LRTKレフィクシア株式会社

アイデアを形にする会社で防水・防塵性能を確かめる6つの試験項目

新しい製品のアイデアを形にする会社へ開発を依頼する際、防水・防塵性能は製品の信頼性を左右する重要な評価項目です。特に屋外で使用する電子機器、産業用センサー、測定装置、携帯型端末などでは、雨水や粉じんが内部に侵入すると、故障や測定精度の低下、部品の腐食につながる可能性があります。

しかし、試作品が正常に動作しているだけでは、防水・防塵性能が十分とは判断できません。初期状態では問題がなくても、温度変化による部品の膨張や収縮、繰り返しの開閉、長期間の使用によるシール材の劣化によって、内部に水や粉じんが侵入することがあります。

アイデアを形にする会社を選ぶ際には、外観設計や機能開発の技術力だけでなく、使用環境を想定した試験を計画し、その結果を設計改善へ反映できるかを確認することが大切です。

本記事では、防水・防塵性能を確認するための6つの試験項目について、試験の目的、具体的な確認方法、設計段階で注意すべきポイントを解説します。製品開発を外部へ依頼する実務担当者が、試作品の評価条件を明確にし、量産後の品質トラブルを防ぐための判断材料として活用できる内容です。

アイデアを形にする会社に防水・防塵試験を相談する理由

アイデアを形にする会社には、製品の企画、機構設計、電子回路設計、試作品製作、評価試験など、幅広い開発業務を依頼できます。ただし、すべての会社が防水・防塵設計に十分な経験を持っているとは限りません。

防水・防塵性能は、製品の外側にシール材を追加するだけで実現できるものではありません。筐体の合わせ面、ねじの締結構造、ケーブルの引き込み部分、操作ボタン、表示部、通気部品など、外部と内部をつなぐ部分を総合的に検討する必要があります。

例えば、樹脂製の筐体を使用する電子機器では、成形時の寸法ばらつきや反りによって、設計上は密着するはずの合わせ面に隙間が生じる場合があります。さらに、ねじの締め付け条件によってシール材の圧縮量が変化すると、同じ設計でも製品ごとに防水性能がばらつく可能性があります。

試作品が1台だけ試験に合格しても、量産時に同じ性能を維持できるとは限りません。防水・防塵性能を安定させるには、設計寸法だけでなく、材料特性、製造方法、組立工程、検査方法まで含めて考えることが重要です。

また、防水性能と防塵性能は、それぞれ異なる条件で評価する必要があります。粉じんに強い構造でも水圧が加わると浸水する場合があり、逆に水の飛まつに耐える構造でも、微細な粉じんが長期間にわたって入り込む可能性があります。

そのため、開発会社へ依頼する段階で、想定する使用環境と必要な保護性能を共有し、試験項目を決定しておくことが望まれます。開発の後半になって防水・防塵性能の不足が判明すると、筐体設計や金型構造、部品配置を大幅に変更しなければならないことがあります。

防水・防塵試験を単なる完成品検査ではなく、開発初期から組み込む設計検証として位置付けることが、手戻りを抑えるための重要な考え方です。

試験前に使用環境と必要な保護性能を定義する

防水・防塵試験を計画する前に、製品がどのような環境で使用されるのかを整理する必要があります。必要以上に高い保護性能を目標にすると、筐体構造が複雑になり、放熱性や操作性、整備性が損なわれる場合があります。

一方、使用環境に対して保護性能が不足すると、短期間で故障するリスクが高まります。アイデアを形にする会社には、製品の用途だけでなく、想定される環境条件を具体的に伝えることが重要です。

例えば、屋外に設置する測定装置であれば、降雨、風による水の吹き込み、粉じんの飛散、日射による温度上昇などを考慮します。建設現場で使用する携帯型機器では、土ぼこり、泥水、水しぶき、濡れた手での操作、落下や振動による筐体への負荷などが想定されます。

