LRTKレフィクシア株式会社

電子機器の試作で振動による破損を防ぐ7つの耐久試験相談

電子機器の試作で振動試験が重要になる理由

電子機器の試作では、回路が正常に動作することや、筐体に部品が収まることだけでなく、実際の使用環境で安定して機能し続けることが求められます。特に、車両、産業機械、建設現場、屋外設備などで使用する電子機器は、運転中や移動中に繰り返し振動を受けるため、設計段階では見つからなかった不具合が発生する可能性があります。

振動による破損は、外観から確認できるものだけではありません。電子基板のはんだ接合部に微細な亀裂が生じたり、コネクタの接触状態が不安定になったり、配線の被覆が摩耗したりすることがあります。さらに、ねじの緩みや内部部品の共振によって、当初想定していなかった故障が起こる場合もあります。

こうした不具合は、試作品を机上で動作確認するだけでは発見しにくいものです。初期の通電試験では正常に動作していても、振動が加わることで一時的に電源が切れたり、通信が途切れたりすることがあります。振動が停止すると正常な状態に戻る故障もあるため、試験後の動作確認だけでは問題を見逃すおそれがあります。

そのため、電子機器の試作相談では、設計や部品製作と同時に、振動耐久試験の条件や評価方法について検討することが重要です。

ただし、振動試験は単に試作品を強く揺らせばよいわけではありません。使用環境と異なる振動を加えると、実際には発生しにくい破損を引き起こしたり、逆に重要な故障要因を見逃したりする可能性があります。試験条件が厳しいほど必ず適切な評価になるわけではなく、想定される振動環境と故障メカニズムを対応させる必要があります。

また、試作段階では設計が確定していないことも多く、すべての評価条件を最初から決められるとは限りません。初期試作では弱点を見つけるための試験を行い、改良後の試作品で要求条件への適合を確認するなど、開発段階に応じて目的を分ける方法も有効です。

本記事では、電子機器の試作で振動による破損を防ぐために、設計者や製造委託先、耐久試験の実施先と相談しておきたい7つの技術項目を解説します。試験条件の設定から不具合解析、量産移行まで、実務担当者が確認すべきポイントを整理します。

相談1:使用環境と振動による故障リスクを明確にする

振動耐久試験について相談する際、最初に確認すべきなのは、電子機器がどのような環境で使用されるかという点です。

同じ電子機器でも、建物内の固定設備に取り付ける場合と、走行する車両に搭載する場合では、想定される振動の性質が異なります。工場の機械設備では、回転機構や往復運動によって特定の周波数成分が強くなることがあります。一方、車両や移動式機械では、路面や運転状態の影響により、幅広い周波数成分を含む不規則な振動が発生することがあります。

電子機器の用途を伝えるだけでなく、取り付ける場所、使用姿勢、固定方法、周囲の機械構造などを具体的に説明することが重要です。

例えば、同じ産業機械に搭載する電子機器でも、剛性の高いフレームへ直接取り付ける場合と、薄い板金カバーへ固定する場合では、製品に伝わる振動が変わる可能性があります。取付部の剛性や周辺構造の共振によって、ある周波数の振動が増幅されることもあるためです。

また、振動が発生する時間と頻度も確認する必要があります。

一日中連続して稼働する設備と、一日に数回だけ動作する装置では、累積する振動負荷が異なります。短時間の強い振動と、長時間の比較的小さな振動では、問題となる故障形態も変わる可能性があります。

試作相談では、通常運転時の振動だけでなく、起動時、停止時、加減速時、搬送時などの条件も伝えるとよいでしょう。これらの過渡的な動作では、定常運転時とは異なる振動や衝撃が発生する場合があります。

さらに、機器の設置方向も重要です。

電子基板や内部部品は、振動が加わる方向によって変形や応力の分布が異なります。特に、片持ち状態で取り付けられた部品や、背の高い電子部品は、方向によって振動応答が大きく変わることがあります。

そのため、試験前には製品の使用姿勢と、主要な振動方向を整理しておく必要があります。

実際の振動環境を測定できる場合は、設置予定場所や類似設備に加速度センサーを取り付け、振動データを収集することも有効です。ただし、測定結果はセンサーの設置位置、固定方法、運転条件などに影響されるため、どの状態で取得したデータなのかを記録しておくことが欠かせません。

