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プラスチック試作依頼で色見本との色差を抑える6つの発注条件

プラスチック部品の試作を依頼した際、形状や寸法は図面どおりに仕上がっているのに、色見本と比べると微妙に色が違うという問題が発生することがあります。特に、外観品質が重視される製品カバー、操作パネル、筐体、装飾部品などでは、わずかな色差が製品全体の印象や組立後の見栄えに影響する場合があります。

プラスチックの色は、単に着色剤の配合だけで決まるものではありません。樹脂材料の種類、成形温度、肉厚、表面の光沢、加工方法、光の当たり方など、複数の要因が重なって見え方が変わります。そのため、色見本を試作会社に渡すだけでは、発注者が期待する色を正確に共有できないことがあります。

また、試作段階では問題がなかった色が、量産工程へ移行した後に変化するケースもあります。試作品と量産品で成形方法や材料ロット、金型表面の状態などが異なると、同じ色指定でも外観に差が生じる可能性があるためです。

こうしたトラブルを防ぐには、プラスチック試作の依頼時点で色の基準を明確にし、使用材料、加工条件、測定方法、合否判定までを発注条件として整理することが重要です。

本記事では、プラスチック試作依頼で色見本との色差を抑えるために確認したい6つの発注条件を解説します。色合わせの手戻りを減らしたい開発担当者や、外観品質を安定させたい調達・品質管理担当者が、試作会社との打ち合わせや発注仕様書の作成に活用できる内容です。

プラスチック試作で色見本との色差が生じる理由

プラスチック試作における色差とは、基準となる色見本と実際に製作した試作品との間に生じる色の違いを指します。色差は肉眼で確認できる場合もあれば、測色機器によって数値化することで初めて明確になる場合もあります。

一般的に、プラスチック製品の色は、材料内部での光の吸収や散乱、表面での光の反射などによって見え方が決まります。そのため、同じ着色剤を使ったとしても、成形方法や表面状態が変われば、必ずしも同じ外観になるとは限りません。

例えば、透明性のある樹脂では、部品の厚みが増えることで光の透過量や吸収量が変わり、色が濃く見える場合があります。一方、不透明な樹脂でも、顔料の分散状態や樹脂内部の構造、光の散乱特性によって色調が変化することがあります。

さらに、樹脂の種類によっても発色の傾向は異なります。ある樹脂材料で調整した着色配合を別の樹脂材料にそのまま適用しても、同じ色になるとは限りません。ベース樹脂自体の色味や透明性、成形時の熱履歴などが異なるためです。

加工方法の違いも重要です。射出成形で製作した部品と、切削加工や積層造形で製作した部品では、使用する材料の形態や表面構造が異なります。特に積層造形では、造形方向や積層痕、後処理方法によって表面での光の反射状態が変わることがあります。

また、色差の原因が試作品そのものではなく、観察環境にある場合もあります。自然光の下では似た色に見えていても、室内照明の下では違いが目立つことがあります。これは、着色剤の分光反射特性と照明の分光特性の組み合わせによって、色の見え方が変化するためです。

このように、プラスチックの色合わせは、色番号や色名を指定するだけでは完結しません。

発注者と試作会社が同じ色見本を使用し、材料、加工方法、表面仕上げ、測色条件を共有したうえで、合格と判断する範囲を決める必要があります。

特に、最終製品で複数のプラスチック部品を組み合わせる場合は、単品での色差だけでなく、隣接する部品同士の色の統一感も重要です。異なる加工方法や材料で製作する部品を組み合わせる場合には、それぞれの部品の外観がどのように見えるかを組立状態で確認することも必要になります。

プラスチック試作の依頼段階でこうした特性を理解しておくと、色合わせの難易度を適切に判断し、試作会社に必要な条件を伝えやすくなります。

発注条件1:色見本の種類と基準品を統一する

プラスチック試作で色差を抑えるための最初の発注条件は、色合わせの基準となる色見本を明確にすることです。

色見本には、紙に印刷された色見本、樹脂製の色板、既存製品の現物、塗装サンプル、数値で指定された色データなど、さまざまな種類があります。しかし、これらは同じ色を示しているように見えても、材質や表面状態、光の反射特性が異なります。

例えば、印刷物の色見本を基準としてプラスチック部品を製作する場合、紙と樹脂では表面反射や光の吸収特性が異なります。そのため、印刷物と樹脂製品を完全に同じ外観にすることが難しい場合があります。