工場内で使用する装置では、粉じんの種類、清掃時の水流、周囲温度、湿度、油分の付着などが問題になる場合があります。ただし、水に対する保護性能が、そのまま油や薬品に対する耐性を意味するわけではありません。使用する液体の性質に応じて、別途材料適合性を評価する必要があります。

防水・防塵性能の目標を表す方法として、IP等級があります。IP等級は、外郭による固形物や水の侵入に対する保護の程度を表す分類です。一般的に、最初の数字は固形物に対する保護、次の数字は水に対する保護を示します。

例えば、IP65は粉じんの侵入に対する保護と噴流水に対する保護を組み合わせた等級です。IP67は粉じんに対する保護に加え、規定条件での一時的な水中への浸漬に対する保護を示します。

ただし、IP67を満たしているからといって、IPX5やIPX6で規定される噴流水に対する保護性能まで自動的に保証されるわけではありません。噴流水と浸水では、製品に水が作用する条件が異なるためです。

また、IP等級は腐食耐性、長期間の耐候性、結露防止、落下後の密閉性能などを包括的に保証するものではありません。必要に応じて、これらを別の評価項目として設定することが大切です。

開発会社と打ち合わせる際には、製品の設置方向、使用時間、開閉頻度、清掃方法、温湿度範囲、想定寿命を明確にし、その条件から必要な試験を選定します。具体的な使用状況を文章や写真で共有しておくと、試験条件と実際の使用環境の認識違いを減らせます。

試験項目1:粉じん侵入試験で内部部品への影響を確認する

粉じん侵入試験は、細かな粒子が筐体の隙間から内部へ入り込む可能性を調べる試験です。屋外用電子機器、建設現場向け装置、工場設備、農業用機器などでは、粉じんの侵入が故障や性能低下の原因になることがあります。

粉じんは、目視で確認できる大きな粒子だけではありません。非常に細かな粒子は、わずかな隙間から内部に入り込み、基板や端子、可動部に付着することがあります。

電子回路では、導電性のある粉じんや吸湿した汚れが絶縁性能に影響する可能性があります。また、光学部品では測定面の汚れ、機械部品では摩耗や動作抵抗の増加につながる場合があります。

粉じん侵入試験では、一般的に専用の試験装置を使用し、規定された種類の試験用粉体を一定条件で浮遊させます。製品の構造や目標等級によっては、筐体内部と外部の圧力差を考慮した条件が適用されることもあります。

IP5XとIP6Xでは、要求される保護の程度が異なります。IP5Xは粉じんの侵入を完全に禁止するものではなく、規定の判定条件に照らして有害な影響を生じる侵入がないことを評価します。一方、IP6Xでは、規定された試験条件で粉じんが内部へ侵入しないことが求められます。

試験後には、筐体内部の粉じん付着状況を確認するとともに、必要に応じて電気的な動作や機構部分の状態を評価します。単に製品が起動することだけを合格条件にすると、長期的な故障につながる微細な侵入を見逃す可能性があります。

設計段階で特に注意したいのは、筐体の合わせ面とケーブルの導入部です。シール材が適切に配置されていても、組立時の位置ずれや圧縮不足があると、粉じんが侵入する経路になります。

また、放熱や内外の圧力調整を目的とした通気構造がある場合は、その構造が目標とする粉じん保護性能に対応できるかを確認する必要があります。

アイデアを形にする会社には、試験実施の可否だけでなく、粉じんが侵入した場合に原因を特定できる構造解析や改善提案が可能かを確認しましょう。試験結果を設計へ反映できる体制があると、試作を繰り返す際の判断が容易になります。

試験項目2:散水試験で雨や水の飛まつに対する防水性を確認する

散水試験は、製品にさまざまな方向から水がかかった際に、内部への浸水が発生するかを確認する試験です。屋外で使用する電子機器や携帯型装置では、雨や水しぶきを想定した評価として重要です。

日常的な降雨に対する耐性を確認する場合でも、製品の設置方向によって水の流れ方が変わります。上面から落ちた水が側面を伝わり、筐体の合わせ面やコネクタ周辺に集中することがあります。

