LRTKレフィクシア株式会社

製品開発の協力会社に機密情報を預ける前の6項目|情報漏えいを防ぐ

製品開発では、自社だけですべての設計、試作、加工、評価、生産準備を完結させるとは限りません。機械設計、電気設計、ソフトウェア開発、試作品製作、部品加工、評価試験など、それぞれの専門領域を持つ協力会社と連携することで、開発期間の短縮や専門技術の活用につなげられます。

一方で、協力会社へ仕事を依頼するには、図面、仕様書、三次元データ、試作品、評価結果、顧客要求、原価情報など、自社にとって重要な情報を外部へ渡さなければならない場面があります。情報共有を避けすぎれば開発が進みませんが、管理方法を確認しないまま大量の情報を渡せば、情報漏えい、誤送信、目的外利用、退職者による持ち出し、再委託先への意図しない共有などのリスクが高まります。

そのため「秘密保持契約を締結したから安全」と考えるのではなく、契約と実際の運用を分けて確認することが重要です。どの情報を誰に渡し、どこへ保存し、誰が閲覧し、業務終了後にどう処理するのかまで確認して初めて、実務に耐えられる管理体制が見えてきます。

この記事では、「製品開発 協力会社」で検索している開発、設計、調達、品質保証などの実務担当者に向けて、機密情報を協力会社へ預ける前に確認しておきたい6つの項目を解説します。

製品開発で協力会社への機密情報管理が重要な理由

製品開発の協力会社へ渡す情報は、一般的な業務資料とは性質が異なります。製品が市場へ出る前の設計内容、性能目標、試験結果、未公開の外観、製造方法、部品構成などには、競争力に直結する情報が含まれることがあります。

例えば、試作品を製作してもらうために図面を共有すれば、形状や寸法だけではなく、材料、加工方法、表面処理、公差、組立構造なども相手に伝わります。評価試験を依頼すれば、製品の弱点や改良途中の仕様まで共有する可能性があります。設計支援を依頼する場合には、完成した図面だけではなく、検討過程や変更履歴まで協力会社が知ることもあります。

さらに注意したいのは、一つ一つでは価値が低く見える情報でも、複数の資料を組み合わせることで重要な情報になる場合があることです。製品名称を伏せた部品図だけなら用途が分からなくても、別途共有した組立図、開発日程、顧客要求、写真などと組み合わせることで、製品全体を推測できることがあります。

情報漏えいというと、外部からの不正アクセスのような大規模な事故を想像しがちですが、実務ではもっと身近な原因にも注意が必要です。メールの宛先間違い、共有先の設定ミス、個人用端末への保存、印刷物の置き忘れ、担当者の退職時のデータ残存など、日常業務の中にも情報流出につながる経路があります。

協力会社を選ぶ際には、技術力、品質、納期対応などに目が向きやすいものです。しかし、開発の中核となる情報を共有するのであれば、「情報を安全に扱える会社か」という視点も同じように重要です。

情報管理の確認で大切なのは、認証や規程の有無だけを見るのではなく、実際の案件でどのように運用されるのかを確認することです。立派な社内規程があっても、自社の情報が誰でも閲覧できる共有領域へ置かれていれば意味がありません。反対に、大規模な仕組みを持たない会社でも、案件単位でアクセス権を厳格に限定し、担当者教育やデータ削除を着実に行っている場合があります。

そのため、契約書、社内ルール、技術的な管理、担当者の運用という複数の視点から確認する必要があります。

1.秘密保持の範囲と情報の利用目的を明確にする

協力会社へ重要情報を開示する前に、まず確認したいのが秘密保持に関する取り決めです。ただし、秘密保持に関する契約を締結するだけで十分とは限りません。実務上は、どの情報が対象となり、何のために利用できるのかを明確にしておく必要があります。

製品開発では、図面や仕様書以外にも多様な情報をやり取りします。口頭で説明した設計思想、試作品、写真、測定データ、検査結果、製造条件、会議資料なども重要な情報になる可能性があります。対象範囲が曖昧なままだと、後から「その情報が秘密情報に含まれると認識していなかった」という認識違いが起きる可能性があります。

