LRTKレフィクシア株式会社

製造委託先見直しで圧縮空気の品質不良を防ぐ5つの設備管理基準

製造委託先を見直す際、加工精度や生産能力、品質管理体制は確認していても、圧縮空気の品質まで詳しく調査できていないケースがあります。しかし、製造現場で使われる圧縮空気は、部品の清掃、切粉の除去、塗装、乾燥、組立設備の駆動など、多くの工程に関係する重要なユーティリティです。

圧縮空気に水分や油分、固形異物が混入すると、製品表面の汚染、塗装不良、腐食、異物付着、空気圧機器の動作不良などを引き起こす可能性があります。特に、製品に直接触れるエアブローや精密部品の乾燥工程では、圧縮空気そのものが品質不良の発生源になることがあります。

問題は、こうした不具合が製造直後に見つかるとは限らないことです。部品の内部に残った水分が保管中に腐食を進行させたり、微量の油分が後工程の接着や塗装に影響したりする場合もあります。委託先を変更した後に不良が増えても、加工条件や材料だけを調べていると、圧縮空気の品質が原因であることに気づけない可能性があります。

そのため、製造委託先の見直しでは、圧縮機の有無だけでなく、空気の清浄度、乾燥設備、配管管理、品質測定、保全記録まで確認することが重要です。

この記事では、製造委託先の変更を検討している調達担当者、品質保証担当者、生産技術担当者に向けて、圧縮空気の品質不良を防ぐ5つの設備管理基準を解説します。工場監査で確認したい項目から、委託先切替時の品質評価、異常発生時の原因切り分けまで、実務で活用できる考え方を整理します。

製造委託先の見直しで圧縮空気の品質確認が必要な理由

製造委託先の見直しでは、図面どおりの寸法を加工できるか、必要な設備があるか、品質検査を実施できるかといった項目が重視されます。一方、工場内の圧縮空気は複数の設備で共用されることが多く、個々の製造工程に直接関係する設備として十分に評価されない場合があります。

しかし、圧縮空気は単なる動力源ではありません。製品に直接吹き付ける場合には、製品表面と接触する工程媒体として品質管理の対象になります。

例えば、金属加工後の部品を圧縮空気で清掃する工程を考えてみましょう。切粉や切削液を除去するためにエアブローを行っても、その空気に水分や油分が含まれていれば、清掃後の部品に新たな汚染物を付着させるおそれがあります。目視ではきれいに見える部品でも、表面に油膜が残ることで、後工程の塗装密着性や接着品質に影響する場合があります。

精密機器の組立工程では、空気中の微細な固形異物が問題になることがあります。一般的な機械部品では許容される粒子であっても、微小な隙間を持つ機構や清浄度要求の厳しい製品では、動作不良や性能低下の原因となる可能性があります。

また、圧縮空気に含まれる水分は、空気圧配管や機器の内部腐食にも関係します。湿った空気が冷却されることで凝縮水が発生すると、配管内に水がたまり、錆や汚れを下流側へ運ぶことがあります。製品との直接接触がない設備でも、機器の故障や稼働停止を通じて製造品質に影響する場合があります。

製造委託先を変更すると、圧縮機の形式、乾燥設備の構成、配管の長さ、フィルターの管理方法なども変わります。以前の委託先で問題がなかった工程を同じ作業手順で実施しても、新しい委託先で同等の空気品質が確保されるとは限りません。

特に注意したいのは、設備の仕様書に記載された性能と、製造現場で実際に供給される空気の品質には差が生じ得ることです。圧縮機の出口で良好な状態でも、下流配管の腐食やフィルターの劣化によって、使用点では異物が混入する場合があります。

そのため、委託先の見直しでは、設備の保有状況を確認するだけでなく、製造工程で使われる場所まで空気品質が維持されているかを判断する必要があります。

品質評価の基本は、製品に必要な空気品質を定義し、その要求を満たす設備と管理体制があるかを確認することです。この考え方を出発点として、次の5つの設備管理基準を設定します。

基準1:使用用途に応じて圧縮空気の品質要求を明確にする

最初の設備管理基準は、製造工程ごとに必要な圧縮空気の品質を明確にすることです。

圧縮空気の品質は、単に「きれいな空気」「乾燥した空気」という表現だけでは判断できません。どの種類の汚染物を、どの程度まで管理する必要があるのかを整理することが重要です。

