LRTKレフィクシア株式会社

製品設計の外注で結露による故障を防ぐ6つの筐体内湿度対策

電子機器や制御装置の製品設計を外注する際、見落としやすい品質リスクの一つが筐体内部の結露です。外観上は問題がなく、防水性能を考慮した筐体でも、内部の温度変化や湿気の侵入によって水滴が発生し、電子回路の故障につながることがあります。

特に屋外設置機器、産業用制御装置、通信機器、計測機器などでは、昼夜の温度差や運転停止後の冷却、季節による湿度変化への対応が重要です。製品設計を外注する場合、こうした使用環境の条件が十分に共有されていないと、完成後の耐久試験や市場投入後に問題が発覚する可能性があります。

結露対策は、単に筐体を密閉するだけでは完結しません。筐体内外の温度差、空気の移動、材料から発生する水分、電子部品の配置、基板の表面状態などを総合的に検討する必要があります。また、設計委託先と発注側の間で湿度管理の要求仕様や試験条件を明確にしておくことも欠かせません。

結露による故障が厄介なのは、設置直後には正常に動作していても、数週間から数か月の温湿度変化を経て症状が現れる場合があることです。湿度が高い季節だけ通信が不安定になる、朝方に電源が入らなくなる、長期停止後の再起動で異常が発生するなど、発生条件が限定されるため、原因調査に時間がかかることもあります。

さらに、結露対策を製品完成後に追加しようとすると、筐体形状や部品配置、配線経路の変更が必要になる場合があります。設計変更が製造工程や検査方法にも影響するため、初期段階から結露リスクを洗い出し、対策を仕様として組み込むことが重要です。

本記事では、製品設計の外注で結露による故障を防ぐために実施したい6つの筐体内湿度対策を解説します。設計段階での検討事項から試作評価、量産時の管理方法まで、製品開発の実務担当者が外注先と協議する際に役立つ考え方を紹介します。

結露が起こる仕組みと製品設計外注で見落としやすい原因

筐体内部の結露は、湿気を含んだ空気が冷たい部品や筐体内壁に接触し、その表面温度が空気の露点温度以下になったときに発生します。露点温度とは、空気を冷却した際に水蒸気が凝縮し始める温度です。

例えば、気温25℃、相対湿度70%程度の空気では、露点温度はおよそ19℃になります。この空気が筐体内部に存在する状態で、金属製の内壁や電子部品の表面温度が露点以下になると、水滴が発生する可能性があります。

重要なのは、筐体内部の平均温度や湿度だけでは結露の有無を判断できないことです。筐体内に温度差がある場合、温度センサーの設置位置では結露条件に達していなくても、冷えやすい金属部品や基板の一部では水分が凝縮することがあります。

結露が電子機器に与える影響には、回路間の漏れ電流、絶縁性能の低下、金属端子の腐食、接点不良などがあります。水分が基板表面のイオン性残留物と接触すると、電圧が印加された状態で電気化学的な劣化が進み、導電性の析出物によって短絡につながる場合もあります。

また、結露による不具合は常に発生するわけではありません。特定の季節や気象条件、運転停止後の時間帯だけで発生し、乾燥すると一時的に正常動作へ戻ることがあります。そのため、通常の通電確認だけでは原因を特定しにくいという特徴があります。

製品設計の外注で問題になりやすいのは、発注側が防水性能を要求していても、結露に対する要求を明確にしていないケースです。雨水の侵入を防ぐ構造と、内部の水蒸気を適切に管理する構造は、必ずしも同じではありません。

例えば、外部からの水滴が入りにくい筐体でも、組立時に湿った空気が封入されていれば、内部の温度変化で結露する可能性があります。樹脂やシール材を通じた水蒸気の透過、わずかな隙間からの空気移動、内部材料が保持していた水分の放出も考慮が必要です。

さらに、金属と樹脂を組み合わせた筐体では、材料ごとの熱伝導率や熱容量の違いによって温度分布が不均一になりやすくなります。外気に接する金属製固定部や放熱部が周囲より低温になると、局所的な結露が発生することがあります。

筐体内で発生した水滴は、その場にとどまるとは限りません。内壁を伝って移動したり、配線に沿って流れたりすることで、当初想定していなかった電子部品に到達する可能性があります。特に基板の下側やコネクタ周辺など、水分が滞留しやすい部分は注意が必要です。

製品設計を外注する際には、外部から水を入れない設計と、筐体内部で水滴を発生させにくい設計を区別して検討することが重要です。そのうえで、結露が完全には避けられない場合に備え、電子回路への影響を小さくする構造まで組み合わせる必要があります。

