施工範囲外へ流出した土砂を切土量から除く必要性
造成工事や道路工事、法面整形、施工ヤード造成などでは、着工前の地形と施工後の地形を比較し、切土量と盛土量を計算します。しかし、降雨や排水不良、仮設法面の崩れ、掘削土の仮置き方法などが原因で、土砂が施工範囲外へ流出することがあります。
この流出土砂が計測範囲に含まれたまま体積計算を行うと、本来の施工によって発生した切土量と、自然流出や崩落によって移動した土量が混在します。その結果、施工実績として報告する切土量が過大になったり、残土搬出量や盛土利用量との収支が合わなくなったりする可能性があります。
切土量は、一般に施工前地盤と計画地盤、または施工前地盤と出来形地盤の高低差を、定められた施工範囲内で積算して求めます。したがって、施工範囲外の地形変化まで一括して切土量へ含めると、設計数量や契約数量と比較する前提が崩れてしまいます。
一方で、施工範囲外へ移動した土砂をすべて機械的に除けばよいわけではありません。工事の施工方法によって意図的に掘削して搬出した土砂、施工上必要な取り合い部の掘削、設計変更で追加された範囲などは、施工範囲外に見えても実績土量へ含める場合があります。どこまでを切土量として扱うかは、設計図書、数量算出条件、契約上の施工範囲、変更指示、出来形管理方法などを確認して決める必要があります。
重要なのは、流出した場所だけを見て判断するのではなく、どの範囲から、いつ、どの原因で、どれだけの土砂が移動したかを記録し、切土量の算定範囲と分けて説明できるようにすることです。施工範囲、計測時期、算定方法、控除量、承認履歴がつながっていれば、切土・盛土の体積計算に差異が生じたときも原因を追跡しやすくなります。
管理方法1 施工範囲と体積算定の基準面を固定する
流出土砂を切土量から正確に除くには、最初に施工範囲と体積算定の基準を固定しておく必要があります。施工範囲が曖昧なまま計測すると、担当者ごとに境界線の引き方が変わり、同じ地形データを使っても異なる切土量が算出されます。
まず、平面図、施工計画図、用地境界図、丁張位置、法肩線、法尻線、構造物位置などを確認し、切土量を集計する対象範囲を平面上の閉じた領域として定義します。単に現場全体を囲うのではなく、工区、施工段階、測点区間、土工区分など、実績管理に必要な単位へ分けておくことが大切です。
道路土工であれば測点ごとの区間、造成工事であれば街区や施工ブロック、法面工事であれば法面番号や施工段階などに分けると、流出が発生した部分だけを切り分けやすくなります。広い範囲を一つの集計領域にすると、施工範囲外の地形変化や仮置き土、排水路内の堆積土まで混ざりやすくなります。
次に、体積計算に使用する基準面を明確にします。設計切土量を求める場合は、施工前地盤面と計画地盤面の差を使用します。実績切土量を求める場合は、施工前地盤面と施工後の出来形面を比較する方法があります。ただし、施工途中で流出が起きた場合、施工後の地形だけを使うと、機械掘削による変化と流出による変化を区別できないことがあります。
そのため、施工前、流出発生前、流出発生後、復旧後、完成時というように、地形データを時系列で保存する管理が有効です。流出直前の計測がない場合でも、直近の定期計測結果を保存していれば、流出した期間と影響範囲を絞り込めます。
施工境界は、現場の目印だけでなく座標データとして管理することが重要です。木杭、カラーコーン、仮囲いなどは移動や損傷が起こり得ます。境界点の座標、測点番号、標高、撮影方向、設置日を記録しておけば、現地の目印が失われても計測データ上で施工範囲を再現できます。
また、施工範囲外へ流出した土砂を除くための除外領域も、平面上の領域として登録します。流出元の侵食部、法面崩落部、排水経路、施工区域外の堆積部などを別々に囲い、切土量の集計領域と重ならないようにします。
境界線を引く際には、流出後の地形だけを見て決めないことが重要です。流出によって法肩や法尻の形が変わっている場合、現在の形状を境界にすると、もともとの施工範囲まで除外してしまう可能性があります。施工前の図面、着工前測量、丁張記録、位置情報付き写真を照合し、本来の施工境界を復元したうえで除外範囲を設定します。
