LRTKレフィクシア株式会社

加工プログラムの空走時間を短縮する5つの加工コスト削減方法

切削加工のコストを見直すとき、工具や材料の使用量、切削条件の変更に注目する担当者は多いものです。しかし、加工機が動いている時間のすべてが材料を削っているわけではありません。工具が加工位置まで移動する時間、加工点から離れて次の位置へ向かう時間、工程の切り替えに伴って軸が往復する時間にも設備の稼働枠は使われます。こうした空走時間は、一回の動作ではわずかでも、加工回数や生産数量が増えると無視できない差になります。

特に、穴数が多い部品、複数面を加工する部品、工具交換が頻繁な部品では、工具経路の組み方が製造時間に影響します。一方で、移動距離だけを短くしようとして安全高さを下げたり、工程の順番を無理に変更したりすると、治具との干渉や品質不良の原因になりかねません。加工コストの削減相談では、現状を計測したうえで、安全性と加工精度を維持できる範囲を見極めることが重要です。この記事では、加工プログラムの空走時間を短縮する五つの方法と、効果の測り方、加工先への相談の進め方を実務に沿って解説します。

加工プログラムの空走時間とは何か

空走時間とは、一般に工具が材料を切削せずに移動している時間を指します。たとえば、工具を穴の上まで移動させる動作、加工を終えた工具をワークから離す動作、別の加工位置へ移るための動作が該当します。数値制御の加工では早送り指令による移動が代表的ですが、送り指令であっても実際には切削していない区間が存在します。このため、プログラム中の早送り指令の時間だけを合計すれば、すべての空走時間が把握できるとは限りません。

また、空走時間と非加工時間を区別して考える必要があります。工具交換、主軸の回転数が安定するまでの待ち、クーラントの起動、測定動作、作業者による段取りなどは切削していない時間ですが、厳密には軸の空走と異なる要素です。改善活動では最初に対象範囲を決め、「工具が切削していない移動」と「工具交換などを含む機内の非切削時間」を分けて記録すると、対策の効果を説明しやすくなります。

例えば、同じ部品を加工するプログラムでも、一つの穴を加工するたびに工具が高い位置まで退避していれば、穴数に応じて上昇と下降が繰り返されます。反対に、固定具やワーク形状との干渉を避けながら近い穴へ順次移動できれば、切削条件を変えずに不要な移動を減らせる可能性があります。ただし、複雑な形状では最短経路が安全な経路とは限らず、工具長や把持具の位置まで考慮する必要があります。

空走の問題を発見する際は、加工プログラムの行数や移動距離だけを見て結論を出さないことも大切です。移動の途中で軸が加速や減速を繰り返す場合、理論上の距離から求めた時間と実際の機械の動作時間に差が生じます。まずは実機のサイクル時間と加工経路を対応させ、どこで切削以外の時間が増えているのかを特定することが、改善の出発点になります。

空走時間が加工コストに与える影響

加工コストは、材料や工具だけでなく、設備を一定時間使用することによっても発生します。工具が材料に触れていない空走中でも、工作機械の運転時間は進み、次の部品を加工する開始時刻は後ろにずれます。とりわけ、同じ形状の部品を繰り返し生産する現場では、一個当たりの数秒の差が積み重なり、納期余裕や受注可能な数量に影響することがあります。

ただし、短縮した秒数がそのまま支出の減少になるとは限りません。設備の固定費や人員配置は、サイクル時間が少し短くなっても直ちには変わらないためです。コスト面の効果は、短縮した設備時間を別の受注に使えるか、残業や追加稼働を減らせるか、納期遅延のリスクを抑えられるかといった運用条件によって異なります。見積上の標準加工時間を更新するときも、実績を確認せずに理論値だけを反映するのは避けるべきです。

特に効果が現れやすいのは、後工程を待たせている加工機や、生産計画上の制約になっている設備です。そこに空走が多く含まれていれば、わずかな改善でも全体の流れが変わる可能性があります。一方、十分な待機時間がある設備を改善しても、生産量が増えるとは限りません。加工コスト削減の相談では、個別プログラムの速さと工程全体の効率を分けて評価する視点が欠かせません。

方法1:工具の移動経路と加工順序を見直す

最初に取り組みたいのは、工具が加工位置の間をどのように移動しているかを可視化することです。穴あけや座ぐりなど複数箇所に同種の加工を行う場合、工具が部品の端から端へ何度も移動していることがあります。こうした往復は、切削条件を維持したまま改善できる余地が比較的大きい部分です。加工プログラム上の座標と工具経路の表示を照合し、不要な折り返しや遠回りを探します。