圧縮空気の品質を評価する代表的な要素には、固形粒子、水分、油分があります。さらに、製造する製品や使用工程によっては、微生物などの管理も必要になる場合があります。

固形粒子は、空気中に含まれる粉じん、配管内の錆、摩耗粉などです。精密部品の組立や洗浄後の乾燥では、微細な異物でも製品不良につながる可能性があるため、粒子の大きさや個数、必要に応じて質量濃度などの管理方法を検討します。

水分については、圧縮空気に含まれる水蒸気と、配管内で発生する液体の水を区別する必要があります。目視で水滴が確認できない場合でも、水蒸気が多く含まれていれば、温度変化によって凝縮水が発生する可能性があります。

このため、乾燥状態の管理には圧力露点という指標が使われます。圧力露点は、対象となる圧力条件で水蒸気が凝縮し始める温度を表します。配管や使用点の最低想定温度を考慮し、運転条件に対して十分な余裕を持つ管理値を設定することが重要です。

油分についても、圧縮機の潤滑油に由来する油だけを考えればよいわけではありません。吸気に含まれる油分や、配管・周辺機器から混入する汚染物も考慮する必要があります。また、油分には液滴、エアロゾル、蒸気など異なる状態があり、それぞれ適した除去方法や測定方法が異なります。

例えば、金属部品の粗い切粉を除去するためのエアブローと、塗装直前の表面清掃に使用するエアブローでは、同じ圧縮空気でも求められる品質が異なる可能性があります。前者では切粉除去能力や水分管理が中心であっても、後者では微量の油分が塗装欠陥につながるため、より厳しい管理が必要になる場合があります。

製造委託先を比較する際は、ISO 8573-1で規定される圧縮空気の粒子、水分、油分の清浄度区分などを参考に、それぞれの要求を個別に定義すると管理しやすくなります。ただし、清浄度の等級だけを指定しても、それがどの使用点に適用されるのか不明確では十分ではありません。規格の版、対象となる汚染物、測定条件、適用場所を合わせて確認することが重要です。

また、すべての設備に一律で最も厳しい品質を要求することが、必ずしも合理的とは限りません。製品に直接接触する空気と、空気圧シリンダーを駆動するための空気では、製品品質への影響の仕方が異なります。工程の用途に応じて管理区分を分けることで、重要な使用点に必要な対策を集中できます。

委託先へ要求事項を伝える際は、製品名や工程名だけではなく、空気が何に接触するのか、どのような不良を防ぎたいのか、異常発生時にどの範囲の製品が影響を受けるのかまで共有することが望ましいです。

特に、従来の委託先で使用していた圧縮空気の品質条件が文書化されていない場合は注意が必要です。過去の不良が少なかったという実績だけでは、新しい委託先に要求する空気品質を十分に説明できません。

このような場合には、既存工場の使用点で空気品質を測定し、実績値と製品品質の関係を調べる方法が考えられます。ただし、過去の測定値がそのまま必要十分な管理基準になるわけではありません。製品仕様、工程の感度、季節変動なども考慮し、妥当性を確認したうえで基準値を決めることが重要です。

最初に品質要求を明確にしておけば、委託先ごとの設備能力を同じ条件で比較でき、設備仕様だけに依存しない客観的な評価につながります。

基準2:圧縮機・乾燥機・フィルターの設備能力を確認する

2つ目の設備管理基準は、圧縮空気を生成する設備と、空気中の汚染物を除去する設備が、必要な品質を安定して維持できる構成になっているかを確認することです。

製造委託先の監査では、圧縮機の台数や吐出能力だけに注目しがちですが、圧縮空気の品質を決めるのは圧縮機単体ではありません。吸気環境、冷却設備、水分分離設備、乾燥機、フィルター、貯気設備などが組み合わさって、実際の供給品質が決まります。

まず確認したいのは、圧縮機がどのような場所の空気を取り込んでいるかです。吸気口が粉じんの多い場所や排気ガスの影響を受ける位置にある場合、空気に含まれる汚染物が増える可能性があります。圧縮機内部で油を使用しない構造であっても、吸気由来の汚染物が完全になくなるわけではありません。

このため、圧縮機の形式だけで空気品質を判断するのではなく、吸気口の設置場所や周辺環境を確認する必要があります。

次に、圧縮後の冷却と水分分離の仕組みを確認します。

空気を圧縮すると温度が上昇するため、一般的な圧縮空気設備では、圧縮後の空気を冷却する工程が設けられています。冷却に伴って水分が凝縮した場合には、気液分離設備やドレン排出設備によって取り除く必要があります。

