外注加工を依頼した部品が届いたものの、寸法が図面と合わない、穴位置がずれている、表面に傷がある、組み付けたときに干渉するなど、想定外の不具合が見つかることがあります。すでに次工程の日程が決まっている場合、すぐに加工先へ修正を求めたくなるかもしれません。しかし、不具合の内容を十分に確認しないまま再加工を進めると、別の寸法を損なったり、検査条件を巡って認識が食い違ったりして、かえって復旧が遅れるおそれがあります。
外注加工依頼で再加工が必要になったときは、現物の状態を保全し、要求仕様と実測結果を照合したうえで、再加工の可否、担当範囲、工程、受入基準を合意することが重要です。特に追加切削ができない形状や、熱処理・表面処理後の部品では、単純に削り直せば解決するとは限りません。再製作や選別使用など、別の方法を検討した方が合理的な場合もあります。
本記事では、製造業の調達担当者、設計担当者、品質管理担当者に向けて、再加工が発生した際の5つの対応手順を具体的に解説します。初動で残すべき記録から、原因の切り分け、加工先との合意形成、再検査、再発防止までを一連の流れとして把握し、品質と納期の両方を守るための判断に役立ててください。
再加工が必要になったときの基本方針
再加工とは、製作した品物に対して追加の加工や修正を行い、合意した要求事項に適合させる対応を指します。ただし、要求事項への適合を回復できるかどうかは、不具合の種類や部品の状態によって異なります。例えば穴径が規定より小さければ追加工で調整できる可能性がありますが、穴径が大きすぎる場合は同じ方法では戻せません。肉厚不足、材質違い、熱処理の不適合なども、安易な修正判断が難しい例です。
最初に区別したいのは、図面や注文条件を満たしていない「不適合」と、要求は満たしていても使いにくい「使い勝手上の問題」です。実際の組立工程で干渉が発覚しても、原因が外注先の加工誤差とは限りません。設計上の寸法連鎖、支給図面の版違い、相手部品の誤差、測定方法の相違などが関係する場合があります。原因を確認せず加工先の責任と断定すると、解決策の選択や協議が難しくなります。
同時に、不具合品が誤って次工程に流れないようにする必要があります。識別表示を付け、良品とは分けて保管し、対象数量と所在を管理します。出荷済み品や現場設置済み品にも同様の問題が及ぶ可能性があれば、関連するロットや使用先を追跡し、影響範囲を調べることが優先です。安全性や法令上の要求に関わる疑いがある場合は、使用を継続してよいかを権限のある担当者が判断するまで、使用や出荷を止めることを基本とします。
再加工の目的は、見た目を整えることだけではありません。必要な機能、強度、精度、耐久性、後工程への適合を維持したうえで、受入可能な状態に戻すことです。そのため、加工先への連絡は早く行いつつも、再加工開始の指示は判断材料がそろってから出す、という順序を意識しましょう。緊急時ほど「事実確認」と「正式な変更指示」を分けることが、手戻りを防ぐ近道になります。
手順1:不具合を特定して対象品と証拠を保全する
第一の手順は、不具合を具体的な事実として記録し、現物と関係資料を保全することです。単に「寸法不良」「品質が悪い」と伝えるだけでは、加工先はどの工程を見直せばよいか判断できません。図面の該当箇所、指定寸法と許容差、実測値、測定箇所、測定日時、測定器、測定方法を対応付けて整理します。測定の繰り返しによって結果が変わる場合は、そのばらつきも確認します。
例えば取付穴の位置が指定値から外れている場合、基準面をどこに設定したか、部品をどの姿勢で固定したか、どの穴を基準に測ったかによって評価が変わることがあります。図面の寸法の読み方が共有されていない状態で測定値だけを送ると、発注側と加工側が異なる点を比較してしまいます。位置や平面度などの評価では、測定条件と基準の認識を合わせることが不可欠です。
外観上の不具合は、照明や撮影角度によって印象が変わります。傷や打痕が見える全体写真と近接写真を撮り、該当場所を特定できるようにします。可能であれば部品番号、製造番号、発注番号、ロット番号などを記録し、写真がどの現物に対応するか後から確認できる形にしてください。写真だけで寸法の合否を判断せず、数値が必要な項目は測定記録と組み合わせます。
