LRTKレフィクシア株式会社

新製品開発の相談で清掃しやすい製品にする5つの構造改善方法

新製品開発で清掃しやすい構造が重要になる理由

新製品開発の相談では、機能、性能、外観、寸法、耐久性などが優先的に検討される傾向があります。しかし、製品を実際に使用する段階では、日常的な清掃や定期的なメンテナンスのしやすさも重要な品質要素になります。

製品の基本性能が優れていても、汚れが取り除きにくい構造では、使用者の負担が増加します。狭い隙間に異物が入り込む、内部に水分が残る、清掃するために多数の部品を分解しなければならないといった問題は、使用開始後の不満につながりやすい要因です。

特に、工場設備、屋外機器、業務用装置、測定機器、作業工具、住宅設備などでは、使用環境によって粉じん、泥、油分、水滴などが付着します。清掃を想定していない製品では、汚れの蓄積によって可動部の動作が悪化したり、表示部分が見えにくくなったりする可能性があります。

また、清掃しやすさは単なる使い勝手の問題ではありません。適切な清掃を継続しやすい構造は、汚れによる機能低下を抑え、点検時に異常を発見しやすくするうえでも役立ちます。清掃作業中の無理な分解や不適切な洗浄方法を減らせれば、製品の損傷リスクを抑えることにもつながります。

一方で、清掃性を製品開発の終盤で改善しようとすると、筐体形状や固定方法、部品配置などの大幅な変更が必要になる場合があります。金型を使用する製品では、形状変更が製造工程や金型設計に影響することもあります。

そのため、新製品開発を外部の設計会社や製造パートナーへ相談する際には、清掃方法や使用環境を初期段階から共有することが重要です。

清掃性を考慮した構造設計には、汚れの侵入防止、排出性、分解性、材質選定、内部配置など、複数の視点があります。単純に表面を滑らかにするだけでは十分とは限らず、実際に製品をどのように使用し、誰が、どの程度の頻度で清掃するのかを踏まえた検討が必要です。

ここでは、新製品開発の相談時に役立つ5つの構造改善方法と、要求仕様の整理、試作品での評価方法について解説します。

構造改善方法1:汚れがたまる隙間や段差を減らす

清掃しやすい製品を設計するうえで、最初に検討したいのが隙間や段差の削減です。

製品表面に細かな溝や部品同士の隙間が多いと、粉じん、油分、水分などが入り込みやすくなります。特に、指や清掃用具が届かない場所に汚れが入り込むと、通常の拭き取り作業では除去できず、分解清掃が必要になることがあります。

新製品開発の相談では、外観上のデザインだけでなく、清掃時に汚れがどこへ集まるかを考慮した形状設計が重要です。

例えば、樹脂製筐体を複数の部品で構成する場合、接合部には必ず何らかの境界が生じます。この境界が製品の上面や汚れの付着しやすい位置に配置されていると、清掃のたびに細いブラシなどを使用する必要が生じる可能性があります。

改善方法としては、部品の分割位置を変更し、汚れが付着しやすい面から接合部を移動させることが考えられます。外装の一体化によって継ぎ目を減らす方法もありますが、製造方法や組立性との兼ね合いを確認する必要があります。

また、ねじの頭部が露出している部分にも注意が必要です。ねじ穴や座ぐり部分には汚れが蓄積しやすく、通常の拭き取り作業だけでは取り除きにくい場合があります。

清掃性を優先する製品では、ねじの配置を裏面へ移す、固定部分に適切なカバーを設ける、外部に露出する固定箇所を減らすなどの構造改善が考えられます。

ただし、固定部を完全に隠すことで修理や分解が難しくなる場合もあります。清掃性と保守性の両方を考え、どの部品を使用者が取り外せるようにするかを決めることが重要です。

筐体の角部についても同様です。鋭い内角や深いくぼみは、清掃用具が接触しにくい形状になりがちです。内側の角に適切な丸みを設けることで、拭き取りやブラシ清掃を行いやすくなる場合があります。

