LRTKレフィクシア株式会社

溶接加工依頼でブローホールを防ぐ6つの確認事項|前処理と施工条件を見直す

溶接加工を外部の加工会社に依頼する際、特に注意したい品質不良の一つがブローホールです。ブローホールは、溶接金属の内部や表面に気孔が形成される欠陥であり、発生位置や大きさ、分布によっては継手の強度、気密性、耐久性などに影響する可能性があります。外観だけでは確認できない場合もあるため、完成後の検査だけに頼らず、加工前の段階から発生要因を管理することが重要です。

ブローホールの発生には、母材表面の油分や水分、さび、めっき層、塗装、シールドガスの状態、溶接条件など、複数の要因が関係します。特に外注加工では、依頼者が想定している前処理と加工会社が通常実施している作業に違いがあると、必要な管理が抜け落ちることがあります。

例えば、図面には溶接位置と寸法だけが指定されていても、表面処理の状態や清掃範囲、溶接環境、検査方法まで明確になっているとは限りません。その結果、加工後に気孔が発見され、補修や再製作、追加検査が必要になることもあります。

こうした問題を減らすには、依頼前に確認すべき事項を整理し、加工会社と具体的な施工条件を共有することが有効です。

本記事では、溶接加工依頼でブローホールを防ぐために確認したい6つの事項について、前処理、材料管理、シールドガス、継手設計、溶接条件、検査まで実務的な視点から解説します。品質の安定した溶接加工を依頼したい調達担当者、設計担当者、品質管理担当者の方は、加工会社との打ち合わせや発注仕様の整理に役立ててください。

ブローホールが発生する仕組みと溶接加工依頼での注意点

ブローホールとは、溶接時に溶融した金属の内部に発生した気体が、金属の凝固までに十分排出されず、気孔として残ることで生じる溶接欠陥です。溶接部の表面に開口する場合もあれば、内部に閉じ込められて外観からは確認できない場合もあります。

気孔の形成には、溶接金属に溶け込んだ気体が凝固過程で析出する現象や、汚れや被覆材などから発生した気体が溶融池に取り込まれる現象などが関係します。気孔の大きさや分布は材料、溶接方法、施工条件によって異なります。

例えば、母材表面に油分や水分が付着している場合、溶接熱によって生じた気体や水素などが気孔形成の要因になることがあります。また、ガスシールド溶接では、周囲の空気が溶融池に入り込むことで気孔が発生しやすくなる場合があります。

ただし、ブローホールの原因を一つに決めつけることはできません。炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金などでは、気孔形成に関係する気体や材料表面の状態が異なります。同じ溶接方法でも、板厚や継手形状、溶接姿勢によって適切な管理条件は変わります。

ブローホールが品質上の問題になるかどうかも、製品の用途によって異なります。一般的な構造部品と、気密性が必要な容器や配管、繰り返し荷重を受ける部品では、許容される欠陥の条件が同じとは限りません。

そのため、溶接加工を依頼する際は、単に「ブローホールを発生させないこと」と伝えるだけでは不十分です。対象製品に必要な品質水準、適用する検査方法、合否判定基準、施工時の管理項目を明確にする必要があります。

特に重要なのは、完成後の検査と製造工程での予防管理を分けて考えることです。検査は発生した欠陥を発見するために必要ですが、それだけで欠陥の発生を防げるわけではありません。

加工会社を選定する段階で、前処理から施工、検査、異常発生時の対応まで一貫して説明できるかを確認することが、ブローホール対策の出発点になります。

確認事項1:母材表面の油分・水分・さびを適切に除去できるか

ブローホール対策で最初に確認したいのが、溶接前の母材表面の清浄度です。母材に油分、水分、さび、切削液、粉じんなどが残っていると、溶接時の加熱によって気体が発生したり、溶融池に不純物が混入したりする原因になります。

特に機械加工後の部品では、加工面に切削油や洗浄液が残っていることがあります。外観がきれいに見える部品でも、溝や穴、重ね合わせ部分などに液体が残留している可能性があるため、表面だけを確認して判断しないことが重要です。