複数個の納入があった場合は、不具合が一部の個体だけにあるのか、同じロット全体に及ぶのかを調べます。全数確認が難しければ、検査対象の選び方と確認範囲を明示し、未確認品を合格扱いにしないことが重要です。不良率らしい数字が出ても、抽出方法が偏っていればロット全体の状況を正しく示しているとは限りません。加工先と協議する際には、検査済み数量、不適合数量、未検査数量を区別します。
不具合品は、必要な検証が終わる前に研磨、洗浄、分解、再組立などで状態を変えないようにします。特に傷、変形、異物付着、表面処理の状態は、後から原因を調べるための手掛かりになる場合があります。輸送中に生じた損傷が疑われるときは、包装材、緩衝材、荷姿、開梱時の状況も記録しておくと、発生工程の切り分けに役立ちます。保管中に新しい損傷が発生しないよう、材質に適した保護も必要です。
現物を先に加工先へ返送する場合は、返送対象の識別情報と現在の状態を双方で確認します。輸送中の変化と元からの不具合を混同しないため、返送前の写真、数量、梱包状態、引渡し日を残してください。加工先が現物確認を求める場合でも、調査目的の受渡しなのか、再加工を承認した受渡しなのかを明確に区別することが大切です。
また、組立現場や施工現場で不具合が見つかった場合は、部品単体だけでなく周辺との位置関係も記録します。どの設備や取付箇所で干渉したのか、どの方向から作業したときに発見したのかを把握すれば、設計上の問題と加工上の問題を比較しやすくなります。現場での応急的な切削や穴の拡張は、強度や防食性能に影響する可能性があるため、承認前には行わない方が安全です。
この段階の成果物は、不具合を再現・検証できる記録一式です。発見した事象、影響する品物、数量、測定結果、写真、保管場所、使用停止の要否が整理されていれば、次の原因調査と判断が円滑になります。初動の記録は責任追及のためだけでなく、正しい再加工方法を選ぶための共通資料として扱いましょう。
手順2:契約条件と図面を照合して原因を切り分ける
第二の手順は、何を満たすべきだったのかを確かめ、なぜ差異が生じたのかを調べることです。確認の中心になるのは、発注時に有効だった図面、仕様書、注文条件、品質要求、検査方法、承認済みの変更履歴です。現在の最新版図面だけで判断せず、実際に加工先へ渡した版がどれだったかを確認してください。設計変更を通知したつもりでも、相手方の受領や適用開始が確認されていないケースがあります。
図面に記載された寸法と公差だけでなく、材質、表面粗さ、熱処理、表面処理、ねじの種類、外観条件、必要な検査成績書なども確認します。図面に明示されていない条件を後から当然の要求として扱うと、認識の不一致が生じやすくなります。記載に曖昧さがあれば、発注側の設計担当者と加工先の技術担当者で解釈を合わせ、合意した内容を文書化します。
不具合原因を考えるときは、設計条件、材料、加工工程、段取り、工具、設備、測定、梱包、輸送、保管、組立というように、発生し得る工程を広く見ます。例えば穴位置のずれなら、加工原点の設定、治具の固定、工具補正、加工プログラムの入力、前工程の基準面精度などが候補です。一方、受入側の測定治具や評価基準の違いによって、実際には適合しているものが不適合に見える可能性もあります。
原因を絞るには、同じ条件で加工した良品と不具合品を比較する方法が有効です。いつから不具合が発生したか、特定の設備や作業条件に集中していないか、材料のロット変更がなかったかを確認します。ただし、関連が見えたというだけで原因が確定したわけではありません。加工先の作業記録や設備記録、測定結果など、裏付けを伴って判断することが重要です。
発注側にも確認すべき点があります。図面の基準が明確だったか、加工性を事前に確認したか、途中変更を適切に伝えたか、受入検査で実際に使用する機能に必要な項目を評価していたかを見直します。支給材料や支給部品に問題がある場合、加工先の工程だけを改善しても再発を防げません。原因を一方的に決め付けず、事実と推定を分けて協議する姿勢が必要です。
責任範囲や対応条件については、注文書や基本契約、個別の品質協定などに定めがあるかを確認します。不適合が見つかったという事実だけで、再加工の費用負担や輸送手配、納期変更の扱いが自動的に決まるわけではありません。契約内容、受入の状況、原因、合意済み仕様を踏まえて当事者間で整理し、必要に応じて社内の契約担当者にも確認します。
