製品開発を進める際、防水・防塵性能は製品の信頼性や耐久性を左右する重要な設計条件です。屋外で使用する計測機器、工場内の制御装置、建設現場に設置する電子機器などでは、水滴や粉じんの侵入によって故障や動作不良が発生する可能性があります。そのため、製品開発の相談窓口に問い合わせる段階から、使用環境に適した防水・防塵設計を検討することが重要です。
しかし、防水・防塵性能を確保するには、単に筐体の隙間をふさぐだけでは十分ではありません。筐体の構造、シール材の選定、コネクターの配置、内部結露への対策、材料の耐久性、組立精度、性能試験など、複数の要素を総合的に検討する必要があります。設計段階で確認が不足していると、試作後の浸水、量産時の品質ばらつき、長期使用によるシール性能の低下といった問題につながります。
特に、電子回路設計、機構設計、筐体製作、組立までを含む製品開発では、防水・防塵性能を個別の部品だけで判断するのではなく、完成品全体として成立するかを確認しなければなりません。
本記事では、製品開発の相談窓口を利用する実務担当者に向けて、防水・防塵性能を確保するために確認したい7つの設計項目を解説します。開発初期の仕様整理から試作評価、量産移行まで、相談時に押さえるべきポイントを具体的に紹介します。
製品開発の相談窓口で防水・防塵を初期検討する重要性
製品開発における防水・防塵設計は、開発の終盤になってから追加すると対応が難しくなる場合があります。筐体の外形寸法や内部部品の配置が確定した後では、シール材を配置する空間が不足したり、コネクターの取り付け位置を変更できなかったりするためです。
例えば、屋外で使用する電子機器を開発する場合、初期設計では外観や操作性を重視して筐体を小型化したものの、試作段階で防水性能が不足していることが判明するケースがあります。そこでシール材を追加しようとしても、十分な接触幅を確保できず、筐体全体の構造を変更しなければならないことがあります。
また、防水・防塵性能は筐体だけで決まるものではありません。電子基板の配置、発熱部品、ケーブルの引き出し方法、スイッチの構造、固定ねじの位置なども影響します。筐体設計だけを独立して進めると、後から電子回路や機構との干渉が発生する可能性があります。
こうした問題を防ぐには、製品開発の相談窓口で要求仕様を共有し、機構設計、電子回路設計、製造工程の関係を整理することが効果的です。
特に重要なのは、防水・防塵性能を数値や試験条件で表現することです。「雨に強い製品」「粉じんが入りにくい構造」といった抽象的な説明だけでは、設計担当者と発注担当者の認識が一致しない可能性があります。
防水・防塵性能を表す代表的な指標としてIP等級があります。IP等級では、固形物や粉じんに対する保護と、水の侵入に対する保護を区別して表します。ただし、IP等級は規定された試験条件に基づく保護性能を示すものであり、あらゆる使用環境で故障しないことを保証するものではありません。
そのため、製品開発の相談では、目標とするIP等級だけでなく、実際の使用方法や使用期間、清掃方法、保守作業の有無まで確認する必要があります。
設計段階でこれらの条件を整理しておけば、必要以上に複雑な防水構造を採用することを避けながら、製品に求められる性能を確保しやすくなります。
確認項目1:使用環境と防水・防塵性能の目標を具体化する
防水・防塵設計で最初に確認すべきなのは、製品がどのような環境で使用されるかという点です。同じ屋外用製品でも、雨にさらされる機器と、水洗いされる機器、一定時間水中に入る可能性がある機器では、必要な設計条件が異なります。
製品開発の相談窓口では、使用環境をできるだけ具体的に説明することが重要です。
例えば、屋外の壁面に固定する機器であれば、降雨方向、風の影響、設置角度、直射日光、周囲の温度変化などを確認します。工場内で使用する機器であれば、粉じんの種類、発生量、清掃方法、油分や薬品への接触可能性などが設計条件になります。
