場所打ち杭の施工では、掘削を始める前から、この杭で掘削物がどの程度発生するのかを把握しておく必要があります。見込みが小さすぎれば、仮置き場所が不足したり、搬出車両や処理先との調整が追いつかなかったりします。反対に大きく見積もりすぎれば、必要以上の搬出計画や受入れ調整につながり、現場運営が複雑になります。
そこで実務で役立つのが、孔径と掘削深さから現場で即土量を計算する方法です。基本となる考え方は円柱の体積ですが、実際の場所打ち杭では、杭径の変化、余掘り、孔壁の変形、掘削土のほぐれ、含水状態、安定液の使用などによって、設計上の孔体積と現場で扱う発生量が一致するとは限りません。
また、場所打ち杭で発生する掘削物をすべて同じ意味の残土として扱うのは適切ではありません。高含水で泥状を呈するものや、安定液などを用いる工法から生じる泥土は、状態や処理方法によって建設汚泥として扱う必要がある場合があります。以下では検索意図に合わせて残土という表現を用いますが、実際の搬出や処理では、建設発生土なのか建設汚泥などの産業廃棄物なのかを、関係法令、発注条件、受入れ条件に照らして確認することが前提です。
重要なのは、最初から一つの数字を絶対値として扱うのではなく、設計形状から求める理論土量、施工条件を反映した掘削見込み量、そして搬出時に管理する量を段階的に分けて考えることです。本記事では、現場で即土量を把握したい実務担当者に向けて、孔径と深さを中心に使える4つの式と、実際の残土管理へつなげる方法を解説します。
場所打ち杭で現場で即土量を把握する意味
場所打ち杭では、地盤を掘削して孔を形成し、鉄筋かごを建て込み、コンクリートを打設して杭体を構築します。そのため、施工に伴って掘削物が発生します。施工方法によっては掘削土に水分や安定液などが混じり、地山状態の土とは異なる性状になることがあります。
施工計画段階でまず押さえやすいのは、杭の孔径と掘削深さです。設計図や杭伏図、杭詳細図などから孔径と深さが分かれば、少なくとも地山状態でどの程度の体積を掘削する計画なのかを概算できます。
この数量を早めに把握しておけば、仮置き場所の容量、搬出時期、搬出車両の必要量、掘削工程との整合、受入れ先や処理先との調整などを進めやすくなります。特に複数本の杭を連続施工する現場では、1本当たりの誤差が小さく見えても、杭本数を掛けることで全体数量への影響が大きくなるため、早い段階で土量を把握する意味があります。
ただし、設計上の孔体積と実際に扱う発生量を同じものとして扱うのは注意が必要です。孔壁が設計径どおりに形成されるとは限らず、掘削によって地盤がほぐれると、土として搬出する場合には地山状態より見掛け体積が大きくなることがあります。一方、安定液を含む泥状物などは、一般土工のほぐし土と同じ考え方で管理できない場合があります。
そのため、現場で即土量を実務で使える数字にするには、最初に理論値を求め、その後に施工実績と発生物の性状を使って補正していく考え方が有効です。
計算前にそろえる孔径と深さの情報
残土量を求める前に、計算条件を統一しておくことが重要です。最初に確認するのは孔径です。図面に記載された杭径と、実際の掘削孔として扱う直径が同じ意味とは限らないため、どの寸法を計算に使用するのかを施工条件と照らして確認します。
次に掘削深さを確認します。杭長と掘削深さも必ずしも同じとは限りません。施工基面の高さ、杭頭位置、杭先端位置、掘削底の位置などを確認し、どの高さからどの高さまでを掘削体積として計算するのかを明確にします。
深さについては、図面に記載された数値だけを見るのではなく、基準となる標高も確認しておくと安全です。施工基面が変化した場合、杭先端の設計標高が同じでも、実際に必要となる掘削深さが変わる可能性があるからです。
単位も統一します。土量を立方メートルで求めるのであれば、孔径と深さをメートルで扱います。例えば孔径1,200ミリメートルなら1.2メートルとして計算します。ミリメートルとメートルが混在した状態で計算すると、大きな数量誤差につながります。
