部品点数を減らす前に整理したい目的と判断基準
新しい製品のアイデアを形にするとき、設計段階で見落としやすい課題の一つが部品点数の増加です。製品の基本機能を実現するために部品を追加し、試作品の不具合を修正するたびに補強金具や固定部品を増やしていくと、完成時には当初の想定よりも複雑な構造になっていることがあります。
部品点数が増えると、部品の調達や在庫管理の対象が増える場合があるだけでなく、組立作業、検査、保守、設計変更にも影響します。特に小型機器や産業用装置、現場向けの専用製品では、限られたスペースに複数の機能を収める必要があるため、部品構成の整理が製品の完成度を左右します。
そのため、アイデアを形にする会社へ製品開発を依頼する際には、単純に試作品を作ってもらうだけでなく、部品点数を抑えながら必要な性能を実現できる設計改善まで相談することが重要です。
ただし、部品点数は少なければ少ないほど優れているとは限りません。複数の部品を無理に一体化すると、加工が難しくなったり、一部の故障で大きな構造全体を交換する必要が生じたりする可能性があります。必要なのは、製品の機能、安全性、製造方法、保守性を考慮したうえで、適切な部品構成を選ぶことです。
まず確認したいのが、部品点数と部品種類数の違いです。部品点数は製品1台を構成する個々の部品の数量を指すことが多く、部品種類数は異なる形状や仕様の部品が何種類あるかを表します。例えば、同じねじを10本使用する場合、部品点数は10点ですが、部品種類数は1種類です。どちらを減らすかによって設計改善の方向性が変わります。
また、製品の構成を検討する際には、部品の数量だけでなく、組立作業の回数、締結箇所、加工工程、検査項目、分解のしやすさも確認する必要があります。部品を2点削減できても、特殊な加工や複雑な位置合わせが必要になれば、製品全体の製造効率が改善するとは限りません。
例えば、屋外で使用する小型の計測装置を開発する場合、筐体、内部基板、支持部品、固定金具、接続部品、防水部品などが必要になります。それぞれの部品を個別に設計する方法もありますが、筐体に支持機能を持たせたり、固定方式を見直したりすることで、必要な性能を維持しながら構成を簡素化できる可能性があります。
アイデアを形にする会社に相談するときは、完成品の外観だけでなく、どの機能を維持する必要があり、どの構造を変更できるのかを明確にすることが出発点です。ここからは、部品点数を減らすために実践したい7つの設計改善策を具体的に解説します。
改善策1:必要な機能を分解し重複部品をなくす
部品点数を減らすための最初の改善策は、製品に必要な機能を整理し、それぞれの部品が本当に必要なのかを検討することです。
製品開発では、当初のアイデアを実現するために複数の構造を組み合わせることがあります。設計担当者が機能ごとに部品を追加していくと、異なる部品が似た役割を担っていたり、既存の構造で代替できる部品が残っていたりする場合があります。
例えば、小型装置の内部にある電子基板を固定するために、別体の支持板とスペーサーを使用しているケースを考えます。筐体側に適切な支持部を設けられるのであれば、支持板や一部のスペーサーを省略できる可能性があります。ただし、絶縁距離、放熱、振動、組立性などの条件を満たす必要があるため、単純に固定部品を取り除けばよいわけではありません。
このような改善を進めるには、まず製品全体を機能単位で整理します。支持する、固定する、保護する、密閉する、位置決めする、熱を逃がす、力を伝えるといった役割を明確にし、それぞれをどの部品が担当しているか確認します。
一つの部品が複数の機能を持っている場合、その機能を別の部品へ移せないか検討します。反対に、一つの機能を実現するために複数の部品を使っている場合は、構造変更によって部品を統合できないか確認します。
具体的には、固定専用の板金部品を筐体の曲げ形状に置き換えたり、位置決め用の小部品を本体の段差や突起で代替したりする方法が考えられます。このとき重要なのは、部品の名称ではなく、その部品が果たしている役割に着目することです。
