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十二条点検で防火扉が閉まらない時の4つの対処法

建築物の安全管理に携わっていると、十二条点検の現場で「防火扉を開けたあとに戻らない」「途中まで閉まるものの最後まで閉鎖しない」「所定の作動確認をしても動かない」といった状態に遭遇することがあります。防火扉は、防火区画などに設けられ、火災時の延焼拡大を抑えるうえで重要な設備です。設置場所や仕様によっては煙の拡大を抑える役割にも関係するため、閉まらない状態を単なる建具の不具合として扱わず、閉鎖を妨げている原因を切り分け、必要な是正につなげることが大切です。 一般に「十二条点検」と呼ばれる建築基準法第12条に基づく定期報告制度では、対象となる建築物、建築設備、防火設備、昇降機等について、法令で定める資格者による調査・検査と特定行政庁への報告が必要となる場合があります。防火扉についても、防火設備の定期検査の対象となる場合があり、対象となる建築物や設備、報告時期などは法令上の指定に加え、特定行政庁の指定や運用を確認する必要があります。 令和7年7月1日に施行された定期報告制度の見直しでは、従来、特定建築物定期調査で確認していた常閉防火扉に係る項目が防火設備定期検査へ移されました。また、防火設備定期検査における常閉防火扉の対象は、原則として各階の主要な常閉防火扉に整理されています。常閉防火扉と随時閉鎖式の防火扉では検査する内容や対象範囲が異なるため、現場では設備の方式を確認したうえで適切な方法で検査することが重要です。 ここでは、十二条点検の実務担当者を想定し、防火扉が閉まらない場合にどのような順序で状況を確認し、是正へつなげればよいのかを4つの対処法に分けて解説します。

十二条点検で防火扉が閉まらない状態をどう捉えるか

防火扉が閉まらないとき、最初に重要なのは「閉まらない」という結果だけを記録して終わらせないことです。同じ閉鎖不良でも、原因によって必要な対処は変わります。 例えば、床に置かれた荷物が扉に当たっているだけであれば、管理上支障がないことを確認したうえで障害物を除去し、再度作動を確認できます。一方、扉本体が変形して枠に接触している場合、丁番などの支持部分に異常がある場合、閉鎖装置が正常に働いていない場合などは、その場で簡単に解消できないことがあります。随時閉鎖式であれば、扉そのものに異常がなくても、保持装置や感知・連動に関係する部分に問題が生じている可能性も考える必要があります。 そのため現場では、まず何が原因で最後まで閉じないのかを段階的に分けて確認するのが基本です。最初から部品故障と決めつけたり、逆に少し引っ掛かるだけだから問題ないと判断したりすると、必要な是正を見逃す可能性があります。 特に注意したいのが、人為的に開放状態へ固定されているケースです。日常の通行をしやすくするため、常閉防火扉が物品や不適切な固定物によって開けたままになっている場合があります。防火設備の定期検査では、常閉防火扉について閉鎖や作動の状況、閉鎖を妨げる物品、開放状態への固定などが確認の対象となるため、本来の閉鎖機能を妨げる状態がないかを見る必要があります。 さらに、点検時に一度閉まったからといって、それだけで継続的に正常であると判断できるとは限りません。開閉条件によって引っ掛かり方が変わる、床面との隙間が一部だけ狭い、扉同士が接触するなど、条件によって現れる不具合があります。現象が一定なのか、条件によって変化するのかを確認することが原因を絞り込むうえで役立ちます。 なお、防火設備の判定や専門的な調整、部品交換などには設備に応じた知識が必要です。点検担当者が現場で無理に分解したり、閉鎖装置や連動機構の設定を独自に変更したりするのではなく、点検で把握した状態を管理者や専門担当者へ適切に引き継ぐことが重要です。