例えば、隣り合う加工箇所を飛ばして離れた穴へ移り、その後に元の近くへ戻る順序になっている場合は、加工点をまとめ直すことで移動の総距離を抑えられる可能性があります。ただし、単純に座標間の距離が最も短い順番にするのではなく、工具の進入方向や切りくずの排出状況、固定具の配置、加工順序による変形も考慮しなければなりません。薄肉部品や変形しやすい部品では、加工の偏りによって残留応力の影響が現れることもあるためです。

見直しでは、まず現行の加工順序を図面や工具経路に重ねて確認します。移動距離の長い区間、同じ場所への再訪問、加工位置ごとに不要な原点付近への戻りが発生している区間などを候補として抽出します。そのうえで、加工順序を変更しても寸法基準や工程間の関係が崩れない部分から試すと、品質への影響を管理しやすくなります。

複数の加工面を持つ部品では、工具の移動だけでなく、姿勢変更や位置決めの順番も見直し対象になります。ただし、回転軸の動作や姿勢変更では周囲との干渉範囲が変わるため、通常の平面移動以上に慎重な検証が必要です。短縮を優先するより、現在の経路でなぜ一度退避しているのか、設計上の理由や過去のトラブル対策がないかを確認することが重要です。

移動経路の変更を評価するときは、改善前後で同じワーク、工具、治具、切削条件を使い、空走を含むサイクル時間の差を比べます。工具の移動距離が短くなったのに実測時間がほとんど変わらない場合は、軸の加減速や動作の停止回数が支配的になっているかもしれません。経路の短縮は有力な対策ですが、実機の挙動を見ながら最適な順序を探ることが大切です。

方法2:安全高さと退避動作を適正化する

次に確認したいのが、工具が切削箇所から離れる際の退避高さです。工具がワーク上面から大きく上昇し、次の加工点まで移動してから再び下降する経路では、上昇と下降の時間が毎回発生します。複数の穴やポケットを加工するプログラムでは、この動作が繰り返されるため、適切な範囲で退避量を見直すと効果が積み重なります。

ただし、安全高さは一律に低くすればよいものではありません。判断には、ワークの最も高い部分、クランプや固定具の突き出し、工具の突出し長さ、工具保持部の形状、軸の移動方向などが関係します。加工開始時には問題がなくても、工程の途中で残材の形状が変わったり、切りくずが堆積したりする場合があります。必要な逃げを確保したうえで、過大な退避になっている区間だけを対象にするのが基本です。

有効な考え方の一つは、加工位置の近くで行う移動と、クランプを越えるなど大きな移動を区別することです。近接した穴の間では局所的な安全高さで足りる場合がありますが、固定具の上を通る移動では別の退避高さが必要になることがあります。加工プログラム作成時にすべての移動を同じ高さに設定している場合は、こうした違いを確認する価値があります。

また、穴加工では、穴の入り口付近までの接近方法や加工後の戻り方も見直し対象です。工具の進入・退出で不要な送り移動が続いていないか、繰り返し動作の設定がワーク形状と合っているかを確認します。ただし、穴深さ、工具形状、切りくず排出の条件によって必要な退避は変わります。深穴加工や切りくずが詰まりやすい材質では、切削安定性を損ねるような退避短縮は避けなければなりません。

安全高さの変更は、工具とワークの間だけでなく、工具保持部と固定具の干渉まで含めた確認が欠かせません。机上の経路確認だけで採用せず、設備の安全手順に従い、干渉確認と段階的な実機検証を行う必要があります。改善記録には、変更した高さとその根拠、必要なクリアランス、適用できる治具条件を残すと、後から別の担当者が使う際の判断材料になります。

方法3:工具交換と工程のまとめ方を工夫する

空走時間の短縮では、同じ工具がどの順番で使われているかも重要です。たとえば、同じ径の工具を用いる加工が離れた工程に分かれていると、工具交換や加工位置への移動が余分に発生する場合があります。工具ごとの加工箇所をまとめられれば、交換回数や工程間の往復を抑えられる可能性があります。プログラムの見直しでは、工具番号の並びだけでなく、各工具がどの位置を加工するかを合わせて確認します。

