくことで、施工前後を比較しやすくなります。
浚渫量を算出する5測点の考え方
横断面から施工中の浚渫量を概算するときは、どこで水底を測るかが結果に影響します。単純な断面では等間隔の測点を使うこともできますが、実際には掘削境界や地形の変化点を意識して配置するほうが、水底形状を捉えやすくなります。
本記事で例とする5測点は、左側の掘削境界、左側中間部、中央部付近、右側中間部、右側の掘削境界です。
たとえば対象幅が10mで形状が比較的単純であれば、説明上は0m、2.5m、5.0m、7.5m、10.0m付近という配置が考えられます。ただし、これは一律に採用すべき測点間隔ではありません。
左側に堆積が集中していれば左側の測点密度を上げる必要があります。中央付近に澪筋や急な落ち込みがあれば、その変化点を追加で測る必要があります。既設構造物や法面の折れ点がある場合も同様です。
5測点の役割は、単に5つの水深を記録することではありません。測点間の形状を一定の仮定で補間し、計画面や施工前の水底面との差を断面積として近似することにあります。
そのため、測点間を直線で補間できる程度に形状が単純かどうかを先に確認することが重要です。形状が複雑であれば、測点を増やすか、面的な計測へ切り替えます。
施工前後を比較する場合は、横断線と各測点の平面位置をできるだけ同じ条件で再現します。断面番号や測点番号も統一しておけば、時系列比較での取り違えを防ぎやすくなります。
測点1 左側の掘削境界で水底高さを確認する
最初の測点は、横断面における左側の掘削境界です。
この地点は、概算する断面の開始位置を定義するために使います。掘削対象範囲の端が曖昧なままでは、どこからどこまでを断面積へ含めるかが変わり、計算結果も変わります。
護岸がある水路では護岸際を確認したい場合がありますが、安全条件や構造物の形状によっては、直接その位置を測れないこともあります。その場合は、実際に計測した位置と設計断面上の位置関係を記録します。
護岸際や法尻付近では、中央部とは異なる堆積や洗掘が生じることがあります。中央付近だけを測って全断面の状態を推定すると、端部の土砂や局所的な深掘れを見落とす可能性があります。
掘削機械による施工でも、作業半径や施工方法によって端部に土砂が残る場合があります。左側境界を施工前、施工途中、施工後で同じ位置に近い条件で確認すれば、変化を比較しやすくなります。
境界地点の水底が計画面より高い場合でも、直ちに追加掘削すべきとは限りません。設計上の法面、構造物の保護範囲、施工許容範囲などを確認したうえで判断します。
測点2 左側中間部で水底形状の変化を拾う
2点目は、左側境界と中央部の間に設定する測点です。
この位置は、端部から中央部へ向かう水底形状の変化を確認するために使います。河床や水底は必ずしも一直線ではなく、途中に堆積部や凹部、勾配の変化点が存在することがあります。
左側境界と中央部の2点だけで断面を表現すると、その間を直線として近似することになります。実際の地形がその仮定から外れていれば、断面積にも差が生じます。そのため、中間部を確認して折れ線の形状を一段細かく捉えます。
たとえば左側境界の水底高が8.50m、中央部が7.50mで、中間部が8.30mであれば、中央寄りで深くなる形状が考えられます。中間部が7.80mなら、端部から早い段階で深くなっている形状が考えられます。
こうした形状差は1断面では小さく見えても、施工延長が長ければ概算土量へ影響する可能性があります。
左側中間部を必ず幅の4分の1地点に固定する必要はありません。実際の変化点や施工上重要な位置を優先する考え方もあります。ただし施工前後を比較する場合は、同じ平面位置を再現できるよう管理します。
測点3 中央部または最深部で掘削深さを確認する
3点目は横断面の中央部付近です。
水路や河川では中央付近が深い場合がありますが、中央が必ず最深部になるわけではありません。流れの影響で澪筋が片側に寄っていたり、局所洗掘によって最深部が中心線から外れたりする場合があります。