結露の発生条件、侵入経路、水分の移動経路、故障につながる箇所を設計初期に整理することで、対策の優先順位を判断しやすくなります。外注先には筐体設計だけを任せるのではなく、電気設計、熱設計、組立工程を含めた総合的な検討を依頼しましょう。

対策1:使用環境と露点条件を設計仕様に落とし込む

最初の対策は、製品が使用される環境を具体的に整理し、結露が発生しやすい条件を設計仕様へ反映することです。製品設計の外注では、使用温度範囲だけを提示し、湿度や温度変化の条件を十分に伝えていないことがあります。

しかし、結露リスクを左右するのは単純な最高温度と最低温度だけではありません。温度がどの程度の速度で変化するか、機器が運転中か停止中か、筐体内部にどの程度の水分が存在するかによって、発生条件が変わります。

例えば、屋外に設置する制御装置では、昼間に筐体が日射で温められ、夜間に急速に冷却されることがあります。機器の稼働中は内部の発熱によって結露が起こりにくい状態でも、電源を停止すると基板や筐体の温度が低下し、内部の冷たい部分に水滴が発生する可能性があります。

また、寒冷な場所で保管した装置を暖かく湿度の高い室内へ移動させる場合も注意が必要です。筐体表面だけでなく、内部の金属部品や基板が低温状態を維持していると、移動後に流入した湿った空気によって結露する場合があります。

こうした状況を外注先へ説明する際は、通常運転時の環境だけでなく、保管、輸送、設置、起動、停止、点検まで含めた温湿度条件を整理します。

特に重要なのは、どの段階で機器の内部温度が外気温に近づくのかを確認することです。電子機器は運転中に発熱するため、稼働状態だけの評価では結露リスクを過小評価するおそれがあります。停電や長期停止など、発熱がなくなる状況も設計条件に含める必要があります。

外注先には、想定する温湿度範囲と温度変化の条件を共有し、内部の空気の露点温度と、結露が問題となる部品の表面温度を比較するよう依頼します。必要に応じて、筐体内部の温度分布を解析したり、試作品にセンサーを取り付けたりして、冷えやすい箇所を特定します。

このとき、室内の湿度を一律の数値以下に抑えれば安全だと判断するのは適切ではありません。相対湿度は温度によって変化するため、同じ水蒸気量でも温度が低下すれば相対湿度が上昇します。結露防止には、相対湿度だけでなく、露点と部品表面温度の関係を確認することが重要です。

例えば、試作品の内部湿度が通常運転中には低く見えていても、運転停止による冷却後には相対湿度が上昇することがあります。運転中の測定結果だけを根拠に結露対策が十分だと判断すると、実際の使用条件との違いを見落とすおそれがあります。

設計仕様を作成する際には、設置場所の特徴も具体的に伝えましょう。海岸に近い場所では塩分を含む付着物によって腐食や漏れ電流のリスクが高まる場合があります。地下設備や水処理施設では高湿度の状態が長時間続くこともあり、寒冷地では凍結と融解を繰り返す条件が問題になることがあります。

また、製品に求める結露耐性を明文化することも必要です。例えば、想定使用条件で結露を発生させない設計を目指すのか、一定の条件で結露が発生しても機能を維持する設計とするのかによって、選択すべき対策が変わります。

発注側と設計外注先がこの方針を共有していないと、外注先は一般的な防水構造を採用しただけで要求を満たしたと判断する可能性があります。要求仕様書には、想定する環境、運転状態、結露に関する要求、評価条件、合否判定方法を記載し、設計開始前に認識を合わせておきましょう。

対策2:筐体の合わせ面と貫通部の密閉品質を高める

2つ目の対策は、筐体の合わせ面や配線の貫通部から水分が侵入する経路を把握し、適切な密閉構造を採用することです。

製品設計を外注する場合、筐体本体の形状には注意が向けられていても、ケーブル引き込み部、コネクタ取付部、固定ねじ、点検カバーなどの細部が十分に検討されていないことがあります。

筐体内部への湿気の侵入は、大きな開口部だけで発生するわけではありません。シール材の圧縮不足、合わせ面の反り、組立時の異物の挟み込み、ケーブル外被とシール材の寸法不一致などによって、微小な隙間が生じる場合があります。

例えば、筐体のふたを固定するねじの締付力が均一でない場合、シール材の圧縮量が場所によって異なります。圧縮が不足した部分では密閉性が低下し、反対に過度に圧縮した部分ではシール材が損傷したり、長期間の使用で密封性能が低下したりする可能性があります。

そのため、外注先には単にシール材の採用を指示するのではなく、シール溝の寸法、接触面の平面度、圧縮率、材料の硬さ、ねじ配置、締付条件まで含めた設計を依頼することが重要です。