また、風によって横方向から水が吹き付ける場合や、地面から跳ね返った水が下部へ付着する場合も考えられます。単純に上から水をかけるだけでは、実際の使用環境で発生する浸水経路を十分に確認できない可能性があります。

IP等級における水の飛まつに対する評価では、IPX3やIPX4などの試験が関係します。IPX3は散水、IPX4は水の飛まつに対する保護を対象とし、それぞれ規定された方法と条件に従って評価します。

試験方法には、製品の周囲から水を作用させる装置や、規定条件で水を噴射する器具などが使用されます。試験対象の形状、寸法、設置方法によって適切な方法を選びます。

試験後は、内部への水の侵入状況だけでなく、製品の電気的な安全性や機能への影響を確認します。水滴が内部へ入った場合でも、製品の用途や規格上の判定条件によって評価が異なるため、単純に水滴の有無だけで合否を判断しないことが大切です。

設計上は、外部に付着した水をどのように流すかが重要です。水が溜まりやすいくぼみや、シール材へ直接水が集中する形状では、浸水のリスクが高まる可能性があります。

操作ボタンや充電端子の周辺も重点的な確認箇所です。開閉式カバーを採用している場合は、正しく閉じた状態での性能に加えて、想定される使用状態を明確にする必要があります。

アイデアを形にする会社へ散水試験を依頼する際には、試験時の姿勢、通電の有無、開閉部の状態、試験後の判定方法を事前に決めておきましょう。これにより、試験結果を再現しやすくなり、設計変更後の比較も可能になります。

試験項目3:噴流水試験で強い水流への耐性を確認する

噴流水試験は、一定条件の水流を製品へ噴射し、筐体の密閉性や水の侵入に対する保護性能を評価する試験です。水の飛まつよりも強い水流を受ける可能性がある製品では、重要な確認項目になります。

例えば、屋外に設置された機器が清掃時に水をかけられる場合や、設備の近くで水が勢いよく飛散する場合には、散水試験だけでは十分な評価にならないことがあります。

IPX5やIPX6は、規定された噴流水に対する保護を対象とします。両者は試験で使用する水流条件などが異なり、IPX6ではより強い噴流水に対する評価が行われます。

ただし、これらの等級は、あらゆる高圧洗浄条件への耐性を保証するものではありません。実際に高圧洗浄機器による清掃を想定する場合は、洗浄時の圧力、流量、距離、水温、噴射角度などを別途考慮する必要があります。

噴流水試験で注意したいのは、シール材に対して水流が局所的に作用する点です。筐体の合わせ面が水流と向き合う形状では、シール構造の弱点が表面化しやすくなります。

また、ケーブルの引き込み部分やコネクタの周辺では、水がケーブル表面を伝って侵入することがあります。ケーブルの曲げ方向や固定方法によって負荷が変化するため、実際の使用状態を考慮した取り付け条件で評価することが重要です。

試験後に確認する項目としては、内部への浸水、絶縁性能への影響、コネクタ部分の状態、操作部の正常動作などが考えられます。必要に応じて、試験前後の質量変化や内部の水分付着状況を記録する方法も有効です。

ただし、質量変化だけでは付着水と内部浸水を区別できないことがあるため、複数の評価方法を組み合わせることが望まれます。

噴流水試験で不具合が発生した場合は、単純にシール材を厚くするのではなく、水の侵入経路を特定して改善することが重要です。シール材の圧縮量、接触面の平面度、ねじの配置、ケーブル固定部の構造などを総合的に見直す必要があります。

開発会社には、目標等級への適合確認だけでなく、実際の清掃方法や使用環境を反映した追加試験を相談できるかも確認するとよいでしょう。

試験項目4:浸水試験で一時的な水没時の密閉性を確認する

浸水試験は、製品を水中に置いた状態で、内部への水の侵入と機能への影響を調べる試験です。水没する可能性がある携帯型機器、屋外用センサー、水辺で使用する装置などで重要になります。

