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十二条点検でEPS内の可燃物保管を防ぐ5チェック

建物の共用部を巡回していると、EPSの中に段ボール、紙袋、清掃用品、余った資材などが一時的に置かれていることがあります。最初は「あとで片付けるための仮置き」だったとしても、その状態が日常化すると、いつの間にかEPSが収納場所のように扱われることがあります。設備スペースは普段利用者の目に触れにくいため、管理側が意識して確認しなければ、物品が増えていることに気付きにくい場所です。

ここでいう十二条点検は、建築基準法第12条に基づく定期報告制度に関係する調査・検査を意識した管理上の確認を、分かりやすく表現したものです。定期報告の対象となる建築物や設備は、国が定める対象に加え、地域の実情に応じて特定行政庁が指定する場合があります。そのため、EPS内に可燃物があること自体を、すべての建築物で一律の独立した法定調査項目とみなすのは適切ではありません。実際の対象範囲や報告の要否は、その建物に適用される制度内容を確認する必要があります。国土交通省

一方、現行の建築物定期調査の調査結果表には、建築物内部について、常閉防火設備等の閉鎖または作動の障害となる物品の放置などを確認する項目があります。EPSの扉などが対象となる防火設備に該当する場合や、周辺の物品が防火設備の閉鎖・作動を妨げる場合には、十二条点検と関係する可能性があります。国土交通省

この記事では、十二条点検を控えた建物の所有者、管理会社、施設管理担当者などに向けて、EPS内の可燃物保管を防ぐために確認しておきたい5つのチェックを解説します。点検日の直前だけ物を移動するのではなく、日常管理としてEPSを物置化させない仕組みをつくることが目的です。

十二条点検でEPSを確認する前に押さえたい基本

EPSは、建物内の電気配線や関連設備などを収める設備スペースの呼称として使われます。ただし、建物によって名称、構成、用途、内部に収められている設備は異なります。そのため、「EPSならすべて同じ構造である」という前提で確認するのではなく、設計図書や管理資料などから、その建物での位置付けを把握しておくことが重要です。

また、EPS内の可燃物保管そのものが、建築基準法第12条に基づく定期調査で一律に独立した調査項目になっていると考えないことも大切です。定期報告制度では対象となる建築物や設備が定められており、特定行政庁が地域の実情に応じて対象や必要な項目を定める場合もあります。国土交通省

一方で、建築物内部の調査では、防火設備の設置状況や、常閉防火設備等の閉鎖・作動を妨げる物品の放置などが確認対象となる場合があります。したがって、EPSの扉が防火設備として位置付けられている場合や、EPS付近の物品がその機能を妨げている場合には、日常管理上の問題だけでなく、定期調査に関係する確認事項となり得ます。国土交通省+1

実務上の問題は、EPSが人目につきにくく、扉を閉めれば内部が見えなくなることです。共用廊下や階段のように常に利用者が通る場所であれば、段ボールなどが置かれれば比較的気付きやすい一方、EPSは設備担当者など限られた人しか開けないこともあり、一時的な仮置きが長期間そのまま残ることがあります。

たとえば設備工事の際に使った梱包材を「工事完了後に回収する予定」で置き、回収されないまま残る場合があります。清掃作業で使った消耗品を一時的に入れ、そのまま保管場所として定着することもあります。テナントや協力会社の担当者が、空いているスペースを収納場所として使えると誤認することも考えられます。

ここで重要なのは、EPSの中が整って見えるかどうかだけではありません。置かれている物の種類、量、位置を確認し、本来の設備スペースとしての管理や、設備の点検・操作、防火上必要な機能に支障を生じさせない状態を維持することが重要です。

したがって実務担当者は、「EPSに物が置かれているか」という単独の確認だけで終わらせず、扉、配線・配管、区画を構成する部分、点検作業のための空間など、周囲の状態と組み合わせて確認するとよいでしょう。防火区画や防火設備に該当するかどうかは建物ごとに異なるため、見た目だけで断定せず、設計図書や既存の調査記録などと照合することが大切です。

さらに、十二条点検のためだけに確認するという発想から離れることも大切です。定期調査の日に問題がなくても、その後ずっと同じ状態が続くとは限りません。点検後に物品が持ち込まれれば、次の巡回まで残る可能性があります。