この段階で十分に水分を排出できないと、下流側の乾燥機やフィルターに過大な負荷がかかり、最終的な空気品質が不安定になる可能性があります。

乾燥機については、採用されている方式と、必要な圧力露点を達成できる運転条件を確認します。圧縮空気の乾燥には複数の方式があり、それぞれ到達可能な乾燥状態や適用条件が異なります。

ここで重要なのは、乾燥機の仕様書に記載された能力だけを確認して終わらないことです。実際の入口空気温度、周囲温度、供給圧力、処理流量によって、乾燥機の運転状態は変化します。

例えば、設備の仕様上は十分な乾燥能力があっても、生産設備を増設した結果、空気使用量が大きく増えていれば、運転条件が設計時の想定を超えている可能性があります。また、高温多湿の時期と乾燥した時期では、設備にかかる水分負荷が異なる場合があります。

そのため、委託先の設備評価では、通常運転時だけでなく、生産負荷が大きい時間帯の処理能力も確認することが重要です。

フィルターについては、対象となる汚染物と除去性能の関係を確認します。

固形粒子を捕集するフィルター、微細な油滴などを分離するフィルター、特定の油蒸気成分を低減する吸着設備では、役割が異なります。すべての汚染物を一種類のフィルターで十分に除去できるとは限りません。

また、フィルターは設置すれば恒久的に性能を維持できる設備ではありません。使用によって差圧が増加したり、内部の汚染物が蓄積したりするため、運転条件や製造元の推奨に応じた点検と交換が必要です。

フィルターの管理状況を確認する際には、交換周期だけでなく、交換実績、差圧の記録、異常発生時の対応履歴を確認すると、日常管理の実態を把握しやすくなります。

さらに重要なのが、設備系統の構成です。

圧縮機から乾燥機、フィルター、貯気設備、製造設備までの接続関係を示す系統図が整備されているかを確認します。複数の設備が共通配管を利用する工場では、どの設備で処理された空気が、どの製造工程へ供給されるのかを明確にする必要があります。

特に注意したいのは、乾燥機やフィルターを通らずに空気を供給できるバイパス配管です。

設備保全のためにバイパスが設けられている場合、運転切替によって未処理または処理不足の圧縮空気が製造工程へ流れる可能性があります。重要工程では、バイパス使用中に製造を継続できるか、どのような条件で停止するかを決めておく必要があります。

また、設備故障時に予備機へ切り替える仕組みがあっても、予備系統の空気品質が主系統と同等であるとは限りません。予備機の稼働確認とともに、切替後の空気品質も評価する必要があります。

委託先の設備能力を確認する際は、圧縮機の定格能力、通常時と最大時の使用流量、乾燥機の処理能力、フィルターの仕様、系統図、点検記録を組み合わせて評価します。

設備の種類が豊富であることよりも、要求された品質を実際の使用条件で安定して維持できることが重要です。

基準3:配管・ドレン・使用点の汚染防止を徹底する

3つ目の設備管理基準は、圧縮空気を使用点まで運ぶ配管と、末端側の設備を適切に管理することです。

圧縮機や乾燥機の出口で良好な空気品質が確保されていても、その状態が製造工程まで維持されるとは限りません。配管内部の腐食、凝縮水の滞留、ホースからの異物混入、潤滑装置の影響などによって、下流側で空気品質が悪化する場合があります。

特に古い工場では、圧縮空気配管の内部状態を長期間確認していないケースも考えられます。外観上は問題がなくても、配管内面に錆や汚れが蓄積している可能性があります。

製造委託先の見直しでは、設備の設置年数だけでなく、配管材質、使用環境、過去の修繕履歴、ドレン発生状況を確認することが重要です。

水分管理で注意すべきなのは、配管内での再凝縮です。

圧縮空気に残った水蒸気は、配管や周囲温度が低下することで水滴になることがあります。例えば、建屋内の温かい場所から気温の低い場所へ配管が延びている場合には、温度条件に応じて凝縮が発生する可能性があります。

そのため、乾燥機の出口での圧力露点だけでなく、下流配管の温度条件を考慮する必要があります。屋外に露出した配管や、冷却設備の近くを通る配管などは、特に運転環境を確認したい場所です。