さらに、同じ杭番号でも途中で孔径が変わる構造になっていないかを確認します。拡底杭などでは、上部から下部まで一律の直径として計算すると実際の孔形状を表現できません。この場合は、深さ方向を複数区間に分け、円柱以外の部分は設計形状に合う体積式を使う必要があります。
地盤構成も可能であれば確認します。後述するほぐれの補正を行う場合、全深度を一律に扱うよりも、主要な地層ごとに掘削後の状態を記録しておく方が、施工途中で予測精度を高めやすくなります。
さらに、施工方法と排出物の管理区分も確認しておきます。泥水や安定液を用いる工法では、掘削物が一般的なほぐし土の状態で排出されるとは限りません。搬出量を体積で管理するのか、重量で管理するのか、脱水後の量で管理するのかによっても、比較すべき数字が変わります。
現場で素早く計算したいからといって、入力条件の確認を省略すると、その後の計算を速くしても意味がありません。孔径、深さ、杭本数、径の変化、施工基面、地層区分、施工方法、発生物の管理単位という基本条件を最初に整理しておくことが、土量予測の出発点です。
式1|一定孔径の杭を円柱として求める
最も基本となるのが、掘削孔を円柱として求める方法です。
式1は次のように表せます。
V1=π×D²÷4×H
V1は理論掘削土量、Dは孔径、Hは掘削深さです。孔径と深さをメートルで入力すれば、計算結果は立方メートルになります。
例えば孔径1.2メートル、深さ20メートルの杭を考えます。円形断面の面積は約1.131平方メートルとなり、これに20メートルを掛けると、理論上の掘削体積は約22.6立方メートルです。
この数字は、孔壁が設定した直径の円筒形で形成され、掘削中に孔径が変化しないものとして求めた幾何学上の値です。そのため、そのまま搬出残土量や処分量と考えるのではなく、残土予測の基準値として使います。
複数本ある場合は、同じ孔径、同じ深さの杭であれば、1本当たりの数量を求めて杭本数に展開できます。ただし、実際の現場では杭ごとに支持層到達深度が異なる場合や、施工基面の高さが異なる場合があります。そのような現場では、全杭を一律の深さとして扱うのではなく、杭ごとの深さで計算する方が実態に近づきます。
円柱計算の利点は、図面から孔径と深さを拾えば短時間で算出できることです。工事開始前に全杭の概算土量を把握したいときや、翌日に施工する杭の発生量を事前確認したいときにも使いやすい方法です。
一方、断面積は直径の二乗に比例します。したがって、孔径の入力間違いは土量へ大きく影響します。孔径を数パーセント取り違えるだけでも断面積の差はそれ以上になるため、深さだけでなく孔径の確認が重要です。
現場で即土量を計算する場合も、図面から拾った孔径を一度確認してから入力する習慣が重要です。
式2|径が変わる杭を区間ごとに積み上げる
上部から下部まで同じ孔径であれば式1で計算できますが、途中で径が変化する場合は、深さ方向を複数区間に分けて計算します。
式2は次のように表せます。
V2=Σ{π×Di²÷4×Hi}
Diは各区間の孔径、Hiはその区間の深さです。円柱として扱える各区間の体積を求め、最後に合計します。
例えば上部15メートルが孔径1.2メートル、下部5メートルが孔径1.4メートルとして扱える形状であれば、それぞれを別々の円柱として計算します。上部の体積と下部の体積を合計することで、全区間を1.2メートル径として計算するよりも設定した孔形状に近い数量になります。
拡底部など、単純な円柱とは異なる形状については、設計形状に合わせた体積計算が別途必要です。円すい台などとして近似できる場合もありますが、実際に使う形状と寸法は図面や施工計画で確認します。重要なのは、形状が変化しているのに全深度を一つの孔径で計算しないことです。
式2は地層別の土量管理にも応用できます。例えば上部の砂質土層、中間の粘性土層、下部の支持層というように、深度ごとに区切って数量を記録しておけば、掘削物の性状が変化したときに、どの区間で土量差が生じているのか追跡しやすくなります。
地層別に管理する場合も、孔径が同じであれば計算そのものは円柱体積の積み上げです。違うのは、その後の排出状態を評価するときに地層ごとに分けて考えられる点です。