対処法1 閉鎖を妨げる障害物や固定状態を確認する

防火扉が閉まらないときに最初に確認したいのが、扉の閉鎖軌跡上に物理的な障害がないかという点です。設備の故障を疑う前に、人為的な固定や物品の放置など、外から確認できる原因を切り分けます。 防火扉の周辺は、廊下や階段、バックヤード、倉庫に近い場所など、人や荷物の移動が多い位置に設けられていることがあります。そのため、一時的に置いた台車、資材、段ボール、清掃用品などが扉の閉鎖範囲へ入り込み、完全閉鎖を妨げている場合があります。床面に物がなくても、扉の上部や側面に後から設置された物が干渉することもあります。 まず扉を動かす前に、閉鎖軌跡を目視で確認します。扉が閉鎖位置まで動く際に、何かへ接触する場所がないかを見ます。物品が原因であることが明らかな場合でも、単に移動して終わるのではなく、再び同じ場所に置かれる可能性がないかを管理面から確認すると再発防止につながります。 もう一つ見逃しやすいのが、人為的な固定です。通行頻度が高い場所では、常時閉鎖を前提とした扉が開放状態で固定されていることがあります。床側だけでなく、扉の上部、側面、取手付近なども含め、正常な閉鎖を妨げる状態になっていないか確認します。 ただし、現場にある保持部材を見つけたからといって、設備の役割を確認せずに外すのは避けます。設備の仕様として設けられた保持装置なのか、不適切な後付け固定なのかを区別する必要があります。図面や設備情報を参照し、判断できない場合は管理者や防火設備に詳しい担当者へ確認します。 障害物を除去したあとには、再度閉鎖状態を確認します。単純な物品の干渉に見えても、実際には扉本体が下がって床へ接触しており、そこに物品が加わってさらに閉まりにくくなっているなど、複数の要因が重なっていることがあります。原因を一つ見つけた時点で確認を終えず、通常の作動条件で閉鎖位置まで動くかを改めて確認します。 また、扉の周辺床面も確認したい部分です。床材のめくれ、仕上げ材の浮き、後施工された見切り材、マットなどが接触し、閉鎖終端付近で止まることがあります。特に扉下部と床面の間隔が小さい場所では、床仕上げの変更後に不具合が現れる場合があります。 十二条点検では、このような現場状況を単に「扉が閉まらなかった」と残すより、「閉鎖範囲に物品があり、除去後に再確認した」「開放状態への固定が認められた」「床仕上げとの接触が確認された」といった形で、観察した事実を明確に残した方が、その後の判定や是正につなげやすくなります。

対処法2 扉本体・枠・丁番・閉鎖装置の状態を確認する

障害物や不適切な固定が見当たらない場合は、防火扉そのものと周辺部材の状態を確認します。ここで重要なのは、一つの部品だけを見るのではなく、扉本体から枠、支持部分、閉鎖に関係する装置までを一連の機構として捉えることです。 まず確認したいのが、扉本体と枠の接触です。安全を確保しながら作動を確認し、どの位置で抵抗が大きくなるかを観察します。開放位置から動きにくいのか、閉鎖途中で引っ掛かるのか、閉鎖終端付近だけ止まるのかによって確認する箇所が変わります。 閉鎖直前だけ強く擦れる場合には、扉と枠の位置関係や扉の傾き、下端と床面の干渉などを確認します。扉の上部または下部だけが枠に接触している場合には、支持部分の状態や変形などが関係している可能性があります。 次に、扉本体の変形や損傷を見ます。表面や端部に変形がないか、扉同士が接触していないかなどを確認します。搬入物などが繰り返し接触する場所では、変形によって閉鎖時に枠などへ干渉することがあります。 扉を支持している丁番などの取付部分も重要です。取付部に緩みや変形が見られる場合、扉の位置関係が変化して正常に閉鎖しにくくなることがあります。扉下端の左右で床との隙間が大きく異なる場合や、擦れ跡が見られる場合には、支持状態も確認します。 ただし、点検担当者がその場で取付部を締め直したり、扉や枠を削ったり、位置を変更したりすることには注意が必要です。防火設備としての性能や認定仕様などに影響する可能性があるため、点検と修理を混同せず、専門的な調整が必要な場合は適切な担当者へ引き継ぎます。 閉鎖に関係する装置の動きも確認します。開放後に所定の条件で閉鎖方向へ動くか、途中で停止しないか、閉鎖位置まで安定して動くかを観察します。一度だけ閉鎖したとしても、作動が不安定な場合にはその状況を記録しておく必要があります。 反対に、閉鎖時の動きが著しく強いなど、安全上気になる状態がある場合も、独自に調整して済ませるのではなく、設備の仕様や検査基準に照らして確認します。点検では閉まるかどうかだけでなく、閉鎖時の安全や構成部材の異常にも注意します。 さらに、二枚構成の扉では、一方だけを確認して終わらせないことが大切です。形式によっては両方の扉が適切な順序や位置関係で閉鎖する必要があり、扉同士の干渉によって完全に閉まらない場合があります。一枚ずつでは問題なく見えても、実際の作動時に接触して止まることがあるため、設備の仕様に応じて確認します。 異常箇所を記録するときは、「閉鎖不良」という言葉だけでは後から原因が分かりにくくなります。「下端が床へ接触」「枠上部に擦れ跡」「閉鎖途中で停止」「取付部付近に変形が見られる」など、確認した現象を具体的に残すことが重要です。