配管内に凝縮水が発生する可能性がある場合は、ドレンを適切に回収・排出できる構造かどうかを確認します。

配管の低い位置に水がたまりやすい構造や、ドレン排出が困難な場所があると、液体の水が長期間滞留する可能性があります。滞留水は配管の腐食や汚染物の移動につながるため、ドレン排出位置と点検方法を明確にする必要があります。

自動ドレン排出装置を使用している場合でも、正常に作動しているかの確認は欠かせません。排出口の詰まりや装置の故障によって、見かけ上は正常運転していても内部に水が残る場合があります。

ドレン排出の点検では、排出の有無だけでなく、排出量の急増や油分の混入など、通常と異なる状態がないかを確認することも有効です。必要に応じて、排出液の処理方法が適切に管理されているかも確認します。

また、配管の分岐部や使用頻度の低い系統では、空気が滞留しやすい場合があります。

長期間使用されていない配管や末端設備を再使用する際には、内部に蓄積した水分や異物が流出する可能性があります。設備の増設や配置変更が多い工場では、使われなくなった分岐配管が残っていないか確認することが重要です。

製品に直接圧縮空気を吹き付ける工程では、末端のホースやノズルも品質管理の対象になります。

例えば、圧縮空気の清浄度が十分であっても、古いホースの内面から微細な破片が発生したり、ノズルの汚れが製品へ付着したりすれば、不良につながる可能性があります。

特に、精密部品の清掃に使用するホースと、一般的な設備保全作業に使用するホースを共用している場合は注意が必要です。作業環境によって付着した油や粉じんが、後の清掃工程へ持ち込まれることが考えられます。

製品品質への影響が大きい使用点では、専用のホースやノズルを設定し、保管方法、交換時期、清掃方法を標準化することが望ましいです。

さらに、一般的な空気圧機器で使用する潤滑装置が、製品に直接接触する空気の供給系統に影響していないかを確認します。

空気圧機器の潤滑を目的として油を供給する系統と、油分の少ない空気を必要とする清浄工程は、用途に応じた系統分離が必要になる場合があります。配管図と実際の接続状態を照合し、意図しない混入経路がないことを確認します。

新しい配管を設置した場合や、配管工事を実施した場合にも注意が必要です。施工時の切粉、シール材の破片、粉じんなどが内部に残っていると、運転開始後に下流へ移動する可能性があります。

このため、配管工事後には、工程の要求に適した方法で内部清掃、異物除去、確認試験を実施します。清浄度要求の高い工程では、清掃したという作業記録だけでなく、使用点で要求品質を満たしていることを確認する必要があります。

製造委託先を評価する際には、中央設備の状態だけでなく、実際に製品と接触するノズルまでの汚染経路を確認することが重要です。

基準4:圧縮空気の測定・検査・監視方法を標準化する

4つ目の設備管理基準は、圧縮空気の品質を測定し、継続的に監視できる仕組みを確立することです。

圧縮空気の品質は外観だけでは判断できません。水滴や油の付着が見えるほど状態が悪化していれば異常に気づきやすいものの、微細な粒子や少量の油分は、目視で確認できないことがあります。

そのため、製造委託先の設備管理では、測定対象、測定場所、測定頻度、判定基準、記録方法を明確にする必要があります。

最初に決めたいのは、測定を行う場所です。

圧縮機の出口、乾燥機の出口、工場内の主要配管、製品に直接空気が接触する使用点では、空気品質が異なる場合があります。

例えば、中央設備の出口で測定した結果が良好であっても、末端配管から錆が発生していれば、製造工程では固形異物が混入する可能性があります。

このため、製品品質に影響する重要工程では、実際の使用点で測定することを基本にします。必要に応じて中央設備側でも測定し、上流側と下流側の差を比較すると、汚染が発生している区間を絞り込みやすくなります。

次に、測定する汚染物の種類を決めます。

固形粒子については、要求される粒径範囲や濃度の管理方法に対応した測定手段を選択します。測定機器の検出範囲が対象粒子に適していない場合、測定結果だけでは必要な清浄度を判断できません。

水分については、圧力露点の測定が有効です。ただし、測定時の圧力条件を確認する必要があります。圧縮空気を減圧して測定する場合には、使用点の運転圧力における圧力露点と単純に比較できない場合があります。

測定器の表示値が何を表しているかを理解し、測定圧力、温度、流量、測定位置を記録することが重要です。

油分については、油滴やエアロゾル、油蒸気など、対象とする成分に応じた測定方法を選びます。例えば、液滴やエアロゾルを対象とした方法だけでは、油蒸気まで含めた総合的な油分評価として不十分な場合があります。