シール材については、使用温度、湿度、紫外線への暴露、清掃に使用する薬品などを考慮し、長期使用で必要な密閉性能を維持できる材料を選定します。特に屋外設置機器では、温度変化による材料の膨張・収縮差や、シール材の経年劣化も確認する必要があります。

樹脂筐体の場合は、成形時の反りや寸法ばらつきが合わせ面の密閉性に影響します。試作品では問題なくても、量産時の条件変動によってシール部に隙間が生じることがあるため、寸法公差と組立ばらつきを含めた評価が欠かせません。

また、ケーブル引き込み部は特に注意したい箇所です。ケーブルの外径に適合した固定構造を採用し、引張力や曲げ荷重によってシール部が変形しないようにします。ケーブルに沿って水分が移動する可能性も考え、配線の取り回しや固定方法を検討します。

点検カバーのように繰り返し開閉される部分については、初回組立時だけでなく、再組立後の密閉性能も確認する必要があります。シール材のずれや異物の付着、締付手順の違いによって性能が変化するため、保守作業を想定した構造が求められます。

例えば、試作段階で熟練作業者が慎重に組み立てた筐体では漏れが発生しなくても、量産時に締付順序が変わると局所的な隙間が生じる場合があります。このような問題を防ぐには、締付工具、作業順序、交換が必要なシール材の条件を組立指示書に反映させることが有効です。

ただし、密閉性を高めれば結露を完全に防げるわけではありません。内部に水分を含んだ空気が残っている場合や、材料を通じて水蒸気が移動する場合には、密閉構造でも内部結露が発生する可能性があります。

したがって、筐体の密閉設計は湿気の侵入量を抑えるための基本対策として位置付け、組立時の乾燥管理や内部の熱設計と組み合わせることが重要です。

外注先からは、シール構造の断面図、主要寸法、公差、組立条件、検査方法を提出してもらい、試作段階で実際の密閉品質を確認します。防水試験に合格したという結果だけで判断せず、温度変化を与えた後にも性能が維持されるかを評価することで、量産後の結露リスクを低減しやすくなります。

対策3:圧力差と通気経路を管理して湿気の侵入を抑える

3つ目の対策は、筐体内外の圧力差を考慮し、空気や水蒸気が移動する経路を適切に管理することです。

筐体内部の空気は、温度変化によって膨張や収縮を起こします。密閉性が十分でない筐体では、内部が冷却されて圧力が低下すると、外部の湿った空気が微小な隙間から流入する可能性があります。

昼間に温められた筐体が夜間に冷却される環境では、こうした圧力変化が繰り返されます。内部への空気流入と排出が継続すると、外部環境や内部表面の状態によっては水分が蓄積し、結露リスクが高まることがあります。

この現象への対策として検討されるのが、圧力調整機能を持つ通気構造です。気体を通しながら液体の水の侵入を抑える通気膜などを使用することで、筐体内外の圧力差を緩和できる場合があります。

ただし、通気構造を設ければ内部湿度が必ず低下するわけではありません。通気膜は水蒸気の移動まで完全に遮断するものではないため、外部の湿度が高い環境では内部にも湿気が移動する可能性があります。

そのため、圧力調整と湿度低減を同じ目的として扱わず、それぞれの機能を分けて評価する必要があります。圧力調整によってシール部への負荷が軽減されても、内部の露点が十分に下がらなければ結露リスクは残ります。

外注先と通気構造を検討する際には、筐体容積、想定温度変化、圧力変動、必要な通気量、設置方向を共有します。さらに、通気部が雨水や泥、粉じん、洗浄水にさらされる条件を確認し、使用環境に適した構造を選定することが重要です。

例えば、屋外設置機器の下面付近に通気部を配置した場合、周囲の水たまりや跳ね返り水の影響を受ける可能性があります。一方で、上面に配置すると雨水が直接当たる場合があります。設置方向だけでなく、雨水の流れや水滴が滞留しにくい形状まで考慮しなければなりません。

また、通気部の周辺に配線や内部部品が密集していると、局所的な空気の流れや温度分布が変化することがあります。通気構造を採用する際には、筐体内部の配置との関係も確認しましょう。

通気膜は、汚れや付着物によって性能が変化する場合があります。長期間使用する製品では、清掃や点検の必要性、交換可否、保守時の取り扱いも設計条件に含めます。

失敗例として、圧力差を緩和する目的で単純な通気穴を追加した結果、雨水や粉じんの侵入経路を増やしてしまうケースが考えられます。こうした変更は湿度対策だけでなく、防水性、防じん性、電気安全性にも影響するため、穴の追加だけで対策を完了したと判断するのは危険です。