そこで、契約内容を確認する際には、秘密情報の定義だけでなく、利用目的にも注意します。協力会社へ設計検討のために渡した情報であれば、原則として、その業務を遂行する目的の範囲内で扱ってもらうことが基本です。

利用目的が明確であれば、担当者も「このデータを別の案件へ転用してよいのか」「社内教育の資料へ使ってよいのか」といった判断をしやすくなります。逆に、目的が広すぎたり曖昧だったりすると、双方の認識がずれる余地が大きくなります。

秘密保持期間についても確認が必要です。製品発売まで守ればよい情報もあれば、製造方法や設計ノウハウのように、製品発売後も重要性が続く情報があります。すべてを同じ期間で管理するのではなく、情報の性質を踏まえて扱いを決めることが重要です。

また、自社が顧客や別の取引先から預かった情報を協力会社へ開示する場合には、そもそも第三者へ開示できる情報なのかを確認しなければなりません。自社と協力会社の間で秘密保持について合意していても、元の契約で第三者提供が制限されていれば、それだけで自由に共有できるわけではありません。

契約条件の具体的な判断は案件や契約内容によって異なるため、重要な情報を扱う場合には、自社の法務部門や契約担当者とも連携して確認することが望まれます。

製品開発の担当者が契約書の細かな文言まですべて判断する必要はありません。しかし、実務担当者として「何を渡すのか」「何のために使ってもらうのか」「いつまで扱うのか」を説明できる状態にはしておく必要があります。

この整理ができていないまま契約だけ締結すると、実際の情報共有が始まった後に例外対応が増えます。最初の段階で利用範囲を明確にすることが、その後の運用を簡単にする第一歩です。

2.渡す情報を分類し必要最小限に絞る

情報漏えい対策というと、「どう守るか」に注目しがちですが、その前に考えたいのが「そもそも何を渡す必要があるのか」です。

協力会社へ提供する情報が増えるほど、保存場所、閲覧者、複製物、送受信履歴も増え、管理すべき範囲が広がります。そのため、業務に必要な情報と、必ずしも共有する必要がない情報を分けることが重要です。

例えば、一つの部品加工を依頼するために、製品全体の組立図や顧客名まで渡す必要があるとは限りません。必要な形状、寸法、材料、品質要求などだけで加工できるのであれば、業務に不要な情報は伏せた方が管理対象を減らせます。

反対に、情報を削りすぎると設計意図が伝わらず、不具合や手戻りにつながる可能性があります。重要なのは、一律に情報を隠すことではなく、協力会社が担当業務を適切に遂行するために必要な範囲を判断することです。

そのため、自社内で機密情報の分類基準を決めておくと運用しやすくなります。例えば、一般公開可能な情報、社内限定の情報、協力会社へ条件付きで開示できる情報、特に厳格な管理が必要な情報など、重要度に応じて区別する考え方があります。

名称は企業ごとに異なって構いません。重要なのは、担当者の感覚だけで「これは渡してよいだろう」と判断しない仕組みにすることです。

特に注意したいのが、開発初期から蓄積された共有フォルダをそのまま協力会社へ公開する方法です。共有が簡単な反面、現在の依頼には不要な古い設計データ、別製品の資料、顧客情報などが含まれていることがあります。

協力会社向けの共有領域を案件ごとに分け、必要な資料だけを置く方が、誤った情報開示を減らしやすくなります。また、最新版と旧版を明確に分けることで、情報漏えいだけでなく旧図面による誤製作の防止にもつながります。

試作品についても同じ考え方が必要です。データを渡していなくても、製品そのものから形状、構造、材料、機構などを推測できる場合があります。そのため、試作品の保管、持ち出し、廃棄についても情報管理の一部として考える必要があります。

会議で画面共有する資料にも注意が必要です。説明対象とは関係のないフォルダ名や顧客名が表示されたり、別案件のファイルが見えたりすれば、意図しない情報開示につながります。

