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部品加工の依頼で公差指定に迷わない7つの確認ポイント|過剰精度を防ぐ

部品加工を依頼するとき、多くの実務担当者が悩むのが「公差をどこまで厳しく指定すべきか」という問題です。寸法を正確に仕上げてもらいたいという気持ちから、すべての寸法に厳しい公差を設定したくなりますが、必要以上の精度を要求すると、加工方法や測定方法が限定され、工程が増えたり、加工先の選択肢が狭くなったりする可能性があります。

一方で、公差を緩くしすぎれば、部品同士が組み付かない、位置がずれる、可動部が動かない、シール性が確保できないといった問題につながります。重要なのは「できるだけ厳しくすること」でも「加工しやすいように緩くすること」でもありません。その部品の機能を成立させるために必要な精度を明確にし、必要な場所だけに適切な公差を設定することです。

特に、新規部品の製作、試作品から量産への移行、既存部品の加工先変更などでは、設計者だけでなく、調達担当者、生産技術担当者、品質管理担当者などが加工会社と公差について話し合う場面があります。そこで公差の考え方が曖昧なままだと、見積条件が会社ごとに異なり、比較しにくくなることもあります。

この記事では、「部品加工 依頼」で加工会社を探している実務担当者に向けて、過剰精度を避けながら必要な品質を確保するための7つの確認ポイントを解説します。

公差指定が部品加工の依頼で重要になる理由

部品図面に記載される寸法は、一般に狙いとなる値だけではなく、実際の完成品として許容できる範囲を考える必要があります。加工では、工具、工作機械、材料、温度、固定方法、加工順序、測定方法など、さまざまな要因によって微小なばらつきが生じるためです。

例えば、ある長さを設計値どおりに設定しても、製作されたすべての部品を完全に同一寸法にすることは現実的ではありません。そのため、機能上問題がない範囲をあらかじめ設定し、加工側と検査側が同じ条件で判断できるようにします。この許容範囲を適切に設定することが、公差設計の重要な役割です。

公差が必要以上に厳しいと、通常の加工工程だけでは安定して要求を満たせず、追加加工や加工条件の調整が必要になる場合があります。さらに、検査についても、一般的な測定器だけでは十分な判定ができず、より細かな測定が可能な設備や測定環境が必要になることがあります。

つまり、公差を厳しくすることは図面上の数値を小さくするだけではありません。加工、検査、設備、工程管理まで含めた要求条件を厳しくすることにつながります。

反対に、公差が広すぎる場合には、単品では図面を満たしていても、組み立てたときに期待した性能が得られないことがあります。穴と軸の位置が合わない、板金部品同士に大きな段差が生じる、可動部の隙間が変化する、締結部品を通せないといった問題が代表例です。

したがって、部品加工を依頼するときには「加工会社がどこまで高精度に作れるか」だけを見るのではなく、「製品としてどこまでの精度が本当に必要なのか」を先に整理する必要があります。加工能力から公差を決めるのではなく、機能から必要公差を導き、その要求を現実的な加工方法とすり合わせることが基本です。

また、加工会社に見積もりを依頼するときも、公差条件は重要です。同じ形状の部品であっても、公差条件が異なれば想定する加工工程や検査工程が変わる可能性があります。複数社へ部品加工を依頼する場合には、比較条件を統一する意味でも、公差の意図を整理しておくことが重要です。

確認ポイント1:その寸法が部品の機能にどう影響するか整理する

公差指定で最初に確認したいのは、その寸法が製品や部品の機能にどの程度影響するかです。図面上に存在するすべての寸法が、同じ重要度を持つわけではありません。

例えば、軸受けとなる穴、回転する軸、シール材が接触する部分、他の部品と位置決めする面などは、寸法の変化が機能へ直接影響する可能性があります。一方で、外観形状の一部や、他部品と接触しない逃げ寸法などは、比較的広い許容範囲でも問題がない場合があります。

この違いを整理せず、図面全体に同じような厳しい公差を設定すると、機能には影響しない部分まで高精度加工の対象になってしまいます。その結果、本来必要ではなかった加工工程や検査工程が必要になることがあります。

公差を検討するときは、その寸法が上限側になった場合と下限側になった場合の両方を想像することが有効です。その寸法が最大になったときに何が起こるのか、最小になったときに何が起こるのかを考えることで、必要な許容範囲を判断しやすくなります。