試作初期で実測が難しい場合は、使用条件が近い設備のデータや、用途に対応した試験要求を参考にする方法もあります。その場合も、参考条件をそのまま適用するのではなく、対象製品との違いを確認することが大切です。

電子機器の試作相談では、まず振動試験装置の性能を確認するのではなく、製品がどこで、どのように、どの程度の期間使用されるのかを共有することが、適切な評価計画につながります。

相談2:振動試験の種類と加振条件を適切に設定する

使用環境が整理できたら、次に振動試験の方法と条件を検討します。

電子機器の振動評価では、正弦波振動試験、ランダム振動試験、共振探索などが用いられます。これらは目的が異なるため、試作品にどのような故障リスクがあるかを考えながら選択する必要があります。

正弦波振動試験は、一定の周波数で周期的に変化する振動を加える方法です。周波数を変化させながら振動応答を確認することで、構造物が振動しやすくなる周波数帯を調べることができます。

電子基板、筐体、内部支持部品などには、それぞれ固有振動数があります。外部から加わる振動の周波数が構造の固有振動数付近になると、条件によっては共振によって変形や応力が増大する可能性があります。

そのため、正弦波を用いた周波数掃引によって共振の傾向を確認し、必要に応じて特定の周波数付近で耐久性を評価する方法があります。

一方、ランダム振動試験は、複数の周波数成分を含む不規則な振動を与える方法です。車両や機械設備など、広い周波数帯の振動が問題となる用途で検討されます。

ランダム振動では、振動の周波数分布を表すパワースペクトル密度や、振動加速度の実効値などを用いて試験条件を設定することがあります。全体の加速度実効値が同じでも、周波数ごとの振動エネルギーの分布が異なれば、製品の応答も変わる可能性があります。

したがって、振動の強さを一つの数値だけで指定するのではなく、必要に応じて周波数範囲とスペクトル形状まで明確にすることが重要です。

また、正弦波試験では、周波数、加速度、変位、掃引速度などの指定方法が試験結果に関係します。低周波側では変位が問題になり、高周波側では加速度や部品の局所応答が重要になることもあります。

試験時間についても、長ければよいとは限りません。試験条件を強くして短時間で評価する加速試験は有効な場合がありますが、その条件が実際の故障メカニズムを再現できるかを確認する必要があります。過大な振動を加えることで、実使用とは異なる場所に破損が発生する可能性もあるためです。

さらに、振動試験と衝撃試験は区別して考える必要があります。

輸送中の段差通過や機械の急停止などで発生する衝撃は、連続的な振動とは時間的な特徴が異なります。落下や衝突を想定する場合も、それぞれに対応した評価方法が必要になります。

電子機器の試作相談では、正弦波振動とランダム振動のどちらを実施するかだけでなく、どの故障リスクを確認する試験なのかを明確にしましょう。

さらに、試験対象の製品に適用される要求仕様や試験規格がある場合は、その条件との整合も確認します。試験規格に示された条件を採用する場合でも、対象製品の用途、取付状態、試験方向、動作状態などが適切に対応していることが前提です。

試験実施先に条件設定を依頼する際には、使用環境の情報を共有したうえで、試験方法を選んだ理由も説明してもらうと、後の設計改善や再試験に活用しやすくなります。

相談3:試験治具と製品の固定方法を実使用条件に合わせる

振動試験では、加振条件と同じくらい重要なのが、試作品をどのように固定するかという点です。

試験装置の振動台に電子機器を取り付ける際には、専用の試験治具が必要になることがあります。試験治具の形状や剛性、質量が適切でないと、指定した振動が試作品へ正しく伝わらず、評価結果に影響する可能性があります。

例えば、実際の製品は四隅のねじで固定される設計なのに、試験では筐体全体を強く挟み込んで固定したとします。この場合、実使用時とは異なる拘束条件になり、筐体や内部基板の変形が抑制されるおそれがあります。

逆に、試験治具の剛性が不足していると、治具自体が共振し、試作品に想定以上の振動が加わる可能性があります。

そのため、試験治具を設計する際には、実使用時の固定位置、固定点数、支持方法、取付面の剛性を確認する必要があります。

試作段階で筐体の形状が確定していない場合でも、予定している取付構造をできるだけ再現することが重要です。固定条件を変更した場合は、その変更が試験結果に及ぼす影響についても検討する必要があります。