溶接加工を依頼する際は、加工会社がどの段階で脱脂や清掃を行うのか、どの範囲を処理するのか、処理後の状態をどのように確認するのかを具体的に聞いておきます。

脱脂では、対象材料と汚れの種類に適した洗浄方法を選ぶ必要があります。洗浄剤を使用する場合は、材料との適合性や安全性に加え、洗浄剤自体が残留しないことも重要です。洗浄剤の種類によっては、溶接熱との組み合わせで有害な分解生成物が発生するおそれがあるため、適切な取り扱いが欠かせません。

また、水洗いを伴う工程では、洗浄後の乾燥状態を確認する必要があります。表面に目立つ水滴がなくても、袋状の構造や狭い隙間に水分が残っている場合があります。こうした部分を溶接で閉じると、加熱時に発生した気体の逃げ道が限られる可能性があります。

さびの除去も重要です。鋼材表面に発生したさびや腐食生成物は、溶接部の品質に影響する場合があります。研削やブラッシングなどで除去する場合は、必要な範囲を確保するとともに、除去作業で発生した粉じんや研磨材の残留にも注意します。

ただし、必要以上に研削すると、母材の寸法や板厚、継手形状が変化する場合があります。寸法精度が求められる製品では、除去範囲と仕上げ状態を事前に取り決めることが必要です。

もう一つ見落としやすいのが、清掃後から溶接開始までの管理です。前処理が適切でも、その後の保管や搬送で油分や水分が再付着すれば、清掃の効果が損なわれることがあります。

例えば、清掃済みの材料を汚れた作業台に置いたり、素手で溶接予定箇所に触れたり、湿度の高い環境で長時間放置したりすると、表面状態が変化する可能性があります。

依頼者としては、前処理の実施有無だけでなく、前処理完了から溶接までの保管方法、取り扱い手順、再清掃が必要になる条件も確認したいところです。

清浄度を数値で管理する必要がある製品では、対象材料や要求品質に応じて具体的な確認方法を定めます。一般的な目視確認で十分な場合もあれば、洗浄状態の追加評価が必要な場合もあります。

母材表面の状態を安定させるには、洗浄方法、実施タイミング、確認者、再汚染防止の管理を一連の作業として考えることが重要です。

確認事項2:めっき・塗装・酸化皮膜の前処理方法が明確か

溶接対象の材料にめっきや塗装、酸化皮膜などが存在する場合は、通常の脱脂や清掃だけでは十分な対策にならないことがあります。

例えば、亜鉛めっきされた鋼材では、溶接熱によって亜鉛が蒸発し、発生した蒸気が溶接部の気孔形成に関係する場合があります。特に重ね継手などで気体が抜けにくい構造になっている場合は、施工方法や継手設計にも配慮が必要です。

塗装された材料でも、塗膜や下地処理剤が加熱によって分解し、気体を発生させる可能性があります。塗膜の一部が溶接予定箇所に残っているだけでも、条件によっては溶接欠陥の原因になります。

このため、めっき材や塗装材の溶接加工を依頼する際は、処理層の種類、厚さ、溶接予定位置、除去範囲を加工会社に伝えることが重要です。

ただし、めっきや塗装をすべて除去すればよいというわけではありません。これらの表面処理には防食などの目的があり、除去後には必要に応じて補修や再処理が必要になります。

また、製品の構造や使用環境によっては、表面処理を残した状態で施工することを前提に、専用の施工条件や継手構造を検討する場合もあります。その場合は、適切な施工実績や評価結果があるかを確認し、一般的な無処理材と同じ条件で依頼しないことが大切です。

アルミニウム合金では、表面の酸化皮膜や水分の管理も重要です。アルミニウムは表面に酸化皮膜を形成しやすく、その表面に水分や汚染物が存在すると、水素に起因する気孔の発生に関係することがあります。

そのため、アルミニウム合金の溶接では、材料や施工方法に適した清掃と酸化皮膜の管理が必要です。清掃工具の使い分けも重要で、異なる材料に使用した工具を共用すると、異物の持ち込みにつながる可能性があります。

酸化皮膜の除去方法や除去時期は、溶接方法や材料状態に応じて選定します。清掃後に長時間放置すると表面状態が変化する場合があるため、前処理から施工までの時間管理も検討したい項目です。

ステンレス鋼などの場合も、表面に付着した異物や油分、加工時の汚染が溶接品質に影響することがあります。素材ごとに必要な前処理が異なるため、加工会社が材料の特性に応じた取り扱いを行っているか確認します。