算定範囲と基準面を固定することで、流出土砂を除く処理が担当者の感覚ではなく、同じ条件で再計算できる管理になります。後から設計変更や範囲変更が発生した場合も、旧範囲と新範囲を別の版として保存すれば、変更前後の数量差を説明できます。
管理方法2 流出前後の地形を計測して変化量を分離する
施工範囲外へ流出した土砂の量を把握するには、流出前後の地形差分を計測し、施工による掘削量と流出による変化量を分離します。目視や写真だけでは、土砂が薄く広く流れた場合や、植生、凹凸、水分などによって形状が分かりにくい場合に、体積を客観的に算定することが困難です。
地形計測では、横断測量、格子点測量、三次元点群計測などを現場条件に応じて使います。線状の道路工事では横断測量が管理しやすく、一定間隔の断面積から平均断面法などで体積を求められます。面的な造成地や複雑な法面では、地表面を面的に取得し、三角形網や格子面を作成して差分体積を計算する方法が適しています。
流出量を分離する基本は、流出発生前の地形面と流出発生後の地形面を同じ座標系、同じ高さ基準、同じ計測範囲で比較することです。計測条件が異なると、実際には地形が変化していない場所にも差分が発生し、流出量を過大または過小に算定する原因となります。
施工中の掘削と流出が同じ期間に起きた場合は、区域を分けて考えます。重機が掘削した施工面、流出によって侵食された区域、流出土が堆積した区域を別々の領域として抽出します。施工日報、重機稼働記録、作業範囲の写真などを照合すると、地形差分のうち施工による変化と自然流出による変化を判断しやすくなります。
たとえば、施工範囲内の法面から施工範囲外へ土砂が流れ出した場合、流出元では地盤が低下し、堆積先では地盤が上昇します。流出元の地盤低下をそのまま切土として集計すると、重機で掘削していない土量まで実績切土量に含まれます。この場合は、流出元の差分体積を侵食量として別集計し、切土実績から除く処理が必要です。
ただし、流出元の低下量と堆積先の増加量は、必ずしも同じ体積になりません。土砂は移動によってほぐれ、空隙が増えたり、水分を含んだり、細粒分が排水とともに流れたりします。施工範囲外へ広く薄く堆積すると、全量を計測できないこともあります。そのため、流出元で求めた地山状態の体積と、堆積先で求めたほぐれた状態の体積を直接比較して、一致しないことだけを理由に計測誤りと判断しないようにします。
流出量を切土量から控除する場合は、どの状態の体積を切土量の基準としているかを合わせます。切土量が地山状態の体積で管理されているなら、流出元の侵食体積も地山状態で算定するのが分かりやすい方法です。堆積土の運搬量から逆算する場合は、土質や含水状態に応じた換算条件を確認し、ほぐれた体積をそのまま地山体積として扱わないようにします。
定期的な地形計測を実施していれば、流出が発生した期間を細かく区切れます。着工前と完成時の二時点だけでは、その間に行われた施工、仮置き、崩落、復旧、再掘削がすべて一つの差分に含まれます。週次、施工段階ごと、降雨前後などの節目で計測しておくと、土量差異が発生した工程を特定しやすくなります。
管理方法3 流出経路と堆積先を記録して二重計上を防ぐ
流出土砂の管理では、流出元の体積だけでなく、流出経路と堆積先を記録することが重要です。流出元で侵食量を控除した後、施工範囲外に堆積した土砂を回収し、残土搬出量や再利用土量として計上すると、同じ土砂が異なる項目で重複して扱われる可能性があります。
流出が確認されたら、発生箇所、発見日時、直前の天候、施工状況、排水状況、流出方向、堆積範囲、周辺への影響を記録します。位置情報付きの写真を残す場合は、流出元、途中の流路、堆積先を連続して撮影し、写真だけを見ても土砂の移動関係が分かるようにします。
流出経路の記録は、単に事故記録を残すためだけではありません。堆積先で計測した土砂が、どの切土区画から移動したものかをひも付ける役割があります。複数の法面や施工ブロックから同じ排水路へ土砂が流れ込んだ場合、流出元を特定できなければ、工区別の切土量や土量収支へ正しく反映できません。
堆積先では、施工範囲内か施工範囲外かを確認します。施工範囲外に堆積した土砂を回収せず、その場で復旧処理する場合は、切土量とは別に流出土砂量として管理します。回収して施工範囲内の盛土へ再利用する場合は、流出量を切土実績から除いたうえで、再利用土量として別途記録します。場外搬出する場合は、流出土砂の回収量と残土搬出量をひも付け、通常の掘削土と区別します。