ねじで固定する製品では、ねじの種類、締付条件、座面の状態なども確認します。

締付力が不足すると、振動中にねじが緩んだり、接触面で微小な滑りが生じたりする可能性があります。一方、必要以上の締付けは、樹脂筐体や電子基板に過大な応力を与える原因になる場合があります。

試験前に設計上の締付条件を定め、試験後の緩みや破損の状態を確認することで、固定構造の妥当性を評価しやすくなります。

また、試験対象にケーブルが接続されている場合は、その取り回しにも注意が必要です。

試験装置の外部に接続する電源ケーブルや通信ケーブルが強く引っ張られていると、コネクタに実使用時とは異なる荷重が加わることがあります。反対に、ケーブルを過度に固定すると、実際には発生するはずのケーブルの揺れや摩耗を再現できなくなる可能性があります。

配線の固定位置、余長、曲げ方向、支持方法を事前に決め、試験中の状態を記録しておくことが望まれます。

製品に防振ゴムや弾性支持部品を使用する場合も、慎重な検討が必要です。

防振構造は特定の周波数帯では振動伝達を低減できる一方、支持系の共振付近では振動が増幅されることがあります。そのため、防振部品を追加すればあらゆる振動に強くなるわけではありません。

支持系の固有振動数、搭載物の質量、取付方向、使用温度などを考慮したうえで、効果を確認することが重要です。

試作相談では、製品本体だけでなく、取付治具やケーブルを含めた試験構成を図面や写真で共有することが有効です。試験条件が同じでも、固定方法が変わると結果の比較が難しくなるため、再試験時にも同じ条件を再現できるようにしておきましょう。

相談4:基板・コネクタ・配線の評価項目を具体化する

電子機器の振動試験では、筐体が壊れないことだけを確認しても十分とは限りません。

電子機器の内部には、電子基板、実装部品、コネクタ、配線、電池、表示部、操作部など、振動の影響を受ける可能性のある構成要素が存在します。それぞれ故障の発生メカニズムが異なるため、試作相談では評価対象を具体的に整理する必要があります。

まず注意したいのが、電子基板の振動による変形です。

電子基板は、取付点の位置や基板の厚さ、部品の配置によって振動応答が変わります。振動によって基板が繰り返し曲がると、部品の端子やはんだ接合部に周期的な応力が加わる場合があります。

特に、質量の大きい部品や背の高い部品は、振動時に接合部へ負荷が集中する可能性があります。基板全体の共振と部品単体の揺れが重なると、局所的な損傷につながることもあります。

このようなリスクに対しては、基板の固定位置や支持点の追加、部品配置の変更、機械的な補強などが検討対象になります。ただし、補強材や接着材の追加は、熱膨張、放熱性、修理性などにも影響するため、振動対策だけで決めないことが重要です。

次に確認したいのが、コネクタの接触信頼性です。

コネクタには、振動によって接触圧が変化したり、接触部分に微小な相対運動が生じたりする可能性があります。その結果、一時的な接触不良や接触抵抗の変化が発生することがあります。

特に注意が必要なのは、試験後に正常な状態へ戻る断続的な不具合です。

振動中に一瞬だけ通信が途切れた場合、試験後の通電確認では問題を検出できないことがあります。そのため、重要な接続部分では、試験中の電気的な連続性や通信状態を監視する方法を検討します。

電源系統であれば電圧低下や瞬断、通信系統であれば通信エラーや再接続の発生、信号系統であれば異常値の有無などが評価対象になります。

配線については、コネクタだけでなく、ケーブル自体の疲労や摩耗にも注意します。

配線が筐体内部の角部や金属部品に接触していると、振動による繰り返し摩擦で被覆が損傷する可能性があります。また、曲げ半径が小さい部分や、固定位置の近くでは、繰り返し変形によって導体が損傷することもあります。

試作段階では、配線を無理なく配置できる空間が確保されているか、固定部品が適切に機能するか、組立時に配線が挟み込まれるおそれがないかを確認することが重要です。

さらに、電池を内蔵する電子機器では、電池の支持構造や接点の状態にも注意が必要です。

電池が振動によって移動すると、端子や保持部品に負荷が加わる可能性があります。電池の固定方法、緩衝構造、周辺部品との接触状態などを評価対象として整理しておきます。

液体を用いた構造や可動部を含む機器では、振動によりシール部や摺動部へ影響が生じる場合もあります。電子回路以外の機械構造についても、用途に応じて評価対象に含めることが必要です。