対処法3 随時閉鎖式では感知・連動機構まで切り分ける

防火扉には、通常から閉じた状態を基本とする常閉防火扉だけでなく、平常時には開放され、火災時などに所定の仕組みで閉鎖する随時閉鎖式のものがあります。随時閉鎖式では、扉本体を手動で動かした際に閉鎖できるからといって、設備全体が正常とは限りません。 このタイプで閉まらない現象が起きた場合、まず扉そのものの動作と、閉鎖を開始させる仕組みを分けて考えます。扉自体は閉鎖できるのに、所定の作動確認では閉鎖を開始しないのであれば、保持装置、感知器、連動制御など、設備方式に応じた確認が必要になります。 反対に、所定の作動によって閉鎖を開始しているものの途中で止まるのであれば、扉や枠、閉鎖装置、床との接触など物理側の問題も考えられます。このように、閉鎖開始に至らないのか、動き始めないのか、途中で停止するのか、閉鎖位置まで到達しないのかを分けて記録すると原因を整理しやすくなります。 感知器や連動制御に関係する設備については、現場担当者が独自判断で配線を外したり、端子を短絡させたり、設定を変更したりすることは避けます。検査要領や建物の設備構成に従い、資格者や専門担当者が所定の方法で確認することが重要です。 また、一つの防火扉だけを見ていると、連動系統側の異常を見逃す場合があります。同じ系統の複数設備で似た現象が確認された場合には、個別の扉だけでなく共通する制御側の状況も確認対象となり得ます。一方、一か所だけで発生している場合には、その扉周辺固有の原因も考えます。 十二条点検の実務では、こうした切り分けを記録に残しておくと、その後の調査が進めやすくなります。「所定の作動確認を行ったが閉鎖を開始しない」「閉鎖動作は開始したが途中で停止」「作動後に枠へ接触して完全閉鎖しない」といった形で、どの段階まで確認できたのかを記録します。 防火設備定期検査では、随時閉鎖式の防火設備について、設備の種類や方式に応じて閉鎖・作動や連動機構などを確認します。常閉防火扉と随時閉鎖式の防火扉を区別し、それぞれに定められた検査項目と方法に従うことが重要です。 なお、防火設備は火災時の安全に関係するため、不具合を確認した場合には管理責任者などへ速やかに共有します。どのような暫定措置を取るべきかは建物の防火管理体制や設備構成、不具合の内容によって異なるため、必要に応じて資格者や専門担当者の判断につなげます。

