LRTKレフィクシア株式会社

現物から部品製作で内部形状を把握する4つの非破壊測定法

図面が残っていない部品や、製造元から仕様情報を入手できない部品を再製作する場合、現物から形状を調べる方法が有効です。しかし、外観寸法だけを測定しても、部品の内部にある空洞、流路、肉厚の変化、隠れた穴などを正確に把握できるとは限りません。内部形状を確認しないまま加工を進めると、組み付け不良、強度不足、流体の通過不良、機能の再現不足などにつながる可能性があります。

特に、鋳造部品、配管接続部品、油圧機器の構成部品、複雑な切削部品では、外から見えない構造が製品の性能を左右することがあります。一方、内部を確認するために現物を切断してしまうと、貴重な部品を再利用できなくなるおそれがあります。

そこで役立つのが、現物を切断せずに内部の状態を調査する非破壊測定です。工業用X線CT、X線透過撮影、超音波測定、工業用内視鏡観察などを目的に応じて使い分けることで、内部構造についての情報を収集し、再製作に必要な設計判断につなげられます。

ただし、非破壊測定にはそれぞれ得意な対象と限界があります。測定画像が得られたことと、加工図面に使える精度で寸法が確定したことは同じではありません。

この記事では、現物から部品製作を進める実務担当者に向けて、内部形状を把握する4つの非破壊測定法の特徴、選定基準、測定結果から図面を作成する手順、加工・検査で失敗しないための注意点を詳しく解説します。

現物から部品製作で内部形状の把握が重要な理由

現物から部品製作を行う際、最初に取り組むのは外観形状の確認です。全長、外径、幅、高さ、取付穴の位置などは、測定器具や三次元測定機を使用して確認できる場合があります。しかし、外観寸法が一致していても、内部構造が異なれば本来の機能を再現できないことがあります。

例えば、内部に油路を持つ金属部品では、流路の位置や断面積、分岐部分の形状が流体の流れに影響します。外形だけを再現しても、内部の穴が途中でつながっていなかったり、必要な通路が狭かったりすると、流量や圧力損失が想定と異なる可能性があります。

鋳造部品では、外観から見えない中空部分や肉厚の変化が存在する場合があります。これらの構造を把握しないまま切削加工すると、工具が空洞に到達したり、必要な壁厚を確保できなくなったりすることがあります。

また、内部形状は部品の強度や重量にも関係します。軽量化のために設けられた空洞、荷重を支えるリブ、熱膨張を考慮した逃げ形状などは、外部からの観察だけでは判断できない場合があります。

現物から部品製作を依頼する際に注意したいのは、測定対象となる現物が必ずしも製造時の正常な状態ではないことです。長期間使用された部品には、摩耗、腐食、塑性変形、内部の堆積物などが発生している可能性があります。

例えば、内部穴の直径を測定できたとしても、その寸法が設計上の基準値なのか、使用中の摩耗によって拡大した結果なのかを区別する必要があります。現物の寸法をそのまま図面に反映すると、劣化した状態まで再現してしまうおそれがあります。

そのため、非破壊測定の目的は、単純に現物と同じ形状をコピーすることだけではありません。内部構造を把握したうえで、部品の用途、機能、使用環境、必要な精度を整理し、再製作に適した形状を決めることが重要です。

測定によって確認できる事実と、設計上の推定を区別することも欠かせません。測定できない部分を推測で補う場合は、その根拠と検証方法を明確にしておく必要があります。

非破壊測定法1:工業用X線CTによる三次元内部形状の測定

工業用X線CTは、現物の内部形状を三次元的に把握したい場合に有力な選択肢となる測定方法です。X線をさまざまな方向から照射し、透過情報をもとに内部の断面画像を再構成します。

複数の断面情報を組み合わせることで、現物を切断せずに内部の空洞、穴、流路、肉厚の分布などを立体的に確認できます。

特に、複雑な中空構造を持つ部品や、内部の穴が曲がっている部品では、工業用X線CTの特徴を活用しやすくなります。

例えば、外観からは入口と出口しか見えない流路でも、撮影条件が適切であれば、その間をつなぐ通路の形状や分岐位置を調べることができます。直線的な貫通穴だけでなく、曲がり部分や断面積が変化する部分についても、三次元情報を利用して確認できる場合があります。

現物から部品製作を行う際は、得られた三次元データをもとに、内部形状を設計データへ変換することも可能です。外形と内部形状を同じ座標系で扱えるため、穴の中心位置、外壁との距離、内部空洞の配置関係などを検討しやすくなります。

