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電線共同溝の管路清掃ブラシ詰まりを防ぐ6つの作業手順

電線共同溝の管路清掃は、ケーブル敷設前に管路内の砂、泥、砕石片、管材の削りくずなどを除去し、通過確認を適切に行うための重要な作業です。異物や局部的な段差が残ったままケーブルを引き入れると、牽引抵抗が増え、ケーブル外被や接続部に不要な負担がかかる可能性があります。

一般的な電線共同溝では、特殊部から管路へケーブルを挿入し、次の特殊部まで敷設する工程が想定されています。そのため、清掃用ブラシや清掃具が管路途中で詰まると、清掃作業だけでなく、通過試験、ケーブル敷設、後続工事の工程にも影響が及びます。国土交通省が示す電線共同溝整備の工程でも、管路と特殊部を施工した後、特殊部間でケーブルを敷設する流れが示されています。([国土交通省][1])

ただし、清掃用ブラシを通せば必ず管路が使用可能な状態になるわけではありません。管径に対して清掃具が大きすぎる場合、継手や曲線部で毛先や布状清掃具が圧縮され、抵抗が急増することがあります。反対に、小さすぎる清掃具では異物を十分に回収できず、後続の清掃具へ泥や砂が集中することがあります。

ブラシ詰まりを防ぐには、牽引力を弱くするだけでは不十分です。管路番号、管種、内径、延長、曲線、継手、滞水、引通し線、清掃具の構成、回収方法を事前に確認し、管内状況に応じて段階的に作業する必要があります。本記事では、電線共同溝の実務担当者が清掃計画を立てる際に確認したい6つの作業手順を解説します。

電線共同溝の管路清掃でブラシ詰まりが起きる理由

管路清掃ブラシが詰まる原因は、ブラシの外径だけではありません。管内の異物、管路の線形、継手部の状態、清掃具の組み合わせ、引通し線のねじれ、牽引速度などが重なって発生します。作業前には、対象区間のどこで抵抗が生じやすいかを具体的に想定することが重要です。

代表的な原因は、清掃具と有効内径の不適合です。ブラシの外径が管路内径に対して大きすぎると、直線部では通過できても、曲線部や継手部で毛先が強く圧縮されることがあります。毛が硬いブラシでは、わずかな段差や局部的な変形へ食い込みやすくなる場合があります。

一方、ブラシが小さすぎたり柔らかすぎたりすると、管内面に付着した泥や異物を十分に除去できないことがあります。その後に布状の清掃具を多量に取り付けると、先行するブラシが動かした砂や泥が布へ集中し、含水によって清掃具の体積や重量が増える可能性があります。清掃効果はブラシ単体ではなく、後続する清掃具を含めた組立全体で考えなければなりません。

管路の変形、継手部の段差、特殊部との接続部の不整合も重要です。施工時の支持状態、埋戻し時の荷重、接続部の曲がり、局部的なたわみなどによって、有効な通過断面が計画時より狭くなっている場合があります。図面上は直線であっても、実管路には施工上の蛇行や高低差が生じている可能性があります。

管内に多量の砂や泥がある場合は、ブラシが異物を前方へ押し集め、栓のような状態を作ることがあります。滞水した管路では細粒分が泥状になり、ブラシや布状清掃具へ付着しやすくなります。作業開始時には軽かった抵抗が途中から徐々に増える場合は、清掃具への異物蓄積を疑う必要があります。

組立方法にも注意が必要です。接続金具が大きい、結束部に突起がある、清掃具が偏っている、引通し線が強くねじれているといった状態では、毛先が通過しても接続部が引っ掛かることがあります。ブラシの呼び径だけで判断せず、管内を通る組立体全体の最大外形、柔軟性、突起、回収性を確認することが大切です。

作業開始前に決めておく基本方針

管路清掃では、対象工事の契約図書、特記仕様書、施工計画書、管路材の仕様、道路管理者や電線管理者との協議内容を優先します。同じ管径であっても、管種、継手構造、曲率、収容するケーブル、要求される通過確認方法によって適切な器具や手順は変わります。