もっとも、工具交換の回数を減らすために工程をまとめれば、常に効率がよくなるわけではありません。荒加工と仕上げ加工の順序を変更すると、熱変位や加工ひずみ、寸法の安定性に影響する可能性があります。また、基準面の加工が済んでからでなければ次の位置決めを行えない部品や、測定結果を確認してから仕上げる部品では、工程上の制約が優先されます。加工品質を維持できる範囲で、同一工具による作業の集約を検討することが現実的です。

工具交換に関連して、交換位置へ戻る際の経路にも着目します。加工機や設備の設定によって必要な退避動作は異なりますが、プログラム内に重複した退避や不要な移動が含まれていれば、整理できる余地があります。ただし、工具交換位置への移動は安全に直結するため、機械の仕様で求められる動作を削除してはいけません。担当者の経験だけで変更せず、設備に適合する手順かどうかを確認します。

工具の選択自体を見直す際には、使える工具を安易に共通化しないことも大切です。異なる加工を一本の工具へ集約すると、交換時間は減っても切削時間が増えたり、摩耗が進んだりする場合があります。工具寿命の短縮や面粗さの悪化が起きれば、空走時間の削減効果を上回る負担が生じかねません。交換回数、切削時間、工具状態、検査結果を組み合わせて評価することが必要です。

工程集約の候補を選ぶときは、まず品質条件を変えずに工具交換や移動の重複だけを減らせる部分から検討すると進めやすくなります。加工順序を大きく変える案は、設備担当者だけでなく設計、品質保証、生産技術の関係者と共有し、試加工と寸法確認を経て判断することが重要です。

方法4:加工機の加減速特性に合わせて空走動作を整える

空走時間を見積もる際、移動距離を早送り速度で割れば所要時間を求められるように感じます。しかし、実際の加工機では軸が停止状態から加速し、次の位置で減速するため、短距離の移動では指定された最高速度に達しないことがあります。折り返しや細かな移動が多い経路では、距離の合計が短くても停止や加減速の回数が増え、期待したほど時間が縮まらない場合があります。

この点を踏まえると、空走動作の改善では単に移動距離を減らすだけでなく、動作のつながり方を確認することが重要です。短い指令を細かく連ねた経路や、必要以上に方向転換する経路では、加工機の制御特性によって時間がかかることがあります。経路を整理して不要な折り返しを減らせれば、プログラムの構成を複雑にしすぎず改善できる可能性があります。

一方、早送り速度の設定をむやみに上げることは推奨できません。設備ごとに軸の速度、加減速、移動範囲、衝突回避に関する仕様があり、制御装置にも動作上の制約があります。高速化によって振動が増える条件や、短い移動では最高速度がそもそも発揮されない条件では、設定変更だけで効果が得られるとは限りません。速度を変える前に、どの区間が時間を消費しているのかを確認するべきです。

また、工具経路の滑らかさを重視する機能があっても、工具を非切削領域で移動させる場合の干渉余裕は確保しなければなりません。経路の丸めや連続動作の設定は、指令した経路と実際の通過位置に差が生じる場合があるため、固定具に近い区間ではとくに注意が必要です。どの動作設定を使用できるかは機械と制御仕様に依存し、一般論だけで共通の数値を決めることはできません。

加工コスト削減の実務では、移動距離、折り返し回数、実際の軸移動時間を合わせて比較する方法が有効です。改善前後で同じプログラム条件を保ち、工具移動の様子とサイクルタイムを実測することで、どの調整が効いているかを把握できます。理論値と実測値の差を確認する姿勢が、設備に合った改善につながります。

方法5:検証と標準化で改善効果を維持する

空走時間を短縮できるプログラムを一つ作っても、次回の製作で元の設定に戻ってしまえば効果は継続しません。担当者ごとに加工経路や安全高さの考え方が異なると、同じ図面から作成したプログラムでも空走時間に差が生じます。そこで、成功した改善を個別の工夫で終わらせず、加工プログラムの作成条件や確認手順へ反映することが大切です。

まず、改善前のプログラムと改善後のプログラムを識別できるように管理し、何を変更したのかを明確に残します。変更内容は、移動順序、退避高さ、工具の使用順、対象ワークや治具の条件など、再利用時に必要な要素を中心に記録します。単にサイクル時間だけを残すと、次に異なる材料や段取りで使う際に適用条件を判断できません。安全確認の結果や寸法検査の記録も同じ案件にひも付けておくと、改善理由を追跡しやすくなります。

次に、加工プログラムを生成する設定を点検します。標準の安全高さが過大になっていないか、工具の加工順序が合理的か、必要のない原点復帰が組み込まれていないかを確認します。ただし、標準条件を全品種へ一律に当てはめるのは危険です。対象機械、固定具、工具、ワーク形状によって設定を使い分けるルールを設け、例外が必要な場合には理由を記録できる仕組みが適しています。

