LRTKレフィクシア株式会社

製造委託の相談で量産立ち上げ時の歩留まりを改善する6つの方法

量産立ち上げで歩留まりが低下する理由と製造委託相談の重要性

製造委託先に試作品の製作を依頼し、外観や寸法、機能に問題がないことを確認できても、そのまま量産が安定するとは限りません。試作では熟練した担当者が個別に調整したり、時間をかけて一つずつ検査したりできる一方、量産では材料の入荷ロット、設備の稼働時間、作業者の交代、段取り替えなど、さまざまな条件が変動するためです。立ち上げ直後に不良品が続くと、再加工や選別の負担が増えるだけでなく、必要数量の確保や納期にも影響する可能性があります。

こうした問題を抑えるうえで重要なのが、量産開始前から歩留まりを共通の管理指標として扱うことです。歩留まりとは、投入した材料や製品の数量に対して、所定の条件を満たす良品をどれだけ得られたかを示す割合です。ただし、どの工程を対象にするか、手直し後の合格品を含めるか、仕掛品をどう扱うかによって数値の意味は変わります。最終検査の合格率が高くても、途中工程で大量の再加工が発生していれば、生産性が十分とはいえません。

製造委託の相談では、単に「不良を減らしたい」と伝えるだけでは、委託先が改善対象を絞り込むことは困難です。どの製品で、どの不良が、どの工程や条件で発生しているのかを整理し、発注側と製造側が同じ基準で確認できる状態を作る必要があります。設計上の問題と製造条件の問題を区別しないまま対策を進めると、現場で調整を重ねても根本原因が残るおそれがあります。

量産立ち上げの歩留まり改善には、品質だけでなく、生産数量、製造時間、検査負荷、工程の再現性を一体として見る視点が欠かせません。ここでは、製造委託を検討している実務担当者が、委託先との初回相談から初期流動管理、安定生産への移行まで活用できる六つの方法を解説します。

方法1:良品判定基準と歩留まりの計算方法を統一する

最初に確認したいのは、何を良品と判断するのかという基準です。図面に寸法公差が記載されていても、外観上の傷、変色、バリ、表面のむら、組立時の抵抗感などは、図面だけで合否を判断しにくい場合があります。発注側では不良と認識する状態を委託先では許容範囲と捉えていると、納品時の選別や手直しが増え、歩留まりの数字も一致しません。製造委託の相談段階で、機能上の重要項目と外観上の要求項目を分け、判断方法を具体化することが出発点になります。

寸法については、測定する箇所、基準面、測定器具、測定時の保持方法、温度などを確認します。外観については、対象面の範囲、観察する距離や照明条件、許容できる傷の程度を共有し、必要に応じて合否の境界を示す限度見本を用意します。限度見本は一度作れば十分というものではありません。材料や仕上げ方法を変更した際には、現在の製品仕様に適合しているかを見直す必要があります。検査担当者によって判断が変わりやすい項目では、複数人で同じサンプルを評価し、判定の一致状況を確認すると有効です。

歩留まりの集計方法もあらかじめ決めておきます。例えば、工程への投入数を分母とし、手直しなしでその工程の検査を通過した数量を分子にすれば、工程ごとの初回合格率を把握できます。一方、手直し後に合格した数量を含む最終的な良品率は、回復できた製品も評価に反映します。どちらも意味のある数値ですが、混同すると現場の負担が見えなくなります。工程内不良、再加工、廃棄、検査待ち、仕掛品の扱いを統一し、同じ期間と対象ロットで比較することが大切です。

また、不良の件数だけでなく、種類と発生位置を記録します。一つの製品に複数の不具合がある場合、製品単位の不良率と不具合件数を区別しなければ集計がずれます。外観不良が多いのか、寸法不良が多いのか、組立後の機能不良が多いのかによって、優先する改善活動は異なります。重大な安全・機能不良は件数が少なくても優先して対応し、頻発する軽微な不良とは別の観点で管理することが必要です。

このように判定条件と計算方法をそろえると、発注側と委託先の間で「歩留まりが改善した」という言葉の意味が一致します。目標値を設定するときも、試作結果だけで判断せず、立ち上げ初期の実績、必要な生産数量、検査方法の信頼性を踏まえて、段階的に管理することが現実的です。

