LRTKレフィクシア株式会社

新製品開発の相談で防水パッキンの密閉不良を防ぐ6つの設計対策

新製品開発において、防水性能は製品の信頼性や耐久性を左右する重要な設計要素です。特に屋外で使用する電子機器、計測装置、センサー筐体、携帯型機器などでは、内部への水分侵入が電子回路の故障、金属部品の腐食、動作不良につながる可能性があります。そのため、防水パッキンを使用する製品では、設計段階から密閉構造を十分に検討することが欠かせません。

しかし、防水パッキンを取り付けたからといって、必ずしも十分な密閉性能が得られるわけではありません。パッキンの圧縮量、溝の寸法、筐体の変形、材料特性、組立方法など、複数の条件が適切に組み合わされて初めて、安定した密閉状態を維持しやすくなります。

特に新製品開発の初期段階では、外観や機能を優先して設計を進めた結果、防水構造の検討が後回しになるケースがあります。試作後に漏水が発生すると、筐体形状や締結構造の変更が必要になり、設計の手戻りが大きくなることもあります。

こうした問題を抑えるには、新製品開発の相談時点で防水性能の要求条件を整理し、設計・加工・組立・評価を一体的に検討することが重要です。

本記事では、防水パッキンの密閉不良を防ぐために確認したい6つの設計対策を解説します。設計担当者だけでなく、製品企画、試作、製造技術、品質管理に関わる実務担当者にも役立つ考え方を紹介します。

新製品開発で防水パッキンの密閉不良が起こる理由

防水パッキンは、筐体の接合面や開口部に配置することで、水分が内部へ侵入する経路を遮断するための部品です。一般的には弾性を持つ材料が使用され、組立時に適度に圧縮されることで接触面の微細な隙間を埋め、密閉状態を形成します。

ただし、密閉性能はパッキン単体の性能だけで決まるものではありません。接触する筐体の形状、表面状態、締結による荷重、温度変化、使用中の変形なども関係します。

例えば、パッキンの一部だけが十分に圧縮されていない場合、その部分に微細な隙間が残る可能性があります。外観上は正常に組み立てられていても、散水や浸水などの条件下で内部に水が侵入することがあります。

反対に、密閉性を高めようとしてパッキンを過度に圧縮することも適切ではありません。過大な圧縮によって材料に大きな負荷がかかり、変形の回復が不十分になったり、部品の組付けが難しくなったりする場合があります。

また、製品使用時の温度変化も重要です。筐体とパッキンでは熱膨張や収縮の特性が異なるため、高温時と低温時で接触状態が変化する可能性があります。屋外製品では日射による加熱、夜間の冷却、降雨による急激な温度変化なども考慮する必要があります。

さらに、筐体のねじ締結位置が不適切な場合、締結部の近くでは十分な圧縮力が得られていても、ねじとねじの間で筐体が浮き、面圧が低下することがあります。

このような問題は、試作品の完成後に防水試験を実施するだけでは根本的な解決につながらない場合があります。密閉不良の原因を特定するには、設計条件から製造・組立状態までを確認する必要があるためです。

新製品開発では、防水パッキンを単なる付属部品として扱わず、筐体構造全体の一部として設計することが重要になります。

設計対策1:使用環境と要求される防水性能を明確にする

防水パッキンの設計では、最初に製品がどのような環境で使用され、どの程度の水分侵入を防ぐ必要があるのかを明確にすることが重要です。

防水性能という言葉は幅広く使用されますが、雨水への耐性、散水への耐性、一時的な浸水への耐性、一定条件下での水中使用への適合性では、必要となる密閉構造が異なります。

例えば、屋内で使用する電子機器と、屋外に常設される計測装置では、想定すべき水の接触条件が異なります。屋内機器では清掃時の水滴や偶発的な液体の付着が主な対象となる場合がありますが、屋外機器では降雨、風を伴う雨、結露、温度変化などを考慮する必要があります。

製品を水中で使用する場合には、水深に応じた水圧や浸漬時間も検討対象になります。水圧が作用すると、パッキンや筐体の変形状態が変わり、通常の散水環境では発生しなかった漏水が起こる可能性があります。