IPX7は、規定された条件での一時的な浸漬に対する保護を評価する等級です。IPX8は、IPX7とは異なる浸漬条件を対象とし、適用される条件を製品の仕様に応じて定める必要があります。

ここで注意したいのは、浸水試験と噴流水試験では水の作用方法が異なることです。水中では外部の水圧が筐体全体に作用しますが、噴流水では局所的な水流の衝撃が生じます。

そのため、浸水試験に合格したことだけを理由に、強い噴流水に対しても十分な保護性能があると判断することはできません。

浸水試験では、試験中の水深、保持時間、水温、製品の姿勢などを管理します。特に水温と製品温度の差が大きい場合には、内部の空気の圧力変化や部品の収縮が生じ、浸水挙動に影響する可能性があります。

電子機器では、使用時に内部が発熱することがあります。発熱した製品が急に冷却されると、内部の空気が冷えて圧力が低下し、シール部分に圧力差が生じる場合があります。

このような現象は、常温で静置した状態の浸水試験だけでは十分に再現できないことがあります。実使用で急激な温度変化が想定される場合は、追加の環境試験を検討する必要があります。

浸水試験後は、内部への水分侵入の有無と、機能への影響を確認します。製品によっては、試験直後には正常に動作していても、残留した水分が時間の経過とともに腐食や絶縁不良を引き起こす可能性があります。

そのため、必要に応じて試験直後だけでなく、一定時間経過後の再確認を行うことが有効です。

また、防水構造を持つ製品でも、電池交換用のカバーや充電端子の保護部品が正しく装着されていなければ、想定した性能を発揮できないことがあります。

アイデアを形にする会社には、通常使用状態だけでなく、開閉部や交換部品がある場合の密閉構造をどのように管理するか確認しましょう。使用者の操作に依存する部分については、設計と取扱説明の両面から対策する必要があります。

試験項目5:温度変化・結露試験でシール構造の弱点を確認する

防水・防塵性能は、温度や湿度の変化によって影響を受ける場合があります。常温で密閉性が確保されていても、高温や低温にさらされることで、部品の寸法や材料の弾性が変化するためです。

樹脂製の筐体、金属部品、ゴム製シール材などは、材料ごとに熱膨張の特性が異なります。温度が変化すると、組み合わせた部品の間で寸法変化の差が生じ、シール材の圧縮状態が変わる可能性があります。

例えば、常温では十分に密着していた合わせ面が、低温環境では部品の収縮によって密着状態を変化させることがあります。逆に高温では、材料の軟化や長時間の圧縮による変形が問題になる場合があります。

温度変化試験では、想定する使用温度範囲に基づいて、製品を高温環境と低温環境にさらします。必要に応じて、温度を繰り返し変化させ、部品の接合状態やシール材への影響を確認します。

結露試験では、温湿度の変化によって内部や表面に水分が発生する可能性を評価します。ただし、結露と外部からの浸水は異なる現象です。

筐体内部に水滴が見つかった場合でも、必ずしも外部から液体の水が侵入したとは限りません。内部に含まれていた水蒸気が温度低下によって凝縮する場合もあります。

そのため、結露が確認された際は、水蒸気の侵入、内部に残留した湿気、材料からの水分放出、外部からの液体の浸入など、複数の原因を検討する必要があります。

結露による問題としては、電子基板の絶縁性能低下、金属部品の腐食、光学部品の曇り、センサーの測定誤差などが挙げられます。

防水性を高めるために密閉性を強化すると、内部に入り込んだ湿気が抜けにくくなることもあります。したがって、密閉構造の強化だけでなく、内部の湿気管理や通気構造の必要性を検討することが重要です。

なお、通気構造を設ける場合は、粉じんや液体の水に対する保護性能との両立を考える必要があります。

温度変化・結露試験は、IP等級を直接判定する試験とは区別して扱うべき評価です。高温や低温にさらした後で、必要な防水・防塵試験を再実施すると、環境負荷による性能変化を確認できます。