また、採取に使用する配管やホースが汚れていると、測定対象ではない汚染物が試料に混入する可能性があります。測定器の性能だけでなく、採取系統の清浄度や試料採取条件も管理する必要があります。

測定頻度については、設備の重要度と不良発生時の影響を基準に決めます。

重要工程の圧力露点は連続監視が適する場合がありますが、すべての汚染物を常時測定できるとは限りません。設備の特性とリスクに応じて、連続監視、定期測定、設備変更後の測定などを組み合わせます。

例えば、乾燥機の性能低下によって水分混入が起きやすい工程では、圧力露点の変化を継続的に確認する方法が有効です。一方、固形粒子や油分については、工程要求と測定手段に応じて定期的な採取検査を設定する方法が考えられます。

測定結果の判定では、合否だけでなく、数値の推移を確認することも重要です。

圧力露点が管理限界を超えていなくても、長期間にわたり徐々に上昇している場合は、乾燥機の性能低下や運転条件の変化が疑われます。フィルターの差圧が継続的に増加している場合も、交換時期や上流側の汚染状況を確認する手がかりになります。

管理基準には、製品への使用を許可する判定限界と、設備状態を早期確認するための警戒値を分けて設定する考え方があります。

警戒値は、品質不良が発生する前に設備点検を行うための目安です。一方、判定限界を逸脱した場合は、対象工程の使用停止や製品の隔離など、あらかじめ定めた措置を実施する必要があります。

ただし、どの測定値を警戒値とし、どの値を使用停止条件にするかは、製品への影響と設備特性に基づいて決める必要があります。設備の仕様値だけを根拠に一律の数値を設定することは避けます。

測定器の校正や点検も重要です。

測定器が正しい状態で使用されていなければ、空気品質の変化を正確に判断できません。測定器の識別番号、校正履歴、点検状況、使用条件を記録し、結果の信頼性を確保します。

製造委託先の工場監査では、測定設備を保有しているかどうかに加え、過去の測定結果を提示できるか、異常値が発生した際にどのような対応を行ったかを確認するとよいでしょう。

特定の日の測定結果だけで安定性を判断せず、可能な範囲で季節や生産負荷の異なる時期の記録を確認することが、委託先選定の精度向上につながります。

基準5:設備保全・変更管理・異常時対応の記録を確認する

5つ目の設備管理基準は、圧縮空気設備の品質を長期間維持するための保全体制と、異常発生時の対応手順を確認することです。

製造委託先の評価では、設備が新しいかどうかや、測定結果が基準を満たしているかに注目しがちです。しかし、委託開始時に良好な状態であっても、保全管理が不十分であれば、時間の経過とともに空気品質が悪化する可能性があります。

圧縮空気設備は、運転時間、使用流量、周囲環境、吸気条件などの影響を受けます。特に乾燥機やフィルター、ドレン排出装置は、設備の状態変化が空気品質に直結するため、適切な保全管理が重要です。

まず確認したいのは、設備ごとの点検基準が文書化されているかという点です。

圧縮機本体の点検だけでなく、乾燥機の運転状態、フィルターの差圧、ドレン排出装置の作動状態、配管の漏れ、測定器の校正状況などが保全計画に含まれている必要があります。

点検項目が設定されていても、実際に点検が行われていなければ意味がありません。そのため、委託先の監査では、保全計画と実施記録を照合することが重要です。

例えば、フィルターの交換周期が定められている場合には、交換予定日だけでなく、実際の交換日、交換対象、作業者、交換後の確認結果が記録されているかを確認します。

定期交換を実施している場合でも、運転条件が変化すれば予定より早く性能が低下する可能性があります。そのため、時間基準の保全だけでなく、差圧や測定値など設備状態に応じた点検を組み合わせることが望ましいです。

乾燥機についても、定期的な保全が必要です。

乾燥機の方式によって点検対象は異なりますが、温度や圧力の異常、処理能力の低下、内部機器の劣化などが空気品質に影響する場合があります。吸着材を利用する方式では、吸着材の状態や再生動作なども重要な管理対象です。

設備保全の記録では、正常時の数値だけでなく、異常が発生した際の対応内容を確認することが重要です。

例えば、圧力露点の上昇が発生した場合、担当者が原因を調査した記録は残っているでしょうか。乾燥機を点検した後、空気品質が回復したことを測定で確認しているでしょうか。