また、画面上で表示した色を基準にする場合も注意が必要です。画面の表示設定や表示装置の特性、周囲の明るさによって見え方が変化するため、画面に表示された色だけを最終的な合否基準にすることは適切ではありません。

発注時には、できる限り実物の色見本を用意し、どの見本を正式な基準として扱うのかを決めることが重要です。

樹脂製の色板を使用する場合は、材質、厚み、表面仕上げ、製作時期などの情報も共有します。色板の材質が試作品の材料と異なる場合には、その違いによって色の再現性が変わる可能性があることを、事前に試作会社と確認しておきます。

既存製品の現物を基準にする場合は、経年変化にも注意が必要です。長期間使用したプラスチック製品では、紫外線、熱、薬品、汚れなどの影響によって、製造直後とは異なる色になっていることがあります。

そのため、既存製品を見本にする際には、現状の色を再現したいのか、新品時の色を再現したいのかを明確にする必要があります。

色見本を複数用意する場合は、それぞれの役割を区別します。例えば、正式な基準色として使用する見本と、許容できる色の上限・下限を示す見本を分ける方法があります。

ただし、限度見本を設ける場合でも、色相、明度、彩度、光沢など、何を許容範囲としているのかを明確にしなければなりません。単に濃い色と薄い色の見本を並べただけでは、色相のずれや光沢の違いを十分に管理できない場合があります。

さらに、色見本には識別番号を付け、発注書や仕様書にその番号を記載すると管理しやすくなります。

試作会社へ渡した見本と社内で保管している見本が同じ基準に基づくことを確認できれば、打ち合わせ時の認識違いを減らせます。必要に応じて、色見本の使用開始日や保管条件、交換時期も決めておくとよいでしょう。

色見本は、強い光や高温、多湿などの環境によって変化する場合があります。保管方法に注意し、汚れや傷、変色が認められる場合には基準品として継続使用できるかを確認することが大切です。

プラスチック試作を依頼するときは、色の名称だけでなく、何を正式な色見本とするのか、その見本をどのように管理するのかまで発注条件として共有しましょう。

発注条件2:樹脂材料と着色配合を明確にする

2つ目の発注条件は、試作品に使用する樹脂材料と着色方法を明確にすることです。

プラスチックの色は、使用する着色剤だけでなく、ベースとなる樹脂材料の性質にも影響されます。同じ色を目指していても、樹脂の種類が違えば、色の再現性や光沢、透明感に差が生じる場合があります。

例えば、透明性が高い材料と不透明な材料では、光の透過や散乱の状態が異なります。また、材料自体がわずかに黄味を帯びている場合には、同じ着色配合でも最終的な色調が変わることがあります。

そのため、発注時には使用予定の樹脂の種類や材料グレードを明確にすることが重要です。

材料グレードが未確定の場合は、要求する機械的特性や耐熱性、耐候性などを整理し、使用候補となる材料ごとに色合わせの可否を確認します。

特に、試作段階で使用した材料を量産段階でも継続使用する予定がある場合は、量産時の材料調達や着色方法も考慮する必要があります。

試作品だけに使用できる特殊な材料で色合わせを行うと、量産工程で別の材料へ変更した際に、再び色調整が必要になる可能性があります。

着色方法についても確認が必要です。

プラスチックの着色には、樹脂材料に着色剤を混合する方法、あらかじめ着色された材料を使用する方法、成形後に塗装する方法などがあります。それぞれ工程が異なるため、同じ外観色を目指していても、色の安定性や再現条件が変わります。

樹脂内部に着色剤を混合する場合は、着色剤の種類、配合率、分散状態などが重要になります。着色剤の分散が不十分な場合には、色むらや筋状の外観不良が発生することがあります。

また、着色剤の配合率は、樹脂の物性や成形性にも影響する場合があります。色の再現だけを優先して配合を変更すると、強度、成形収縮、寸法安定性などに影響が出る可能性があるため、要求性能と両立する条件を検討する必要があります。

特に注意したいのが、着色剤を変更した際の取り扱いです。

当初予定していた着色剤が使用できなくなり、類似した色の別材料へ変更する場合、見た目が近くても同じ性能を持つとは限りません。色合わせを優先して材料を置き換える場合には、耐熱性、耐候性、用途に応じた安全性などについても確認が必要です。