ただし、丸みを大きくすれば必ず清掃しやすくなるわけではありません。製品の寸法、周辺部品との干渉、使用する清掃用具の形状によって適切な曲率は異なります。

そのため、設計段階では実際の清掃用具を想定し、清掃対象面に無理なく接触できるかを確認することが必要です。

操作ボタンや表示窓の周囲も、汚れが残りやすい代表的な場所です。ボタンの周囲に深い段差があると、作業中に付着した粉じんや液体が残る可能性があります。

操作部分を周囲の表面となじませる設計や、清掃時に拭き取りやすい形状へ変更することで、作業負担を減らせることがあります。ただし、操作感、誤操作防止、防水性なども同時に検討しなければなりません。

新製品開発の相談では、単に「隙間をなくしたい」と伝えるのではなく、どの場所にどのような汚れが付着し、どの清掃方法で取り除きたいのかを具体的に説明すると、設計側が適切な改善方法を検討しやすくなります。

構造改善方法2:水分や異物を排出しやすい形状にする

清掃しやすい製品を実現するには、汚れが付着しにくい形状に加えて、付着した水分や異物が残りにくい構造を考えることも重要です。

特に、屋外で使用する機器や水を使用する装置では、製品表面に付着した水分が特定の場所に滞留することがあります。水分が長時間残ると、材質や使用環境によっては腐食、変色、汚れの固着などにつながる可能性があります。

製品の上面に水平な凹部がある場合、雨水や洗浄水が集まりやすくなります。底部に閉じた空間がある構造では、清掃後の水分や異物が残りやすくなることもあります。

このような問題を抑えるには、設置方向や使用姿勢を考慮し、必要に応じて傾斜面や排出経路を設ける方法があります。

例えば、機器の上面に緩やかな傾斜を設けることで、水滴が特定の場所に残りにくくなる場合があります。ただし、表面張力や材質のぬれ性によっては傾斜だけでは水滴が残るため、実際の使用条件に基づく確認が必要です。

また、製品底部に排水経路を設ける場合には、排出先を明確にする必要があります。内部の電子部品や金属部品へ水分が流れ込む構造では、清掃性の改善が別の不具合を引き起こす可能性があります。

そのため、排水経路と電子部品の収納空間を分離する、防水区画を設ける、外部から浸入した水分が重要部品に触れにくい構造にするなど、製品全体の設計と合わせて検討することが重要です。

排水穴を追加する場合も注意が必要です。排水穴は水分を排出する一方で、粉じんや虫などが侵入する経路になる可能性があります。穴の寸法、位置、必要な保護構造は、使用環境や要求性能によって判断しなければなりません。

さらに、洗浄後の乾燥時間も考慮する必要があります。

例えば、清掃時に水を使用する製品であっても、深い袋状の空間や通気しにくい部分があると、内部に水分が残ることがあります。表面だけを乾燥させても、隙間の内部に液体が残っている可能性があります。

清掃後に十分な乾燥が必要な製品では、空気が流れやすい形状や、必要に応じて内部を確認できる構造が有効です。ただし、通気性を高める設計と防じん・防水性を高める設計は両立が難しい場合もあるため、優先すべき要求を整理する必要があります。

粉体を扱う装置では、水分とは異なる視点も必要です。細かな粉体は小さな段差や水平面に堆積しやすく、振動によって隙間へ移動する場合があります。

粉体の堆積を減らすには、不要な棚状部分をなくす、清掃用具が届く空間を確保する、粉体の移動経路を考慮するなどの設計が考えられます。

ただし、自然落下による排出を期待する場合は、粉体の粒径、付着性、含水状態、製品姿勢などが影響します。形状を変更するだけで確実に排出できるとは限りません。

新製品開発の相談時には、付着する異物の性質と、清掃時に使用する液体や空気の流れを共有することが重要です。

設計側は、それらの条件を把握することで、排出方向、傾斜、開口位置、内部区画などを具体的に検討できます。

構造改善方法3:清掃が必要な部品を取り外しやすくする

製品の構造上、すべての場所を外部から清掃できるとは限りません。

内部に汚れが入り込む可能性のある装置や、定期的に清掃する必要がある部品を備えた製品では、必要な部分を取り外せる構造にすることが重要です。

ただし、単に分解できることと、清掃しやすいことは同じではありません。多数のねじを外さなければならない構造や、部品の取り外しに複雑な手順が必要な構造では、日常清掃の負担が大きくなります。