また、試作段階で追加した部品は、改めて必要性を確認する価値があります。試験中に発生した振動や位置ずれを抑えるため、一時的に補強金具を追加したものの、その後の設計変更によって補強が不要になっていることもあります。改善履歴を確認しなければ、役割を終えた部品が量産設計に残る可能性があります。
一方、安全確保のための独立した保護部品や、故障時に機能を維持するための冗長構造については、安易な削減を避ける必要があります。特に荷重を支える構造や電気的な安全性に関係する部品では、故障時の影響まで考慮して判断します。
アイデアを形にする会社へ相談する際には、現状の部品構成と各部品の役割を共有し、機能の重複がないかを設計レビューで確認してもらうと効果的です。完成品の外観だけを提示するよりも、機能と構造の関係を共有することで、より根本的な改善提案を受けやすくなります。
機能分解による設計改善は、単に部品を取り除く作業ではありません。製品が果たすべき役割を再定義し、その役割をできるだけ合理的な構造で実現するための取り組みです。開発初期に実施するほど、後工程への影響を抑えながら改善案を検討しやすくなります。
改善策2:同じ役割の部品を共通化して種類を絞る
二つ目の改善策は、似た役割を持つ部品の仕様を統一し、部品種類数を減らすことです。
製品全体の部品点数を減らすことが難しい場合でも、部品種類数を整理することで調達管理や組立作業の負担を軽減できる場合があります。特に複数のねじ、金具、スペーサー、支持部品を使用する製品では、共通化の余地がないか確認することが重要です。
例えば、同じ装置内で長さや径がわずかに異なるねじを複数種類使用している場合、設計上の制約を確認したうえで仕様を統一できる可能性があります。ねじの種類が減れば、組立時に部品を選択する作業が減り、取り違えによる不具合の予防にもつながります。
ただし、ねじの統一では締結長さ、必要なねじ込み深さ、座面形状、締付け条件、相手材の強度などを確認する必要があります。見た目が似ているからといって同じ仕様へ変更すると、締結力不足や部品との干渉が発生するおそれがあります。
支持金具や取付板についても、製品全体で共通化できないか検討します。例えば、左右で別々の取付金具を使用している場合、左右対称の構造や取付方向を工夫することで、同じ形状の部品を両側に使用できるケースがあります。
このような共通化は、製品1台当たりの部品点数を直接減らすとは限りません。しかし、設計図面の管理対象を減らし、部品の取り違えを防ぎ、製造工程を整理するうえで有効です。さらに、共通化した部品を基準として周辺構造を見直すことで、追加の固定金具や調整部品を削減できる場合があります。
複数の製品を開発する企業では、製品間での共通化も重要になります。外観や機能が異なる製品であっても、内部の支持構造や接続部分に共通仕様を採用できれば、設計資産を再利用しやすくなります。
例えば、寸法の異なる装置を複数種類展開する場合でも、内部ユニットの取付位置や締結方式をそろえることで、共通の支持部品を使用できる可能性があります。製品ごとに専用部品を設計する必要が減り、将来の仕様変更にも対応しやすくなります。
一方、共通化を優先しすぎると、特定の製品にとって部品が大きすぎたり、必要以上の強度を持つ構造になったりすることがあります。重量や設置スペースが厳しく制限される製品では、共通化と個別最適化のバランスが必要です。
アイデアを形にする会社に依頼するときは、今回開発する製品だけでなく、今後の派生製品や仕様変更の可能性も伝えておくとよいでしょう。将来的な展開を考慮して共通化を進めることで、単発の試作品だけでなく、継続的な製品開発にも利用できる構造を検討できます。
部品の共通化は、部品点数削減を支える基本的な設計改善策です。数量を減らす改善と組み合わせることで、製造現場で扱いやすく、管理しやすい製品構成につなげられます。
改善策3:筐体・支持部品を一体化して構造を整理する
三つ目の改善策は、複数の部品を一体化し、同じ機能をより少ない部品で実現できる構造へ変更することです。
部品の一体化は、部品点数を直接減らせる可能性がある設計手法です。特に筐体、取付金具、支持板、補強部品などは、形状や製造方法を工夫することで一つの部品にまとめられる場合があります。
