未接道に見える土地で最初に整理すべきこと
地籍調査の資料を確認していると、対象地が道路に接していないように見えることがあります。公図上で対象地と道路の間に細長い別地番がある場合、現地には通路があるのに図面上では道路までつながっていない場合、道路のように見える部分に地番が表示されていない場合など、見え方はさまざまです。
このような土地について、一枚の図面だけを根拠に「未接道である」「建築できない」「通行できない」と断定するのは適切ではありません。土地の筆界、土地所有権や通行に関する権利、道路法上の道路区域、建築基準法上の道路、現地で実際に利用されている通路は、それぞれ意味も確認資料も異なるからです。
まず整理したいのは、何を根拠に未接道に見えているのかという点です。公図上で道路地番に接していないのか、現地に道路まで通じる経路が見当たらないのか、道路管理者が管理する道路区域との関係が不明なのか、建築基準法上の接道条件を満たすか不明なのかによって、必要な確認作業は変わります。
公図上では道路に接していないように見えても、対象地の一部が細く道路方向へ伸びており、縮小表示では判別しにくいことがあります。反対に、公図上では道路地番に接していても、その道が私道であったり、建築基準法上の道路に該当しなかったりする可能性があります。
また、現地で日常的に通行されている通路があっても、その土地の所有者、共有持分、通行承諾、地役権その他の利用根拠が明確とは限りません。長年利用されている通路が他人の宅地の一部である場合、複数人が共有する私道である場合、道路との間に水路敷や法面が介在する場合もあります。
地籍調査は、主に市町村が主体となり、一筆ごとの所有者、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量する調査です。その成果は地籍図や地籍簿として取りまとめられますが、建築の可否や通行権の有無を一括して確定する制度ではありません。([地籍ポータル][1])
未接道に見える土地では、登記事項証明書、地図または地図に準ずる図面、地積測量図と地籍調査成果、道路台帳と指定道路関係資料という四つの資料群を順に確認します。各資料が何を示し、何を示さないかを区別して照合すると、見かけ上の問題なのか、筆界上も別の土地が介在しているのか、道路行政や建築行政への照会が必要なのかを整理しやすくなります。
地籍調査と接道確認は目的が異なる
地籍調査で中心となるのは、一筆ごとの地番、地目、所有者、筆界の位置、面積などの確認です。一方、建築を目的とする接道確認では、敷地が接する道が建築基準法第42条の道路に該当するか、敷地が必要な長さで接しているか、道路幅員や後退の扱いがどうなるかなどを確認します。
建築基準法第43条が適用される区域では、建築物の敷地は、原則として同法上の道路に2メートル以上接する必要があります。一般的な説明では幅員4メートル以上の道路への接道が原則とされますが、同法第42条第2項道路や第43条第2項の認定・許可など、個別に確認すべき制度があります。したがって、図面上で道路に接して見えることだけで建築可能と判断することも、道路地番に直接接していないことだけで建築不可と判断することもできません。([国土交通省][2])
筆界、道路区域、建築基準法上の道路の範囲は、常に同じ位置になるとは限りません。現地の舗装端、側溝、擁壁、塀、法面、ガードレールなども、筆界や道路区域線と一致するとは限りません。
例えば、道路区域に民有地が含まれる経緯がある場合や、道路管理者が所有する土地の一部が現況道路として利用されていない場合があります。道路として利用される範囲と登記上の筆の配置が一致していないケースもあるため、道路台帳と登記資料を別々の目的の資料として読む必要があります。
対象地と道路の間に水路敷が表示されている場合も注意が必要です。筆の配置上は水路敷が介在していても、現地では橋や蓋掛けを介して出入りしていることがあります。その構造が道路区域や建築基準法上どのように扱われるか、占用や使用の許可が必要か、継続利用できるかは、管理者と建築担当部署へ個別に確認する必要があります。
調査結果には、「公図上で道路地番に接している」「地籍図上では水路敷が介在している」「現地では橋を介して出入りしている」「建築基準法上の道路種別は未確認」というように、確認した観点を分けて記載します。筆界調査の結果と建築行政上の判断を混同しないことが、安全な引継ぎにつながります。