流出元、堆積先、回収量の三つをつなげておくと、切土・盛土・搬出の収支を確認できます。たとえば、施工による切土が千立方メートル、流出による侵食が五十立方メートル、盛土利用が六百立方メートル、場外搬出が四百立方メートルだった場合、流出分を切土へ含めると、実績切土と利用先の合計が一致しなくなります。流出分を別区分にしておけば、どこで差が生じたかを説明しやすくなります。
実際の土量収支では、地山、ほぐし、締固め後という土の状態が異なるため、単純な足し引きだけでは一致しない場合があります。それでも、同じ土砂を切土量、回収量、搬出量へ重複して計上しない管理は必要です。各数量に体積状態、計測方法、計測日、適用した換算条件を記録しておけば、数量差の原因を検証できます。
また、堆積先が隣接地、道路、水路、調整池などの場合は、復旧前の記録を優先します。安全確保や第三者影響の防止のため、土砂を早急に撤去しなければならないことがありますが、撤去後に流出範囲を正確に復元するのは困難です。安全措置を妨げない範囲で、全景写真、代表点の座標、堆積厚、延長、幅などを記録してから撤去作業へ移ります。
流出経路と堆積先が記録されていれば、流出土砂を切土量から除く根拠だけでなく、再発防止策の検討にも利用できます。排水が集中した位置、土砂が越流した場所、堆積が拡大した地形条件を把握し、仮排水や土留めの配置を見直せます。
管理方法4 切土量台帳に控除量と算定根拠をひも付ける
流出量を計測しても、切土量の集計表へ反映する過程が曖昧であれば、控除漏れや二重控除が起こります。そこで、切土量台帳の中に流出土砂の控除項目を設け、元の算定値、控除量、控除後の確定値、根拠資料を一つの流れで管理します。
台帳では、工区、測点区間、施工ブロック、土質区分、計測期間など、切土量を集計する単位を統一します。流出量だけを現場全体で一括控除すると、どの区画の切土量が減ったのか分からなくなり、設計数量との比較や出来高管理が難しくなります。流出元の区画へ控除量を割り当て、該当する施工実績から差し引きます。
計算の基本形は、地形差分などで求めた総地盤低下量から、施工以外の原因による地盤低下量を除き、対象期間の実績切土量を確定する方法です。施工範囲内で重機掘削した量と流出による侵食量が混在している場合は、総差分量をそのまま切土量とせず、区域分けまたは時系列比較によって流出分を分離します。
台帳には、流出発生日、発見日、計測日、対象範囲、流出原因の区分、控除量、算定方法、使用した地形データ、担当者、確認者、承認状況を残します。写真や点群、横断図、計算書などの根拠資料には識別番号を付け、台帳の控除項目から参照できる状態にします。
算定方法を記録する際は、「点群で計算」「測量結果から算出」といった短い表現だけでは不十分です。使用した施工前面と施工後面、計算領域、格子間隔や断面間隔、除外条件、体積の状態、丸め処理などを記載します。同じデータから再計算する際に、担当者が変わっても同じ結果へ近づけることが目的です。
控除量を修正した場合は、以前の値を上書きして消さず、変更履歴を残します。初回計測では四十立方メートルと算定し、追加計測で四十五立方メートルへ変更した場合、変更前後の値、変更理由、承認日を記録します。上書きだけでは、月次報告と完成時集計の数値が異なった理由を説明できません。
流出土砂を回収して場外搬出した場合は、切土量台帳と搬出台帳を直接混在させず、共通の流出管理番号で関連付けます。切土量から控除した体積と、運搬車両で搬出した体積は、土の状態や計測方法が異なるため、数値が完全に一致するとは限りません。別々の数量として保持しながら、同じ流出事象に属する記録であることを示します。
施工範囲や計画面が変更された場合も、流出控除と設計変更を分けて管理します。計画変更によって切土量が増減したのか、流出控除によって実績量が減ったのかを区別しなければ、設計数量との差異理由が不明確になります。変更設計数量、施工差分、流出控除、その他の調整量を別項目として記録することで、最終数量の構成を説明できます。
管理方法5 関係者の確認と締め処理で確定値を管理する