そのため、十二条点検はEPSの管理状態を見直すきっかけとして利用し、日常巡回に確認項目を組み込むことが効果的です。月次巡回、設備点検、清掃確認、工事完了確認など、既存の管理業務の中にEPS確認を追加すれば、新しい業務を大幅に増やさずに状態を把握しやすくなります。

チェック1 EPSを物置として使っていないか

最初に確認したいのは、EPSそのものが実質的な物置になっていないかという点です。

可燃物だけを探そうとすると、「これは燃えやすい物か」という判断に意識が集中してしまいます。しかし、EPS管理では、そもそも本来の設備スペースに、管理上の必要性が確認されていない物品が継続的に置かれていないかを見ることが重要です。

EPSを開けたときに、本来設置されている設備とは別の物が床や隅に並んでいる場合は、その理由を確認します。一つだけだから問題ない、短期間だから大丈夫、とその場で判断して終えると、物品が少しずつ増える原因になります。

よくあるのが、「一時保管」という扱いです。

交換予定の部材、作業用資材、空箱、梱包材、清掃用品などを作業途中でEPSに置き、後日回収する運用です。一時的な仮置きが必要になる作業はありますが、終了期限や担当者が決まっていなければ、実質的には長期保管になりやすくなります。

確認時には、置かれている物だけではなく、「なぜここにあるのか」「誰が管理しているのか」「いつ撤去または移動するのか」が説明できる状態かを見ると、管理上の問題を発見しやすくなります。

特に注意したいのは、収納棚、箱、ケースなどが持ち込まれているケースです。

床に段ボールが一箱置かれている状態であれば、一時的な仮置きだと気付くかもしれません。しかし棚が設置され、複数の物品が分類して収納されていると、管理者側にも「ここは収納場所」という認識が生まれやすくなります。

物が整理されているから問題がないとは限りません。

むしろ設備スペースが体系的に倉庫化されていれば、日常的な保管が定着している可能性があります。EPS本来の用途と建物の管理方針を確認し、設備管理上の必要性が確認できない物品を常態的に残さない運用が望まれます。

また、床面だけでなく上部や設備の裏側も、無理なく目視できる範囲で確認します。配管や配線の陰、盤の横、扉から見えにくい奥側などは、細かな資材や紙袋が残ることがあります。ただし、充電部への接触などの危険が考えられる場所には手を入れず、専門担当者に確認を依頼します。

過去に工事を実施した階だけ物品が残っている場合もあります。一つのEPSで問題を見つけたら、その場所だけ片付けて終了せず、同じ工事や同じ管理方法が適用された他階のEPSも確認すると効率的です。

複数階にEPSがある建物では、階ごとに管理状態が違うこともあります。

低層階は頻繁に確認されている一方、高層階や利用頻度の低い階では物品が残っていることがあります。代表箇所だけを見るのではなく、建物全体で同じ管理ルールが運用されているかを把握することが大切です。

EPSの物置化を防ぐためには、「何を置いてはいけないか」を細かく列挙するだけでなく、建物の管理方針として「設備管理上必要と確認された物以外は原則として保管場所にしない」といった基本ルールを明確にすると運用しやすくなります。なお、設備上必要な物品の保管可否や方法は、設備の仕様、設計条件、社内基準などを踏まえて個別に判断します。

チェック2 段ボールや紙類などの可燃物が残っていないか

2つ目は、EPS内に可燃物となり得る物が残っていないかを確認することです。

現場で見つけやすいものとしては、段ボール、紙製の梱包材、取扱資料の束、紙袋、布類、樹脂製の包装材などがあります。設備交換や改修工事の後には、部材そのものより梱包材が残っていることもあります。

ここで注意したいのは、大きな段ボール箱だけを対象にしないことです。

小さな紙片、梱包用の緩衝材、袋、テープの芯、不要になった書類なども、少量ずつ残されることがあります。それぞれは小さくても、回収されない状態が続けば徐々に蓄積します。

また、「中身が設備部品だから問題ない」と外箱をそのまま残す運用にも注意が必要です。

予備部品を建物内に保管する必要がある場合でも、どこに、どのような方法で保管するかは別途決めておく必要があります。予備品だからEPSに置いてよい、という運用を慣例化すると、保管対象が次第に増える可能性があります。