ただし、CTで得られる立体情報を、そのまま高精度な加工図面として使用できるとは限りません。画像の解像度、材質、X線の透過条件、形状の再構成処理によって、測定結果に誤差が生じる可能性があります。

特に注意が必要なのは、金属部品の測定です。材質や厚さによってX線の透過しやすさが異なり、厚肉部や高密度材料では画像の乱れが発生する場合があります。また、異なる材料が組み合わされた部品では、境界部分を明瞭に識別できないことがあります。

測定可能な部品の大きさにも制約があります。一般に、広い範囲を一度に撮影する条件と、細かな形状を高い空間分解能で確認する条件には両立しにくい面があります。そのため、大型部品に存在する微細な内部穴を、希望する精度で測定できるとは限りません。

測定を依頼する際は、単に三次元化できるかだけでなく、対象とする穴径や肉厚をどの程度の不確かさで評価できるかを確認する必要があります。

また、三次元画像を構成する最小単位の大きさと、実際の寸法測定精度は同一ではありません。細かな画像が得られていても、境界の判定方法や装置の校正状態によって寸法値が変化することがあります。

再製作で重要な寸法については、測定条件や不確かさを確認し、必要に応じて別の測定方法と照合することが望まれます。

工業用X線CTは、内部構造が複雑で、形状全体を立体的に再現する必要がある場合に適しています。ただし、測定対象の材質や寸法、必要な精度によって適用可能性が変わるため、事前評価が重要です。

非破壊測定法2:X線透過撮影による内部構造の確認

X線透過撮影は、現物にX線を照射し、透過したX線の強度分布から内部構造を画像として確認する方法です。

工業用X線CTと同じくX線を利用しますが、一般的なX線透過撮影では、内部の情報が撮影方向に重なった二次元画像として得られます。この点が、断面や三次元形状を再構成するCTとの大きな違いです。

現物から部品製作を行う際には、内部の穴や空洞がどの位置に存在するか、鋳造部品の内部にどのような中空部分があるかなどを把握する目的で活用できます。

例えば、金属ブロックの内部に複数の穴加工が施されている場合、適切な方向から撮影することで、穴の配置や延びる方向を推定できることがあります。

また、溶接部や鋳造部品の内部に存在する空隙など、X線透過画像上で識別できる不連続部を確認する用途にも利用されます。

ただし、撮影画像に写る影の大きさが、そのまま内部形状の実寸を示すわけではありません。撮影時の幾何学的な拡大や、部品の奥行き方向における位置によって、画像上の寸法が変わるためです。

さらに、一方向からの撮影では、奥行きの異なる複数の構造が重なって見えます。例えば、異なる深さにある二つの穴が同じ方向に配置されている場合、一つの複雑な影として認識される可能性があります。

このような問題を減らすため、複数の方向から撮影することがあります。正面方向と側面方向など、異なる角度の画像を比較することで、内部構造の位置関係を推定しやすくなります。

それでも、複数方向からの透過撮影だけで複雑な内部形状を完全に三次元復元できるとは限りません。特に、曲がった流路や入り組んだ空洞の正確な断面形状を求める場合は、工業用X線CTなどとの使い分けが必要です。

X線透過撮影が向いているのは、内部構造の有無、位置関係、連続性などを比較的簡潔に確認したい場合です。

例えば、製作前の調査段階で内部に空洞が存在するかを確認し、その結果によって詳細な三次元測定の必要性を判断する使い方が考えられます。

また、再製作後の部品に対して同じ撮影条件で透過画像を取得し、元の部品との構造上の違いを比較する方法もあります。ただし、画像上の一致だけで全寸法の適合を保証できるわけではありません。

X線透過撮影は、三次元形状の完全な再現よりも、内部配置の把握や構造の比較を重視する場合に適した方法です。なお、X線を使用するため、撮影は必要な安全管理体制を備えた設備と適切な手順のもとで実施する必要があります。

非破壊測定法3:超音波測定による肉厚と内部境界の把握

超音波測定は、部品の内部に超音波を伝え、その反射や伝搬に関する情報から内部の状態を調べる方法です。

現物から部品製作を行う場合、特に重要となるのが肉厚の測定です。外側から直接測定できない壁の厚さや、内部空洞までの距離を把握するための手段として利用できる場合があります。

一般的な超音波厚さ測定では、探触子から部品内部へ超音波を送り、反対側の面などから反射して戻るまでの時間を測定します。

材料中の音速が適切に設定され、対象となる反射面を識別できる条件では、超音波の往復時間から厚さを算出できます。

例えば、外観が同じように見える金属部品でも、内部に空洞がある場合は場所によって肉厚が変化していることがあります。複数の位置で厚さを測定すれば、肉厚の分布を調べる手掛かりになります。