確認資料1 登記事項証明書
最初に確認する資料は、対象地と周辺地の登記事項証明書です。不動産登記には、土地の所在、地番、地目、地積のほか、所有者や所有権以外の権利に関する事項が記録されます。通路に関係する土地では、所有者、共有持分、地役権などの登記の有無を確認することが重要です。([法務省][3])
未接道に見える土地では、対象地だけを確認しても十分ではありません。対象地と道路の間にある土地、現地で通路として使われている土地、道路のように見える土地、水路や法面に見える土地についても、可能な範囲で地番を特定し、登記内容を確認します。
対象地と道路の間に細長い一筆が存在する場合は、その地目と所有者を確認します。地目が公衆用道路であっても、それだけで道路法上の道路であること、建築基準法上の道路であること、対象地所有者が自由に通行・掘削できることまで確定するわけではありません。
反対に、地目が宅地、山林、原野、雑種地などであっても、現地では通路として利用されている場合があります。地目は土地の主な用途を把握する手掛かりですが、道路の法的種別、管理主体、通行の権原を直接示すものではありません。
所有者も重要です。対象地と通路部分の所有者が同じであっても、別の地番であれば別筆です。売買や相続の際に通路部分だけ名義変更がされていない場合や、対象地とは別の契約対象として扱われてきた場合もあります。
共有私道では、一筆を複数人が共有していることがあります。対象地所有者が共有持分を持つか、旧所有者名義のままではないか、持分移転の履歴に不明点がないかを確認します。ただし、共有持分があることと、具体的な工事や掘削を単独で自由に行えることは同じではありません。
権利部では、通行に関係する地役権などの登記がないかを確認します。ただし、登記がないから直ちに通行できないと結論付けることも、現に通行しているから法的な権利があると結論付けることも避けます。契約、承諾、共有関係、民法上の通行に関する制度など、登記記録だけでは判断できない事情があり得るためです。
地積についても確認しますが、地積の数値だけでは通路幅や形状は分かりません。通路の幅や道路との接続形状を把握するには、公図、地積測量図、地籍図、現地測量などとの照合が必要です。
過去に分筆や合筆が行われている場合は、その経緯を確認します。道路まで伸びていた部分が分筆されて別地番になった可能性、道路拡幅や公共事業に伴って細長い残地が生じた可能性、換地や地番変更によって旧資料との対応が分かりにくくなった可能性があります。
現在の登記記録だけで経緯が分からないときは、閉鎖登記記録、旧土地台帳、過去の地図や地積測量図など、取得可能な資料を追加で確認します。資料の保存状況や取得方法は登記所ごとに確認が必要です。
確認資料2 地図または公図
二つ目に確認する資料は、登記所に備え付けられている地図または地図に準ずる図面です。地図に準ずる図面は一般に公図と呼ばれます。これらは土地の区画と地番の配置を確認するための資料ですが、作製時期や成り立ちによって精度や現地復元性が異なります。([法務局][4])
未接道に見える土地では、対象地のどの辺が道路方向に向いているか、対象地と道路の間に別の筆が存在するか、道路や水路のように見える部分に地番が付されているかを確認します。
公図上で対象地と道路地が直接接していれば、筆の配置上は接点または接する辺があるように表示されていると読めます。ただし、その表示だけで現地の正確な位置、接する長さ、道路幅員、建築基準法上の道路種別まで判断することはできません。
対象地と道路の間に細い筆が存在する場合は、その地番を登記事項証明書と照合します。細長い筆は、私道、水路、旧道、法面、道路残地、隣接宅地の一部など、さまざまな性質を持つ可能性があります。形状だけで用途や管理者を断定しないことが重要です。
公図で地番の表示がない細長い部分や空白状の部分が見つかることもあります。道路、水路その他の公共用地として扱われてきた可能性はありますが、表示だけで法定外公共物や道路と断定してはいけません。自治体の道路、河川、水路、財産管理などの担当部署で確認します。
