電線共同溝の管路工では、管路を敷設して埋め戻しただけで施工完了とはいえません。将来、電力ケーブルや通信ケーブルを安全かつ円滑に収容できる状態になっているかを、設計図書や適用基準に基づいて確認する必要があります。その代表的な確認方法が、所定の試験器を管路内に通す施工後導通試験、または管路通過性能試験です。
現場では、この種の試験をまとめて「マンドレル試験」と呼ぶことがあります。ただし、正式な試験器の名称や形状は管路用途によって異なります。公的なマニュアルの例では、電力管にボビン、通信管にマンドレル、共用管に通過球体、さや管にケーブルテストピースを用いるなど、管種や管径に応じて試験方法が分けられています。本記事では検索上一般的な表現として「管路マンドレル試験」を用いますが、実際の試験では設計図書、特記仕様書、電線管理者の基準、管路材の仕様を優先してください。国土交通省運輸管制センター+1
試験器が途中で停止した場合は、管体の変形、継手部の段差、曲線部の線形不良、土砂や施工残材の残留、牽引ロープの引っ掛かりなどが考えられます。一方で、試験器の寸法や種類が対象管路に合っていなければ、施工品質に問題がなくても通過しないことがあります。したがって、不通過が生じたときは、管路側の不良と決めつけず、試験条件、器具、牽引方法、施工記録を順に確認することが大切です。
不合格や試験のやり直しを減らすには、試験条件の確定、管路情報の照合、管内清掃、器具点検、作業手順の共有という五つの準備を、試験日より前から進める必要があります。本記事では、電線共同溝の実務担当者に向けて、管路マンドレル試験を円滑かつ安全に進めるための準備方法を解説します。
電線共同溝の管路マンドレル試験で確認する内容
管路マンドレル試験の主な目的は、管路内に、適用基準で求められる通過空間が確保されていることを確認することです。管路が設計上の位置に敷設されていても、施工時の荷重、埋戻し材の回り込み不足、締固めの影響、継手の接続状態、曲線部の施工精度などによって、局所的に内空が狭くなる可能性があります。
埋戻し後は管体を直接目視できないため、管路サイズに合った試験器を通過させる方法は、線形、接続状態、内空、異物残留の有無を確認するための有効な手段です。中部地方整備局の電線共同溝設計マニュアルの例では、管路材の布設・埋戻し後に、管路サイズに合った試験器と清掃器具を用い、管路の両端から通過性能試験を実施する考え方が示されています。また、試験基準として、試験器が管路内を抵抗なく通過することを確認するとされています。国土交通省運輸管制センター+1
ただし、試験器の形状や寸法は全国一律ではありません。管路の用途、材質、呼び径、実内径、曲線半径、接続構造、発注者の仕様、電線管理者の基準によって異なる場合があります。ある現場で使用した試験器を別の現場へ持ち込んでも、そのまま適用できるとは限りません。
外径が小さすぎる試験器を使えば、本来確認すべき内空不足を見逃すおそれがあります。反対に、外径や全長が対象管路の基準より大きければ、適正に施工された曲線部でも通過できないことがあります。特に長さのある試験器は、外径だけでなく、管路の曲線半径との組合せを確認する必要があります。
また、試験器が通過した事実だけで、将来のケーブル敷設に必要な全条件が確認できるわけではありません。管口の仕上がり、曲線部の連続性、管内摩擦、通線ロープの状態、水や異物の残留、特殊部内の作業空間なども、実際のケーブル敷設に影響します。通過試験は重要な品質確認ですが、管路施工全体の検査項目の一つとして位置付けることが適切です。
試験対象は、設計図書や施工計画で定めた管路区間ごとに管理します。特殊部から次の特殊部までの区間、取付部から特殊部までの区間、引込部や連系部など、現場ごとの区切りを明確にし、各管を個別に識別します。対象とする管または孔の範囲は、発注者や電線管理者の基準によって異なるため、「必ず全数」と一般化せず、当該工事の要求事項を確認してください。
管路の上下左右や用途区分を取り違えると、別の管を試験して合格記録を作成してしまうおそれがあります。試験器の通過結果が正しくても、対象管路とのひも付けが誤っていれば、施工記録としての信頼性は確保できません。試験技術だけでなく、管路番号を間違えずに管理する仕組みが必要です。
準備1 試験条件と合否基準を事前に確定する