粉じんについても、粒子の大きさや性質によって対策は異なります。乾燥した比較的大きな粉じんと、微細な粉じんでは侵入しやすい隙間が異なります。また、金属粉や導電性の粉じんが電子回路に到達すると、絶縁不良や短絡の原因となる可能性があります。
防水性能を検討する場合は、水が製品に接触する状況を区別する必要があります。降雨、飛まつ、散水、流水、噴流水、一時的な水没などでは、水の侵入経路や作用する圧力が異なります。
ここで注意したいのは、防水性能の等級が高く見えるからといって、すべての水の接触条件に対応できるとは限らないことです。
例えば、IP67は規定された防じん性能と一時的な水没条件に対する保護性能を示しますが、それだけで高圧の噴流水や高温洗浄に対応できることを意味するわけではありません。実際の用途に必要な試験条件は、個別に確認する必要があります。
さらに、通常使用時だけでなく、運搬中や保管中の環境も確認します。屋内で使う装置でも、屋外倉庫で保管されたり、雨天時に搬送されたりする場合があります。
製品の姿勢も重要な条件です。設置時には下向きになる開口部が、輸送中には上向きになることもあります。使用時の姿勢だけを前提に排水構造を設計すると、別の姿勢で水が滞留する場合があります。
相談時には、使用場所、設置姿勢、水や粉じんとの接触条件、想定使用期間、保守頻度を整理し、それらに対して必要な性能目標を設定するとよいでしょう。
この段階で具体的なIP等級を決められない場合でも、想定する環境と故障時の影響を共有することで、設計担当者と適切な性能水準を検討できます。
重要なのは、必要な性能を根拠なく高く設定することではなく、製品の使用条件に合った要求仕様を定めることです。
確認項目2:筐体の合わせ面とシール構造を設計する
防水・防塵性能を確保するうえで、筐体の合わせ面は特に重要な確認箇所です。樹脂製や金属製の筐体を複数の部品で構成する場合、部品同士の接合部分から水や粉じんが侵入する可能性があります。
この侵入を防ぐ代表的な方法が、ガスケットやパッキンなどのシール材を使用する構造です。
ただし、シール材を配置するだけで防水性能が成立するわけではありません。シール材を適切に圧縮し、合わせ面全体で安定した接触状態を維持できる構造が必要です。
製品開発の相談窓口では、まず筐体の分割位置を確認します。分割位置によっては、シール材の経路が複雑になり、角部や段差部分で密着状態を確保しにくくなることがあります。
例えば、筐体の外周にガスケットを配置する場合、溝の幅や深さ、ガスケットの断面形状、圧縮量を組み合わせて設計します。溝が深すぎると十分な圧縮が得られず、浅すぎるとシール材に過大な負荷がかかる場合があります。
適切な圧縮条件はシール材の種類や形状、硬さ、使用環境によって異なるため、材料仕様と設計条件を照合する必要があります。
また、ねじによる筐体固定では、ねじの配置間隔や筐体の剛性にも注意が必要です。固定点から離れた部分で筐体が変形すると、合わせ面の接触圧力が不均一になる可能性があります。
特に薄肉の樹脂筐体では、ねじ締結によって局所的なたわみが生じることがあります。締結力を高くすれば必ず防水性能が向上するわけではなく、過大な締め付けによって変形や破損を引き起こす場合もあります。
筐体設計では、シール材の圧縮状態と筐体の変形を合わせて確認することが重要です。
さらに、合わせ面の表面状態も防水性能に影響します。成形品の反り、加工面の粗さ、傷、異物の付着などがあると、シール材が均一に接触しないことがあります。
試作品では良好な結果が得られても、量産時に寸法ばらつきが発生すると、同じ性能を維持できない可能性があります。そのため、初期設計から加工方法や製造公差も考慮する必要があります。
保守時に筐体を開閉する製品では、シール材の再利用条件も検討します。繰り返し圧縮によって変形が残る材料では、開閉後に十分な密着状態が得られない場合があります。
