現場で即土量を把握すると搬出工程を予測できる
掘削土や残土を場外へ搬出する工程では、現場に残っている土量を把握できなければ、必要な車両台数や作業時間を正確に見通せません。計画段階では設計数量や掘削予定数量を基に搬出工程を組みますが、実際の現場では、掘削範囲の変更、余掘り、地盤の起伏、法面形状、構造物による控除、土質の変化などにより、当初の数量と実際の搬出量が一致しないことがあります。
そのため、搬出開始前や作業途中に現場で即土量を把握し、残っている数量を現在の搬出能力と照合することが重要です。残土量が分かれば、あと何回の運搬が必要なのか、現在の車両体制で何時間かかるのか、受入先の終了時刻までに搬出を終えられるのかを具体的に検討できます。
搬出所要時間は、土量だけで決まるものではありません。1台当たりに積み込める土量、現場から搬出先までの往復時間、積込場所や搬出先での待機時間、実際に稼働できる車両台数などが影響します。車両を増やしても積込作業が追い付かなければ待機車両が増え、搬出先の受入能力が低ければ荷下ろし待ちが長くなります。
工程を縮めるためには、搬出対象土量、運搬サイクル、稼働台数と処理能力という3つの条件を同じ時間軸で管理する必要があります。どれか一つだけを改善しても、別の工程が制約になれば、現場全体の搬出能力は上がりません。
たとえば、残土量が想定より多いことを終業直前に把握しても、その日のうちに追加車両や別の受入先を確保することは難しくなります。午前中や昼の段階で残量を把握できれば、配車の追加、受入先との調整、翌日工程の変更などを早めに判断できます。
現場で即土量を把握する目的は、最終的な出来形数量を確定することだけではありません。作業途中の数量を工程判断に利用し、搬出の遅れや車両の過不足を早期に発見することにも大きな価値があります。
搬出所要時間を求める基本的な考え方
搬出所要時間は、基本的には残っている搬出対象土量を、1時間当たりの実効搬出量で割ることで求められます。残土量が200立方メートルあり、現場全体で1時間に20立方メートルを搬出できるのであれば、単純計算では10時間が必要です。
ただし、ここで使う1時間当たりの搬出量は、車両の荷台容量だけで計算した理論値ではなく、現場の実績を反映した値であることが重要です。実際の搬出工程には、積込時間、場内移動、伝票確認、洗浄、往路走行、搬出先での受付、荷下ろし、復路走行、次回積込までの待機などが含まれます。
車両の公称上の容量が大きくても、毎回同じ量を積み込めるとは限りません。土質や含水状態、荷姿、積込機械の種類、走行条件などによって、実際の積載量にはばらつきが生じます。そのため、搬出済みの土量と運搬回数から、1回当たりの実積載量を求めることが実務的です。
また、搬出工程全体の能力は、車両側だけでは決まりません。積込機械が1時間に処理できる量、搬出先が1時間に受け入れられる量、場内で安全に入れ替えられる車両数なども確認する必要があります。
車両側が1時間に30立方メートルを運べる計算でも、積込能力が1時間に22立方メートルであれば、現場全体の搬出能力は22立方メートル程度で頭打ちになります。積込能力が十分でも、搬出先の受入能力が1時間に18立方メートルであれば、受入側が工程の制約になります。
したがって、搬出所要時間を求める際には、車両の運搬能力、積込能力、搬出先の受入能力を比較し、その中で最も小さい値を実効搬出能力として扱います。これが、現場全体の流れを基準に工程を予測する考え方です。
さらに、休憩、車両の点検、運転者の交代、受入先の受付終了時刻なども反映する必要があります。午前と午後で稼働台数が変わる場合は、一日を通じて同じ能力が続くものとして計算せず、時間帯ごとに分けて予測します。
条件1:搬出対象となる土量を正しく把握する
搬出所要時間を予測する第一の条件は、搬出対象となる土量を正しく把握することです。残土量が不明確な状態では、運搬回数や完了時刻を正しく求めることはできません。
現場には、場外へ搬出する土だけでなく、埋戻しに再利用する土、場内で造成に使用する土、土質確認が済んでいない土、異物を含む土などが混在することがあります。これらをすべて一つの土量として計上すると、搬出対象量を過大に見積もる可能性があります。