方法2:量産工程を前提に設計・図面・試作条件を見直す

量産立ち上げで発生する不良の中には、設備調整だけでは解決しにくいものがあります。部品形状が加工しにくい、寸法公差が必要以上に厳しい、組立時に部品の向きを間違えやすいといった設計上の要因です。試作では一品ずつ加工順序を工夫できても、一定の生産速度で繰り返す量産では、同じやり方を続けられないことがあります。委託先へ製造方法を相談するときは、完成形状だけでなく、その形状を安定して作れるかという視点を共有する必要があります。

まず、製品の機能を満たすために本当に必要な要求と、変更を検討できる要求を分けます。相手部品とのはめ合いに関係する寸法や、安全性に影響する強度条件は慎重に扱うべきですが、機能に直接関係しない部分の過度な仕上げ要求は、工程の難易度を上げている可能性があります。ただし、公差や仕上げを緩和する場合も、設計責任者が機能への影響を評価し、必要な承認を行うことが前提です。加工しやすいという理由だけで、製造現場が独自に仕様を変更してはいけません。

工程ごとの特徴を考慮することも重要です。切削加工では工具の届きやすさや保持方法、薄肉部の変形を確認します。成形加工では肉厚差、離型性、収縮のばらつきなどを検討します。板材の加工では曲げ位置と穴位置の関係や、加工順序による寸法変化が問題になる場合があります。表面処理を伴う部品では、処理前後の寸法変化、膜厚の分布、治具で保持した部分の状態も確認対象です。これらはすべての製品に同じように当てはまるわけではないため、対象材料と設備に即して委託先の知見を取り入れます。

試作品の評価結果を量産の保証とみなさないことも大切です。試作用の設備と量産用設備が違う場合や、試作では少量の材料を使用した場合には、量産条件で再現できるかを別途検証する必要があります。特に複数部品を組み合わせる製品では、単品寸法がそれぞれ規格内でも、公差の積み重なりによって組立不良が起こることがあります。組立状態での隙間、位置ずれ、締結状態、動作の安定性まで評価すると、量産後に発見される問題を減らしやすくなります。

設計変更が発生した際には、図面や仕様書の改訂番号、適用する製造ロット、旧部品の扱いを明確にします。口頭の依頼だけで変更を進めると、旧仕様と新仕様が混在し、改善前後の歩留まりを正しく比較できなくなることがあります。試作、試験生産、量産の各段階で何を検証したかを記録し、条件が変わった箇所を引き継ぐことで、設計と現場の認識差を小さくできます。

方法3:重要工程の製造条件と管理範囲を明確にする

設計や図面が適切でも、製造条件の変動が大きいと歩留まりは安定しません。そこで、原材料の受け入れから加工、洗浄、表面処理、組立、最終検査までの工程を整理し、どの段階で品質特性が作り込まれるのかを特定します。最終検査で不良が見つかった工程と、不良を発生させた工程が同じとは限りません。例えば、組立工程で部品が入らない問題が発覚しても、原因は前工程の穴径の変動や表面処理後の寸法変化にある場合があります。

工程を整理したら、製品の機能や安全性に関わる重要特性と、その特性に影響する管理項目を結び付けます。加工設備の設定値、工具の摩耗、治具の固定状態、材料の温度、処理時間、作業の順序など、対象製品に応じて候補を挙げます。ただし、すべての項目を同じ頻度で記録すると管理負荷が膨らむため、不良への影響度や発生可能性を踏まえて優先順位を付けます。過去の不良履歴が少ない場合は、委託先の経験に加えて試験生産での観察を活用し、仮説を検証します。

管理範囲を決める際は、設備の設定可能範囲をそのまま品質保証の範囲とみなさないことが重要です。設定値を変えたときの寸法や外観、強度、処理状態などを確認し、求める品質を再現できる条件を探ります。そのうえで、標準条件、許容する変動範囲、確認頻度、範囲外となった場合の停止・連絡・再開手順を定めます。工程変更が発生した際に再評価が必要となる条件も、事前に合意しておくと混乱を抑えられます。

生産開始時だけ良好でも、連続運転の途中で条件が変わる可能性があります。設備が温まった後の寸法変化、工具の摩耗による加工面の変化、治具への切りくずの付着などは、時間の経過とともに現れることがあります。初品、中間、終品などの確認位置を工程の特性に応じて設定し、単一の良品サンプルだけで判断しないことが必要です。段取り替え後の再確認や、作業を中断した後の再開確認も管理対象に含めます。

