現場で即土量を把握する必要性
地盤改良工事では、平面上の施工範囲だけでなく、改良する深さを組み合わせて施工対象となる体積を把握します。同じ改良面積であっても、改良深度が0.5メートル、1.0メートル、2.0メートルと変われば、対象となる改良土量は大きく変化します。
例えば、改良面積が500平方メートルの場合、改良深度0.5メートルなら250立方メートル、1.0メートルなら500立方メートル、2.0メートルなら1,000立方メートルです。平面図だけでは差を小さく感じても、深度を含めて体積へ換算すると数量差が明確になります。
現場で即土量を確認できれば、改良材の搬入計画、施工機械の稼働計画、作業区画の分割、施工日数の検討などへ早い段階で反映できます。施工範囲が変更された場合にも、変更部分の面積と深度を使って追加量や減少量を概算しやすくなります。
ただし、本記事で扱う「改良面積×改良深度」の計算は、平面範囲内を連続的または全面的に改良するケースの体積概算を前提としています。柱状改良体を間隔を空けて配置する杭式、格子状の改良、部分的な改良、置換工法などでは、改良体の直径、断面積、本数、配置、改良率、実際の施工長などを用いる必要があり、外周面積全体へ深度を掛けるだけでは実際の改良体積にならない場合があります。
着工後には、既設構造物、埋設物、地盤条件、施工機械の進入範囲などを踏まえ、改良外周が変更されることがあります。深度についても、現況地盤からの深さと、表土除去後や掘削後の床付け面からの深さでは、改良底面の位置が異なります。
そのため、現場で即土量を算出する際は、面積と深度の数値だけではなく、どの工法を対象にし、どの範囲をどの基準面からどこまで改良するのかを明確にする必要があります。計算式が合っていても、入力条件や数量の定義が異なれば、設計数量や施工数量と一致しません。
地盤改良土量は、施工数量や品質を単独で確定する情報ではありません。設計図書、施工計画、配合条件、施工記録、品質管理方法などと照合して使用します。それでも、現況に基づく面積と深度を現場で整理できれば、計画数量と施工条件の差を早期に把握するための有効な判断材料になります。
地盤改良土量を求める基本式
改良深度が均一で、平面範囲内を全面的に改良する場合は、基本的に「改良土量=改良面積×改良深度」で体積を求めます。面積を平方メートル、深度をメートルで入力すると、結果は立方メートルになります。
改良面積が600平方メートル、改良深度が0.8メートルの場合は、600平方メートル×0.8メートルで480立方メートルです。面積が600平方メートルのまま、深度が1.5メートルへ変更されれば、改良土量は900立方メートルになります。
長方形の改良範囲では、最初に長さと幅を掛けて面積を求めます。長さ30メートル、幅20メートルなら、改良面積は600平方メートルです。この面積へ改良深度を掛ければ、全面改良を前提とした体積を算出できます。
実際の現場には、完全な長方形ではない改良範囲も多くあります。敷地境界に沿って外周が折れ曲がっていたり、建物形状に合わせて入り隅や出隅が設けられていたりするためです。内部に既設基礎や残置構造物があり、その部分を施工しない場合は、対象外となる範囲を控除します。
複雑な範囲を一つの長方形として計算すると、対象外部分まで含める可能性があります。反対に、外周の張り出し部分を省略すれば、必要な土量を過小に計算します。不整形な範囲では、複数の長方形、三角形、台形などへ分割して面積を求めるか、外周座標から平面面積を算出します。
深度が場所によって変わる場合も、全体面積に一つの深度を掛けることはできません。深度別に区画を分け、各区画の面積と深度から土量を求めたうえで合算します。
地盤面に起伏があり、改良底面の高さが一定である場合は、同じ区画内でも改良深度が変化します。この場合は、複数地点の地盤高と改良底面高との差から深度を求め、区画別、格子別、三角網別など、使用する計算方法に応じて体積を求めます。
一方、柱状の改良体を所定の間隔で施工する場合は、一本当たりの断面積と施工長と本数から求める方法や、改良対象面積へ改良率と改良長を掛ける方法などが考えられます。重複部やラップ部の扱いは工法や数量算定基準で異なるため、施工計画や契約上の数量定義を確認します。