最初の準備は、使用する試験器と合否判定の条件を、試験前に確定することです。担当者の経験や過去の工事例だけで試験器を選ばず、当該工事の設計図書、特記仕様書、施工計画書、承諾資料、管路材の仕様、関係者との協議記録を確認します。
確認する内容には、対象管路の用途、管種、呼び径、実内径、試験器の種類、外径、全長、先端形状、連結方法、試験方向、対象区間、合否判定方法、立会いの要否、写真や動画の記録条件などがあります。曲線管路では、管径だけでなく、曲線半径と試験器全長の組合せも重要です。
公的なマニュアルの一例では、電力管、通信管、共用管、さや管で試験方法と試験器が区分され、管径や曲線半径に応じた規格例が示されています。つまり、試験は「管内を何かが通ればよい」という確認ではなく、当該工事で指定された条件の試験器が、指定された方法で通過することを確認するものです。国土交通省運輸管制センター+1
試験条件を整理するときは、管路一本ごとの確認票を作成すると管理しやすくなります。確認票には、管路番号、起点、終点、用途、管種、呼び径、実内径、延長、曲線部の有無、使用する試験器、試験方向、施工日、試験予定日を記録します。
同じ呼び径でも、材質や管路構造が異なれば、実内径や継手部の内面形状が同じとは限りません。管路材を変更した区間、異なる管路材を接続した区間、補修部材を使用した区間では、最も厳しい内空条件を踏まえ、発注者や電線管理者と試験方法を確認します。
設計変更が生じている場合は、当初図面だけで試験条件を決めないことが重要です。現場で管種、管径、曲線位置、特殊部位置、接続方法が変更されていないかを確認し、承認された最終施工内容に基づいて試験器を選定します。変更内容が未整理のまま立会い日を迎えると、合否判定の前提が定まらず、試験の延期や再実施につながる可能性があります。
合否基準の表現も関係者間で統一します。「通過する」「容易に通過する」「抵抗なく通過する」といった表現は、作業者によって受け止め方が異なる場合があります。牽引力を測定するのか、手引きで連続通過すればよいのか、途中で一時停止した場合をどう扱うのかを、試験前に確認してください。
強い力を加えれば通過する状態を、独自判断で合格と扱うことは避けます。過大な牽引によって試験器が変形部へ食い込むと、器具やロープの損傷、回収困難、管内面への影響につながるおそれがあります。試験の目的は、力任せに試験器を通すことではなく、所定の通過性能が確保されているかを確認することです。
準備2 管路台帳と現地表示を一致させる
二つ目の準備は、図面上の管路番号と現地の管口表示を一致させることです。電線共同溝には、電力用、通信用、道路管理用、引込用、連系用、予備用など、用途の異なる管路が複数配置されます。特殊部の前後で配列が変わる場合もあるため、目視だけで起点側と終点側を対応させるのは危険です。
管路台帳には、特殊部番号、路線方向、上段と下段、車道側と民地側、管路用途、管径、管種、接続先を明確に記載します。平面図だけでは上下関係を把握しにくいため、管口配置図、特殊部ごとの断面図、施工写真も併用します。
現地では、管口に付けた仮表示、恒久表示、通線ロープの札、色分けが台帳と一致しているかを確認します。ただし、色だけに依存すると、汚れ、照明条件、退色によって識別しにくくなることがあります。文字と番号を基本にし、色は補助的な識別方法として扱うと取り違えを減らせます。
管路敷設時に付けた表示は、埋戻し、管口処理、特殊部内の仕上げ、清掃作業などで外れることがあります。試験直前だけでなく、管路接続時、埋戻し前、特殊部仕上げ後という複数の段階で照合しておくと、取り違えを早く発見できます。
起点側と終点側の管口対応は、通線ロープを一本ずつ軽く動かし、反対側で動きを確認する方法でも照合できます。ただし、複数本を同時に操作すると誤認しやすいため、一本ごとに確認し、確認済みの管には一時表示を付けます。ロープの操作は、管口付近の作業者が挟まれや巻き込まれを受けない方法で行います。
管路台帳と現地が一致しない場合は、推測で試験を進めないことが重要です。施工写真、管路敷設時の記録、出来形測量、材料使用記録、特殊部内の管口配置を照合し、必要に応じて関係者の確認を受けて管路番号を確定します。
管路の位置確認には、施工中に取得した中心位置、深さ、曲線開始位置、支障物回避部、管種切替位置などの出来形記録も役立ちます。試験器が起点から一定距離で停止した場合、施工記録に曲線部や継手部の位置が残っていれば、原因を確認する範囲を絞り込みやすくなります。