工程能力を数値で評価する場合は、測定方法が信頼でき、工程が統計的に安定しているかを先に確かめます。短期間の試験結果だけで長期の工程能力を断定するのは適切ではありません。また、平均値が規格中央に近いだけでは、ばらつきが小さいとはいえません。推移とばらつきの両方を追い、異常の兆候を確認できる状態にすることで、完成品が不良になる前に対応できる可能性が高まります。

方法4:初期流動の検査体制と不良解析の仕組みを整える

量産開始直後は、作業手順や設備条件がまだ十分に安定していない場合があります。そのため、通常生産と同じ検査頻度へ最初から移行するのではなく、初期流動管理の期間を設ける方法が有効です。初期流動管理とは、立ち上げ時の品質と工程の安定性を重点的に確認し、問題が見つかれば早期に修正するための活動です。検査を増やすこと自体が目的ではなく、不良の発生傾向を把握して適切な工程対策につなげることが重要です。

検査計画では、受入検査、工程内検査、完成品検査の役割を分けます。材料の状態に起因する問題は受け入れ時点で把握できると後工程への影響を抑えられます。一方、加工条件が原因の問題は工程内で確認した方が、発生した時点や対象範囲を絞り込みやすくなります。最終検査だけに依存すると、問題が判明した頃には多数の製品を作り終えているおそれがあります。検査の頻度や抜き取り数は、製品の重要度、不良の発生状況、工程の安定性を考慮して設定し、必要に応じて見直します。

測定結果の信頼性も歩留まり管理の前提です。同じ製品を測っても担当者や測定器によって結果が大きく変わる場合、実際の製品ばらつきと測定上のばらつきを区別できません。測定器の校正状態、測定手順、繰り返し測定したときの差、担当者間の結果の一致などを確認します。測定誤差が無視できない場合には、合否の判断方法も含めて検討しなければなりません。特に規格限界付近の製品では、測定条件によって合格と不合格の判定が入れ替わる可能性があります。

不良が発生した際には、現物を分離保管し、発生時刻、製造ロット、設備、作業条件、検査結果などを残します。原因を推測だけで決めつけず、現象を再現できるか、特定の設備や材料ロットに偏っていないか、対策前後で変化が認められるかを検証します。不良品を再加工して合格にできた場合でも、発生原因の解消とは別に評価することが必要です。手直しで出荷数量を確保できても、原因が残れば次のロットでも同じ問題が起こり得ます。

検査で不適合を発見したときの処置も委託先と合意しておきます。出荷を一時停止する条件、対象ロットのさかのぼり範囲、再検査の方法、再加工の可否、発注側への連絡基準などが曖昧だと、判断に時間がかかります。良品を作る仕組みと、不良品を後工程へ流さない仕組みを組み合わせることで、初期流動を安全に管理しやすくなります。

方法5:材料・設備・作業者による品質のばらつきを抑える

同じ図面と加工条件を使っていても、材料、設備、作業者の状態が変われば品質が変動することがあります。量産立ち上げで一定の歩留まりが得られた後も、その結果を維持できるかを確認する必要があります。特に委託先が複数の設備を使用する場合や、交代勤務で生産する場合には、特定の担当者や設備に依存した条件になっていないかを見ることが重要です。試験生産のときだけ安定する工程では、必要数量を継続して確保することが難しくなります。

材料については、材質名や規格だけでなく、実際に品質へ影響する性質を確認します。板厚や硬さ、表面状態、含水状態、保管環境、入荷後の経過時間などが関係する製品もあります。材料ロットを変更した直後に不良が増えた場合、設備だけを調整しても解決しない可能性があります。委託先との相談では、入荷時の確認項目、保管方法、先入れ先出しの運用、材料を切り替えた際の評価手順を明確にしておくと、原因の切り分けに役立ちます。

設備や治具については、点検と交換の判断基準を整えます。工具や金型の摩耗、固定具の緩み、位置決め面の汚れ、センサーの状態などは、寸法不良や外観不良を引き起こす要因になります。故障してから対応するだけでなく、使用回数や経過時間、点検結果に応じて管理することで、状態変化を早期に把握しやすくなります。ただし、保全周期は一律に短くすればよいものではありません。実際の劣化傾向と品質への影響を見ながら、過不足のない管理方法を検討します。