さらに、色の安定性を重視する場合は、材料ロットの管理も重要になります。

同じ材料仕様であっても、製造ロット間でわずかな特性差が生じることがあります。試作段階では問題がなくても、別ロットで成形した際に色差が目立つ可能性は否定できません。

そのため、色合わせに使用した材料の種類、ロット番号、着色剤の管理番号、配合条件などを、必要な範囲で記録できる体制が望まれます。

発注者が着色配合の詳細を把握できない場合でも、試作会社側で再現可能な記録を残し、変更時の連絡方法を決めておくことが重要です。

プラスチック試作の色合わせでは、色見本と同じ色にすることだけでなく、その色を安定して再現できる材料構成を選ぶことが求められます。

発注条件3:成形方法と加工条件を合わせる

3つ目の発注条件は、色合わせに影響する成形方法と加工条件を明確にすることです。

プラスチック試作では、射出成形、切削加工、積層造形、真空成形など、製品の形状や目的に応じて異なる製作方法が用いられます。

しかし、製作方法が異なると、表面状態や材料内部の構造、熱履歴なども変わるため、色の見え方が変化する場合があります。

例えば、切削加工で製作した試作品は、使用する樹脂素材の製造方法や切削面の仕上がりによって、射出成形品とは異なる外観になることがあります。

積層造形の場合は、使用材料や造形方向、積層ピッチ、後処理などが外観に影響します。射出成形による量産品を想定していても、積層造形の試作品だけで色の最終承認を行うと、量産品との間に差が生じる可能性があります。

そのため、試作の目的を明確にすることが大切です。

形状や組立性の確認が主な目的であれば、必ずしも量産と同じ成形方法を使用する必要はありません。一方、色や光沢などの外観品質を最終確認する場合には、量産工程に近い材料と加工方法で評価することが望まれます。

射出成形では、樹脂の溶融温度、金型温度、射出条件、保圧条件、冷却条件などが成形品の品質に影響します。

これらの条件は、寸法や反り、表面外観だけでなく、使用材料によっては色調にも影響する可能性があります。

例えば、樹脂が過度の熱履歴を受けると、材料の種類や状態によっては熱劣化による変色が発生する場合があります。また、冷却条件の違いによって樹脂内部の結晶化状態や表面性状が変化し、光の散乱や外観に影響することもあります。

ただし、成形温度を下げれば必ず色差が小さくなるというわけではありません。温度を下げすぎると流動性が不足し、充填不良や外観不良につながる場合があります。

色を安定させるには、材料に適した加工条件を設定し、その条件を一定の範囲で管理する必要があります。

試作依頼時には、試作会社がどのような加工方法を予定しているのかを確認し、量産時の加工方法との違いを共有しておきます。

また、色合わせに使用した試作品について、主要な加工条件を記録できるかどうかも確認するとよいでしょう。

試作品の色が基準から外れた場合、材料配合を変更するべきなのか、成形条件を見直すべきなのかを判断するためには、製作時の情報が必要です。

加工条件の記録がないと、色合わせが成功した試作品を再現する際にも、同じ結果が得られるとは限りません。

さらに、試作品と量産品で金型構造や成形設備が異なる場合もあります。試作金型で承認した色が、そのまま量産金型でも再現されるとは限らないため、量産移行時に再評価を行う条件も検討しておく必要があります。

プラスチック試作では、単に希望する色を指定するのではなく、どの製作工程でその色を実現するのかを発注条件として明確にすることが重要です。

発注条件4:表面仕上げと肉厚を指定する

4つ目の発注条件は、色の見え方に影響する表面仕上げと肉厚を指定することです。

プラスチック部品では、材料の着色状態が同じでも、表面の光沢や粗さによって異なる色に見える場合があります。

例えば、光沢のある表面は、正反射光によって明るい部分や映り込みが生じやすくなります。一方、梨地状の表面では光がさまざまな方向へ散乱するため、外観の印象が変化します。