納期への影響を見積もるためには、原因調査と並行して、現在どの工程まで進んでいるかを調べます。加工前の素材が残っているのか、組立や表面処理が完了しているのかによって、選べる復旧方法が変わります。関連部品の準備状況や次工程の着手日も確認し、影響範囲を過小評価しないようにします。ただし、原因が未確定の段階では再加工の日程を確約せず、暫定情報であることを共有します。
この手順を終える時点では、適用すべき要求事項、不適合の内容、考えられる原因、調査中の論点、契約上の確認事項を一つの記録にまとめます。原因が断定できない部分は「未確定」と記し、追加調査の担当者と期限を決めます。根拠のない責任認定を避けることで、再加工の方法を技術面から検討しやすくなります。
手順3:再加工方法と対応条件を関係者で合意する
第三の手順では、再加工が技術的に可能かを評価し、発注側と加工先の合意を形成します。選択肢は再加工だけではありません。不適合が軽微で要求機能に影響しないと判断できる場合の特別採用、対象品の選別、部品の交換、再製作、設計変更による対応なども考えられます。ただし、特別採用や設計変更は、権限のある設計・品質担当者や必要な顧客の承認を得たうえで実施するものであり、現場判断だけで図面要求を緩めてよいわけではありません。
再加工が可能かを判断する際は、残っている加工代、最小肉厚、基準面の確保、固定方法、工具の到達性、変形の可能性を確認します。追加切削によって一つの寸法が公差内に入っても、別の寸法や同軸度、平面度が外れることがあります。削ることのできない方向の寸法差や、材料特性に関わる不適合は、再製作の方が確実な場合があります。目的は目の前の測定値だけを合わせることではなく、部品全体を要求に適合させることです。
熱処理や表面処理を施した品物では、再加工後に必要な性能を再び確保できるかが重要です。例えば表面を切削すると、硬化層や被膜が部分的に失われる場合があります。再処理が必要であれば、処理工程をやり直す範囲、寸法への影響、検査内容まで検討します。溶接補修や肉盛りなどで形状を回復させる場合も、材料や用途に応じて強度、ひずみ、内部欠陥などの評価が必要になることがあり、承認なしに標準的な修正方法として扱うべきではありません。
組立性に関わる不具合では、相手部品を削る、取付穴を広げるなどの現場調整も選択肢に見えるかもしれません。しかし、設計者が意図した位置決め精度、交換性、荷重の伝達、防水性を損なう可能性があります。とりわけ設備の安全機能に関係する箇所では、組み付くことと、設計通りに機能することは別です。図面変更が必要な場合は、影響する部品や後工程まで確認してから正式に承認します。
判断に必要な比較項目は、完成後の品質、技術的な実現性、作業に要する期間、再検査の負担、次工程への影響、輸送や返送の必要性です。再加工の方が早そうに見えても、追加の段取りや処理、再測定が重なれば再製作と変わらないことがあります。逆に再製作が適していても、材料調達の制約が大きい場合があります。加工先から複数の方法を提示してもらい、各方法の前提条件と残るリスクを照らし合わせましょう。
合意の際には、誰がどの範囲を実施し、どの図面・仕様を基準に合否を判定するかを明確にします。さらに、品物の引渡し方法、再加工中に追加不具合が発覚した場合の連絡手順、工程変更時の承認者、完了報告の方法を決めておきます。費用負担を含む取引上の条件は、契約内容と原因調査の結果に沿って別途整理し、技術的な合意と混同しないようにすることが望ましいです。
顧客へすでに納入した部品や、施工現場に組み込まれた部品については、社内だけで修正方法を決められない場合があります。必要な承認先、連絡期限、使用停止の範囲を確認し、承認を得る前に改変しないようにします。合意は口頭だけで終わらせず、対象品、修正方法、検査基準、納入予定、承認者が分かる記録に残すことが重要です。
この段階では「どこを直すか」だけでなく、「何を変更してはいけないか」を明確にしてください。残すべき基準面、禁止する加工方法、使用できる材料や処理条件などを具体化すると、加工先が独自判断で修正範囲を広げるリスクを抑えられます。不確定事項が残る場合は、着工前に確認を求める条件として明記します。
手順4:再加工指示を確定して進捗と変更を管理する