国土交通省の地方整備局が公表している工事資料の一例では、引通し線に毛ブラシと雑布を取り付けて管路内を清掃し、その後にマンドリルまたはテストケーブルを用いて通過試験を行う方法が示されています。ただし、これは特定の工事資料に記載された方法であり、すべての電線共同溝へ同じ寸法や構成を一律に適用できることを意味しません。実作業では、当該工事の仕様と関係者の承認内容を確認する必要があります。

作業計画では、清掃を開始する方向、清掃具を受け取る方向、作業員の配置、牽引方法、通常合図、停止合図、緊急合図を決めます。片側だけが清掃具の状態を把握していても、反対側へ情報が伝わらなければ適切に停止できません。無線が届きにくい特殊部では、有線連絡、地上中継者、事前に定めた合図など、現場条件に合う連絡方法を用意します。

停止基準も事前に共有します。使用する引通し線、接続金具、清掃具、牽引装置にはそれぞれ使用条件があるため、現場の感覚だけで力の上限を決めることは避けます。荷重を表示できる装置を使用する場合は、管理値と停止値を施工計画に定めます。手作業の場合も、抵抗が急増したとき、一定距離引いても進行が確認できないとき、異音や引通し線の異常があるときなど、停止する条件を言葉で明確にします。

詰まりが起きた場合の回収方針も必要です。どちら側へ戻すのか、誰が再開を判断するのか、引通し線が損傷した場合に誰へ報告するのかを決めておきます。詰まり発生後に対応を相談すると、判断が遅れ、無理な牽引へつながりやすくなります。

清掃で排出される泥水、砂、異物の受け方も計画に含めます。出口側に受け容器や養生がないと、排出物が特殊部内に広がり、隣接する管路へ流入する可能性があります。清掃作業はブラシを通すところまでではなく、排出物の回収、管口周辺の清掃、器具の点検までを一連の作業として管理します。

手順1 管路台帳と現地条件を照合する

最初の手順は、清掃対象管路の情報を整理し、図面、台帳、現地表示を照合することです。管路番号、起点側特殊部、終点側特殊部、管種、内径、延長、曲線部、分岐、接続状況を確認します。複数の管路が並ぶ場合は、両端で同一の管路番号を確認し、取り違えを防ぎます。

管路延長だけでなく、曲がりの数、方向、位置も重要です。短い直線区間と複数の曲線を含む長区間では、同じ清掃具でも牽引抵抗が異なります。曲線部では清掃具と引通し線が管内面へ押し付けられやすく、摩擦が増えます。反向曲線や連続曲線では、入口側で感じる抵抗からブラシ位置を正確に推定しにくくなることもあります。

特殊部と管路の接続部は、目視できる範囲を照明で確認します。管口の欠け、モルタルや充填材のはみ出し、異物の付着、保護部材のずれ、著しい段差があれば、清掃具の先端や接続金具が引っ掛かる可能性があります。手を不用意に管内へ入れず、必要に応じて安全に使用できる点検器具を選びます。

施工中の管路では、管路敷設後に実施された埋戻し、舗装、特殊部施工、周辺構造物施工の履歴も確認します。管口の仮閉塞が外れていた期間がある場合、大雨後である場合、特殊部内へ土砂が流入した履歴がある場合は、通常より多量の異物が存在する可能性を考慮します。

過去の清掃記録や通過試験記録がある場合は、抵抗が発生した位置、方向、再清掃回数、不合格理由を確認します。同じ位置で繰り返し抵抗が生じている場合は、単なる清掃不足ではなく、継手の段差、管路変形、固着物などが原因となっている可能性があります。清掃で対応できる問題と、管路自体の調査や是正が必要な問題を分けて考えることが重要です。