線の太さや縮小表示にも注意が必要です。道路に接しているように見えても、実際には細い別筆が介在している場合があります。反対に、対象地から道路へ伸びる細い通路部分が線と重なり、未接道のように見えることもあります。
旗竿状の土地では、道路へ伸びる部分の幅が小さいため、公図だけでは形状を十分に読めないことがあります。この場合は、地積測量図や地籍調査成果で辺長、屈曲点、境界点座標などを確認します。
対象地や道路が図郭の端に位置する場合は、隣接する図面も取得します。町界、字界、地番区域の境界付近では、一枚の図面だけでは道路の続きや隣接地番が分からないことがあります。
道路拡幅、河川改修、土地改良、土地区画整理、換地などが行われた地域では、現況道路と登記上の筆の配置が異なっている可能性があります。新旧の地番、換地図、確定図、事業図面などを追加で照合する必要が生じる場合があります。
公図は道路台帳の代わりにはなりません。道路の路線名、道路区域、管理者、認定状況などは道路関係資料で確認します。同様に、公図は建築基準法上の道路種別を示す資料ではないため、建築を前提とする場合は建築担当部署の資料と照合します。
確認資料3 地積測量図と地籍調査成果
三つ目に確認する資料は、地積測量図と地籍調査成果です。公図で筆の配置を把握した後、境界点、辺長、接続部分の形状、座標などを詳しく確認するために用います。
地積測量図は、一筆の土地の測量結果を表示する図面で、分筆登記や地積更正登記などに伴って提出されることがあります。ただし、すべての土地について備え付けられているわけではなく、作製年代によって記載内容や精度も異なります。([法務局][5])
地積測量図がある場合は、作製年月日、縮尺、方位、測量者、座標系の記載、境界点番号、辺長、隣接地番などを確認します。古い図面では辺長や面積のみが記載され、座標値がないこともあります。
対象地が旗竿状である場合は、道路側の入口幅だけでなく、通路部分の全区間を確認します。途中に屈曲点がある場合や、入口より奥で狭くなる場合があるため、最小幅がどこにあるかを把握します。
地積測量図に境界点番号や座標が示されている場合は、現地の境界標と対応させます。図面に記録があっても、現地では杭や標識が亡失、移動、埋没していることがあります。見つかった標識を単独で正しい境界点とみなさず、周辺点との整合や測量成果を確認します。
対象地の図面だけでなく、道路との間にある土地、私道、水路、道路用地の地積測量図も調べます。対象地側の図面では接続部の詳細が不明でも、隣接地側の図面に共有境界の辺長や点番号が記録されている場合があります。
地籍調査が実施された地域では、地籍図、地籍簿、境界点の座標その他の成果が自治体に保管されていることがあります。ただし、閲覧・交付できる資料、申請方法、座標提供の可否などは自治体によって異なります。
地籍調査成果については、調査中なのか、閲覧工程を経たものなのか、認証を受けた成果なのか、登記所への送付と登記への反映が済んでいるのかを確認します。自治体保管資料と登記所の地図が異なるときは、単に新しい方を採用するのではなく、手続の段階と更新状況を照会します。
地籍調査で確認される筆界と、通路として実際に利用できる範囲は同じとは限りません。舗装された通路が複数の筆にまたがる場合や、利用範囲が筆界を越えている場合もあります。利用実態は重要な情報ですが、それだけで筆界や通行権を決めることはできません。
未接道に見える土地では、対象地から道路方向へ境界点を一つずつ追うことが重要です。どの点からどの点までが対象地の辺なのか、道路側に接して表示される区間がどこか、間に別筆が入るかを明確にします。
確認資料4 道路台帳と指定道路関係資料
四つ目に確認する資料は、道路台帳と指定道路関係資料です。ここまでの資料で筆の配置や所有関係を確認しても、道路法上の管理範囲や建築基準法上の道路種別までは確定しません。
道路台帳は、道路法第28条に基づいて道路管理者が調製・保管する資料です。対象となる道について、国、都道府県、市区町村などのどの道路管理者が所管するかを確認し、その管理者の道路台帳や道路区域関係資料を調べます。([国土交通省][6])
現地で一般車両が通行していても、道路法上の道路とは限りません。農道、林道、河川管理用通路、施設内通路、民有地の通路などが舗装され、通常の道路のように見える場合があります。