このため、色見本と試作品の表面仕上げが異なると、着色配合が適切でも色が合っていないように見えることがあります。

特に、外観部品では、色そのものと光沢感を切り離して評価することが難しい場合があります。

例えば、同じ色の樹脂を使用していても、鏡面に近い表面と細かな凹凸を持つ表面では、観察する角度によって明るさや色の印象が異なります。

そのため、発注時には色の指定と同時に、表面の仕上げ状態を明確にする必要があります。

外観面の光沢度、シボ加工の有無、表面粗さ、塗装やコーティングの有無などについて、可能な範囲で条件を整理しておきます。

また、製品のすべての面で同じ外観品質を求めるのか、正面などの主要な外観面だけを重点的に管理するのかも決めておくことが大切です。

複雑な形状の部品では、場所によって光の当たり方が異なるため、色むらのように見えることがあります。

評価対象とする面を事前に決めておけば、試作会社との認識違いを防ぎやすくなります。

肉厚も重要な確認項目です。

特に半透明や透明性のある樹脂では、肉厚が変わると光の透過量や吸収量が変化し、色の濃さや透明感が異なって見えることがあります。

同じ材料を使用していても、薄肉部と厚肉部で外観差が生じる場合があるため、単純な色板だけで最終製品の色を判断することには限界があります。

不透明な樹脂であっても、材料や成形条件によっては肉厚の違いが成形状態に影響し、結果として外観差につながる場合があります。

そのため、色合わせ用の試験片を製作する際には、最終製品に近い肉厚や表面仕上げを採用することが望まれます。

ただし、製品全体を試作する前に色調整用の試験片を使用すること自体は有効です。最初から複雑な製品形状で色合わせを行うよりも、条件を管理しやすい形状で材料と着色配合を検討できる場合があります。

この場合は、試験片で確認できる項目と、実製品形状で再確認すべき項目を区別する必要があります。

例えば、色板で着色配合の方向性を確認した後、実際の製品形状で肉厚差、光沢、成形による色むらなどを評価する進め方が考えられます。

さらに、組立後に隣接する部品がある場合は、単品の外観だけでなく、部品同士を並べた状態で確認することも重要です。

表面仕上げが異なる部品を同じ色に見せたい場合には、測色値だけでなく、実際の使用環境での見え方も考慮しなければなりません。

プラスチック試作依頼では、色の指定を材料配合だけの問題として扱わず、表面仕上げや肉厚を含む製品仕様として整理することが重要です。

発注条件5:測色環境と色差の判定基準を決める

5つ目の発注条件は、色差をどのような条件で測定し、どこまでを合格とするのかを明確にすることです。

色見本と試作品を比較する際、担当者の目視だけで判断すると、観察者や照明環境によって評価が変わる場合があります。

人間の色の見え方は、照明の種類、周囲の色、観察角度、明るさ、目の順応状態などの影響を受けます。

そのため、発注者と試作会社が別々の場所で目視確認を行うと、一方では合格と判断した色が、もう一方では不合格と判断されることがあります。

こうした認識違いを抑えるには、測色条件と目視評価条件を事前に決めておくことが重要です。

測色機器を使用する場合は、使用する測定方式、光源条件、観察者条件、測定径、測定位置、測定回数などを整理します。

色差の評価には、L*a*b*表色系に基づく色座標や、色差を数値化したΔEなどが用いられます。

L*は明るさに関係する値で、a*とb*はそれぞれ色の方向性を表す値です。これらを利用すると、基準色と試作品との違いを数値として管理できます。

ただし、ΔEには複数の算出方式があり、同じ試料を比較しても方式によって数値が異なる場合があります。そのため、単に「色差はΔEで判定する」と記載するだけでは十分ではありません。

採用する色差式と測色条件を明示し、発注者と試作会社で同じ方法を使用する必要があります。

また、色差の数値が小さければ、どのような用途でも問題がないというわけではありません。

実際に許容できる色差は、製品の用途、表面仕上げ、部品の配置、求める外観品質などによって異なります。

例えば、離れた場所に設置する部品と、同じ製品内で隣接する部品では、色差の目立ちやすさが異なる場合があります。

そのため、合否基準は一律の数値を当てはめるのではなく、実際の製品用途や外観要求を踏まえて決定することが重要です。

光沢の違いが問題となる製品では、色差とは別に光沢度の管理を検討する必要があります。

測色機器の方式や、正反射成分を測定に含めるかどうかによっても、表面状態が測色値へ与える影響が変わります。試作会社と測定条件を統一しなければ、異なる設備で得られた数値を単純に比較できない場合があります。