試作相談では、単に「振動後に動作すれば合格」とするのではなく、どの部品で何が起こると故障と判断するのかを具体化することが重要です。

故障リスクを部品ごとに整理することで、限られた試作期間でも重点的に確認すべき箇所を決めやすくなります。

相談5:振動試験の合否判定基準と記録方法を決める

振動耐久試験では、試験を実施する前に合否判定基準を明確にしておくことが重要です。

合否基準が曖昧なまま試験を進めると、不具合が発生しても、それが許容範囲なのか設計変更が必要な状態なのか判断できなくなる可能性があります。

例えば、振動試験中に電子機器が一時的に停止し、その後自動的に復帰した場合を考えます。

用途によっては、一時停止が重大な問題になる場合があります。一方、振動中の動作を要求しない用途では、試験後に所定の機能を維持していることが主な評価対象になる場合もあります。

したがって、電子機器の試作相談では、試験中の機能維持と試験後の機能維持を分けて考える必要があります。

試験中に継続動作を求める機器では、電源状態、通信状態、センサー出力、制御機能などの監視方法を決めておきます。装置の運転状態によっては、振動を加えながらすべての機能を確認することが難しいため、監視する機能に優先順位を付けることも必要です。

例えば、制御装置では異常な再起動や出力停止、計測装置では測定値の異常やデータ欠落などが重要な評価項目になる可能性があります。

その際、許容する変動幅や異常継続時間などは、製品の要求仕様に基づいて設定します。一般的な数値を一律に採用するのではなく、誤動作が実使用時にどのような影響を及ぼすかを考慮する必要があります。

外観や機械構造についても、判定対象を明確にします。

筐体の割れ、変形、ねじの緩み、部品の脱落、配線の損傷などは、振動試験後の確認項目になります。ただし、目視で異常が見つからなくても、内部に微細な損傷が生じている可能性はあります。

重要な接合部や固定部分については、必要に応じて拡大観察や電気特性の測定、分解確認などを検討します。分解によって状態が変わることもあるため、非破壊で確認する項目と分解後に確認する項目を区別しておくとよいでしょう。

記録方法についても、事前の相談が重要です。

試験中に異常が発生した時刻だけでなく、その時点の加振方向、周波数、振動レベル、製品の動作状態などを関連付けて記録できると、原因解析に役立ちます。

例えば、特定の周波数帯で通信エラーが繰り返し発生する場合、基板やコネクタの共振との関係を調べる手掛かりになることがあります。

振動試験装置の設定条件だけではなく、試験体の近くで実際に測定された応答を確認することも有効です。必要に応じて、基板や筐体に加速度センサーを配置し、振動台側の入力と製品側の応答を区別して記録します。

ただし、センサーの質量や取り付け方法が軽量部品の振動応答へ影響する場合もあるため、測定方法の妥当性に注意が必要です。

さらに、試験前後の状態比較も欠かせません。

試験前の外観写真、ねじの状態、機能確認結果などを残しておけば、試験後に発見された変化がもともと存在したものなのか判断しやすくなります。

試作段階では試作品の製作条件が個体ごとに異なる場合もあります。基板の改訂番号、使用部品、組立方法、試験実施日などを記録しておくことで、後から結果を比較しやすくなります。

振動試験の相談では、試験条件だけでなく、合否判定、測定方法、記録項目を一体として決めることが重要です。

相談6:試験で発生した破損の原因解析と設計改善を進める

振動試験で不具合が発生した場合、その結果は単なる失敗ではなく、設計改善につながる重要な情報になります。

ただし、破損箇所を見つけただけで原因を判断することは避ける必要があります。同じような破損でも、振動の伝達経路、部品の固定条件、材料特性、組立状態などによって原因が異なる場合があるためです。

例えば、電子基板のはんだ接合部に亀裂が見つかった場合を考えます。

原因としては、基板の繰り返したわみ、部品の質量による慣性力、基板固定位置の不適切さなどが考えられます。しかし、試作時のはんだ付け条件や部品実装状態が影響している可能性もあります。

そのため、試験前の製作状態と破損後の状態を比較し、設計要因と製造要因を区別しながら原因を検討することが重要です。

まず確認したいのは、破損が発生した場所と、試験中の振動条件との関係です。

特定の方向でのみ不具合が発生する場合は、その方向の変形や部品の支持状態が関係している可能性があります。特定の周波数付近で異常が生じる場合は、共振や局所的な振動増幅の影響を調べることが有効です。