清掃用品も確認対象です。

雑巾、紙製品、袋類、清掃資材などが「すぐ使えるから」という理由で設備スペースに置かれていないか確認します。清掃担当者にとって便利な場所であっても、その場所が正式な保管場所として設定されているとは限りません。

工事関係者が残した資材についても同様です。

ケーブルの梱包材、養生用品、余材、作業用品などが残っている場合は、工事完了時の確認方法を見直す必要があります。作業員が撤去したつもりでも、EPSの奥まで完了確認をしていなければ、小さな資材が残ることがあります。

そこで有効なのが、工事完了時に「施工部分が完成しているか」だけではなく、「不要物が撤去されているか」まで確認する運用です。

設備工事では施工品質の確認に意識が集中しがちですが、工事後の残置物確認を完了条件に含めることで、EPS内への不要物の残留を防ぎやすくなります。

確認時には、物品の種類とともに位置も見ます。

同じ段ボールでも、設備から離れた場所に一時的に置かれている状態と、盤や配線、扉などに接するように詰め込まれている状態では、管理上の懸念が異なります。

ただし、「設備から何センチ離れていれば保管してよい」と独自の数値だけで判断するのは避けた方がよいでしょう。必要な離隔や作業空間は、設備の種類、仕様、設計条件、保守要領などによって異なる可能性があるためです。

まず不要物を置かないことを基本方針とし、設備上必要な物については設計図書、保守要領、建物の管理基準などを確認するという順序が分かりやすいでしょう。

さらに、可燃物だけを取り除いて、金属製品や不燃性と思われる物品を残す対応にも注意が必要です。

十二条点検との関係では、防火設備の閉鎖・作動を妨げる物品は、その材質が可燃か不燃かだけで評価されるものではありません。現行の調査結果表でも、常閉防火設備等の閉鎖または作動の障害となる物品の放置などが確認項目として示されています。国土交通省

また、日常管理の観点でも、物品によって扉の開閉、設備の確認、点検作業などが妨げられていれば、別の問題につながる可能性があります。

そのため2つ目のチェックでは可燃物を重点的に確認しつつ、不要物全体の撤去や適切な保管場所への移動につなげることが重要です。

チェック3 扉や防火区画の機能を物品が妨げていないか

3つ目は、EPS内やその周辺の物品が、扉や防火区画などの機能に支障を生じさせていないかを確認することです。

この視点は、EPS内の可燃物を単なる整理整頓の問題として終わらせないために重要です。建築物定期調査の現行の調査結果表では、常閉防火設備等の閉鎖・作動の状況や、その障害となる物品の放置などが調査項目に含まれています。国土交通省+1

ただし、すべてのEPS扉を一律に同じ種類の防火設備として扱うことはできません。

建物ごとに設計や区画の構成が異なるため、EPSの扉が防火設備に該当するか、どの区画を構成しているか、定期調査や防火設備定期検査のどの項目に関係するかは、設計図書、既存の報告書、設備資料などを確認し、必要に応じて資格者へ確認します。

現場でまず確認しやすいのは、扉の開閉範囲です。

EPSの中に物を詰め込み過ぎると、内部の物品が扉に接触し、正常に閉まらなくなることがあります。物が扉から離れているように見えても、倒れたり移動したりすれば閉鎖範囲に入り込む可能性があります。

扉付近に資材を立て掛けている状態にも注意が必要です。

細長い部材や清掃用品などは場所を取らないため、壁際に立てて保管されることがあります。しかし、倒れた際に扉や設備の操作を妨げるおそれがあります。

EPSの外側も確認します。

内部だけを片付けても、扉の前に台車、清掃用品、廃材、荷物などが置かれていれば、点検や設備確認の妨げになります。日常巡回では「EPSの中」と「扉の前」を一つの確認範囲として扱うと見落としを減らせます。

次に確認したいのが、壁や床、天井などを配線や配管が貫通している部分です。

設備スペースでは、配線や配管を各階へ通すために区画を貫通する部分が設けられている場合があります。日常巡回では、物品を撤去した後に、周囲に目立つ隙間、破損、脱落などがないか、無理なく確認できる範囲で見ておくとよいでしょう。