例えば、小型機器の筐体に内部基板を固定するための金具を取り付けている場合、筐体の内側に固定用のボスや支持リブを設けることで、別体の金具を削減できる可能性があります。筐体が基板の支持機能を兼ねるため、部品を固定する作業も減らせます。
また、装置を壁面や支柱に取り付けるためのブラケットについても、本体の形状を変更することで一体化できる場合があります。取付部を別部品にする必要がなくなれば、締結部品や位置合わせ作業の削減も期待できます。
ただし、一体化が適しているかどうかは、使用する材料と製造方法によって異なります。
樹脂成形品では、補強リブ、固定ボス、位置決め用の突起などを同じ部品に設けられる場合があります。一方で、肉厚の急激な変化は成形時の収縮差や変形につながることがあり、金型から取り出すための抜き勾配や成形方向も考慮しなければなりません。
板金部品の場合は、曲げ加工によって支持部や補強部を形成できることがあります。従来は別々に製作していた支持金具と取付板を一つの板金形状へ変更できれば、溶接や締結などの工程を減らせる可能性があります。ただし、曲げ加工ができる形状には制約があり、曲げ部分の寸法精度や材料の割れにも注意が必要です。
切削加工では、一つの素材から複雑な形状を削り出すことで部品を統合できる場合があります。しかし、深いポケット形状や細長い突起が増えると、加工時間や工具の制約が大きくなることがあります。部品点数は減っても、加工難易度が上がる可能性があるため、製造方法を含めた比較が必要です。
特に注意したいのは、一体化によって異なる性能要求が一つの部品に集中することです。
例えば、金属製の放熱部品と樹脂製の絶縁部品を無理に統合すると、放熱性と電気的な絶縁性を両立しにくくなる場合があります。また、振動を吸収する部品と剛性を確保する部品は、求められる材料特性が異なるため、一体化が適していないこともあります。
部品を統合するときは、形状だけでなく、材料特性、使用温度、荷重、耐久性、保守方法まで考慮する必要があります。
さらに、一体化した部品の一部分だけが破損した場合でも、部品全体の交換が必要になることがあります。消耗部分や交換頻度の高い部品は、あえて独立させておく方が合理的な場合もあります。
アイデアを形にする会社へ相談する際には、一体化したい部品を指定するだけでなく、想定する製造方法や製造数量、保守条件を共有することが重要です。
試作品では加工しやすい分割構造を採用し、量産段階では成形や曲げ加工を活用した一体構造へ変更する方法もあります。開発段階によって適切な構造が異なるため、試作と量産の両方を見据えて検討することが望まれます。
部品の一体化は、製品の小型化、軽量化、組立工程の削減にもつながる可能性があります。ただし、部品点数だけを優先するのではなく、製造可能性や品質を維持できる範囲で進めることが重要です。
改善策4:ねじ・金具を減らす締結構造に見直す
四つ目の改善策は、ねじやナット、ワッシャー、固定金具などの締結部品を減らせる構造へ変更することです。
製品の部品点数を確認すると、主要な機能部品よりも締結部品の数量が多い場合があります。特に小型装置では、筐体を固定するねじ、内部基板を固定するねじ、取付金具を固定するねじなどが積み重なり、全体の部品点数を増やす原因になります。
ねじによる締結は、適切な設計と締付け管理によって必要な締結力を確保でき、分解や再組立にも対応しやすい方法です。しかし、締結箇所が多いと、組立作業や締付け確認が必要になり、ねじの締め忘れや取り違えといった品質上のリスクも増えます。
そこで検討したいのが、部品同士の形状を利用した固定方法です。
例えば、樹脂製のカバーに弾性を利用した爪を設け、相手部品にはめ込む構造を採用すると、ねじを使用せずに固定できる場合があります。このような構造は、必要な保持力と使用条件を満たせれば、部品点数の削減だけでなく組立時間の短縮にもつながります。
別の方法として、部品をスライドさせて所定の位置に固定する構造もあります。溝と突起を組み合わせ、一定方向へ動かすことで位置決めと保持を行う設計です。適切な抜け止めを組み合わせれば、従来の固定金具を減らせる可能性があります。