通気構造が適しているかどうかは、製品の設置環境や内部発熱、必要な保護性能によって異なります。高湿度環境での使用が長時間続く場合には、通気構造だけで対応せず、吸湿材や熱設計、基板保護との組み合わせを検討することが重要です。

設計外注先には、通気部を採用する理由、期待する効果、想定される湿気の移動、評価方法を説明してもらいましょう。密閉性を重視する設計と圧力調整を重視する設計のどちらが適切かを、実際の使用条件から判断することが結露対策の精度を高めます。

対策4:吸湿材と組立時の乾燥管理で初期水分を減らす

4つ目の対策は、筐体内部に最初から存在する水分を減らし、必要に応じて吸湿材を活用することです。

結露対策というと、完成後に外部から侵入する湿気ばかりに注意が向きがちです。しかし、製品の組立時に封入された空気や、樹脂部品、接着剤、緩衝材などが保持している水分も、内部湿度を上昇させる原因になります。

例えば、湿度の高い作業環境で筐体を組み立て、そのまま密閉した場合、内部に湿った空気が残ります。また、洗浄後の部品や乾燥が不十分な材料を使用すると、組立後に水分が放出される可能性があります。

こうした初期水分への対策では、組立環境の湿度管理と部品の乾燥状態の確認が重要です。外注先には、最終組立を実施する作業場所の環境、部品の保管状態、洗浄後の乾燥工程、封止までの時間を確認します。

特に、洗浄工程を経た基板や金属部品については、表面だけでなく狭い隙間や部品の下側に水分が残っていないかを確認する必要があります。表面が乾燥して見えても、構造によっては内部に水分が滞留する場合があります。

接着剤や封止材を使用する場合は、硬化条件と水分管理の関係も確認します。材料によっては湿度が硬化反応に関係するものもあるため、すべての材料を同じ方法で乾燥させればよいわけではありません。材料の特性に応じた保管条件や施工条件を設定することが大切です。

筐体内湿度を低減する補助対策として、吸湿材を配置する方法もあります。吸湿材は周囲の水蒸気を取り込むことで内部湿度を低下させる働きがありますが、使用環境や吸湿量によっては一定期間で性能が低下します。

そのため、吸湿材を採用する際には、筐体容積だけでなく、内部材料から放出される水分量や使用期間中の水蒸気侵入量を考慮する必要があります。単に小さな吸湿材を入れるだけでは、長期使用に必要な湿度管理ができるとは限りません。

例えば、試作品の評価期間中は内部湿度が低く維持されていても、長期使用によって吸湿能力が不足すると、数か月後に結露が発生する可能性があります。試作時の短期間の成功を、そのまま製品寿命全体の性能保証とすることは避けましょう。

また、吸湿材を配置する位置にも注意が必要です。吸湿材が電子回路や可動部品に干渉しないこと、固定状態が維持されること、必要に応じて交換や点検が可能であることを確認します。

吸湿材の種類によっては、取り扱いや再生条件、包装状態の管理が重要になります。組立前に長時間外気へさらされると、製品に封入する前から吸湿能力が低下している場合があります。

このような失敗を防ぐため、外注先には吸湿材の保管方法、開封から封入までの許容時間、交換条件、組立記録の管理方法を含めた工程設計を依頼します。作業者ごとに手順が異ならないよう、工程指示書に具体的な管理条件を記載することが有効です。

なお、吸湿材は無制限に水分を吸収できるものではありません。大量の水分が侵入する構造上の問題を吸湿材だけで補おうとすると、期待した効果が得られない場合があります。

設計段階では、まず湿気の侵入経路や初期水分の原因を減らし、そのうえで吸湿材を補助的な対策として活用することが重要です。

対策5:熱設計を見直して内部の冷点をつくらない

5つ目の対策は、筐体内部の温度分布を見直し、結露が発生しやすい低温部分を減らすことです。

筐体内部の空気に一定量の水蒸気が含まれていても、すべての部品が同じ温度であれば、局所的な結露条件を管理しやすくなります。しかし、実際の電子機器では、発熱する回路部品、熱伝導率の高い金属部品、外気に接する筐体壁などによって温度差が生じます。

特に注意したいのが、外部の低温が内部へ伝わりやすい部分です。金属製の固定部、放熱部、取付金具などは、周囲より低温になる場合があり、結露が発生する起点となることがあります。

例えば、屋外設備に固定された金属製筐体では、取付金具を通じて外部の低温が内部に伝わる可能性があります。内部の空気が比較的暖かく湿っている状態で、金属部分だけが冷却されると、その表面に水滴が発生することがあります。