反対に、掘削途中の土や法面付近に残った土、仮置き場へ移動する前の土を計測範囲から外すと、必要な搬出量を過小に見積もります。どこからどこまでを搬出対象とするのか、測定前に範囲を明確にすることが重要です。
土量を測定するときは、測定時刻も記録します。午前10時に測定した残土量を、正午までの搬出実績とそのまま組み合わせると、午前10時から正午までに運んだ土を二重に計上するおそれがあります。土量の測定時刻と搬出実績の集計時刻を一致させることで、残量を正しく管理できます。
土の状態も確認が必要です。掘削前の地山状態と、掘削後にほぐれた状態では、同じ土でも体積が異なることがあります。仮置き後に時間が経過すると、自重や降雨によって沈下し、見掛けの体積が変化する場合もあります。
搬出回数を予測する場合は、できるだけ搬出時に近い状態の体積を利用することが適しています。ただし、設計数量や施工数量との比較では、地山状態に換算した数量が必要になることもあります。目的ごとに使用する数量を区別し、異なる状態の土量をそのまま混在させないことが大切です。
仮置き土を計測する場合は、周囲の地盤面と土の裾部の境界を明確にします。土が広く薄く広がっている部分や、重機の走行によって押し広げられた部分を含めるかどうかで、体積が変わります。現場で繰り返し測定する場合は、毎回同じ基準面と範囲を使う必要があります。
掘削部の土量を測定する場合は、掘削前の地表面と掘削後の底面を比較する方法があります。ただし、水たまり、泥、重機、資材などによって底面が見えない部分は、計測結果に誤差が生じる可能性があります。測定できない部分を推定した場合は、その範囲と判断根拠を記録しておくと、後の再確認が容易になります。
現場で即土量を把握する際には、過度に細かな精度を追求して測定に時間をかけすぎないことも重要です。工程判断に必要なのは、現時点の残土量を迅速に把握し、搬出計画の修正につなげることです。作業途中では実用上必要な精度で概算し、重要な節目や完了時に再度詳しく確認する方法が適しています。
条件2:実際の運搬サイクルを計測する
第二の条件は、1台当たりの実際の運搬サイクルを計測することです。運搬サイクルとは、車両が積込作業を開始してから、搬出先へ移動し、荷下ろしを終え、現場へ戻って次の積込を開始するまでの時間を指します。
運搬サイクルの始点と終点は、現場内で統一する必要があります。ある担当者は現場出発から帰着までを記録し、別の担当者は積込開始から次の積込開始までを記録していると、数値を比較できません。搬出能力の計算には、積込や待機を含む一連の時間を使うことが適しています。
計画段階では、現場と搬出先の距離や想定走行速度からサイクル時間を求めることがあります。しかし、実際の作業では、走行時間以外にも多くの時間が発生します。
積込場所では、前の車両の作業完了待ち、車両の切り返し、誘導、荷台確認などが必要です。現場出口では、タイヤや車体の洗浄、伝票や行き先の確認が行われる場合があります。搬出先では、受付、順番待ち、土質確認、荷下ろし場所までの移動などが発生します。
これらを含めず、走行時間だけで運搬能力を計算すると、完了時刻を早く見積もりすぎます。実際に1時間で何回運べるかを把握するには、総サイクル時間を計測する必要があります。
運搬サイクルは、1回だけの実績で決めず、複数回の記録から代表値を求めます。最初の運搬だけが道路混雑の少ない時間帯だった場合、その値を一日中使用すると予測が外れます。午前、昼前、午後など、交通状況や搬出先の混雑が変わる時間帯ごとに確認することが有効です。
平均時間だけでなく、ばらつきも確認します。多くの車両が60分程度で戻っている中で、数台だけが90分かかっている場合は、一時的な遅延か、特定の経路や搬出先に問題があるかを確認します。
運搬サイクルを、積込、現場内移動、往路、搬出先待機、荷下ろし、復路、現場待機に分けて記録すると、どこで時間を失っているかが分かります。総サイクル時間だけでは、改善すべき工程を特定できません。