流出土砂の控除は、計測担当者だけで確定させるのではなく、施工管理、測量、品質管理、発注者側の確認担当者など、必要な関係者が同じ資料を確認できる手順を設けます。流出範囲や原因の判断には現場状況が関係するため、数値だけを後から共有しても合意形成が難しくなることがあります。
流出を確認した時点で、まず暫定範囲と暫定量を記録します。この段階では、安全確保や復旧を優先し、正確な体積計算が完了していない場合があります。そのため、暫定値と確定値を区別し、月次集計や出来高報告へどちらを使用したかが分かるようにします。
その後、地形計測、写真整理、施工記録との照合、流出範囲の確定、体積計算を行い、控除量を確定します。確認時には、施工範囲、比較した地形面、除外領域、算定式、換算条件、計測誤差の可能性をまとめた資料を用意します。結果の数値だけでなく、どの範囲をなぜ除いたのかを平面図や断面図で示すと、関係者間の認識を合わせやすくなります。
月次締めを行う場合は、締め日までに発生した流出事象のうち、確定済みと未確定のものを分けます。未確定量を推定値のまま実績切土量から控除すると、翌月の再計算で大きな修正が発生する可能性があります。暫定控除を行う場合は、その旨と推定根拠を明示し、確定後に差額を調整します。
一度締めた切土量を修正する場合は、元データを直接書き換えるのではなく、修正伝票や変更履歴に相当する記録を追加します。修正前の切土量、追加の控除量、修正後の切土量、修正理由、確認者、反映日を残せば、過去の報告値と現在の確定値が異なる理由を追跡できます。
また、流出量の控除基準を現場内で統一します。小規模な表面流亡をすべて個別計測するのか、一定の範囲や影響がある事象を対象とするのか、日常的な整形作業に含まれる変化をどのように扱うのかを事前に決めます。ただし、管理上の基準は契約条件や出来形管理の要求より優先されるものではありません。提出数量に影響する場合は、関係者と協議して処理方法を決定します。
確認と締め処理を設ける目的は、控除を複雑にすることではなく、確定した数量と未確定の数量を混在させないことです。誰が、どの資料を確認し、どの時点で実績へ反映したかが明確であれば、完成時の数量精算や監査対応でも説明しやすくなります。
切土・盛土の体積計算で流出土砂を扱う実務手順
施工範囲外への土砂流出が発生した場合は、最初に現場の安全を確認し、追加流出を防ぐ措置を行います。斜面の不安定化、排水路の閉塞、第三者への影響などがある場合は、土量計測よりも安全確保を優先します。そのうえで、復旧作業によって地形が変わる前に、可能な範囲で現況を記録します。
次に、流出前の地形データを確認します。直近の点群、横断測量、格子点測量、丁張記録、施工写真などから、流出直前の地表面を選定します。流出直前の計測がない場合は、直近の計測面に、その後の施工記録を反映して推定することがあります。この場合は、推定部分と実測部分を区別して記録します。
流出後の計測では、流出元だけでなく周辺を広めに取得します。計測範囲が狭いと、地形面を作成する際の端部処理によって体積誤差が生じやすくなります。変化していない安定地盤を含めて計測し、流出前後のデータが正しく重なるかを確認します。
計測データを比較する際は、同一の座標系と標高基準を使用します。既知点や変化していない構造物、基準点周辺などを確認し、全体に一定の水平ずれや高さずれがないかを点検します。数センチメートルの高さずれでも、面積が広ければ大きな体積差になります。
次に、流出元の侵食区域を平面上で囲います。施工によって掘削した区域と重なる場合は、施工日報や作業範囲を参照しながら分割します。流出元の侵食面と流出前地形面の差を積算し、流出による地盤低下量を求めます。
堆積先も計測できる場合は、流出前後の地形差から堆積量を算定します。ただし、堆積量は流出元の控除量を決める唯一の根拠とはせず、流出元の侵食量を検証する補助情報として扱います。施工範囲外へ流れ出た細粒分や濁水、計測できない薄い堆積、ほぐれによる体積変化があるためです。
流出控除前の実績切土量は、施工前面と現況面の差から算出します。そこに流出による侵食量が含まれている場合は、対象区画の切土量から控除します。設計数量と比較する際は、流出控除後の施工実績、設計変更による増減、過掘りや追加掘削などをそれぞれ別項目として整理します。