例えば、部品間の隙間を作るための寸法であれば、一方の部品が最大寸法、もう一方が最小寸法になったときだけでなく、逆の組み合わせも確認します。最も厳しい組み合わせでも干渉せず、反対の組み合わせでも隙間が大きくなりすぎなければ、その範囲を公差設定の参考にできます。

さらに重要なのが、不具合が起きた場合の影響度です。寸法が少し外れただけで製品が使えなくなる箇所と、外観上わずかな差が出るだけの箇所では、公差を決める考え方が異なります。

機能、安全性、組立性、耐久性、外観、保守性などに分類して、対象寸法が何に影響するのかを整理すると、重要寸法を絞り込みやすくなります。

加工会社へ依頼するときにも、「この穴は位置決めに使います」「この面は別部品と密着します」「この寸法は外形の逃げなので多少の変動は問題ありません」といった機能情報を共有すると、加工側からも適切な提案を受けやすくなります。

図面上の数字だけを渡した場合、加工会社は記載された要求を満たすことを前提として工程を検討します。設計者には「念のため」と考えた公差でも、加工側では必須条件として扱われるため、不要な高精度要求がそのまま工程条件になりかねません。

公差指定では、まず寸法を「厳しくするか、緩くするか」と考えるのではなく、「この寸法は何を成立させるために必要なのか」と問い直すことが重要です。

確認ポイント2:相手部品とのはめあいと寸法連鎖を確認する

単品部品だけを見て公差を決めると、組立時の問題を見落とすことがあります。公差は一つの部品の中だけで完結するとは限らず、複数の部品が組み合わされたときに影響が重なるためです。

特に注意したいのが、穴と軸、溝と突起、ケースとカバー、複数の締結穴などの組み合わせです。個々の寸法が図面公差内に収まっていても、それぞれのばらつきが同じ方向へ重なると、組み付けにくくなる場合があります。

例えば、複数部品を積み重ねた高さが重要になる構造では、各部品の厚さ公差が累積します。個々の部品ではわずかな差でも、部品数が増えると全体寸法の変動が無視できなくなることがあります。このような寸法連鎖を考慮せず、最後の完成寸法だけを厳しく管理しようとすると、個々の部品に過剰な精度を要求することにもなりかねません。

反対に、設計の基準を工夫することで、影響する寸法を減らせる場合があります。重要な位置を複数の連続寸法から決めるのではなく、一つの基準位置から直接指示することで、途中の寸法ばらつきが重要部へ伝わりにくくできます。

はめあい部分では、完成状態で必要となる隙間や締まり具合から逆算して考えることが重要です。軸だけ、穴だけを別々に考えるのではなく、双方の公差を組み合わせたときにどの範囲になるのかを確認します。

また、締結部品を通す複数の穴では、穴径だけでなく位置のずれも関係します。穴径を厳しく管理していても、穴中心の位置関係が大きく変動すれば組み付けられません。逆に、組立上必要な余裕が確保されているのであれば、穴径そのものに極端な精度が不要な場合もあります。

部品加工を依頼する際には、加工会社に単品図面だけを提示するのではなく、可能な範囲で相手部品との関係を説明すると有効です。組立状態、接触部、基準位置、必要な隙間などが分かれば、加工会社も公差の目的を理解しやすくなります。

試作品の場合には、最初から量産時の公差を固定するのではなく、実際に組み立てた結果を確認する方法も有効です。どの寸法変動が組立や性能へ影響したのかを記録しておけば、次回図面の公差を合理的に調整できます。

公差指定を単独寸法の問題として考えず、組み合わせた状態で考えることが、過剰精度を防ぎながら製品機能を確保する重要なポイントです。

確認ポイント3:基準となる面・穴・軸を明確にする

寸法値と公差が適切でも、「どこを基準として測るのか」が曖昧であれば、加工側と設計側で認識がずれる可能性があります。そのため、部品加工を依頼するときには、寸法を決める基準を明確にすることが重要です。

機械加工では、部品を工作機械へ固定し、ある面や穴を基準として加工位置を決めます。検査でも同様に、どこを基準に置くかによって測定結果の解釈が変わることがあります。

例えば、一つの板状部品に複数の穴が配置されている場合、外形端部から各穴位置を決める設計と、特定の基準穴から他の穴位置を決める設計では、求められる加工の考え方が異なります。組立時に重要なのが穴同士の位置関係であれば、外形寸法を過度に厳しくするよりも、穴同士の関係を適切に管理した方が機能に合う場合があります。