こうした問題に対しては、熱の伝わり方を確認し、必要に応じて部材の配置や断熱構造を見直します。ただし、断熱材を追加すると放熱性能が低下する場合があるため、電子部品の温度上昇と結露防止の両立が必要です。

設計外注先には、通常運転時だけでなく、起動直後、停止直後、低温保管後などの温度分布を検討してもらいます。特定の条件で温度差が大きくなる場合は、その状態がどの程度継続するかも確認することが重要です。

また、電子部品の配置を変更することで、結露の影響を軽減できる場合があります。例えば、冷えやすい筐体内壁の近くに高い絶縁性能が求められる回路を配置している場合、距離を確保することで水滴の付着リスクを減らせる可能性があります。

ただし、発熱部品を近づければ必ず結露を防げるというわけではありません。局所的な温度上昇によって内部の温度差が拡大したり、運転停止後に冷却速度の違いが生じたりする場合があります。

このため、熱設計では単純に筐体内部を暖めるだけでなく、温度分布と時間変化を確認することが重要です。

必要に応じて、内部温度を維持するための加熱機構を検討する方法もあります。低温環境で使用する機器では、適切な温度制御によって特定部品の表面温度を露点より高く保ち、結露を抑制できる場合があります。

一方、加熱機構には消費電力の増加や部品寿命への影響、過熱対策などの課題があります。停電時に加熱が停止する場合も考慮しなければなりません。加熱による対策を採用する場合は、通常運転時の効果だけでなく、電源喪失後の結露リスクも評価する必要があります。

また、筐体内の空気を循環させる構造を採用する場合には、空気の流れによって温度分布がどのように変化するかを確認します。空気循環によって温度差を緩和できる場合がある一方、湿った空気が低温部分へ運ばれることで、局所的な結露が発生する可能性もあります。

製品設計を外注する際には、電子回路の発熱量、筐体材料、外部取付方法、内部配置を共有し、熱設計と湿度対策を一体で検討することが大切です。

温度分布の解析結果だけで判断せず、試作品の実測値と照合することも欠かせません。解析で想定していた接触状態や材料特性が実物と異なる場合、冷えやすい箇所が変わることがあります。

熱設計による結露対策では、最も冷える部品の温度と内部空気の露点との差を確認し、測定誤差や使用環境の変動も考慮して設計上の余裕を持たせることが重要です。

対策6:基板保護と水滴対策で故障への進展を防ぐ

6つ目の対策は、結露が発生した場合でも電子回路の故障につながりにくい構造を採用することです。

筐体内部の結露を完全に防ぐことが難しい環境では、水滴の発生そのものを抑える対策に加え、水分が電子部品へ与える影響を小さくする設計が重要になります。

代表的な方法として、電子基板の表面に適切な保護膜を形成する方法があります。保護膜によって基板表面への水分の接触を抑え、絶縁性能の低下や腐食のリスクを軽減できる場合があります。

ただし、基板保護膜は塗布すれば必ず効果が得られるものではありません。塗布前の洗浄状態、膜厚、硬化条件、部品形状などによって保護性能が変化します。

例えば、基板表面に汚れや洗浄液の残留物がある状態で保護膜を形成すると、膜の密着性が低下したり、水分や汚染物質が内部に残ったりする可能性があります。

そのため、外注先には保護膜の材料選定だけでなく、基板洗浄、乾燥、塗布、硬化、検査まで含めた工程設計を依頼する必要があります。

また、コネクタの接点や調整部、放熱が必要な部品など、保護膜を塗布できない箇所もあります。保護が必要な領域と塗布を避ける領域を図面や作業指示書で明確にし、製造時のばらつきを抑えることが重要です。

基板の配置にも工夫が必要です。筐体内壁に発生した水滴が直接基板へ落下する構造や、配線を伝って水分がコネクタへ流れ込む構造は、できるだけ避けることが望まれます。

例えば、筐体上部の内壁に結露が発生し、その直下に電源基板が配置されている場合、水滴が落下して回路へ付着する可能性があります。このような配置では、基板の位置変更や水滴を遮る構造、適切な排水経路の検討が必要です。

ただし、排水経路を設ける場合には、外部からの水分や粉じんの侵入を増やさないようにしなければなりません。排水穴の追加によって別の故障原因が生じることもあるため、防水性能との整合性を確認する必要があります。

さらに、基板の取付方向によって水滴の滞留状態が変わることがあります。水平に配置された基板では、水滴が長時間残る場合があります。一方、傾斜を付けた配置では、水滴が移動しやすくなる可能性がありますが、移動先に重要な接点があれば新たなリスクになります。