反対に、公図上では細い筆や別地番に見える部分が、道路区域に含まれている場合があります。道路台帳附図や区域決定・変更の資料を確認することで、現況道路と筆の配置の違いを整理できます。
ただし、道路台帳に表示された道路区域線を、そのまま筆界や所有権界とみなしてはいけません。道路管理上の区域と土地の筆界は異なる概念であり、常に一致するとは限りません。
建築を目的とする確認では、指定道路図、指定道路調書、道路種別図、建築基準法上の道路判定資料など、自治体が備える資料を調べます。指定道路図と指定道路調書には、指定道路の種類、位置、延長、幅員などが記録されますが、自治体によって公開方法や収録範囲が異なります。([国土交通省][7])
公開されている道路種別図は便利ですが、表示位置が概略であったり、すべての道路判定を網羅していなかったりする場合があります。重要な判断では、対象地番、道路位置、既存図面を示して、特定行政庁や建築担当部署に個別確認します。
幅員が4メートル未満の道では、建築基準法第42条第2項道路に該当するか、道路中心線や後退線をどのように扱うかなどの確認が必要になる場合があります。現地の舗装幅や側溝間の距離だけでは、法令上の道路幅員や後退位置を確定できません。
私道の場合は、建築基準法上の道路指定の有無に加えて、所有者、共有持分、通行、掘削、維持管理、上下水道などの引込み条件も確認します。道路として指定されていることと、対象地所有者が工事や掘削を自由に行えることは別の問題です。
対象地と道路の間に水路、河川区域、法定外公共物などが介在する場合は、その管理者の資料や占用・使用関係の手続も確認します。橋や蓋掛けが現存していても、建築計画で継続利用できるか、改修時に許可が必要かは個別判断となります。
4資料を照合する実務手順
四つの資料群は、取得した順に眺めるだけではなく、地番、境界点、道路位置を共通の軸にして照合します。最初に、対象地から最寄りの道路までに存在する筆を特定します。
登記事項証明書から、対象地、介在地、道路地、私道地、水路地などの所有者、地目、地積、権利関係を整理します。次に、地図または公図で各地番の配置と接続関係を確認します。
公図上で対象地と道路地が直接接しているように見える場合は、その接する辺が地積測量図や地籍調査成果でどのように表示されているかを確認します。境界点、辺長、座標が分かれば、接続部分の形状をより具体的に把握できます。
対象地と道路の間に別地番がある場合は、その土地が現地のどの部分に当たるかを調べます。側溝、水路、法面、舗装、植栽帯、通路、擁壁などの現況と、地番や境界点を対応させます。
その後、道路台帳で道路区域、路線、幅員などを確認します。さらに、指定道路関係資料で建築基準法上の道路種別を確認し、必要に応じて建築担当部署へ照会します。
照合時に最も重要なのは、資料上の線をすべて同じ境界線として扱わないことです。公図の筆界表示、地積測量図の境界線、道路台帳の道路区域線、指定道路図の表示線、現地の舗装端は、それぞれ作成目的が異なります。
資料の作製年月日と更新日も一覧にします。古い公図、後年の地積測量図、地籍調査成果、最新の道路台帳を比較すると、分筆、道路拡幅、換地、河川改修などの履歴が見えてくる場合があります。
現地確認が必要な箇所は、事前に図面へ印を付けます。境界標が残っている可能性がある場所、通路の狭窄部、水路や側溝を横断する場所、道路との高低差が大きい場所、図面同士が一致しない場所などです。
調査結果は、「資料で確認済み」「現地で確認済み」「資料からの推定」「管理者への照会が必要」「建築担当部署の判断が必要」という区分で整理します。未確認事項まで一つの結論にまとめないことが、誤解を防ぐうえで重要です。
未接道に見える土地の代表的な原因
未接道に見える原因として考えられるのは、対象地と道路の間に細い別地番があるケースです。その土地が水路、旧道、法面、道路残地、民有通路などであると、公図上では対象地が道路から離れて見えます。
旗竿状の土地の通路部分が図面上で見えにくいケースもあります。接続部分が細い場合、公図の縮尺や線の太さによって、道路までつながっていないように見えることがあります。
道路拡幅後の分筆や所有権移転が現況と一致していないケースもあります。現地では一体の道路として利用されていても、登記上は旧所有者名義の筆や細長い残地が残っていることがあります。