そのため、新製品開発では、清掃する部品と清掃頻度を基準に、分解構造を決めることが有効です。

例えば、毎日の清掃が想定されるカバーと、数か月に一度しか取り外さない内部部品では、求められる着脱性が異なります。

頻繁に取り外すカバーには、工具を使用せず着脱できる固定構造を検討する余地があります。一方、重要な機能部品や安全上の理由で不用意な取り外しを防ぐ必要がある箇所には、工具による固定が適している場合もあります。

工具を使用しない着脱構造には、弾性を利用した固定、回転による固定、スライド式の固定など、複数の考え方があります。

ただし、着脱を容易にすると、振動による緩みや意図しない脱落が発生しないかを確認する必要があります。清掃作業中の利便性だけでなく、通常使用時の固定信頼性も重要です。

また、取り外す部品が小さすぎる場合には、清掃中に紛失する可能性があります。

小型のねじや固定部品を完全に取り外す構造では、紛失や組立忘れを防ぐ工夫が必要です。製品によっては、固定部品を本体側に保持する構造や、部品点数そのものを減らす設計が有効です。

取り外した部品を再度組み立てる際の作業性も重要です。方向を間違えて取り付けられる構造では、組立後の動作不良や密閉不良が発生する可能性があります。

このような問題を防ぐためには、部品の形状によって取り付け方向を限定する、位置決め部分を設ける、組み合わせを直感的に判断できるようにするなどの設計が考えられます。

特に、防水用のシール部品や密閉性を確保するパッキンを備えた製品では、清掃後の再組立が性能に影響する場合があります。

パッキンのねじれ、異物の噛み込み、取り付け位置のずれなどが発生すると、本来の密閉性能を維持できない可能性があります。

そのため、パッキンが正しい位置に収まりやすい溝形状や、組立状態を確認しやすい構造を検討することが重要です。

さらに、清掃中に取り外した部品を置く場所や、再組立までの動作も考慮する必要があります。

作業者が手袋を着用する現場では、小さなつまみや滑りやすい部品が扱いにくい場合があります。指を掛ける部分の形状や、必要な操作力についても、想定する使用者に合わせて設計することが求められます。

新製品開発の相談では、「分解できる構造」という抽象的な要求だけではなく、誰が、どの部品を、どの頻度で、どのような工具を使用して取り外すのかを明確にすることが重要です。

清掃頻度の高い部分に適切な着脱構造を採用することで、日常的なメンテナンスを継続しやすい製品につながります。

構造改善方法4:汚れが付着しにくい材質と表面構造を選ぶ

清掃性は製品の形状だけでなく、使用する材質や表面状態にも大きく影響されます。

同じ形状の部品であっても、表面の粗さ、硬さ、耐薬品性、ぬれ性などが異なれば、汚れの付着状態や除去のしやすさが変わることがあります。

例えば、表面に細かな凹凸が多い部品では、汚れが凹部に入り込み、拭き取りだけでは除去しにくくなる場合があります。

一方、滑らかな表面では清掃しやすくなる可能性がありますが、すべての製品で表面粗さを小さくすることが最適とは限りません。

滑り止めが必要な持ち手や、光の反射を抑える表示周辺部などでは、一定の表面形状や質感が求められる場合があります。

そのため、清掃性と機能性を両立させるには、部位ごとに必要な表面状態を検討することが重要です。

樹脂材料を使用する製品では、表面の傷つきやすさにも注意が必要です。清掃時に硬いブラシや研磨性のある用具を繰り返し使用すると、表面に細かな傷が発生し、そこへ汚れが入り込むことがあります。