このため、基板の配置変更では水滴がどこに発生し、どの方向へ移動し、最終的にどこへ滞留するかを確認することが重要です。

結露に対する耐性を高めるには、回路設計の段階から必要な絶縁距離や部品の耐湿性を考慮することも有効です。特に高い電圧を扱う部分や微小な信号を測定する回路では、わずかな漏れ電流でも機能に影響する場合があります。

外注先と協議する際には、結露が発生した場合に停止してもよい機能と、安全上維持しなければならない機能を整理します。安全に関係する回路については、湿度対策だけに依存せず、異常検知や安全停止などの仕組みも検討する必要があります。

基板保護は、結露の発生を防ぐための対策ではなく、結露が発生した場合の故障リスクを軽減する対策です。密閉構造、湿度管理、熱設計と組み合わせて評価することで、製品全体の信頼性向上につなげられます。

製品設計の外注先に伝える仕様と役割分担

筐体内の結露対策を確実に進めるためには、発注側と設計外注先の役割を明確にすることが重要です。

製品設計の外注では、発注側が使用環境や求める機能を把握し、外注先が具体的な設計方法を検討することが一般的です。しかし、結露対策に必要な情報が発注側から十分に提供されなければ、外注先は適切な設計条件を設定できません。

例えば、発注側が屋外で使用する機器であることだけを伝え、日射条件や運転停止時間、定期点検の頻度を共有していない場合、外注先が想定する使用環境と実際の環境に差が生じる可能性があります。

このような認識のずれを防ぐには、設計開始前に使用環境を整理した要求仕様書を作成し、結露対策に関する条件を明文化することが大切です。

要求仕様書には、使用温度と湿度の範囲だけでなく、温度変化の条件、設置方向、雨水や洗浄水への暴露、運転と停止の頻度、期待する使用期間などを記載します。

また、発注側が求める性能と、外注先が提案する対策の関係を確認する必要があります。例えば、筐体の防水性能を高める提案があった場合、それによって内部結露がどの程度抑制されるのか、別途乾燥管理が必要なのかを協議します。

対策方法を選定する際には、設計変更が他の性能に与える影響も確認しましょう。密閉性を高めることで放熱性能が不足する場合や、通気構造を追加することで防じん性能の再評価が必要になる場合があります。

製品設計では、ある問題への対策が別の問題を生むことがあります。そのため、外注先から提案された対策については、結露防止効果だけでなく、電気安全性、放熱性、組立性、保守性への影響も確認することが重要です。

役割分担については、発注側が使用環境と性能要求を提示し、外注先が設計案と技術的根拠を示す形を基本とします。さらに、試験計画の作成、試作品の評価、不具合発生時の原因調査、設計変更の承認について、誰が責任を持つのかを事前に決めておきます。

例えば、試作品の結露試験で異常が発生した場合、筐体設計の問題なのか、基板保護の問題なのか、組立工程の問題なのかによって、対応する担当者が変わります。

複数の外注先が関係する場合には、筐体設計担当と電気設計担当の間で情報が分断されないようにする必要があります。設計変更の内容が関係者全員に共有される仕組みを設けることで、対策漏れを防ぎやすくなります。

また、設計外注先に提出してもらう成果物も具体的に決めておきましょう。筐体図面だけでなく、シール構造の詳細、主要材料の仕様、温度分布の評価結果、組立手順、検査条件などを確認できる状態にすることが望まれます。

設計審査では、単に部品が配置できるか、外観が要求を満たしているかを見るのではなく、温湿度変化によってどこに水分が発生し、どの部品に影響するかを検討します。

発注側が技術的な判断をすべて外注先に任せるのではなく、使用環境と品質要求に基づいて判断することが、設計外注の品質を高めるポイントです。

試作段階で実施したい湿度・結露の評価方法

結露対策の妥当性を判断するには、試作品を使用した評価が欠かせません。

図面上では適切な密閉構造や熱設計を採用していても、実際の組立状態や材料のばらつきによって性能が変化することがあります。試作段階では、想定する使用環境を再現し、筐体内部の湿度変化と結露の発生状況を確認します。

評価方法の一つが、温湿度を制御できる試験環境での温度サイクル試験です。高温状態と低温状態を繰り返すことで、筐体内外の圧力変化や内部温度分布の変動を確認できます。

ただし、温度を上下させるだけでは実際の結露条件を再現できない場合があります。結露の発生には内部の水蒸気量が関係するため、試験開始時の湿度や保持時間も適切に設定する必要があります。

