LRTKレフィクシア株式会社

VRS測量の作業日報に残すべきトラブル記録5つ

VRS測量の日報は後から原因を追える形で残す

VRS測量の作業日報は、単に「作業を行った」「測点を測った」「異常なし」と残すだけでは十分とはいえません。特に現場で通信が不安定になったり、FIX状態になるまで時間がかかったり、測定値に違和感が出たりした場合は、その場では作業を進められても、後から成果を確認する段階で説明が必要になることがあります。VRSは、衛星受信、補正情報、通信環境、上空視界、周辺構造物、作業者の判断が重なって成立するため、トラブルの原因も一つに決めきれないことが多いです。

作業日報に残すべきなのは、感覚的な感想ではなく、後で状況を確認できる情報です。「つながりにくかった」だけでは、通信回線の問題なのか、補正情報の受信設定なのか、上空視界の悪化なのか、現場の一時的な遮蔽物なのかが分かりません。「午前中に北側の建物沿いで補正情報の受信が途切れ、再接続後に再初期化してから測点を取り直した」と残せば、問題が発生した時間帯、場所、症状、対応、測定への影響を後から確認できます。

VRS測量の日報で重要なのは、完璧な文章を書くことではありません。重要なのは、トラブルが発生した事実、発生した場所、発生した時間、測定状態、取った対応、成果に影響する可能性があるかどうかを整理して残すことです。現場では作業を終わらせることが優先されるため、細かな記録は後回しになりがちです。しかし、測量成果は後から図面、出来形、検査資料、関係者説明に使われます。その時に、どの測点が安定条件で取得されたのか、どの測点に注意が必要なのか、どの範囲で再測や確認が必要なのかを判断する材料がなければ、再確認の範囲が広がり、余計な手戻りにつながります。

VRSで検索する実務担当者の多くは、機器の使い方だけでなく、現場運用として何を残せば安全かを知りたいはずです。作業日報は、担当者個人の記憶を会社の記録に変える役割を持ちます。たとえば、同じ現場で別の日に測量を行う担当者が日報を見れば、「この場所は午後に通信が不安定になりやすい」「この建物際はFIXまで時間がかかる」「この既知点では前回も差が出たため再確認が必要」といった注意点を共有できます。つまり、日報は一日の報告書であると同時に、次の作業のリスクを下げるための現場データでもあります。

VRS測量のトラブル記録では、原因を断定しすぎないことも大切です。現場で起きた症状だけを見て「通信会社の問題」「衛星数不足」「受信機不良」と決めつけると、後で別の原因が見つかった時に記録が使いにくくなります。日報では、「通信切断を確認」「補正情報の受信が停止」「FIXからFLOATへ変化」「建物近接部で測定値が安定しない」など、実際に確認した事実を中心に書きます。そのうえで、「上空視界の影響が疑われる」「通信環境の影響が考えられる」など、推定は推定として区別しておくと、後工程での判断がしやすくなります。

この記事では、VRS測量の作業日報に残すべきトラブル記録を五つに分けて整理します。通信、初期化、衛星環境、座標値、現場判断という五つの観点で記録を残せば、単なる作業報告ではなく、成果確認と再発防止に使える日報になります。

通信切断や補正情報の受信不良を記録する

VRS測量で最初に日報へ残したいトラブルは、通信切断や補正情報の受信不良です。VRSは、現場の移動局が補正情報を受け取りながら測位する方式のため、通信が不安定になると測位状態に影響が出ることがあります。通信が一瞬途切れただけで作業が完全に止まるとは限りませんが、補正情報の受信が止まった時間が長くなれば、測位状態の低下や再初期化の必要が出る場合があります。したがって、通信に関するトラブルは、作業日報に残すべき基本項目です。

日報に残す内容としては、まず発生した時間帯が重要です。たとえば、午前十時頃から十時十五分頃まで、午後の再開直後、夕方の作業終盤など、できるだけ具体的に残します。正確な時刻が分からない場合でも、作業工程と結び付けて書くことで、後から測定データの時刻と照合しやすくなります。次に、発生場所も必要です。現場全体で不安定だったのか、敷地の一部だけだったのか、建物の陰、斜面下、樹木付近、造成地の奥側など、場所の特徴と合わせて残します。