例えば、ある地層では掘削後も比較的土として扱いやすく、別の地層では高含水で泥状になりやすいことがあります。全深度を平均的な一つの係数だけで処理すると、この違いが見えにくくなります。
また、施工途中で深さが変更された場合にも式2は便利です。予定深さまでの数量と追加掘削部分の数量を分けて計算できるため、当初計画からどの程度の体積が増えたのかを説明しやすくなります。
現場で即土量を求める目的は、単に一つの合計値を作ることではありません。工程や地層、孔径の変化に合わせて数量を分けることで、後から原因を追える数字にすることが重要です。
式3|余掘りを実効孔径に反映して予測する
式1と式2は設計形状を基準にした理論値です。しかし実際の掘削孔では、施工条件によって設計孔径を超える部分が生じることがあります。
孔壁の局所的な崩れ、掘削機の挙動、地盤状態などによって、孔径が設計値どおりの完全な円筒になるとは限りません。この影響を予測へ取り込む方法の一つが、実効孔径を設定して計算する方法です。
式3は次のように表せます。
V3=π×De²÷4×H
Deは余掘りなどを考慮した実効孔径です。
ここで重要なのは、実効孔径を根拠なく大きく設定しないことです。実効孔径は施工方法、地盤条件、掘削記録、孔径確認の記録、先行杭の実績などを確認しながら、現場ごとに設定する予測用の数値として扱います。
コンクリート使用量も参考情報にはなりますが、使用量は打設条件や杭頭部の余盛りなど複数の要因の影響を受けます。そのため、コンクリート使用量だけから実際の孔径を一意に逆算し、余掘り量と断定するのは避けます。
例えば設計孔径が1.2メートルであっても、施工記録を整理した結果、特定の地盤区間では設計値を基準にした体積より実績側が大きくなる傾向が繰り返し確認されれば、その区間の予測条件を見直す材料になります。
孔径補正で注意したいのは、わずかな直径差でも体積への影響が無視できない場合があることです。体積計算では直径を二乗するため、孔径を数パーセント増やすと断面積の増加率はそれより大きくなります。
そのため、残土量が毎回理論値より多い現場で、単純に総量へ一律の補正率を掛けるだけでなく、掘削深さ、孔形状、地層、排出状態などのどこに差の原因があるのかを分けて確認すると、次の予測へ反映しやすくなります。
ただし、余掘りは全深度で均一に発生するとは限りません。特定の地層だけで孔壁が広がることもあります。その場合は式2の考え方と組み合わせて、区間ごとに異なる実効孔径を設定した方が実態を表現しやすくなります。
また、残土が多く見える原因が必ずしも余掘りとは限りません。地山から掘り出された土がほぐれて体積が増えている場合や、水分や安定液を含むことで管理量の意味が変わっている場合もあります。したがって、掘削孔そのものが大きくなった影響と、掘削後の状態が変化した影響は分けて考える必要があります。
この区別をするために、式3では孔形状の補正を行い、次の式4では土としてほぐした状態を扱える場合の体積変化を整理します。
式4|ほぐれを考慮して搬出残土量へ換算する
一般土工では、地山の土量、ほぐした土量、締固め後の土量を区分し、地山の土量に対するほぐした土量の比を土量変化率Lとして扱います。土として搬出する掘削物について、この考え方を使う場合の基本式は次のように表せます。
V4=V3×L
V4はほぐした状態で見込む土量、V3は余掘りなどを反映した地山相当の掘削体積、Lは地山土量に対するほぐした土量の比です。
ここでLを全国一律の固定値として扱うのは避けます。土質区分に応じた標準的な変化率が使われる場面はありますが、実際の見掛け体積は土質、粒度、含水状態、排出方法、仮置き方法などの影響を受けます。特に場所打ち杭では、一般的な土工の掘削土と同じ状態で排出されるとは限りません。
安定液などを含み高含水で泥状となる掘削物は、一般的なほぐし土としてLを掛ければ搬出量が求まるとは限りません。建設汚泥として扱う必要がある場合には、処理工程や契約条件に応じて、発生量、脱水後の量、搬出重量など適切な管理単位を使います。