情報を守る最も基本的な考え方の一つは、必要以上に共有しないことです。高度なセキュリティ対策を追加する前に、「この情報は本当に相手へ渡す必要があるか」という確認を習慣化するだけでも、リスクを減らしやすくなります。

3.アクセス権限と担当者管理の方法を確認する

協力会社へデータを渡した後、その情報を誰が閲覧できるのかは重要な確認事項です。

「会社へ渡した」というだけでは、実際の閲覧範囲は分かりません。案件担当者だけがアクセスできる場合もあれば、同じ部門の多数の従業員が閲覧できる場合もあります。共有フォルダの設定によっては、案件に直接関係しない担当者から見えることも考えられます。

そのため、機密性の高い情報を預ける場合には、案件単位でアクセス権限を制御できるかを確認します。

設計担当者には設計資料へのアクセスが必要でも、営業担当者や他案件の担当者まで同じ権限を持つ必要があるとは限りません。必要な担当者だけに必要な情報へのアクセスを認める考え方が基本となります。

ここで確認したいのは、アクセス権を設定できるかだけではありません。担当者が案件から外れたときに、権限を解除する仕組みがあるかも重要です。

製品開発は数か月から長期間に及ぶことがあり、その間に担当変更や組織変更が発生する可能性があります。最初に登録した担当者の権限をそのまま残していると、すでに案件へ関与していない従業員が情報へアクセスできる状態が続くことがあります。

そのため、担当者の追加、変更、削除に合わせてアクセス権を見直す運用が必要です。

共有用の利用者情報を複数人で共用していないかも確認したいポイントです。誰がいつ情報へアクセスしたのかを確認する必要が生じたとき、複数人が同じ利用者情報を使っていると、操作した人物を特定しにくくなります。

重要度の高い案件では、可能な範囲で個人単位の認証や権限設定を行い、閲覧者を把握できる状態が望まれます。

協力会社の規模によって、利用できる管理方法は異なります。大規模な企業と小規模な専門会社に同じ設備や制度を要求することが適切とは限りません。しかし、規模に関係なく、「誰が自社情報へアクセスできるのかを説明できるか」という点は確認できます。

訪問時には、設計データを扱う端末や作業場所の管理方法を確認することも有効です。外部の来訪者から画面が見えやすい環境になっていないか、印刷物が誰でも手に取れる状態になっていないかなど、実際の職場を見ることで書面だけでは分からない運用が見えてきます。

アクセス管理では、「閲覧できる人をゼロにする」ことが目的ではありません。業務に必要な人が円滑に仕事をできる状態を保ちながら、不必要な閲覧範囲を広げないことがポイントです。

4.データの保存・送受信・持ち出しルールを確認する

協力会社との製品開発では、多数の電子データをやり取りします。そのため、情報をどこへ保存し、どの経路で送受信するのかを具体的に確認しておく必要があります。

まず確認したいのは、協力会社が受領したデータの保存場所です。会社が管理する端末や保管環境へ保存するのか、担当者が自由に別の端末へコピーできるのかによって、管理状態は大きく異なります。

特に機密性の高いデータについては、私物端末への保存や個人管理の記憶媒体へのコピーが許可されていないかを確認しておきます。

在宅勤務や外出先での作業がある場合には、社外からデータへアクセスする方法も重要です。単に「在宅勤務は禁止」「外部作業は認めない」と決めるだけではなく、実際の働き方と整合しているかを見る必要があります。

現実の運用と合っていない厳格なルールは、かえって例外的な持ち出しや非公式なデータ共有を生むことがあります。そのため、会社として認められた方法で安全に作業できる仕組みがあるかを確認することが重要です。

データを送る方法も確認します。担当者がその都度自由な手段で送信する状態では、ファイルがどこに残っているのか把握しにくくなります。

送受信方法をある程度統一し、共有先やアクセス権を管理できる状態にしておけば、誤送信や不要なコピーの発生を抑えやすくなります。

情報漏えい対策と同時に、改ざんや取り違えにも注意が必要です。協力会社へ図面を送った後に自社側で設計変更を行った場合、旧版と最新版が混在すると、誤ったデータをもとに作業が進む可能性があります。