通信トラブルでは、症状の書き分けも大切です。「通信が悪い」と書くだけでは、何が起きたのか分かりません。補正情報の受信が止まったのか、接続そのものが切れたのか、接続は維持されているが測位状態が安定しなかったのか、再接続に時間がかかったのかを分けて記録します。現場で確認できる表示や状態をそのまま残しておくと、後から機器設定や運用手順の見直しにつなげやすくなります。

また、通信切断が測定成果にどう影響したかも残す必要があります。切断中に測点を取得していないなら、その旨を明記します。切断後に再接続し、初期化が完了してから測点を取り直した場合は、その対応を記録します。もし通信状態が不安定なまま一部の測点を取得した可能性があるなら、対象範囲や測点番号を残し、後で確認できるようにしておきます。ここを曖昧にすると、成果確認時にどこまで信頼してよいか判断しにくくなります。

通信トラブルの記録では、対応内容も重要です。再接続を行った、場所を少し移動してから再測した、受信状態が安定するまで待機した、別の通信手段に切り替えた、測点を後回しにした、既知点で確認してから作業を再開したなど、現場で実施した対応を残します。単に「復旧した」と書くよりも、「補正情報の受信再開後、FIX状態を確認し、既知点で確認してから作業再開」と書いた方が、作業の妥当性を説明しやすくなります。

通信に関する記録は、現場単位の傾向把握にも役立ちます。同じ現場で何度も通信切断が起きる場所があれば、次回以降は作業順序を変えたり、測定前に通信状況を確認したり、別の時間帯に作業したりする判断ができます。特に山間部、造成地、大型構造物の近く、携帯通信が不安定になりやすい場所では、日報の蓄積がそのまま作業計画の改善材料になります。

注意したいのは、通信トラブルを作業者のミスとして処理しないことです。もちろん、設定誤りや接続先の選択ミスが原因となる場合もありますが、現場条件によって発生する一時的な不安定さもあります。日報では責任の所在を急いで決めるのではなく、何が起きたかを正確に残すことを優先します。記録が具体的であれば、後から設定、機器、通信環境、現場条件のどれを見直すべきか判断できます。

VRS測量では、通信が安定していることを前提に作業を進めがちです。しかし、実際の現場では通信が途切れることがあります。その時に日報へ記録していないと、成果に疑問が出た時に「その日は問題なかったはず」という曖昧な記憶に頼ることになります。通信切断や補正情報の受信不良は、日報に残すべき最優先のトラブル記録です。

FIXしない時間や初期化のやり直しを記録する

二つ目に残すべきトラブル記録は、FIXしない時間や初期化のやり直しです。VRS測量では、測位状態が安定しているかどうかが成果の信頼性に大きく関わります。現場で作業していると、受信機を起動してもなかなかFIXしない、移動後にFIXが外れる、再初期化を繰り返す、測点付近では安定するが特定の場所でだけ不安定になる、といった状況が起きることがあります。これらは作業日報に残しておかなければ、後から測定条件を確認できません。

日報には、まずFIXしなかった時間の長さを残します。何分程度待機したのか、どのタイミングで初期化が完了したのか、初期化に時間がかかった場所はどこかを記録します。たとえば、「現場南側の樹木付近で起動後約五分間FIXせず、開けた場所へ移動後にFIXを確認」と書けば、上空視界や周辺環境の影響を後から検討できます。時間を記録しないまま「初期化に時間がかかった」とだけ書くと、軽微な遅れだったのか、作業計画に影響する程度だったのかが分かりません。

初期化のやり直しが発生した場合は、その回数と理由も残します。受信状態が不安定でやり直したのか、通信再接続後にやり直したのか、移動中に状態が変わったのか、測点取得前の確認で違和感があったのかを分けて書きます。特に、測点取得後に初期化不安定が判明した場合は、どの測点を再測したのか、どこから作業をやり直したのかを明確に残す必要があります。再測の範囲が日報に残っていれば、成果整理時に不要な不安を減らせます。

FIX状態に関する記録では、状態の変化も重要です。測点取得時はFIXだったが、移動中にFLOATになった、構造物に近づくと状態が落ちた、同じ場所で数回確認したが安定しなかった、といった変化を残します。VRS測量では、単に最終的に測点が取得できたかどうかだけでなく、取得前後の状態が安定していたかどうかが確認材料になります。測点取得の瞬間だけを見て判断するのではなく、前後の状態を含めて記録することで、日報の価値が高まります。