たとえば、総サイクルが70分で、そのうち走行時間が40分、積込と荷下ろしが合計15分、待機が15分であれば、待機時間の短縮によって搬出能力を高められる可能性があります。反対に、待機がほとんどなく走行時間が大半を占めている場合は、経路や搬出先の見直しが主な検討対象になります。
実積載量も同時に記録します。同じ60分のサイクルでも、1回当たり5立方メートルを運ぶ場合と6立方メートルを運ぶ場合では、1時間当たりの搬出量が異なります。車両条件や安全上の制限を守ったうえで、実際に運んだ平均土量を使うことが重要です。
条件3:車両台数と積込・受入能力をそろえる
第三の条件は、実際に稼働できる車両台数と、積込側および搬出先側の処理能力をそろえることです。車両台数を増やせば必ず工程が短くなるわけではありません。
積込機械が車両1台を処理するのに15分必要な場合、1時間に送り出せる台数はおおむね4台です。この状態で多数の車両を配置しても、積込待ちが増えるだけで、1時間当たりの搬出量は大きく増えません。
また、積込能力に余裕があっても、車両の進入路が狭く、入替時に長い切り返しが必要であれば、実際の送り出し間隔は長くなります。積込機械の性能だけでなく、仮置き土の位置、車両停止位置、誘導方法、進入と退出の動線を含めて確認する必要があります。
搬出先の受入能力も重要です。搬出先で車両が集中すると、受付や荷下ろしの順番待ちが発生します。現場から一定間隔で送り出していても、搬出先で滞留すれば車両が現場へ戻らず、サイクル時間が延びます。
搬出先が受け入れられる土質、受付時間、1時間当たりの処理量、荷下ろし場所の数、降雨時の対応などを事前に確認します。複数の搬出先を利用する場合は、それぞれの往復時間と待機時間を別々に管理し、単純に距離だけで比較しないことが大切です。
適正な車両台数は、平均サイクル時間を積込間隔で割ることで概算できます。平均サイクルが60分で、10分に1台を送り出せる場合、6台程度で積込作業を連続させられる計算です。
ただし、これは安定した運行を前提とする目安です。道路混雑や搬出先待機によって戻りが遅れれば、積込機械が車両待ちになる可能性があります。反対に、余裕を持たせすぎると、現場内に多数の待機車両が滞留し、安全性や作業効率が低下します。
稼働台数は、登録されている車両の総数ではなく、各時間帯に実際に運行できる台数で計算します。給油、点検、休憩、運転者交代、別作業への移動などにより、すべての車両が一日中稼働するとは限りません。
午前中は6台、午後は4台となる場合は、時間帯ごとに搬出能力を分けて計算します。受入先の終了時刻が近づくと最終便の出発時刻にも制約が生じるため、終業時刻まで同じ能力が続くとは考えないほうが安全です。
工程を縮めるには、車両数、積込能力、受入能力の差を小さくすることが重要です。どこか一つだけ能力が高くても、最も能力の低い工程が全体の上限となります。
現場で即土量から搬出完了時刻を予測する手順
搬出完了時刻を予測するときは、最初に計算の基準時刻を決めます。午前10時時点の予測であれば、午前10時時点の残土量、同時刻までの搬出実績、その後の稼働予定を使います。
次に、現場で即土量を測定し、場外へ搬出する対象量を確定します。場内利用分、埋戻し予定分、未掘削部分、異物の選別が必要な部分などを区分し、実際の搬出対象だけを取り出します。
その後、直近の搬出実績から、1台当たりの実積載量を確認します。たとえば、10回の搬出で合計58立方メートルを運んでいる場合、平均積載量は1回当たり5.8立方メートルです。
続いて、車両ごとの運搬サイクルを確認します。平均サイクルが60分で、4台が継続して稼働する場合、車両側の搬出能力は、5.8立方メートルに4台を掛けた約23.2立方メートル毎時となります。
ただし、この数値をそのまま使うのではなく、積込能力と搬出先の受入能力を比較します。積込能力が1時間当たり20立方メートルであれば、車両側に余裕があっても実効搬出能力は20立方メートル程度です。
搬出先が1時間に18立方メートルしか受け入れられない場合は、実効搬出能力を18立方メートル程度として計算します。残土量が180立方メートルであれば、単純計算で10時間必要です。
ここへ休憩、車両の入替、最終便の調整、場内清掃などの時間を加えます。午後に稼働台数が減る場合や、搬出先の受付終了時刻がある場合は、その条件も反映します。