対象地の一部を分筆または売却した結果、道路までの通路部分が別所有になっているケースもあります。以前は同一所有者の土地を通って道路へ出ていても、所有権移転後は通行や掘削の根拠を改めて確認する必要があります。
共有私道を経由しているケースでは、対象地は私道に接し、その私道が公道へつながっています。公道に直接接していなくても建築基準法上の接道を満たす可能性はありますが、私道の道路種別、対象地との接続長、通行や掘削の権利関係を確認しなければなりません。
水路を横断して道路へ出ているケースでは、現地に橋や蓋があるため一体の出入口に見えます。しかし、筆の配置、道路区域、建築基準法上の接道、管理者の許可は別々に確認する必要があります。
土地区画整理、土地改良、換地、河川改修などの事業後に旧資料と新資料が混在しているケースでは、旧地番と現地の位置を誤って対応させるおそれがあります。換地図、確定図、新旧対照資料などの追加確認が必要です。
既存建物があるため接道条件を満たしていると思い込むことにも注意が必要です。建築後に敷地が分割された場合、道路指定や道路形状が変わった場合、当時の許可や認定を受けていた場合など、現在の条件が建築時と同じとは限りません。
これらの原因は一つだけとは限りません。道路拡幅、分筆、共有私道、水路、換地などが重なり、複雑な土地関係になっていることがあります。そのため、最初から原因を一つに決めず、四つの資料群を順に照合します。
現地立会で確認すべきポイント
資料調査を終えたら、現地で対象地から道路までの経路と、資料上の境界点候補を確認します。最初に、日常的に使用されている出入口がどこにあるかを把握します。
門、車両進入口、階段、通路、橋、側溝の蓋、スロープなどを確認し、公図や地積測量図に示された接続部分と対応するかを見ます。
道路側では、境界標の有無を確認します。コンクリート杭、金属標、鋲、石杭、刻印などが残っている場合があります。ただし、道路施設の測量標、工事基準点、埋設物表示などが境界標に見えることもあります。
発見した標識はその場で筆界と断定せず、図面の境界点番号、辺長、座標、隣接地番と照合します。標識が傾いている、抜けている、移設されている、舗装で隠れている可能性も考慮します。
舗装端、側溝、擁壁、塀、ガードレールも確認しますが、それらが筆界とは限りません。道路工事によって舗装位置が変わった場合、側溝や擁壁が民有地に設置されている場合、塀が境界から後退して設置されている場合があります。
通路幅は、道路との接続部だけでなく途中の狭窄部も確認します。門柱、塀、擁壁、電柱、植栽、側溝などによって、実際に利用できる幅が狭くなっていることがあります。ただし、現況の有効幅と登記上の敷地幅、法令上必要な接道長は別々に記録します。
高低差も重要です。平面図上で道路に接していても、急な法面、擁壁、段差により直接出入りできない場合があります。反対に、水路や段差があっても橋や斜路で通行している場合があります。
橋、蓋、スロープなどがあるときは、その構造物の所有者、管理者、設置経緯、許可の有無、維持管理者を可能な範囲で確認します。現存することだけで将来の利用が保証されるわけではありません。
所有者や隣接所有者から、過去の道路位置、塀や側溝の設置時期、分筆の経緯、通路の利用状況を聞き取ることは有効です。ただし、口頭説明のみで筆界や権利関係を確定せず、資料と現地標識に照らして参考情報として記録します。
写真は、対象地から道路方向、道路から対象地方向、通路全景、狭窄部、境界標、側溝、水路、橋、門柱、擁壁、高低差が分かる位置から撮影します。位置情報を記録できる機器を使う場合も、写真の位置情報だけで筆界を確定せず、境界点番号や図面上の位置と対応させます。
資料同士が一致しない場合の対応
未接道に見える土地では、四つの資料群が一致しないことがあります。公図では道路地に接しているように見えるのに道路台帳の区域線とは離れている場合や、地積測量図の境界点と現地標識が合わない場合などです。
このとき、最新の資料だから正しい、座標が記載されているから正しい、行政が保管しているから他の資料より優先されると単純に判断してはいけません。各資料の作成目的、作製時期、測量方法、更新履歴、手続上の位置付けを確認します。