作業手順の標準化も欠かせません。熟練者だけが知る調整のこつや、現場ごとに異なる合否判断が残っていると、担当者の交代時に歩留まりが変わる可能性があります。手順書には作業の順番だけでなく、注意すべき部位、確認する状態、異常時の連絡先、作業を止める基準を盛り込みます。教育を実施した事実だけでなく、実際に手順を再現できるかを確認することが大切です。作業しにくい手順がある場合は、作業者の注意力だけに依存せず、治具形状や部品配置を工夫して誤りが起こりにくい工程に改善します。

ばらつきの原因を管理するときは、一度に複数の条件を変更しすぎないことも重要です。材料、工具、設定値を同時に変えると、どの対策が有効だったのか判断しにくくなります。緊急対応が必要な場合を除き、変更内容と結果を記録し、再現性を確認しながら標準条件へ反映することで、歩留まり改善を一時的な成果で終わらせずに済みます。

方法6:委託先と改善情報を共有し対策の定着まで確認する

歩留まり改善を継続するためには、発注側と製造委託先の情報共有が不可欠です。品質に関する数値を委託先だけが把握していたり、発注側から不良の指摘だけが一方的に送られたりする状態では、改善の優先順位を合わせにくくなります。立ち上げ前に、どの指標を、誰が、どの頻度で集計し、どのような場合に協議するのかを決めておきます。単なる報告回数の多さよりも、問題の発見から判断までの流れが明確であることが重要です。

共有する情報には、初回合格率、最終良品率、不良内容、発生工程、再加工の数量、設備の停止状況、対策の進捗などが考えられます。ただし、詳細なデータを大量に集めても、分析や意思決定に使われなければ効果は限定的です。立ち上げ時は品質へ大きく影響する項目を優先して確認し、工程が安定したら監視頻度や報告方法を見直します。数値の変化だけでなく、どの製造条件が変わったのか、何を根拠に原因と判断したのかを共有できることが望まれます。

不具合の対策では、応急処置と恒久対策を区別します。不良が見つかった製品を選別して後工程への流出を止めることは重要ですが、それだけで再発防止が完了したわけではありません。現象を調査し、原因候補を検証したうえで、工程条件、治具、図面、検査方法など必要な箇所に対策を反映します。その後、複数の製造機会や条件の変化を通じて再発状況を確認し、効果が不十分なら見直します。効果確認に必要な数量や期間は、製品のリスクや生産頻度に応じて決める必要があります。

発注側が承認すべき事項と委託先の裁量で調整できる事項も分けておきます。製品仕様に影響する材料や工程の変更と、承認済みの範囲内で行う設備調整では、必要な確認が異なります。変更管理のルールが曖昧だと、歩留まりを改善するつもりで変更した条件が、耐久性や互換性など別の品質特性へ悪影響を与えるおそれがあります。変更理由、評価結果、承認者、適用開始時点を記録し、変更前後の製品を追跡できるようにします。

改善活動では、委託先の実情を把握することも大切です。工程に余裕がないまま検査頻度だけを増やせば、作業の停滞や記録漏れが起こる可能性があります。発注側の要求と製造現場の実行可能性をすり合わせ、必要な設備、治具、人員、教育、確認時間について協議することが、継続可能な管理につながります。歩留まりを品質部門だけの指標にせず、製造・設計・調達の担当者が共通の課題として扱う姿勢が重要です。

製造委託の相談時に準備したい情報と量産移行の判断基準

六つの方法を実行するためには、最初の製造委託相談で何を伝えるかが重要です。図面や仕様書だけでなく、製品の用途、機能上の重要部位、想定する使用環境、生産予定数量、希望する立ち上げ時期、現在把握している不具合を説明します。既に試作品がある場合は、良品と不良品の実物や写真、測定結果、試作時の加工条件を共有すると、委託先が検討しやすくなります。守る必要がある仕様と変更を検討できる仕様を明確にすることで、委託先から具体的な工程改善の提案を受けやすくなります。

これまでの製造実績がある場合は、歩留まりの平均値だけでなく、ロットごとの推移と不良の内訳を確認します。量産数量が増えたタイミングで不良が増えたのか、特定の設備や材料の切り替え後に変化したのかなど、発生状況を時系列で整理すると有用です。一方、新規製品で十分な実績がない場合は、目標歩留まりを根拠のない確定値として扱うのではなく、試験生産でデータを取得して見直す前提を共有します。相談時点でわかっていない事項を明示することも、適切な製造計画を立てるために必要です。