対処法4 応急対応で終わらせず記録と是正につなげる

防火扉が閉まらない原因を確認できても、その場で一度閉まるようになっただけで問題が解消したと決めつけるのは避けたいところです。十二条点検では、確認した現象を記録し、資格者による判定や必要な是正、その後の再確認へつなげることが重要です。 例えば、床に置かれていた物品を移動したことで扉が閉まるようになった場合を考えます。現象自体は解消していても、その場所が日常的な荷物置場になっていれば、点検後に再び同じ状態になる可能性があります。原因を一時的に取り除いただけなのか、再発防止まで対応できているのかを分けて考える必要があります。 扉本体や枠、支持部分などに異常がある場合も同様です。人が押せば閉まるというだけでは、所定の作動条件で正常に閉鎖できることの確認にはなりません。設備本来の作動方法で閉鎖できる状態かを確認し、必要であれば修理や調整につなげます。 不具合を記録するときは、位置を特定できる情報が重要です。建物名だけではなく、階、区画、廊下や室の名称、設備番号など、後日別の担当者が同じ防火扉を特定できる情報を残します。 次に、現象を記録します。「閉まらない」だけではなく、「閉鎖終端付近で枠に接触する」「所定の作動確認をしても閉鎖を開始しない」「二枚扉の一方が接触する」といった具体的な状態を残します。数値を記録する場合は、適切に測定した値と目測を区別することも大切です。 写真を残す場合には、全景と近接の両方を意識すると後から状況を判断しやすくなります。近接写真だけでは、どの扉のどの位置なのか分からなくなることがあります。反対に全景だけでは、小さな変形や接触跡が確認しにくくなります。場所が分かる写真と症状が分かる写真を対応させると、是正担当者へ伝わりやすくなります。 点検後に修理や調整が行われた場合は、是正前後を同じ観点で比較できるようにします。是正前には途中で停止していた扉について、是正後に所定の方法で閉鎖できることを確認できれば、対応の追跡がしやすくなります。 検査結果の判定や報告書への記載方法については、現行の告示、検査結果表、建築物所在地の特定行政庁の運用などに従う必要があります。現場担当者だけで報告上の判定を決めつけず、資格者による判断につなげることが重要です。

防火扉が閉まらない原因を現象別に整理する

防火扉の閉鎖不良は、発生している現象を整理すると原因を探しやすくなります。点検時には閉まるか閉まらないかだけではなく、どの段階で異常が生じるのかを見ることがポイントです。 所定の作動確認をしてもまったく閉鎖を開始しない場合には、設備方式に応じて保持状態や連動機構などを確認します。物理的な固定が見当たらず、随時閉鎖式で作動開始自体が確認できない場合には、感知や連動に関係する系統も確認対象となります。 途中までは動くものの、一定の位置で止まる場合には、扉の閉鎖軌跡上の障害物や枠との接触を確認します。毎回ほぼ同じ位置で停止するのであれば、その付近で機械的な抵抗が生じていないかを見ると原因を絞り込みやすくなります。 最後だけ閉まらない場合には、閉鎖終端付近の接触を重点的に確認します。枠との位置関係、床面、扉同士の接触部分などが候補になります。人が押し込めば閉まる場合でも、所定の作動では完全閉鎖できないのであれば、正常と決めつけず原因を確認します。 状態が一定しない場合にも注意します。建物の使用状況や物品の配置、周辺仕上げの状態など、複数の条件が関係している可能性があります。一度の確認で不具合を再現できなかった場合でも、過去の管理記録に同様の現象が残っていれば、その情報を資格者へ共有することが有効です。 点検時に閉まったという事実と、継続して正常に作動すると評価することは同じではありません。過去の点検記録や施設管理記録に同じ設備の指摘がないか確認すると、断続的な不具合の把握に役立ちます。