また、洗浄剤の種類によっては、樹脂の変色、膨潤、ひび割れ、機械的強度の低下などが発生する可能性があります。

新製品開発の相談では、製品に使用する予定の洗浄剤や清掃方法を事前に共有し、材質との適合性を確認する必要があります。

金属材料を使用する場合には、腐食への配慮が重要です。

水分や洗浄剤が繰り返し付着する環境では、材質や表面処理によって耐久性が異なります。表面処理を採用する場合には、処理層の耐摩耗性や、洗浄剤による影響も検討することが求められます。

さらに、異なる金属を組み合わせる場合には、使用環境によって異種金属接触腐食が生じる可能性もあります。清掃時に水分が残りやすい部分では、材料の組み合わせや絶縁構造にも注意が必要です。

表面コーティングを利用する方法もあります。

汚れの付着を抑える目的で表面処理を採用する場合は、初期性能だけでなく、繰り返し清掃した後の状態を確認することが重要です。

清掃による摩擦や洗浄剤への接触によって表面処理が劣化する可能性があるため、長期間の使用を想定した評価が必要になります。

また、表面処理によって清掃性が改善しても、補修や再処理が難しい構造では、長期的な保守負担が増える可能性があります。

製造工程との整合性も忘れてはいけません。

例えば、射出成形で製造する樹脂部品では、金型表面の状態や成形条件が製品表面に影響します。表面品質を過度に厳しく指定すると、成形方法や金型構造の検討が複雑になる場合があります。

切削加工で製造する部品でも、加工方向や工具の選定によって表面状態が変わります。

そのため、清掃性を考慮した表面仕様は、設計者だけで決定するのではなく、加工方法や製造条件を理解した担当者と協議することが重要です。

なお、清掃しやすい表面であることと、衛生上必要な清浄状態を確保できることは同義ではありません。衛生管理が必要な用途では、対象となる汚れや微生物、洗浄方法、必要な評価条件を別途定める必要があります。

新製品開発の相談では、材質名を指定することだけを目的とせず、使用する環境、付着する汚れ、清掃頻度、使用する洗浄剤、必要な耐久性を整理することが大切です。

構造改善方法5:内部構造と周辺部品の配置を見直す

清掃しやすい製品を開発するためには、外装形状だけでなく、内部部品や周辺部品の配置も重要です。

外側から見た形状が単純でも、内部に配線や配管が密集していたり、清掃が必要な部分の周囲に部品が配置されていたりすると、実際のメンテナンス作業は難しくなります。

特に、装置内部へ粉じんや異物が入り込む可能性のある製品では、清掃経路と部品配置を同時に設計する必要があります。

例えば、内部の底面に粉じんが蓄積する装置を考えます。底面付近に複数の配線や固定金具が配置されていると、清掃用具を差し込むための空間が不足する場合があります。

こうした構造では、清掃のたびに配線を持ち上げたり、部品を避けたりする作業が必要になり、作業負担が増えるだけでなく、配線の損傷リスクも高まります。

改善方法としては、配線を所定の経路にまとめる、固定位置を変更する、清掃対象となる底面から配線を離すなどの設計が考えられます。

ただし、配線の経路変更は電気的な性能や安全性、放熱性、組立性などに影響する可能性があります。清掃性だけを優先して配置を変更するのではなく、関連する要求を総合的に確認する必要があります。

配管を備えた装置でも同様です。

配管の接続部や継手が密集している場所では、外部表面の清掃が難しくなることがあります。また、配管の下側や壁面との間に狭い空間がある場合、汚れが蓄積しても目視確認しにくい可能性があります。

そのため、配管の配置を検討する際には、組立工具だけでなく、清掃用具を使用するための空間も確保することが重要です。

可動部を備えた製品では、さらに注意が必要です。

回転部や摺動部の周囲に粉じんが入り込むと、摩耗や動作不良の原因になる場合があります。汚れの侵入を減らすカバーを設ける方法がありますが、カバーの裏側に汚れがたまる構造になってしまう可能性もあります。

