電線共同溝の管路口対策が重要な理由
電線共同溝は、電力線や通信線などを道路の地下に収容する施設で、一般に管路部、特殊部、分岐部、引込部などから構成されます。整備や維持管理には道路管理者、電線管理者、施工者など複数の関係者が関わるため、管路口の処置も一つの担当だけで完結するとは限りません。設計図や施工図に示された構造を確認するだけでなく、どの管路を誰が使用し、どの状態で引き渡し、どの作業で再び開放するのかを関係者間で共有することが重要です。電線共同溝の構成と関係者調整の必要性は、公的な整備資料でも示されています。国土交通省 交通研究所+1
管路口はケーブルを特殊部へ通すために必要な開口ですが、未使用部分やケーブル周囲に連続した隙間が残れば、小動物の侵入経路になる可能性があります。対象となる生物は現場環境によって異なり、ネズミ類だけでなく、昆虫、クモ、ヤモリ類、カエル類などが入り込む場合もあります。周辺に植栽帯、河川、側溝、空き地、ごみ集積所、倉庫などがある場合は、地下構造物へ近づく生物の種類や頻度が変わるため、地域条件を踏まえた確認が必要です。
小動物が侵入しても、直ちに設備障害へつながるとは限りません。しかし、巣材や土砂が排水経路を妨げる、ふん尿や死骸によって衛生状態が悪化する、点検作業者が驚いて転倒する、ケーブル外装や識別表示が損傷する、害虫が定着するといった問題へ発展するおそれがあります。ネズミ類などのかじり行動によって樹脂部材やケーブル外装が傷つく可能性もあるため、侵入後の捕獲だけに頼らず、開口を物理的に管理する予防策を基本にします。
ただし、管路口対策を小動物だけの問題として扱うと、別の不具合を生むことがあります。管路口には、止水、ケーブル保護、将来の増設や撤去、温度変化や振動への追従、施工性、点検性など、複数の要求が重なります。侵入を防ぐために硬い材料で一体化した結果、ケーブル更新が困難になったり、ケーブルへ局部的な荷重がかかったりしては適切とはいえません。反対に、取り外しやすさだけを優先して柔らかい詰め物で済ませると、収縮や脱落によって隙間が再発する可能性があります。
したがって、対策の目的は単に穴を埋めることではありません。使用中のケーブルを傷めず、設計上必要な止水性や耐久性を確保し、将来の保守にも対応できる状態で侵入経路を継続的に閉じることです。そのためには、材料選定、施工時の確認、特殊部内の環境管理、定期点検、記録更新を一つの管理サイクルとして運用する必要があります。
小動物が侵入する主な経路と発生しやすい条件
最初に確認したいのは、特殊部の内壁に取り付く管路の端部です。ケーブルが入っている管路では、管の内径とケーブル外径の差によって環状の隙間が生じます。複数条のケーブルが入る場合は、ケーブル同士の間にも谷状の隙間ができます。封止材の充填不足や、経年による収縮、剥離、ずれ、欠損があると、その隙間が侵入経路として連続する可能性があります。
次に注意したいのが空き管です。将来使用を見込んだ予備管、入線予定が変更された管路、撤去後に空いた管路、施工途中で未使用の管路は、端部処理を忘れやすい箇所です。空き管は別の特殊部や引込部まで連続していることがあるため、一方の端から侵入した小動物や異物が別の場所へ移動する経路になり得ます。
公的な設計マニュアルの一例では、共用FA管の連続性が不要となる特定の区間について、管端を水平または上り勾配とし、キャップで止水する管止めが示されています。これは小動物対策を全国一律に定めた規定ではなく、すべての管種へそのまま適用できるものでもありませんが、未使用の管端を開放したままにせず、設計条件に合う部材で処理する考え方の参考になります。国土交通省CBRデータベース+1