さらに、表面処理材の溶接では、発生するヒュームやガスへの安全対策も欠かせません。換気、局所排気、適切な保護具、作業方法の検討など、労働安全上の管理と溶接品質の管理を両立させる必要があります。

依頼段階で確認したいのは、表面処理の有無だけではなく、どの処理層をどの範囲で除去し、除去後の状態をどう確認し、必要な防食性能をどの工程で回復するかという一連の取り決めです。

この内容が不明確なままでは、加工会社ごとに前処理の判断が異なり、完成品の品質にもばらつきが生じる可能性があります。

確認事項3:シールドガスと溶接環境を適切に管理できるか

ガスシールド溶接では、溶接中の溶融池を周囲の大気から保護するためにシールドガスを使用します。この保護が不十分になると、空気中の成分が溶融池やアーク周辺に入り込み、ブローホールなどの溶接欠陥が発生する原因になる場合があります。

そのため、溶接加工を依頼する際には、使用するガスの種類だけでなく、ガス供給設備、流量、トーチ周辺の状態、作業環境まで確認する必要があります。

シールドガスには、材料や溶接方法に応じてアルゴン、二酸化炭素、これらを含む混合ガスなどが使用されます。ただし、どのガスが適切かは母材、溶加材、溶接方法、要求品質によって異なります。

依頼者がガスの種類を一方的に指定するのではなく、加工会社が選定理由と適用条件を説明できるか確認することが実務的です。

ガス流量も重要な管理項目です。流量が不足すると、溶融池を十分に保護できなくなる可能性があります。一方で、流量を必要以上に大きくすると、ノズル周辺の流れが乱れ、周囲の空気を巻き込む場合があります。

したがって、ブローホール対策として単純にガス流量を増やす方法は適切とは限りません。トーチの形状、ノズル径、溶接姿勢、作業場所などに応じた条件設定が必要です。

ガス供給系統の点検も欠かせません。ホースの接続不良や漏れ、配管の異常、ノズルへのスパッタ付着などがあると、安定したシールドが得られなくなる可能性があります。

設備が正常に作動していても、トーチ先端と母材の距離や角度が変われば、溶融池を保護する状態が変化します。作業者の操作条件と設備の管理条件を合わせて確認することが重要です。

屋外や開放された工場で溶接する場合は、風の影響にも注意します。周囲の送風機や換気設備、出入口から流れ込む風などによってシールドガスが乱れることがあります。

風対策には、防風設備の設置や作業位置の調整などが考えられます。ただし、防風を優先するあまり換気が不足すると、作業者が溶接ヒュームなどにばく露する危険があります。品質確保と安全な換気を両立できる設備配置が必要です。

特に現地施工を含む溶接加工依頼では、加工会社の工場内と施工現場で環境条件が異なります。工場で安定した品質を確保できる条件が、そのまま屋外でも成立するとは限りません。

現地施工の場合は、施工場所、風の影響、電源設備、作業姿勢、防風設備の設置可否などを事前に共有すると、必要な施工計画を立てやすくなります。

また、溶接開始時や終了時のガス供給状態も重要です。溶接方法によっては、アーク発生前や停止後のガス供給が品質に関係します。始端や終端に欠陥が集中する場合は、こうした設定を確認する必要があります。

加工会社に対しては、ガスの選定基準、流量管理方法、供給系統の点検、ノズル清掃、風対策、異常発生時の停止判断などを確認しておくとよいでしょう。

重要なのは、溶接条件を一度設定するだけでなく、作業中も安定したガスシールド状態を維持できる管理体制があるかどうかです。

確認事項4:継手形状・開先・仮付け条件を確認しているか

ブローホールの防止には、材料表面や施工条件だけでなく、溶接する部品同士の組み合わせ方も関係します。

継手形状や開先、部品間の隙間、仮付け位置などによって、溶融池の状態や気体の排出しやすさ、溶接トーチの操作性が変わるためです。

例えば、重ね継手では、部品の重なり部分に油分や水分、表面処理層が残っている場合があります。加熱によって発生した気体が接合部に流入すると、気孔形成に関係する可能性があります。

こうした構造では、溶接直前に外側を清掃するだけでは、重ね合わせ部分の汚染を十分に除去できないことがあります。必要に応じて組立前の清掃や乾燥を行い、その状態を維持する管理が重要です。