そのため、汚れが侵入しにくい構造と、必要な清掃を行いやすい構造の両方を検討する必要があります。

また、清掃作業時に可動部へ接触する危険性がある場合には、電源遮断や動作停止の確認を含めた安全対策が重要です。清掃用の開口部を設ける際にも、通常使用時に危険部分へ不用意に触れられないよう配慮する必要があります。

電子機器では、基板や接続端子の配置も清掃性と関係します。

製品外部に付着した汚れを水や洗浄液で取り除く場合、液体が内部へ侵入すると故障につながる可能性があります。外装の接合構造、防水区画、端子の配置などを総合的に検討する必要があります。

さらに、製品を設置した状態で清掃する場合は、製品単体の構造だけでなく、周辺設備との位置関係も重要です。

例えば、製品の背面に清掃が必要な部分を配置していても、実際には壁面へ密着して設置されるのであれば、清掃時にアクセスできません。

同様に、床面近くに設置する製品では、下側へ清掃用具を差し込めるか、周辺に汚れが集まりやすい空間がないかを確認する必要があります。

新製品開発の相談では、製品単体の図面だけでなく、設置場所や使用姿勢、周辺設備との距離などを伝えることが重要です。

内部構造と設置環境の両方を考慮することで、清掃作業を想定した実用的な構造設計が可能になります。

新製品開発の相談前に整理したい清掃性の要求仕様

清掃しやすい製品を実現するには、設計会社や製造パートナーへ相談する前に、清掃に関する要求をできるだけ具体的に整理することが重要です。

「清掃しやすい製品にしたい」という要望だけでは、設計側が何を優先して改善すべきか判断しにくい場合があります。

例えば、清掃時間を短くしたいのか、分解作業を減らしたいのか、特定の汚れを除去しやすくしたいのかによって、適切な構造は変わります。

最初に確認したいのは、製品の使用環境です。

屋内で使用する製品と、雨や泥にさらされる屋外機器では、付着する汚れの種類が異なります。油分が多い作業環境、細かな粉じんが発生する工場、水分に触れる設備など、具体的な使用条件を整理する必要があります。

次に、清掃対象となる場所を明確にします。

製品の外装だけを清掃するのか、内部部品も定期的に清掃するのかによって、必要な構造が異なります。内部清掃が必要な場合には、清掃対象部品へのアクセス方法や、分解範囲も検討する必要があります。

清掃頻度も重要な条件です。

毎日行う清掃と、定期点検時に行う清掃では、許容できる作業時間や工具の使用条件が異なります。

頻繁に行う作業では、簡単な操作で清掃できる構造が求められる一方、低頻度の保守作業では、確実な固定や内部部品の保護を優先する場合もあります。

清掃方法についても事前に整理する必要があります。

乾いた布による拭き取り、湿らせた布による清掃、ブラシ清掃、水洗い、洗浄剤の使用など、どの方法を許容するかによって、材質や密閉構造の要求が変わります。

特に、電子部品を内蔵する製品では、どの範囲まで液体による清掃を許容するかを明確にする必要があります。防水性を持つ構造であっても、すべての洗浄方法に対応できるとは限りません。

清掃作業を担当する人も重要です。

専門知識を持つ保守担当者が清掃する製品と、一般の使用者が日常的に清掃する製品では、求められる作業手順や安全対策が異なります。

手袋を着用する必要がある現場では、部品の大きさや操作部分の形状にも配慮が必要です。

さらに、清掃後にどのような状態になっていればよいかを決めることも重要です。

単に外観上の汚れが目立たなければよいのか、特定部分に異物が残っていないことを確認する必要があるのか、清掃後の乾燥状態まで管理する必要があるのかによって、評価方法が変わります。

可能であれば、要求仕様には具体的な判定方法も含めます。

例えば、指定した清掃用具と手順で対象面へアクセスできること、清掃後に所定の部位を目視確認できること、通常の清掃操作で部品が破損しないことなど、実際に確認できる条件を設定します。