管路口以外では、特殊部の蓋周辺、壁面の貫通部、後施工箇所、排水経路、構造継目、欠損部なども確認が必要です。管路口を補修しても、蓋受け部に大きな隙間がある、壁面に欠けがある、排水経路が外部と無防備につながっているといった状態では、別の経路から侵入される可能性があります。小動物対策は管路口を中心に進めつつ、特殊部全体を一つの空間として確認することが欠かせません。
侵入や定着に関係する条件には、水分、暗さ、隠れ場所、餌、巣材などがあります。特殊部内に滞水があると、昆虫や両生類が滞在しやすくなる場合があります。落ち葉、紙片、布、木片、梱包材の切れ端などが残っていると、隠れ場所や巣材として利用される可能性があります。作業時に持ち込んだ飲食物のごみや、外部から流入した有機物が残れば、昆虫を呼び込み、その昆虫を餌とする生物が近づくことも考えられます。
周辺環境も重要です。植栽帯に接する歩道、河川や用水路に近い区間、側溝との高低差が小さい場所、浸水履歴がある場所、ごみが集まりやすい場所では、一般的な市街地区間より侵入リスクが高い場合があります。すべての電線共同溝で同じ材料、同じ点検頻度を機械的に採用するのではなく、周辺条件、構造、過去の侵入履歴を踏まえて管理水準を調整します。
対策1 管路口を用途に合った構造で確実に封止する
第一の対策は、使用中の管路口を設計条件とケーブル構成に合った方法で封止することです。封止構造を選ぶ際は、小動物が押し広げにくいことだけでなく、管路材とケーブル外装への適合、必要な止水性能、長期的な収縮や脱落のしにくさ、点検や更新時の扱いやすさを確認します。現場にある材料を即席で詰めるのではなく、設計図書、施工要領、道路管理者の基準、電線管理者との協議内容に基づいて決定します。
使用中の管路では、管の内周とケーブル外周の間を全周にわたって処理する必要があります。表面だけを薄く覆っても、奥に連続した空隙があれば、封止材が変形したときに通路が再び現れる可能性があります。複数のケーブルが通っている場合は、管とケーブルの間だけでなく、ケーブル同士が接する部分にも隙間が残りやすいため、施工前に断面を確認します。ケーブルが一方向へ寄った状態では材料厚さが不均一になりやすいので、設備へ無理な力を加えない範囲で納まりを整えます。
保持部材や防護部材を併用する仕様も考えられますが、材料や形状は管理者が承認したものを使用します。金属網などを現場判断でケーブルへ巻き付けると、切断端や腐食部がケーブル外装へ接触し、振動や温度変化の影響で損傷させるおそれがあります。金属材料を用いる場合は腐食環境、異種金属接触、鋭利部、固定方法、電気設備との離隔を確認し、樹脂材料を用いる場合は吸水、経年硬化、熱変形、耐久性を確認します。
硬化系材料を用いる仕様もありますが、ケーブルへ直接密着させて一体的に固める方法は、将来の撤去や増設を困難にする場合があります。また、管路材と構造躯体の変位差によって、境界部にひび割れや剥離が生じることも考えられます。硬化系材料の適用可否やケーブル周囲の処理は、対象設備の標準図、施工要領、材料仕様に従って決めます。
布、紙、木片、清掃用のウエス、汎用の発泡材などを単独で詰め、恒久対策とする方法は避けます。施工直後には穴が埋まったように見えても、吸水、収縮、劣化、引抜け、かじりなどによって隙間が再発する可能性があるためです。仮設で使用する場合も、使用期間、点検時期、恒久対策への切替期限、担当者を明確にし、仮設状態のまま引き渡さないようにします。
封止後は、正面からの目視だけで終わらせず、全周の密着、欠け、空洞、浮き、脱落のおそれ、ケーブルへの過度な圧迫、排水への影響を確認します。止水性能が求められる箇所では、採用した構造と材料に応じた確認方法を設定します。試験や検査の方法を一律に決めつけず、施工要領や管理基準に従い、必要に応じて関係者と協議します。
対策2 空き管と施工途中の開口を放置しない