金属部品では、曲げ形状によるかみ合わせや、適切な条件でのかしめ固定なども選択肢になります。分解する必要がない部分では、接合方法を見直すことで締結部品を削減できる場合があります。
ただし、固定方法を変更するときは、必要な保持力と耐久性の確認が欠かせません。
例えば、樹脂製の爪による固定では、繰り返しの着脱によって爪が摩耗したり、材料の劣化によって保持力が低下したりする可能性があります。高温環境では材料の変形やクリープが問題になることもあるため、使用条件に合った材料と形状が必要です。
振動の大きい装置では、固定部が徐々に緩んだり、かみ合わせ部分に摩耗が生じたりすることがあります。単にねじをなくすのではなく、振動方向、繰り返し荷重、衝撃、取り付け姿勢などを考慮した構造設計が求められます。
また、防水性や防じん性が必要な筐体では、固定方法の変更が密閉性能に影響することがあります。カバー全体に均一な圧縮力を与える必要がある場合、締結箇所の削減によってシール部分の圧縮状態が不均一になる可能性があります。
このような製品では、締結部品を減らすことよりも、必要な密閉性能を維持できることを優先しなければなりません。
分解や修理が必要な製品でも注意が必要です。取り外しが難しい固定方法を採用すると、内部部品の交換時に筐体を破損させるリスクがあります。製品の寿命や保守方法を考慮し、繰り返し分解する部分と固定したまま使用する部分を区別すると、適切な締結構造を選びやすくなります。
アイデアを形にする会社へ相談する際には、ねじの数量だけでなく、各締結箇所の目的を整理して伝えることが大切です。
位置決めのためのねじなのか、荷重を支えるためのねじなのか、密閉性能を確保するためのねじなのかによって、代替できる構造は異なります。
締結構造を見直すことで、部品点数の削減、組立工程の簡素化、作業ミスの低減を同時に検討できます。製品の使用条件を踏まえて適切な固定方式を選ぶことが、実用性の高い設計改善につながります。
改善策5:組み立て方向と作業順序から設計を変える
五つ目の改善策は、部品単体の形状だけでなく、製品をどのような順序で組み立てるかを考慮して構造を見直すことです。
部品点数が多い製品では、部品の配置や組立方向が複雑になっている場合があります。複数の方向から部品を挿入しなければならない構造や、内部部品を固定するために何度も製品を反転させる構造では、位置決め用の部品や補助金具が必要になることがあります。
組立作業の流れを整理することで、これらの部品を削減できる可能性があります。
例えば、小型装置の内部に複数の電子部品を配置する場合、上方向から順番に部品を組み付けられる構造を採用すると、組立時の位置合わせや保持が容易になることがあります。
部品を所定の位置に置くだけで仮保持できるようにすれば、組立作業者が片手で部品を支えながら別の部品を固定する必要が減ります。仮固定専用の部品を使用している場合には、その削減も検討できます。
また、筐体に位置決め用の段差やガイドを設けることで、別体の位置決めピンや調整部品を省略できる場合があります。
組立方向を統一することには、作業手順をわかりやすくする効果も期待できます。部品を取り付ける方向が一定であれば、作業の途中で製品を持ち替える回数を減らしやすくなります。
ただし、組立しやすい構造であっても、完成後の性能が確保されなければ意味がありません。特に機械的な位置精度が必要な製品では、組立作業が簡単になる一方で、部品間の位置ずれが増えないように注意が必要です。
寸法公差の累積も重要な確認事項です。
複数の部品を順番に組み付ける構造では、それぞれの部品が持つ寸法ばらつきが積み重なり、最終的な位置関係に影響することがあります。部品点数を減らしても、必要な寸法精度を維持できなければ、製品の品質が不安定になる可能性があります。
この問題を防ぐためには、製品全体で基準となる面や穴を明確にし、重要な部品をどの位置から測定・組立するかを決めることが大切です。
例えば、複数の支持部品を介して位置を決めている構造を、本体の基準面から直接位置決めする構造へ変更できれば、部品点数と寸法ばらつきの要因を減らせる場合があります。