ただし、見えている隙間が法令上不適合なのか、防火処理の施工が適切かどうかを外観だけで確定することは難しい場合があります。

使用材料や認定条件、施工方法が外から分からないこともあるため、異常が疑われる場合には写真と位置を記録し、設計資料や施工記録を確認したうえで、資格者や専門業者へ確認することが安全です。

設備周辺に物を置くことで、異常の発見が遅れることにも注意が必要です。

EPS内が物で埋まっていると、壁面の変色、漏水跡、設備の破損、配線周辺の異常などが見えにくくなります。可燃物や不要物を撤去することは、整理整頓だけでなく、設備状態を目視しやすい空間を保つ意味もあります。

さらに、EPSに電気設備が収められている場合、管理担当者が不用意に設備へ触れることは避けます。

点検のために物品を移動するときも、充電部への接触のおそれがある場所や専門知識を必要とする設備には無理に手を入れず、必要に応じて設備担当者へ対応を依頼します。

「片付けるために設備の奥へ手を伸ばす」という行為そのものが危険になる場合があるからです。

したがって3つ目のチェックでは、物品の有無だけではなく、扉、区画を構成する部分、設備、点検空間までを一体として見ることがポイントです。ただし法定調査上の判定は、対象建築物や対象設備、告示、特定行政庁の定めなどに基づいて資格者が行うものであり、日常巡回の目視確認だけで適否を断定しないようにします。

チェック4 保管禁止の管理ルールが現場で機能しているか

4つ目は、EPSを物置にしないための管理ルールが、書類上だけではなく現場で機能しているかを確認することです。

EPSの可燃物を一度すべて撤去しても、管理方法が変わらなければ再び物が置かれる可能性があります。

再発防止には、「置いてはいけない」という注意だけでは不十分です。誰が確認し、誰が片付け、誰が再確認するかまで決めておくと運用しやすくなります。

まず確認したいのが、EPSを開ける可能性のある関係者です。

建物管理担当者だけでなく、設備保守担当者、清掃担当者、工事会社、テナント関係者など複数の人が関与している場合があります。管理会社内でルールを決めていても、協力会社に共有されていなければ、工事後に資材が置かれる可能性があります。

特に工事が頻繁に行われる建物では、作業ルールにEPS内の残置物確認を含めると効果的です。

工事開始時に「EPSを恒常的な資材置場として使用しない」、完了時に「梱包材や不要な余材を残さない」といった基本方針を伝え、引き渡し確認でも見るようにします。作業上、一時的に物品を置く必要がある場合は、置ける範囲、管理者、撤去時刻などを明確にし、防火設備や電気設備の機能を妨げないようにします。

次に、現場表示を確認します。

EPSの扉や内部に保管禁止を示す表示を行う方法があります。ただし、表示を付ければ管理が完成するわけではありません。

古くなって読めない表示、物陰に隠れている表示、意味が曖昧な表示では効果が低下します。

また、単に「物を置かないでください」と書くだけでは、誰の管理ルールなのか、どこまでが対象なのかが伝わりにくい場合があります。建物の管理ルールとして継続的に運用し、巡回時に実際の状態を確認することが重要です。

鍵の管理も関係します。

EPSが施錠管理されている場合、アクセスできる人を把握しやすくなりますが、鍵を持つ人が多過ぎれば原因追跡が難しくなることがあります。

一方、鍵を厳重に管理し過ぎると、必要な設備点検や緊急対応に支障を生じる可能性があります。

重要なのは、建物の管理方針に合わせて、必要な担当者が適切にアクセスでき、不要な利用を防ぎやすい状態にすることです。

さらに、物を撤去した後の「行き先」まで考える必要があります。

EPSから清掃用品を撤去するよう指示しても、正式な保管場所がなければ、担当者は別のEPSや設備室へ移すだけかもしれません。それでは問題の場所を移動したにすぎません。

再発防止には、必要な備品には正式な保管場所を決め、不要物は廃棄や回収の手続きを進めることが大切です。

余った設備部材など、すぐに廃棄できない物についても同様です。

資産管理上保存が必要なのか、将来交換用として保管するのか、不要なのかを判断し、保管が必要であれば、その物品を保管できる場所へ移します。

「捨ててよいか分からないからEPSに置いておく」という状態をなくすことが、物置化防止につながります。

管理ルールが機能しているかを見る方法の一つは、数か月前のEPS写真と現在の写真を比較することです。

前回何もなかった場所に箱が増えていれば、いつ頃から持ち込まれたかを追う手掛かりになります。反対に、毎回不要物のない状態が維持できていれば、現在の運用が一定程度機能していると判断する材料になります。