また、加工工程を考えると、基準となる部分を途中で持ち替える必要がある形状もあります。部品を一度固定した状態ですべての重要部を加工できれば、位置関係を管理しやすい場合がありますが、複数方向から加工する部品では、再固定時の誤差も考慮する必要があります。

このため、図面を作成するときには、完成部品として重要な基準と、加工上使いやすい基準との関係を確認するとよいでしょう。設計側が指定した基準が加工上扱いにくい位置にあると、必要以上に複雑な工程になることがあります。

ただし、加工しやすさだけを優先して基準を変更すると、組立時の機能と合わなくなる可能性もあります。重要なのは、最終製品における基準を明確にしたうえで、その要求を加工会社と共有することです。

図面上では基準が示されていても、その基準面自体に大きな反りやうねりがある場合には、測定結果が安定しないこともあります。重要寸法の基準として使う面については、その面の状態も合わせて考える必要があります。

加工依頼の段階で、「この面を筐体へ取り付ける」「この穴を中心に位置決めする」「この軸を基準として回転する」といった情報を伝えておけば、加工会社から基準設定について意見を得られることもあります。

設計者にとって自然な寸法の取り方が、必ずしも加工や検査に適した寸法の取り方とは限りません。公差を厳しくする前に、基準の設定を見直すだけで要求精度を合理化できるケースがあります。

確認ポイント4:加工方法と材料から実現しやすい精度を考える

同じ公差でも、部品の形状、材料、サイズ、加工方法によって実現の難しさは変わります。そのため、公差を決める際には、加工方法を完全に無視して数値だけを設定しないことが重要です。

例えば、切削によって仕上げる寸法と、曲げや成形によって作られる寸法では、寸法ばらつきの要因が異なります。加工後に熱の影響を受ける工程がある場合や、材料内部の応力が解放されることで変形する場合もあります。

薄い部品や細長い部品では、加工中の固定力や切削力によって変形しやすく、加工直後と固定を外した後で形状が変化することもあります。また、材料そのものの厚さや素材寸法に一定のばらつきが含まれている場合、素材面をそのまま使用する部分へ極端に狭い寸法公差を指定すると、別工程での仕上げが必要になる可能性があります。

部品加工の依頼では、図面を完成させてから加工会社へ一方的に要求を出すだけでなく、重要箇所について加工方法の相談を行うことが有効です。「この公差で問題なく加工できるか」という聞き方だけでなく、「この機能を実現するには、どの部分をどの程度管理するのが合理的か」と相談すると、別の加工方法や基準設定を提案してもらえる場合があります。

また、公差を検討するときには、部品全体の大きさとの関係も重要です。小さな部品の局所的な寸法と、大きな部品の端から端までの寸法では、同じ数値の公差でも加工上の意味が異なります。

加工会社には設備ごとの得意なワークサイズや形状があります。そのため、「数値上加工可能か」だけではなく、対象部品のサイズや形状を含めて安定して加工できるかを確認する必要があります。

材料についても、材質名だけでは判断できない場合があります。材料の状態、板厚、素材形状、加工後の処理などによって変形の出方が異なるためです。後工程で表面処理などを行う場合には、処理前の寸法と処理後の寸法のどちらを完成要求として扱うのかも明確にした方がよいでしょう。

公差を設計するときに重要なのは、加工会社の都合に合わせてすべて緩めることではありません。必要な機能は維持しながら、加工上意味のない厳しさを取り除くことです。

加工側から「この公差は難しい」と言われた場合も、単純に要求値を緩めるのではなく、なぜ難しいのかを確認します。形状、固定方法、工具、加工順序、測定方法、変形など、原因が分かれば、設計変更によって問題を解決できることがあります。

確認ポイント5:寸法公差だけでなく形状・姿勢・位置を確認する

公差というと、長さや直径などの寸法公差だけを考えがちですが、実際の部品機能では形状、向き、位置関係が重要になるケースも少なくありません。

例えば、板の厚さが指定範囲内に入っていても、取り付け面が大きく反っていれば、相手部品へ正しく密着しない可能性があります。軸の直径が適切でも、軸そのものが曲がっていれば回転時に振れが生じます。穴径が合っていても、穴位置がずれていれば組み立てられません。