第二の対策は、空き管、予備管、撤去後の管路、施工途中の開口を放置しないことです。小動物侵入の問題は、完成後の劣化だけでなく、施工段階の短期間の開放から始まる場合があります。開放中に小動物、落ち葉、土砂、水が入り、そのまま管端を閉じると、内部に異物が残った状態で引き渡されます。後日の通線作業で異物が見つかったり、別の特殊部へ移動した小動物が問題を起こしたりするため、開放期間をできるだけ短くします。
管路を敷設した当日に入線しない場合は、作業終了時に仮閉塞します。種によっては夜間に活動が活発になり、降雨や風によって異物が入り込む可能性もあるため、翌日に作業を再開する予定でも開放したままにしない運用が必要です。仮キャップは管径と管種に適合し、予定する仮設期間中に外れにくい方法で取り付けます。
将来用の予備管では、設計条件に合う恒久的な管止めを行い、どの方向へどこまで連続しているかを台帳へ記録します。キャップが見えていても、奥で管路が破損している、反対側が開放されている、分岐部で別経路につながっている場合があります。片側だけを見て十分と判断せず、図面と現地を照合しながら管路系統全体の開口状態を確認します。
ケーブル引込み用の線を残す場合は、その取り出し部が封止やキャップの密着を妨げない納まりにします。公的な設計マニュアルの一例では、管路にケーブル引込み線を設置し、入線位置の目印としても用いる考え方が示されています。引込み線を残すことと管端を適切に閉じることを両立できるよう、標準図や管理者の指示に従って処理します。国土交通省CBRデータベース+2国土交通省CBRデータベース+2
撤去工事では、ケーブルを抜いた直後の管路口を見落としやすくなります。撤去前はケーブルと封止材で閉じていた箇所が、撤去後には大きな開口へ変わるためです。撤去計画には、ケーブル撤去、管内確認、必要な清掃、管止め、表示、写真記録までを一連の作業として含めます。電線管理者と道路管理者で作業範囲が分かれる場合は、最終的な閉塞を誰が確認するかを事前に決めます。
施工中の管理には、開口管理表を用いる方法が有効です。特殊部番号、管路番号、用途、開放日時、仮閉塞日時、恒久閉塞日時、確認者、写真番号を一つの記録へまとめます。管理表を作るだけでなく、当日の作業前後に現物と照合し、未閉塞が残っていないことを確認します。複数班が同じ特殊部で作業する場合は、別班がキャップを外したことに気づかない可能性があるため、着手前と終業時に状態を共有します。
対策3 特殊部内を小動物が定着しにくい環境に保つ
第三の対策は、特殊部内を小動物が定着しにくい環境に保つことです。管路口を封止しても、特殊部内にすでに小動物が入っている場合や、別の経路から侵入する場合があります。侵入を完全にゼロにすると断定するのではなく、侵入しにくく、入ったとしても長く留まりにくい状態を維持することが現実的です。
まず、清掃によって巣材や餌となるものを残さないようにします。落ち葉、枯れ草、紙、布、木片、梱包材、断熱材の切れ端、食べ物の包装などは撤去します。ケーブル識別札や結束材の余長が床面に散乱している場合も整理します。ただし、設備管理に必要な表示や引込み線を誤って撤去しないよう、電線管理者と確認してから作業します。
次に、滞水と土砂堆積の原因を確認します。水があるから必ず小動物が侵入するわけではありませんが、昆虫や両生類が滞在しやすい条件になる場合があります。排水口や集水部に土砂、落ち葉、巣材が詰まっていないかを確認し、管路口の封止材が排水経路へはみ出していないかも点検します。排水対策は地下水位や現場条件に応じて検討する必要があり、公的な設計マニュアルでも特殊部に必要に応じて排水対策を施す考え方が示されています。国土交通省CBRデータベース+1
通気や設備用の開口がある場合は、その機能を確認したうえで防護方法を検討します。侵入防止を優先して必要な通気や排水を無計画に塞ぐと、結露、温度上昇、排水不良などを招く可能性があります。防虫網や格子を設ける場合も、必要な通気断面や通水断面を確保し、目詰まり、腐食、清掃性を考慮します。