基本式そのものは単純ですが、どの面積とどの深度を掛けるかが重要です。現場で即土量を算出する際は、計算式を複雑にするより先に、対象工法、対象範囲、高さの基準、控除条件を統一します。
計算前にそろえる面積と深度の条件
地盤改良土量を計算する前に、改良面積の境界を確認します。図面上の外周線が改良する範囲そのものを示すのか、施工機械の中心位置を示すのか、管理用の参考線なのかによって、取得すべき範囲は異なります。
現場に設置された杭やマーキングについても、外周を示しているとは限りません。施工機械を誘導するための中心線や、建物の通り芯を示している場合があります。改良幅を中心線の左右へ確保する計画であれば、中心線だけを結んで面積を求めても、改良範囲全体の土量にはなりません。
改良深度は、どの高さから測るかを確認します。施工前の現況地盤、表土除去後の地盤、掘削後の床付け面、計画仕上がり面など、基準面が異なれば改良底面の高さも変わります。
例えば、現況地盤から0.3メートル掘削した後、その床付け面から1.0メートル改良する場合、現況地盤から改良底面までの鉛直差は1.3メートルです。しかし、地盤改良として扱う深度は、施工条件や数量の定義によって床付け面からの1.0メートルとなる場合があります。掘削土量と改良土量を混同しないためにも、それぞれの基準面を分けて管理します。
改良範囲の内部に対象外部分がある場合は、控除の条件も確認します。既設基礎の平面面積をすべて控除できるのか、基礎下部は改良するのか、施工上必要な離隔まで控除するのかによって土量が変わります。
設計図面と現場の形状が異なる場合は、どちらを数量計算へ使用するかも整理します。計画段階の概算では図面上の範囲を使えますが、施工前や施工途中に実績に近い土量を確認する場合は、現場で確定した範囲を反映する必要があります。契約数量や出来高数量として扱う場合は、発注者の基準や承認手順も確認します。
さらに、使用する単位を統一します。図面寸法がミリメートル、現場計測がメートルとなっている場合、換算を誤ると大きな数量差が生じます。面積が平方メートル、深度がセンチメートルのまま計算しないよう、深度をメートルへ換算してから掛けます。
深度50センチメートルは0.5メートル、80センチメートルは0.8メートルです。面積420平方メートルへ深度50をそのまま掛けるのではなく、420平方メートル×0.5メートルとして計算します。
面積の境界、深度の基準面、改良方向、控除条件、使用単位をそろえてから計算を始めることで、単純な入力ミスや解釈の違いを抑えられます。
計算1 改良深度0.5メートルの浅層改良
最初の計算は、深度0.5メートルで均一に全面改良するケースです。改良範囲は長さ28メートル、幅15メートルの長方形とし、内部に控除する部分はないものとします。
改良面積は28メートル×15メートルで420平方メートルです。改良深度は0.5メートルなので、改良土量は420平方メートル×0.5メートルとなり、210立方メートルです。
この計算では、改良範囲全体を各地点の基準地盤面から鉛直方向に一律0.5メートル改良することを前提としています。地表に緩やかな起伏があっても、平面投影した範囲内で鉛直深度を一定に管理するのであれば、平面面積に0.5メートルを掛ける考え方を使用できます。
ただし、改良底面の高さを一定にする計画では、場所によって改良深度が変わります。地表が高い場所では深くなり、低い場所では浅くなるため、全体を一律0.5メートルとして扱えない場合があります。
浅層改良では、深度が小さいため多少の違いは土量へ影響しないように感じることがあります。しかし、面積が広い現場では、数センチメートルの深度差でも数量が増減します。
この例で平均深度が0.5メートルではなく0.55メートルだった場合、改良土量は420平方メートル×0.55メートルで231立方メートルです。当初の210立方メートルとの差は21立方メートルになります。