そのため、ファイル名だけで最新版を管理するのではなく、図面番号、改訂番号、承認状態などを用いて、どれが正式なデータなのか双方で判別できる状態にすることが重要です。

紙資料についても電子データと同様です。図面や仕様書を印刷して使用する場合には、保管場所、複写、持ち出し、廃棄方法を決めておく必要があります。電子ファイルを削除しても、大量の印刷物が残っていれば情報管理としては不十分です。

試作現場や製造現場では、作業のために図面を掲示する場合もあります。掲示場所へ関係者以外が立ち入れる場合には、閲覧範囲にも配慮する必要があります。

また、協力会社との会議で撮影した写真や作業記録が、担当者の端末内へ散在していないかも確認したいところです。正式な成果物だけでなく、業務途中で生じる写真やメモにも重要情報が含まれることがあります。

機密情報管理では、ファイルを暗号化するかどうかといった技術的な対策だけに注目するのではなく、情報が作成されてから削除されるまでの流れ全体を見ることが重要です。

5.再委託先と退職者を含む人的リスクを確認する

協力会社を選定するときに見落としやすいのが、依頼した仕事を実際に誰が行うのかという点です。

自社が契約した協力会社の内部だけで業務が完結するとは限りません。加工、設計、解析、試験などの一部を、さらに別の事業者へ委託する場合があります。

再委託そのものが直ちに問題になるわけではありません。専門的な工程を外部の協力先へ依頼することで、必要な技術や設備を利用できる場合があります。重要なのは、再委託が行われる可能性と、情報がどこまで渡るのかを自社が把握していることです。

協力会社に対しては、機密情報を含む業務を再委託する可能性があるか、再委託する場合に事前確認を行うのか、再委託先にも適切な秘密保持や情報管理を求めているかを確認します。

ここが曖昧だと、自社では把握していない企業や担当者まで設計情報が渡る可能性があります。

また、情報漏えいはシステムだけでなく人によって起こる可能性があります。そのため、担当者への教育や誓約、社内ルールの周知についても確認する必要があります。

重要なのは、「教育しています」という回答だけではなく、どのようなタイミングで教育しているかです。入社時だけ説明しているのか、定期的に注意事項を確認しているのか、機密性の高い案件では個別に取り扱いルールを共有するのかによって、実効性は変わります。

退職者や異動者の管理も重要です。担当者が退職した際に会社のデータを個人端末や外部記憶媒体へ残していないか、利用していたアカウントを停止する仕組みがあるかを確認します。

特に技術者同士が長期間直接やり取りしている案件では、担当者個人の端末やメールだけに重要な情報が残る状態を避ける必要があります。

自社側についても同じです。協力会社に情報管理を求めながら、自社担当者が個人的な連絡手段で図面を送ったり、承認されていない保存先を使ったりしていては、管理は成立しません。

協力会社の管理力を確認すると同時に、自社から情報を送る側のルールも統一することが必要です。

さらに、担当者へ必要以上の情報を見せない考え方も有効です。一人の担当者へ製品全体の情報を集中させる必要がなければ、役割に応じて情報を分けることで、万一の際の影響範囲を限定できます。

人的リスクを完全になくすことは難しいため、特定の個人の注意力だけに依存しない仕組みにすることが重要です。

6.事故対応と契約終了後の返却・削除方法を決める

情報管理を考える際には、「事故を起こさない方法」だけでなく、「事故が起きた場合にどうするか」まで確認する必要があります。

どれだけ対策しても、誤送信、端末紛失、不正アクセス、書類紛失などの可能性を完全にゼロにすることは困難です。重要なのは、異常が発生したときに早く発見し、影響範囲を確認して必要な対応を取れる体制があることです。

協力会社には、情報漏えいまたはその疑いが発生した場合の連絡先と報告方法を確認しておきます。

現場担当者だけで処理し、発注側へ報告されない状態は避ける必要があります。どのような事象を報告対象とするのか、誰が判断するのか、社内でどこまでエスカレーションするのかを明確にしている会社であれば、問題発生時の初動を取りやすくなります。