検証方法も標準化します。まず画面上で工具とワーク、固定具の干渉を確認し、必要に応じて設備の安全手順に従って試運転を実施します。画面上の検証だけでは、登録されていないクランプや実際の工具突出し量、設備固有の動作を完全には再現できない場合があります。機械側の条件確認と初回品の検査を組み合わせ、時間短縮の成否だけで合格としないことが重要です。

改善提案を現場で定着させるためには、作業者が気づいた空走の多い箇所を報告しやすくする工夫も役立ちます。どの製品のどの動作が長いのか、改善するとどの条件が変わるのかを簡潔に共有できれば、生産技術担当者が優先順位をつけやすくなります。作業者の経験とプログラム担当者の検証を結び付けることで、単発ではない継続的な改善活動へ発展させられます。

空走時間の削減効果を正しく測定する方法

効果を判断する際は、最初に比較する時間の範囲を統一します。プログラムの開始から終了までの時間なのか、切削しない軸移動だけの時間なのか、工具交換を含む設備のサイクル時間なのかを決めます。範囲が混在すると、空走経路を短くしたのに工具交換など別の要因で全体時間が変わり、改善の効果を取り違えるおそれがあります。機械の実測記録が取得できるなら、測定方法と開始・終了条件を固定して比較するのが望ましい方法です。

測定する際には、ワークの材質と形状、工具、治具、加工機、切削条件、送り速度の補正状態を合わせます。同じプログラムでも主軸の暖機状態や工具交換の条件が異なれば、時間に差が出ることがあります。可能であれば複数回の加工結果を確認し、たまたま一回だけ短かった数値で結論を出さないようにします。初回の試加工と安定生産時では測定条件が異なることもあるため、それぞれを区別することが必要です。

例えば、一個当たりの設備サイクル時間が十二秒短くなり、同じ条件で一日に二百個加工する場合、単純計算では一日当たり二千四百秒、つまり四十分の設備時間を削減できる計算になります。ただし、これは設備時間の換算値であり、直ちに四十分の作業者工数や同額の費用削減を意味するものではありません。次の品種への切り替え、材料供給、検査、後工程の受け入れ状況によって、実際の生産上の効果は変わります。

コストの評価では、一個当たりの短縮時間だけでなく、生産数量、設備の負荷、段取り頻度、プログラム修正と検証に要した工数も考慮します。ごく少量しか加工しない部品では、経路を細かく見直しても改善作業の負担に見合わない場合があります。反対に、長期間繰り返して製作する部品では、一個当たりの短縮時間が小さくても累積効果が大きくなる可能性があります。対象品目の優先順位は、このような回収可能性を踏まえて判断すると合理的です。

さらに、加工時間が短くなった後も不良率や工具寿命が変わっていないことを確認します。空走時間の削減と同時に別の切削条件を変えてしまうと、時間短縮の原因を特定しにくくなります。改善の評価では一度に変更する要素を絞り、時間、品質、設備の安定性を同時に記録すると、他の品目へ展開する際にも根拠として活用できます。

加工コスト削減を相談するときに準備したい情報

社内で改善が進まない場合や、加工委託先とコスト削減を検討する場合は、単に「プログラムを速くしてほしい」と依頼するのではなく、課題となっている動作を具体的に示すことが重要です。加工先は部品形状や設備の特徴を把握していても、発注側が優先したいのが納期短縮なのか、量産時の生産能力確保なのかによって提案内容が変わります。最初に目的と対象品目を明確にすれば、改善案の比較が進めやすくなります。

相談時には、部品図面、加工面と基準面の指示、材質、生産数量、要求公差、使用可能な設備の条件などが判断材料になります。可能であれば現行の工程順序、工具一覧、工具経路、サイクル時間の実績も共有すると、空走が長くなっている原因を把握しやすくなります。ただし、加工プログラムには社外秘の加工ノウハウが含まれる場合があります。外部へ提供する際には秘密保持の範囲を確認し、必要なデータを選んで共有することが大切です。

加工委託先には、移動経路を短くする余地だけでなく、固定具を変更せずに実現できるか、検証のための試加工が必要か、品質確認にどの程度の手間がかかるかも確認します。発注側が把握していない設備固有の安全動作が含まれることもあるため、プログラムの変更内容について双方で認識を合わせる必要があります。特に、加工先が独自に作成したプログラムを使用している場合は、変更可否や成果物の取り扱いも事前に合意しておくと安心です。