そのため、設計上の中心線と現況地形の最深部は分けて考える必要があります。
計画断面との比較を継続的に行う場合には、設計上の中心位置を固定測点として管理すると比較しやすくなります。一方、現況地形の把握が目的で、最深部が中心位置から明らかに外れている場合には、最深部を追加測点として確認するほうが適切です。
つまり、中央部または最深部という表現は、どちらか一方を無条件で選ぶという意味ではありません。固定した中心測点に加え、必要なら地形変化を表す測点を追加する考え方が安全です。
中央部が計画面に達していても、左右の中間部や境界部が高いままであれば、断面全体で掘削が完了したとは判断できません。反対に中央部だけが深い場合には、局所的な深掘れの可能性も確認します。
水中では掘削面を直接見渡せないため、作業時間やバケット回数だけで出来形を判断するのではなく、水底位置を計測して確認することが重要です。
測点4 右側中間部で偏った堆積を把握する
4点目は中央部と右側境界の中間です。
2点目と対称の位置に見えますが、水底形状が左右対称になるとは限りません。流向、護岸形状、流入口や排水口、構造物などの影響によって、片側に堆積や洗掘が偏ることがあります。
そのため、左側中間部だけを確認して右側を省略すると、断面形状を十分に表現できない場合があります。
中央部が計画面付近まで掘れていても、右側中間部だけ高ければ、局所的な掘り残しが存在する可能性があります。反対に右側中間部だけ低い場合には、もともとの地形、自然洗掘、施工による変化など複数の原因が考えられます。
施工途中で左右の中間部を比較すると、次に確認すべき位置を決める参考にもなります。ただし、左右の高さが違うという事実だけから施工不良を断定することはできません。設計断面と施工前地形の両方を確認して判断します。
測点5 右側の掘削境界で断面を閉じる
5点目は右側の掘削境界です。
左側境界から始めた横断面を右側境界まで設定することで、概算対象となる幅を定義できます。
右側でも、護岸際、法尻、構造物周辺などで水底形状が急変する場合があります。既設構造物がある場合は、掘削可能範囲と保護すべき範囲を設計図書などで確認します。
端部の測点位置が施工前後で変わると、比較対象となる断面幅まで変わってしまいます。たとえば施工前に12m幅で計測し、施工後に10m幅だけを計測すれば、同じ断面同士の比較にはなりません。
そのため、横断線、掘削境界、各測点の位置関係を記録し、同じ比較範囲を再現できるようにします。
5測点がそろえば、比較的単純な断面を4区間の折れ線として近似できます。ただし、その4区間の内部に大きな凹凸がないことが前提です。
5測点から浚渫断面積を求める方法
5測点を計測したら、それぞれの位置について現況水底と計画掘削面との差を求めます。
ここでは、水深の数字を直接引き算するのではなく、同じ鉛直基準にそろえた水底位置と計画面を比較することが重要です。
たとえば計画面までの残存掘削厚が左から0.20m、0.50m、0.80m、0.60m、0.10mで、各測点間の水平距離が2mだったとします。
第1区間は、両端の厚さ0.20mと0.50mを直線的に変化すると仮定すれば、平均厚さは0.35mです。これに区間幅2mを掛けると、概算断面積は0.70平方メートルとなります。
同じ方法で第2区間から第4区間まで計算し、合計すれば、その横断位置における残存掘削断面積を近似できます。
これは台形近似の考え方であり、測点間の地形を直線として扱っています。したがって、測点間に凹凸や段差があれば、実際の断面積との差が大きくなる可能性があります。
測点間隔が均等でない場合でも、各区間の実際の水平距離を使えば同様に計算できます。
計画断面に横断勾配や法面がある場合は、各測点位置に対応する計画面の高さを使います。すべての測点に同じ計画高を当てはめると、計画断面を正しく表せません。