また、事故時には原因だけでなく、どの情報が影響を受けた可能性があるのかを確認できることが重要です。そのためにも、日頃からデータの保存場所やアクセス権限を把握しておく必要があります。

日常的に保存先が分からない状態では、事故が起きたときに影響範囲を調査することも難しくなります。

もう一つ忘れてはいけないのが、プロジェクト終了後の情報処理です。

開発が完了して取引が終わっても、協力会社の社内に図面や試作品が残っていれば、情報漏えいリスクは残ります。

そのため、契約終了時や案件完了時に、貸与した資料、試作品、記憶媒体などを返却するのか、協力会社側で廃棄するのかを事前に決めておく必要があります。

電子データについては、「担当者が削除する」だけで完了とするのか、社内の共有領域や複製物まで対象にするのかを整理します。

一方で、品質保証や法令、契約上の理由から一定期間の記録保管が必要になる場合もあります。その場合は、すべてを直ちに削除するのではなく、何をどの目的でいつまで保管するのかを双方で確認します。

重要なのは、「全部残す」「全部消す」と一律に決めることではなく、必要な記録と不要なデータを区別することです。

試作品の廃棄についても注意が必要です。外観や内部構造そのものが機密情報である場合、一般的な廃棄方法では情報が残る可能性があります。どのように処分するのかを案件開始前から決めておけば、終了時に慌てずに済みます。

契約終了後の処理は後回しにされやすい部分ですが、機密情報管理の最後の工程として重要です。入口で厳格に管理していても、出口で大量のデータが残ってしまえば、長期的なリスクを抱えることになります。

協力会社の情報管理力を選定時に見極める方法

ここまでの6項目を確認するとき、質問票だけを送って終わらせるのではなく、可能であれば具体的な運用方法まで聞くことが大切です。

例えば、「アクセス制限をしていますか」と尋ねれば、多くの会社が「はい」と回答するでしょう。しかし、それだけでは実際の管理レベルは分かりません。

「この案件の設計図面はどの部署の誰が閲覧できますか」「担当変更時には権限をどのように削除しますか」と具体的に聞けば、実際の仕組みが見えやすくなります。

データ削除についても同様です。「案件終了後は削除できますか」だけではなく、「共有領域、担当端末、印刷物、試作品をそれぞれどのように処理しますか」と確認すると、管理の抜けを発見しやすくなります。

重要度の高い製品開発では、必要に応じて現地確認を行う方法もあります。

実際の設計室、製造現場、試作エリアなどを見ると、訪問者が簡単に機密区域へ入れる状態になっていないか、図面が放置されていないか、情報を扱う端末が適切に管理されているかなど、書類だけでは分からない部分を確認できます。

ただし、協力会社を評価するときに、設備の豪華さだけで判断するべきではありません。情報管理で重要なのは、自社の案件に必要な管理レベルを継続して実行できることです。

高度な設備があっても日常運用が徹底されていなければ意味がありません。一方、小規模な協力会社でも、案件担当者を限定し、専用領域でデータを管理し、再委託や持ち出しを明確に制限している場合があります。

また、情報管理の要求事項は、案件ごとに変える必要があります。

すでに公開されている製品の単純な部品加工と、未発表製品の中核設計を依頼する場合では、要求すべき管理水準は同じではありません。すべての案件へ最大限の管理を要求すると、業務効率が下がり、運用が形骸化することもあります。

そのため、情報の重要度と漏えいした場合の影響を考え、案件ごとに必要な管理方法を決めることが現実的です。

協力会社選定では、技術力、設備、品質、納期だけでなく、「重要情報を安心して預けられる運用ができるか」を評価項目に含めることで、開発開始後のトラブルを減らしやすくなります。

開発開始後も情報管理を形骸化させない

情報管理は協力会社選定時に一度確認すれば終わりではありません。

製品開発が進むにつれて、共有する情報の内容は変化します。初期には構想図だけだったものが、詳細設計へ進むと部品図、制御仕様、試験データ、製造条件などへ広がっていきます。