開先形状も確認したい項目です。開先角度、ルート間隔、ルート面の寸法などは、溶接金属の溶込みや溶融池の形成に影響します。

隙間が狭すぎる場合は、溶接方法によって適切な溶込みや施工が難しくなることがあります。一方で、隙間を必要以上に大きくすると、溶落ちや変形など別の問題につながる可能性があります。

そのため、ブローホール対策だけを目的として隙間や開先寸法を変更するのではなく、必要な溶込み、継手強度、施工性を総合的に考える必要があります。

仮付け溶接の品質も見逃せません。仮付け部分に欠陥や汚れがあると、本溶接時に欠陥が残ったり、別の不具合の起点になったりする場合があります。

仮付けを本溶接に取り込む場合は、仮付け部の品質や施工条件を管理し、必要に応じて清掃や整形を行います。仮付け位置と本溶接の順序についても、あらかじめ加工会社と確認しておくことが望まれます。

また、溶接姿勢によって溶融池の保持状態や操作条件が変わります。下向きで施工できる部品と、立向きや上向きで施工する必要がある部品では、採用する条件や施工難易度が異なります。

治具を使用して部品の向きを調整できる場合は、溶接姿勢の安定化に役立つことがあります。ただし、治具で強く拘束すると、溶接収縮による応力や変形への影響も考慮する必要があります。

中空部品や閉じた空間を持つ構造では、内部の気体や残留物にも注意が必要です。加熱による内圧上昇や残留物からの可燃性ガス発生などの危険があるため、密閉部を安易に溶接してはいけません。

必要な通気構造や安全措置については、設計上の要求と安全性を確認し、関係者の承認を得て決定します。

依頼者として重要なのは、図面上で溶接位置を指定するだけで終わらせないことです。接合面の状態、組立順序、開先寸法、仮付け条件、トーチの接近性まで確認することで、ブローホールが発生しにくい施工計画を検討できます。

特に新規形状の部品では、量産や継続発注の前に試作品で施工性を確認し、必要に応じて設計側と製造側で調整することが有効です。

確認事項5:溶接電流・電圧・速度などの施工条件を管理しているか

溶接加工の品質を安定させるには、溶接電流、アーク電圧、溶接速度などの施工条件を適切に設定し、その条件を継続して管理することが重要です。

これらの条件は、溶込み、溶融池の大きさ、アークの安定性、熱の加わり方などに影響します。条件が適切でない場合、発生した気体が十分に排出されないまま凝固したり、溶融池が不安定になったりして、気孔形成に関係することがあります。

ただし、ブローホールを減らすために電流や電圧を一律に増減すればよいわけではありません。

例えば、溶接速度を変更すると、溶融池の形状や凝固過程が変化します。しかし、速度を遅くしすぎると熱の影響が大きくなり、変形や過大な溶込みなど別の問題が発生する場合があります。

反対に、速度が速すぎると、溶込み不足やビード形状の不良などが生じる可能性があります。気孔への影響も材料や溶接方法によって異なるため、適切な施工条件を総合的に評価する必要があります。

溶接電流や電圧についても同様です。数値だけでなく、溶接ワイヤの送給状態、アーク長、トーチ角度、母材との距離などが安定しているかが重要になります。

半自動溶接では、ワイヤ送給の不安定さや給電状態の異常がアークの乱れにつながることがあります。設備の点検と消耗部品の管理を行い、異常がある状態で施工を継続しない仕組みが必要です。

依頼者が確認したいのは、加工会社がどのような基準で溶接条件を設定しているかという点です。

過去の類似製品で使用した条件を参考にする場合でも、母材の材質、板厚、継手形状、溶接姿勢が異なれば、そのまま適用できるとは限りません。

新規部品や要求品質の高い部品では、試験施工や初品評価によって条件の妥当性を確認することが望まれます。必要に応じて、承認された溶接施工要領に基づいて作業を進めることも重要です。