このような問題に対して、すべてを寸法公差だけで管理しようとすると、設計意図が伝わりにくくなる場合があります。

重要なのは、製品機能に影響しているのが「大きさ」なのか、「形」なのか、「向き」なのか、「位置」なのかを切り分けることです。

例えば、二つの面を組み合わせる場合には、それぞれの高さ寸法を非常に厳しくするより、接触する面の状態や相対的な関係を管理した方が合理的な場合があります。複数穴の取り付けでは、外形から各穴までの寸法を細かく管理するより、基準となる位置から穴群の関係を管理した方が組立機能を表しやすい場合があります。

こうした考え方を取り入れることで、「必要な機能に対して直接的な要求」を図面へ反映しやすくなります。

ただし、形状や位置に関する要求を追加すればよいというものではありません。寸法公差と同じく、必要以上に厳しく設定すると加工や検査の負担が増える可能性があります。

特に注意したいのは、同じ箇所について複数の厳しい要求を重ねるケースです。寸法も厳しい、位置も厳しい、面の状態も厳しいという指定になっている場合、それぞれが本当に機能上必要なのかを確認します。

設計変更を繰り返した図面では、以前必要だった要求がそのまま残っていることもあります。形状が変わった結果、その公差が機能上不要になっていても、過去図面からコピーされたまま残るケースです。

部品加工を新たに依頼するときは、図面を単なる完成資料として見るのではなく、加工会社との技術確認資料として見直すことが重要です。特に厳しい公差が付いている箇所について、「なぜこの要求が必要なのか」を説明できる状態にしておくと、公差の過不足を発見しやすくなります。

確認ポイント6:検査方法と測定基準を加工前にすり合わせる

公差を決めても、その測定方法が決まっていなければ、納品時に判定が分かれる可能性があります。加工会社では合格と判断された部品が、発注側の受入検査では不合格になるという問題は、測定条件の違いによっても起こり得ます。

そのため、重要寸法については、加工前に「どのように測定するか」まで確認しておくことが大切です。

測定結果は、使用する測定器だけで決まるわけではありません。測定位置、測定点数、部品の置き方、基準の取り方、測定時の固定方法などによって結果が変わる場合があります。

例えば、板状部品の厚さを一か所だけ測るのか、複数箇所を測るのかでは評価が異なります。穴径も、測定する方向や位置によってわずかな差が出る場合があります。長い部品では、部品を支持する位置によって自重によるたわみの影響を受ける可能性があります。

厳しい公差を指定するほど、このような測定条件の違いが無視できなくなります。

また、図面上の桁数を細かくすれば、そのまま高精度に管理できるわけではありません。要求する公差に対して、十分な分解能と再現性を持った測定方法が存在するかを確認する必要があります。

検査方法を決めるときは、加工会社で使用する方法と自社の受入検査方法をできるだけ整合させます。双方が異なる測定方法を使用する場合には、それぞれの測定結果に差が生じる可能性をあらかじめ確認しておくと安心です。

特に試作品では、単に合格・不合格だけを記録するのではなく、実測値を残しておくと後の公差見直しに役立ちます。設計値、公差、実測値、組立結果、機能試験結果を関連付けることで、「実際にはどこまでのばらつきを許容できるのか」を判断しやすくなります。

量産へ移行すると、すべての寸法を毎回詳細に測定することが現実的でない場合もあります。その場合には、どの寸法を重点管理するのか、どの頻度で測定するのか、加工工程の中でどのように異常を把握するのかを検討します。

公差とは加工側だけに要求する数字ではなく、発注側も含めて同じ基準で品質を判断するための条件です。図面へ公差を書いた時点で終わりにせず、その要求をどのように確認するのかまで決めることが、部品加工依頼のトラブル防止につながります。

確認ポイント7:試作結果から量産公差を見直す

新規部品では、設計段階ですべての公差を最適化することは簡単ではありません。実際に加工してみると、想定していたより安定して製作できる寸法もあれば、逆に予想以上にばらつく箇所もあります。