予測結果が当日の作業可能時間を超える場合は、追加車両、別の搬出先、翌日への繰越しなどを検討します。ただし、車両を追加しても積込能力や受入能力が変わらなければ、工程短縮にはつながりません。どの能力を引き上げる必要があるかを確認してから対策を選びます。
最後に、作業途中で再測定します。残土量やサイクル時間は時間の経過とともに変わるため、始業前の予測だけで一日を管理するのは不十分です。午前の途中、昼、午後などに残土量と搬出実績を更新し、完了時刻を再計算します。
搬出所要時間を計算する実務例
ある現場で、午前9時時点の搬出対象土量が300立方メートルあるとします。直近の実績では、車両1台当たりの平均積載量が6立方メートル、平均運搬サイクルが60分、実稼働台数が5台です。
車両側の理論的な搬出能力は、6立方メートルに5台を掛けた30立方メートル毎時です。車両側だけを見れば、300立方メートルを10時間で搬出できる計算になります。
しかし、積込機械の実績を確認すると、車両の入替時間を含めて1時間当たり24立方メートルしか積み込めていません。さらに、搬出先では混雑により、1時間当たり約20立方メートルの受入実績となっています。
この場合、現場全体の実効搬出能力は、最も小さい20立方メートル毎時を基準に考えます。300立方メートルを20立方メートル毎時で割ると、搬出には15時間が必要です。
午前9時から開始しても同日中の完了は難しいため、早い段階で翌日への繰越しや搬出先の追加を検討する必要があります。
仮に、別の搬出先を確保して受入能力を1時間当たり28立方メートルまで高めたとしても、積込能力は24立方メートル毎時です。そのため、実効搬出能力は24立方メートル毎時となり、必要時間は12.5時間です。
さらに積込場所の動線を見直し、車両入替を短縮して積込能力を28立方メートル毎時まで高められれば、受入能力と同じ28立方メートル毎時で搬出できる可能性があります。この場合、300立方メートルの搬出時間は約10.7時間です。
この例では、車両を追加するより、受入先の混雑解消と積込動線の改善が工程短縮に有効であることが分かります。車両数だけを見て判断せず、最も能力の低い工程を改善することが重要です。
午後1時に現場で即土量を再測定した結果、残土量が190立方メートルだったとします。午前中の実績搬出量は110立方メートルです。
午前9時から午後1時までの4時間で110立方メートルを搬出しているため、実績能力は1時間当たり27.5立方メートルです。現在の条件が続くと仮定すると、190立方メートルの搬出には約6.9時間が必要です。
ただし、午後は道路混雑によってサイクル時間が延びる可能性があります。実績能力が1時間当たり24立方メートルまで下がる場合は、約7.9時間必要です。このように、標準的な予測と遅延を見込んだ予測を併せて確認すると、関係者が対応を判断しやすくなります。
工程を縮めるために確認したい制約条件
搬出工程を縮めるときは、最初にどの工程が全体の制約になっているかを確認します。原因を特定しないまま車両や重機を追加すると、待機が増え、費用や安全上の負担だけが大きくなる可能性があります。
積込工程が制約となっている場合は、土を積込位置の近くへ事前に集積できているかを確認します。積込機械が土を集める作業と車両へ積み込む作業を交互に行っていると、車両の待機が長くなります。
積込位置、車両停止位置、旋回範囲を明確にし、補助機械による土の集積と積込作業を分担できれば、送り出し間隔を短くできる場合があります。
場内動線が制約となっている場合は、進入車両と退出車両が同じ狭い通路ですれ違っていないか、切り返し回数が多くなっていないかを確認します。一方向の動線を設定できれば、車両入替時間を短縮しやすくなります。
運搬工程が制約となっている場合は、時間帯別の走行時間を比較します。朝夕の混雑時間帯に運搬回数が減っている場合は、混雑が少ない時間帯に搬出量を増やし、混雑時間帯には掘削や場内集積を進めるなど、作業の組合せを見直します。
搬出先が制約となっている場合は、受付や荷下ろしの待機時間を確認します。車両が特定の時間帯に集中している場合は、到着予定を分散させることで、サイクルを安定させられる可能性があります。