鋳造部品のように肉厚が一定ではない構造では、測定位置を計画的に設定することが重要です。測定点が少ないと、局所的に薄くなっている部分を見逃す可能性があります。

また、内部の空洞や材料の境界面などから得られる反射情報を利用し、内部構造を評価する場合もあります。複数の探触子素子を使う方式や、走査によって測定結果を画像化する方式では、反射位置の分布を把握しやすくなることがあります。

ただし、超音波測定は、複雑な内部形状を常に正確な三次元モデルとして復元できる方法ではありません。

超音波の伝わり方は、材料の種類、組織、形状、表面状態によって変化します。鋳造組織が粗い材料や、内部に複数の反射面が存在する部品では、信号の減衰や散乱によって測定が難しくなる場合があります。

曲面部品では、探触子と表面の接触条件も重要です。適切な接触が得られないと、超音波を安定して部品内部へ伝えることが難しくなります。また、反射面が斜めになっていると、反射した超音波が探触子へ戻りにくくなることもあります。

肉厚測定では、材料中の音速設定を誤ると算出値に誤差が生じます。そのため、材質が不明な現物では、材料情報の確認や、厚さが既知の部分を使った校正・検証が必要になります。

例えば、現物の材質を外観だけで推定し、異なる材料の音速を設定すると、表示された厚さが実際の寸法と一致しない可能性があります。

超音波測定の利点は、部品の片側から接近できる条件でも、肉厚などを測定できる場合があることです。内部の測定対象によっては、X線撮影とは異なる情報が得られます。

一方、複雑な曲がり穴の経路や、入り組んだ内部空洞の全体形状を詳細に把握したい場合には、超音波測定だけでは情報が不足することがあります。

したがって、現物から部品製作を行う際は、肉厚、内部境界、局所的な異常の位置など、何を確認したいのかを明確にしたうえで適用を判断することが重要です。

非破壊測定法4:工業用内視鏡による穴内部と空洞の観察

工業用内視鏡は、小型の撮像部を持つ機器を既存の開口部や穴に挿入し、通常は直接見ることが難しい内部表面を観察する方法です。

現物を切断せずに内部を目視確認できるため、穴の奥にある段差、加工痕、曲がり部分、異物、腐食などを調べる用途で活用できます。

例えば、内部に長い流路を持つ部品では、入口から内視鏡を挿入することで、通路の状態を確認できる場合があります。

外側からは分からなかった段付き形状や、穴同士が交差する部分、加工によって残ったバリなどを確認できることがあります。

工業用内視鏡の特徴は、内部表面の状態を画像として観察できる点です。X線透過撮影では区別しにくい表面の加工痕や汚れについても、視野と照明条件が適切であれば確認できることがあります。

現物からの部品製作では、単純な寸法情報だけでなく、どのような加工によって形状が作られたかを推定することも重要です。

例えば、内部の穴底に切削工具による加工痕が確認できれば、穴加工の方向や加工方法を検討する手掛かりになります。ただし、加工痕だけで製造工程を断定することはできません。

一方、工業用内視鏡を使用するには、撮像部が対象箇所まで到達できる通路が必要です。入口の直径が小さい場合や、途中に急な曲がりがある場合は、目的の位置まで挿入できないことがあります。

また、内視鏡で観察できるのは、基本的に撮像部から見える内部表面です。壁の向こう側にある空洞や、視線が届かない部分の形状を直接確認することはできません。

寸法測定についても注意が必要です。通常の内視鏡画像から、穴径や段差の高さをそのまま正確に読み取れるとは限りません。

画像には撮影距離や視野角による影響があるため、同じ大きさの形状でも撮影位置によって見え方が変化します。

一部の工業用内視鏡には、複数の視点による計測や、光学的な三次元計測を利用できるものがあります。しかし、測定可能な範囲や精度は機器と撮影条件に依存するため、必要な寸法公差に対応できるかを個別に確認する必要があります。

特に、狭い通路の奥や反射の強い表面では、安定した寸法測定が難しくなる場合があります。

内視鏡観察を再製作に活用する場合は、画像とともに挿入位置、観察方向、撮影対象の位置関係を記録しておくことが重要です。

例えば、入口からどの程度の位置に段差があるのか、どの方向に分岐しているのかを整理しておけば、後工程で図面を作成する際の参考になります。

工業用内視鏡は、既存の開口部から内部へ接近でき、内面の状態や加工痕を確認したい場合に有効です。ただし、観察画像と寸法測定データを区別し、確認できた範囲だけを設計情報として扱うことが大切です。