さらに、誤った方向では組み付けられない形状を採用することも有効です。左右や前後を間違えやすい部品では、形状に方向性を持たせることで、組立時の確認負担を軽減できます。
製品開発を依頼する際には、完成した状態の3Dモデルだけでなく、組立途中の状態も確認するとよいでしょう。各部品がどの方向から取り付けられ、どの段階で固定されるのかを検討することで、完成状態だけでは気付きにくい課題を発見できます。
また、工具を差し込むための空間や、締結部分へ手が届くかどうかも重要です。設計上は組み立てられる構造でも、実際の作業では工具が干渉し、特殊な作業方法が必要になることがあります。
アイデアを形にする会社に対しては、設計段階から組立性の確認を依頼し、試作品を使用した組立評価まで実施することが望まれます。
部品点数の削減と組立工程の改善を同時に進めれば、単に構造が簡単になるだけでなく、製造現場で扱いやすい製品へ近づけられます。
改善策6:交換・保守を考慮してモジュールを最適化する
六つ目の改善策は、製品の機能を適切な単位にまとめ、交換や保守の必要性を考慮して部品構成を最適化することです。
製品の部品点数を減らす際には、一体化できる部分を探すことが重要ですが、すべての部品を一つにまとめることが最適とは限りません。
特に長期間使用する産業用機器では、一部の部品だけを交換したい場合があります。摩耗する部品や定期交換が必要な部品まで本体と一体化すると、保守作業が難しくなり、製品の運用に影響する可能性があります。
そこで有効なのが、機能ごとに適切な単位で部品をまとめる考え方です。
例えば、計測機器では、外部から操作する部分、内部の電子回路、計測に関係する部分、外部機器との接続部分などを区別して設計できます。これらを無条件に独立させるのではなく、交換が必要な部分と通常は交換しない部分を整理することで、合理的な構造を検討できます。
交換頻度の低い支持構造や固定構造は一体化し、保守時に取り外す必要がある機能部分だけを独立したユニットとして扱う方法が考えられます。
また、共通の機能を持つ部分をモジュール化することで、複数の製品へ同じ構成を適用しやすくなる場合があります。製品ごとに異なる固定部品や専用部品を設計する必要が減り、開発時の設計変更にも対応しやすくなります。
例えば、複数の現場向け装置に同じ計測機能を搭載する場合、計測部分の取付寸法や接続方法を共通化することで、共通ユニットとして使用できる可能性があります。
ただし、モジュール化にも注意点があります。
機能を細かく分割しすぎると、各モジュールを接続するためのコネクターや固定金具、支持部品が増えることがあります。その結果、部品種類数は整理されても、製品1台当たりの部品点数が増えてしまう可能性があります。
そのため、モジュール化を検討する際には、製品全体で必要となる接続部品や固定部品まで含めて評価することが重要です。
また、モジュール間の接続部分では、電気的な接触不良、振動による緩み、位置ずれなどが発生する可能性があります。接続箇所が増えるほど、検査や保守の対象も増えるため、必要な範囲で分割することが望まれます。
保守の観点では、故障した際にどの部分を交換するのかを想定しておくことが大切です。
例えば、長期間使用する装置で交換頻度の高いセンサー部分を本体と完全に一体化すると、一部分の故障でも広い範囲の交換が必要になる場合があります。このような製品では、部品点数を多少増やしても、交換しやすい構造を維持する方が合理的なことがあります。
一方、交換の必要がない内部支持部品や、完成後に分解しない固定部分は、一体化を優先できる可能性があります。
アイデアを形にする会社へ相談する際には、製品をどの程度の期間使用する予定なのか、定期的な交換が必要な部品はあるのか、現場で分解する可能性があるのかを共有するとよいでしょう。
これらの条件が明確であれば、必要以上に細かく分割された構造を避けながら、保守性を維持した設計を検討できます。
製品のモジュール構成を最適化することは、部品点数の削減だけでなく、製品展開や保守性、長期的な品質管理にも関係します。単純な一体化と適切な分割を使い分けることが、完成度の高い製品設計につながります。
改善策7:試作と製造検討を繰り返して削減案を検証する