清掃時間を評価指標にする場合には、作業者の経験や汚れの状態によって結果が変動するため、評価条件をそろえる必要があります。

このように、清掃性を具体的な要求仕様に落とし込むことで、設計側との認識違いを減らし、試作品の評価にも活用できます。

試作品で清掃性を評価する具体的な方法

清掃性を考慮した構造を設計しても、図面や三次元モデルの確認だけでは、実際の作業性を十分に判断できない場合があります。

そのため、新製品開発では試作品を使用し、想定する清掃方法を実際に試すことが重要です。

最初に確認したいのは、清掃用具が必要な場所へ届くかどうかです。

図面上では十分な空間があるように見えても、実際には手首の角度や周辺部品との干渉によって、作業しにくい場合があります。

試作品を使用した評価では、実際に使用する布やブラシなどを用意し、通常の作業姿勢で清掃できるかを確認します。

また、清掃が必要な部分を見ながら作業できるかも重要です。清掃用具が届いていても、汚れの残りを確認できない構造では、清掃完了を判断しにくくなります。

次に、模擬的な汚れを使用した評価が考えられます。

製品の使用環境に近い性質の模擬汚れを用い、汚れが残りやすい場所や清掃に時間がかかる部分を確認します。

ただし、評価用の物質が製品を損傷しないことや、作業者に対して安全であることを事前に確認する必要があります。

実際の使用環境で発生する汚れを完全に再現することが難しい場合には、評価の目的に応じて条件を設定することが重要です。

例えば、汚れの除去しやすさを確認したい場合と、水分の滞留を確認したい場合では、適切な評価方法が異なります。

清掃時間を比較する評価では、従来構造と改善構造を同じ条件で確認する方法が有効です。

清掃する面積、模擬汚れの量、清掃用具、作業手順などをそろえることで、構造変更の効果を比較しやすくなります。

ただし、作業者ごとに清掃速度が異なるため、一度の評価だけで改善効果を断定しないことが重要です。必要に応じて複数回の評価を行い、結果のばらつきも確認します。

取り外し可能な部品については、着脱試験も行います。

清掃のために繰り返し取り外す部品では、固定部分の摩耗や変形が発生する可能性があります。初回の着脱が容易であっても、繰り返し使用するうちに固定力が低下したり、部品が破損したりする場合があります。