製品開発の相談窓口では、筐体の分割構造、シール材の種類、固定方法、開閉頻度を一体として確認し、試作と量産の両方で再現可能な構造を選ぶことが重要です。
確認項目3:コネクター・操作部・貫通部の侵入経路をふさぐ
筐体の合わせ面に十分な防水対策を施しても、コネクターやスイッチ、ケーブルの引き出し部分などから水が侵入する場合があります。
これらの部位は、筐体に穴を設ける必要があるため、防水・防塵設計において見落としやすい箇所です。
特に電子機器では、電源供給、信号通信、外部センサーとの接続などのために複数のコネクターを使用することがあります。防水性能を確保するには、コネクター単体の仕様だけでなく、筐体への取り付け状態や相手側との接続状態まで確認する必要があります。
例えば、防水仕様のコネクターでも、適切な相手側コネクターと接続した状態を前提に性能が示されている場合があります。未接続状態では別途保護キャップが必要になることもあるため、使用中にコネクターを抜く可能性がある製品では注意が必要です。
ケーブルの引き出し部分についても、ケーブル径とシール部品の適合性を確認します。
ケーブルを固定する部品が対応する径の範囲から外れていると、十分な密着状態を得られない可能性があります。また、ケーブルが頻繁に曲げられる場合、固定部に繰り返し荷重が加わり、シール性能が低下することも考えられます。
そのため、ケーブルの固定方法、曲げ方向、引張荷重、振動条件などを含めて検討する必要があります。
操作ボタンやスイッチも重要な確認対象です。操作部には可動部分が存在するため、固定された合わせ面とは異なるシール構造が必要になる場合があります。
頻繁に操作するボタンでは、シール材の摩耗や変形、操作荷重の変化などを考慮しなければなりません。防水性能を重視しすぎて操作性が悪くなると、製品としての使いやすさが損なわれる可能性もあります。
また、表示窓や透明カバー、センサー用の開口部にも注意が必要です。透明部品と筐体の熱膨張率が異なる場合、温度変化によって接合部分に応力が発生することがあります。
接着によって固定する場合には、接着面の状態、接着剤の耐水性、使用温度、経年変化なども確認します。
製品開発の相談窓口では、筐体を貫通する部分を設計図上で洗い出し、それぞれの防水方法を明確にすることが有効です。
さらに、組立時の締め付け条件や交換作業の有無も確認します。部品単体の防水性能が十分でも、取り付け方法が不適切であれば完成品としての性能は成立しません。
貫通部の設計では、部品選定と取り付け構造を切り離さず、完成品の使用状態を前提に評価することが重要です。
確認項目4:結露と内外圧力差への対策を決める
防水・防塵設計では、外部からの水の侵入だけでなく、筐体内部で発生する結露にも注意が必要です。
筐体を密閉していても、内部に含まれる水分や温度変化によって結露が発生する場合があります。結露による水滴が電子基板やコネクターに付着すると、腐食や絶縁不良、動作不安定などの原因になる可能性があります。
例えば、日中に日射を受けて温度が上昇し、夜間に急激に冷却される屋外機器では、内部の空気や部品の温度も変化します。内部に十分な水分が存在すると、温度条件によっては筐体内面や電子部品の表面に水滴が生じることがあります。
また、筐体内部と外部の温度差によって圧力差が発生する点も重要です。
密閉された空間では、温度変化に伴う内部圧力の変動がシール部分に負荷を与える場合があります。筐体の体積や剛性、温度変化の大きさによっては、合わせ面や薄肉部分の変形も検討対象になります。
こうした問題への対策として、用途によっては防水性と通気性を両立させる通気部品を採用する方法があります。
通気部品によって内外の圧力差を緩和できる場合がありますが、すべての製品で有効とは限りません。水に浸かる可能性がある製品や、油分、薬品、微細な粉じんにさらされる製品では、通気部品の仕様と使用環境の適合性を慎重に確認する必要があります。