七つ目の改善策は、設計段階で考えた部品点数削減案を試作品で検証し、製造方法や実際の使用条件に合わせて改善することです。
部品点数を減らすためのアイデアは、3D CAD上で検討するだけでは十分に評価できない場合があります。図面上では成立している構造でも、実際に加工すると変形が発生したり、組み立ててみると工具が入らなかったりすることがあります。
そのため、アイデアを形にする会社と設計改善を進める際には、試作品を活用した検証が重要になります。
まず、設計変更前の構造と改善後の構造を比較し、どの部品を削減したのか、どの機能を別の部品へ移したのかを明確にします。
例えば、3点の支持部品を一つの一体部品へ変更した場合、部品点数は減りますが、製造方法や寸法精度が変わる可能性があります。このとき、単に完成形状を比較するのではなく、加工性、組立性、強度、保守性まで評価することが大切です。
初期の検証では、形状確認用の試作品を製作し、部品同士の干渉や組立手順を確認します。形状を短期間で確認できる試作方法は、構造の改善点を見つけるうえで役立ちます。
ただし、形状確認用の試作品と量産時の部品では、材料や製造方法が異なることがあります。そのため、形状確認で問題がなくても、製品の耐久性や強度まで保証されるわけではありません。
例えば、樹脂製品を試作する際、試作方法によっては量産時の樹脂成形品と材料特性や内部構造が異なります。爪による固定構造を評価する場合には、実際に使用する材料や製造方法を考慮して、適切な段階で耐久性を確認する必要があります。
金属部品でも同様です。切削加工による試作品で形状が成立していても、量産時に板金加工や鋳造へ変更する場合には、加工方法に合わせた設計調整が必要になることがあります。
部品点数削減を目的とした設計変更では、強度の確認も欠かせません。
複数の支持部品を一体化した場合、従来とは異なる場所に荷重が集中する可能性があります。必要に応じて構造解析などを活用し、変形量や応力の分布を検討します。
ただし、解析結果は材料特性や拘束条件、荷重条件などの設定に影響されるため、必要な性能については実物を使った評価と組み合わせることが重要です。
また、組立作業の評価では、設計担当者だけでなく、実際に組立を行う担当者の意見を取り入れると改善点を発見しやすくなります。
部品を固定する際に位置合わせが難しい、工具が届きにくい、部品の向きを間違えやすいといった問題は、実際の組立作業を通じて明らかになることがあります。
こうした問題を改善することで、部品点数を減らしながら組立品質を安定させられる可能性があります。
さらに、試作段階では設計変更の履歴を残すことが重要です。部品を削減した理由、変更前後の性能、発生した不具合、採用しなかった改善案などを記録しておくと、後から問題が発生した場合にも判断の経緯を確認できます。
アイデアを形にする会社に依頼する際には、単に試作品の製作をお願いするのではなく、設計改善、試作、評価、再設計までを一連の工程として相談するとよいでしょう。
部品点数の削減は、一度の設計変更だけで完成するとは限りません。試作品で得られた情報を次の設計へ反映し、必要な性能と製造効率の両立を目指すことが重要です。
アイデアを形にする会社に相談する際の準備と伝え方
部品点数を減らす設計改善を成功させるには、依頼先の会社へ必要な情報を正確に伝えることが重要です。
「アイデアを形にする会社」を探している段階では、まだ正式な図面がなく、製品の外観や基本機能しか決まっていないこともあります。そのような状態でも相談は可能ですが、設計改善の方向性を共有するためには、製品に求める条件をできるだけ整理しておく必要があります。
最初に準備したいのが、製品の使用目的と必要な機能です。
どのような作業で使う製品なのか、誰が使用するのか、どのような環境に設置するのかを説明します。屋内で使用する機器と、雨や粉じんにさらされる屋外用機器では、必要な筐体構造や固定方法が異なります。
また、製品の寸法や重量に制限がある場合には、その条件も共有します。部品点数を減らすことができても、製品が大きくなり、設置スペースに収まらなくなれば目的を達成できません。
すでに試作品がある場合には、現物や写真、図面、3Dモデルなどを提供すると、具体的な改善検討につながります。