4つの非破壊測定法を使い分ける判断基準

現物から部品製作を行う場合、どの非破壊測定法を選ぶかによって、得られる情報の種類が変わります。

重要なのは、測定方法の名称や装置の性能だけで判断するのではなく、再製作に必要な情報から逆算して選定することです。

例えば、内部の流路を三次元的に再現したい場合は、工業用X線CTが候補になります。内部の穴の中心位置、曲がり方、分岐形状などを立体的に把握できれば、加工方法の検討に役立ちます。

ただし、部品が大きい場合や、厚い金属部分が存在する場合は、希望する範囲を十分な品質で撮影できるかを確認する必要があります。

内部の空洞や穴のおおまかな配置を確認したい場合は、X線透過撮影が候補になります。三次元形状全体を求める必要がない場合には、目的を限定した撮影が有効なことがあります。

一方、内部の壁厚を調べたい場合は、超音波測定を検討できます。外側から測定できる条件であれば、部品を切断せずに複数箇所の厚さを確認できる可能性があります。

内部の加工状態や腐食、バリを観察したい場合は、工業用内視鏡が適しています。ただし、対象部分まで到達できる開口部と、十分な視野があることが前提です。

選定では、測定対象の材質も重要になります。金属、樹脂、複合材料などでは、X線の透過条件や超音波の伝搬特性が異なります。そのため、過去に別の材質で実施できた方法が、今回の現物にも同じように適用できるとは限りません。

さらに、必要な測定精度を整理する必要があります。

例えば、内部に空洞が存在することを確認するだけであれば、定性的な画像評価で目的を達成できる場合があります。しかし、内部穴の中心位置を厳しい公差で指定する場合は、寸法測定の不確かさまで評価しなければなりません。

部品のすべての内部形状に同じ精度を求める必要があるとも限りません。機能に直結する穴やシール面は重点的に確認し、それ以外の部分は必要な範囲で情報を取得する考え方が重要です。

実務では、複数の方法を組み合わせることで判断しやすくなる場合があります。

例えば、X線透過撮影で内部の穴配置を把握し、超音波測定で重要部分の肉厚を確認し、内視鏡で通路内のバリや加工状態を観察する方法が考えられます。

ただし、複数の方法を使えば自動的に測定精度が向上するわけではありません。それぞれの測定結果が、同じ位置や形状を示しているかを確認する必要があります。

測定方法の選定では、得られる情報、測定できない部分、必要な精度、現物へのアクセス条件を総合的に判断することが大切です。

測定前に確認すべき現物の状態と製作条件

非破壊測定を依頼する前には、現物の状態と再製作の目的を整理する必要があります。

最初に確認したいのは、対象部品がどのような設備や装置に使用されているかという点です。使用環境によって、内部形状に求められる条件が変わります。

例えば、流体を通す部品であれば、流路の断面形状や接続位置が重要になります。回転機械に使用する部品であれば、中心軸と内部形状の位置関係や、回転バランスに影響する構造を確認する必要があります。

荷重を受ける部品では、内部の肉厚や空洞が強度に影響する可能性があります。したがって、どの機能を再現したいのかを明確にし、その機能に関係する内部形状から優先的に測定することが重要です。

次に、現物の使用履歴を確認します。長期間使用された部品には、摩耗、腐食、変形などが発生している場合があります。新品時の状態が不明であれば、測定値が本来の設計寸法を示しているとは限りません。

例えば、内部流路が腐食によって拡大している場合、その形状をそのまま再現すると、設計上必要な肉厚を確保できない可能性があります。

反対に、内部に堆積物が付着している場合は、実際の流路よりも狭い形状として認識してしまうことがあります。

そのため、測定前に表面状態や内部の汚れを確認し、必要に応じて適切な清掃方法を検討することが大切です。ただし、清掃によって現物が傷ついたり、劣化の痕跡が失われたりすることもあるため、実施前に記録を残すことが望まれます。

また、測定対象が組立品なのか、単一部品なのかも確認する必要があります。

複数の部品が組み合わされた状態では、内部の境界が複雑になり、測定結果の解釈が難しくなることがあります。一方、分解によって組付位置が変化すると、本来の構造を再現するための情報が失われる可能性があります。