また、初期化に関するトラブルは、作業者の判断とセットで残すことが大切です。たとえば、FIXしないため開けた場所に移動して初期化した、既知点で確認してから対象測点を測った、測点付近で安定しないため測定方法を変更した、当日の測定対象から外して後日確認とした、などの判断を残します。これにより、後から「なぜその測点だけ測定時刻が遅いのか」「なぜ一部を再測しているのか」と聞かれた時に、日報で説明できます。

日報に残す際は、「FIXしなかったので困った」という表現よりも、「FIXしない状態が何分続き、どの場所で、どの対応を取り、どの測点に影響したか」を書くことが重要です。現場では時間に追われるため、つい短いメモになりがちですが、初期化不良は成果の信頼性と直結しやすい項目です。最低限、場所、時間、状態、対応、再測の有無を残すだけでも、後工程での確認作業は大きく変わります。

FIXしない原因は、衛星配置、上空視界、周辺反射、通信状態、機器設定、アンテナ設置状態など複数考えられます。現場で原因を完全に特定できない場合もあります。そのため、日報では「原因は上空視界」と断定するよりも、「建物際でFIXしにくく、開けた場所で改善」といった事実の流れを残す方が安全です。後からデータや現場写真と照合すれば、より正確な原因分析につながります。

初期化のやり直しは、作業効率の低下としても重要な記録です。同じような現場条件で毎回時間がかかっているなら、次回から作業開始位置を変える、最初に既知点確認を行う、上空視界の良い場所で初期化してから移動する、作業順序を変更するなどの改善が可能です。つまり、FIXしない時間や初期化のやり直しは、単なるトラブル報告ではなく、作業計画を改善するための材料になります。

衛星配置や上空視界の悪化を記録する

三つ目に残すべきトラブル記録は、衛星配置や上空視界の悪化です。VRS測量では、受信できる衛星数や衛星の配置、上空の開け具合が測位の安定性に影響します。現場で十分な数の衛星を受信できていても、建物、樹木、法面、重機、仮設物、橋梁、電線、看板などが近くにあると、上空視界が制限されたり、反射の影響を受けたりすることがあります。このような条件は日報に残しておかないと、後から測定値のばらつきや初期化不良の原因を追いにくくなります。

日報に残すべきなのは、単なる衛星数だけではありません。衛星数が多くても、配置が偏っていたり、低い仰角の衛星に頼る条件になっていたり、周辺の遮蔽物が多かったりすると、測位が不安定になることがあります。そのため、日報では「衛星数が少ない」といった結果だけでなく、現場の上空条件を言葉で残すことが重要です。たとえば、「北側に高い建物があり、測点付近で上空視界が狭い」「樹木の枝葉が測点上部にかかっている」「仮設足場の近くで受信状態が不安定」といった記録は、後から現場状況を理解する助けになります。

特に注意したいのは、同じ現場内でも場所によって条件が大きく変わることです。開けた造成面では安定していても、敷地境界付近、建物際、林縁部、道路沿い、法面下では状態が変わる場合があります。日報には、現場全体の印象だけでなく、トラブルが起きた範囲を具体的に残します。「現場西側の境界杭付近で上空視界が悪く、測定値が安定するまで待機」「南東側の樹木付近では測点取得前後で状態確認を追加」といった記録があれば、後から注意範囲を絞り込めます。

上空視界の悪化は、一時的なものと恒常的なものがあります。建物や樹木のように常に存在するものもあれば、作業中の重機、仮設資材、搬入車両、作業員の密集、クレーンの位置など、その日だけ影響した可能性があるものもあります。日報には、恒常的な遮蔽物か、一時的な現場条件かを分けて残すと有効です。特に一時的な条件は、写真や記憶がないと後から再現しにくいため、日報への記録が重要になります。

衛星配置や上空視界のトラブルでは、測定を実施したか、延期したか、再測したかも必ず残します。上空視界が悪い場所で測定した場合でも、十分に状態が安定してから取得したのか、複数回確認したのか、別位置から補助的に確認したのかによって、成果の扱いが変わります。もし条件が悪く、測点取得を見送った場合は、その判断も重要な記録です。「測れなかった」という結果だけではなく、「上空視界不良のため当日測定対象から除外し、後日再確認予定」と残せば、未測点の理由が明確になります。