また、多層盛り溶接では、各パス間の清掃や施工条件の維持が必要です。前のパスに発生した欠陥を確認しないまま次のパスを重ねると、内部に欠陥を残すおそれがあります。

始端や終端、溶接を中断した位置も注意したい部分です。アーク開始時の不安定な状態や終端処理が不十分な場合、局所的に欠陥が発生する可能性があります。

そのため、加工会社が始端・終端処理、継ぎ目処理、異常時の再開方法などを標準化しているかを確認します。

条件変更の管理も重要です。作業途中で電流や速度などを変更した場合、変更理由、変更内容、対象製品への影響を記録しておくことで、後から品質に問題が発生した際の原因調査が容易になります。

特に複数の作業者や設備で同じ製品を加工する場合は、標準条件と実際の施工条件に違いがないか確認する仕組みが必要です。

ブローホール対策では、経験豊富な作業者の技術も重要ですが、個人の感覚だけに依存しない工程管理が品質の再現性を高めるうえで役立ちます。

確認事項6:溶接材料の保管と予熱・パス間管理が適切か

最後に確認したいのが、溶接材料の取り扱いと温度管理です。母材表面が清浄で、設備や溶接条件が適切でも、溶接材料の状態によっては欠陥発生のリスクが高まることがあります。

溶接棒や溶接ワイヤ、フラックスなどには、材料ごとに適切な保管条件や使用条件があります。湿気や汚れ、保管状態の悪化などが溶接品質に影響する場合があるため、加工会社の材料管理体制を確認することが重要です。

特に被覆アーク溶接棒やフラックスを使用する溶接方法では、吸湿管理が重要になる場合があります。材料の種類によっては、吸湿によって溶接金属中の水素量が増加し、気孔や割れなどの欠陥に関係することがあります。

ただし、吸湿とブローホールの関係は溶接方法や材料によって異なり、吸湿が問題になるすべてのケースでブローホールが発生するわけではありません。水素に起因する低温割れなど、別の欠陥への影響も考える必要があります。

溶接材料の乾燥や保管については、材料の種類と製造元が示す取り扱い条件、適用する施工要領に従うことが基本です。

乾燥温度や乾燥時間を一律に設定することは適切ではありません。材料によっては、不適切な加熱によって性能が損なわれる可能性もあります。

ワイヤを使用する場合も、表面のさびや油分、粉じんなどが溶接品質に影響する可能性があります。開封後の保管、長期保管品の取り扱い、使用前確認の方法を明確にしておくと安心です。

また、溶加材の種類が母材に適合しているかも重要です。材料の組み合わせによって、溶接金属の成分や凝固特性、必要な施工条件が変わります。

依頼者は、母材の材質や要求性能を正しく伝え、加工会社が適切な溶接材料を選定できるようにする必要があります。材料を変更する場合は、品質への影響を確認したうえで承認する仕組みが望まれます。

予熱についても確認が必要です。予熱は材料や板厚、拘束状態などに応じて、冷却速度の制御や割れ防止などを目的に実施されることがあります。

一方で、予熱を行えばブローホールを確実に防げるわけではありません。適切な予熱条件は材料や溶接方法によって異なり、不要な予熱や過大な加熱は別の品質問題につながる可能性があります。

温度管理では、作業環境と母材表面の状態も重要です。例えば、温度差によって母材表面に結露が発生すると、水分が溶接部に持ち込まれるおそれがあります。

湿度が高い環境や寒暖差の大きい場所で施工する場合は、母材の保管状態、結露の有無、必要な乾燥措置を確認します。

多層盛り溶接では、パス間温度の管理も必要になる場合があります。適切な温度範囲を維持することは、溶接金属や熱影響部の性質を管理するうえで重要です。

ただし、パス間温度もブローホール対策だけで決めるものではありません。材料の特性、溶接施工要領、必要な機械的性質を踏まえて設定する必要があります。

加工会社を評価する際は、溶接材料の識別、保管、使用前確認、乾燥管理、温度記録などについて説明を受けると、品質管理の実態を把握しやすくなります。

材料の管理と施工条件の管理を結び付けることで、同じ製品を継続して発注する場合にも品質の再現性を高めやすくなります。

溶接加工の依頼書に盛り込むべき品質管理情報

ブローホール対策を実際の溶接加工依頼に反映するには、加工会社との打ち合わせ内容を依頼書や製造仕様書に整理することが重要です。

口頭で「十分に清掃してください」「気孔に注意してください」と伝えるだけでは、清掃範囲や検査水準に対する認識が一致しない場合があります。

まず明確にしたいのは、母材の材質、板厚、形状、表面状態です。特にめっきや塗装、切削加工後の油分が存在する場合は、加工会社が前処理の必要性を判断できる情報を提供します。