平均深度が0.6メートルなら、改良土量は252立方メートルとなり、0.5メートルで計算した場合より42立方メートル増えます。深度差は0.1メートルでも、面積420平方メートルへ広がると一定の数量差になります。
浅層改良では、表面にある雑草、砕石、残土、資材などを地盤面として計測しないことも重要です。地盤高へ不要な対象物が含まれると、実際より地表が高いものとして扱われ、改良深度や土量の計算に影響します。
また、改良範囲の外周に重ね施工を行う場合でも、その重ね部分を数量へどのように扱うかは、設計条件や数量算定方法によって異なります。施工上必要な重なりを自動的に面積へ追加するのではなく、対象数量の定義を確認します。
現場で即土量を求める場合は、420平方メートルという面積、0.5メートルという深度だけでなく、外周の取得方法、深度の基準面、全面改良であることを一緒に記録しておくと、後から再計算しやすくなります。
計算2 改良深度1.0メートルの全面改良
次の計算は、平面面積680平方メートルの範囲を、鉛直深度1.0メートルまで均一に全面改良するケースです。改良範囲は不整形ですが、外周を現場で計測し、座標または区画分割によって面積が680平方メートルと確認できたものとします。
改良土量は680平方メートル×1.0メートルで680立方メートルです。深度が1.0メートルであるため、面積の数値と体積の数値が同じになりますが、単位は平方メートルと立方メートルで異なります。
計算自体は分かりやすいものの、深度1.0メートルでは平面面積の差が同じ数値の立方メートル差になります。面積を10平方メートル多く計算すれば、土量も10立方メートル多くなります。
不整形範囲では、境界の折れ点を省略すると面積差が生じます。外側へ張り出している部分を直線で省略すれば改良面積は小さくなり、内側へ入り込む部分を省略すれば本来対象外となる範囲まで含める可能性があります。
例えば、当初の改良面積680平方メートルに対し、現地確認によって20平方メートルの張り出し部分が追加され、15平方メートルの施工対象外部分が判明したとします。変更後の有効面積は680平方メートル+20平方メートル-15平方メートルで685平方メートルです。
深度は1.0メートルなので、変更後の改良土量は685立方メートルとなります。当初の680立方メートルとの差は5立方メートルです。
追加部分と控除部分がほぼ同じ面積であれば、合計土量の差は小さく見えます。しかし、施工位置は変わっています。合計数量だけを見て変更なしと判断すると、どの位置を追加し、どの位置を除外したのかが分からなくなります。
地盤改良では、必要な場所を所定の条件で施工することが重要です。対象外の場所を多く施工し、必要な場所が未施工であっても、全体面積だけなら計画値と一致する可能性があります。
そのため、現場で即土量を確認するときは、合計値だけでなく、平面上の位置と区画を対応させます。施工前の計画範囲、変更後の範囲、施工済み範囲を分けて記録すれば、数量と位置を同時に確認できます。
改良深度1.0メートルのケースは計算が単純であるため、かえって面積の根拠が省略されやすい点に注意します。外周をどのように測り、どの部分を控除し、いつの状態を面積としているかを明確にします。
計算3 改良深度2.0メートルと控除範囲
3つ目の計算は、外周面積900平方メートルを深度2.0メートルまで全面改良し、内部にある既設基礎と残置構造物を控除するケースです。
外周全体を改良すると仮定した場合の土量は、900平方メートル×2.0メートルで1,800立方メートルです。
内部には、平面面積45平方メートルの既設基礎と、平面面積30平方メートルの残置構造物があります。両方とも深度2.0メートルの範囲をすべて施工対象外とする前提で計算します。
既設基礎の控除土量は45平方メートル×2.0メートルで90立方メートルです。残置構造物の控除土量は30平方メートル×2.0メートルで60立方メートルです。
控除土量の合計は150立方メートルとなります。外周全体の1,800立方メートルから150立方メートルを差し引くと、有効な改良土量は1,650立方メートルです。