また、試験体の複数箇所に似たような損傷が生じた場合は、製品全体の振動応答や共通する固定構造に着目する必要があります。

原因の候補が整理できたら、改善方法を検討します。

電子基板の振動変形が問題であれば、固定点の配置変更や支持構造の補強などが候補になります。質量の大きい部品の揺れが問題であれば、部品の配置変更や機械的な保持方法の見直しなどが考えられます。

コネクタの接触不良が問題であれば、保持構造、嵌合状態、配線支持方法などを確認します。ケーブルの摩耗が発生している場合は、配線経路の変更、保護部材の追加、固定位置の調整などを検討します。

筐体の破損では、材料の強度だけでなく、肉厚、リブ配置、ねじボス形状、応力集中部の有無なども確認する必要があります。

ただし、部品を厚くする、固定点を増やす、補強材を追加するといった対策が、必ずしもすべての振動条件で有効になるわけではありません。

構造の剛性や質量を変更すると、固有振動数や振動モードが変化します。ある周波数帯で振動が小さくなっても、別の周波数帯で応答が増える可能性があります。

また、固定点を追加することで基板の変形が抑えられる一方、組立時の拘束や熱膨張による応力が増える場合もあります。

そのため、改善策を検討する際には、振動耐久性だけでなく、熱設計、電気性能、組立性、保守性などへの影響も考慮する必要があります。

原因が複数考えられる場合は、一度に多くの設計条件を変更するのではなく、可能な範囲で変更要因を分けて評価する方法が有効です。

例えば、基板支持構造と配線固定方法を同時に大きく変更すると、改善後に不具合がなくなっても、どちらの対策が有効だったのか判断しにくくなることがあります。

試作の時間や数量に制約がある場合でも、変更前後の構造、試験条件、測定結果を記録し、設計改善との因果関係を検討できる状態にしておくことが重要です。

試験実施先へ相談する際は、不具合の発見だけでなく、破損部位の観察、振動応答の分析、改善後の評価方法まで対応できるかを確認すると、試作開発を効率的に進めやすくなります。

相談7:再試験と量産移行に向けた耐久性確認を計画する

振動試験で発見された問題を改善した後は、再試験によって対策の有効性を確認します。

ただし、改善後の試作品が一度の試験に合格しただけで、量産品の耐久性まで十分に確認できたとは限りません。

試作品と量産品では、材料、加工方法、組立手順、部品の調達条件などが異なる場合があります。試作段階で手作業によって慎重に組み立てた製品と、量産工程で製造される製品では、固定状態や配線の取り回しにばらつきが生じる可能性があります。

そのため、再試験では設計対策の効果を確認するとともに、量産工程で再現できる構造になっているかを検討する必要があります。

まず重要なのが、改善前後の試験条件を比較できるようにすることです。

加振条件、試験方向、固定方法、製品の動作状態などを変更してしまうと、結果の違いが設計改善によるものなのか、試験条件の違いによるものなのか判断しにくくなります。

改善効果を確認するための再試験では、原則として比較可能な条件を設定することが望まれます。

一方、改善によって新しい構造や故障リスクが生じた場合は、従来の条件を繰り返すだけでなく、追加の評価が必要になることもあります。

例えば、基板支持構造を変更したことで共振周波数が変わった場合は、従来問題が発生した周波数だけでなく、変更後の応答が大きくなる周波数帯も確認することが重要です。

次に、試験体の数量について検討します。

初期試作では、少数の試作品によって故障箇所を見つけることが主な目的になる場合があります。しかし、量産移行前に製品のばらつきを評価する場合は、単一の試作品だけでは十分な判断ができないことがあります。

特に、はんだ接合、ねじ締結、配線固定など、製造条件によって状態が変わる箇所では、個体差を考慮する必要があります。

試験体の数量は、要求される信頼性、想定する故障率、試験の目的などによって判断する必要があり、すべての製品に共通する数量があるわけではありません。

また、振動試験だけで確認できない耐久性にも注意が必要です。

実際の使用環境では、振動に加えて温度変化、湿度、粉じん、水分などの影響を受けることがあります。温度によって材料の剛性や弾性支持部品の特性が変わる場合もあり、単一温度での振動試験結果だけでは実使用時の状態を十分に再現できない可能性があります。

必要に応じて、温度条件を変えた振動評価や、その他の環境試験との組み合わせを検討します。ただし、試験を組み合わせる場合は、相互作用を評価する目的と、それぞれの試験条件を明確にすることが重要です。