単に設備を修理したという記録だけでは、製造工程へ供給される圧縮空気の品質が回復したことを十分に説明できない場合があります。

さらに、圧縮空気設備では変更管理も重要です。

製造委託先では、生産設備の増設、工場レイアウトの変更、圧縮機の更新、配管の延長などが行われることがあります。こうした変更は、空気使用量や供給圧力、乾燥機の負荷、配管内の流れ方に影響する可能性があります。

例えば、新しい生産設備を導入した結果、圧縮空気の使用量が増えた場合には、既存の乾燥機やフィルターが必要な能力を維持できるか確認する必要があります。

また、配管を延長する際に、清浄度要求の異なる工程を同じ系統へ接続すると、従来は発生していなかった汚染が生じる可能性があります。

このため、圧縮空気に関係する設備変更については、変更前に品質への影響を評価し、必要に応じて使用点で再測定する仕組みが望まれます。

異常時対応では、設備の復旧だけでなく、製品への影響評価を行う必要があります。

例えば、圧縮空気の油分が管理基準を超えた場合、どの製造工程でその空気を使用していたのか、いつから異常が発生していた可能性があるのか、その期間に製造した製品はどれかを確認する必要があります。

設備の測定記録と製造履歴が関連付けられていれば、影響する製品の範囲を絞り込みやすくなります。

反対に、設備異常の時刻や対象系統が記録されていない場合、どの製品まで影響が及んだのか判断することが難しくなります。

製造委託先の見直しでは、圧縮空気設備の点検記録だけでなく、設備異常が製品品質へ波及した場合の管理方法まで確認することが重要です。

設備の管理責任者、製造部門への連絡方法、製造停止の判断権限、製品隔離の手順、復旧後の使用再開条件が明確になっている委託先は、品質リスクを管理する仕組みを評価しやすいといえます。

製造委託先を比較するための工場監査と評価方法

製造委託先の見直しで重要なのは、候補となる工場を同じ基準で比較することです。

圧縮空気設備は工場ごとに構成が異なるため、圧縮機の形式や設備の新しさだけを比較しても、製品品質への影響を判断することは困難です。

そのため、工場監査では、最初に自社製品の製造工程に必要な圧縮空気の品質要求を整理し、その要求を満たす証拠を委託先から確認する方法が有効です。

監査で最初に確認したいのは、圧縮空気設備の系統図と使用点の関係です。

圧縮機から製造設備までの系統が明確になっていれば、どの乾燥機やフィルターを通過した空気が供給されているかを把握できます。図面だけで判断せず、現場で配管や機器の識別表示を確認することも重要です。

例えば、図面では清浄な空気を供給する専用系統になっていても、現場では一般設備と共用されている可能性があります。設備変更後に図面が更新されていなければ、管理対象の把握が難しくなります。

次に、空気品質の測定記録を確認します。

ここでは、良好な測定結果があることだけでなく、要求する使用点で測定されているかを重視します。

圧縮機の出口で測定した記録しかない場合には、製品に直接接触する工程の空気品質を十分に確認できない可能性があります。そのため、必要に応じて末端での追加測定を依頼することが考えられます。

保全記録では、点検や交換作業が計画どおりに実施されているかを確認します。

設備故障の履歴が少ないことは参考になりますが、故障が少ないという情報だけでは品質管理の十分性を判断できません。異常を検知する仕組みがあるか、異常値が記録されているか、発生した不具合に対して再発防止策が実施されているかを確認することが重要です。

さらに、製造工程の担当者に、日常的な空気品質の管理方法を確認します。

例えば、エアブローに使うノズルが汚れた場合の対応、ドレン異常を発見した際の連絡方法、フィルター交換後の確認方法などです。

管理文書が整備されていても、現場担当者が内容を理解していなければ、運用上のリスクが残ります。

委託先を評価する際は、設備能力、品質測定、保全体制、異常時対応を個別に確認し、製品品質への影響が大きい項目を優先して判断します。

例えば、圧縮空気が製品表面に直接触れる工程では、空気品質の測定実績と末端の汚染防止管理を重要項目として扱います。一方、圧縮空気を主に設備駆動に使用する工程では、供給安定性や機器故障防止の管理も重視されます。