また、計画面よりすでに低くなっている地点の扱いは、計算目的によって分けます。残存掘削量を把握する目的なら、通常は計画面より深い部分を追加で掘るべき量として計上しません。一方、施工前後の地形変化量を確認する場合は、施工前面と施工後面の差として別に扱います。
なお、この5測点による断面計算は施工中の簡易的な概算例です。発注工事の正式な数量算出方法は、適用される設計図書や数量算出要領に従います。
複数断面から水中掘削の土量を求める方法
1つの横断面で求められるのは、その位置における断面積です。施工区間全体の体積を概算するには、流下方向や施工方向に複数の横断面を設定します。
隣り合う横断面の断面積が分かれば、その2断面間で形状が連続的に変化すると仮定し、平均断面積に断面間距離を掛けて区間体積を近似できます。
たとえば横断Aの対象断面積が8平方メートル、横断Bが10平方メートルで、断面間距離が10mなら、平均断面積は9平方メートルです。これに10mを掛けると、その区間の概算体積は90立方メートルとなります。
次の横断Bと横断Cも同様に計算し、区間ごとの値を合計します。
ただし、これは2つの横断面間で地形が大きく急変しないという仮定を含みます。横断間隔を広くし過ぎると、その間にある局所的な堆積や洗掘を捉えられません。
曲線部、構造物周辺、幅が変わる場所、合流部、流入口付近、堆積状況が急変する場所では、横断面を追加する判断が必要です。
また、正式な出来形数量や検査数量では、工事ごとに指定された方法を優先します。港湾浚渫の三次元数量算出では、適用要領に基づく点群やTINによる面的な算出が用いられる場合があります。簡易な平均断面計算と正式な数量算出手法を使い分けることが大切です。
水位変動と測定時刻をそろえて計算誤差を抑える
水中掘削の土量計算では、水位や潮位の変動に注意が必要です。
水面から水底までの距離として水深を測る場合、水位変化を適切に補正しなければ、水底が変化していないのに水深だけが変化して見えることがあります。
たとえば午前中の水面高が10.00m、午後が10.15mで、水底位置が変わっていなければ、午後の水深は午前より0.15m大きくなります。水深だけを比較すると、0.15m深くなったと誤認する可能性があります。
同じ高さ基準で水面高と水底高を整理すれば、この違いを切り分けられます。
そのため、測定時刻と水位に関する記録を対応させます。長い区間を測定している間にも水位が変化する場合があるため、現場条件によっては計測途中にも水位を確認します。
海域では潮位補正や基準面の扱いが定められている場合があります。独自の瞬間水位だけで補正方法を決めるのではなく、適用する測量基準や工事基準に従います。
波浪がある場合には水面の読み取りにもばらつきが生じます。状況に応じて複数回の観測や所定の方法を用い、単発の瞬間値だけに依存しないようにします。
施工前、施工途中、施工後を比較する際は、同一の横断位置、測点位置、鉛直基準、計測方法をそろえることが基本です。
水中掘削前後の計測で実際の浚渫量を確認する
浚渫量の管理では、これから掘削する量と、施工によって実際に変化した量を分けて考えます。
施工前の水底面と計画掘削面を比較すれば、計画上の掘削対象量や残存量を求めるための基礎データになります。
一方、施工前水底と施工後水底の差を比較すれば、期間中に水底地形がどの程度変化したかを推定できます。
たとえば同一位置で施工前の水底高が8.20m、施工後が7.60mなら、水底位置は0.60m低くなっています。同様の差を各測点で計算し、断面積の変化を求めます。
複数断面について施工前後の断面差を整理すれば、区間全体の地形変化量を概算できます。
ただし、この地形差のすべてを掘削機械が取り除いた土量と断定することはできません。流水や波浪がある場所では、施工期間中にも自然堆積や洗掘が起こる可能性があります。掘削で浮遊した土砂が別の位置へ移動し、再堆積することも考えられます。