面積から先に計算する方法では、900平方メートルから45平方メートルと30平方メートルを差し引き、有効改良面積を825平方メートルとします。825平方メートル×2.0メートルでも、改良土量は1,650立方メートルになります。
ただし、既設基礎や残置構造物があるからといって、必ず深度2.0メートルの全範囲を控除できるわけではありません。既設基礎が基準地盤面から1.2メートルまで存在し、その下部を改良する計画であれば、控除する深度は1.2メートルです。
この場合、既設基礎の控除土量は45平方メートル×1.2メートルで54立方メートルになります。既設基礎下の0.8メートル分を施工するのであれば、その部分は改良土量へ含めます。
また、構造物の周囲に施工機械の離隔が必要な場合は、構造物そのものの平面面積より広い範囲が施工対象外になる可能性があります。平面面積30平方メートルの構造物に対し、周囲を含めた施工対象外範囲が45平方メートルとなる場合、控除には45平方メートルを使います。
どこまで控除するかは、設計条件、施工方法、構造物への影響、施工機械の形状などによって異なります。現場で見た構造物の外形だけから控除面積を決めず、施工計画と照合します。
深度2.0メートルでは、面積差が土量へ与える影響も大きくなります。控除面積が5平方メートル変われば、土量は10立方メートル変化します。控除対象の位置と外形を現場で確認し、必要に応じて高さ方向の条件も記録します。
計算4 複数の改良深度が混在する現場
4つ目の計算は、一つの施工範囲に複数の改良深度が設定されているケースです。建物の荷重条件、地盤の強度、盛土の厚さ、構造物の配置などによって、中央部を深くし、外周部を浅くする計画などが考えられます。
ここでは、改良範囲をA区画、B区画、C区画の3つに分けます。A区画は面積360平方メートル、改良深度0.8メートルです。B区画は面積280平方メートル、改良深度1.2メートルです。C区画は面積190平方メートル、改良深度1.8メートルです。
A区画の改良土量は360平方メートル×0.8メートルで288立方メートルです。B区画の改良土量は280平方メートル×1.2メートルで336立方メートルです。C区画の改良土量は190平方メートル×1.8メートルで342立方メートルです。
3区画を合算すると、288立方メートル+336立方メートル+342立方メートルとなり、全体の改良土量は966立方メートルです。
この計算で避けたいのは、3つの深度を面積の違いを考慮せず単純平均し、全体面積へ掛ける方法です。深度0.8メートル、1.2メートル、1.8メートルの単純平均は、3.8メートルを3で割った約1.267メートルです。
全体面積は360平方メートル+280平方メートル+190平方メートルで830平方メートルです。830平方メートル×(3.8メートル÷3)で計算すると約1,051立方メートルとなり、区画別に求めた966立方メートルより約85立方メートル多くなります。
単純平均で差が生じるのは、それぞれの深度が適用される面積を考慮していないためです。この例では、最も浅い0.8メートルのA区画が最も広く、最も深い1.8メートルのC区画が最も狭くなっています。深度だけを均等に平均すると、深い区画の影響を過大に評価します。
全体の平均深度を求める場合は、合計土量966立方メートルを合計面積830平方メートルで割ります。面積を考慮した平均深度は約1.164メートルです。小数第2位まで示すなら約1.16メートルとなります。
ただし、この平均深度は全体土量を説明するための換算値です。施工管理で全区画を1.16メートルまで改良してよいという意味ではありません。A区画は0.8メートル、B区画は1.2メートル、C区画は1.8メートルという区画別条件を維持する必要があります。
深度別区画では、境界の重複や隙間にも注意します。A区画とB区画を別々に作成した際、境界付近が重なっていれば同じ面積を二重に計上します。反対に区画間に空白があれば、その部分が土量へ含まれません。
区画面積の合計830平方メートルと、外周から控除範囲を差し引いた有効改良面積が一致するかを確認すると、重複や計上漏れを見つけやすくなります。