そのため、想定する使用期間や清掃頻度を踏まえ、適切な繰り返し評価を行うことが求められます。

パッキンなどの密閉部品についても、着脱後の取り付け状態や必要な性能を確認することが重要です。

材質や表面処理については、清掃後の外観変化や傷、変色、表面の劣化などを確認します。

特に、洗浄剤を使用する製品では、短時間の接触だけでなく、繰り返し接触する条件を考慮した評価が必要になる場合があります。

試作品の評価では、清掃しにくい場所を写真で記録し、どのような操作で問題が発生したのかを残しておくと、設計改善につなげやすくなります。

改善前後の形状を比較しながら、清掃作業のどの部分が変わったのかを確認することで、構造変更の効果を具体的に判断できます。

清掃しやすさと製造性・耐久性を両立させるポイント

新製品開発では、清掃性だけを優先すると、製造性や耐久性との間で課題が生じる場合があります。

例えば、汚れがたまる隙間を減らすために筐体を一体化すると、外観上の継ぎ目は減らせます。しかし、内部部品の組立や交換が難しくなる可能性があります。

反対に、清掃のために部品を細かく分割すると、分解しやすくなる一方で、接合部や固定箇所が増えてしまう場合があります。

そのため、清掃性と保守性、組立性のバランスを考えながら構造を決定する必要があります。

樹脂部品を射出成形で製造する場合には、金型から取り出せる形状であることも重要です。

清掃性を高める目的で深い溝や複雑な曲面を設けると、金型構造が複雑になったり、成形条件の調整が必要になったりする可能性があります。

また、肉厚が大きく変化する形状では、成形収縮の不均一によって外観や寸法に影響が生じる場合があります。

そのため、試作品で清掃しやすい形状が確認できたとしても、その形状を量産方法で安定して製造できるかを検討する必要があります。

清掃のために可動式のカバーを設ける場合には、固定部や回転部分の耐久性も重要です。

頻繁な開閉によって摩耗や緩みが発生しないか、清掃中に過大な力が加わっても破損しにくいかなどを確認します。

さらに、清掃作業による部品の劣化も考慮しなければなりません。

表面を繰り返し拭き取る製品では、印字や表示部分が摩耗する可能性があります。洗浄剤が使用される環境では、接着部分やシール材が影響を受ける場合もあります。

製品全体の耐久性を確保するためには、外装だけでなく、表示部、固定部、接着部、密閉部なども清掃条件に合わせて評価する必要があります。

また、製造パートナーとの協議では、清掃性に関する重要な寸法や形状を明確にすることが役立ちます。

例えば、清掃用具を通すために必要な空間や、パッキンが収まる部分の寸法などは、製品の機能に直接関係する場合があります。

一方で、清掃性に影響しない部分まで過度に厳しい寸法条件を設定すると、製造上の管理が複雑になる可能性があります。

必要な機能と製造上の実現性を踏まえて、重要な寸法を整理することが大切です。

新製品開発の相談では、設計段階で製造担当者の意見を取り入れることも有効です。

設計側が考えた構造に対して、加工方法、組立手順、部品点数、検査方法などの観点から確認を行うことで、量産時の問題を早期に発見しやすくなります。

清掃しやすさを実現するには、単に理想的な形状を考えるだけでなく、その形状を安定して製造し、長期間使用できる構造にすることが重要です。

まとめ:清掃作業を想定した構造設計が製品価値を高める

新製品開発の相談で清掃しやすい製品を目指す場合には、使用者が実際に行う清掃作業を想定し、構造全体を検討することが重要です。

汚れがたまる隙間や段差を減らすことは、日常的な拭き取り作業の負担を軽減するための基本的な考え方です。ただし、部品の接合や固定に必要な構造とのバランスを取る必要があります。

水分や異物を排出しやすい形状にすることも重要です。使用姿勢や設置方向を考慮し、排水や乾燥のしやすさを検討することで、汚れや水分の滞留を減らせる可能性があります。

また、内部清掃が必要な製品では、清掃対象部品を取り外しやすくすることが有効です。清掃頻度に応じた着脱方法を採用し、再組立時の誤操作や部品の紛失にも配慮する必要があります。

材質や表面構造の選定も欠かせません。汚れの種類、洗浄剤、清掃用具、使用頻度を踏まえ、表面の清掃性と耐久性を両立させることが求められます。

さらに、配線や配管、可動部などの配置を見直し、清掃用具を使用できる空間や安全な作業経路を確保することも重要です。

これらの改善方法は、単独で検討するよりも、製品の使用環境や清掃手順と合わせて考えることで効果を発揮します。

新製品開発の相談では、清掃しやすさを抽象的な希望として伝えるのではなく、清掃対象、清掃頻度、使用する用具、許容する作業方法、必要な耐久性などを要求仕様として整理することが大切です。

また、試作品を用いて実際の清掃作業を評価し、清掃しにくい場所や作業中の問題を確認することで、量産前に構造を改善しやすくなります。

特に、工場や建設現場、屋外設備などで使用する製品では、製品単体の清掃性だけでなく、設置後の周辺環境も重要です。設置位置や周辺設備との距離、清掃時の作業空間などによって、実際のメンテナンス性が大きく変わる場合があります。

こうした現場条件を設計へ反映するには、現場写真や位置情報、施工時の記録を整理し、設計担当者と共有できる仕組みが役立ちます。

LRTK Phoneは、現場写真・位置情報・施工記録の管理に活用できる製品です。新製品を現場に設置する際の状況や、清掃・点検作業に関係する周辺環境を記録することで、設計改善に必要な現場情報を整理する際にも活用できます。

清掃しやすい製品づくりでは、設計段階の構造検討と、実際の使用現場から得られる情報を結び付けることが重要です。新製品開発の初期段階から清掃性を設計要件に組み込み、試作評価と現場情報の確認を重ねることで、使用者にとって扱いやすく、長期的な維持管理にも配慮した製品開発につながります。

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