複数の搬出先を利用できる場合でも、近い搬出先が必ず効率的とは限りません。距離が短くても待機時間が長ければ、総サイクルは長くなります。走行時間、受付時間、待機時間、荷下ろし時間を合計して比較する必要があります。
休憩時間も工程計画に含めます。すべての車両が同時に休憩すると、一定時間搬出が止まります。安全や労務管理を優先しつつ、交代で休憩できる体制を組める場合は、搬出能力の急激な低下を抑えられます。
ただし、工程短縮のために無理な運行や積載を行ってはいけません。法令、車両条件、現場の安全ルール、搬出先の受入条件を守り、その範囲内で待機や段取りの無駄を減らすことが基本です。
搬出予測が外れる主な原因
搬出所要時間の予測が外れる原因には、土量の誤差、積載量のばらつき、サイクル時間の変動、稼働台数の減少、受入先の条件変更などがあります。
土量の誤差は、測定範囲や基準面が統一されていない場合に生じます。仮置き土の裾部をどこまで含めるか、周囲の地盤面をどの高さとして扱うかが測定者によって異なると、同じ土でも結果が変わります。
重機や資材によって一部が隠れている場合や、水たまりによって地表面が確認できない場合も誤差が大きくなります。測定できない部分を推定するときは、推定範囲を記録し、条件が整った時点で再測定します。
実積載量のばらつきも予測に影響します。土質や含水状態が変わると、同じ荷姿でも体積や重量が異なります。荷台の見掛けだけで積載量を固定せず、直近の搬出実績から平均値を更新します。
サイクル時間は、道路工事、交通混雑、事故、天候、搬出先の混雑によって変化します。朝の実績をそのまま午後に使用すると、完了時刻を早く見積もる可能性があります。
車両の故障、給油、運転者交代などにより、実稼働台数が予定より減ることもあります。予測では、予定台数ではなく、現在稼働している台数と今後の離脱予定を反映します。
搬出先の受入停止や受付終了も大きな影響を与えます。搬出先へ向かっている車両が荷下ろしできない場合、現場への帰着が遅れ、後続車両も滞留します。受入条件が変わった場合は、完了予測を直ちに更新する必要があります。
掘削が搬出と並行して続いている現場では、搬出中にも新たな土が発生します。現在の仮置き土だけを残土量として扱うと、その後に発生する土を見落とします。搬出対象量には、計測時点の残土だけでなく、今後発生する予定量も必要に応じて加えます。
作業途中で予測を更新する方法
搬出予測は、始業前に一度計算して終わりではありません。作業中には土量、サイクル、稼働台数、受入能力が変化するため、定期的な更新が必要です。
更新時には、まず基準時刻を設定します。正午時点の更新であれば、正午時点の残土量と、正午までの搬出実績を使用します。測定と実績の時刻をそろえることが基本です。
次に、現場で即土量を再測定します。前回測定からの差が、搬出実績とおおむね一致しているかを確認します。差が大きい場合は、掘削による追加発生、場内移動、測定範囲の違いなどを確認します。
運搬側では、直近数回のサイクル時間と実積載量を更新します。午前中の平均ではなく、現在の交通状況や搬出先の混雑を反映した値を使うことが重要です。
稼働台数も再確認します。午後から車両が減る、別の現場から追加車両が到着する、搬出先が変更されるといった予定があれば、時間帯ごとに能力を分けます。
再計算した完了予測が当初より遅くなった場合は、遅延の原因を明確にします。土量が増えたのか、サイクルが長くなったのか、台数が減ったのかによって、対応が変わります。
更新の頻度は、現場条件に応じて決めます。変化の少ない現場では数時間ごとでもよいですが、掘削と搬出が同時に進み、受入先の混雑も変わりやすい現場では、1時間ごとや主要な作業節目ごとに更新することが適しています。
時間だけでなく、残土量の節目を基準にする方法もあります。残土量が200立方メートル、100立方メートル、50立方メートルを下回った時点で再測定し、完了予測を更新します。これにより、終盤の車両削減や最終便の調整を行いやすくなります。
現場内で搬出予測を共有するポイント