アイデアを形にする会社には、試験環境を設定できるかだけでなく、試験前後の寸法測定、シール材の状態確認、漏れ経路の推定など、原因分析まで対応できるかを確認するとよいでしょう。

試験項目6:耐久試験後の再評価で防水・防塵性能の維持を確認する

製品の防水・防塵性能は、製造直後の状態だけで判断するべきではありません。実際の使用では、開閉操作、振動、衝撃、温度変化、紫外線、部品の摩耗など、さまざまな負荷が加わります。

これらの影響によってシール材の弾性が低下したり、筐体の合わせ面が変形したりすると、初期状態で確保できていた密閉性が失われる可能性があります。

特に、繰り返し開閉する電池カバーや充電端子の保護部品、頻繁に押される操作ボタンなどは、長期使用による変化を確認したい箇所です。

耐久試験では、製品の使用方法に応じて繰り返し動作や負荷を与えます。例えば、開閉部であれば想定される操作回数に基づいて開閉を繰り返し、その後に防水・防塵性能を再評価します。

振動や衝撃が発生する製品では、実際の取り付け方法や使用状態を考慮した条件で機械的な負荷を与えることもあります。ただし、落下や衝撃試験の結果だけで密閉性能を判断せず、負荷を受けた後に必要な侵入保護試験を行うことが重要です。

シール材については、圧縮された状態が長期間続くことで、元の形状へ戻る能力が低下する場合があります。このような変化は、初期の試作品では目立たなくても、長期使用時に問題になる可能性があります。

また、屋外製品では紫外線や温湿度変化による樹脂部品の劣化も考慮する必要があります。材料の硬化や亀裂が発生すると、シール部分の密着状態が変化することがあります。

耐久試験後の再評価では、最初に実施した防水・防塵試験と比較できる条件を設定することが望まれます。試験条件が大きく異なると、性能がどの程度変化したのか判断しにくくなります。

さらに、試験後の外観だけでなく、シール材の損傷、ねじの緩み、筐体の変形、開閉部の摩耗などを確認します。

耐久試験の回数や負荷条件については、一般的な数値をそのまま採用するのではなく、製品の想定使用期間と利用頻度から設定することが重要です。

なお、加速試験の結果から実際の製品寿命を推定する場合には、負荷条件と劣化現象の関係を検討する必要があります。高い負荷を与えれば、必ず実使用と同じ劣化が短時間で再現されるとは限りません。

アイデアを形にする会社には、初期性能だけでなく、使用後の性能維持を検証する考え方があるか確認しましょう。試験結果をもとに部品形状や材料、組立条件を見直せる会社であれば、量産後の品質安定につなげやすくなります。

6つの試験を設計・試作・量産判定につなげる進め方

防水・防塵試験を効果的に活用するには、試験を実施する順序と、各段階で何を判断するかを整理することが重要です。

まず、企画段階では使用環境と必要な保護性能を定義します。目標とするIP等級だけでなく、清掃方法、温湿度条件、操作頻度、想定使用期間などを設計条件として明確にします。

この段階では、すべての試験条件を確定させる必要はありませんが、製品の基本構造を決めるうえで重要な条件は早めに共有する必要があります。

次に、基本設計段階では、想定される浸水経路や粉じん侵入経路を洗い出します。筐体の合わせ面、開閉部、ケーブル導入部、ボタン周辺などについて、シール方法と組立条件を検討します。

必要に応じて、製品全体を製作する前に、シール部分だけを模擬した試験片や部分試作品で確認する方法も有効です。これにより、構造上の課題を早期に見つけられる可能性があります。

試作段階では、製品全体を対象とした防水・防塵試験を実施します。このとき重要なのは、単に合格か不合格かを記録するだけでなく、どの条件で試験し、どのような状態になったかを残すことです。

不具合が発生した場合は、水や粉じんの侵入位置を調査し、設計変更につなげます。変更後には、改善した箇所だけでなく、関連する別の保護性能に影響が生じていないかも確認します。