分解せずに測定するべきか、取り外し可能な部品だけを分離するべきかは、対象物の状態と測定目的から判断します。

さらに、現物を測定場所へ移動できるかも重要です。

大型設備に組み込まれた部品の場合、取り外しが難しいことがあります。その場合は、現地で実施可能な測定方法を検討する必要があります。ただし、現地で使用できる装置には測定範囲や設置条件の制約があるため、対象部品を取り外して専門設備で測定する方法との比較が必要です。

安全面についても、使用中の設備であれば、停止状態、残留圧力、残留電荷、温度、内部流体などを確認し、安全な状態で作業することが前提となります。

測定前の情報整理が十分であれば、依頼先も適切な測定方法を提案しやすくなります。現物の外観写真、用途、材質に関する情報、必要な数量、重要寸法、使用環境などを共有しておくことが、作業の手戻りを減らすことにつながります。

内部形状を測定して再製作につなげる具体的な手順

現物から部品製作を進める際は、非破壊測定を実施するだけでなく、得られた情報を設計と加工に利用できる状態へ整理することが重要です。

まず、現物の機能と測定対象を明確にします。

例えば、内部に油路を持つ部品を再製作する場合、流路の入口と出口、分岐位置、穴径、接続部の形状などを確認対象として設定します。

この段階では、すべての内部形状を同じ精度で測定しようとするのではなく、機能上重要な部分を特定します。

次に、外観形状の基準を決めます。

内部形状を測定できても、その位置を外形寸法と関連付けられなければ、加工図面を作成する際に問題が生じます。

例えば、内部穴の中心位置が分かっていても、どの外面を基準にした寸法なのかが不明であれば、加工時の位置決めに利用できません。

そこで、取付面、基準穴、中心軸など、再製作において重要な形状を基準として設定します。

その後、対象部品の材質、形状、必要精度に応じて非破壊測定方法を選定します。

内部の流路全体を把握したい場合には工業用X線CTを検討し、肉厚の把握が中心であれば超音波測定を検討するなど、目的から選ぶことが大切です。

測定方法を決めたら、実際にデータを取得します。

この際、測定位置や方向、装置の設定条件を記録しておくことが重要です。測定結果に疑問が生じた場合でも、記録が残っていれば原因を検討しやすくなります。

特に、複数方向から撮影した画像や、異なる位置で取得した超音波測定値については、現物のどの部分に対応する情報なのかを整理しておく必要があります。

測定後は、取得したデータを確認し、必要な形状が十分に把握できているかを判断します。

例えば、工業用X線CTで内部の穴が確認できたとしても、穴の端部が画像上で不明瞭な場合があります。このような部分を無理に寸法化すると、加工図面に誤った情報を反映する可能性があります。

測定条件の変更や、別の非破壊測定法による追加確認が必要になる場合もあります。

次に、得られた情報を設計データへ変換します。

三次元データが得られている場合は、外形や内部形状を参考にして、再製作に必要な形状を構築します。ただし、現物の測定データには、表面の粗さ、摩耗、変形、測定誤差などが含まれることがあります。

そのため、測定値をそのまま使用する部分と、設計上の判断によって形状を整理する部分を区別します。

例えば、穴が本来円形であると判断できる場合でも、測定した現物が摩耗によってわずかに楕円形になっていることがあります。その場合は、組付条件や機能を確認したうえで、再製作に使用する穴径を決定する必要があります。

設計データを作成したら、加工方法を検討します。

内部に直線的な穴がある部品であれば、切削加工で製作できる可能性があります。一方、曲がった内部流路や複雑な空洞を持つ部品では、切削加工だけで形状を再現することが難しい場合があります。