そのため、施工前後の測量結果は、施工記録、作業位置、水象条件などと合わせて確認します。
施工途中にも同じ考え方を使えば、施工前、施工途中、計画面の3つを比較できます。どの程度水底が変化したかと、計画面までどの程度残っているかを分けて確認できるため、施工計画を見直す材料になります。
現場で即土量を判断するときに起こりやすい誤差
水中掘削では、水底の高さだけでなく測点位置の再現性が重要です。
施工前と施工後で平面位置がずれると、水底そのものが変化していなくても異なる高さを測る場合があります。特に水底勾配が急な場所では、わずかな水平位置の違いが高さの違いとして表れます。
そのため、横断線と各測点の平面位置を再現できるように管理します。
測深棒や重錘などを使用する場合には、軟弱な泥へ先端が沈み込むことがあります。施工前後で底質が変われば、同じ器具を使っても何を水底として捉えているかが変わる可能性があります。
反対に、水草、流木、石などに接触すると、実際の地盤より高い位置を水底として記録する可能性があります。
流れがある場合には、測深具やロープが斜めになり、想定した平面位置の真下を測っていない場合もあります。斜めになった線の長さをそのまま鉛直水深として扱えば誤差につながります。
音響測深を使用する場合には、使用機器や方式に応じて喫水、姿勢、音速、水位や潮位などの補正条件が関係します。必要な補正方法は使用する機器と適用基準に従います。
また、手入力による転記ミスにも注意が必要です。たとえば3.26mを3.62mと入力すれば、その差が断面全体の数量へ影響する可能性があります。
周囲から大きく外れる値が出た場合には、直ちに地形変化と断定せず、測点位置、計測条件、入力値などを確認してから採用します。
5測点では不足する水底形状と測点を増やす判断
5測点は、比較的単純な横断形状を施工中に概算するための一例です。どの現場でも5点あれば十分という基準ではありません。
最も注意したいのは、測点間に急激な凹凸がある場合です。
5測点の間に深い溝があっても、その位置を測らなければ折れ線近似には現れません。反対に、測点間だけに土砂が盛り上がっている場合も、残存量を過小評価する可能性があります。
そのため、護岸際、澪筋、法面の折れ点、構造物周辺、流入口、合流部など、地形が変化する位置には追加測点を設定します。
隣接する測点間で高さが大きく変わる場合も、その区間に追加測点が必要か検討します。大きな高さ差そのものが問題なのではなく、その間を直線で近似できるかどうかを確認することがポイントです。
また、横断方向だけでなく施工方向の変化にも注意します。幅方向は単純でも、縦断方向に局所的な堆積があれば、1断面の測点数を増やすだけでは把握できません。その場合は横断面そのものを追加します。
複雑な水底、広い施工区域、高い数量精度が必要な現場では、少数の離散測点より面的な計測が適する場合があります。工事の要求精度、設計図書、適用基準、計測時間などを踏まえて方法を選びます。
現場で即土量を求めるときに重要なのは、5点という数を守ることではなく、その測点配置で対象地形を表現できるかを確認することです。
浚渫量を施工管理と搬出計画へ活用する
施工途中で土量を概算できると、残存量や施工位置を検討する材料になります。
全体の計画量に対して施工途中の残存量を一定の方法で比較すれば、作業日数だけでは分かりにくい進捗を数量の変化として確認できます。
区間ごとに残存量を整理する方法も有効です。施工区域を複数のブロックに分けて概算すれば、どの区間に作業を集中させるかを検討しやすくなります。
ただし、施工中の簡易計算値をそのまま契約上の出来形数量や精算数量として扱えるとは限りません。正式な数量は、工事で指定された測量方法や数量算出方法に基づいて確認します。
浚渫土の搬出計画へ利用する場合にも注意が必要です。