したがって、式4を実務で利用するときは、何の量を管理しているのかを最初に決めておくことが重要です。地山換算の掘削体積なのか、ほぐした土としての見掛け体積なのか、泥状物を含む発生量なのか、搬出車両へ積載した重量なのかで意味が違います。
搬出計画を目的とするのであれば、過去に同じ現場で施工した杭について、計算上の掘削体積と実際の搬出記録を比較すると有効です。ただし、体積と重量、未処理状態と脱水後など、異なる基準の数値を直接割り算して一つの係数にしないようにします。
例えば当初は設計孔径と深さから理論値だけで計画し、1本目の施工後に同じ定義で実際の発生量や搬出量を確認します。2本目以降はその差の原因を整理して予測条件を修正し、さらに数本施工した時点で同じ地盤条件の傾向を確認します。このように、施工が進むほど現場固有のデータを蓄積していけば、机上の一般値だけに頼るより精度を高めやすくなります。
式4は単純ですが、適用対象を明確にすることが重要です。式1から式3までで掘削孔そのものの体積を整理し、土として扱える排出物については式4でほぐした状態へ換算します。泥状物や建設汚泥に該当する可能性があるものは、別途その状態に合う管理方法へ切り替えることで、設計数量と搬出・処理数量を混同しにくくなります。
具体例で4式を使った残土予測を確認する
ここでは、孔径1.2メートル、掘削深さ20メートルの場所打ち杭を例に考えます。
まず式1で理論掘削土量を計算すると、約22.6立方メートルになります。この数字が設定した孔形状を円柱として考えた基準数量です。
次に、実際には下部5メートルだけ異なる径で掘削する計画だとします。この場合は式2を使い、上部区間と下部区間を分けて計算します。孔径が大きくなる区間があれば、その部分だけ断面積が増えるため、全体土量も増加します。
施工開始後、同じ現場の先行杭を確認した結果、特定の地層で孔壁の広がりが疑われ、設計径だけの計算では掘削実績と合わないことが分かったとします。その場合は式3で、その区間に根拠を持った実効孔径を設定して再計算します。
さらに、排出物が一般的な土として扱え、地山状態よりほぐした状態の見掛け体積が大きくなる傾向を確認できた場合は、式4で適切なLを反映します。一方、安定液を含む泥状物として管理する場合は、式4を機械的に当てはめず、現場で採用している体積や重量の管理基準に合わせます。
この流れで重要なのは、最初から最終的な搬出量を一発で当てようとしないことです。まず形状から理論値を出し、その次に孔形状の影響を補正し、最後に排出物の状態に応じて管理量へ変換します。
こうすると、例えば予測より搬出量が多かった場合にも、掘削深さが増えたのか、孔径が実質的に大きくなったのか、ほぐしによる体積変化が大きかったのか、水分や安定液を含むことで管理単位が変わったのかを分けて確認できます。
複数本の杭がある場合は、杭1本当たりの発生量だけでなく、施工日ごとの数量へ集計すると実務で使いやすくなります。1日に2本施工する日と1本だけ施工する日では、仮置き量や搬出車両の必要量が異なるためです。
また、杭ごとの深さが異なる場合、平均深さだけで全杭を計算する方法は概算には使えても、日々の搬出計画には不向きです。施工順序が決まった段階で、実際に施工する杭番号ごとに孔径と深さを入れて土量を出しておくと、当日の判断がしやすくなります。
計算値と実際の残土量が合わない主な理由
孔径と深さを正しく入力しても、実際の発生量や搬出量と計算値に差が出ることがあります。その差をすぐに計算ミスと判断するのではなく、どの段階で差が発生したのかを確認することが大切です。
最初に確認したいのは掘削深さです。計画深度と実績深度が違えば、その分だけ掘削体積が変わります。支持層確認などによって掘削深さが変更された場合は、計画値のまま残土数量を管理しないようにします。
次に孔径です。設計径そのものを間違えている場合だけでなく、施工条件によって実際の孔形状が設計上の円筒から変化している可能性があります。孔壁が局所的に広がれば、実際に除去される地盤の量は増えます。