その場合は、鋳造などの製造方法や、部品を分割して組み立てる構造への変更を検討することがあります。

ただし、分割構造に変更する場合は、接合部の強度、漏れ、位置精度など、新たに検証すべき条件が発生します。

最後に、試作品や初回製作品を検査します。

外観寸法だけでなく、重要な内部形状についても必要に応じて測定し、設計データと一致しているかを確認します。

さらに、部品の用途によっては、組付確認、流体の通過確認、漏れ試験、動作試験などが必要です。

非破壊測定によって形状を把握する工程と、製作した部品が正常に機能することを確認する工程は、それぞれ別の役割を持っています。

測定から検査までを一連の流れとして計画することで、内部形状の再現不足による手戻りを減らしやすくなります。

測定データから加工図面を作成する際の注意点

現物から部品製作を行う場合、測定データを取得した後の図面作成も重要な工程です。

特に、内部形状を含む部品では、測定によって得られた情報をどのように加工寸法へ変換するかが、製作結果を左右します。

まず注意したいのは、測定データと設計図面の違いです。

測定データは、測定時点における現物の状態を示します。一方、加工図面には、部品を製作するための寸法、公差、形状、材質、仕上げ条件などを指定する必要があります。

例えば、工業用X線CTで内部穴の形状を三次元化できたとしても、その情報だけで穴径の公差や表面粗さが決まるわけではありません。

測定した形状が本来の設計値からずれている可能性もあるため、機能上必要な寸法を検討する必要があります。

特に重要なのが、基準面と基準軸の設定です。

内部穴の位置を指定する場合、外形のどこを基準にするかが明確でなければ、加工時に位置のずれが生じる可能性があります。

例えば、取付穴を基準に位置決めする部品であれば、内部流路の位置も取付穴との関係で指定した方が、実際の組付条件に適合しやすくなる場合があります。

逆に、外観上の端面を基準に内部穴を配置すると、使用時の機能に必要な位置関係を十分に管理できないことがあります。

次に、内部形状の寸法をどこまで詳細に指定するかを判断します。

すべての曲面や凹凸を細かく数値化すると、図面が複雑になり、加工方法の選択肢が狭くなる場合があります。

例えば、流路の曲がり部分について、機能上必要なのが流路の連続性と断面積であれば、その条件を満たす形状の範囲を検討することができます。

ただし、流体特性や強度に影響する可能性がある部分を、十分な根拠なく簡略化してはいけません。

また、内部の穴径や肉厚には、適切な公差設定が必要です。

公差を厳しくすれば必ず品質が向上するわけではありません。必要以上に厳しい公差を指定すると、加工や検査が難しくなる場合があります。

反対に、重要な寸法の公差が曖昧であれば、外観が似ていても機能が異なる部品になる可能性があります。

図面作成では、組付機能、流体の流れ、強度、熱膨張などを考慮し、どの寸法を重点的に管理するかを決めます。

さらに、測定できなかった形状の扱いも明確にする必要があります。

例えば、内部流路の一部が画像上で確認できなかった場合、その部分を推定して図面化することがあります。しかし、推定形状を測定によって確定した寸法と同じように扱うと、設計上の不確実性が見えなくなります。

そのため、測定によって確認した形状と、推定や設計変更によって決めた形状を区別し、必要に応じて記録として残しておくことが重要です。

加工図面を完成させる前には、実際に製作できる構造になっているかを確認します。

内部に複雑な穴が存在する場合、元の部品と同じ加工方法を採用できるとは限りません。加工方向、工具の到達範囲、素材の形状、必要な工程などを考慮する必要があります。

測定結果を正しく読み取り、製作可能な設計情報へ変換することが、現物からの部品製作を成功させる重要な工程となります。

測定精度と形状再現性を高めるための管理方法

内部形状の測定では、画像が鮮明であることだけでなく、寸法値がどの程度信頼できるかを確認する必要があります。

例えば、工業用X線CTで細かな内部形状が確認できても、形状の境界をどこに設定するかによって測定寸法が変化することがあります。

超音波測定では、材料中の音速や反射面の状態が測定結果に影響します。工業用内視鏡による寸法測定でも、撮影距離や観察角度などが結果に影響することがあります。

そのため、測定精度を評価する際は、装置の仕様だけでなく、実際の部品と測定条件を考慮することが大切です。

まず、必要な寸法公差を明確にします。

例えば、再製作する部品の重要寸法について、許容される変動の範囲が分かっていれば、それに対して測定方法の不確かさが十分小さいかを検討できます。

測定の不確かさが許容範囲に対して大きい場合、測定値が公差内に入っていても、実際の寸法が適合していると確実には判断できないことがあります。

その場合は、より適切な測定条件を検討したり、別の測定法で確認したりする必要があります。

次に、測定位置を統一することも重要です。

超音波測定で肉厚を比較する場合、測定位置がずれていると、実際の肉厚分布による違いと測定のばらつきを区別しにくくなります。

工業用内視鏡では、同じ穴の内部でも撮影方向が異なると、形状の見え方が変化します。

そのため、現物の基準位置を設定し、測定箇所を記録しておくことが望まれます。

また、必要に応じて繰り返し測定を実施し、結果のばらつきを確認します。

一度だけ取得した測定値では、測定条件による影響を判断しにくい場合があります。複数回の測定で結果が安定しているかを確認すれば、測定方法の適用性を評価する材料になります。