そのため、試作品を作った後は、図面を変更せずそのまま量産へ進むのではなく、実測結果と製品機能を確認し、公差を見直すことが重要です。

試作段階では、まず各重要寸法の実測値を確認します。そのうえで、組み立てや動作確認を行い、どの寸法が製品性能へ影響したのかを確認します。

例えば、図面では厳しい公差を設定していたにもかかわらず、その寸法が多少変化しても機能に影響しないことが分かる場合があります。この場合、量産図面では公差を合理的に見直せる可能性があります。

逆に、単品寸法は問題なくても、組立時に特定箇所でばらつきが集中していることが分かれば、重要寸法の考え方そのものを修正する必要があります。

試作品が一つだけでは、工程のばらつきを十分に把握できないこともあります。可能であれば複数個の加工結果を確認し、寸法がどの程度変動するのかを見ます。

ここで大切なのは、「試作品が図面内に入ったから量産も大丈夫」と即断しないことです。試作では熟練者が丁寧に加工している場合や、量産とは異なる工程を採用している場合もあります。量産で使用する加工方法、固定方法、設備、検査方法が試作時と変わるのであれば、公差を維持できるか改めて確認する必要があります。

反対に、試作時に非常に厳しく管理していた工程を、そのまま量産へ持ち込む必要があるとは限りません。実機評価によって余裕が確認できれば、量産時に必要な範囲へ公差を調整できます。

試作結果を量産図面へ反映するためには、加工会社から寸法データを受け取るだけでなく、自社でも組立結果や使用結果を記録しておくことが有効です。

「図面上の要求」「実際の加工結果」「組み立てた結果」「製品としての性能」という四つを関連付けることで、公差を経験や感覚だけで決める状態から抜け出しやすくなります。

量産後も、設計変更や加工先変更があれば同じ考え方で確認します。以前の加工会社で問題なく製造できていた公差が、新しい加工方法では不合理になる可能性もあるためです。

公差は一度図面へ書いたら変更してはいけない条件ではありません。製品機能を維持しながら製造しやすい条件へ継続的に改善することが、安定した部品調達につながります。

過剰精度を防ぐために加工会社へ伝えたい情報

公差の過剰指定を防ぐには、加工会社へ図面だけを送るのではなく、設計意図を理解するための情報を適切に共有することが重要です。

まず伝えたいのが、部品の用途です。どのような装置や構造物に使われ、どの部分が他部品と接触し、どの部分が位置決めや固定に使われるのかが分かれば、加工会社も重要箇所を理解しやすくなります。

次に、重要寸法と参考寸法の違いです。図面上ではどちらも寸法として記載されていても、機能に対する重要度が異なる場合があります。どこを重点的に管理してほしいのかを明確にすると、加工方法や検査方法について具体的な相談ができます。

さらに、相手部品の情報も可能な範囲で共有すると効果的です。穴と軸、ケースと蓋、複数穴による位置決めなどは、単品図面だけでは要求の理由を判断しにくい場合があります。

試作か量産かという点も重要です。試作では設計検証が目的なのか、外観確認が目的なのか、量産工程の検証が目的なのかによって、加工会社が重視すべきポイントが変わります。

量産を前提とした試作であれば、試作時点から量産時の加工方法を意識した提案を求めることが有効です。試作だけ高精度な方法で成立させても、量産工程へ移行するときに大幅な見直しが必要になる可能性があるためです。

また、加工後の処理、組立方法、使用環境なども公差に影響することがあります。加工後に別工程がある場合、その工程による寸法変化や変形を考慮する必要があります。

加工会社へ相談するときには、「この図面どおりに作れますか」だけで終わらせず、「この要求で加工上問題になりそうな箇所はありますか」「過剰な精度要求になっている部分はありますか」「量産を考えた場合に見直した方がよい箇所はありますか」と確認することが有効です。

加工会社はさまざまな部品を製作しているため、設計側では気付きにくい加工上のリスクを把握している場合があります。その知見を活用することで、品質を下げることなく公差を合理化できる可能性があります。

重要なのは、加工会社から「もっと緩くしてください」と言われたから緩めるのではなく、その根拠を確認することです。加工方法の問題なのか、測定の問題なのか、材料変形の問題なのかを理解したうえで変更すれば、設計意図を維持しやすくなります。

部品加工を依頼するときの公差確認の進め方

実際に部品加工を依頼するときは、まず図面上の重要箇所を洗い出すところから始めます。すべての寸法を同じように確認するのではなく、組立、位置決め、動作、密着、回転、摺動など、製品機能へ直結する部分を優先します。