開発段階が変われば、当初想定していたより機密性の高い情報を共有することもあります。そのため、重要な節目で情報管理の範囲を見直すことが必要です。

特に、試作から量産準備へ移行すると、協力会社側でも関係者が増える傾向があります。設計担当者だけだったプロジェクトに、生産技術、品質、購買、製造などが加われば、情報へのアクセス範囲も広くなります。

担当者が増えたタイミングで、誰がどの情報へアクセスする必要があるのかを再確認するとよいでしょう。

仕様変更が頻繁な案件では、旧版データの管理にも注意します。

旧版を完全に削除すると変更履歴を確認できなくなる場合があるため、単純に消せばよいわけではありません。しかし、旧版が最新版と同じ場所へ並んでいると誤使用の原因になります。

正式版、検討中、廃止版などの状態を明確にし、作業に使用してよいデータを双方で一致させることが大切です。

定期的な打ち合わせの中で、情報管理について簡単に確認する方法もあります。

大掛かりな監査を毎回行わなくても、担当変更の有無、再委託の追加、データ保存場所の変更、作業場所の変更などを確認するだけで、当初の前提から変化している部分を把握できます。

情報管理で危険なのは、「最初に決めたから現在も同じ運用だろう」と考えることです。人、設備、業務範囲は変わります。変化が起きたときに管理方法も見直す仕組みを持つことが重要です。

また、自社側の運用も定期的に確認する必要があります。

開発が忙しくなると、正式な共有手順を省略して担当者同士で直接データを送るなど、例外的な運用が増えやすくなります。一時的には便利でも、後からどのデータを誰へ送ったのか分からなくなれば、変更管理や削除確認が難しくなります。

情報共有の手順は、厳しくするほど良いわけではありません。担当者が日常的に守れる方法を設計することが重要です。

使いにくい仕組みを導入すると、非公式な手段が使われる可能性があります。安全性だけでなく、開発現場の業務効率も考えながら管理方法を決める必要があります。

まとめ|機密情報は契約と実運用の両面から守る

製品開発の協力会社へ機密情報を預ける前には、秘密保持に関する契約を締結するだけでなく、実際の情報の流れまで確認することが重要です。

最初に確認したいのは、秘密情報の範囲と利用目的です。そのうえで、協力会社へ渡す情報を必要最小限に絞り、誰がアクセスできるのかを明確にします。さらに、データの保存や送受信、社外への持ち出し方法を確認し、再委託先や退職者まで含めて情報がどこへ広がる可能性があるのかを把握します。

そして、事故が発生した場合の連絡方法と、案件終了後の返却、削除、廃棄まで決めておけば、情報を受け渡す入口からプロジェクト終了時の出口まで、一貫した管理を行いやすくなります。

協力会社へ機密情報を渡さなければ、共同開発は進みません。そのため、情報管理の目的は情報共有そのものを避けることではなく、開発に必要な情報を、必要な相手へ、必要な範囲で安全に共有できる状態をつくることです。

特に実務では、図面や仕様書だけでなく、現場で撮影した写真、試作品の設置状況、位置情報、施工時の記録などが開発や検証の資料になる場合があります。こうした情報も担当者ごとの端末や個別のやり取りへ分散させるのではなく、利用目的や閲覧範囲を整理したうえで管理することが大切です。

現場写真・位置情報・施工記録を扱う場面では、LRTK Phoneを活用して記録をまとめる方法もあります。協力会社との製品開発で現場情報を共有する場合も、誰に何を共有するのかという情報管理の考え方をあらかじめ整理し、開発記録を適切に残していくことが重要です。

ものづくりの次の一歩を、
相談から始めてみませんか。

加工・製造の外注先や共同開発のパートナー探しに。大田区産業振興協会の受・発注あっせん相談サービスをご利用いただけます。

ものづくり 外注先を探す。公益財団法人大田区産業振興協会の受・発注あっせん相談。無料でプロに相談!公的機関だから安心!
ものづくりの協力先探し大田区産業振興協会無料相談