一方、出来形位置が十分に残っていないと、停止位置を地上で推定できず、調査範囲が広がる可能性があります。停止距離だけで掘削位置を即断せず、ロープの伸びやたるみ、特殊部内の余長を考慮し、施工記録と合わせて判断します。
管路番号の管理では、試験済み、未試験、要確認、補修中、再試験待ち、使用停止などの状態区分も明確にします。現地表示と管路台帳を同じタイミングで更新し、不合格管を誤って合格管として扱わない運用を整えてください。
準備3 管内の清掃と排水を試験前に完了する
三つ目の準備は、試験器を通す前に管内を清掃し、水、土砂、切りくず、接着剤やシール材の余剰、モルタル片などを除去することです。管体に変形がなくても、異物が残っているだけで試験器が停止することがあります。
管路敷設中は管口を適切に仮封止し、土砂や雨水の侵入を抑えることが基本です。ただし、仮封止の外れ、降雨、特殊部内の清掃水、周辺工事の粉じんなどによって、施工後に異物が入る可能性があります。管口を開放した期間がある区間では、試験前の状態確認を特に丁寧に行います。
清掃方法は、管種、延長、曲線、異物の種類、周辺環境、適用基準に応じて選定します。清掃具を通す方法、吸引する方法、施工計画で認められた範囲で空気や水を利用する方法などがありますが、管路材や継手を傷めず、異物を特殊部内や周辺へ飛散させない方法を選ぶ必要があります。
圧縮空気を使用する場合は、排出口から土砂や水が勢いよく噴き出すおそれがあります。排出口側への立入りを制限し、飛散防止の養生を行い、周辺設備や既設収容物を汚損しないようにします。使用の可否、圧力、設備、作業手順は、施工計画や関係者との協議内容に従ってください。
水を使用する場合は、排水先と処理方法を事前に確認します。濁水や土砂をそのまま特殊部へ流し込むと、排水設備の閉塞や作業床の汚損につながる可能性があります。清掃で除去した異物は回収し、再び管内へ戻らないよう処理します。
正式試験の前に、清掃用の器具や小型の確認具を通して管内状態を整える方法もあります。ただし、小型の器具が通過したことは、指定された試験器による合格を意味しません。清掃工程と正式な通過試験を明確に区分し、正式試験を省略しないことが重要です。
清掃具に付着した異物も確認します。砂や泥だけでなく、削れた管材、ゴム部材の一部、硬化した接着剤、モルタル片などが付着していれば、管口や継手部に施工上の問題がある可能性があります。付着物の種類と量を記録し、必要に応じて原因を確認します。
管内に水が残っている場合は、管路勾配、管口高さ、清掃時に使用した水量、降雨の影響を確認します。本来排水される条件にもかかわらず一部区間に水が滞留する場合は、不陸や局所沈下の可能性も考えられますが、水の残留だけで直ちに施工不良と断定せず、複数の情報から判断してください。
管口付近では、管端の欠け、内側への突出、継手部材のずれ、シール材のはみ出し、モルタルの付着などを確認します。管口から見える範囲は照明を当て、素手を不用意に入れず、目視や適切な確認器具を用います。
清掃後は、正式試験まで再び土砂や雨水が入らないよう管口を保護します。清掃から試験まで日数が空く場合は、試験直前に再確認を行い、管内状態が維持されていることを確かめます。
準備4 マンドレルと牽引用具を点検する
四つ目の準備は、試験器本体と牽引用具の点検です。試験器が指定された形式であっても、摩耗、変形、連結部の緩みがあれば、正しい判定ができない可能性があります。
試験器は、使用前に種類、外径、全長、形状を確認します。長期間使用した器具では、表面摩耗によって外径が小さくなっている場合があります。落下や保管時の荷重で曲がったり、先端部が変形したりすることもあります。必要な測定器を用いて寸法を確認し、測定日と結果を記録します。
試験器の表面には、管内面を傷付ける突起、ばり、鋭い傷がないことを確認します。牽引金具、ねじ部、回転部、連結部の摩耗や緩みも点検対象です。試験器が管内で外れると、回収が難しくなり、追加調査や補修が必要になることがあります。
牽引ロープは、必要長さだけでなく、摩耗、毛羽立ち、切れ、つぶれ、汚損、薬品や油による劣化の有無を確認します。ロープを継ぎ足す場合は、接続部が管内で引っ掛かりにくい形状になっているかを確認します。大きな結び目や突出した金具は、継手部や曲線部で抵抗となる可能性があります。