不整形な改良範囲を分割して計算する方法
実際の地盤改良範囲は、敷地境界、建物形状、道路、既設構造物などの影響を受け、不整形になることがあります。不整形な範囲を大きな長方形だけで近似すると、対象外部分を含めたり、必要な部分を省略したりする可能性があります。
手計算で面積を求める場合は、改良範囲を長方形、三角形、台形などへ分けます。各図形の面積を算出し、最後に合算します。内部に改良しない範囲があれば、その面積を差し引きます。
例えば、長方形部分が400平方メートル、三角形部分が60平方メートル、台形部分が90平方メートルであれば、外周面積は550平方メートルです。内部に20平方メートルの控除範囲があれば、有効改良面積は530平方メートルです。
改良深度が1.4メートルで均一な全面改良なら、改良土量は530平方メートル×1.4メートルで742立方メートルとなります。
分割計算では、図形同士が重複しないようにします。同じ範囲を長方形と三角形の両方へ含めると、面積が過大になります。反対に、分割線の間に隙間があれば、面積を過小に計算します。
曲線の境界を直線で近似する場合は、測点の間隔にも注意します。緩やかな曲線であれば少ない点でも形状を表しやすい一方、細かな凹凸や急な曲がりがある範囲では、測点が少ないと実際の境界から離れます。
ただし、細かな地表の凹凸をすべて拾う必要があるとは限りません。改良範囲として管理すべき境界と、地面の一時的な乱れを区別します。施工境界が直線として計画されているのであれば、雑草や残土による細かな輪郭まで外周へ反映しないようにします。
外周座標から面積を算出する場合は、点の取得順序にも注意します。境界に沿って時計回りまたは反時計回りに連続して取得し、線が途中で交差しないようにします。点の順序が入れ替わると、本来とは異なる多角形として面積が計算されることがあります。
不整形範囲では、面積の数値だけを残すより、外周形状と測点を一緒に保存する方が有効です。施工範囲が変更された際にも、追加または削除された部分を位置で確認し、差分面積を再計算できます。
傾斜地と地盤高の違いを土量へ反映する方法
傾斜地で地盤改良土量を算出する場合は、斜面に沿った表面積と平面投影面積を区別します。改良深度を鉛直方向で管理する計画では、平面投影した面積と鉛直深度から体積を考えるのが基本です。
現場で斜面に沿って長さを測ると、水平距離より長い値になります。その斜距離を幅や長さとして面積計算へ使うと、平面投影面積より大きな面積が算出されます。そこへ鉛直深度を掛ければ、土量を過大に見積もる可能性があります。
一方、施工条件によっては、斜面に対して直角方向の厚さを管理する場合もあります。その場合は、平面投影面積と鉛直深度による計算と同じにならないため、設計上の改良方向と深度の定義を確認します。
地表面が傾いていても、各地点で鉛直方向に同じ深さを改良する場合は、区画内の改良深度を一定として扱えることがあります。しかし、改良底面の高さが水平または一定の勾配で設定されている場合は、地表の高さに応じて深度が変わります。
例えば、平面投影面積300平方メートルの範囲で、改良深度が一方の端で0.6メートル、反対側で1.4メートルまで一方向に直線的に変化し、その方向に直交する幅が一定であるとします。この条件なら、平均深度は0.6メートルと1.4メートルを足して2で割った1.0メートルです。
この場合の改良土量は300平方メートル×1.0メートルで300立方メートルです。
ただし、中央部だけが深い場合、途中に段差がある場合、幅が変化する場合、深度変化が曲線的な場合は、両端の深度を単純平均するだけでは形状を表せません。深度変化に合わせて範囲を複数区画へ分け、それぞれの平均深度から土量を求めます。
地盤に細かな起伏がある場合は、複数の地盤高を計測し、改良底面高との差を求めます。格子状に区切り、各格子の面積と代表深度を掛けて合算する方法もあります。
格子を細かく設定すると地形を詳しく反映できますが、計測データに重機、資材、仮置き土、雑草などが含まれていると、地盤高を正しく表せません。点群や多数の測点を使用する場合は、施工対象となる地盤面を適切に選別します。