そのため、新製品開発の相談では、単に防水仕様にしたいと伝えるのではなく、想定する水の接触状態を具体的に共有することが重要です。

製品を使用する場所、雨水が当たる方向、浸水する可能性、清掃方法、使用時の姿勢、使用期間などを整理すると、防水構造の検討が進めやすくなります。

特に注意したいのが、通常使用時と保管時、輸送時で条件が変わる製品です。使用中は垂直に設置されていても、輸送中は横向きになったり、保管中は上下が逆になったりする可能性があります。

こうした姿勢の変化によって、水が溜まりやすい場所やパッキンに作用する条件が変わることがあります。

また、外部からの水分侵入だけでなく、内部の空気や水蒸気の状態も考慮する必要があります。密閉された筐体では、温度変化によって内部と外部の圧力差が生じることがあります。条件によっては、この圧力差が密閉部に影響を与えます。

水蒸気や結露への対策が必要な場合には、液体の水を遮断する構造だけで十分かどうかも検討しなければなりません。通気構造や湿度管理が必要になる場合もありますが、それらは液体の浸入防止性能との両立を確認する必要があります。

要求性能を定義する際には、防水等級などの評価区分を参考にする方法もあります。ただし、等級だけで製品のあらゆる使用環境への適合性を判断できるわけではありません。

実際の使用条件と試験条件が一致しているかを確認し、必要に応じて製品固有の評価項目を追加することが大切です。

新製品開発の相談段階で使用環境を明確にしておけば、必要以上に複雑な防水構造を採用することを避けながら、求められる性能に合った設計を進めやすくなります。

設計対策2:パッキンの圧縮率と寸法公差を適切に設定する

防水パッキンの密閉性能を安定させるうえで、重要な設計要素の一つが圧縮率です。

パッキンは、適切な圧縮によって接触面に必要な面圧を生み出します。しかし、圧縮量が不足すると接触面に隙間が残りやすくなり、反対に圧縮量が過大になると材料の損傷や過度な変形につながる可能性があります。

ここで重要なのは、圧縮率を単一の数値だけで考えないことです。

例えば、単純な平板状パッキンであれば、自由状態の厚みと締結後の接触面間隔の差から、厚み方向の圧縮率を考えることができます。ただし、実際の設計ではパッキンの断面形状や拘束状態、溝構造によって変形の仕方が異なります。

円形断面のパッキン、平板状のパッキン、特殊なリップ形状を持つパッキンでは、適切な設計条件が同じとは限りません。

そのため、採用する形状と材質に応じて、推奨される圧縮条件や組立後の変形状態を確認する必要があります。

さらに、筐体やパッキンには寸法公差があります。図面上の設計寸法が同じでも、実際に製造された部品には一定の寸法ばらつきが発生します。

例えば、パッキンの厚みが小さい側にばらつき、筐体側の接触面間隔が大きい側にばらついた場合、想定より圧縮量が不足する可能性があります。

反対に、パッキンが厚く、筐体側の間隔が小さい組み合わせでは、圧縮量が過大になることがあります。

こうした問題を抑えるには、設計値だけでなく、公差の組み合わせによる最大圧縮状態と最小圧縮状態を確認することが重要です。

特に量産を予定している新製品では、試作品が正常に密閉できたという結果だけでは十分ではありません。製造ばらつきが発生した場合でも、必要な密閉性能を維持できる設計範囲を確保することが求められます。

また、圧縮状態を確認する際には、パッキンの経年変化も考慮する必要があります。弾性材料は長期間圧縮された状態で使用されると、圧縮を解除しても元の形状に完全には戻らなくなる場合があります。

このような圧縮永久ひずみが大きくなると、長期間の使用後や再組立時に、当初の密閉性能を維持しにくくなる可能性があります。

温度条件によっても材料の弾性や変形回復性は変化するため、常温での圧縮状態だけを評価するのではなく、想定する温度範囲での挙動を確認することが望まれます。

加えて、パッキンの圧縮量を筐体の締結力だけに依存させる構造には注意が必要です。ねじの締付け状態によって接触面間隔が変動する場合、組立作業者や締結条件によって密閉性能に差が生じる可能性があります。