既設の通線ロープを利用する場合も、そのまま正式試験に使用できるとは限りません。施工中に損傷していたり、必要な状態を保っていなかったりする可能性があります。設置時期、使用履歴、保管状態を確認し、適否を判断します。
試験器の前後にロープを接続できる場合は、反対方向から引き戻せる構成にすると、途中停止時の回収に役立ちます。ただし、後方ロープが絡んだり、特殊部内の設備へ引っ掛かったりしないよう、両端の作業者が連携して送り出します。
牽引装置を使用する場合は、能力が大きければよいわけではありません。大きな力を出せる装置ほど、管内の異常を把握しないまま試験器を引き込む危険があります。低速操作、停止、解除が確実に行える装置を選び、許容する牽引方法や停止基準を作業計画で定めます。
牽引力を測定する場合は、測定器の点検状態と測定範囲を確認します。数値は、通常時と比べて抵抗が増加していないかを把握する参考情報として扱い、独自の数値だけで合否を決めないようにします。正式な判定基準がある場合は、その基準を優先してください。
ロープを巻き取る設備は、安定した場所に設置し、適切な方法で固定します。特殊部の蓋、管口、仮設材など、牽引荷重を負担する設計になっていない箇所を安易に反力として使用すると、設備損傷や転倒につながるおそれがあります。
器具点検は試験当日の朝だけでなく、試験計画を作成する段階でも行います。予備のロープ、連結金具、表示札、清掃具、照明、養生材などを準備しておくと、不足品や破損による作業中断を減らせます。
準備5 試験手順と異常時の対応を計画する
五つ目の準備は、誰が、どの管を、どの順序で、どちらの方向から試験するかを計画することです。試験本数が多い現場では、順序を決めずに始めると、未試験管、重複試験、記録の取り違えが発生しやすくなります。
試験順序は、特殊部番号、管路用途、管口配置などに沿って一定の規則で決めます。上段から下段へ、車道側から民地側へなど、現場で共有しやすい順序を定めると、取り違えを防ぎやすくなります。ただし、作業姿勢や安全設備の配置も考慮し、現場条件に合った順序を設定してください。
起点側と終点側には、それぞれ担当者を配置します。起点側は試験器の接続と送り出し、終点側は牽引と到達確認を担当し、管路番号、試験開始、途中停止、到達、引戻しの情報を相互に確認します。
無線などで連絡する場合は、管路番号を省略しないことが重要です。「次の管」「右側の管」といった表現は、立つ位置や見る方向によって意味が変わります。特殊部番号、段数、左右位置、用途を組み合わせた共通呼称を決めます。
試験前の打合せでは、使用する試験器、対象管路、牽引方向、合否基準、停止合図、緊急時の解除方法を確認します。抵抗が急に増えた場合は停止し、強く引き続ける前に状況を確認するルールを共有します。
異常時の対応も事前に決めます。試験器が停止した場合は、送り出したロープの長さや巻取り量から停止距離を推定し、施工記録と照合します。曲線部、継手部、支障物回避部、管種変更部などとの位置関係を確認すると、原因調査の優先順位を付けやすくなります。
停止位置を確認しないまま前後へ強く動かすと、試験器がさらに食い込む可能性があります。まず牽引を停止し、荷重を緩め、反対側のロープで安全に戻せるかを確認します。回収できない場合は、管内調査、補修方法、掘削範囲について発注者や関係者と協議します。
正式な立会い試験の前に、自主確認を行うことも有効です。ただし、自主確認で使用した器具や条件が正式試験と異なる場合は、正式な合格記録にはなりません。自主確認は、清掃状態、ロープの連続性、対象管路の照合を行う準備工程として位置付けます。
試験日の工程には、保安設備の設置、管路照合、清掃、器具確認、試験、記録、異常時確認、復旧、片付けまでを含めます。通過試験だけの所要時間で工程を組むと、清掃や照合に時間がかかったときに、後半が急ぎ作業になりやすくなります。
特殊部の蓋を開けて作業する場合は、交通規制、歩行者誘導、転落防止、蓋の取扱い、照明、換気、排水、昇降方法を施工計画に反映します。内部への立入りを伴う場合は、現場で適用される法令、発注者の安全基準、作業手順に従い、必要な確認を行ってください。
降雨が予想される場合は、特殊部への流入水、管路への土砂流入、路面作業の安全性を考慮します。試験実施の可否は、現場条件と安全管理計画に基づいて判断し、予定を優先して無理に進めないことが重要です。