また、通気部品を採用した場合でも、内部結露を完全に防げるとは限りません。筐体内部の湿度、温度変化の速度、通気部品の配置、内部部品の熱容量などによって結露の発生条件が変わります。
そのため、結露対策は通気だけでなく、内部の水分管理、部品配置、排水構造、必要に応じた電子基板の保護処理などを組み合わせて考えることが重要です。
電子基板の保護処理を採用する場合も、基板全体を一律に処理すればよいわけではありません。コネクターの接点、放熱が必要な部品、調整部品など、処理方法に注意が必要な箇所があります。
さらに、結露によって発生した水滴がどこに移動するかも確認します。筐体内部の最下部に水が集まる構造であれば、その位置に重要な電子部品を配置しないといった設計上の配慮が考えられます。
製品開発の相談窓口では、単に筐体を密閉する方針だけを伝えるのではなく、使用温度範囲、温度変化、内部発熱、設置姿勢を共有することが重要です。
防水性能と通気性、放熱性には設計上の調整が必要になる場合があります。初期段階から電子回路設計と機構設計を連携させることで、結露対策と製品性能を両立しやすくなります。
確認項目5:材料・表面処理・経年劣化の条件を確認する
防水・防塵性能は、完成直後の状態だけで評価すれば十分というものではありません。製品を長期間使用する場合、材料の劣化や変形によってシール性能が変化する可能性があります。
そのため、筐体材料、シール材、接着剤、固定部品などの耐久性を確認することが重要です。
例えば、屋外で使用する樹脂筐体では、紫外線や温度変化によって材料特性が変化する場合があります。材料によっては、長期使用によって変色、硬化、脆化、寸法変化などが発生する可能性があります。
筐体の寸法が変化すると、シール材の圧縮状態にも影響することがあります。したがって、材料選定では外観や強度だけでなく、寸法安定性や使用環境への適合性を考慮する必要があります。
シール材については、耐水性だけでなく、温度特性、圧縮永久ひずみ、耐候性、耐薬品性などが検討対象になります。
例えば、シール材が長期間圧縮された状態で使用されると、材料や条件によっては元の形状に戻りにくくなることがあります。この変形によって接触圧力が低下すると、防水性能が十分に維持できなくなる可能性があります。
また、製品が油分や洗浄剤に接触する場合、シール材が膨潤したり、硬さが変化したりすることがあります。水に対して良好な性能を示す材料でも、すべての液体に対応できるとは限りません。
金属筐体の場合は、腐食への対策も重要です。
水分や塩分にさらされる環境では、表面処理の劣化や異種金属の接触による腐食などを考慮する必要があります。腐食が進行して合わせ面の状態が変化すると、シール性能にも影響する可能性があります。
表面処理を採用する場合には、膜厚による寸法変化や、シール接触面への影響も確認します。表面処理後の寸法を基準に設計しなければ、組立時に想定した圧縮量が得られない場合があります。
試作品の製作方法にも注意が必要です。
例えば、積層造形によって製作した試作筐体は、材料や造形方式、後処理条件によって気密性や表面状態が異なることがあります。そのため、試作品で防水試験を実施する場合は、試作方法による影響と量産時の性能を区別して評価することが必要です。
試作品では問題がなくても、量産時に射出成形や機械加工へ変更すると、部品の反り、表面状態、寸法公差などが変わる場合があります。
製品開発の相談窓口では、試作段階の材料と量産予定の材料が同じか、製造方法の変更によってシール構造に影響が生じないかを確認するとよいでしょう。
さらに、製品の想定使用期間を共有することも重要です。短期間の使用を前提とした機器と、長期間屋外に設置する機器では、材料に求められる耐久性が異なります。
初期性能だけでなく、使用期間中にどのような変化が起こり得るかを考慮することが、安定した防水・防塵性能につながります。
確認項目6:製造公差・組立手順・保守時の再現性を確保する