構造に応じて、機械的な当たり面や位置決め部を設け、圧縮量を管理しやすくする方法も検討できます。

ただし、こうした構造でも部品公差や筐体変形の影響は残るため、設計段階での確認が必要です。

新製品開発では、パッキン単体の寸法だけでなく、筐体、溝、締結部を含めた寸法関係を整理することが、密閉不良の予防につながります。

設計対策3:パッキン溝と接触面の形状を最適化する

防水パッキンが適切な材質と寸法であっても、取り付ける溝や接触面の形状が不適切であれば、十分な密閉性能が得られない場合があります。

パッキン溝は、単にパッキンを収めるための空間ではありません。組立時の位置ずれを抑え、圧縮による変形を適切に受け止め、安定した接触状態を形成するための重要な構造です。

まず確認したいのが、溝の深さと幅です。

溝が深すぎる場合、パッキンの圧縮量が不足しやすくなります。反対に、溝が浅すぎる場合には、過度な圧縮や組立時の干渉が発生する可能性があります。

また、溝の幅が狭すぎると、パッキンが圧縮時に変形するための空間を十分に確保できない場合があります。

一般に弾性材料は圧縮によって形状が変わるため、溝の設計では圧縮後の断面形状や体積の収まり方を考慮する必要があります。

ただし、適切な溝寸法はパッキンの断面形状、材料特性、圧力条件などによって異なります。特定の寸法比率をすべての製品に一律に適用することは避け、採用部品に適した設計条件を確認することが重要です。

次に注意したいのが、溝の角部や曲線部分です。

矩形の筐体に沿ってパッキンを配置する場合、角部では直線部分と異なる変形が発生することがあります。角の曲率が小さすぎると、パッキンが局所的に伸びたり、ねじれたりする可能性があります。

一方で、角部の形状が不適切な場合には、パッキンが溝の中で安定せず、組立時に浮き上がることがあります。

こうした問題を防ぐには、パッキンの許容変形と製造方法を考慮して、角部の形状や曲率を設定する必要があります。

接触面の表面状態も見逃せません。

筐体の接触面に大きな傷、段差、異物、成形による突起などが存在すると、パッキンとの接触が不均一になる可能性があります。

特に、成形部品の合わせ目や加工境界が密閉面を横切る場合には注意が必要です。接触面に連続した凹凸が存在すると、それが水の侵入経路になることがあります。

そのため、防水パッキンが接触する面については、必要な平面度、表面粗さ、段差の許容範囲などを設計段階で検討することが重要です。

ただし、表面を滑らかにすれば常に密閉性が向上するとは限りません。パッキンの種類や材質、接触条件に応じて適切な表面性状を設定する必要があります。

さらに、筐体を樹脂成形で製作する場合には、成形収縮や反りも検討対象になります。

設計図面上では平坦な接触面であっても、成形後に反りが発生すると、部分的に圧縮量が変わる可能性があります。試作時には、成形品の実測寸法と図面寸法の差を確認することが大切です。

金属加工品の場合にも、加工時の固定方法や加工後の変形によって接触面の状態が変わる場合があります。

また、パッキン溝の周辺には、組立時の傷を防ぐための形状上の配慮も必要です。鋭い角や突起があると、挿入時にパッキンが傷つくおそれがあります。

新製品開発の相談では、筐体の外観形状だけでなく、パッキン溝の断面、角部、接触面の加工方法まで共有することで、密閉不良につながる構造上の課題を早期に発見しやすくなります。

設計対策4:使用環境に適した材質と硬さを選定する

防水パッキンの性能は、材料の種類や硬さによって大きく変わります。

一般的に防水パッキンには、弾性を持つゴム系材料などが使用されますが、すべての材料が同じ環境に適しているわけではありません。

例えば、屋外で使用する製品では、温度変化、紫外線、湿気、雨水などへの耐性が重要になります。工場設備や産業機器では、洗浄液、油分、薬品などに接触する可能性も考慮する必要があります。

材料によって耐熱性、耐寒性、耐候性、耐油性、耐薬品性などの特性が異なるため、使用環境に合った材質を選定することが重要です。

特に注意したいのが、材料の膨潤や劣化です。

パッキンが特定の液体に接触すると、材料によっては膨潤して寸法が変化する場合があります。また、液体に含まれる成分によって材料の性質が変化し、硬化や軟化などが起こる可能性もあります。