第四の手順は、合意した内容を実行可能な再加工指示に落とし込み、完了まで管理することです。通常の発注図面を送り直すだけでは、今回どこを修正すべきなのかが伝わりません。対象部品の識別情報、適用する図面版、修正箇所、修正前の状態、目標寸法、加工上の制約、検査項目、完了条件を明記した指示を用意します。図面に変更を加える場合は、元の要求と今回の特別な指示を区別できるようにします。
再加工指示には、作業を開始してよい条件も必要です。加工先が実際の不具合箇所や基準面を確認し、再加工で他の要求を損なわない見通しが立ってから作業に入るようにします。現物を確認した結果、当初の方法が使えないと判明した場合は、勝手に別の方法へ切り替えず、発注側へ変更を相談する流れを定めます。現場の善意による修正が、後で承認されていない加工として問題になることを防げます。
工程の管理では、返送、受入確認、段取り、再加工、必要な後処理、再検査、再納入の各段階をつなげて考えます。加工時間だけを見て納期を設定すると、治具の準備や検査設備の空き状況、輸送手配が見落とされます。納入先で再び組み立てる必要がある場合は、その日程も含めて工程を確認します。完了予定は作業開始前の目安と実績を分け、変化があれば早めに関係者へ通知してもらいます。
発注側は、進捗を頻繁に問い合わせるだけでなく、判断が必要になる節目を決めておくと効率的です。初品の修正結果、追加の傷や変形の有無、加工後の主要寸法、後処理前の状態など、失敗した場合に後戻りしにくい工程で確認を入れます。全数を一気に修正する前に代表品で方法を検証することも有効ですが、代表品の結果が他の個体にも適用できるかは、個体差や不具合の程度を踏まえて判断する必要があります。
情報管理では、口頭連絡と正式な指示を区別します。電話などで緊急連絡をしたとしても、作業内容に影響する事項は、その後に文書で確認します。特に寸法、加工範囲、検査項目、納入条件の変更は、誰がいつ承認したかを追えるようにしてください。関係者によって異なる図面が使われることを防ぐため、旧版の扱いと最新版の共有先も定めます。
加工先に再加工を依頼する際は、作業記録をどこまで残してもらうかも合意しておきます。全ての操作を記録する必要はありませんが、再加工日、対象品、実施内容、使用した基準、検査結果、特記事項は後から確認できる状態が望ましいです。後処理を別の協力先へ再委託する場合は、変更承認の必要性、仕様の伝達、工程間での識別管理を事前に確認します。再委託したからといって、発注側への説明が不要になるわけではありません。
加工中に新しい不適合が生じた場合は、いったん作業を止め、影響範囲を評価してから再協議します。追加工で修正し続けると、加工代を使い切り、最終的に再製作も必要になることがあります。予定に追われて処置を積み重ねるのではなく、必要に応じて修正方針を再評価してください。判断の変更とその理由を残すことで、最終的な品質判定の説明もしやすくなります。
この手順の重要な到達点は、再加工品が完成したという連絡ではなく、承認した方法で処置が行われ、検査に必要な情報がそろっている状態です。完了報告には、何をどのように修正し、どの項目を確認したのかが分かる内容を求め、発注側の受入工程へ確実につなげましょう。
手順5:再検査と受入判定を行い再発を防止する
第五の手順は、再加工後の品質を確認し、正式に受け入れるかどうか判断することです。加工先から「修正済み」と報告されたことだけをもって、合格とするのは避けます。事前に合意した図面、仕様、検査方法を基準に、修正箇所が要求に適合しているかを確認します。測定値が公差内であっても、加工過程で別の特性に影響が及んでいないかを確認する必要があります。
再検査では、問題となった寸法だけを測るのではなく、影響し得る周辺寸法、位置関係、表面状態、必要な機能を評価します。例えば追加切削した部品では肉厚、基準面との関係、表面粗さなどが重要になることがあります。表面処理をやり直した場合は被膜の状態や寸法変化、溶接による修正を行った場合は用途に応じた変形や接合部の健全性が検討対象となります。確認範囲は一律ではなく、修正方法と製品の重要度に応じて決めます。