改善案の比較では、サイクル時間の短縮値だけでなく、安定して生産できることを重視します。初回品の検査に通っても、連続生産で切りくずが堆積したり、工具の状態が変わったりして問題が出る可能性があります。試加工の評価条件と量産へ移行する判断基準をあらかじめ定めることで、現場が無理なく改善を受け入れられます。

相談を一度きりで終わらせないためには、改善前後の記録を双方で確認できる状態にすることも有効です。どの区間の空走を減らしたか、設備時間がどの程度変わったか、寸法や外観に問題がなかったかを残せば、次の加工品で類似した課題が生じたときに再検討しやすくなります。コスト削減を継続するには、提案の有無だけでなく、改善結果を共有する運用を整えることが重要です。

空走短縮で安全性と品質を損なわないための注意点

空走時間の短縮で最も避けるべきなのは、安全上必要な動作まで削ってしまうことです。工具は切削していない区間でも高速に移動するため、ワークやクランプ、治具、工具保持部に接触すれば、工具の破損や設備停止につながるおそれがあります。図面上では十分に離れて見える場合でも、実際の段取りには突出した固定具や位置決め部品が存在することがあります。現物の取り付け状態を確認せずに安全高さを変更してはいけません。

特に注意したいのは、工具長補正や座標系、ワークの設置位置が変わるケースです。別の工具や治具に切り替えた後も、以前の経路がそのまま安全とは限りません。設備更新や段取り変更の際には、過去のプログラムを再利用する前に適用条件を確認する必要があります。また、加工点へ近づく経路が短くなっても、切りくず排出が悪化したり、工具が加工面をこすったりする場合は、品質と工具寿命を優先して見直すべきです。

変更後のプログラムを実機へ適用する際は、作業現場の安全規定に従い、経路と干渉範囲を事前に検証します。低速確認や段階的な試運転を行う場合にも、それだけで衝突リスクがなくなるわけではありません。作業者が安全に停止できる体制を取り、設備の仕様に適した方法で確認することが大切です。問題が見つかった場合は、単に元へ戻すだけでなく、どの条件の見落としが原因だったかを記録します。

さらに、時間短縮を評価する責任者と、品質を承認する責任者を明確にしておくと、削減目標の達成だけを優先する判断を防ぎやすくなります。量産品では寸法検査だけでなく、加工面の状態、ばらつき、連続運転時の安定性まで必要に応じて確認します。安全と品質を守ることは、空走改善の制約ではなく、安定したコスト削減を実現するための前提条件です。

まとめ:空走時間の見直しを継続的なコスト削減につなげる

加工プログラムの空走時間を短縮するには、工具の移動経路、退避高さ、工具交換と工程順序、加工機の加減速特性、プログラム検証と標準化という五つの視点が役立ちます。重要なのは、どれか一つの設定を一律に変えることではなく、現行プログラムのどの動作が時間を使っているかを測定し、安全に削減できる区間を選び出すことです。特に、同じ加工動作を多数回繰り返す部品では、細かな改善の積み重ねが生産計画に余裕を生む可能性があります。

加工コスト削減の相談では、短縮した時間を数値化すると同時に、その設備が生産全体のどこで制約になっているかを確認します。改善によって新たな加工余力が生まれても、前後の工程が対応できなければ期待どおりの効果は得られません。加工時間、検査結果、工具の状態、量産時の安定性を同じ基準で比較し、成果が確認できた方法を標準条件として残すことが、再現性の高い改善につながります。

設備の加工プログラムを改善する活動では、設備更新や据え付けに伴う現場の変化を記録しておくことも役立ちます。工場敷地内の屋外作業や設備搬入に関わる施工箇所について、現場写真と位置情報、施工記録を整理する際にはLRTK Phoneを活用できます。加工機の空走時間は実機の記録で測定し、現場の位置付き記録は別途整理することで、プログラム改善と設備環境の変更をそれぞれ根拠のある情報で管理しやすくなります。

ものづくりの次の一歩を、
相談から始めてみませんか。

加工・製造の外注先や共同開発のパートナー探しに。大田区産業振興協会の受・発注あっせん相談サービスをご利用いただけます。

ものづくり 外注先を探す。公益財団法人大田区産業振興協会の受・発注あっせん相談。無料でプロに相談!公的機関だから安心!
ものづくりの協力先探し大田区産業振興協会無料相談