パッキンの寸法や弾性が変化すると、当初想定していた接触面圧を維持しにくくなることがあります。

そのため、使用環境に水以外の液体が存在する場合には、それらとの材料適合性を確認することが必要です。

材料の硬さも重要な設計条件です。

比較的柔らかい材料は、接触面の微細な凹凸になじみやすい場合があります。一方で、過度な変形や組立時の取り扱いなどに注意が必要になることがあります。

比較的硬い材料では、形状が安定しやすい場合があるものの、十分な密閉面圧を得るために、より大きな圧縮荷重が必要になることもあります。

したがって、柔らかい材料ほど防水性能が高い、あるいは硬い材料ほど耐久性が高いといった単純な判断は適切ではありません。

採用する材料の硬さは、接触面の状態、筐体の剛性、締結力、溝形状、使用温度などを考慮して設定する必要があります。

また、同じ材料系統であっても、配合や製造条件によって物性が異なる場合があります。材料名だけで判断するのではなく、必要な特性と実際の材料仕様を照合することが重要です。

特に長期間使用する製品では、圧縮永久ひずみや経年劣化への配慮が欠かせません。

新品の状態では十分な密閉性能が得られていても、長期間にわたって圧縮状態が続くことで弾性回復性が低下し、密閉性能に影響する可能性があります。

高温環境では劣化が進みやすくなる材料もあるため、製品の想定使用期間や温度条件に基づいて評価する必要があります。

寒冷地で使用する製品では、低温時の硬化や弾性低下にも注意が必要です。常温では接触面になじんでいたパッキンが、低温環境では十分に追従できなくなる場合があります。

さらに、材料の選定では製造性も考慮します。

複雑な断面形状を持つパッキンでは、製造方法によって寸法精度や形状の安定性に違いが生じる可能性があります。接合部を持つパッキンでは、その接合方法や接合部の強度、密閉性も確認対象になります。

新製品開発の初期段階で材質を決定してしまうと、試作評価で問題が見つかった際に、溝寸法や締結構造まで変更しなければならない場合があります。

そのため、材料選定と構造設計は別々に進めるのではなく、相互に条件を確認しながら検討することが望まれます。

設計対策5:筐体剛性と締結構造で密閉面圧を安定させる

防水パッキンを適切に圧縮するためには、筐体側の剛性と締結構造が重要です。

設計上は十分な圧縮量を設定していても、組立時に筐体が変形すると、パッキンの圧縮状態が不均一になる可能性があります。

特に大型のカバーや薄肉の樹脂筐体では、締結部周辺と締結部から離れた位置で変形量が異なる場合があります。

例えば、四隅にねじを配置した矩形のカバーでは、ねじの近くでは強く押さえられていても、辺の中央部分でカバーが浮く可能性があります。

その結果、辺の中央部分ではパッキンの接触面圧が低下し、水の侵入経路が形成されることがあります。

こうした問題を防ぐには、ねじの本数だけでなく、配置間隔、締結位置、筐体の肉厚、補強構造などを総合的に検討する必要があります。

特に重要なのは、パッキンが配置される密閉ライン全体で、必要な圧縮状態を維持できるかどうかです。

一部のねじだけを強く締めても、密閉ライン全体の面圧が均一になるとは限りません。

また、過度な締付けによって筐体が局所的に変形すると、別の部分で隙間が生じることもあります。

そのため、締結力を大きくすることだけを対策とするのではなく、筐体がどのように荷重を受け、どの部分で変形するかを確認することが大切です。

薄肉筐体の場合には、補強リブや支持部の追加が有効な場合があります。ただし、補強構造を追加することで成形時の反りや局所的な変形が発生する可能性もあるため、製造方法を考慮した検討が必要です。

金属筐体の場合にも、薄板構造や大きな開口部を持つ構造では、締結による変形が問題になることがあります。

筐体材料が異なる組み合わせにも注意が必要です。

例えば、金属部品と樹脂部品を組み合わせた構造では、温度変化によって寸法変化の程度が異なる場合があります。

この差が締結状態やパッキンの圧縮量に影響する可能性があるため、温度変化を受ける製品では組合せ部品の熱膨張特性も確認する必要があります。

締結構造では、ねじの緩みや締結力の変化も考慮します。

振動を受ける製品では、使用中の緩みや部品の微小な動きが密閉状態に影響する可能性があります。また、樹脂部品では締結部周辺のクリープ変形などによって、時間の経過とともに締結力が変化することもあります。