特に重要なのが、現状の課題を伝えることです。
例えば、組立作業に時間がかかる、固定金具が多い、内部構造が複雑である、部品の取り違えが発生しやすいといった問題があれば、その内容を説明します。
部品点数を減らしたい理由が明確であれば、依頼先も優先すべき改善策を判断しやすくなります。
さらに、変更してはいけない条件を明確にすることも大切です。
外形寸法を変更できない部分、強度を維持する必要がある部分、交換可能な状態を維持したい部品などは、設計の制約条件として整理します。
必要に応じて、耐振動性、使用温度、防水性、電気的な安全性、耐久性などの要求も伝えます。安全性に関係する要求については、適用される規格や使用条件を確認したうえで設計検討を進める必要があります。
相談先を選ぶ際には、外観設計だけでなく、機構設計や製造方法まで考慮した提案ができるかを確認するとよいでしょう。
アイデアを形にする会社には、主に構想設計を得意とする会社、試作品の製作を得意とする会社、量産を見据えた設計や製造工程の検討まで対応できる会社などがあります。依頼する範囲によって適切な相談先は異なります。
部品点数の削減が目的であれば、実際の製造方法を理解し、設計変更による加工性や組立性の違いを評価できる体制が重要です。
例えば、樹脂成形を前提とする製品では、成形条件や金型構造を考慮した設計が必要になります。板金製品では、曲げ加工や接合方法を理解していることが改善提案の質に影響します。
また、構想段階から量産まで一貫して依頼する場合と、設計だけを依頼して製造は別の会社で行う場合でも、必要な成果物が変わります。
後工程での混乱を避けるためには、設計図面、3Dデータ、部品構成表、組立手順、検査条件、設計変更履歴など、どの情報を成果物として受け取るかを事前に確認しておくことが望まれます。
技術的なアイデアや独自構造を共有する場合には、情報の取り扱いや成果物の権利関係についても、必要に応じて事前に取り決めておくと安心です。
相談を進める際には、最初から一つの改善方法に限定しないことも重要です。
「この金具をなくしたい」という依頼だけでは、代替手段が限られる可能性があります。それよりも「取付強度を維持したまま部品点数と組立作業を減らしたい」と伝える方が、構造全体を見直す提案につながりやすくなります。
依頼する側が必要な機能と制約条件を示し、設計を担当する会社が製造可能性を踏まえて具体的な構造を検討することで、実用性の高い改善を進めやすくなります。
部品点数削減の効果を測る評価項目と失敗防止
部品点数を減らす設計改善では、変更前後の効果を客観的に確認することが重要です。
単純に部品数が減ったという結果だけでは、設計改善が成功したかどうかを十分に判断できません。製品全体の品質や製造工程への影響まで含めて評価する必要があります。
最初に確認したいのは、実際の部品点数と部品種類数の変化です。
例えば、従来20点で構成していた製品を15点に変更できた場合、数量としては5点の削減になります。ただし、この例だけでは改善効果は判断できません。削減した部品が何を担っていたのか、新しい構造でその機能を維持できているのかが重要です。
また、部品種類数が減っているかどうかも確認します。部品点数が同じでも、異なる仕様の部品を共通化できれば、管理対象を整理できる場合があります。
次に確認したいのが、組立作業への影響です。
締結箇所が減った場合には、実際に組立作業が簡単になっているかを確認します。作業時間だけでなく、位置合わせのしやすさ、工具の使用回数、作業方向の変更、部品の取り違えリスクなども評価対象になります。
部品点数を減らすために複雑な組立方法を採用すると、かえって作業負担が増える可能性があります。設計変更前後の試作品を同じ条件で組み立て、作業内容を比較すると、改善効果を把握しやすくなります。
製造工程の評価も必要です。
一体化した部品が複雑な形状になった場合、加工時間や加工工程が増えることがあります。また、寸法精度を確保するために追加の加工や検査が必要になる場合もあります。
そのため、設計改善の評価では、部品の数量だけでなく、製造工程全体の変化を確認することが重要です。