十二条点検前だけ徹底的に整理するのではなく、平常時に同じ状態を維持することが重要です。

チェック5 写真と是正履歴を残して再発を確認できているか

5つ目は、EPSの確認結果を記録し、是正後の状態まで追跡できているかです。

現場を巡回してその場で段ボールを一箱撤去しただけでは、「いつ、どこで、何が見つかり、どのように対応したか」が後から分からなくなります。

同じ場所に何度も物品が置かれていても、担当者が変われば繰り返し発生している問題だと気付けないことがあります。

そこで役立つのが写真記録です。

EPSの扉を開けた全景を撮影し、物品がある場合は位置関係が分かるように記録します。撤去後も同じ方向から撮影すると、是正前後を比較しやすくなります。

写真は接写だけにしないことがポイントです。

段ボールだけを大きく撮影すると、どこのEPSなのか、扉や設備とどのような位置関係だったのかが分かりません。

まず全景を残し、必要に応じて異常箇所を近くから記録すると、後から状況を把握しやすくなります。

建物内にEPSが多数ある場合は、写真だけで管理すると場所が分からなくなるため、階、位置、管理番号などと関連付けます。

「3階EPS」「東側EPS」のような表現でも建物内で一意に識別できれば利用できますが、似た設備スペースが複数ある場合は管理番号を設定すると便利です。

記録する内容は、発見日、場所、確認者、物品の概要、対応状況、再確認日などが中心になります。

ここで重要なのは、指摘を登録するだけで終わらせないことです。

たとえば「段ボールあり」という記録を残した場合、その後に「撤去済み」まで確認しなければ、対応が完了したか分かりません。

さらに、同じEPSで繰り返し発生していないかを見るため、次回巡回時に過去の指摘を確認します。

同じ場所に可燃物が戻っていれば、単純な撤去では解決できていないことが分かります。この場合は、誰が置いているのか、なぜそこを保管場所として使うのかという原因を調べ、運用そのものを変える必要があります。

写真記録は十二条点検前の情報整理にも利用できます。

前回の調査後から現在まで、どのような状態変化があったかを振り返ることができるからです。過去に指摘されたEPSがあれば、優先的に再確認することもできます。

現場記録を効率化する方法として、写真や場所情報を扱える機器・システムを利用する方法もあります。

ただし、EPSの多くは屋内にあり、衛星測位による位置情報を安定して取得できない場合があります。そのため、EPS番号、階数、図面上の位置などと組み合わせることが重要です。

位置情報だけに頼るのではなく、「建物名、階、設備番号、写真」という複数の情報を紐付けておくと、後日でも確認場所を特定しやすくなります。

十二条点検前の巡回で見落としを減らす方法

十二条点検を予定している場合は、調査当日に初めてEPSを開けるのではなく、事前巡回を行っておくと管理上の問題を把握しやすくなります。

事前巡回の目的は、法定調査の代わりを行うことではありません。

建物管理者として日常的な管理状態を整理し、明らかな残置物や管理上の不備を事前に確認することです。法定調査としての判定や、専門的な確認が必要な部分は、資格者や関係業者に確認する前提で進めます。

巡回では建物を一定の順序で回ると抜けを防ぎやすくなります。

たとえば最上階から下階へ順に確認する、図面上の設備番号順に確認するなど、毎回同じ順序にします。担当者の記憶だけに任せると、似た場所を二度確認し、別の場所を飛ばしてしまうことがあります。

EPSを開けたら、まず内部全体を見ます。

物品の有無だけではなく、以前より物が増えていないか、扉の周囲に物がないか、設備の前が塞がれていないかなどを確認します。

この時点で専門的な設備の分解や操作をする必要はありません。

異常が疑われる部分を無理に触るのではなく、位置と状態を記録して担当部署へつなぎます。

可燃物が見つかった場合も、その場で何でも廃棄しないことが重要です。

管理上必要な予備品や他部署の管理物が混在している可能性があります。所有者や管理担当を確認したうえで、不要物であれば撤去し、必要物であれば適切な保管場所へ移動します。