そのため、初期組立時の状態だけでなく、一定期間使用した後の状態についても評価することが重要です。

さらに、締結位置を決める際には、内部部品との干渉も確認します。

電子基板、配線、コネクタ、支持部などの配置によって締結位置に制約が生じる場合がありますが、防水構造を後回しにすると、必要な位置にねじや補強部を配置できなくなることがあります。

新製品開発の相談では、内部部品の配置と筐体の密閉ラインを早い段階から同時に検討することが有効です。

必要に応じて構造解析や試作測定を活用し、締結時の変形や接触状態を確認することで、量産前の設計判断に役立てられます。

設計対策6:組立方法と交換作業まで考慮した構造にする

防水パッキンの密閉性能は、設計寸法や材料が適切であっても、組立方法によって変化することがあります。

特に量産製品では、作業者や組立設備が変わっても、安定した品質を確保しやすい構造にすることが重要です。

まず注意したいのが、パッキンの位置ずれです。

組立時にパッキンが溝から外れたり、一部が浮き上がったりすると、その状態で筐体が締結され、密閉不良につながる可能性があります。

また、長いパッキンや複雑な形状のパッキンでは、組付け時にねじれが発生する場合があります。

ねじれた状態で圧縮されると、局所的な変形や圧縮量の偏りが生じ、安定した密閉状態を維持しにくくなることがあります。

そのため、組立時にパッキンが自然に所定位置へ収まるよう、溝形状や位置決め方法を工夫することが重要です。

必要に応じて、組付け方向を分かりやすくする形状や、誤った向きでは組み立てにくい構造も検討できます。

次に重要なのが、異物の混入対策です。

パッキンと接触面の間に小さなごみ、切粉、繊維、ほこりなどが挟まると、局所的な隙間が発生する可能性があります。

特に微細な異物は外観から確認しにくいため、組立前の清掃方法や作業環境を整えることが必要です。

また、パッキンの表面に付着した油分や薬品などが材料に影響する場合もあるため、洗浄剤や組立補助材の使用については、材料との適合性を確認することが大切です。

ねじ締結を行う製品では、締付け順序と締付け条件の管理も重要になります。

締付け順序によって筐体の変形状態が変わる場合があるため、設計段階で適切な組立手順を検討することが望まれます。

ただし、締付けトルクを管理するだけで、必ずしも必要な密閉面圧を確保できるわけではありません。ねじ部の摩擦、座面の状態、部品の変形などによって、同じトルクでも締結力が異なる場合があります。