検査方法にも一貫性が必要です。修正前と修正後で基準面や測定条件が変わると、改善したように見えても適切に比較できない場合があります。測定器の状態や必要な校正状況を確認し、検査結果には数値だけでなく測定条件も残します。合否判定が境界付近になる場合は、測定の不確かさや判定ルールを踏まえて、事前に決めた方法で評価します。判断に迷う値を都合よく丸めて合格にすることは避けてください。
量産部品や同一ロットに複数の対象品がある場合は、検査範囲を明確にします。初品が合格しても、その結果だけで残りの全品が適合しているとは限りません。再加工方法のばらつきや、不具合の程度によって、追加確認が必要です。また再納入の際には、再加工品と未処置品が混在しないように識別し、必要な検査記録が対象の個体やロットに結び付いていることを確かめます。
受入判定は、加工先の自己検査結果と発注側の受入確認を区別して行います。検査記録に不足があった場合や、合意外の加工が見つかった場合は、確認が完了するまで受入を保留する判断も必要です。やむを得ず例外的な扱いを検討する場合でも、設計上の影響と顧客要求を確認し、権限のある担当者の承認を得なければなりません。納期が迫っていることを理由に、不適合を説明なしで次工程へ流さないことが重要です。
受入後は、今回の出来事を一度限りの修正で終わらせず、原因と再発防止策を整理します。加工条件や治具に問題があれば、設定の確認方法や初品検査を見直します。図面の曖昧さが原因なら、基準や公差、加工上の注意を明確にします。輸送時の損傷であれば、包装仕様や取扱方法の見直しが必要です。原因が確定しないまま「作業者への注意徹底」だけで対策完了とすると、同じ不具合が繰り返される可能性があります。
再発防止策については、実施した事実だけでなく、効果があるかを確認することが大切です。次回製作分の初品、一定期間の検査記録、同種部品の品質傾向などを確認し、必要なら対策を修正します。発注側も、図面の配布方法、変更の伝達、受入検査の項目、加工先との連絡窓口を振り返ります。再発防止を双方の改善活動として捉えることで、継続的な外注加工依頼の安定につながります。
最後に、不具合発見から再加工、再検査、受入、対策完了までの記録を一連の案件として保管します。後から別のロットで同様の問題が起きたとき、過去の判断根拠や効果的だった処置を参照できます。記録を残す目的は書類を増やすことではなく、次の意思決定を早く正確にすることです。
再加工トラブルを減らす外注加工依頼前の準備
再加工が発生してから迅速に対応することは大切ですが、外注加工依頼の段階で情報を整えておくと、そもそもの認識違いを減らせます。まず確認したいのは、図面と仕様書の完成度です。形状や寸法だけでなく、機能上重要な公差、材質、表面状態、検査方法、外観上の許容範囲まで、必要な要求を発注前に明確にします。必要以上に厳しい条件を設けるのではなく、用途に応じて優先度を付けることも重要です。
特に基準面や測定方法が不明確な図面では、同じ部品でも評価結果が一致しないことがあります。加工先が使う基準と発注側の検査基準を早期に合わせ、測定が難しい形状については実現可能な確認方法を検討します。図面の改訂が生じた場合には、改訂番号、変更箇所、適用対象、旧版の扱いを伝え、受領確認を残してください。口頭だけで仕様変更を伝える運用は、再加工の原因になりやすいため注意が必要です。
加工先を選ぶ際には、設備の有無だけでなく、対象材質や加工方法の経験、難しい公差への対応、検査体制、外注工程を含む管理方法などを確認します。試作と量産で品質の安定条件が異なることもあるため、初回品の評価方法や工程変更時の連絡方法を話し合うとよいでしょう。品質に関する質問に対し、判断根拠や検査方法を具体的に説明してもらえるかも、継続取引の重要な判断材料です。
発注時には、不適合が見つかった場合の連絡窓口と一次対応を決めておきます。誰が現品の保管を指示するか、どの情報を添えて報告するか、再加工の承認権限が誰にあるかを明確にすれば、発生時の混乱を抑えられます。納入後すぐに組立や施工が始まる部品では、受入確認に必要な期間をあらかじめ工程に組み込むことも有効です。検査前に使用する運用は、後から問題が発覚した際の影響範囲を大きくする可能性があります。