事前巡回で大量の物品が見つかった場合は、なぜEPSが収納場所になったかを確認します。

保管場所が不足している、工事完了確認が行われていない、清掃用品置場として慣例的に使われているなど、背景に別の管理課題があることがあります。

原因を解消せずに点検前だけ撤去すると、しばらくして元に戻る可能性があります。

また、複数のEPSで同種の問題が見つかった場合は、一件ずつ個別の問題として扱わない方がよいでしょう。

たとえば全階で同じ清掃用品が置かれていれば、特定の担当者の単発のミスではなく、建物全体の清掃運用としてEPSを保管場所にしている可能性があります。

この場合は、清掃業務の管理方法や保管場所の指定を見直す必要があります。

一方、一つの階だけ工事用段ボールが残っていれば、直近の工事に関連している可能性があります。工事会社への完了確認方法を見直すことで再発防止につなげられます。

このように、EPSの状態は単なる整理整頓の問題だけではなく、建物管理の運用状態を見直す手掛かりとして見ることができます。

EPS内で可燃物を見つけた場合の是正方法

EPS内に可燃物を見つけたら、まずその物品が何か、誰の管理物かを確認します。

明らかなごみであれば撤去しやすい一方、設備の予備部材や工事途中の資材などは、担当者へ確認せずに処分すると別の問題が生じる可能性があります。

そのため、発見した時点で写真を残し、管理担当者へ共有したうえで対応します。

撤去先を決めることも重要です。

EPSから出した段ボールを隣の機械室へ移しただけでは、建物全体として問題を解決したことにはなりません。廃棄する物、返却する物、正式な倉庫などへ移す物を分けて対応します。

対応期限も明確にします。

「今度片付ける」という曖昧な指示では、次回巡回でも同じ状態が残る可能性があります。発見時に担当者と期限を決め、期限後に再確認します。

物品を撤去した後は、設備や周囲の状態も見える範囲で確認します。

物に隠れていた壁面、床面、扉周辺などに異常がないかを確認し、気になる状態があれば記録します。

たとえば物品を移動したことで、壁面の変色や設備周辺の損傷が初めて見える場合があります。

ただし、設備に異常が疑われる場合は自己判断で分解や補修を行わず、必要な専門担当者へつなぎます。

防火区画の貫通部などについても同様です。

隙間のように見えるからといって、管理担当者が手近な材料で埋めるような対応は避けます。必要な性能、認定条件、施工方法などの確認が必要になる場合があるため、既存資料を確認し、必要に応じて資格者や専門業者の判断を受けて是正します。