現地確認後は、対象管路と作業方向を明確に表示します。起点側と終点側の管口写真を撮影し、管路番号、特殊部番号、撮影方向が分かるように記録します。作業員が交代した場合でも、どの管路をどちら向きに清掃しているか確認できる状態にします。

手順2 引通し線と回収方法を両端で確認する

次の手順は、清掃具を接続する引通し線の状態と回収方法の確認です。ブラシが適切でも、引通し線に腐食、折れ、素線切れ、著しいねじれ、局部的な変形があれば、清掃中に破断する可能性があります。管内に清掃具を残置すると復旧が難しくなるため、使用前点検を省略してはいけません。

引通し線の両端を確認し、対象管路の線であることを確かめます。片側をわずかに動かして反対側で動きを確認する方法を採る場合は、両側の連絡を確立してから行います。反対側の作業員が線を保持しているときや、管口付近で点検しているときに突然操作すると、挟まれや跳ねによる負傷につながるおそれがあります。

線材を扱うときは、その材質と状態に合う保護具を使用します。金属線やワイヤーロープは、折れや素線切れが鋭利になっている場合があります。また、曲げ癖が解放された際に跳ねることがあります。特殊部内に余長を無秩序に置かず、別管路の線材と混ざらないよう整理します。

清掃具の前後をどのように接続し、異常時にどちらへ回収するかを決めます。器具の構造と工事仕様が許す場合は、両側から操作または回収できる構成を検討します。ただし、回収用の線を追加すれば必ず安全になるわけではありません。追加線がねじれたり清掃具へ絡んだりする可能性もあるため、採用する構成は地上で試し、管路条件に適合することを確認します。

接続部には、管路内面へ引っ掛かりやすい突起を作らないことが重要です。大きな結び目や無理な折り返しを避け、清掃具に適した接続金具と外れ止めを使用します。金具に変形、摩耗、緩みがないことを確認し、組立後に手で引いて接続状態を点検します。

出口側では、清掃具を管口からできるだけ直線的に引き出せる空間を確保します。管口正面に障害物があると、通過したブラシを斜めに引くことになり、管口で引っ掛かる場合があります。排出物を受ける容器、床面養生、清掃具を置く場所も先に配置します。

機械式の牽引装置を使用する場合は、固定方法、巻き取り方向、線材の通り、非常停止方法、操作担当者を確認します。装置の能力が大きいほど適切ということではありません。管路清掃では、大きな力を出すことより、抵抗の変化を把握し、異常時に速やかに停止できることが重要です。

手順3 管径と障害リスクに合う清掃具を選ぶ

清掃具は管路の公称径だけで選ばず、実際の内径、管種、継手、曲線条件、汚れの種類、過去の通過記録を踏まえて選定します。同じ公称径でも、管材や継手構造によって有効内径が異なる場合があります。設計図書、納入仕様、施工記録を確認し、最も狭くなる可能性がある箇所を想定します。

ブラシ外径は、管内面へ必要な接触を確保しつつ、毛先が過度に圧縮されない範囲で選びます。清掃効果を高めようとして初回から大きなブラシを使用すると、継手段差や曲線部で抵抗が急増する可能性があります。管内状況が不明な初回清掃では、工事仕様に反しない範囲で段階的な選定を行います。

毛の硬さも確認します。乾燥した細かな砂や軽い粉じんと、粘性のある泥や固着物とでは必要な清掃力が異なります。ただし、硬いブラシで固着物を無理に削り取ろうとすると、ブラシが段差へ食い込んだり、管内面へ不要な負担を与えたりする可能性があります。硬い異物や局部的な閉塞が疑われる場合は、通常清掃の範囲で対応できるかを関係者と判断します。

ブラシの先端と接続部は、段差へ引っ掛かりにくい形状であることが重要です。接続金具の角が外側へ出ている、線材の端部が露出している、ブラシが偏心しているといった状態は避けます。組み立てた清掃具を地上で回転させ、最大外形、突起、偏り、線材の絡みを目視します。