ただし、繰り返し測定した値が一致していても、系統的な誤差が存在する可能性はあります。そのため、校正や基準となる寸法との照合も重要です。

加えて、測定対象の状態を記録することも欠かせません。

例えば、使用済み部品の内面に腐食や摩耗がある場合、その影響を含めて測定しているのか、正常な形状を推定しているのかを整理します。

測定結果の信頼性を高めるためには、数値だけでなく、その数値が得られた条件と判断根拠を残すことが大切です。

現物からの部品製作で起こりやすい失敗と対策

現物から部品製作を行う際には、内部形状の測定が不十分だったことによる問題が発生する場合があります。

代表的なのが、外観寸法だけで製作を進め、内部構造の違いによって部品が機能しなくなるケースです。

例えば、古い設備に使用されている配管接続部品を再製作する場合、外径や取付穴が一致していても、内部の流路形状が異なることで流れに影響する可能性があります。

このような失敗を防ぐには、測定前に部品の機能を整理し、内部形状が性能に与える影響を確認することが重要です。

次に起こりやすい問題が、測定画像を過信することです。

工業用X線CTで内部形状を三次元化できると、すべての寸法が高精度で確定したように見える場合があります。しかし、実際には撮影条件や画像処理によって測定値に不確かさが生じます。

特に、薄い壁や小さな穴などでは、画像上の境界が不明瞭になり、形状の解釈が難しくなることがあります。

対策として、重要寸法については測定可能な精度を確認し、必要に応じて他の方法で照合することが有効です。

また、使用済み部品の劣化形状をそのまま再現してしまうこともあります。

例えば、長期間使用された部品の内部穴が摩耗している場合、その寸法を新しい部品に反映すると、組付時の隙間が本来の設計より大きくなる可能性があります。

この問題を防ぐには、現物の使用履歴を確認し、相手部品との関係や必要な機能を考慮して寸法を決めることが大切です。

さらに、測定結果と加工方法の整合性が取れていないケースにも注意が必要です。

例えば、複雑な曲がり流路を持つ部品の内部形状を把握できても、予定している切削加工では工具が到達できない場合があります。

この場合、測定自体は成功していても、再製作の工程を変更しなければなりません。

そのため、内部形状を測定した段階で加工担当者と情報を共有し、製作可能性を確認することが重要です。

もう一つの問題は、測定データが十分に引き継がれないことです。

例えば、測定担当者は内部の穴が斜めに配置されていることを把握していても、加工担当者へ渡された図面にその情報が明記されていなければ、製作ミスにつながる可能性があります。

図面だけでは伝えにくい形状については、断面画像や三次元データ、測定位置の説明などを併用し、関係者間で認識を合わせることが望まれます。

また、測定できなかった部分について、確認済みとして扱わないことも大切です。未確認箇所を明確にし、必要な追加調査や試験を計画することで、製作後に問題が発覚するリスクを減らしやすくなります。

測定から加工まで依頼する際に確認したい事項

現物から部品製作を外部へ依頼する場合、測定だけを依頼するのか、図面作成や加工まで含めるのかを明確にすることが重要です。

依頼範囲が曖昧なまま進めると、内部形状の測定データは取得できたものの、加工に必要な図面を別途作成しなければならない状況になる可能性があります。

まず、依頼先がどのような測定方法に対応しているかを確認します。

工業用X線CTによる三次元測定に対応している場合でも、対象となる部品の大きさや材質によっては、測定できない場合があります。

また、超音波測定や工業用内視鏡を使用できても、必要な寸法精度まで保証できるとは限りません。

そのため、現物の材質、寸法、内部形状の特徴、必要な測定精度を伝えたうえで、対応可能な範囲を確認することが重要です。

次に、納品されるデータの内容を確認します。

例えば、断面画像だけが提供されるのか、内部形状の三次元データも取得できるのかによって、後工程で使用できる情報が変わります。

測定結果を加工図面へ反映する場合には、寸法情報だけでなく、基準面との位置関係や測定条件なども必要になることがあります。

そのため、測定結果の報告書、画像データ、三次元データ、加工用図面など、必要な成果物を事前に整理することが望まれます。

また、測定データから設計図面を作成する場合、どこまで設計判断を行うかを確認する必要があります。

現物の形状を測定データとして再現する作業と、正常な機能を想定して図面を作成する作業では、必要な知識や責任範囲が異なります。

特に、使用済み部品の摩耗や腐食を考慮して形状を修正する場合には、その判断根拠を共有することが重要です。

測定、設計、加工を別々の事業者へ依頼する場合は、情報の引き継ぎ方法も確認します。

例えば、測定担当者が内部流路の形状を把握していても、加工担当者が断面画像を確認できなければ、加工工程の検討が難しくなることがあります。

一方、測定から加工までを一括で相談できる体制であれば、測定段階から加工方法を考慮した検討を進めやすくなる場合があります。

ただし、一括依頼であっても、測定結果の妥当性、図面の承認、加工後の検査などを省略できるわけではありません。

特に、小ロット製作や一品ものの部品では、量産時とは異なる加工工程を採用する場合があります。そのため、初回製作品の検査方法や、必要に応じた追加修正の進め方まで相談しておくことが重要です。