また、初めて依頼する複雑な部品では、製作開始前の図面確認や、初品での加工条件と検査結果の確認が役立ちます。すべての部品で同じ管理負担をかける必要はありませんが、重要な嵌合部、代替しにくい材料、納期に余裕のない工程などでは、リスクに応じて確認を厚くする方が合理的です。小さな疑問を発注前に解消することが、完成後の大きな手戻りを防ぐことにつながります。
よくある判断場面と対応上の注意点
「図面の公差からわずかに外れているだけなので、そのまま使えないか」という相談は少なくありません。ここで必要なのは、見た目の差の小ささではなく、その寸法がどの機能に関係するかの評価です。嵌合、位置決め、密封、安全性に関わる寸法であれば、わずかなずれが影響する場合もあります。使用可能と判断する際は、設計上の確認と必要な承認を経たうえで、対象数量と適用範囲を記録する必要があります。
「再加工すれば納期に間に合うため、先に作業を始めてもらいたい」という場面でも注意が必要です。対処方法の技術的な評価が済んでいないと、作業中に部品を使用不能にしてしまうおそれがあります。緊急時は調査、輸送手配、設備の段取りなど、承認前でも進められる準備と、現物を変更する作業を分けて計画するとよいでしょう。後戻りできない加工ほど、事前承認の価値が高まります。
「加工先は図面通りだと言い、発注側は不良だと判断している」場合には、まず同じ図面版と測定条件で結果を比較します。測定箇所を写真や図面上で示し、基準面、測定器、部品の保持方法などを確認してください。必要に応じて双方が立ち会って再測定し、評価方法そのものに相違がないかを調べます。原因が測定条件にあった場合は、再加工を行うより検査方法を統一する方が適切です。
「再加工した品物が再び不適合となった」場合は、同じ処置を繰り返す前に方法の妥当性を見直します。残存する加工代や部品全体の性能を再評価し、必要なら再製作へ切り替えます。複数回の修正履歴を残さないと、最終品にどのような加工が施されたか分からなくなります。作業の都度、対象品と変更内容を記録し、最終検査で確認すべき特性を更新することが重要です。
「納入品の一部が施工現場で使われている」場合は、工場内の不適合対応だけでは不十分です。どの現場のどの位置に使われたかを確認し、影響が疑われる箇所の使用状況を調べる必要があります。現場での写真、設置位置、取付状況、施工記録が残っていれば、確認対象を特定しやすくなります。安全上の懸念がある場合は、現場管理者や設計責任者など適切な判断権限を持つ人と連携し、必要な措置を決めます。
これらの場面に共通するのは、早く結論を出すことより、判断に必要な事実をそろえることが結果的に対応を早めるという点です。外注加工先との良好な関係を保つためにも、感覚的な不良認定や一方的な修正指示は避け、測定結果、適用仕様、承認内容に基づいて協議することが大切です。
まとめ:再加工は事実確認と記録管理で確実に進める
外注加工依頼で再加工が必要になった場合は、まず不具合品を識別・保全し、写真や測定値によって状況を明確にします。続いて、発注時に適用された図面や仕様を照合し、加工工程だけでなく設計、検査、輸送、組立まで含めて原因を切り分けます。そのうえで、再加工が部品全体の要求を満たす方法なのかを検討し、必要であれば再製作や別の処置も比較することが重要です。
対応方法が決まったら、対象品、修正範囲、禁止事項、検査基準、承認者を明記して加工先へ指示し、工程途中の変更を管理します。再加工後は修正箇所に加えて周辺特性も検査し、正式な受入判定を行います。最後に原因と再発防止策、その効果の確認までつなげれば、同様の手戻りを減らし、次回以降の発注管理を改善できます。
特に設備の据付や土木・建設現場で使う加工部材では、不具合の状況を加工先に説明するため、現場写真と設置位置、施工時の記録を関連付けて残すことが役立ちます。LRTK Phoneは、現場での位置情報を伴う写真や施工記録の整理・共有に活用できるツールです。現地で発見した問題の場所と状態を記録し、関係者が同じ情報を確認できるようにすることで、再加工の対象特定や対応後の確認を進めやすくなります。加工部品そのものの寸法検査や合否判定は適切な測定方法で別途行いながら、LRTK Phoneを現場情報の記録と共有に役立てることで、外注加工依頼から現場対応までの情報のつながりを強化できます。
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