例えば、十分に乾燥した試作品を低温環境へ移しても、内部の水蒸気量が少なければ結露しない場合があります。一方、湿度の高い環境で組み立てた試作品では、同じ温度変化でも水滴が発生する可能性があります。

このため、評価では初期湿度の異なる条件や、運転状態の違いを考慮することが重要です。

通常運転中だけでなく、電源停止後の冷却過程も確認します。特に発熱量の大きい機器では、停止後に内部温度が低下する過程で結露条件に近づく場合があります。

試験中は、筐体内部の温度と湿度を連続的に記録することが有効です。温湿度センサーを配置する際には、発熱部品の近くと冷えやすい部位の違いを考慮し、測定位置による差を把握します。

また、温湿度センサーの測定値だけで結露が発生していないと判断しないことも重要です。センサーが設置されていない局所的な低温部で水滴が発生する可能性があるため、必要に応じて表面温度の測定や内部観察を組み合わせます。

試験後には、基板やコネクタ、金属端子などの状態を確認します。目視で水滴が確認できなくても、腐食の初期兆候や絶縁性能の変化が生じている場合があります。

電気的な評価では、装置の正常動作だけでなく、必要な絶縁性能や信号の安定性なども確認します。湿度による影響が疑われる場合には、乾燥後に正常動作へ戻るかどうかだけでなく、部品に不可逆的な劣化が生じていないかを調べる必要があります。

合否判定については、試験前に基準を決めておきます。例えば、想定使用条件で内部結露を許容しない設計であれば、指定した観察部位に水滴が発生しないことを確認します。

一方、結露の発生を一定条件で許容する設計では、機能維持、絶縁性能、安全性、腐食の有無などを含めて判定します。目視上の異常がないことだけを合格条件にすると、潜在的な故障リスクを見逃す可能性があります。

試験で不具合が発生した場合には、単に試験条件を緩和するのではなく、原因を調査します。水分の侵入経路、初期湿度、局所的な冷却、材料からの水分放出などを切り分け、設計上の問題と製造上の問題を区別することが重要です。

例えば、同じ設計の試作品でも一部だけ結露が発生する場合、組立時のシール状態や初期乾燥条件にばらつきがある可能性があります。すべての試作品で同じ位置に結露が発生する場合は、構造や温度分布に共通の原因があることも考えられます。

設計変更後は、変更した部分だけを確認するのではなく、関連する性能への影響も再評価します。シール材や通気構造の変更は防水性に、断熱材や部品配置の変更は放熱性に影響する場合があるためです。

試作評価の結果は、測定条件、測定位置、試験時間、運転状態、合否結果、異常内容を記録しておきます。これらを外注先と共有することで、量産設計への反映や不具合発生時の比較に役立ちます。

量産移行後の品質管理と不具合時の原因調査

試作品で結露対策の有効性が確認できても、量産時に同じ性能が維持されるとは限りません。

量産では、材料のロット差、部品寸法のばらつき、組立作業者の違い、設備条件の変動などによって、筐体の密閉状態や初期湿度が変わることがあります。

そのため、量産移行時には、試作段階で有効だった結露対策を製造工程の管理項目へ落とし込むことが重要です。

例えば、シール材を使用する筐体では、部品寸法だけでなく、シール材の保管状態、取付位置、圧縮状態、締付条件などを管理します。試作品で使用した材料と量産品の材料が異なる場合には、密閉性能や長期耐久性への影響を確認する必要があります。

また、筐体内の初期水分を抑えるためには、組立環境と作業手順の管理が欠かせません。湿度の高い作業環境で組み立てる製品については、必要に応じて作業場所の湿度管理や部品の乾燥条件を設定します。

吸湿材を使用する場合には、開封から組立までの時間や保管方法を管理し、製造ロットごとの記録を残すことが有効です。基板保護膜についても、塗布範囲や硬化状態の確認が必要になります。

量産検査では、すべての製品に長時間の温湿度試験を実施することが現実的でない場合もあります。その際には、設計上重要な管理項目を工程内検査として設定し、必要に応じて抜取試験や定期的な耐久評価を組み合わせます。

重要なのは、完成品の外観検査だけでは結露に関する潜在的な問題を発見しにくいという点です。シール材の圧縮不足や部品内部の残留水分は、外観から判断できない場合があります。

そのため、結露対策では完成品検査だけに依存せず、部品受入れから組立、封止、出荷までの工程管理を組み合わせる必要があります。

さらに、量産開始後に不具合が発生した場合に備え、原因調査に必要な情報を記録しておくことも重要です。製造ロット、使用部材、組立日、検査結果、設計変更履歴などを追跡できる状態にしておくことで、不具合の発生範囲を絞り込みやすくなります。