また、元の部品が第三者の設計や権利に関係する場合は、再製作の権限や契約上の制約についても事前に確認する必要があります。現物を所有していることだけで、あらゆる複製や設計情報の利用が認められるとは限りません。

安全性が重要な部品については、形状の一致だけで適用可否を判断せず、材質、強度、製造品質、適用される規格や検査条件を含めて評価することが必要です。

依頼先を選ぶ際は、測定設備の有無だけでなく、現物調査から設計、加工、検査までの工程をどのように管理できるかを確認することが、再製作の確実性を高めることにつながります。

まとめ:非破壊測定を活用して内部形状の不確実性を減らす

現物から部品製作を行う場合、外観寸法だけでは把握できない内部形状が、部品の機能や製作方法に大きく影響することがあります。

特に、内部流路、空洞、肉厚の変化、隠れた穴などを持つ部品では、内部構造を十分に確認しないまま製作を進めると、加工後の不具合や組付不良につながる可能性があります。

今回紹介した4つの非破壊測定法は、それぞれ異なる特徴を持っています。

工業用X線CTは、内部形状を三次元的に把握したい場合に適しています。X線透過撮影は、内部の空洞や穴の配置、構造上の特徴を確認する場合に役立ちます。

超音波測定は、肉厚や内部境界などを調べる用途で活用できます。工業用内視鏡は、既存の開口部から接近できる内部表面を観察し、加工状態や異常の有無を確認したい場合に有効です。

ただし、どの方法にも適用条件と限界があるため、目的に合った測定法を選ぶことが重要です。

また、内部形状を測定できたことが、そのまま再製作の成功を意味するわけではありません。

測定結果を加工図面へ反映する際には、基準面の設定、公差の検討、摩耗や変形の評価、加工方法との整合性などを確認する必要があります。

現物の形状をそのまま再現するだけでなく、部品に必要な機能を理解し、測定によって確認できた情報と設計上の推定を区別することが大切です。

さらに、測定した部品が設備や施工現場で使用される場合は、現物の設置位置や使用状況、取り外し前後の状態を記録しておくことも重要になります。

例えば、設備の更新や補修に伴って部品を再製作する場合、対象部品がどの位置に取り付けられていたのか、周辺の配管や構造物とどのような関係にあったのかを把握しておけば、再設置や後日の点検で役立ちます。

このような現場情報の整理には、LRTK Phoneの活用も考えられます。

LRTK Phoneは、現場写真や位置情報、施工記録などを整理するために利用できる自社プロダクトです。衛星測位が利用できる環境では設備の設置位置と現場写真を記録し、部品の製作・交換に関する情報と関連付けて管理することで、現場と製作担当者の間で状況を共有しやすくなります。屋内や衛星信号が届きにくい場所では、位置情報の取得条件や精度に制約があるため、必要に応じて別の位置確認方法を併用します。

ただし、LRTK Phoneによる位置情報や現場記録は、部品内部の微細な寸法を測定する非破壊検査の代わりになるものではありません。内部寸法は適切な専用測定方法で確認し、設置場所や現場状況の記録と組み合わせて管理することが重要です。

現物からの部品製作では、内部形状の非破壊測定、設計データへの変換、加工方法の検討、完成品の検査、現場情報の共有を一連の工程として管理することで、再製作時の不確実性を減らしやすくなります。

図面が残っていない部品や、内部構造が分からない部品の再製作を検討している場合は、まず対象部品の機能と確認すべき内部形状を整理し、適切な非破壊測定法の選定から進めることが重要です。

ものづくりの次の一歩を、
相談から始めてみませんか。

加工・製造の外注先や共同開発のパートナー探しに。大田区産業振興協会の受・発注あっせん相談サービスをご利用いただけます。

ものづくり 外注先を探す。公益財団法人大田区産業振興協会の受・発注あっせん相談。無料でプロに相談!公的機関だから安心!
ものづくりの協力先探し大田区産業振興協会無料相談