薬剤や毒餌を特殊部内へ常設する方法は、安易に採用しません。誤使用、回収漏れ、死骸の残置、作業者への影響、対象外の生物への影響が考えられるためです。捕獲器を使用する場合も、設置者、点検頻度、回収方法、対象生物、関係法令や自治体のルールを確認し、必要に応じて専門事業者へ相談します。基本は侵入口を閉じ、清掃と排水管理によって定着条件を減らすことです。
周辺地上部の管理も見落とせません。特殊部の蓋周辺に落ち葉やごみが堆積している、植栽が覆いかぶさっている、側溝から土砂が流れ込む状態では、地下だけを清掃しても再発しやすくなります。植栽の根が電線共同溝へ影響しないよう配置を検討する考え方も公的な設計マニュアルに示されているため、必要に応じて道路管理者や植栽管理者と調整し、視認性、清掃性、構造物への影響を確認します。国土交通省CBRデータベース+1
対策4 定期点検で封止部の劣化と侵入痕跡を早期に見つける
第四の対策は、定期点検によって封止部の劣化と侵入痕跡を早期に発見することです。管路口の封止は、施工時に良好でも永久に同じ状態が続くとは限りません。温度変化、振動、湿気、滞水、ケーブルの動き、後続工事、人の接触などによって、ひび割れ、収縮、剥離、浮き、ずれ、欠損が生じる可能性があります。完成検査だけでなく、供用後の点検対象として明確に位置付けます。
点検では封止部の全周を確認します。正面から見える表面だけでなく、上側、下側、ケーブルの背面、複数ケーブルの間を照明で確認します。小さな穴や暗い隙間は一方向からの写真では見落としやすいため、撮影角度と照明方向を変えます。触診が許される箇所では浮きや緩みを確認できますが、ケーブルや設備へ不用意に触れないよう、管理者が定めた点検手順と安全条件を守ります。
侵入痕跡としては、ふん、尿染み、毛、足跡、かじり跡、巣材、土砂の持込み、昆虫の抜け殻、死骸、臭いなどが考えられます。一つの痕跡だけで動物種や侵入経路を断定せず、位置、量、新旧、周辺の開口状態を記録します。古い痕跡を適切に清掃した後、一定期間を置いて再点検すると、現在も侵入が続いているかを判断しやすくなります。
封止材が脱落して床面に落ちている場合は、単に元へ戻すだけでは不十分です。下地の汚れ、材料の不適合、充填不足、保持不足、ケーブルの動き、滞水、施工時の条件など、脱落に関係する要因を確認します。原因を確認せず同じ方法で補修すると、再び同じ場所が開く可能性があります。補修記録には、症状、推定原因、採用した対策、次回確認時期を残します。
点検頻度は、すべての箇所を一律にする必要はありません。浸水履歴がある区間、過去に侵入があった特殊部、植栽や水路に近い箇所、施工後間もない補修箇所、頻繁に開閉される箇所は重点点検対象とします。通常点検に加えて、大雨や浸水、地震、道路工事、ケーブル更新、蓋交換など、状態が変わる事象の後に臨時確認を行う方法も有効です。
特殊部へ入る点検では、道路上の作業、地下空間、電気設備、滞水、酸素欠乏や有害ガスなど、現場ごとの危険を確認します。関係者の許可、交通規制、換気、必要な測定、照明、昇降設備、監視体制、設備への接近条件など、定められた入坑手順を優先します。小動物の痕跡確認を理由に単独で無断入坑したり、素手で死骸やふんに触れたりせず、必要な衛生保護具を使用して定められた方法で処理します。
対策5 写真と台帳で再発防止の仕組みをつくる
第五の対策は、写真と台帳を使い、点検結果を次の作業へ引き継ぐ仕組みをつくることです。小動物侵入対策は、補修した瞬間だけでなく、その後に状態を追跡できるかどうかが重要です。現場には似た形状の管路口が多数並ぶため、写真だけではどの特殊部の何番管か分からなくなることがあります。設備番号、管路番号、撮影方向、撮影日時、封止方法を関連付けて記録します。