流出土砂を回収して盛土へ利用した場合は、盛土量の計算でも注意が必要です。切土側では流出分を施工実績から控除し、盛土側では実際に締め固められた出来形体積として計上します。両者は地山状態と締固め後の状態が異なるため、体積が一致しなくても直ちに異常とは限りません。土量収支を確認する場合は、同じ状態へ換算して比較します。
最終的には、流出事象ごとに、発生状況、流出元、堆積先、計測データ、控除量、回収方法、再利用または搬出先、承認結果をまとめます。切土量の計算書だけでなく、土砂がどのように移動し、どの数量へ反映されたかを一連の記録として残すことが重要です。
流出土砂の計測誤差を抑えるための注意点
流出土砂は、通常の整形済み地盤よりも表面が不規則で、含水状態や植生の影響を受けやすいため、計測誤差が生じやすい対象です。体積計算の数値だけを細かく表示しても、元の計測精度が十分でなければ実態を正確に表しているとは限りません。
まず注意したいのは、水面や軟弱な泥土です。水たまりや濁水がある状態では、その下の地盤面を正確に取得できないことがあります。流出直後の計測値と排水後の計測値では、表面位置が変わる可能性があります。水面を地盤として扱っていないか、軟弱土へ測量標尺や機器が沈み込んでいないかを確認します。
次に、草木、落ち葉、倒木、養生材、土のうなどの非地盤物を地形面へ含めないようにします。三次元点群から地表面を作成する場合は、植生や仮設物を除去し、地盤点を適切に抽出します。除去条件が流出前後で異なると、地形変化ではなく処理方法の違いが差分として現れます。
流出部の急斜面やえぐれた箇所では、計測点が不足しやすくなります。上方からの計測だけでは、法面下部や張り出した地形の陰が取得できないことがあります。複数方向から計測し、データの欠損部を確認します。欠損部分を自動的に補間すると、実際には存在しない滑らかな面が作られ、侵食量を誤る可能性があります。
断面法を使う場合は、流出形状の変化が大きい場所で断面間隔を細かくします。流出幅や侵食深さが断面間で急変しているのに、広い間隔で平均すると、局所的なえぐれや堆積を捉えられません。直線的で変化の少ない部分と、複雑な部分で同じ断面間隔を機械的に使わないことが大切です。
点群や格子による体積計算では、格子の大きさや地形面の作り方によって結果が変わります。細かくすれば必ず正確になるわけではなく、元の点密度や計測精度に合わない細かな格子は、微小なばらつきを体積として積算することがあります。現場の凹凸、必要精度、計測点密度に応じて条件を選びます。
流出前後の計測日時が離れている場合は、その間の施工、車両走行、整地、降雨、乾燥収縮などの影響も含まれます。地形差分をすべて流出によるものとせず、施工記録や天候記録と照合します。特に、流出後に重機で応急整形した場合は、整形による土移動を分離する必要があります。
体積の表示桁にも注意が必要です。計算上は小数点以下まで表示できても、現場計測には一定の誤差があります。必要以上に細かな数値を確定値として扱わず、管理目的や提出基準に応じて適切に丸めます。丸める前の計算値と、報告用の丸め後の値を区別して保存すると、再集計時の差を抑えられます。
施工範囲外への土砂流出を減らす予防管理
流出土砂を正確に控除する管理は重要ですが、最も効果的なのは流出そのものを減らすことです。土砂流出が起きると、再測量、復旧、清掃、第三者対応、数量調整などの追加作業が発生します。切土・盛土の体積計算を安定させるためにも、施工計画の段階から流出防止を組み込みます。
切土法面では、完成形まで一度に掘削せず、施工段階に応じて仮排水を設けます。法肩に集まった雨水が法面へ直接流れ込むと、表面侵食や小規模崩落につながります。上流側からの流入を遮り、安全な排水先へ導く経路を確保します。
施工ヤードでは、裸地となる期間を短くし、必要に応じて表面保護や仮養生を行います。細粒分の多い土は、強い降雨を受けると表面が流れやすくなります。施工を終えた区域から順次整形し、排水勾配を確保することで、低い場所への集中流を減らせます。
仮置き土は、施工境界や水路、斜面上部から十分な離隔を取り、流出方向を考慮して配置します。仮置き量が増えると裾部が広がり、管理範囲を超えることがあります。仮置き場の範囲、高さ、容量、排水方向を事前に決め、定期的に形状を確認します。