搬出所要時間の予測は、施工管理担当者だけが把握していても十分ではありません。配車担当者、積込機械の運転者、車両の運転者、搬出先の担当者など、工程に関わる関係者へ共有する必要があります。
共有するときは、完了予定時刻だけを伝えるのではなく、基準となる条件も示します。測定時刻、残土量、実効搬出能力、稼働台数、平均サイクル、搬出先の条件を併せて共有すると、予測の根拠が分かります。
たとえば、現状の条件が続けば午後6時ごろに完了するが、搬出先の待機が長くなれば午後7時以降になる可能性があると伝えれば、関係者はどの条件を監視すべきか理解できます。
予測が更新された場合は、変更理由も共有します。単に完了時刻が遅れたと伝えるだけでは、関係者が適切な対応を選べません。残土量が想定より多かったのか、車両が減ったのか、搬出先が混雑したのかを明確にします。
日々の記録では、始業前予測、途中更新、最終実績を同じ形式で残します。当初予測と実績の差を比較すると、現場ごとに外れやすい条件が分かります。
たとえば、特定の搬出先は午後にサイクルが長くなりやすい、雨天後は積込時間が延びやすい、特定の進入路では入替時間が長くなるといった傾向を把握できます。次回の工程計画では、その実績を初期条件として利用できます。
予測の精度を高めるには、予測を外さないことだけを目的とせず、予測と実績の差を継続的に分析することが重要です。差が生じた理由を記録すれば、現場固有の標準サイクルや実効搬出能力を整備できます。
LRTK Phoneで土量計測と工程判断をつなげる
現場で即土量から搬出所要時間を予測するためには、土量の計測結果を迅速に工程管理へ反映する必要があります。測定から数量整理までに長い時間がかかると、結果が出た時点で搬出状況が変わり、予測に使える情報の鮮度が低下します。
LRTK Phoneを活用すると、現場で取得した位置情報や点群データを基に、掘削部や仮置き土の形状を記録し、対象範囲の体積を確認しやすくなります。現場で測定した時刻と数量を残すことで、同じ時刻までの搬出実績と照合できます。
運用では、初回測定と途中測定で、測定範囲や基準面をそろえることが重要です。測定条件が異なると、土量の増減が搬出によるものなのか、範囲の違いによるものなのか判断できません。
測定範囲、測定時刻、土の状態、除外部分などを記録しておけば、担当者が変わっても同じ基準で確認しやすくなります。仮置き土が複数ある場合は、場所や搬出先ごとに区分して管理すると、車両手配や受入先調整にも利用できます。
また、残土量だけでなく、稼働台数、平均サイクル、直近の搬出実績、予測完了時刻を同じ時点の情報として整理することが重要です。数量と時間を一体で管理すれば、追加車両が必要か、受入先を変更すべきか、翌日へ繰り越すべきかを判断しやすくなります。
LRTK Phoneを土量計測だけの手段として終わらせず、工程予測の入力情報として活用することで、現場で即土量を把握する効果を高められます。搬出開始前、作業途中、完了前に数量を確認し、実績搬出能力と組み合わせる運用が有効です。
まとめ
現場で即土量から搬出所要時間を予測するためには、搬出対象となる土量を正しく把握すること、実際の運搬サイクルを計測すること、車両台数と積込・受入能力をそろえることの3条件が重要です。
土量だけを把握しても、完了時刻は決まりません。1台当たりの実積載量、運搬サイクル、実稼働台数、積込能力、搬出先の受入能力を組み合わせ、最も能力の低い工程を基準に所要時間を求めます。
工程を縮める場合は、車両台数を増やす前に、積込、運搬、荷下ろしのどこで待機や滞留が生じているかを確認します。全体の制約となっている工程を改善することで、無理のない搬出能力向上につながります。
また、搬出予測は一度作成して終わりではありません。作業途中に残土量と運搬実績を更新し、条件の変化を予測へ反映する必要があります。早い段階で遅延を把握できれば、配車追加、受入先調整、翌日工程の変更などを検討できます。
現場で即土量を継続的に把握し、数量と時間を結び付けて管理することで、搬出工程の見通しが立てやすくなります。土量計測から完了予測までを現場でつなげる手段として、LRTK Phoneの活用を検討してみてください。