次に、溶接位置、継手形状、開先寸法、組立状態、必要な溶込みなどを図面や仕様書で伝えます。溶接後に機械加工や表面処理を行う場合は、その工程との関係も共有することが重要です。

品質要求については、製品の用途と必要な性能を明確にします。例えば、外観を重視する部品、気密性が必要な部品、構造強度を重視する部品では、重点的に確認すべき項目が変わります。

単に「ブローホール不可」と記載しても、どの大きさや位置の気孔を不適合とするのかが明確でなければ、加工会社と依頼者の判定が異なる可能性があります。

そのため、必要に応じて適用する品質基準や検査基準を定め、対象とする欠陥の種類、許容範囲、検査範囲、判定方法を取り決めます。

検査方法についても事前に相談しておきたいところです。外観検査だけでよいのか、内部欠陥を対象とする非破壊検査が必要なのかによって、加工会社に求める設備や検査体制が異なります。

非破壊検査の実施には、対象材料や継手形状に適した方法の選定と、適切な技量を持つ検査担当者が必要です。要求水準に応じて、検査体制を確認します。

初めて依頼する製品では、試作や初品確認を活用する方法も有効です。量産や継続製作の前に、実際の溶接条件で製作した部品を評価し、気孔の発生状況や施工性を確認します。

このとき、完成品の合否だけでなく、実際に行った前処理や溶接条件を記録しておくことが重要です。良好な結果が得られた条件を共有すれば、次回以降の作業標準を設定する際の参考になります。

また、不適合が発生した場合の取り扱いも事前に決めておきます。補修溶接の可否、補修方法の承認、再検査の範囲、報告のタイミングなどが不明確だと、問題発生後の対応が遅れる可能性があります。

製品ごとに要求品質が異なるため、すべての依頼に同じ検査や記録を求める必要はありません。しかし、重要な品質項目については、依頼者と加工会社が同じ基準で判断できる状態を作ることが大切です。

加えて、作業前後の写真、施工位置、対象部品の識別情報、検査結果を関連付けて保存することで、後から状況を確認しやすくなります。

特に大型構造物や現地施工を含む案件では、溶接箇所が複数に分かれるため、記録と実際の施工位置を対応させる工夫が有効です。

ブローホール発生時の検査方法と再発防止の進め方

前処理や施工条件を適切に管理していても、ブローホールの発生を完全に防げるとは限りません。そのため、溶接加工依頼では、予防対策とともに検査方法や不適合発生時の対応を整えておく必要があります。

まず基本になるのは外観検査です。溶接ビードの表面に開口した気孔や、ピット状の欠陥がないかを確認します。また、ビード形状、アンダーカット、割れなど、気孔以外の欠陥についても確認することが重要です。

ただし、外観が良好でも内部に気孔が存在する可能性があります。外観検査だけで内部の健全性を保証することはできないため、製品に必要な品質水準に応じて検査方法を選定します。

内部欠陥の確認には、放射線透過試験などが使用される場合があります。放射線透過試験は、適切な条件下で内部の気孔などを画像として確認できる方法ですが、欠陥の方向や寸法、継手形状、撮影条件によって検出能力が変わります。

超音波探傷試験も内部欠陥の検査に利用されます。ただし、微小な気孔や気孔の分布をどの程度検出・評価できるかは、材料、板厚、表面状態、探傷方法などに左右されます。

そのため、どの検査方法が最適かは、対象製品と検出したい欠陥の種類を踏まえて判断する必要があります。

浸透探傷試験は表面に開口した欠陥の検出に用いられます。また、磁粉探傷試験は適用可能な強磁性材料の表面や表面近傍の欠陥検出に用いられます。これらの方法は、内部深くに存在するブローホールを直接確認する目的には適していません。

試作品の評価では、必要に応じて断面観察などの破壊検査を行う場合もあります。断面観察は、切断した位置における溶込みや内部欠陥の状態を確認するうえで役立ちます。ただし、確認できるのは観察した断面であり、製品全体の状態をそのまま保証するものではありません。