防水・防塵性能を備えた製品を量産する場合、試作品と同じ性能を安定して再現できるかが重要になります。
試作段階では熟練した担当者が慎重に組み立てることで良好な性能を得られても、量産工程で作業方法や部品寸法にばらつきが生じると、防水性能が不安定になる可能性があります。
特に確認したいのが、部品の製造公差です。
筐体の合わせ面に使用するシール材は、筐体寸法のばらつきによって圧縮状態が変化します。設計上の寸法だけでなく、部品寸法が許容範囲内で変動した場合にも必要なシール状態が成立するかを検討する必要があります。
例えば、筐体の溝深さ、シール材の断面寸法、固定部品の寸法がそれぞれ変動すると、組み合わせによって圧縮量が想定より小さくなる場合があります。
そのため、公差の積み重なりを考慮し、最も不利な寸法の組み合わせでも要求性能を満たせるかを確認することが重要です。
次に、組立手順を確認します。
シール材を溝に配置する際にねじれや浮きが発生すると、水の侵入経路になる可能性があります。また、合わせ面に切りくず、粉じん、繊維などの異物が残っている場合も、密着状態が損なわれることがあります。
これらの問題を防ぐには、組立前の清掃方法、シール材の配置方法、外観確認の手順を明確にすることが効果的です。
ねじ締結を行う場合は、締め付け順序や締め付け条件の管理も重要です。締結箇所によって負荷が偏ると、筐体の変形やシール材の圧縮むらが生じる可能性があります。
一方で、過大な締め付けは樹脂部品の損傷やねじ部の破損につながるため、適切な締結条件を設計段階で検討する必要があります。
接着や溶着を使用する構造では、接合面の清浄度、加工条件、設備状態なども品質に影響します。
さらに、検査方法も量産前に決めておくことが重要です。
すべての製品に同じ防水試験を実施する必要があるとは限りませんが、製品特性や要求品質に応じて、気密検査、外観検査、寸法検査などを組み合わせることが考えられます。
気密検査を防水性能の工程管理に利用する場合は、気密検査の結果と要求する防水性能との関係を検証しておく必要があります。空気が漏れにくいことと、規定の水試験に合格することは、必ずしも同一ではありません。
保守や修理で筐体を開閉する製品では、再組立後の防水性能も重要です。
シール材を交換する必要があるのか、ねじを再利用できるのか、作業後にどのような検査を行うのかを明確にしておくことで、保守作業に伴う性能低下を防ぎやすくなります。
製品開発の相談窓口では、試作品の防水性能だけでなく、量産工程や保守作業において同じ性能を再現できるかを確認することが重要です。
確認項目7:試験方法と合否基準を開発段階で合意する
防水・防塵設計の最終的な評価には、適切な試験計画が必要です。
どれほど慎重に設計しても、図面や材料仕様だけで完成品の防水・防塵性能を確実に判断することはできません。実際に製作した製品を評価し、要求仕様を満たしているかを確認する必要があります。
そのため、製品開発の相談窓口では、試作後に試験方法を考えるのではなく、設計開始前から評価条件を整理しておくことが望まれます。
まず確認したいのは、目標とする保護性能と試験条件の関係です。
IP等級に基づく評価では、対象とする等級によって試験方法が異なります。防じん試験と防水試験はそれぞれ評価対象が異なるため、必要な条件を明確にする必要があります。
また、IP等級の試験に合格したとしても、実使用環境に存在するすべての負荷に対応できるとは限りません。
例えば、温度変化、振動、落下、繰り返し開閉、薬品への接触などがある場合、それらの影響によってシール性能が変化する可能性があります。
そのため、製品の用途によっては、防水試験に加えて温度サイクル試験、振動試験、耐久試験などを組み合わせることが考えられます。
ここで重要なのは、試験を単純に増やすことではなく、想定される故障原因に対応した試験を選ぶことです。