次に、その重要寸法について、最大側と最小側の状態を確認します。相手部品がある場合は、相手側の公差も含め、最も厳しい組み合わせになったときでも製品機能が成立するかを検討します。

その後、どの面や穴を基準として寸法を管理するのかを確認します。基準が不明確なままでは、加工会社が図面どおりに製作していても、設計側が想定した位置関係にならない可能性があります。

さらに、形状や位置に関する要求を含めて、寸法公差だけで本当に機能を表現できているかを確認します。

ここまで整理した後に加工会社へ図面を提示し、加工方法と公差の妥当性を相談します。この段階では、単に加工可能か不可能かを聞くだけではなく、量産時にも安定して維持しやすい要求かどうかを確認することがポイントです。

加工会社から指摘があった場合には、該当箇所を設計意図へ戻って確認します。機能上必要な要求であれば維持する必要がありますが、念のため設定していただけであれば、見直しの候補になります。

加工前には検査方法についてもすり合わせます。重要箇所について、加工会社がどのように測定するのか、自社の受入検査ではどのように確認するのかを整理しておけば、納品後の判定差を減らせます。

試作が完成したら、寸法測定だけでなく実際に組み立て、製品として評価します。このとき、問題がなかったという結論だけで終わらせず、各重要寸法の実測値を残しておくことが大切です。

例えば、ある寸法が設計中心値から一定量ずれていても全く問題がなかったのであれば、その結果は量産公差を再検討する材料になります。反対に、公差内にもかかわらず組立が不安定だった場合には、別の寸法や位置関係を管理すべき可能性があります。

このように、図面作成、加工会社との確認、試作、測定、組立評価、量産図面への反映という流れで公差を検討すれば、最初からすべての寸法を厳しくする必要はありません。

部品加工の依頼では、「厳しい公差ほど品質が高い」と考えないことが重要です。品質とは、製品として必要な機能が安定して実現されることです。その目的に対して不要な精度は、品質を高める条件ではなく、製造を難しくする条件になる場合があります。

まとめ

部品加工を依頼するときの公差指定では、数値を小さくして高精度を求めれば安心というわけではありません。重要なのは、その部品に求められる機能を明確にし、それを成立させるために必要な箇所へ必要な精度を設定することです。

まず、その寸法が製品機能へどのように影響するのかを確認します。次に、相手部品とのはめあいや寸法連鎖を考え、単品だけでなく組立状態で成立する公差を検討します。そして、加工と検査の基準となる面や穴を明確にし、加工方法や材料特性から実現性を確認します。

さらに、寸法だけではなく、形状、姿勢、位置などが実際の機能へ影響していないかを検討することも重要です。要求を決めた後は、加工会社と検査方法を共有し、同じ条件で合否を判断できる状態を作ります。

試作品が完成したら、図面との一致だけでなく、実測値と組立結果、動作結果を関連付けて確認します。その結果を量産図面へ反映することで、必要以上に厳しい公差を残したまま量産へ進むリスクを減らせます。

公差の合理化は、単純に精度を下げる作業ではありません。必要な精度と不要な精度を切り分け、設計、加工、検査の条件を一致させる作業です。重要寸法には必要な精度を確保し、それ以外の部分では加工しやすい設計を目指すことで、品質と製造性を両立しやすくなります。

また、こうした部品加工の改善を継続するには、図面や寸法データだけでなく、現場でどの部品をどこに使用したのか、どの状態で組み立てたのか、どのような問題が発生したのかを後から確認できるようにしておくことも重要です。

製造や施工を伴う現場では、現場写真、位置情報、施工記録を一元的に残しておくことで、部品の変更履歴や現場で発生した問題を設計・製造側へフィードバックしやすくなります。LRTK Phoneを活用すれば、現場写真と位置情報、施工記録を関連付けて管理できるため、現場で確認された部品の取り付け状態や施工状況を記録し、その情報を次の設計や製造条件の検討に生かす運用にもつなげられます。

部品加工の品質を安定させるには、図面上の公差だけを管理するのではなく、設計意図、加工結果、検査結果、現場での使用状態まで一つの流れとして確認することが大切です。必要な精度を見極め、加工会社と認識を合わせながら公差を設定することが、過剰精度を防ぎ、安定した部品調達につながります。

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