十二条点検で避けたい防火扉への対応

防火扉の閉鎖不良を見つけたとき、早く直そうとしてその場で安易な加工や調整を行うことは避けたい対応です。防火設備は安全機能に関係し、仕様や認定内容との関係もあるため、原因を十分に確認せず変更を加えるべきではありません。 例えば、枠に擦れる部分を安易に削る、閉鎖装置の設定を独自に変更する、取付位置を現場判断だけで動かすといった対応には注意が必要です。一時的に動きが改善しても、防火設備として必要な性能や仕様が維持されているかは別に確認する必要があります。 また、閉鎖動作に問題があるからといって独自に調整し、閉鎖時の動きを大きく変えることも適切とは限りません。正常作動の確認と修理・調整を区別し、修理が必要な場合には設備の仕様を確認したうえで専門的に対応します。 連動設備についても同様です。点検のためだからと配線や制御部分を独自に操作すると、本来とは異なる状態になったり、復旧漏れにつながったりするおそれがあります。建物ごとに設備構成が異なるため、所定の検査手順に従って作業することが必要です。 さらに避けたいのが、不具合の事実を口頭だけで伝えて終えることです。防火扉が多数設置されている施設では、「3階の扉が閉まりにくい」と伝えるだけでは、後から対象設備を特定できない可能性があります。 設備番号、設置位置、写真、現象、確認日時などを組み合わせ、後日でも対象を特定できる状態にしておくことが重要です。不具合を発見した担当者と修理を担当する人が異なることを前提に記録を作ると、情報の抜けを減らせます。

点検写真と位置情報を残して再確認しやすくする

防火扉の点検では、写真記録の整理がその後の作業効率に影響します。防火扉は外見が似ているものが連続して設置されている場合もあり、写真だけを大量に撮影すると、後からどの場所の写真なのか分からなくなることがあります。 そこで、撮影時点から設備位置との対応を意識します。建物、階、通路、室名、設備番号などを決められたルールで記録し、その情報と写真を紐付けます。 全景写真では、周囲の壁や通路、設備番号など位置を判断できる要素を適度に含めます。近接写真では、扉と枠の接触部、変形箇所、固定状態など、問題となっている部分が分かるように撮影します。 閉鎖途中で止まる現象は、一枚の写真だけでは伝わりにくい場合があります。その場合には、作動前、閉鎖途中、停止位置などを順序が分かる形で記録すると、後から状況を確認しやすくなります。ただし、安全確保を優先し、点検や撮影のために人を扉の作動範囲など危険な位置へ立たせないことが重要です。 写真ファイルと報告書を別々に管理すると、時間がたつほど対応関係が分かりにくくなります。そのため、現場で取得した情報をできるだけ早い段階で設備位置と紐付けておくことが効果的です。 修理後の再確認では、是正前と同じ設備を確実に特定できる仕組みがあると便利です。設備位置が曖昧なままだと、似た隣の扉と取り違えるおそれがあります。 十二条点検は継続的な維持管理につながる業務でもあります。前回指摘された扉がどこにあり、どのような状態だったのかを確認できる記録を残しておけば、次回の定期調査・検査や施設管理にも活用できます。

日常管理で防火扉の不具合を減らす

防火扉の機能は、定期点検の日だけ管理すればよいものではありません。日常の建物運用と関係しているため、普段から閉鎖を妨げる状態を作らないことが、火災時の安全確保につながります。 特に重要なのが、扉周辺を物置化しないことです。通常は人通りの少ない通路やバックヤードでは、一時的に置いた荷物がそのまま常態化することがあります。防火扉の閉鎖範囲へ物品を置かない運用を施設内で共有しておくことが大切です。 施設管理者などが日常の巡回時に、閉鎖範囲に物品がないか、常閉防火扉が不適切に固定されていないかなどを確認することは、閉鎖障害の早期把握に役立ちます。テナントなどが入る施設では、設備周辺の管理ルールを関係者へ共有しておくことも重要です。 日常的に通行に使う防火扉については、開閉時の変化が不具合を把握する手掛かりになる場合があります。以前より動きにくい、擦れる音がする、閉鎖途中で止まることがあるなどの変化を確認した場合には、施設管理記録へ残し、必要に応じて専門担当者へ相談します。 こうした変化を記録しておけば、十二条点検時に検査担当者へ共有できます。「以前からときどき止まる」という情報は、検査時に一度正常に動いた場合にも原因確認の参考になります。 工事や改修後も注意が必要です。床材の更新、壁仕上げの変更、設備や備品の追加など、防火扉そのものを工事していなくても、周囲の条件が変わることで閉鎖に影響する場合があります。扉付近の工事後には、閉鎖軌跡を妨げる状態が生じていないか確認することが大切です。