マンドレル試験当日の進め方
試験当日は、最初に作業範囲の安全を確認します。特殊部周辺に必要な保安設備を設置し、蓋を開ける前に交通、歩行者動線、路面状態、周辺設備を確認します。内部への立入りが必要な場合は、定められた安全手順に従います。
次に、管路台帳と現地表示を照合します。起点側と終点側で対象管路を読み上げ、双方が同じ管路を確認してからロープを操作します。接続先が確認できない場合は試験を開始せず、施工記録を使って再確認します。
試験器を接続する前に、管口周辺の異物を除去します。管端、継手、管口仕上げに異常がないことを確認し、ロープと連結金具を確実に固定します。連結部が外れないことを確認してから、試験器をゆっくり管内へ送り込みます。
牽引は低速で開始し、起点側でもロープと試験器の動きを確認します。急激に引くと、曲線部や継手部で一時的に大きな抵抗が発生する場合があります。一定の速度を保ち、抵抗の変化を確認しながら進めます。
途中で抵抗が増えた場合は停止します。荷重を緩め、わずかに戻したうえで、定めた手順の範囲で再確認します。繰り返し強く引くことは避け、抵抗が続く場合は位置と状況を記録します。
試験器が終点側へ到達したら、本体の状態を確認します。表面の傷、変形、土砂や異物の付着、連結部の緩みがないかを点検します。通過結果だけでなく、付着物や損傷の有無も管路状態を判断する情報になります。
到達確認後は、管路番号、試験方向、使用した試験器、結果をその場で記録します。複数本をまとめて後から記録すると、管路番号や結果を取り違えやすくなります。一本ごとに記録を完了してから次の管路へ進みます。
不合格または要確認と判断した管路には、現地で明確な表示を付けます。合格管と同じ状態で管口を閉じると、後日誤って使用されるおそれがあります。管路台帳にも状態を反映し、原因調査、補修、再試験の予定を管理します。
試験終了後は、管口を清掃し、必要な仮封止や保護措置を復旧します。通線ロープを残置する場合は、管内へ落ち込まないよう固定し、管路番号を表示します。特殊部内に工具、異物、余分なロープを残していないことを確認してから蓋を閉じます。
管路マンドレル試験で不合格になりやすい原因
不合格の原因として考えられるのが、管体の変形です。埋戻し材の偏り、管周囲への充填不足、不適切な締固め、施工中の局所荷重などによって、管路の内空が狭くなる場合があります。
複数の管をまとめて敷設する場合は、管同士の間隔や支持状態が不均一になると、埋戻し時に配列が崩れやすくなります。下段管の周囲へ埋戻し材が十分に回り込まない状態で上部を締め固めると、局所的な変形につながる可能性があります。
継手部のずれも代表的な原因です。管が所定位置まで差し込まれていなかったり、斜めに接続されていたりすると、内面に段差が生じる場合があります。外観上は接続されているように見えても、内側の段差で試験器が停止することがあります。
差込み過ぎ、シール材のはみ出し、管端処理の不足にも注意が必要です。適切な接続方法は管路材ごとに異なるため、施工要領を確認し、差込み位置と接続状態を施工中に管理します。埋戻し後は継手を直接確認しにくいため、接続時の写真と検査記録が重要です。
曲線半径の不足や、短い区間で曲げ方向が変わる線形も原因になります。個々の曲げが許容範囲内に見えても、平面方向と縦断方向の変化が近接すると、試験器が追従しにくい線形になる可能性があります。
既設埋設物を避けるために管路位置を変更した区間では、急な曲線や蛇行が生じやすくなります。現場判断だけで変更せず、管路材の曲げ条件、試験器の全長、将来のケーブル敷設条件を確認し、必要な承認を受けます。
異物による閉塞も確認が必要です。管口から入った土砂だけでなく、切断時の切りくず、モルタル、接着剤、包装材、清掃具の一部などが残る場合があります。小さな異物でも、曲線部や継手部へ集まると、試験器の通過を妨げる可能性があります。
試験器の選定ミスによって通過しないこともあります。対象管路に合わない外径や全長の試験器を使用すると、適正な管路でも停止する場合があります。反対に、小さすぎる試験器では、確認すべき変形を見逃すおそれがあります。
牽引ロープの結び目や連結金具が継手部へ引っ掛かった場合も、試験器が停止したように見えます。ロープが特殊部内の金具に絡んでいたり、巻取り設備の配置が不適切だったりすると、管内に異常がなくても牽引できません。