是正後は写真を撮ります。

この一手間があることで、「撤去を依頼した」という記録ではなく、「撤去後の状態まで確認した」という履歴にできます。

さらに次回巡回時にもう一度確認すれば、再発の有無も分かります。

同じ場所で再発した場合は、注意表示を増やすだけでは不十分かもしれません。

鍵管理、工事管理、清掃業務、備品保管場所など、物品が持ち込まれる経路そのものを見直します。

是正とは、目の前の段ボールをなくすことだけではありません。

同じ状態を繰り返さない仕組みまで整えて初めて、建物管理として意味のある対応になります。

十二条点検と日常管理をつなげる記録の考え方

十二条点検として扱われる定期調査・検査は所定の時期に行われますが、建物の状態は調査と調査の間にも変化します。

EPSの可燃物保管は、その変化が起こり得る例です。

前回の点検時には何も置かれていなかったとしても、その後の工事、清掃、テナント入れ替えなどをきっかけに物品が持ち込まれる可能性があります。

だからこそ、法定の定期報告と日常管理を完全に切り離して扱わず、必要な情報をつなげることが重要です。

十二条点検で指摘や助言があった場所は、日常巡回の重点確認箇所にします。

逆に、日常巡回で何度も問題が発生しているEPSがあれば、定期調査の際にその履歴を確認できるよう整理しておくと、現場状況を説明しやすくなります。

過去の記録は、改善の効果を評価する材料にもなります。

たとえば以前は毎月のように段ボールが見つかっていたEPSで、保管場所の見直し後に再発しなくなれば、対策が機能していると考える材料になります。

一方、表示を付けても再発している場合は、別の対策が必要です。

こうした管理を紙の台帳だけで行うこともできますが、写真が増えると整理が難しくなります。

そこで、現場写真と場所情報を関連付けて記録できる仕組みを整えると便利です。

大切なのは、記録方法そのものを複雑にし過ぎないことです。

現場担当者が毎回大量の入力を求められる仕組みにすると、次第に記録されなくなるおそれがあります。

最低限、場所、日付、状態、写真、対応状況が追えるようにし、建物の規模に合わせて必要な情報を追加する方が継続しやすくなります。

写真の撮影方向もある程度統一します。

同じEPSを毎回違う角度から撮影すると、物品が増えたのか、単に見え方が違うのか分かりにくくなります。

入口から全景を一枚、その後必要な異常箇所を追加で撮るというように撮影方法を決めておくと比較しやすくなります。

複数棟を管理する担当者にとっては、建物名の記録も重要です。

「5階EPS」という情報だけでは、後日どの建物か分からなくなる可能性があります。建物、階、位置、設備番号を組み合わせれば、大量の写真からでも確認場所を探しやすくなります。

現場写真を位置と結び付けて整理する用途では、LRTK Phoneのような現場記録に活用する機器・仕組みを運用に取り入れる方法も考えられます。

ただしEPSは屋内にあるため、衛星測位だけで位置を確定する運用には向かない場合があります。屋外で取得できる位置情報、建物図面、階数、設備番号、撮影写真などを組み合わせ、どのEPSの記録なのかを明確にしておくことが重要です。

記録を残す目的は、写真を大量に保存することではありません。

「前回どうだったか」「誰が対応したか」「直ったか」「再発したか」を後から確認できるようにすることです。

この考え方を徹底すると、十二条点検前に毎回ゼロから現場確認を始める必要がなくなります。

まとめ

十二条点検を前にEPSを確認するときは、単に「燃えそうな物があるか」を見るだけでは十分ではありません。

まずEPSが物置として使われていないかを確認し、段ボールや紙類などの可燃物、不要な梱包材、清掃用品、工事資材などが残っていないかを見ます。

次に、物品が扉の開閉や設備の点検、さらにその扉が防火設備に該当する場合には閉鎖・作動などを妨げていないかを確認します。現行の建築物定期調査の調査結果表にも、常閉防火設備等の閉鎖または作動の障害となる物品の放置などを確認する項目があります。国土交通省

ただし、EPS内の可燃物保管そのものが、すべての建築物で一律に独立した十二条点検の調査項目になるわけではありません。定期報告の対象となる建築物や設備は法令上の区分や特定行政庁の指定などによって異なり、EPS扉の位置付けも建物ごとに異なります。国土交通省

さらに重要なのが、撤去後の再発防止です。

保管禁止の表示だけに頼らず、誰がEPSへ出入りするのか、工事後に誰が残置物を確認するのか、必要な備品をどこに保管するのかまで決めておく必要があります。

最後に写真と是正履歴を残し、次回巡回で再発していないことを確認します。

十二条点検は、調査当日だけ建物を整えるためのものと考えるのではなく、定期報告をきっかけに、普段見えにくい設備スペースの管理方法を見直し、日常の巡回へつなげることが大切です。

なお、十二条点検の具体的な対象、調査・検査方法、報告時期などは、建物の用途や規模、設備、特定行政庁による指定などによって異なります。国土交通省も、国が一律に定める対象のほか、地域の実情に応じて特定行政庁が報告対象を定めることができるとしています。実際の報告や判定については、その建物に適用される最新の制度内容を確認し、必要に応じて資格者や所管窓口へ確認してください。国土交通省

EPSのように建物内へ複数設けられている設備スペースを継続的に管理するには、点検結果を「見た、片付けた」で終わらせず、場所と写真を結び付けて履歴化することが重要です。屋外を含む建物周辺の確認や現場記録まで一元的に扱いたい場合は、LRTK Phoneなどを含む現場記録の仕組みを活用し、位置情報だけに依存せず、図面、階数、設備番号、写真を組み合わせた記録方法を検討すると、次回確認時に過去の状態を追いやすくなります。

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