写真は、特殊部全景、管路配列全体、対象管路口の近景、補修前、清掃後、補修途中、補修完了の順で残すと比較しやすくなります。近景だけでは位置関係が分からず、全景だけでは隙間の状態が確認できません。設備番号や管路番号を写し込む場合は既存表示を隠さず、必要に応じて撮影札を使用します。撮影札には日付、箇所番号、方向、作業内容を簡潔に記載します。
台帳には管路の使用状況を反映します。使用中、予備、撤去済み、将来入線予定、閉塞済み、仮閉塞中などの区分を設け、状態が変わるたびに更新します。予備管を使用し始めたのに台帳が空き管のままだと、次回点検で誤った判断を招く可能性があります。現地表示、施工図、竣工図、点検台帳の内容が一致しているかを確認します。
再発箇所では補修回数を記録します。同じ管路口で短期間に複数回の脱落や侵入が起きている場合は、部分補修だけでなく、材料、下地処理、ケーブル配置、管端形状、滞水、振動、保持方法を含めた見直しが必要です。履歴がなければ毎回が初回対応に見えてしまい、根本原因の分析が進みません。再発回数と発生間隔を把握することで、重点改修箇所を選びやすくなります。
管理主体が複数に分かれる場合は、記録の共有範囲と更新責任を決めます。道路管理者が特殊部全体を管理し、電線管理者が個別管路の使用状態を把握している場合、片方の情報だけでは判断できません。誰が写真を保管し、誰が台帳を更新し、補修後に誰が確認するかを明確にします。外部委託で点検する場合も、納品形式だけでなく、異常発見時の連絡基準を決めておきます。
記録は後から検索できる形にします。ファイル名が撮影日時だけでは対象箇所を探すのに時間がかかります。路線名、区間、特殊部番号、管路番号、作業種別、年月日などを一定の規則で付与します。紙台帳を使用する場合でも写真番号との対応を崩さないようにします。デジタル管理では、位置情報、図面、写真、点検結果を関連付けることで、再点検や補修計画を作成しやすくなります。
既設の電線共同溝で侵入が確認されたときの改善手順
既設設備で小動物や侵入痕跡を見つけた場合は、すぐに穴を塞ぐだけでなく、内部確認、原因調査、清掃、補修、再点検の順で対応します。生きた小動物が内部にいる状態で出口をすべて塞ぐと、設備内に閉じ込める可能性があります。まず関係者へ連絡し、安全を確保したうえで、対象生物の状況と侵入範囲を確認します。捕獲や追い出しが必要な場合は、対象種、関係法令、自治体ルールを確認し、必要に応じて専門事業者へ依頼します。
次に侵入経路を調べます。管路口の隙間だけでなく、隣接する空き管、反対側の特殊部、蓋周辺、排水経路、壁面欠損、後施工箇所を確認します。痕跡が一つの管路口付近に集中していても、その穴が入口とは限りません。内部を移動した後の休息場所として利用している可能性もあるため、管路系統と周辺構造を追って確認します。
清掃前には、痕跡の位置と周辺の開口状態が分かる写真を残します。清掃後に原因調査を始めると、足跡や巣材の向きが失われ、経路を推定しにくくなるためです。記録後は必要な衛生保護具を使用し、ふん、巣材、死骸、汚染物を定められた方法で回収します。ケーブルや機器へ付着している場合は、設備に適した清掃方法を電線管理者へ確認し、洗剤や水を無断で使用しません。
補修では、既存封止材の健全部まで不用意に壊さず、劣化範囲を確認します。一部だけが浮いているように見えても、裏側で密着が失われている場合があります。下地の泥、油分、水分、腐食生成物などを除去し、採用材料が接着または密着できる状態に整えます。濡れた下地へ施工できない材料もあるため、施工可能な温度、湿度、乾燥状態、養生時間を確認します。
補修後は、完了直後だけでなく、材料の硬化または安定後、一定期間後、必要に応じて降雨後にも再点検します。完了直後の外観だけでは、収縮、剥離、滞水による変化を確認できません。再発した場合は同じ材料を追加するだけでなく、管端形状、保持方法、背面空隙、排水状態、ケーブルの動きを含めて工法を見直します。複数箇所で同様の不具合が出ている場合は、個別施工だけでなく標準仕様や施工手順に共通原因がないか確認します。