量産移行時には、耐久性に影響する管理項目を製造工程へ反映することも欠かせません。

ねじの締付条件、接着材の施工条件、基板の固定方法、配線の支持位置などを設計図面や組立指示に反映し、製造現場で同じ状態を再現できるようにします。

試作時に有効だった補強方法が、量産工程では作業しにくい場合もあります。そのため、設計改善の段階から製造担当者と相談し、安定して組み立てられる構造を選ぶことが重要です。

さらに、量産開始後に部品や材料を変更する場合も、振動耐久性への影響を確認する必要があります。

外形寸法が同じ部品でも、質量、材料、端子構造、内部固定方法などが異なれば、振動応答が変わる可能性があります。

振動試験の結果を一度きりの合否判定として扱うのではなく、設計変更や製造条件変更の判断材料として継続的に活用することが、電子機器の信頼性向上につながります。

電子機器の試作相談で準備しておきたい技術資料

電子機器の振動耐久試験を円滑に進めるためには、相談前に必要な情報を整理しておくことが重要です。

まず準備したいのが、製品の用途と使用環境に関する資料です。

製品が使用される場所、設置対象の機械や設備、固定方向、稼働時間などを説明できる資料があると、試験条件の検討が進めやすくなります。

振動環境を測定したデータがある場合は、そのデータを取得した位置や運転条件も併せて記録します。実測データがない場合でも、想定される振動源や取付構造を説明できる資料があれば、初期検討の材料になります。

次に重要なのが、製品の構造を示す資料です。

筐体の外形図、内部部品の配置図、電子基板の固定位置、ねじの仕様、配線経路などを共有できると、破損リスクの高い箇所を検討しやすくなります。

試作品がまだ完成していない段階でも、設計中の三次元モデルや概略図を用いて相談することは可能です。

ただし、設計段階の資料と完成した試作品の状態が異なる場合は、その違いを明確にする必要があります。

試験時には、実際の試作品に使用された部品や製作条件を確認し、どの設計状態を評価した結果なのか追跡できるようにしておきます。

また、電気的な機能に関する情報も重要です。

どの機能を試験中に動作させる必要があるか、異常が発生するとどのような影響があるか、試験後にどの性能を確認するかなどを説明できるようにします。

振動試験を実施する担当者が回路設計の詳細をすべて理解しているとは限らないため、電源投入方法、通常動作の確認手順、異常状態の判断方法などを簡潔に整理しておくとよいでしょう。

さらに、試験に使用する試作品の製作履歴も残しておくことが望まれます。

試作品が手加工で製作されたものなのか、量産に近い工程で製造されたものなのかによって、試験結果の解釈が変わる場合があります。

特に、筐体の製作方法、基板の実装状態、接着や固定の施工条件などは、振動耐久性に影響する可能性があります。

相談先へすべての詳細資料を最初から開示する必要があるとは限りません。機密保持の条件を確認したうえで、試験条件の決定に必要な情報から段階的に共有する方法も考えられます。

重要なのは、振動試験を依頼する段階で、試験実施先が目的と評価対象を正しく理解できる状態にしておくことです。

振動試験を外部に相談する際の進め方と注意点

電子機器の試作では、社内に振動試験設備がない場合や、原因解析に必要な専門知識が不足している場合があります。そのような場合は、試験設備を保有する外部の専門事業者や、電子機器の試作開発に対応できる製造委託先へ相談する方法があります。

ただし、外部に依頼する際には、試験装置を保有しているかどうかだけで判断しないことが重要です。

まず確認したいのが、試験条件の設定について技術的な相談ができるかという点です。

依頼者が試験条件を完全に指定できる場合は、その条件を再現できる設備や管理体制が重要になります。一方、使用環境から試験条件を検討する段階では、振動の種類、評価方向、試験時間などを一緒に整理できる対応力が求められます。

次に、試験対象の寸法、質量、固定方法に対応できるかを確認します。

振動試験装置には、搭載できる質量や加振できる周波数範囲、加速度、変位などの制約があります。試作品の質量だけでなく、試験治具や付属品を含めた条件で適用可能かを判断する必要があります。

試験方向を変更する場合には、治具の構成や製品の取付状態が変わることもあります。複数方向での試験を計画している場合は、それぞれの方向について実施方法を確認しておくことが重要です。