水底地形から求める体積は、基本的に原位置の地形変化を基にした量です。一方、水中から掘り上げた土砂は、水分を含んだり、掘削によってほぐれたり、仮置きや排水によって状態が変わったりします。
そのため、原位置で求めた立方メートル数と、運搬時や仮置き時の見かけ体積が同じになるとは限りません。重量管理を行う場合にも含水状態などの影響を受けます。
現場では、原位置の掘削量、残存量、搬出量を同じ意味の数字として扱わず、それぞれ何を基準にした数量なのかを明確にすると管理しやすくなります。
LRTK Phoneを水中掘削周辺の位置管理に活用する
衛星測位の電波は水中での測点を直接測位する用途には適さないため、水中掘削では水底の測深と、水面上または陸上の位置管理を分けて考える必要があります。
LRTK Phoneは、水中の水深そのものを測る機器として扱うのではなく、RTK測位が成立する環境で岸側の基準点、横断線の端部、陸上の管理点などの位置を座標で記録したり、既知の座標位置を現場で再確認したりする用途が考えられます。
施工前に横断線の左右端など、衛星測位が可能な地点を座標として記録しておけば、施工途中や施工後に同じ横断線を再現するための補助情報として利用できます。
水中掘削では施工前後で測定位置がずれると、水底高の比較結果にも影響します。そのため、どの横断で測ったのかを位置情報と結び付けて残しておくことには意味があります。
ただし、水面上の5測点すべてをLRTK Phoneだけで直接管理できるかどうかは、測定方法、作業船や足場の有無、衛星の受信環境、安全条件などによって異なります。水中の測深位置を管理する場合には、使用する測深システムや位置決め方法との組み合わせを検討します。
また、位置情報を持つ写真を利用して、岸側の基準位置や周辺構造物、施工状況などを記録しておく方法もあります。数値データと現場状況を関連付けて保存できれば、後から計測条件を確認するときの参考になります。
水中掘削の数量管理では、水底高を取得する計測方法と、その計測位置を管理する方法を混同しないことが重要です。水底は適切な測深方法で取得し、位置は現場条件に合った方法で管理し、水位や基準面の情報と組み合わせて比較します。
まとめ
水中掘削で現場で即土量を把握するには、水面上からの見た目だけで判断するのではなく、水底位置を計測し、共通の鉛直基準と平面位置で整理することが基本です。
比較的単純な断面を施工中に概算する一例として、左側掘削境界、左側中間部、中央部付近、右側中間部、右側掘削境界という5測点を設定すれば、水底形状を4区間の折れ線として近似できます。
ただし、この5測点は公的に定められた一律の浚渫測点数ではありません。地形が複雑な場合は測点や横断面を追加し、正式な出来形数量や契約数量については、設計図書や適用される測量・数量算出基準に従う必要があります。
各測点では水深だけを見るのではなく、水位や潮位、使用する基準面を考慮して同じ鉛直基準へ整理します。そのうえで現況水底と計画面との差を求め、測点間を直線と仮定できる範囲では台形近似によって断面積を概算できます。
施工方向に複数の横断面を設定すれば、隣接断面の平均断面積と距離から区間土量を概算できます。ただし、断面間で地形が急変する場所では追加計測が必要です。
施工前と施工後の水底面を比較すれば地形変化量を確認できますが、その変化がすべて機械掘削によるものとは限りません。流水による洗掘や堆積、土砂の再移動なども考慮して施工記録と照合します。
また、水位変動、測点位置のずれ、軟弱泥への測定器具の沈み込み、流水による測深具の傾き、計測機器ごとの補正条件なども結果へ影響します。
現場で即土量を把握するときに大切なのは、5という測点数そのものではなく、どの位置を、どの基準で、どの方法によって繰り返し測るのかを統一することです。
水中の測深と陸上・水面上の位置管理を分けて考え、横断位置や基準点、施工記録を座標と結び付けて管理したい場合には、LRTK Phoneを地上側の位置管理や記録に活用する方法も検討できます。