候補工場を比較する際には、すべての管理項目を単純に合計して評価するのではなく、製品品質に直接影響する必須条件を明確にすることが重要です。

必須条件を満たしていない場合には、改善後の再評価や追加試験を実施し、必要な品質が確保されることを確認してから委託可否を判断します。

委託先切替時に圧縮空気の品質を検証する手順

製造委託先を変更する際には、候補工場の設備監査だけでなく、実際の製造条件に近い状態で圧縮空気の品質を検証することが重要です。

設備の仕様書や定期点検記録が整備されていても、対象となる製品の製造工程で問題が発生しないことまで保証するものではありません。

そのため、委託先切替時には、設備評価と製品評価を組み合わせて進める必要があります。

最初に実施したいのは、現行委託先の圧縮空気に関する情報整理です。

現在の製造工程で圧縮空気を使用している場所を確認し、製品への接触有無、要求品質、設備仕様、過去の不良履歴をまとめます。

特に、エアブローや乾燥工程では、作業者が経験に基づいて空気の使い方を調整している場合があります。吹付時間、吹付距離、供給圧力、ノズルの形状などが製品品質に影響する可能性があるため、作業条件を明確にすることが重要です。

次に、新しい委託先で、同じ工程を実施するための設備条件を確認します。

この段階では、圧縮空気の清浄度だけでなく、供給圧力や流量の安定性も評価します。

例えば、空気品質が要求を満たしていても、使用点の圧力が大きく変動する場合には、切粉除去能力や乾燥時間が変化する可能性があります。反対に、必要以上に強いエアブローによって、部品の変形や異物の再付着が発生する可能性もあります。

そのため、空気品質と作業条件を切り離さずに確認することが重要です。

続いて、試作または試験生産を実施し、製品品質への影響を評価します。

このとき、圧縮空気の測定結果と製品検査結果を同じ期間の記録として残すと、後から条件を比較しやすくなります。

例えば、塗装前のエアブロー工程を含む製品であれば、圧縮空気の油分管理状況に加え、塗装後の外観や密着性など、製品仕様に応じた品質項目を確認します。

精密部品の組立工程であれば、異物付着や組立後の動作状態などを確認する方法が考えられます。

ただし、試験生産で不良が発生しなかったことだけを根拠に、すべての運転条件で空気品質が保証されると判断することは避ける必要があります。

生産負荷が高い時間帯や、設備起動直後、長時間運転後など、空気品質が変動する可能性のある条件も評価対象として検討します。

また、圧縮空気設備は周囲温度や湿度の影響を受けるため、短期間の試験では季節変動を十分に確認できない場合があります。

そのような場合には、設備能力の確認と定期監視を組み合わせ、委託開始後も継続して品質を確認する管理計画を設定します。

切替判定では、要求する空気品質が確認できていること、設備異常時の対応方法が決まっていること、必要な記録が取得できることを確認します。

さらに、委託開始後の初期流動管理として、一定期間は通常より重点的に設備状態と製品品質を確認する方法も有効です。

ここで重要なのは、初期流動管理の終了条件をあらかじめ決めておくことです。単に一定期間が経過しただけで終了するのではなく、空気品質の安定性、製品検査結果、設備異常の有無などを確認して判断します。

こうした手順を採用することで、設備仕様だけでは把握できない委託先変更のリスクを、実際の製造条件に基づいて評価しやすくなります。

圧縮空気が原因と疑われる品質不良の切り分け方

製造委託先を変更した後に品質不良が増加した場合、圧縮空気が原因である可能性を検討することがあります。

ただし、製品に油分や水分、異物が付着していたからといって、直ちに圧縮空気が原因であると断定することはできません。材料、加工液、洗浄工程、作業環境、保管状態など、ほかにも汚染の発生源が存在するためです。

原因調査では、まず不良が発生した製品と工程の共通点を確認します。

特定の設備で加工した製品だけに不良が集中している場合には、その設備で使用する圧縮空気の供給系統を調査する方法が考えられます。

一方、複数の製造工程で同時期に似た不良が発生している場合には、共通の圧縮空気供給設備や、工場全体の環境変化が関係している可能性があります。

水分が原因として疑われる場合は、圧力露点の履歴、ドレン排出状況、乾燥機の運転状態、配管温度を確認します。

特定の時期や時間帯に水分混入が増える場合には、周囲環境や設備負荷の変化も調査対象になります。

例えば、生産設備が一斉に稼働する時間帯だけ異常が発生している場合、使用流量の増加によって乾燥機の処理条件が変化している可能性があります。

油分が疑われる場合には、汚染が発生した場所を確認します。

共通系統の複数の使用点で油分が検出される場合には、上流側の圧縮機、吸気環境、油分除去設備などを調査します。

一方、特定の使用点だけで油分が検出される場合には、末端のホースやノズル、潤滑装置などの影響を確認します。

固形異物が疑われる場合には、異物の性状を確認することが有効です。

例えば、金属系の粒子が検出された場合には、配管の腐食や工事時の残留異物を調査対象として検討します。ただし、異物の外観だけで発生源を確定することはできないため、必要に応じて成分分析や発生箇所の比較を実施します。