委託先の評価では、同種部品の製造経験だけでなく、試作から量産への移行方法を具体的に確認します。量産設備での試験生産に対応できるか、重要寸法をどこで測定するか、設備の段取り替えをどう管理するか、不適合が見つかった場合の連絡と隔離はどう行うかといった点です。対応できる設備があることと、安定した工程管理ができることは同義ではありません。管理記録の作り方、品質上の責任分担、変更時の承認手順も含めて相談することが大切です。

量産開始の判断は、少数の試作品が合格したという理由だけで行わないようにします。量産用の設備、材料、作業手順、検査方法を使った試験生産で、求める品質と生産数量を両立できるかを確認します。特定条件での合格だけでなく、段取り替え、材料ロットの変更、連続運転など、実際の運用で想定される変化への対応も検証対象です。すべての変化を事前に網羅することは難しいため、未検証の条件を把握し、量産開始後の追加確認方法を定めておきます。

量産移行の判断基準には、歩留まりの実績に加えて、重大不良への対策完了状況、重要寸法の安定性、測定体制、作業手順の整備、不適合品の追跡可能性などを含めるとよいでしょう。生産数量を優先して品質の確認を省略すると、後工程での選別や納入後の対応が増える可能性があります。逆に、あらゆる不良が完全にゼロになるまで移行できないと考えるのも現実的ではありません。製品のリスクを踏まえ、残る課題と管理方法について発注側と委託先で合意したうえで段階的に移行することが重要です。

量産開始後も、当初想定した生産数量や製造条件が変わる場合には、歩留まりへの影響を再評価することが必要です。例えば、生産数量の増加によって設備の稼働時間が延びると、工具の摩耗や設備温度の変化、作業者の負担増加などが品質に影響する可能性があります。これまで問題がなかった工程でも、生産条件が変われば同じ歩留まりを維持できるとは限りません。生産計画の変更時には、製造能力だけでなく、検査能力や保全体制、材料供給の安定性まで含めて確認します。

特に注意したいのは、量産移行後に発生する小さな品質変化を見逃さないことです。例えば、初期流動管理の終了直後は良好な歩留まりを維持できていても、数週間後に特定の寸法が規格限界へ近づく場合があります。合格品の数量だけを確認していると、このような変化を把握できないことがあります。重要寸法の測定値や不良の発生頻度を継続して記録し、工程の変化を早期に発見できる管理体制を整えることが重要です。

製造委託の相談では、こうした量産移行後の管理についても具体的に取り決めておきます。例えば、初期流動管理を終了する条件、通常管理へ移行した後の報告頻度、歩留まりが目標を下回った場合の対応、工程条件を変更する際の承認方法などです。歩留まりが一時的に改善しただけで管理を終了するのではなく、改善後の状態を維持できる仕組みまで確認することが、安定した製造委託につながります。

また、初回の製造委託相談では、品質目標を一方的に提示するのではなく、目標を達成するための工程条件と必要な管理活動について協議することが大切です。例えば、発注側が高い初回合格率を求める場合、委託先がどのような設備条件や検査方法によって実現を目指すのかを確認します。目標に対して現状の工程能力が不足している場合には、治具の改善、加工順序の変更、材料の見直し、検査方法の改善など、複数の対策を比較しながら実行可能な計画を立てます。

改善計画には、対策の実施担当者、完了予定時期、効果の確認方法を含めます。例えば、寸法不良への対策として治具の位置決め方法を変更する場合、変更直後の合格率だけでなく、段取り替え後や連続運転後にも同じ品質を維持できるかを確認します。対策の実施と効果確認を分けて管理することで、改善活動が途中で止まることを防ぎやすくなります。

製造委託先が複数の工程を外部へ再委託する場合には、工程間の情報連携も確認対象です。加工、表面処理、組立などを異なる工場で実施する場合、最終工程で見つかった不良の原因が前工程にある可能性があります。製造ロットや工程履歴を追跡できなければ、原因の特定に時間がかかり、対策範囲も広がります。どの工程で何を記録し、不具合発生時に誰が原因調査を主導するのかを明確にしておくと、複数の委託先が関わる製品でも改善活動を進めやすくなります。