例えば、屋外に長期間設置する製品では、温度変化を受けた後の防水性能を確認することに意味があります。頻繁にコネクターを着脱する製品では、所定回数の着脱後に防水性能を評価する方法が考えられます。
また、試験の順序も検討する必要があります。
完成直後の防水試験だけでなく、機械的負荷や温度変化を受けた後に再試験することで、使用中の性能変化を確認しやすくなります。
ただし、複数の試験を連続して実施すると、それぞれの影響を区別しにくくなる場合があります。試験目的に応じて、同一試験体を使用するか、別の試験体を準備するかを決めることが重要です。
合否基準についても事前の合意が必要です。
例えば、筐体内部への水の侵入が一切認められない設計と、規定上許容される範囲の侵入があっても機能や安全性に悪影響がない設計では、評価の考え方が異なります。
求めるIP等級の判定条件を踏まえたうえで、製品固有の安全性や機能に関する判定条件を追加することが重要です。
電子機器では、試験後の外観だけでなく、電源投入、通信、表示、センサー動作などの機能確認が必要になる場合があります。
さらに、試験中に不具合が発生した場合、侵入箇所を特定できる記録を残すことが重要です。
試験前後の写真、試験条件、試験体の製造履歴、分解確認の結果などを記録しておけば、設計変更の必要性を判断しやすくなります。
製品開発の相談窓口では、目標性能、試験方法、試験体の状態、実施時期、合否基準、不具合時の対応方針まで確認することで、試作評価から量産移行までの判断を明確にできます。
相談窓口へ提出する情報と設計検討の進め方
防水・防塵性能を備えた製品を効率的に開発するには、相談窓口へ必要な情報を整理して伝えることが重要です。
製品開発の相談では、最初から詳細な設計図面が完成している必要はありません。ただし、製品の用途や制約条件が不明確なままでは、適切な構造を検討することが難しくなります。
まず、製品の使用目的と使用環境を説明します。
屋外設置型なのか、携帯して使用する機器なのか、設備内部に組み込む装置なのかによって、必要な防水・防塵対策は異なります。さらに、雨や粉じんへの接触頻度、清掃方法、使用温度、設置姿勢などを伝えると、設計条件を整理しやすくなります。
次に、製品の外形寸法や内部構成に関する情報を共有します。
電子基板の寸法、電池の有無、表示部の配置、コネクターの数、操作部の位置などが分かれば、防水構造を成立させるために必要な空間を検討できます。
特に、小型製品では内部スペースが限られるため、シール材の配置と電子部品の配置を並行して検討することが重要です。
既存製品を改良する場合は、現在発生している問題を具体的に伝えることも有効です。
例えば、雨天使用後に故障する、コネクター周辺に水がたまる、内部結露が発生する、量産品の一部で防水試験に不合格になるといった情報があれば、原因を絞り込む手掛かりになります。
不具合が発生した際の使用状況や外観写真、分解確認の結果なども、設計検討に役立ちます。
相談内容が整理できたら、次に要求仕様と設計方針をすり合わせます。
この段階では、必要なIP等級、筐体材料、シール構造、製造方法、試験条件などを検討します。すべての条件を最初から確定させる必要はありませんが、未確定事項を明確にしておくことが重要です。
続いて、試作品を製作し、防水・防塵性能を評価します。
試作段階では、想定した構造が成立するかだけでなく、組み立てやすさ、部品の加工性、検査のしやすさなども確認します。
防水性能が成立していても、組立作業が複雑すぎる構造では、量産時の品質安定性に課題が残る可能性があります。
試験結果に基づいて必要な設計変更を行い、変更内容を図面や仕様書へ反映します。これにより、試作担当者だけが把握している作業上の工夫に依存せず、設計情報として品質条件を管理できます。
量産前には、製造公差、組立手順、検査方法を再確認します。
試作品と量産品で材料や製造方法が変更される場合は、その変更が防水・防塵性能に与える影響を評価する必要があります。