例えば、水の侵入を防ぐために通気部分を塞いだ場合、内部圧力の変化や放熱への影響が発生する可能性があります。特定の試験に合格することだけを優先すると、製品全体の性能を損なうことがあります。

量産準備段階では、試作品と量産品の製造条件の違いを確認します。試作品を機械加工で製作し、量産品を樹脂成形で製作する場合、寸法精度や表面状態が変化することがあります。

シール材の圧縮量、ねじの締結条件、接着剤の塗布状態などについても、量産工程で再現できる管理方法を設定する必要があります。

さらに、製造されたすべての製品に対して規格上の完全な防水・防塵試験を行うとは限りません。製品の構造や要求品質に応じて、工程内検査、密閉性を確認する簡易試験、抜取試験などを組み合わせる方法があります。

ただし、簡易的な漏れ検査とIP等級の適合試験は同じものではありません。両者の関係を評価したうえで、量産検査の合格基準を定めることが重要です。

開発段階から量産時の検査方法を意識しておくと、試作品では実現できた性能を継続して確保しやすくなります。

アイデアを形にする会社を選ぶ際に確認したい試験体制

防水・防塵性能を重視する製品では、アイデアを形にする会社がどの範囲まで試験に対応できるかを確認する必要があります。

自社で試験設備を保有している会社もあれば、外部の試験機関と連携して評価を実施する会社もあります。重要なのは、試験設備を自社で持っているかどうかだけではなく、適切な試験条件を設定し、結果を設計へ反映できることです。

最初に確認したいのは、防水・防塵設計の実績です。類似した用途の製品について、どのような密閉構造を採用し、どのような試験を実施した経験があるかを確認します。

ただし、過去の製品で高いIP等級を取得した経験があることだけで、今回の製品でも同じ結果が得られるとは限りません。製品の寸法、材質、開閉構造、使用環境が異なれば、適切な設計方法も変わります。

次に、試験条件を具体的に説明できるかを確認します。試験時間、試験環境、使用する試験装置、試験時の姿勢、判定基準などを明確に説明できる会社であれば、評価内容を比較しやすくなります。

試験報告書の内容も重要です。報告書には、対象製品の識別情報、試作品の構成、試験日、適用した試験方法、試験条件、結果、観察された不具合などが記録されていることが望まれます。

試験に合格した場合でも、報告書に条件が記載されていなければ、後から同じ条件で再評価することが難しくなります。

また、試作品の構造を変更した際に、変更前後の結果を追跡できる管理体制も確認しましょう。筐体形状やシール材を変更した場合は、どの仕様の試作品でどの試験を実施したかを識別できる必要があります。

設計変更履歴と試験結果を関連付けて管理できる会社であれば、過去の評価結果を活用して効率的に改善を進められます。

外部試験機関を利用する場合には、試験依頼書の作成、試験品の準備、試験機関との条件調整、結果の解釈まで支援できるかも確認したいポイントです。

防水・防塵性能の評価は、試験装置に製品を入れるだけで完結するものではありません。製品の用途を理解したうえで試験を設計し、結果を機構設計や製造工程へ反映できることが、依頼先を選ぶ際の重要な判断基準になります。

防水・防塵試験で発生しやすい不具合と改善方法

防水・防塵試験で不具合が発生した場合には、原因を正確に特定することが重要です。浸水が確認されたという理由だけでシール材を追加しても、根本的な問題が解決しない場合があります。

代表的な不具合の一つが、筐体の合わせ面からの侵入です。合わせ面の平面度が不足していたり、ねじの配置によって締結力に偏りが生じたりすると、シール材の圧縮量が均一にならないことがあります。

改善する際には、シール材の種類だけでなく、溝形状、圧縮量、部品の剛性、ねじの配置などを見直します。

別の例として、ケーブル導入部からの浸水があります。ケーブルの外径と固定部品の寸法が適合していない場合や、引っ張りによってシール部分が変形する場合には、浸水が発生する可能性があります。