さらに、目視検査も併用することが望まれます。

測色値が合格範囲に入っていても、色むら、光沢差、筋状の模様、局所的な変色などが外観不良として目立つ場合があります。

逆に、測色値に一定の差があっても、使用環境や部品の配置によっては外観上の問題が小さい場合もあります。

したがって、数値による評価と実使用条件での目視確認を組み合わせることが実務上有効です。

また、照明が変わると色の一致状態が変化する現象にも注意が必要です。ある照明の下では近い色に見えても、別の照明の下では違いが目立つことがあります。

最終製品が屋外、工場内、店舗、住宅設備など、特定の照明環境で使用される場合は、その環境に近い条件でも外観を確認するとよいでしょう。

測色機器を使用する場合には、校正状態や測定手順も重要です。測定面の汚れや傷、試料の置き方が測定結果に影響することがあるため、測定前の取り扱いを統一する必要があります。

発注時には、測定値の提出方法や検査記録の内容も確認します。

色差の数値だけでなく、測定条件、測定位置、測定日、試料の識別番号などが記録されていれば、後から結果を比較しやすくなります。

プラスチック試作で色見本との色差を抑えるには、色の合否を感覚的な判断だけに頼らず、双方が再現できる評価条件を設定することが大切です。

発注条件6:色見本の承認工程と再試作ルールを定める

6つ目の発注条件は、色合わせの承認工程と、色が合わなかった場合の再試作ルールを決めることです。

プラスチック試作では、最初の試作品で希望する色に到達するとは限りません。色見本の材質と試作品の材料が異なる場合や、成形条件の調整が必要な場合には、複数回の確認が必要になることがあります。

そのため、試作開始前に色合わせの進め方を整理しておくことが重要です。

例えば、最初に色調整用の試験片を製作し、基準色との比較を行ったうえで、製品形状の試作へ進む方法があります。

色調整用の試験片で材料と着色配合の方向性を確認できれば、製品形状の試作で発生する問題を、材料側の問題と形状・加工側の問題に分けて考えやすくなります。

ただし、試験片が合格したからといって、実際の製品形状でも同じ外観になるとは限りません。最終的には実製品に近い形状や表面条件で再確認することが必要です。

承認工程では、誰が何を確認し、どの段階で次工程へ進むのかを明確にします。

発注者側の設計担当者が承認するのか、品質管理部門が最終判断するのか、製品企画担当者による外観確認が必要なのかによって、承認に必要な情報は変わります。

試作会社が色合わせを完了したと判断しても、発注者側で承認されていなければ、次工程へ進めない場合があります。

このため、色見本の提出方法、評価期間、承認結果の通知方法などを事前に決めておくと、工程の停滞を防ぎやすくなります。

また、承認した試作品を基準品として保管する方法も有効です。

承認品には識別番号を付け、使用材料、着色条件、成形条件、承認日などを関連付けて管理します。

こうした記録があれば、後日再試作を依頼する際にも、承認時の条件を確認しやすくなります。

一方、試作品が不合格となった場合は、単に「もう少し明るくしてほしい」「赤味を弱くしてほしい」と伝えるだけでは、改善方向が曖昧になることがあります。

可能であれば、基準品との色差測定結果や目視確認結果を共有し、どの方向へ調整する必要があるのかを明確にします。

例えば、明度の差が大きいのか、色相のずれが主な問題なのか、光沢が違って見えるのかを区別すると、試作会社も改善方法を検討しやすくなります。

再試作を行う場合には、変更内容を記録することも重要です。

材料配合を変更したのか、成形温度を調整したのか、表面仕上げを変更したのかが不明確なままでは、改善結果を正しく評価できません。

複数の条件を同時に変更すると、どの変更が色差の改善につながったのか判断しにくくなる場合があります。そのため、可能な範囲で変更項目を管理し、変更前後の結果を比較できるようにします。

また、再試作の要否や承認のやり直しが必要となる条件も決めておくとよいでしょう。

例えば、着色剤の配合変更、樹脂材料の変更、表面仕上げの変更、成形方法の変更などは、色の再評価が必要になる可能性があります。

ただし、すべての変更で必ず全面的な再評価が必要になるとは限りません。変更内容が色や外観へ与える影響を検討し、必要な確認範囲を判断することが合理的です。

プラスチック試作では、色合わせを一度の検査で完結させようとするのではなく、評価と承認を繰り返しながら条件を確定する工程として計画することが重要です。

プラスチック試作依頼前に整理したい仕様情報

ここまで紹介した6つの発注条件を実務で活用するには、試作会社へ相談する前に、社内で必要な仕様情報を整理しておくことが重要です。

プラスチック試作の依頼では、図面や形状データがあれば製作の相談を始められる場合があります。しかし、外観品質まで求める場合には、形状や寸法だけでは情報が不足することがあります。