現場写真と日報を組み合わせることも効果的です。この記事では画像の挿入は不要ですが、実務上は日報に写真番号や撮影位置を記録しておくと、後で遮蔽物の状況を確認しやすくなります。たとえば、日報に「測点周辺写真を作業記録フォルダに保存」と残しておけば、成果確認者が現場に行かなくても状況を把握できます。VRS測量では、測定データだけでは周辺環境を説明できないことがあるため、日報の文章が重要な補足になります。

衛星配置や上空視界に関する記録では、安易に「精度が悪い」と書かないことも大切です。精度という言葉は広く使われますが、実際には測位状態、ばらつき、再現性、既知点との差、現場条件などを分けて確認する必要があります。日報では、「上空視界が狭く測位状態が不安定」「測点取得前に待機時間を長めに確保」「既知点確認後に作業再開」といった具体的な表現にすると、後から検証しやすくなります。

上空視界の記録は、次回の作業段取りにも役立ちます。条件が悪い場所を先に把握しておけば、作業時間に余裕を持たせたり、測定順序を変えたり、補助的な確認方法を準備したりできます。VRS測量では、現場に着いてから初めて分かる条件も多いため、一度経験したトラブルを日報に残し、次の作業に反映することが大切です。

座標値のばらつきや既知点との差を記録する

四つ目に残すべきトラブル記録は、座標値のばらつきや既知点との差です。VRS測量では、測位状態が安定して見えていても、同じ点を測り直した時に値がばらついたり、既知点で確認した時に想定より大きな差が出たりすることがあります。このような異常は、成果の信頼性を判断するうえで非常に重要です。日報に残さずに作業を進めると、後から成果整理で差異が見つかった際に、現場で何が起きていたのか分からなくなります。

座標値のばらつきを記録する際は、まず対象の測点を明確にします。どの測点でばらついたのか、再測したのは同じ点なのか、近接点なのか、測定条件は同じだったのかを残します。単に「座標がばらついた」と書くのではなく、「境界付近の測点で複数回測定したところ、平面位置にばらつきが見られたため再確認」といった形で、対象と症状を結び付けます。測点番号や測定範囲が分かるようにしておくと、後からデータと照合できます。

既知点との差についても、どの既知点で確認したのか、いつ確認したのか、作業開始時なのか、途中確認なのか、作業終了時なのかを残します。VRS測量では、作業前後に既知点で確認する運用を行うことがありますが、その結果が日報に残っていなければ、測定全体の信頼性を説明しにくくなります。差が許容範囲内だった場合も、問題がなかったことを記録する意味があります。差が大きかった場合は、再初期化、再測、設定確認、測点除外など、実施した対応を必ず残します。

日報では、数値の扱いにも注意が必要です。現場で確認した差やばらつきの数値を残す場合は、単位や方向を明確にします。平面位置なのか、高さ方向なのか、水平と鉛直のどちらに差が出たのかを書き分けると、原因分析がしやすくなります。たとえば、高さ方向だけに差が出ているのか、平面位置も含めてずれているのかでは、確認すべき項目が変わります。測定条件、アンテナ高、点名、座標系、作業手順の確認につなげるためにも、日報にはできるだけ具体的に残します。

座標値の異常が出た時は、原因を一つに決めつけないことが大切です。既知点との差が出た場合でも、VRSの補正情報だけが原因とは限りません。アンテナ高の入力、点名の取り違え、既知点情報の参照ミス、座標系の扱い、設置位置のずれ、周辺環境の影響、測定手順の違いなど、複数の可能性があります。日報では、「既知点との差を確認」「アンテナ高を再確認」「点名と座標系を照合」「再測後の値を記録」といった確認手順を残すことで、後から原因を切り分けやすくなります。

特に注意したいのは、異常値をそのまま成果に混ぜないことです。現場では作業量が多く、時間に追われると、多少の違和感があっても先へ進めたくなります。しかし、後から成果全体の整合が取れなくなると、再測範囲が広がる場合があります。日報には、異常値を採用したのか、除外したのか、再測値を採用したのか、確認中として保留したのかを残します。成果整理を行う担当者が別の場合、この記録がないと判断に迷います。