公図が古く、後年に地積測量図が作製されている場合は、分筆、合筆、地積更正、地番変更などの経緯を調べます。地積測量図が古い場合は、その後の道路工事、境界確認、換地などによって状況が変わっていないかを確認します。
地籍調査成果と登記所の資料が異なる場合は、成果の認証、登記所への送付、地図や登記記録への反映状況を自治体に確認します。調査中の図面や作業用資料を、登記反映済みの成果と同じように扱わないことが重要です。
道路台帳と現況が異なる場合は、道路改良工事、区域変更、供用開始、台帳更新の状況を道路管理部署へ確認します。指定道路図と現地道路が異なる場合は、建築担当部署で個別に確認します。
筆界について関係者の認識が一致しない場合は、地籍調査の立会だけで無理に結論を出さないことが重要です。既存資料を追加調査し、事案に応じて土地家屋調査士、弁護士、登記所、自治体担当部署などへの相談を検討します。
資料が一致しない状態は、直ちにどれか一方が誤りという意味ではありません。どの資料のどの線、点、数値が一致しないのかを具体的に示すことが、次の調査や照会につながります。
調査結果を記録して関係者へ共有する方法
調査結果は、担当者の記憶や断片的なメモだけに残さず、後から同じ確認過程を再現できる形で整理します。
最初に、対象地の所在、地番、地目、地積、登記名義人を記録します。次に、対象地から道路までに存在する筆の地番、地目、所有者、共有関係を整理します。
確認した資料については、資料名、取得日、作製年月日、更新日、対象地番、図面番号を記録します。古い資料と新しい資料を併用した場合は、どの部分をどの資料で確認したかを明確にします。
現地確認では、境界標候補、通路、道路端、側溝、水路、橋、門柱、狭窄部、高低差などを位置と写真で記録します。写真番号と図面上の位置を対応させると、現地に同行していない関係者にも説明しやすくなります。
判断内容は、「公図上では道路地番に接して表示されている」「地積測量図で道路側の辺長を確認した」「道路台帳上の道路区域との関係は照会中」「建築基準法上の道路種別は未確認」というように、確認対象ごとに記載します。
「接道している」「未接道である」という一文だけでは、筆界上の接続なのか、道路区域との接続なのか、建築基準法上の接道なのか、通行可能性なのかが分かりません。四つの観点を分けることが重要です。
関係部署へ照会した場合は、照会日、担当部署、確認対象、提示した図面、質問内容、回答内容を記録します。所有者や隣接所有者からの聞き取りは、資料で確認済みの事実と区別して記録します。
デジタル機器を利用する場合は、位置情報付き写真、図面への注記、境界点候補の番号、現地メモを一体的に保存すると共有しやすくなります。ただし、機器で取得した位置情報は測量成果や行政判断の代替ではなく、現地記録を整理する補助情報として扱います。
まとめ
地籍調査で土地が未接道に見えたときは、公図だけで結論を出さず、登記事項証明書、地図または地図に準ずる図面、地積測量図と地籍調査成果、道路台帳と指定道路関係資料という四つの資料群を確認することが重要です。
登記事項証明書では、対象地、介在地、道路地、私道地などの地番、地目、所有者、共有持分、権利関係を整理します。地図または公図では、筆の配置と道路方向へのつながりを確認します。
地積測量図と地籍調査成果では、道路側の辺長、通路形状、境界点、座標などを確認します。道路台帳と指定道路関係資料では、道路管理上の区域と建築基準法上の道路種別を確認します。
公図上の接続、現地の通行、道路区域との関係、建築基準法上の接道、通行・掘削の権利は、それぞれ別の確認事項です。一つが確認できたからといって、ほかも満たすとは限りません。
現地では、舗装端、側溝、擁壁、塀などを直ちに筆界と断定せず、境界標、図面、座標、周辺筆との整合を確認します。水路や私道が介在するときは、管理者、所有者、許可、道路種別を分けて確認します。
資料同士が一致しない場合は、作製時期、作成目的、測量方法、更新履歴、手続段階を調べ、どの点が未確認なのかを明確にします。
調査結果は、確認済み事項、推定事項、現地確認事項、道路管理部署への照会事項、建築担当部署の判断事項に分けて記録します。個別の建築可否、通行権、境界紛争については、関係行政機関や専門家へ具体的な資料を示して確認してください。