また、施工前と施工途中で地表面が変わる現場では、どの時点の地盤高を使ったかを記録します。表土除去前の地盤と整地後の地盤を混在させると、深度計算の基準がそろいません。
改良土量から改良材量を検討するときの注意
改良土量を算出した後、単位体積当たりの設計添加量を掛けることで、改良材の必要量を検討できます。基本的な考え方は「改良材量=改良土量×単位体積当たりの添加量」です。
例えば、改良土量が966立方メートルで、設計上の添加量を仮に1立方メートル当たり80キログラムとした場合、改良材量は966立方メートル×80キログラムで77,280キログラムです。
ただし、実際の添加量は、地盤条件、改良目的、施工方法、使用材料、配合試験、設計条件などに基づいて決定されます。計算例の値を別の現場へそのまま適用することはできません。
さらに、添加量の基準となる1立方メートルが、原位置土、改良対象土、処理土、施工体積のどれを指すのかを確認します。粉体とスラリーでは供給や計量の考え方が異なる場合があり、水を含むスラリー量と固化材の乾燥質量を混同しないようにします。
複数の改良深度がある現場では、区画ごとに添加量が異なる可能性もあります。A区画の改良土量が288立方メートルで、添加量が1立方メートル当たり70キログラムなら、改良材量は20,160キログラムです。
B区画の改良土量が336立方メートルで、添加量が1立方メートル当たり80キログラムなら26,880キログラムです。C区画の改良土量が342立方メートルで、添加量が1立方メートル当たり90キログラムなら30,780キログラムです。
3区画の合計は77,820キログラムです。全体土量966立方メートルへ一律80キログラムを掛けた77,280キログラムとは540キログラムの差が生じます。区画別に添加量が設定されている場合は、それぞれの土量と組み合わせて計算する必要があります。
改良材の手配量を検討する際は、計算上の必要量と実際の投入量が完全に一致するとは限らない点にも注意します。施工設備内の残留、投入時の飛散、計量のばらつき、試験施工、供給単位などによる差が生じる可能性があります。
ただし、余裕量を根拠なく一律に上乗せすると、余剰材料が発生する可能性があります。追加搬入に必要な時間、保管できる量、施工方法、供給単位、品質管理計画などを踏まえて検討します。
地盤改良土量と、現場から搬出する残土量を同じものとして扱わないことも重要です。原位置で土と改良材を混合する場合、改良対象となる土量の全量を掘削して搬出するわけではありません。
掘削置換を行う場合には、地山状態、掘削してほぐれた状態、埋め戻して締め固めた状態で体積が異なることがあります。何の目的で使用する土量かを区別し、改良材量、搬出量、仮置き量を別々に検討します。
現場計測で土量差が生じる主な原因
現場で即土量を算出した数値と、設計数量や施工後の数量に差が生じる原因は、計算式だけではありません。外周位置、基準面、測点配置、控除範囲、計測時点、工法の数量定義など、入力条件の違いが大きく影響します。
外周位置の違いでは、図面上の線幅や施工中心線を改良外周として扱うことがあります。改良範囲を示す線が太い場合、線の内側、中心、外側のどこを境界とするかによって面積が変わります。
測点不足も面積差の原因です。不整形な境界で折れ点を十分に取得しないと、張り出しや入り込みを省略します。特に、細長い部分は平面上で小さく見えても、深度を掛けると一定の土量になります。
幅2メートル、長さ20メートル、深度1.5メートルの張り出し部分であれば、全面改良を前提とした土量は60立方メートルです。外周計測でこの部分を省略すれば、その分の計上漏れにつながります。
地表面の高さを誤って取得することもあります。測点が砕石、残土、資材、雑草の上にあると、地盤高が実際より高くなります。改良底面高との差から深度を求める場合、地盤高の誤差が深度差として反映されます。
基準点の違いにも注意します。施工前と施工後で異なる仮基準を使用したり、標高と任意高さを混在させたりすると、地盤高を直接比較できません。現場内で使用する座標系、高さの基準、基準点を統一します。