設備を修理した後も、原因が解消されたことを確認する必要があります。

例えば、フィルターを交換しただけで調査を終了すると、上流側から異物が継続して流入している場合には、同じ問題が再発する可能性があります。

原因調査では、不良発生時の測定結果、設備状態、作業条件、製造履歴を関連付け、仮説を立てて確認することが重要です。

また、異常が確認された期間に製造された製品については、影響範囲を評価し、必要に応じて隔離や追加検査を行います。

再発防止策を設定する際には、設備の交換や清掃だけでなく、異常を早期に発見できる管理方法の改善も検討します。

例えば、圧力露点の上昇を見逃したことが問題であれば、測定頻度の見直しや警戒値の設定が再発防止につながる場合があります。

設備故障を防ぐ対策と、故障が発生したときに製品への影響を最小限に抑える対策を組み合わせることで、品質管理の実効性を高められます。

まとめ:圧縮空気の設備管理基準を委託先選定に組み込む

製造委託先の見直しでは、加工能力や検査設備だけでなく、製造工程に供給される圧縮空気の品質にも注目することが重要です。

圧縮空気は多くの製造工程で使用されており、水分、油分、固形異物の混入が製品不良につながる可能性があります。特に、製品に直接接触する清掃、乾燥、塗装前処理などの工程では、空気品質を製造条件の一部として管理する必要があります。

今回紹介した5つの設備管理基準は、使用用途に応じた品質要求の明確化、圧縮機や乾燥機などの設備能力の確認、配管や使用点での汚染防止、測定と監視の標準化、保全と変更管理の記録確認です。

これらを組み合わせることで、圧縮空気設備の保有状況だけでなく、実際に必要な品質を維持できる管理体制があるかを評価しやすくなります。

また、委託先切替時には、従来工場の設備条件と新しい工場の条件を比較し、必要に応じて使用点での空気品質測定や試験生産を実施することが重要です。

品質管理で特に意識したいのは、設備の仕様を確認することと、実際の製造品質を確認することを区別する点です。設備の仕様が要求を満たしていても、配管の汚染や保全不良によって使用点の品質が悪化する可能性があります。

さらに、設備更新や配管工事が行われた際には、変更内容と品質確認結果を記録し、後から製造条件を追跡できるようにしておくことも重要です。

こうした設備管理では、現場写真や設備位置、施工記録を整理して共有できる仕組みが役立ちます。

例えば、工場構内の屋外圧縮空気設備や配管の更新工事では、施工前後の状態を写真で残し、設備の位置情報や作業記録と関連付けておくことで、設備変更の経緯を確認しやすくなります。

現場写真・位置情報・施工記録の管理に活用できるLRTK Phoneは、こうした屋外設備の施工状況や現場情報の記録・共有を効率化するための選択肢です。衛星測位を利用するため、建屋内や衛星信号が届きにくい場所では測位条件への配慮が必要ですが、測位可能な屋外設備の位置確認や施工記録の整理に活用できます。

圧縮空気そのものの品質測定は専用の測定器と管理手順で実施しながら、設備の位置情報や施工履歴の記録にはLRTK Phoneを活用することで、設備管理に必要な情報を整理しやすくなります。

製造委託先の見直しを成功させるには、完成品の検査結果だけではなく、製品品質を支える設備条件と管理体制まで確認することが欠かせません。圧縮空気の品質を委託先選定の評価項目に組み込み、設備監査、試験生産、継続的な保全管理を通じて、品質不良のリスクを低減する仕組みを整えていきましょう。

ものづくりの次の一歩を、
相談から始めてみませんか。

加工・製造の外注先や共同開発のパートナー探しに。大田区産業振興協会の受・発注あっせん相談サービスをご利用いただけます。

ものづくり 外注先を探す。公益財団法人大田区産業振興協会の受・発注あっせん相談。無料でプロに相談!公的機関だから安心!
ものづくりの協力先探し大田区産業振興協会無料相談