三つ目は掘削土のほぐれです。地中にある状態と掘削後に山積みした状態では、同じ土でも見掛け体積が変化します。仮置き直後と時間が経過した後でも状態が変わる場合があるため、比較するときは測定条件をそろえることが重要です。
四つ目は水分や安定液の影響です。高含水の掘削物では、体積と重量の関係が一般的な乾いた土とは異なります。建設汚泥として処理する場合は、未処理状態、脱水後、搬出時などで管理量が変わることもあるため、どの時点の量なのかを明確にします。
五つ目は測定方法の違いです。計算上は地山体積、現場では仮置き時の見掛け体積、搬出記録では重量というように基準が異なれば、数字が直接一致しないのは自然です。
六つ目は仮置き形状の測り方です。土砂を山積みにして体積を測る場合、単純な直方体ではありません。高さや外周形状、基準面の取り方によって体積結果が変わるため、同じ方法で継続的に測ることが比較には重要です。
計算値と実績値に差が出たときは、その差だけを記録するのではなく、孔径、深さ、地層、掘削方法、排出状態、仮置き量、搬出量、管理単位などを関連付けて残しておくと、次の杭の予測改善に使える情報になります。
掘削中に予測値を更新する現場管理の進め方
残土予測は施工前に一度作って終わりではありません。場所打ち杭を複数本施工するのであれば、施工実績を使って継続的に更新する方が実務的です。
施工開始前には、全杭について式1または式2を使い、理論掘削土量を算出します。この段階では設計数量を基準にします。
1本目の施工後には、実際の掘削深さと、同じ定義で記録した発生量または搬出量を確認します。計算値と実績値に差があった場合、すぐに一律の補正率を全杭へ適用するのではなく、その差が何によって生じたのかを確認します。
例えば掘削深さが計画より増えただけなら、深さを修正すれば説明できる可能性があります。一方、深さを修正しても差が大きいのであれば、余掘り、ほぐれ、含水状態、安定液の混入、測定基準の違いなどの影響を検討します。
2本目、3本目と施工実績が増えれば、同じ地盤条件でどの程度の差が繰り返されているか確認できます。同じ傾向が継続するのであれば、その現場特有の補正として後続杭の予測へ反映しやすくなります。
この方法の利点は、工事が進むほど残土予測の根拠が増えることです。施工前は設計図から推定していた数字が、施工中には実績データを反映した数字へ変わっていきます。
現場で即土量を知りたい場面では、この更新速度が重要です。掘削が完了してから数日後に数量を整理するのでは、翌日の搬出計画には間に合いません。できるだけ当日の掘削実績を当日中に反映し、次の施工予定と比較できる状態にしておくことが有効です。
また、杭番号と土量記録を対応させておくことも大切です。複数杭の発生物を一括で管理するだけでは、どの杭で誤差が大きかったのか追いにくくなります。杭ごとの理論値、実績深さ、予測量、実際の搬出量や処理量を関連付けると、原因分析が容易になります。
残土量を搬出計画へつなげるときの注意点
土量を計算する目的は、数字を出すこと自体ではなく、現場運営へ反映することです。
まず仮置き場所の余裕を確認します。計算上ぎりぎりの容量で計画すると、発生量が予測を上回ったときに施工動線を圧迫する可能性があります。特に杭施工と搬出の時間帯がずれる現場では、一時的に複数杭分を保管する可能性も考慮します。
次に搬出車両との関係です。車両の荷台容量が分かっていても、計算した残土体積をそのまま荷台容量で割れば必要台数が確定するとは限りません。実際の積載量は重量制限、土や泥状物の状態、荷姿などにも左右されるためです。
水分を多く含んだ発生物では、体積上は荷台に余裕があっても、重量側の制約が先に効くことがあります。そのため、体積計算だけで搬出台数を固定するのではなく、施工実績と積載実績を確認しながら運用する必要があります。
受入れ先や処理先の条件確認も重要です。建設発生土と建設汚泥では法令上の扱いが異なり、建設汚泥は産業廃棄物として適正な処理が必要です。現場で便宜的に残土と呼んでいても、その呼び方だけで処理区分は決まりません。発生物の性状、施工方法、関係法令、発注条件、処理先の受入れ条件を確認したうえで計画します。