停止位置が試行ごとに大きく変わる場合は、ロープ、連結部、牽引方向、作業方法の影響も確認します。同じ位置で繰り返し停止する場合は、管体変形、継手段差、曲線線形、異物残留などを重点的に調べます。
原因を特定するときは、最初から再掘削を前提にせず、停止距離、牽引方向、抵抗の変化、付着物、施工記録を総合的に確認します。ただし、原因が分からないまま合格扱いにすることは避け、必要な調査と補修を行った後、指定条件で再試験します。
試験結果を施工記録として残す方法
管路マンドレル試験の記録は、合格本数だけでは不十分です。どの管路に、どの試験器を、どちらの方向から通し、どのような結果だったかを、後から確認できる形で残す必要があります。
記録には、工事名、試験日、天候、試験区間、起点と終点の特殊部番号、管路番号、用途、管種、管径、延長、試験器の種類、外径、全長、牽引方向、試験結果、確認者や立会者を記載します。記載項目は発注者の様式や施工計画に合わせてください。
試験器の寸法確認、管口番号、挿入前、終点到達時の状況が分かる写真を残すと、試験の実施状況を説明しやすくなります。写真だけでは対象管路が分からない場合があるため、黒板や電子的な記録情報と管路番号を一致させます。
動画を利用する場合も、管路番号、開始位置、到達位置が分かるように記録します。映像だけが残り、どの管路の試験か識別できない状態は避けます。写真や動画の撮影方法は、発注者の要領や立会い条件を事前に確認してください。
不合格や要確認となった場合は、停止位置の推定距離、牽引方向、抵抗の発生状況、牽引方法、試験器の付着物、回収方法を記録します。補修後は、補修位置、補修内容、再試験結果を当初記録へひも付けます。
停止距離は、ロープの距離表示や巻取り量から推定できます。ただし、ロープの伸び、たるみ、特殊部内の余長によって誤差が生じます。推定距離を絶対的な位置として扱わず、管路の出来形位置、曲線部、継手部、支障物回避部の記録と組み合わせて判断します。
試験記録は、施工者だけでなく、発注者、道路管理者、電線管理者、将来の維持管理担当者が確認する可能性があります。現場を知らない人が見ても管路の状態を理解できるよう、独自の略号だけに頼らず、管路台帳と共通の表記を使用します。
記録を電子化する場合は、管路番号、特殊部番号、位置、写真、試験結果を検索できるように整理すると、再試験や将来のケーブル敷設時に活用しやすくなります。ファイル名だけで管理せず、工区、位置、管路番号、撮影日などの情報を関連付けると、類似した管路の取り違えを防ぎやすくなります。
まとめ
電線共同溝の管路マンドレル試験で不合格や手戻りを減らすには、試験当日の操作だけでなく、事前準備が重要です。最初に設計図書、特記仕様書、管路材の仕様、関係者との協議記録を確認し、管種、管径、曲線半径に適合する試験器と合否基準を確定します。
「マンドレル試験」という呼び方が使われていても、実際の試験器は管路用途によって異なる場合があります。電力管用のボビン、通信管用のマンドレル、通過球体、ケーブルテストピースなど、当該工事で指定された種類と寸法を確認することが欠かせません。
次に、管路台帳と現地の管口表示を一致させ、起点と終点の接続関係を一本ずつ確認します。対象管路を取り違えたまま試験を行うと、試験器が通過しても施工記録としての信頼性を確保できません。
試験前には管内を清掃し、水、土砂、切りくず、モルタル片などを除去します。清掃具へ付着した異物も確認し、継手や管口の施工状態に問題がないかを検討します。空気や水を用いる場合は、適用基準、施工計画、安全対策、排水処理に従って実施してください。
試験器、牽引ロープ、連結金具、巻取り設備については、種類、寸法、摩耗、変形、固定状態を確認します。抵抗が増えたときは無理に引き続けず、停止位置、牽引方向、施工記録を確認できる作業手順を整えます。
試験結果は、管路番号、試験器の種類と寸法、牽引方向、結果、写真、停止位置などを一本ごとに記録します。不合格管は合格管と明確に区分し、原因調査、補修、再試験まで追跡できるようにします。
施工中の管路位置、特殊部、曲線部、支障物回避部を位置情報とともに記録しておけば、試験器が停止した際の原因確認や補修範囲の検討に役立ちます。現場写真と位置情報を関連付け、電線共同溝の施工記録を分かりやすく整理する手段の一つとして、LRTK Phoneの活用をご検討ください。