このような場合は、ケーブル固定方法やシール構造を見直すとともに、使用中に加わる力を考慮した再評価が必要です。

操作ボタンや開閉式カバーも、不具合が発生しやすい箇所です。特に、繰り返し動作する部品では、初期状態の密閉性だけでなく、摩耗や変形による性能変化を確認する必要があります。

また、試作品の製造方法が原因になる場合もあります。積層方式で製作した樹脂部品では、製造条件によって微細な空隙や表面の凹凸が生じることがあります。そのため、素材自体の水密性や表面状態を確認せずに、完成品の構造だけを評価すると、原因を誤認する可能性があります。

さらに、樹脂成形品では、反りや収縮によって合わせ面の寸法が変化する場合があります。試作時と量産時で製造方法を変更する場合には、密閉性能への影響を改めて評価することが重要です。

不具合の原因調査では、侵入経路を特定するための部分的な試験や、必要に応じた漏れ検査、内部観察などが有効です。ただし、調査方法そのものが筐体やシール材に影響を与える場合もあるため、適切な方法を選ぶ必要があります。

改善後には、問題が発生した条件を再現して効果を確認するとともに、別の試験項目に悪影響が生じていないかを確認します。

例えば、シール材の圧縮を強くすると密閉性が改善する場合がありますが、過度な圧縮によってシール材の寿命が短くなったり、筐体の変形が大きくなったりする可能性もあります。

防水・防塵設計では、一つの不具合を解消するだけでなく、製品全体の機能、製造性、整備性とのバランスを考えながら改善することが重要です。

また、試験で発見された不具合を次の設計に活用するためには、原因と対策を記録する仕組みが必要です。試験条件、発生位置、対策内容、再試験結果を関連付けて保存しておけば、類似製品の開発にも活用できます。

アイデアを形にする会社を選ぶ際には、試験を実施する能力だけでなく、不具合解析と改善設計を一体的に進められるかを重視するとよいでしょう。

まとめ:防水・防塵性能は試験と設計改善の両面から確保する

アイデアを形にする会社へ製品開発を依頼する際には、防水・防塵性能を初期設計から重要な要求事項として扱うことが大切です。

今回紹介した6つの試験項目は、粉じん侵入試験、散水試験、噴流水試験、浸水試験、温度変化・結露試験、耐久試験後の再評価です。それぞれ確認する現象が異なるため、製品の使用環境に応じて必要な試験を組み合わせる必要があります。

また、IP等級の取得を目標とする場合でも、規定条件での保護性能と実際の使用環境で必要となる耐久性を区別して考えることが重要です。初期状態での試験合格だけでなく、温度変化や繰り返し使用、製造ばらつきによる影響まで検討することで、製品の信頼性向上につながります。

開発会社を選定する際には、試験設備の有無だけでなく、要求仕様の整理、試験計画の作成、不具合原因の分析、設計改善、量産時の品質管理まで対応できるかを確認しましょう。

さらに、実際の使用現場で試作品を評価する場合には、試験条件や設置状況を正確に記録することも重要です。屋外に設置した装置の状態や不具合の発生位置、作業時の状況を記録しておけば、設計担当者と製造担当者の間で情報を共有しやすくなります。

こうした現場評価において、現場写真や位置情報、施工記録をまとめて管理する手段として、LRTK Phoneを活用する方法があります。試作品を設置した場所や現場の状況を記録し、改善前後の状態を比較することで、開発中の検証情報を整理しやすくなります。

ただし、現場での記録は規格に基づく防水・防塵試験の代わりになるものではありません。正式な試験結果と現場で得られた使用状況の記録を組み合わせることで、製品の品質評価をより充実させることができます。

アイデアを実用的な製品へ発展させるためには、機能や外観を実現するだけでなく、使用環境に耐えられる構造を設計し、その性能を客観的に確認することが欠かせません。防水・防塵試験を開発工程に適切に組み込み、試験結果を設計と製造に反映させることが、長く安心して使用できる製品づくりにつながります。

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