ブラシ後方に布状清掃具を取り付ける場合は、乾燥時の大きさだけで判断しません。布は泥や水を含むと重くなり、広がり方も変化します。一度に過量を取り付けず、仕様で定められた構成を基本に、管内状況と予備通しの結果を踏まえて使用します。

公的資料には、毛ブラシと雑布を組み合わせる例が示されていますが、寸法や枚数は管種や用途によって異なります。特定資料の数値を別工事へそのまま転用せず、対象工事の試験要領、管路材仕様、電線管理者の要求を確認します。

組立後は地上で試し引きを行います。接続部が外れないか、ブラシが一方向へ傾かないか、布状清掃具が線材へ巻き付かないか、回収時に形状が崩れないかを確認します。地上確認で違和感がある構成を、そのまま管路へ投入しないことが基本です。

手順4 小さい清掃具で予備通しを行う

管内状況が十分に分からない場合は、本清掃前の予備通しを検討します。予備通しの目的は、管路を一度で完全に清掃することではなく、通過可能な断面があるか、抵抗がどの位置で生じるか、異物量がどの程度かを把握することです。実施方法は対象工事の仕様と施工計画に合わせます。

予備通しでは、本清掃用より通過性を優先した清掃具を用います。小径ブラシ、柔軟な清掃体、少量の布状清掃具などから、管種と異物の想定に適したものを選びます。先端部は継手や曲線へ追従しやすくし、異常時に回収できる構成とします。

開始前に、起点側と終点側で作業開始を確認します。管口直後は特にゆっくり操作し、接続部で異常がないか確認します。入口付近で抵抗が大きい場合は、管口の欠け、異物付着、接続部の段差、清掃具の偏りなど、近傍の原因を疑います。

牽引中は、線材の移動量だけでなく、清掃具の進行状況を両側で確認します。特殊部内の余長が解消されただけで、管内の清掃具が進んでいない場合があります。引いた線の長さだけからブラシ位置を断定せず、管路延長、余長、装置の巻き取り量を合わせて判断します。

抵抗が増えたときは、いったん停止します。わずかに戻したときに抵抗が下がるかを確認することはありますが、強い往復操作を繰り返してはいけません。反復によって異物を押し固めたり、清掃具を段差へ食い込ませたり、線材へ疲労を与えたりする可能性があります。停止後の操作方法は、事前に決めた手順に従います。

回収した清掃具に付着した物質を確認します。乾いた砂、粘性のある泥、砕石片、樹脂片、硬化物など、異物の種類によって本清掃の方法は変わります。硬い破片や固着物が確認された場合は、通常のブラシ清掃だけで除去できると決めつけず、管路状態の追加確認を検討します。

予備通しで強い抵抗がなくても、直ちに最大径や最大量の清掃具へ切り替えることは避けます。ブラシ径や布状清掃具の量を段階的に調整し、各回の牽引抵抗、排出物、清掃具の損傷を確認します。作業回数は増えますが、途中詰まりや残置物の発生を抑えるためには有効な進め方です。

手順5 牽引抵抗と進み方を監視しながら本清掃する

本清掃では、事前に定めた方法で滑らかに牽引し、抵抗の変化を継続的に監視します。急激に引くと、清掃具が継手や異物へ衝突し、一気に食い込む可能性があります。作業員の合図がそろわないまま操作を続けることも避けます。

手作業では、単に「重い」「軽い」という感覚だけでなく、抵抗が変化した時点、起点からの概算距離、牽引方向、清掃具の構成を記録します。作業員が交代すると感覚の基準が変わるため、前回の状態を言葉と記録で共有します。

荷重を確認できる牽引装置では、表示値の急変や増加傾向を監視します。ただし、許容荷重を一律の数値で示すことはできません。停止値は引通し線、接続金具、清掃具、管路材、固定方法、装置の仕様によって異なるため、使用機材の仕様と施工計画に基づいて設定します。