雨天前には、排水路、集水ます、沈砂部、仮設土留めなどを点検します。排水設備が設置されていても、土砂や資材で塞がれていれば機能しません。降雨後には、越流跡、濁水、細い侵食溝、法尻の膨らみなどを確認し、大きな流出へ進む前に補修します。
定期計測も予防管理に役立ちます。施工面の高さや法面形状を時系列で比較すると、目視では分かりにくい表面低下や局所的な変形を把握できます。わずかな侵食が続いている場所を早期に見つければ、排水経路や養生方法を見直し、大規模な流出を防ぎやすくなります。
流出防止と土量管理を別々の業務にせず、同じ施工区画と位置情報で管理することが有効です。流出が繰り返される区画、降雨時に変化が大きい場所、控除量が増えている法面を把握し、施工計画へ反映します。
現場計測を効率化して説明可能な土量管理につなげる
施工範囲外へ流出した土砂を切土量から除くには、図面、現場写真、座標、点群、体積計算、施工日報、承認記録を関連付ける必要があります。これらを個別の紙資料や担当者ごとのファイルで管理すると、必要な情報を探すだけでも時間がかかります。
現場で重要なのは、流出を発見した時点で、位置と状況をすぐに記録できることです。流出元と堆積先の座標、撮影位置、撮影方向、計測日時がそろっていれば、復旧後でも当時の状況を確認しやすくなります。写真だけでなく、計測した点や範囲を図面上で確認できるようにすると、施工境界との位置関係も明確になります。
三次元計測を活用すれば、複雑な侵食形状や広く薄い堆積も面的に確認できます。流出前後の地形を同じ座標上で比較し、流出元の地盤低下、堆積先の地盤上昇、施工範囲との重なりを可視化できます。計測結果を断面表示すれば、どの深さまで侵食されたかも説明しやすくなります。
ただし、機器や計算機能を導入するだけでは管理は完成しません。施工範囲の登録方法、計測する時期、データの名称、控除量の承認方法、確定後の修正手順を現場内で統一する必要があります。日常の計測ルールが統一されていれば、流出時だけ特別な作業を増やさずに必要な比較データを確保できます。
LRTK Phoneを活用すると、現場で位置情報に基づく記録や三次元計測を行い、施工範囲と流出箇所の関係を整理する運用につなげられます。流出発生時の記録、施工前後の地形比較、控除範囲の確認を一連の土量管理へ組み込むことで、切土量の修正根拠を現場と事務所で共有しやすくなります。
切土・盛土の体積計算で求められるのは、単に数値を算出することではありません。どの範囲を、どの時点の地形と比較し、どの変化を施工実績として採用し、何を除外したのかを説明できる状態にすることです。計測と記録を位置情報でつなぐことが、数量差異を減らし、再計算や確認作業を効率化する基盤になります。
まとめ
施工範囲外へ流出した土砂を切土量から除くには、流出後に数量だけを調整するのではなく、施工範囲、基準面、流出前後の地形、流出経路、堆積先、控除履歴を一体的に管理する必要があります。
最初に施工範囲と体積算定の基準面を固定し、流出前後の地形を同じ条件で計測します。そのうえで、施工による掘削部と流出による侵食部を分離し、流出元と堆積先を関連付けます。算定した控除量は切土量台帳へ反映し、使用したデータや計算条件、確認者、変更履歴まで保存します。
流出元の地山体積と、堆積先や搬出時のほぐれた体積は、土の状態が異なるため、そのままでは一致しない場合があります。切土、盛土、回収、搬出の各数量について、どの状態の体積を扱っているかを明確にし、必要に応じて同じ条件へ換算して比較することが大切です。
また、着工前と完成時だけでなく、施工段階や降雨前後に地形を記録しておけば、流出した期間と範囲を特定しやすくなります。定期計測は数量管理だけでなく、小さな侵食や法面変形を発見し、流出を未然に防ぐためにも役立ちます。
施工範囲外への流出を正しく除外できれば、切土量の過大計上を防ぎ、盛土利用量、残土搬出量、設計数量との不一致を説明しやすくなります。現場の位置情報、写真、点群、体積計算をつなげて管理したい場合は、LRTK Phoneを活用した計測・記録方法を確認し、説明可能な切土・盛土管理へつなげてください。