控除範囲の見落としも、土量を過大に計算する原因です。既設基礎、埋設物、残置構造物、施工できない狭小部分などがある場合は、平面位置と深度方向の条件を確認します。
反対に、施工上必要な追加範囲を反映していなければ、土量を過小に計算します。ただし、重ね施工や余裕幅を数量へ含めるかは現場判断だけで決めず、設計条件や数量算定方法を確認します。
柱状改良や格子状改良を全面改良として計算することも、大きな差の原因になります。外周面積と深度が同じでも、改良率、改良体の径、配置間隔、本数、ラップ条件によって実際の改良体積は変わります。
計測時点が異なる場合も数値は変わります。着工前、表土除去後、掘削後、改良施工後では地盤形状が異なります。計測データには日時と施工段階を記録し、どの状態の土量なのかを識別できるようにします。
算出した土量を施工計画へ反映する手順
算出した改良土量は、材料手配だけでなく、施工区画、作業順序、日ごとの施工量、品質管理などへ反映します。全体数量だけを把握しても、どの区画をいつ施工するかが分からなければ、現場計画には十分に活用できません。
まず、改良範囲を施工可能な区画へ分けます。深度が異なる場合は、深度区分と施工区画を対応させます。改良材の添加条件が異なる場合も、同じ区画名の中で混在させず、管理できる単位へ分けます。
次に、区画別の土量と施工順序を整理します。A区画288立方メートル、B区画336立方メートル、C区画342立方メートルであれば、全体は966立方メートルです。
仮に施工能力を1日当たり200立方メートルとしても、単純に966を200で割った日数だけで施工が完了するとは限りません。施工機械の移動、深度設定の変更、材料補給、品質確認、障害物対応、天候などの影響を考慮します。
特に深度区分が切り替わる現場では、施工能率が一定にならない可能性があります。浅い区画と深い区画を同じ日当たり能力で扱うのではなく、施工条件に応じて検討します。
施工途中では、計画土量から施工済み土量を差し引き、残りの土量を確認します。全体966立方メートルのうち、A区画288立方メートルとB区画の200立方メートルが完了している場合、施工済み土量は488立方メートルです。
残りの改良土量は966立方メートル-488立方メートルで478立方メートルです。この残量を区画別に把握できれば、残りの材料搬入や施工日数を検討しやすくなります。
ただし、施工済み土量は計画面積だけで判断せず、実際の施工範囲と施工深度を照合します。柱状改良などでは、施工本数、施工長、配置、施工記録も確認します。施工した平面範囲が合っていても、深度や本数が不足していれば、計画数量を満たしたことにはなりません。
施工範囲が変更された場合は、変更前の数値を消さず、差分を記録します。例えば、C区画のうち40平方メートルについて、改良深度を1.8メートルから2.2メートルへ変更したとします。
追加される深度は0.4メートルなので、全面改良を前提とした追加土量は40平方メートル×0.4メートルで16立方メートルです。全体土量は966立方メートルから982立方メートルへ増えます。
このように、変更範囲、変更前後の深度、差分土量を残しておけば、追加材料や工程への影響を確認できます。最終数量だけを上書きすると、なぜ増減したのかを後から説明しにくくなります。
LRTK Phoneを活用して現場で確認する流れ
現場で即土量を算出するには、改良範囲の外周、内部の控除範囲、深度区画、地盤高を現地で確認し、位置情報と結び付けて記録することが重要です。LRTK Phoneを活用すれば、現場で取得した位置情報や位置付き写真、点群などを基に、改良範囲と現況を整理する運用を検討できます。
最初に、設計図面と現場計測で使用する座標系や高さの基準を確認します。異なる座標系や基準高さを使用すると、図面上の改良範囲と現場位置がずれる可能性があります。現場の基準点や既知点との整合も確認します。
次に、改良範囲の外周を確認します。直線の端点だけでなく、入り隅、出隅、曲線部、境界が切り替わる位置を取得します。内部に既設基礎や残置構造物がある場合は、外周とは別の控除範囲として位置を記録します。