また、残土量の予測値には、計画値、施工途中の更新値、確定した搬出実績という段階があります。これらを混ぜないように管理すると、工程会議などでも数字の意味を説明しやすくなります。
例えば翌日の搬出計画には予測値を使い、月間数量の整理には実績値を使うというように用途を分けます。予測と実績の差を残しておけば、その差自体が次回予測の改善材料になります。
現場計測を組み合わせて土量管理を効率化する
孔径と深さから計算する方法は、施工前から使える点が大きな利点です。一方で、施工後に仮置きした土砂などを実際に計測できれば、予測と実績の差を確認しやすくなります。
従来は、仮置きした土砂の長さ、幅、高さを測り、単純な形状に近似して体積を求める方法が使われることがあります。しかし土砂の山は不整形になりやすく、どこまでを測定範囲とするかによって結果が変化します。
そこで、不整形な仮置き土砂の形状を三次元的に記録し、一定の基準面に対する体積として把握できれば、孔径と深さから求めた計算値との比較がしやすくなります。ただし、泥状物や水分を多く含む材料では形状が変化しやすいため、測定時刻や基準面などの条件をそろえることが重要です。
重要なのは、設計値と現場計測のどちらか一方だけに頼らないことです。設計値からは施工前の予測ができ、現場計測からは施工後の実態を確認できます。両方を組み合わせることで、翌日以降の予測を修正できます。
例えば朝の段階では施工予定杭の孔径と深さからその日の発生量を予測します。掘削後には仮置き土砂などの量を同じ測定条件で確認し、夕方に予測との差を整理します。翌日はその結果を反映して、次の杭の見込み量を更新します。
このサイクルを繰り返すことで、設計上は何立方メートルかという管理から、この現場では実際にどの程度の発生量になるかという管理へ進められます。
位置情報と計測結果を関連付けて残しておけば、どの杭の施工に対応する記録なのかを追跡しやすくなります。杭番号、施工位置、施工日、掘削深さ、計算土量、計測土量などがつながると、単なる数量記録ではなく施工管理データとして利用できます。
現場で土量を確認するたびに事務所へ戻って複雑な計算をするのではなく、現場側で計測と記録を進められる仕組みを整えることも、作業効率を高めるポイントです。
まとめ|孔径と深さから残土量を早めに見える化する
場所打ち杭の残土量を予測するとき、最初の基準になるのは孔径と掘削深さです。
一定孔径の杭では、円柱として求める式1が基本です。孔径が途中で変わる場合には、式2で区間ごとの体積を積み上げます。設計径より実際の掘削範囲が広がる傾向を確認した場合には、式3で実効孔径を使って施工条件を反映します。そして、排出物を一般的なほぐし土として扱える場合には、式4で土量変化率Lを使い、地山体積からほぐした土量へ換算します。
この4段階を分けて考えることで、設計上の孔体積と搬出量を同じ数字として扱うことを避けられます。
ただし、場所打ち杭の掘削物は常に一般的な残土として扱えるわけではありません。安定液などを含み高含水で泥状となるものは、建設汚泥としての取扱いが必要になる場合があります。その場合は、一般土工のほぐれ係数を機械的に掛けるのではなく、発生物の区分と処理工程に合った体積または重量で管理します。
残土管理で大切なのは、最初から完全に一致する予測値を求めることではありません。施工前には図面から理論値を算出し、施工が始まったら同じ定義で実績を記録し、後続杭の予測を更新していくことです。
特に杭本数が多い現場では、最初の数本で得られた差を早めに分析することで、その後の仮置き計画や搬出計画を調整しやすくなります。
さらに、仮置きした土砂を現場で三次元的に計測できれば、孔径と深さから算出した理論土量と実際の量を比較しやすくなります。予測、計測、比較、補正という流れを現場で繰り返せるようにすると、土量管理を経験だけに頼らずデータとして残せます。
LRTK Phoneを活用して現場の位置情報や三次元計測結果を記録し、場所打ち杭ごとの施工情報と土量を関連付ければ、現場で即土量を確認しながら次の施工や搬出計画へつなげる運用を検討できます。