例えば、特定の製造ロットだけで結露による故障が多発した場合、シール材の変更や組立環境の変動が関係している可能性があります。一方、設置環境が共通する製品だけで不具合が発生している場合は、使用条件と設計仕様の不一致が疑われます。

不具合品を調査する際には、内部を開封する前の状態を記録することが望まれます。開封後は内部の湿度や水滴の状態が変化するため、原因を示す情報が失われる場合があります。

水滴の付着位置や腐食の発生箇所、シール部の状態などを可能な範囲で記録し、製造履歴や設置条件と照合することで、原因の切り分けに役立ちます。

また、結露が疑われる故障では、乾燥後に正常動作へ戻ったことだけを根拠に製品を良品と判断しないことが重要です。水分の影響によって腐食や絶縁劣化が進んでいる場合、再び湿度が上昇した際に不具合が発生する可能性があります。

原因調査の結果、設計変更が必要になった場合には、変更内容が既存の品質管理項目へどのように影響するかも確認します。例えば、シール材の材質を変更した場合は、組立条件や検査方法、保守時の交換条件まで見直す必要が生じることがあります。

製品設計の外注先との契約や業務範囲に、量産移行後の技術支援や不具合解析への協力条件を含めておくことも有効です。試作段階の設計担当者が量産後の問題に対応できる体制を整えることで、原因調査や改善活動を進めやすくなります。

結露による故障は、使用環境、設計、材料、製造工程が複合的に関係する場合があります。したがって、単一の対策だけで解決しようとするのではなく、設計情報と製造記録、現場での使用状況を結び付けて改善を進めることが重要です。

まとめ:結露を防ぐ筐体設計を外注先と実現する

製品設計の外注で結露による故障を防ぐには、筐体内部の湿度を適切に管理し、温度変化によって水滴が発生する条件を把握することが重要です。

結露対策では、使用環境と露点条件の整理、合わせ面や貫通部の密閉品質、圧力差と通気経路の管理、初期水分の低減、内部の熱設計、基板保護という6つの視点を組み合わせて検討する必要があります。

特に注意したいのは、防水性能を高めることと、内部結露を防止することは同じではないという点です。密閉構造を採用していても、組立時の水分や内部材料から放出される湿気によって結露が発生する可能性があります。

また、湿度を下げる対策だけでなく、冷えやすい部品の配置を見直し、結露が発生した場合にも重要な回路へ水分が到達しにくい構造を採用することが有効です。

製品設計を外注する際には、使用温湿度の範囲だけでなく、運転停止時の温度変化、保管・輸送条件、設置環境、保守作業まで含めた情報を外注先へ共有しましょう。

そのうえで、結露に関する要求仕様、設計上の対策、試験条件、合否判定方法、量産時の管理項目を明確にすることで、発注側と外注先の認識のずれを減らせます。

試作段階では、実際の使用環境に近い温湿度条件で評価を行い、内部湿度や局所的な表面温度、電子回路への影響を確認することが重要です。量産移行後も、材料や組立条件のばらつきを管理し、設計時に確認した性能を維持できる仕組みを整える必要があります。

また、屋外に設置する電子機器や制御装置では、結露対策とあわせて、設置場所や周辺環境の情報を正確に記録しておくことも役立ちます。設置方向、周辺構造物、日射や雨水の影響、施工時の状態などを記録しておくことで、後から不具合が発生した際の状況確認を進めやすくなります。

こうした現場情報の管理には、現場写真や位置情報、施工記録を扱えるLRTK Phoneの活用も選択肢となります。設備の設置位置や周辺状況を写真と位置情報に関連付けて記録しておけば、設計時に想定した使用条件と実際の設置環境を比較する際の参考になります。

LRTK Phoneは筐体内部の湿度や結露を直接測定するものではありませんが、現場の設置状況や施工履歴を整理し、設計部門、品質管理部門、施工担当者の間で情報を共有する際に役立ちます。

結露による故障リスクを抑えるためには、設計段階の技術対策だけでなく、製造工程の品質管理と現場情報の蓄積を継続することが大切です。外注先との仕様共有と試作評価を徹底し、使用環境に適した筐体内湿度対策を製品開発の初期段階から組み込むことで、長期的な信頼性の向上につなげていきましょう。

ものづくりの次の一歩を、
相談から始めてみませんか。

加工・製造の外注先や共同開発のパートナー探しに。大田区産業振興協会の受・発注あっせん相談サービスをご利用いただけます。

ものづくり 外注先を探す。公益財団法人大田区産業振興協会の受・発注あっせん相談。無料でプロに相談!公的機関だから安心!
ものづくりの協力先探し大田区産業振興協会無料相談