抵抗が徐々に増える場合は、清掃具へ砂や泥が蓄積している可能性があります。急に増えた場合は、継手段差、局部変形、固い異物、接続金具の引っ掛かりなどが考えられます。原因を確定できないまま牽引力だけを増やさず、増え方と発生位置を確認します。

出口側では、清掃具が近づいたときに管口をのぞき込まず、張力のかかった線材や清掃具の進行方向から外れた位置で待機します。ブラシが管口から急に飛び出す可能性があるため、到達前に牽引速度を落とし、受け取り担当者が準備できてから引き出します。

ブラシが管口へ到達したら、線材を急に緩めず、清掃具を確実に保持します。泥や水を含んだ清掃具は重くなる場合があり、特殊部内へ落とすと作業員や設備へ接触するおそれがあります。受け容器へ誘導し、排出物が他の管路へ入らないよう回収します。

一度の通過で大量の異物が回収された場合は、同じ構成を直ちに再投入しません。前回の清掃具が前方へ押し残した異物や、管内に分散した泥がある可能性を考え、次回のブラシ径、布量、方向、速度を見直します。

通過ごとにブラシと接続部を点検します。毛の偏り、抜け、金具の緩み、線材の擦れ、結束部の変形があれば、交換または組み直しを行います。損傷した器具を使い続けると、清掃能力が低下するだけでなく、部品を管内へ残す原因になります。

手順6 通過確認と清掃記録を残す

清掃具が通過しただけで、ケーブル敷設に必要な通過性能が確認されたとは限りません。清掃後は、対象工事の仕様に従って通過試験や導通確認を行います。通信管、電力管、道路管理用管路などで使用する確認器具や判定方法が異なる場合があるため、管種ごとの試験要領を確認します。

国土交通省の地方整備局が公表する資料の一例では、毛ブラシと雑布で清掃した後、マンドリルまたはテストケーブルを用いる通過試験が示されています。また、別の資料では予備管を対象としたマンドレル試験の考え方も示されています。これらは通過確認の代表例ですが、対象範囲、器具寸法、試験方向、判定基準は各工事の仕様に従う必要があります。

通過確認器具を使用するときも、異常時に停止し、必要に応じて回収できる方法を採ります。清掃ブラシが通過していても、より剛性の高い確認器具が曲線部や局部変形部を通過できない場合があります。確認器具が重くなったときに無理に引くと、清掃後に新たな残置物を作ることになりかねません。

記録には、管路番号、起点側と終点側の特殊部番号、清掃方向、清掃回数、使用したブラシと清掃具の構成、作業日時、担当者、排出物の状態、抵抗が増えた位置、通過確認結果を残します。「清掃完了」だけではなく、後から作業状況を追跡できる情報を記録します。

抵抗発生位置は、起点側からの概算距離と牽引方向を合わせて残します。同じ管路でも、逆方向から引くと抵抗の現れ方が変わる場合があります。継手段差や局部的な変形に方向性がある可能性を考慮し、方向を省略しないようにします。

排出物と清掃具の写真も有効です。砂、泥、砕石片、樹脂片、硬化物など、異物の種類と量が分かるように撮影します。写真には管路番号や特殊部番号が分かる表示を入れ、別管路の記録と混同しないようにします。

複数回清掃しても同じ位置で強い抵抗が発生する場合、清掃不足だけでなく、管路の変形、継手のずれ、固着物などが残っている可能性があります。工程を優先して合格扱いにせず、関係者へ報告し、追加調査、是正、試験方法の見直しを協議します。

ブラシが重くなったときの中止判断と復旧

清掃中にブラシが重くなった場合、原因を確認せずに牽引力だけを増やすことは避けます。抵抗が大きい状態で引き続けると、毛や布状清掃具が段差へ押し込まれ、進行方向にも反対方向にも動かせなくなる可能性があります。