ブローホールが発見された場合は、まず検査結果を要求品質と照合し、適合か不適合かを判断します。すべての気孔を一律に不適合とするのではなく、適用する基準と製品用途に沿って判定することが重要です。

不適合と判断された場合には、発生位置、大きさ、分布、発生数量などを記録します。さらに、同じ条件で施工した他の製品や溶接箇所にも同様の欠陥が存在しないか、影響範囲を確認する必要があります。

補修が認められる場合は、承認された方法に従って欠陥部を除去し、必要な確認を行ってから補修溶接を実施します。表面の気孔を単に溶接金属で覆うだけでは、内部の欠陥が残る可能性があります。

補修後には、要求された検査方法で再評価し、合否を確認することが必要です。補修回数や補修可能範囲に制限がある製品では、その取り決めにも従います。

再発防止では、ブローホールの発生原因を推定だけで終わらせないことが重要です。

例えば、特定の作業時間帯に欠陥が集中する場合は、材料状態や設備条件、作業環境の変化を調べます。特定の継手位置に集中する場合は、トーチの接近性、継手構造、気体の発生源などを検討します。

また、同じ材料でも特定のロットで発生する場合は、材料の保管状態、表面状態、加工履歴、前処理条件などを確認します。

原因分析では、母材の汚染、表面処理、シールドガス、施工条件、材料管理など、複数の可能性を整理し、必要に応じて試験施工で仮説を検証します。

対策として条件を変更した場合は、その変更によってブローホールが減少したかだけでなく、溶込み不足、割れ、変形など別の品質問題が生じていないかも評価する必要があります。

有効性が確認できた対策は、作業標準や検査基準に反映し、関係する作業者へ共有します。

このように、欠陥の発見、影響範囲の確認、原因分析、是正、効果確認までを一連の管理として行うことで、同じ問題の再発リスクを低減しやすくなります。

まとめ|前処理と施工条件の共有で溶接品質を安定させる

溶接加工依頼でブローホールを防ぐためには、加工後の検査だけでなく、溶接前から品質を作り込む考え方が重要です。

特に確認したいのは、母材表面の清浄度、めっきや塗装などの前処理、シールドガスと作業環境、継手形状と仮付け、溶接電流や速度などの施工条件、溶接材料の保管と温度管理という6つの事項です。

これらの項目は、それぞれ独立しているわけではありません。例えば、母材表面の汚染が残っている状態では、溶接条件だけを調整しても十分な改善が得られない場合があります。また、前処理が適切でも、シールドガスが乱れれば気孔が発生する可能性があります。

したがって、個別の対策だけに頼るのではなく、材料の受入から前処理、組立、溶接、検査までを一つの工程として管理することが大切です。

外注先を選ぶ際には、過去の溶接実績や設備の有無だけでなく、どのように施工条件を決め、作業中の異常を把握し、不適合発生時に原因を調査するのかを確認しましょう。

特に継続的に発注する部品では、初品で確認した条件を記録し、次回以降も同等の条件で施工できる体制を整えることが品質の安定につながります。

また、依頼者側も、図面や仕様書で必要な品質要求を明確にし、加工会社が適切な施工方法を選定できる情報を提供する必要があります。品質管理は加工会社だけに任せるものではなく、依頼者と加工会社が共通の基準を持って進めることが重要です。

溶接箇所が多い製品や現地施工を伴う案件では、現場写真、施工位置、作業日、施工条件、検査結果などを一元的に整理することも有効です。記録が分散していると、欠陥が見つかった際に対象箇所や施工履歴を確認する作業が複雑になります。

こうした施工情報の管理には、現場写真・位置情報・施工記録を扱えるLRTK Phoneの活用も選択肢になります。溶接前の母材状態や前処理後の状況、施工箇所の写真などを位置情報や施工記録と関連付けて管理することで、関係者間の情報共有や施工履歴の確認を進めやすくなります。

なお、写真や位置情報の記録は内部ブローホールの検出や非破壊検査の代わりになるものではありません。必要な品質検査は別途適切に実施し、その結果と施工記録を対応させて管理することが大切です。

溶接加工の依頼では、欠陥が発生してから対処するだけでなく、発生要因を事前に確認し、適切な施工条件と記録管理を組み合わせることが、安定した品質と円滑な外注管理につながります。

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