座標値のばらつきは、現場条件と合わせて読むことで意味が出ます。同じ測点でばらつきが出た時、その場所が建物際だったのか、樹木の下だったのか、通信が不安定だったのか、初期化直後だったのか、移動後すぐだったのかによって、考えられる原因が変わります。したがって、日報では座標値のトラブルを単独で書くのではなく、通信状態、FIX状態、上空視界、作業手順と関連付けて残すことが望ましいです。

既知点との差を日報に残すことは、社内承認や発注者説明にも役立ちます。測量成果を提出する際に、作業条件や確認結果を問われることがあります。その時に、日報に「作業開始前に既知点で確認し、作業終了後にも再確認」「途中で差を確認したため再初期化し、対象範囲を再測」と記録されていれば、現場で必要な確認を行っていたことを説明できます。これは担当者の防御ではなく、成果の信頼性を支える記録です。

VRS測量の日報で座標値のトラブルを残す際は、問題の有無だけでなく、判断の過程を残すことが重要です。ばらつきが出た、差が出た、再測した、確認した、採用値を決めたという流れが見える日報であれば、後から成果を見直す時にも安心して判断できます。

作業条件の変更や現場判断を記録する

五つ目に残すべきトラブル記録は、作業条件の変更や現場判断です。VRS測量の現場では、予定どおりに作業が進むとは限りません。天候、重機の稼働、立入制限、他工種との干渉、仮設物の設置、作業範囲の変更、測点の追加や削除、作業順序の入れ替えなど、当日に判断しなければならないことが多くあります。これらは一見すると測量機器のトラブルではありませんが、測量成果や作業記録に影響するため、日報に残すべき重要なトラブル記録です。

作業条件の変更で特に重要なのは、当初計画との違いです。予定していた測点を測れなかった、予定外の測点を追加した、作業範囲を一部変更した、立入できない場所があった、測定順序を変更した、といった内容は、日報に明記します。後から成果を見た人は、現場で何が起きたかを知りません。計画図と成果データだけを見て、なぜ一部が未測なのか、なぜ測定時刻が大きく離れているのか、なぜ測点名が追加されているのかを判断するのは困難です。

現場判断を記録する際は、誰が、なぜ、その判断をしたのかを残すと有効です。たとえば、「重機稼働範囲と重なるため、現場責任者と協議し、北側測点を午後へ変更」「立入制限により対象範囲の一部を当日未測とし、次回確認予定」「仮設資材が測点上に置かれていたため、撤去後に再測」といった記録です。判断の理由が残っていれば、後から作業漏れと誤解されにくくなります。

天候や路面条件も、必要に応じて日報に残します。強風、降雨、積雪、ぬかるみ、視界不良、日没間近の作業などは、測量そのものだけでなく、安全確保や作業効率にも影響します。天候が直接VRSの測位に影響したと断定する必要はありませんが、現場条件として作業判断に関わった場合は記録しておくべきです。たとえば、「降雨により測点周辺の足元が悪化し、作業範囲を縮小」「強風のためポール保持に注意し、複数回確認を実施」といった記録は、測定時の状況を説明する材料になります。

他工種との干渉も見落としやすい項目です。建設現場や造成現場では、測量中に重機、資材搬入、足場作業、配管作業、舗装作業などが同時に進むことがあります。その結果、測点へ近づけなかったり、上空視界が一時的に遮られたり、安全上の理由で作業を中断したりすることがあります。こうした状況は、測量データだけでは分かりません。日報に残すことで、測量担当者だけでなく、現場全体で作業調整の改善に活用できます。

作業条件の変更では、未測点と再測予定の扱いを明確にすることが重要です。未測点がある場合は、なぜ測れなかったのか、いつ確認する予定なのか、誰に共有したのかを残します。再測が必要な場合は、対象測点、理由、優先度を残します。ここが曖昧だと、日報上は作業済みに見えてしまい、後から漏れが発覚することがあります。VRS測量の日報では、完了した作業だけでなく、未完了の理由を残すことが重要です。

また、現場で測定方法を変えた場合も記録が必要です。たとえば、通常の測定時間では値が安定しにくかったため観測時間を長めに取った、同じ点を複数回確認した、近接点との整合を確認した、既知点確認を追加した、測定位置を安全上の理由で調整した、といった判断です。これらは成果整理時に重要な情報になります。作業者にとっては当然の判断でも、日報に残していなければ、後から見る人には分かりません。