まず牽引を停止し、起点側と終点側で状況を共有します。特殊部内の余長、線材の絡み、巻き取り装置、滑車、管口周辺など、管路外の原因がないか確認します。管路外に異常がなければ、清掃具が管内で抵抗を受けている可能性を考えます。

事前手順で認められている場合は、進行方向と反対側へ少量戻したときの状態を確認します。軽い操作で抵抗が下がることはありますが、強い往復を何度も繰り返してはいけません。操作回数と力を増やすほど、異物の圧縮、線材の損傷、接続部の緩みが進む可能性があります。

回収できた場合は、付着物、変形、損傷を確認します。毛が一方向へ倒れていれば、曲線部や段差で強く押し付けられた可能性があります。布状清掃具が泥で大きく膨らんでいれば、清掃具の量、管内の含水状態、清掃回数を見直します。接続金具に局部的な傷がある場合は、固い突起へ接触した可能性も考えます。

同じ構成で直ちに再投入せず、ブラシ径、布量、牽引方向、速度、予備通しの方法を見直します。必要に応じて管内確認機器や別の調査方法を検討しますが、確認機器自体の外径、曲線追従性、回収性も確認しなければなりません。

引通し線が切れた場合は、残存線を無計画に引いたり、別の線材を押し込んだりしません。残置された清掃具の構成、想定位置、管路延長、残っている線の方向を整理し、道路管理者、電線管理者、施工関係者と復旧方法を協議します。追加器具を投入すると残置物へ絡み、状況を悪化させる可能性があります。

同じ位置で繰り返し詰まる場合は、清掃方法だけの問題と決めつけません。管路自体の変形や接続不良が疑われるときは、強い力で通過させることを目標にせず、ケーブルを安全に敷設できる状態かどうかを確認します。

特殊部内作業の安全管理

電線共同溝の管路清掃では、特殊部内または開口部周辺で作業する場合があります。特殊部は狭く、出入口が限られ、地上との連絡が取りにくいことがあります。清掃手順だけでなく、開口部養生、墜落防止、換気、照明、連絡、救出、交通規制、第三者災害防止を含めて作業計画を立てます。

特殊部内へ入る前に、その場所が酸素欠乏危険場所に該当するか、硫化水素などの有害ガスが発生するおそれがあるかを確認します。該当する作業では、関係法令と現場の安全管理手順に従い、作業主任者の選任、必要な特別教育、作業前測定、換気、保護具、監視、救出体制などを整えます。マンホールや長期間水が滞留した場所は酸素欠乏の発生例として公的資料でも注意喚起されており、外観や臭いだけで安全と判断してはいけません。

滞水がある場合は、深さ、流入源、排水後の再流入を確認します。雨天時や降雨が予想される状況では、路面からの流入、上流側からの流入、管路を通じた水の移動が起こる可能性があります。気象と現場条件を踏まえ、作業の延期や中止を含めて判断します。

地上には監視担当者を配置し、内部作業員との連絡を維持します。無線が届かない場合に備え、別の通信手段や合図を設定します。緊急合図は通常作業の合図と区別し、連絡が途絶えた場合の停止手順も決めておきます。

管口付近では、張力のかかった引通し線の延長線上に立たないようにします。線材や接続部が破断すると反動で跳ねる可能性があります。牽引装置の巻き取り部、滑車、線材の屈曲部には手や衣服を近づけず、巻き込まれを防ぎます。

開口部周辺では、車両や歩行者の進入を防止し、資機材を通行経路へ放置しません。引通し線が地上の動線を横切る場合は、接触やつまずきを防ぐ措置を講じます。作業終了後は、工具、清掃具、回収物、養生材の残置がないことを確認し、定められた方法で蓋と周辺を復旧します。

清掃操作担当者が安全監視を兼任すると、牽引抵抗へ注意が集中し、周囲の変化を見落とす可能性があります。現場条件に応じて役割を分け、作業停止を指示できる担当者を明確にします。