そのため、締付け条件は筐体構造やパッキンの圧縮状態と合わせて評価する必要があります。

さらに、新製品開発では保守作業も考慮した設計が重要です。

製品によっては、内部の電池交換、点検、修理などのために筐体を開閉することがあります。

初回組立時には正常に密閉できていても、分解後の再組立でパッキンの位置がずれたり、材料が劣化していたりすると、防水性能が変化する可能性があります。

そのため、再使用できる条件、交換が必要となる状態、交換時の確認方法などを検討しておくことが望まれます。

特にパッキンが接着や圧入などによって固定される構造では、分解時にパッキンや接触面が損傷する可能性もあります。

保守作業を想定する製品では、交換のしやすさだけでなく、交換後に密閉状態を確認しやすい構造も重要です。

また、量産時に使用する作業手順書には、パッキンの取り付け位置、清掃方法、外観確認項目、締結条件などを明確に記載することが有効です。

設計上の正しさだけではなく、現場で繰り返し実行できることまで確認しておくことで、組立ばらつきによる密閉不良を減らしやすくなります。

試作段階で防水パッキンの密閉性能を検証する方法

防水パッキンの設計対策を実施した後は、試作段階で密閉性能を検証することが重要です。

ただし、防水試験に合格したという結果だけで、すべての使用条件における長期的な密閉性能を保証できるわけではありません。

試作評価では、何を確認するための試験なのかを明確にし、使用環境と想定故障に応じた評価条件を設定する必要があります。

まず実施したいのが、初期状態での密閉性能の確認です。

完成した試作品に対して、想定する使用条件に応じた散水、浸漬、圧力を利用した漏れ確認などを実施し、内部への水分侵入がないかを確認します。

ただし、試験方法によって検出できる漏れの種類や評価できる条件が異なるため、目的に合った方法を選定することが大切です。

例えば、気体を用いる漏れ試験は微細な漏れ経路の確認に役立つ場合がありますが、その結果をそのまま液体の水に対する防水性能と同一視することはできません。

液体と気体では流動特性が異なり、圧力差や接触条件によって漏れの挙動が変わるためです。

次に確認したいのが、温度変化後の密閉性能です。

高温環境と低温環境を経験させた後に防水性能を確認すると、熱膨張差や材料特性の変化による影響を把握しやすくなります。

特に樹脂筐体と弾性パッキンを組み合わせた製品では、温度変化によって接触状態が変わる可能性があります。

屋外で使用する製品では、実際の使用環境に応じて温度変化や湿度の影響を確認することが重要です。

また、振動や衝撃を受ける製品では、機械的負荷の前後で密閉性能を比較することも有効です。

振動によって締結状態が変化したり、衝撃によって筐体が変形したりすると、初期状態では問題のなかった部分に隙間が発生する可能性があります。

そのため、製品の使用条件に応じて機械的負荷試験と防水試験を組み合わせることが考えられます。

長期間使用する製品では、経年劣化を想定した評価も重要です。

パッキンを一定期間圧縮した状態で保持した後、寸法変化や弾性回復性、密閉性能を確認すると、長期使用に伴う変化を把握するための情報が得られます。

ただし、促進試験の結果を実際の使用年数に換算するには、材料特性や劣化要因との対応関係を検討する必要があります。試験時間だけから一律に製品寿命を判断することは避けるべきです。

試作評価では、正常な条件だけでなく、製造ばらつきの影響を確認することも大切です。

例えば、寸法公差の範囲内で圧縮量が小さくなる組み合わせや、筐体の反りが大きくなる組み合わせを想定して確認すると、設計余裕の把握に役立ちます。

不具合が発生した場合には、漏水位置だけでなく、パッキンの圧縮状態、溝寸法、筐体の変形、締結状態などを合わせて確認します。

試験後に筐体を分解する際には、パッキンの組付け状態や水の侵入経路に関する痕跡を記録し、分解作業によって状態が変化する前に必要な情報を残すことが重要です。

また、試作品ごとの設計変更履歴を管理することも欠かせません。

パッキン材質、溝寸法、ねじ位置などを変更した場合には、どの変更が性能に影響したのかを判断できるよう、変更内容と試験結果を関連付けて保存します。

複数の条件を同時に変更すると原因の切り分けが難しくなる場合があるため、評価目的に応じて変更条件を整理することが望まれます。

こうした検証を通じて、密閉不良が発生しない条件だけでなく、どの条件で性能が低下しやすいのかを把握することが、新製品の品質安定化につながります。

新製品開発の相談前に整理しておきたい設計情報

防水パッキンを使用する新製品について開発相談を行う際には、必要な設計情報をあらかじめ整理しておくと、技術的な検討を進めやすくなります。

最初に共有したいのは、製品の用途と使用環境です。

製品を屋内で使用するのか、屋外に設置するのか、移動しながら使用するのかによって、想定する負荷条件が変わります。

雨水への接触、洗浄の有無、温度範囲、振動、衝撃、薬品への接触など、密閉性能に影響する条件を可能な範囲で整理しておくことが重要です。

次に必要なのが、製品の外形寸法と内部構成に関する情報です。

筐体の大きさ、材料、肉厚、開口部の位置、内部部品の配置などが分かると、防水パッキンを配置できる範囲や締結構造の制約を検討しやすくなります。

特に電子機器では、基板やコネクタ、ケーブルの引き出し部などが防水構造に影響することがあります。

筐体の合わせ面だけを密閉しても、ケーブルの貫通部や別の開口部から水が侵入する可能性があるため、製品全体の侵入経路を確認する必要があります。

また、既に設計図面がある場合には、パッキン溝の寸法、接触面の形状、締結位置、部品公差などを確認できる情報を共有することが望まれます。

完成した詳細図面がなくても、構想段階の形状や要求条件が分かれば、設計上の検討事項を整理することは可能です。

新製品開発の相談では、すべての仕様が確定していることよりも、確定している条件と未確定の条件を区別して伝えることが重要です。

例えば、製品外形は変更できないが内部の締結位置は調整できる場合と、筐体形状そのものを見直せる場合では、検討可能な対策が異なります。

制約条件を明確にすることで、現実的な改善策を選びやすくなります。

試作品や既存製品で密閉不良が発生している場合には、不具合の発生状況を具体的に記録しておくことも有効です。

水が侵入した位置、発生した試験条件、使用したパッキン、組立方法、再現性などを整理すると、原因分析に役立ちます。

特に、不具合が毎回同じ場所で発生するのか、製品ごとに異なる場所で発生するのかは重要な情報です。

同じ場所で繰り返し発生する場合には、その部分の形状や構造が影響している可能性があります。一方、発生場所が一定しない場合には、製造ばらつきや組立状態なども検討対象になります。