現場判断の記録で大切なのは、責任追及のためではなく、判断の根拠を共有するために書くことです。日報に「予定どおりできなかった」とだけ書くと、単なる遅れに見えます。しかし、「安全通路確保のため測定順序を変更」「仮設物撤去後に再測する方針」と書けば、現場として妥当な判断をしたことが伝わります。VRS測量の成果は、測位技術だけでなく、現場運用の妥当性にも支えられています。

作業条件の変更や現場判断を日報に残しておくと、次回作業の段取りが大きく改善します。測れなかった場所、時間帯によって混雑する場所、他工種と干渉しやすい範囲、安全上の制約がある場所を事前に把握できれば、作業計画に反映できます。日報は過去の記録であると同時に、次の作業を早く正確に進めるための資料になります。

VRS測量の日報を再発防止に使うためのまとめ

VRS測量の作業日報に残すべきトラブル記録は、通信切断や補正情報の受信不良、FIXしない時間や初期化のやり直し、衛星配置や上空視界の悪化、座標値のばらつきや既知点との差、作業条件の変更や現場判断の五つです。これらを記録しておけば、作業後に成果を確認する時だけでなく、次回以降の作業計画や社内共有にも役立ちます。

日報を書く時に大切なのは、トラブルを大げさに書くことではありません。小さな違和感でも、成果に影響する可能性があるものは、後から確認できる形で残すことです。通信が一度途切れた、初期化に時間がかかった、建物際で状態が不安定だった、既知点で差を確認した、予定していた測点を後回しにした。このような出来事は、現場ではよくあることかもしれません。しかし、記録がなければ、後から見た時には何も分かりません。記録があれば、判断できます。

また、日報では原因を断定しすぎず、確認した事実と現場対応を分けて残すことが重要です。「通信不良のため補正情報の受信が停止」「再接続後にFIXを確認」「対象測点を再測」「既知点確認後に作業再開」というように、発生、確認、対応、結果の流れで書くと、後から読んだ人が状況を理解しやすくなります。逆に、「調子が悪かった」「精度が悪かった」「問題があった」という曖昧な表現だけでは、成果確認にも再発防止にも使いにくくなります。

VRS測量の日報は、現場担当者だけのためのものではありません。成果を整理する担当者、図面に反映する担当者、検査資料を作る担当者、次回同じ現場に入る担当者、社内で品質確認を行う担当者にとっても重要な情報です。特に、測点数が多い現場や複数日で作業する現場では、日報の記録精度がそのまま作業全体の見通しに影響します。誰が読んでも、どこで何が起き、どのように対応したかが分かる日報を残すことが理想です。

再発防止に使える日報にするには、毎回同じ観点で記録することも大切です。通信、FIX状態、上空視界、座標確認、現場判断という五つの欄を意識しておけば、担当者による記録のばらつきを減らせます。現場ごとに書き方が違うと、後から比較しにくくなります。逆に、同じ観点で記録が蓄積されれば、「この現場では通信トラブルが多い」「この条件では初期化に時間がかかる」「この範囲では既知点確認を追加した方がよい」といった傾向が見えてきます。

VRS測量は、現場作業を効率化できる一方で、通信環境や上空視界など、現場条件に左右される要素もあります。そのため、作業日報には成功した結果だけでなく、途中で起きた小さなトラブルと判断の記録を残すことが欠かせません。トラブルを記録することは、失敗を残すことではなく、成果の信頼性を高めることです。日報が具体的であれば、後から確認する時間を短縮でき、関係者への説明もしやすくなります。

これからVRS測量の作業日報を見直すなら、まずは「後から読んで原因を追えるか」「測点や範囲を特定できるか」「現場判断の理由が分かるか」を基準にするとよいです。記録の質が上がれば、測量成果の確認、再測判断、作業引継ぎ、社内承認までがスムーズになります。さらに、現場で取得した位置情報、写真、測点メモ、確認結果を一体で管理できる環境を整えれば、日報と測量成果のつながりも明確になります。VRS測量の記録運用を効率化したい場合は、現場で記録した内容を後工程で確認しやすい形に整理し、担当者間で共有できる仕組みを整えることが重要です。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る