品質の観点では、寸法精度、強度、耐久性、組立後の機能などを確認します。
特に部品の一体化では、従来は別々の部品で調整できていた寸法や位置関係を、一つの部品で確保しなければならない場合があります。寸法ばらつきが製品性能に影響しないかを確認する必要があります。
また、部品を削減したことで、故障時の影響範囲が広がっていないかも重要です。
例えば、従来は交換可能だった取付部を本体と一体化した場合、取付部分の破損によって本体全体を交換する必要が生じることがあります。使用環境によっては、そのような設計が適切でない場合もあります。
設計改善による不具合を防ぐためには、変更内容に応じた評価項目を設定します。
締結構造を変更した場合は保持力や振動への耐性を確認し、筐体構造を変更した場合は強度や密閉性能を確認します。材料や製造方法を変更した場合には、必要な寸法精度や耐久性を満たせるかを評価します。
さらに、製品の使用環境を再現した試験が必要になることもあります。屋外用の装置であれば、温度変化、湿度、雨水、粉じん、振動などの影響を考慮した評価が重要です。
なお、部品点数の削減率だけを目標にすると、必要な部品まで減らしてしまうおそれがあります。安全性や信頼性を確保するために必要な部品については、削減対象から除外する判断も必要です。
部品点数の削減は、製品全体の合理化を目的とする改善活動です。
最終的には、部品構成が整理され、製造しやすく、品質を維持しやすい状態になっているかを確認することが大切です。
改善前後の設計を比較し、部品構成、組立工程、性能、保守性に関する評価結果を残しておけば、今後の製品開発にも活用できます。
まとめ:部品点数だけでなく製品全体の完成度を高める
アイデアを形にする会社へ製品開発を依頼する際には、製品の機能を実現することに加えて、部品構成を合理化する視点が重要です。
部品点数を減らすためには、必要な機能の整理、部品の共通化、構造の一体化、締結方法の見直し、組立工程の改善、モジュール構成の最適化、試作品による検証という7つの設計改善策が役立ちます。
これらの方法は、それぞれ独立しているわけではありません。
例えば、筐体に支持機能を持たせることで固定金具を削減し、同時に組立工程を簡素化できる場合があります。部品の共通化によって設計管理を整理し、その結果として新たな一体化の可能性が見つかることもあります。
重要なのは、部品点数の削減そのものを最終目標にしないことです。
製品に必要な性能や安全性を維持しながら、製造方法、組立性、保守性まで考慮して改善を進める必要があります。部品点数が少なくても製造が難しい構造や、修理ができない構造になってしまえば、製品全体として合理的とはいえません。
アイデアを形にする会社を選ぶ際には、外観や基本構造を設計できることだけでなく、実際の加工方法や組立工程を理解し、試作品による検証まで対応できるかを確認するとよいでしょう。
また、開発した製品を建設・土木現場などで使用する場合には、製品そのものの設計に加えて、設置状況や使用環境を適切に記録することも重要になります。
現場で製品や取付治具を使用する際には、設置場所、周辺状況、施工前後の状態、作業履歴などを記録しておくことで、設計変更や施工方法の見直しに必要な情報を整理しやすくなります。
こうした現場情報の管理には、LRTK Phoneの活用も選択肢になります。LRTK Phoneは、スマートフォンに装着して使用するRTK-GNSS端末です。対応するアプリやクラウドと組み合わせることで、位置情報付きの現場写真や測点情報を記録・共有でき、設置場所や施工状況の確認、関係者間での情報共有に役立てられます。
製品の設計段階では部品構成を最適化し、現場での使用段階では写真や位置情報を含む施工記録を適切に管理することが、継続的な改善につながります。
アイデアを実用的な製品として完成させるためには、設計、試作、製造、使用環境を一体的に考えることが大切です。部品点数の削減をきっかけに製品全体の構造を見直し、現場で長く使いやすい製品づくりを進めていきましょう。
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