さらに、量産移行の承認記録を残すことも有効です。試験生産で確認した製品品質、生産数量、工程条件、検査結果、残された課題を整理し、発注側と委託先が合意した内容を文書化します。これにより、量産開始後に問題が発生した際にも、当初の判断根拠と現在の製造条件を比較できます。量産移行を単なる日程上の区切りではなく、品質と工程の準備状況を確認する重要な判断機会として扱うことが必要です。

製造委託の相談で歩留まり改善を実現するには、発注側が必要な情報を整理し、委託先が実際の製造工程に即した対策を検討できる環境を整えることが欠かせません。相談時の情報が具体的であるほど、試験生産で確認すべき項目を絞り込みやすくなり、量産開始後の問題にも対応しやすくなります。

まとめ:歩留まり改善は委託先との事前のすり合わせから始まる

製造委託の相談で量産立ち上げ時の歩留まりを改善するには、完成品の検査だけに頼るのではなく、不良が発生しにくい製造工程を構築することが重要です。試作段階で良品を製作できたとしても、材料や設備、作業者、生産数量などの条件が変化する量産では、別の課題が発生する可能性があります。量産開始後の不良を減らすためには、製造委託を検討する段階から品質要求と工程管理の方法を共有しておく必要があります。

最初に取り組むべきことは、良品判定基準と歩留まりの計算方法を統一することです。発注側と委託先が同じ指標を使うことで、現状の問題を正確に把握し、改善効果を比較しやすくなります。初回合格率と手直し後の最終良品率を区別し、不良の種類や発生工程まで確認することが、具体的な改善活動の出発点になります。

次に、量産工程を前提とした設計と製造条件の見直しが必要です。加工しにくい形状や過度な要求、公差の積み重なりなどが歩留まりを低下させている場合には、設備調整だけでなく設計側からの改善も検討します。また、重要工程の製造条件を明確にし、設備の稼働状態や材料の変動、工具の摩耗などを適切に管理することで、品質のばらつきを抑えやすくなります。

量産開始直後には、初期流動管理を通じて不良の発生状況を重点的に確認します。検査で不適合を発見した場合は、対象製品の隔離と原因調査を行い、応急処置と恒久対策を区別することが大切です。対策を実施した後も、複数の製造条件で効果を確認し、作業手順や管理基準へ反映することで、改善した状態を維持しやすくなります。

さらに、材料、設備、作業者による変動を抑えるとともに、発注側と委託先の情報共有を継続する必要があります。歩留まりの数値だけではなく、不良の発生状況、製造条件の変更、改善対策の進捗などを共通の記録として残すことで、問題が再発した場合にも過去の経緯を確認できます。品質上の課題を委託先任せにせず、設計、製造、調達、品質管理の各担当者が協力して改善を進めることが重要です。

歩留まり改善を継続するうえでは、現場で得られる情報を正確に残し、関係者が必要なときに確認できる環境も役立ちます。例えば、製造設備の設置状況、治具の配置、現場で確認された不具合、改善前後の状態などを写真で記録しておくと、離れた場所にいる担当者にも状況を伝えやすくなります。工場設備の据付や改修を伴う案件では、作業場所や施工状況を把握するための位置情報や施工記録も、関係者間の認識をそろえるための資料になります。

こうした現場情報の記録と共有を進める際には、LRTK Phoneの活用も選択肢になります。LRTK Phoneは、現場写真や位置情報、施工記録を管理するための自社プロダクトです。工場設備の設置・改修や製造現場に関連する施工状況を記録し、位置と写真を関連付けて整理することで、現場の状態を後から確認する際に役立ちます。製品ごとの寸法検査や歩留まりの集計そのものとは役割が異なりますが、現場の設備配置や改善作業の状況を残す用途では、品質改善活動を補完する情報管理手段として活用を検討できます。

製造委託で安定した量産を実現するためには、歩留まりの目標を設定するだけでなく、その目標を達成し、維持するための具体的な仕組みを整えることが欠かせません。良品基準の統一、量産に適した設計、重要工程の条件管理、初期流動検査、ばらつき対策、改善情報の共有という六つの方法を組み合わせ、委託先との事前のすり合わせから着実に取り組むことで、量産立ち上げ時の不良を抑え、安定した品質と生産体制の構築につなげることができます。

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