製品開発の相談窓口を活用する際は、設計できるかどうかだけでなく、試作評価から量産時の品質管理まで、どの範囲を相談できるかを確認することが重要です。
防水・防塵設計で起こりやすい判断ミス
防水・防塵性能を確保するためには、設計時によくある判断ミスを理解しておくことも大切です。
代表的なのが、目標IP等級だけを決めれば設計条件が確定すると考えてしまうことです。
IP等級は重要な指標ですが、実際の製品には振動、衝撃、温度変化、清掃、経年劣化などの条件が加わります。目標等級を定めると同時に、製品固有の使用条件を確認する必要があります。
また、防水仕様の部品を使用すれば製品全体も防水になると判断することにも注意が必要です。
コネクターやスイッチが防水仕様であっても、筐体への取り付け部分や周囲の構造が適切でなければ、水が侵入する可能性があります。部品単体の仕様と完成品の性能は区別して考える必要があります。
筐体を完全に密閉すれば結露も防げるという判断も適切ではありません。
密閉された筐体でも、内部に水分が存在すれば温度条件によって結露が発生する可能性があります。内部の湿度や発熱、温度変化を考慮した設計が必要です。
さらに、試作品で防水試験に合格したことをもって、量産品の性能も確保できると判断するのは早計です。
量産工程では、部品寸法や組立状態にばらつきが生じます。試作品の合格結果に加えて、量産時に必要な品質条件が管理できるかを確認しなければなりません。
防水性能を高めるためにシール材を過度に圧縮することも、問題につながる場合があります。
シール材には材料や形状に応じた適切な圧縮条件があり、過大な圧縮は変形や損傷の原因になる可能性があります。設計根拠のない締め付け強化ではなく、適切なシール構造を検討することが重要です。
最後に、試験に合格することだけを開発目標にしてしまう点にも注意が必要です。
試験結果は製品性能を確認するための重要な情報ですが、最終的な目的は、実際の使用環境で必要な安全性と機能を維持することです。
製品開発の相談窓口では、試験合格だけでなく、使用環境、製造方法、保守条件を含めた製品全体の信頼性を確認することが大切です。
まとめ:7つの確認項目を開発仕様と現場記録につなげる
製品開発で防水・防塵性能を確保するには、筐体の密閉構造だけでなく、使用環境から量産工程までを一体として検討することが重要です。
まず、製品が使用される環境を明確にし、必要な防水・防塵性能を具体化します。そのうえで、筐体の合わせ面、シール構造、コネクターや操作部の侵入対策、結露と圧力差への対策を検討します。
さらに、材料の耐久性、製造公差、組立作業の再現性を確認し、開発段階から適切な試験計画と合否基準を設定することが必要です。
これら7つの項目を製品開発の相談窓口で確認することで、設計上の課題を早期に発見し、試作後の大幅な変更や量産時の品質問題を減らしやすくなります。
また、防水・防塵性能を継続的に管理するには、設計図面や試験結果だけでなく、実際の現場における設置状況や使用状況を記録することも重要です。
例えば、屋外設置機器の取り付け位置、筐体の向き、ケーブルの引き回し、シール部分の状態、点検時の外観などを写真とともに記録しておけば、不具合発生時の原因調査や次期製品の設計改善に役立ちます。
こうした現場情報の管理には、現場写真・位置情報・施工記録を一体的に扱えるLRTK Phoneの活用も有効です。設置場所と現場写真を関連付けて記録することで、設計時の想定条件と実際の使用環境を照合しやすくなります。
製品開発の段階で整理した防水・防塵の要求仕様と、現場で得られた情報を継続的につなげることが、製品の品質改善と信頼性向上につながります。設計から製造、設置後の確認までを見据え、LRTK Phoneも活用しながら、現場の実態に基づいた製品開発を進めていくことが大切です。
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