LRTK Phoneで清掃区間と記録を結び付ける

電線共同溝の管路清掃では、どの特殊部間のどの管路を清掃したかを後から追跡できる記録が必要です。管路が多数並ぶ現場では、写真だけを保存すると、撮影場所、管路番号、清掃方向が分からなくなることがあります。

LRTK Phoneは、GNSS衛星からの信号を受信でき、必要な補正情報を利用できる地上環境で、位置情報と写真を関連付けて記録する用途に活用できます。公式情報では、測位写真として写真、座標、撮影方位を保存し、取得データをクラウドへ同期して共有できる機能が案内されています。([Lefixea Irtk][2])

ただし、電線共同溝の特殊部内や地下では衛星信号が遮られるため、地上と同じ条件でGNSS測位できるとは限りません。地下で測位できない位置を推定値だけで確定せず、地上で記録した特殊部位置、既存図面、管路台帳、特殊部番号を使って内部写真や清掃記録を関連付けます。

地上で測位する場合も、測位状態を確認します。周囲の建物、樹木、車両、開口部の位置によって衛星信号の受信環境が変わるため、固定解など必要な品質状態を確認し、座標系、高さ基準、測位日時を記録します。測位できたという表示だけで精度を断定せず、現場の管理基準に合うかを確認します。

起点側と終点側の特殊部位置を記録し、特殊部番号、管路番号、清掃方向、作業日時を結び付けると、清掃区間を地図上で整理しやすくなります。清掃中に抵抗が発生した場合は、起点側からの概算距離と牽引方向を記録へ追加し、後日の調査範囲を絞り込みます。

写真撮影時には、管路番号を記載した表示板などを一緒に写します。清掃開始前の管口、使用した清掃具、回収した異物、通過確認後の状態を同じ命名ルールで保存すると、管路ごとの比較がしやすくなります。

位置情報、写真、作業記録をクラウド上で結び付ける場合も、デジタル機器を導入するだけでは十分ではありません。特殊部番号、管路番号、写真名、作業記録名、更新者、確認者のルールを統一し、清掃完了時に不足項目がないか確認します。既存台帳へ反映する責任者と承認手順も決めておくことが重要です。

まとめ

電線共同溝の管路清掃ブラシ詰まりを防ぐには、ブラシを通す瞬間の操作だけでなく、管路情報の確認から清掃後の記録までを一連の作業として管理する必要があります。

手順1では、管路台帳と現地を照合し、管路番号、管種、内径、延長、曲線、継手、滞水、過去の抵抗発生位置を整理します。手順2では、引通し線の損傷や接続状態を確認し、異常時の停止方法と回収方法を両端で共有します。

手順3では、公称径だけで清掃具を選ばず、実際の内径、継手、曲線、異物の種類を考慮します。手順4では、必要に応じて通過性を優先した予備通しを行い、回収物と抵抗の変化を確認しながら段階的に本清掃へ移ります。

手順5の本清掃では、急激な抵抗上昇を見逃さず、異常があれば停止します。強い力で押し切るのではなく、管路外の異常を確認し、回収できる場合は清掃具の付着物と損傷を調べて原因を見直します。

手順6では、対象工事の仕様に従って通過確認を行い、管路番号、清掃方向、使用器具、抵抗発生位置、排出物、確認結果を記録します。同じ位置で抵抗が繰り返される場合は、清掃不足だけでなく、管路の変形や継手のずれなども疑い、関係者と追加確認を協議します。

特殊部内へ入る作業では、酸素欠乏や有害ガスの危険を含む作業環境を事前に評価し、該当する法令と安全手順を守ることが不可欠です。また、地上で取得した特殊部の位置情報、写真、管路番号、清掃履歴を一元的に整理する方法として、LRTK Phoneを活用できます。地下ではGNSS測位条件が成立しにくいため、地上の測位結果と既存台帳を照合し、内部記録を確実に関連付ける運用が重要です。

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