特に色差を管理する場合は、色見本、材料、加工方法、外観条件、検査条件を関連付けて考える必要があります。

まず、試作の目的を明確にします。

今回の試作が形状確認を目的とするものなのか、組立性の確認なのか、色や光沢を含む外観評価なのかによって、必要な製作条件は異なります。

形状確認が主目的であれば、短期間で製作できる方法を優先する場合があります。一方、色合わせを含む外観評価が重要であれば、最終製品に近い材料や表面仕上げを選択する必要性が高まります。

次に、色見本の情報を整理します。

正式な基準品は何か、色見本の材質は何か、同じ見本を試作会社へ渡せるか、目視評価と測色評価のどちらを行うかなどを確認します。

既存製品を色見本として使用する場合には、その製品の製造時期や使用環境、表面状態なども把握しておくと、評価時の判断材料になります。

さらに、製品に使用する樹脂材料について、指定材料があるのか、候補材料から選定するのかを明確にします。

材料が確定していない場合には、求める強度、耐熱性、耐薬品性、外観品質などを整理し、材料選定と色合わせを並行して検討する必要があります。

材料が決定した後で着色配合を調整する場合と、色の再現性を考慮しながら材料を選定する場合では、試作の進め方が異なるためです。

また、表面仕上げについても、可能な限り具体的な条件を提示します。

光沢仕上げなのか、つや消しなのか、細かなシボを付けるのかといった違いは、色の見え方に影響します。

図面で表面仕上げを指定できる場合は、外観面の範囲とともに記載するとよいでしょう。

複数の外観面がある製品では、最も重要な評価面を決めることも有効です。主要な外観面と、組立後には見えなくなる面とでは、必要な管理内容が異なる場合があります。

検査条件については、色差測定を実施するかどうか、測定する場合にはどの条件を使用するかを検討します。

測色機器が必要な場合、試作会社側で対応できるのか、別の検査工程が必要なのかも確認しておきます。

また、測定値の合格範囲がまだ確定していない場合には、初回試作で得られる結果を参考にしながら基準を検討することも考えられます。

ただし、その場合でも、最終的に誰が合否基準を決定するのかを明確にしておく必要があります。

加えて、試作品の使用環境も共有することが重要です。

屋外で使用する製品なのか、室内設備に組み込む部品なのかによって、重視すべき外観条件や耐候性などが変わります。

特に、長期間使用するプラスチック部品では、製造直後の色だけでなく、使用中の変色や退色についても検討が必要になる場合があります。

初期色差の管理と経年変化の評価は異なる課題であるため、それぞれに必要な試験条件を区別して設定することが大切です。

試作依頼時には、製品図面、色見本、材料仕様、外観要求、評価方法、承認手順を一連の情報として共有することが望まれます。

これらの情報を整理することで、試作会社は色合わせの難易度や必要な工程を判断しやすくなり、発注者側も試作結果を評価しやすくなります。

色見本と試作品の色が合わない場合の原因切り分け

プラスチック試作で色見本との色差が発生した場合、すぐに着色剤の配合を変更するのではなく、原因を整理してから改善方法を検討することが重要です。

色差の原因は、材料、成形条件、表面仕上げ、測定環境など、複数の項目に分かれます。

原因を特定しないまま再試作を繰り返すと、別の品質問題を発生させたり、改善効果を再現できなくなったりする可能性があります。

最初に確認したいのは、比較している色見本が正しいかどうかです。

発注者と試作会社で異なる見本を使用していないか、見本に変色や汚れがないか、正式な承認品と一致しているかを確認します。

色見本自体が異なっていた場合は、材料配合を変更しても根本的な解決にはなりません。

次に、評価環境を確認します。

異なる照明の下で比較している場合には、同じ条件で再評価することで見え方が変わる可能性があります。

また、測色機器を使用している場合には、測定方式や測定位置、試料の設置状態が一致しているかを確認します。

特に、曲面や細かな凹凸がある部品では、測定位置の違いによって結果が変わる場合があります。

評価環境に問題がない場合は、材料と着色条件を確認します。

使用した樹脂材料が指定どおりか、着色剤や配合条件が変更されていないか、材料ロットが異なっていないかを調べます。

樹脂材料の変更が原因と考えられる場合には、元の材料へ戻して比較するなど、条件を整理した確認が有効です。

続いて、加工条件を確認します。

射出成形の場合には、成形温度や冷却条件などが変わっていないかを調べます。

加工条件を調整した結果、色差が変化した場合には、その原因が樹脂の熱履歴や表面状態などに関係している可能性があります。

ただし、色差の改善だけを目的として成形条件を変更すると、寸法や強度、外観不良などに影響する場合があります。そのため、他の品質要求を満たしているかも同時に確認する必要があります。