また、電子機器を通電しながら試験する場合は、電源供給や信号監視に必要な設備を使用できるかも確認します。

試験装置が正常に振動を加えられても、電子機器の瞬断や通信異常を検出できなければ、目的とする評価を十分に実施できない可能性があります。

評価項目に応じて、試験中の電圧監視、信号記録、データ取得などが必要になる場合があります。監視装置の測定間隔や検出能力が、確認したい異常に対応しているかも検討しておきましょう。

さらに、試験報告書に何が記載されるかを確認することも重要です。

試験日時や設定条件だけでなく、実際の測定結果、試験体の状態、異常発生時の記録などが残されていると、その後の設計判断に活用しやすくなります。

試験の実施記録と、要求仕様への適合を示す評価結果は必ずしも同じではありません。どの要求に対して、どの試験条件で、何を根拠として合否を判定したのかが分かるようにしておくことが望まれます。

不具合が発生した場合の対応範囲も、事前に確認しておきたい項目です。

試験を中断する条件、試験体を分解する前の確認手順、破損状態の写真記録、追加測定の要否などを整理しておくと、貴重な試作品から得られる情報を失いにくくなります。

また、振動試験の実施先と製品設計の担当者が異なる場合は、情報共有の方法を決めておくことが重要です。

試験で異常が発生した際に、設計者へ速やかに状況を伝えられる体制があれば、必要な追加測定や観察方法を検討しやすくなります。

試験結果を受け取ってから原因を調べ始めるのではなく、異常発生時の対応まで事前に合意しておくことで、試作評価をより効率的に進められます。

電子機器の試作相談は、試作品を製作してから耐久試験を依頼するだけの工程ではありません。構造設計、部品選定、試験条件、評価方法、設計改善を関連付けて検討することで、限られた開発期間でも重要な故障リスクを見つけやすくなります。

特に、実使用環境の情報が不足している場合は、試験条件を仮定して実施する前に、その仮定が妥当かを確認することが大切です。必要に応じて現場の振動データや取付状態を把握し、評価計画へ反映することで、試験結果の解釈をより明確にできます。

まとめ|電子機器の振動破損を防ぐには試作段階の相談が重要

電子機器の振動による破損を防ぐためには、試作段階から使用環境と故障リスクを整理し、適切な耐久試験を計画することが重要です。

振動試験では、使用環境の把握、試験方法の選定、製品の固定方法、内部部品の評価、合否判定、原因解析、再試験という一連の検討が必要になります。

特に、電子基板のはんだ接合部、コネクタ、配線、筐体の固定構造などは、外観だけでは不具合を判断しにくい場合があります。試験中の動作監視や振動応答の測定を必要に応じて組み合わせることで、破損に至る前の異常を把握できる可能性があります。

また、試験条件を厳しくすれば必ず信頼性が高まるわけではありません。実際の使用環境に対応した条件を選び、再現性のある方法で評価することが大切です。

試験で不具合が見つかった場合は、破損箇所だけを修正するのではなく、振動の伝達経路や構造上の原因を検討し、改善後の再試験によって効果を確認することが求められます。

さらに、量産移行時には、試作段階で有効だった固定方法や組立条件を製造工程へ反映し、耐久性に関係する品質を安定させる必要があります。

電子機器の振動耐久性は、試験だけで確保できるものではなく、設計、製造、評価、改善を継続的につなげることで高めていくものです。

また、電子機器を建設現場や屋外設備、産業機械などに設置する場合は、実際の設置環境を記録しておくことも役立ちます。取付位置や周辺設備の状態、施工時の固定状況などを写真とともに残すことで、耐久試験の条件検討や不具合発生後の状況確認に利用しやすくなります。

こうした現場情報の記録と共有には、LRTK Phoneを活用する方法があります。LRTK Phoneは、現場写真と位置情報を関連付けた記録や、施工情報の管理・共有に利用できる製品です。電子機器の設置場所や施工状況を記録し、関係者間で情報を共有することで、設計担当者と現場担当者の認識をそろえやすくなります。

LRTK Phone自体が振動加速度を測定する専用の耐久試験装置に代わるものではありませんが、現場での設置条件や施工記録を整理する手段として活用できます。

電子機器の試作では、室内での耐久試験に加えて、実際に使用される現場の情報を把握することも重要です。試験結果と設置環境の記録を適切に関連付け、振動による破損リスクの低減と、長期的な信頼性の確保につなげていきましょう。

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