ただし、発生位置だけで原因を断定することはできないため、寸法測定や試験結果との照合が必要です。

また、製品の製造数量や組立方法も設計判断に影響します。

少量試作では手作業による調整が可能でも、量産では同じ方法を安定して繰り返すことが難しい場合があります。

そのため、試作段階から量産を想定した組立性や検査方法を検討しておくことが望まれます。

設計、加工、組立、評価をそれぞれ別の工程として扱うのではなく、工程間の関係を確認することで、密閉不良につながる認識違いを減らしやすくなります。

新製品開発の相談先を検討する際には、パッキンの選定だけでなく、筐体設計、製造方法、組立条件、評価方法についても一体的に相談できるかを確認するとよいでしょう。

特に防水構造では、一つの部品だけを改善しても十分な効果が得られない場合があります。

例えば、パッキンの材質を変更しても、筐体の反りや圧縮不足が残っていれば、密閉不良が解消しない可能性があります。

反対に、筐体の剛性を高めても、溝寸法や材料特性が不適切であれば、十分な密閉性能を得られないことがあります。

こうした複数の要因を整理し、設計変更の影響を確認しながら開発を進めることが重要です。

まとめ:防水パッキンの密閉不良は設計初期からの対策が重要

新製品開発における防水パッキンの密閉不良は、パッキン単体の品質だけでなく、筐体構造、寸法公差、材料特性、締結状態、組立方法など、複数の要因によって発生する可能性があります。

そのため、防水性能を安定させるには、製品の使用環境を明確にしたうえで、圧縮率と公差、溝形状と接触面、材料と硬さ、筐体剛性と締結構造、組立と保守の6つの観点から設計を検討することが重要です。

特に新製品開発の初期段階では、外観や機能の検討と並行して密閉構造を設計することで、試作後の大幅な構造変更を抑えやすくなります。

また、試作評価では初期の防水性能だけでなく、温度変化、振動、長期使用、製造ばらつきなどを想定した確認を行うことが望まれます。

開発相談の段階から設計・製造・組立・評価の情報を共有し、密閉性能に影響する条件を整理しておくことで、不具合の原因を把握しやすくなり、再発防止につながります。

さらに、屋外で使用する計測機器や設備、各種機器の設置環境を確認する場合には、現場での記録管理も役立ちます。

例えば、試作品を実際の現場に設置して検証する際には、設置場所、現場写真、確認日時、周辺環境、施工状況などを関連付けて記録しておくと、後から不具合の発生条件を振り返りやすくなります。

こうした現場情報の整理には、LRTK Phoneを活用する方法があります。LRTK Phoneを用いて現場写真や位置情報を記録し、施工記録と関連付けて管理することで、屋外設備の設置状況や検証条件を共有する際の補助資料として活用できます。

なお、防水性能そのものの判定には、別途適切な試験や測定が必要です。位置情報や写真による記録と防水性能の評価を組み合わせることで、現場で発生した問題の状況をより具体的に把握しやすくなります。

防水パッキンの密閉不良を防ぐためには、設計段階の構造検討から試作評価、製造管理、現場での検証までを連続したプロセスとして捉えることが大切です。新製品開発の相談時点からこれらの条件を整理し、製品の使用環境に適した密閉構造を検討することが、信頼性の高い製品づくりにつながります。

ものづくりの次の一歩を、
相談から始めてみませんか。

加工・製造の外注先や共同開発のパートナー探しに。大田区産業振興協会の受・発注あっせん相談サービスをご利用いただけます。

ものづくり 外注先を探す。公益財団法人大田区産業振興協会の受・発注あっせん相談。無料でプロに相談!公的機関だから安心!
ものづくりの協力先探し大田区産業振興協会無料相談