複数の改良深度がある場合は、深度区画の境界も取得します。全体外周だけを計測しても、どの範囲が0.8メートルで、どの範囲が1.8メートルなのか分からなければ、区画別の土量を算出できません。
区画名称は、図面、計算資料、現場表示で統一します。A区画、B区画、C区画などの名称をそろえ、それぞれの面積、改良深度、添加条件を対応させます。
地盤面に起伏がある場合は、外周だけでなく地盤高も確認します。計画改良底面の高さが設定されていれば、各地点の地盤高との差から改良深度を求められます。ただし、GNSS測位が不安定な環境や遮へいの多い場所では、取得条件や精度表示を確認し、必要に応じて別の測量方法と照合します。
位置付き写真を残す場合は、改良境界を示す杭、現場マーキング、既設構造物、施工対象外部分などが分かるように撮影します。写真の撮影位置と方位が分かれば、後からどの境界を確認したものか判断しやすくなります。
計測後は、外周面積から控除面積を差し引いた有効改良面積と、深度別区画の面積合計を比較します。両者が一致しない場合は、区画の重複、隙間、控除漏れ、外周点の取得順序などを確認します。
施工途中に再計測する場合は、施工済み範囲と未施工範囲を分けます。前回と今回の計測範囲を同じ座標、高さ基準、施工段階の定義で比較すれば、追加施工や残りの範囲を確認しやすくなります。
ただし、位置計測や点群による平面範囲と体積の確認だけで、地盤改良の施工品質を判断することはできません。施工深度、改良体の本数や配置、添加量、混合状況、強度、品質試験などは、それぞれ設計図書と施工管理基準に沿って確認します。
LRTK Phoneによる現場計測は、改良範囲の位置、面積、現場状況を整理するための手段として活用できます。設計図書、施工記録、品質管理資料と組み合わせることで、現場で即土量を確認し、関係者間で同じ範囲を共有しやすくなります。
まとめ
地盤改良範囲から現場で即土量を算出する基本は、全面改良を前提とする場合に、改良面積と改良深度を掛けることです。ただし、実務で使用できる数量を求めるためには、対象工法、外周位置、深度の基準面、内部の控除範囲、深度区画、地盤の起伏を反映する必要があります。
柱状改良、杭式改良、格子状改良、部分改良などでは、外周面積全体へ深度を掛けた値と、実際の改良体積は一致しない場合があります。改良体の断面、本数、配置、施工長、改良率、重複条件などを使い、設計図書や数量算定方法に沿って計算します。
深度0.5メートルの計算例では、面積420平方メートルに0.5メートルを掛け、改良土量は210立方メートルとなりました。浅い改良でも、施工面積が広ければ数センチメートルの深度差が一定の土量差になります。
深度1.0メートルの計算例では、面積680平方メートルに対して改良土量は680立方メートルでした。深度が1.0メートルの場合は面積差が同じ数値の立方メートル差になるため、不整形な外周を適切に取得することが重要です。
深度2.0メートルの計算例では、外周面積900平方メートルから既設基礎と残置構造物を控除し、改良土量は1,650立方メートルとなりました。控除範囲は平面面積だけでなく、高さ方向にどこまで施工対象外となるかを確認します。
複数の改良深度が混在する計算例では、A区画、B区画、C区画を個別に計算し、合計土量は966立方メートルとなりました。深度を単純平均すると、各深度が適用される面積の違いを反映できません。区画別に面積と深度を掛け、最後に合算する方法が基本です。
現場で即土量を求める際は、数値だけでなく、その数値がどの工法、どの位置、どの基準面、どの時点の現場から算出されたかを残します。施工範囲が変更された場合には、変更前後を上書きせず、追加面積、控除面積、深度差、土量差を記録します。
改良範囲の外周、深度区画、地盤高、控除対象を現場で把握し、位置情報とともに管理できれば、設計数量と実際の施工条件の違いを確認しやすくなります。現場での計測から面積確認、位置付き記録、関係者との共有までを効率化したい場合は、LRTK Phoneの活用を検討してみてください。