さらに、表面仕上げの違いも調べます。

基準色板と試作品の表面状態が異なる場合は、光沢や粗さの影響によって色が違って見えることがあります。

この場合、着色配合を変更するよりも、表面仕上げを合わせる方が適切な場合があります。

また、製品形状によって色むらが生じている場合には、肉厚や樹脂の流動状態などが影響している可能性も考えられます。

特に、薄肉部と厚肉部で色の見え方が異なる場合は、同じ条件で成形した平板試料との比較だけでは十分に判断できないことがあります。

原因を切り分ける際には、変更した条件と評価結果を記録しておくことが重要です。

例えば、材料配合を変更した試作品と、成形条件だけを変更した試作品を区別して管理すれば、どの要因が色差に影響したのかを検討しやすくなります。

試作を繰り返す場合には、試作品ごとに識別番号を付け、製作日、使用材料、主要な加工条件、色差測定結果、目視評価結果などを関連付けて保管すると効果的です。

ただし、複数の要因が同時に影響している場合には、単一の変更だけで原因を確定できないこともあります。

そのような場合は、試作会社と協議しながら、条件を段階的に変更して評価する方法や、必要に応じた比較試験を検討します。

色差が発生した際に重要なのは、目視で違いを指摘するだけでなく、何がどのように違うのかを共有することです。

明度の違いなのか、色相のずれなのか、光沢の問題なのかを整理できれば、試作会社との技術的なやり取りが具体的になり、改善の方向性を決めやすくなります。

まとめ:色差を抑えるには発注条件の共有と記録管理が重要

プラスチック試作依頼で色見本との色差を抑えるには、単に希望する色を伝えるだけではなく、色の再現に影響する条件を発注段階で明確にすることが重要です。

色見本の種類と基準品の管理、樹脂材料と着色配合、成形方法と加工条件、表面仕上げと肉厚、測色環境と合否判定、承認工程と再試作ルールという6つの条件を整理することで、発注者と試作会社の認識違いを減らしやすくなります。

特に重要なのは、色差を着色剤の配合だけで解決しようとしないことです。

プラスチックの外観は、樹脂材料の性質、加工時の熱履歴、表面の反射状態、肉厚、観察環境などによって変化します。

そのため、色が合わない場合には、材料配合だけでなく、製作工程や測定方法も含めて原因を確認する必要があります。

また、試作段階で承認された色を継続して再現するには、承認品と製作条件を関連付けて管理することが大切です。

試作品ごとに使用材料や加工条件、測色結果、承認履歴を記録しておけば、再試作や量産移行時にも過去の判断内容を確認しやすくなります。

外観品質が重要な製品では、色の合否を数値だけで判断するのではなく、実際の使用環境に近い状態で確認することも有効です。

例えば、設備カバーや樹脂製の保護部材などを現場に設置する場合は、周囲の部材との色の調和や、設置場所の照明条件による見え方も確認対象になります。

こうした現場確認では、試作品の設置状況や確認場所、作業時の記録を適切に残すことが、関係者間の情報共有に役立ちます。

LRTK Phoneは、現場写真・位置情報・施工記録を管理する自社プロダクトです。プラスチック部品を設備や現場に設置して外観を確認する際にも、確認場所と写真、施工記録を関連付けて管理することで、後から状況を振り返りやすくなります。

ただし、写真は撮影時の照明や撮影機器の特性によって色の見え方が変わるため、色差の定量的な合否判定には適切な測色方法を使用することが必要です。LRTK Phoneによる記録管理と、試作会社による測色・品質検査を目的に応じて使い分けることが大切です。

プラスチック試作の品質を安定させるには、発注時の仕様共有から試作品の評価、承認、再製作、現場確認まで、一連の工程で判断基準と記録を残すことが重要になります。

色見本との色差を抑えたい場合は、今回紹介した6つの発注条件をもとに試作会社との打ち合わせを進め、製品用途に適した材料・加工方法・評価条件を具体化していきましょう。

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