十二条点検の防火扉確認を効率化するポイント

多数の防火扉を確認する施設では、現場で迷わない仕組みづくりが重要です。点検当日に一枚ずつ場所を探していると、確認漏れや設備の取り違えにつながる可能性があります。 事前準備として有効なのが、図面と設備位置の照合です。どの階のどの位置に防火扉があり、常閉防火扉なのか随時閉鎖式なのか、設備番号は何かといった情報を確認しておきます。 令和7年7月1日施行の制度見直しでは、従来、特定建築物定期調査で確認していた常閉防火扉に係る項目が防火設備定期検査へ移され、防火設備定期検査における対象は原則として各階の主要な常閉防火扉に整理されています。国土交通省の技術的助言では、各階の主要な常閉防火扉として、原則、避難経路に設けられたもの、吹抜けに面して設けられたもの、日常の通行が多く開閉作動の頻度が高いものが示されています。また、安全上必要なものとして、前回検査しなかったものや前回指摘があったものを対象とすることも考えられています。 ただし、実際に定期報告の対象となる建築物や防火設備、報告時期などは、法令に加えて特定行政庁の指定や運用を確認する必要があります。過去の点検表だけを機械的に踏襲せず、現行制度と所在地の取扱いを確認したうえで計画することが重要です。 現場では、点検順路も決めておくと漏れを減らしやすくなります。階ごとに一定方向へ進み、確認済み設備をその場で記録する方法であれば、戻り作業や重複確認を抑えやすくなります。 指摘が発生した際には、その場で位置、状態、写真を紐付けることが重要です。現場終了後に大量の写真を見返して位置を推測する方法では、似た扉が多い建物ほど整理に時間がかかり、取り違えの原因にもなります。 十二条点検の効率化とは、単に一枚あたりの確認時間を短くすることではありません。確認漏れを抑え、異常箇所を確実に特定し、報告から是正、再確認までの情報をつなげることが重要です。

まとめ

十二条点検で防火扉が閉まらない状態を確認した場合は、まず障害物や人為的な固定がないかを確認し、次に扉本体、枠、支持部分、閉鎖に関係する装置などの物理的な状態を見ていきます。随時閉鎖式の場合には、扉そのものと保持・感知・連動に関係する部分を分けて考え、どの段階で作動が止まっているのかを切り分けることが重要です。 そして大切なのは、その場で一度閉まるようになっただけで問題が解消したと決めつけないことです。発生場所、症状、確認条件、写真などを記録し、資格者による判定や必要な修理、専門的な確認につなげます。是正後には同じ設備を再確認できるようにしておくことで、不具合が解消したかを追跡しやすくなります。 防火扉は、火災時の延焼拡大を抑え、避難安全を確保するうえで重要な設備です。十二条点検では「扉があること」だけを見るのではなく、「所定の条件で閉鎖できるか」「閉鎖を妨げる状態がないか」「確認した不具合が適切に記録され、是正につながっているか」という流れで確認することが大切です。 一方、多数の防火扉を点検する現場では、写真と設備位置の整理だけでも大きな負担になります。現場で取得した位置に関する情報や写真、確認記録を一か所にまとめ、後から対象設備を特定しやすい環境を整えることは、点検記録の管理にも役立ちます。十二条点検の現場記録や位置管理をさらに効率化したい場合は、LRTK Phoneの活用も選択肢の一つです。

現場を3Dで残して、あとから測る。
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