管路口対策で避けたい施工と運用
避けたい第一の例は、見える範囲だけを表面的に埋める施工です。表面が平らでも奥に空洞が残れば、材料が押し込まれたり剥がれたりしたときに侵入経路が再び現れます。必要な充填範囲、厚さ、保持方法を施工要領で確認し、背面材を用いる場合も吸水性、耐久性、難燃性、かじりへの抵抗性などの適用条件を確認します。
第二の例は、ケーブルや引込み線を強く締め付ける施工です。侵入防止を優先するあまり、硬い部材でケーブルを押さえ込むと、局部圧力や擦れが生じる可能性があります。ケーブルの種類、外径、許容される支持方法、将来の引替えを確認し、電線管理者が承認した構造を採用します。現場判断でケーブルへ穴を開けたり、適合確認のない接着剤を塗布したりしません。
第三の例は、排水や通気を一緒に塞ぐことです。小動物の通り道に見える開口でも、構造上必要な排水経路や設備用開口である可能性があります。閉塞前に図面と現地を照合し、機能を確認します。必要な開口には、通水または通気を妨げにくく、点検と清掃ができる防護構造を検討します。
第四の例は、仮設措置を恒久対策として放置することです。テープ、簡易栓、布、汎用発泡材などは、短期養生に使う場合があっても、長期の耐久性を前提にできないことがあります。仮設措置には、設置日、目的、撤去または更新期限、担当者を表示し、台帳へ登録します。工事完了時には仮設材の残置がないかを確認します。
第五の例は、侵入を見つけるたびに薬剤だけで対応することです。侵入口が開いたままでは、新たな個体が入る可能性が残ります。薬剤や捕獲を行う場合も専門的な判断のもとで実施し、同時に物理的な侵入経路を閉じ、清掃と環境改善を進めます。
第六の例は、補修写真だけを残し、対象管路や原因を記録しない運用です。完了写真があっても、どこをなぜ直したか分からなければ再発時の比較に使えません。補修前後の状態、対象番号、使用材料の一般名称、施工範囲、推定原因、確認者、次回点検時期を一体で記録します。
LRTK Phoneを活用した管路口管理
電線共同溝の管路口対策では、異常箇所を正確に特定し、写真と位置を結び付けて残すことが重要です。特殊部は外観が似ており、道路改良や舗装更新によって周辺景観が変わると、過去写真だけでは同じ場所を探しにくくなる場合があります。LRTK Phoneで地上部の位置を取得し、特殊部番号、路線、点検写真、補修履歴と関連付ければ、再点検対象を整理しやすくなります。LRTK PhoneとLRTKクラウドには、測位、写真、点群、地図上での管理や共有に利用できる機能があります。Lefixea Irtk+2Lefixea Irtk+2
ただし、地下の特殊部内や高い建物に近い場所では、衛星測位信号が遮られたり反射したりして、安定した高精度測位が難しい場合があります。そのため、特殊部内部で常に高精度測位できると考えず、上空視界を確保しやすい地上部で基準となる位置を取得し、蓋番号や設備番号と結び付ける運用が現実的です。内部写真は、管路配列の方向、壁面、管路番号、撮影位置を記録し、地上の位置情報を親データとして関連付けます。
補修対象が複数ある場合は、現場で撮影した写真に、異常種別、緊急度、仮閉塞か恒久補修か、再点検予定日などの属性を付けて整理します。帰社後に記憶だけで分類すると、似た写真を取り違える可能性があります。現場で設備番号を確認しながら記録することで、台帳更新の抜けを減らしやすくなります。
周辺地形や構造物との関係を確認したい場合は、対応する端末と機能構成を用いて地上部を点群として記録し、植栽、側溝、蓋周辺の段差、排水方向などを把握する方法も考えられます。すべての点検で三次元記録が必要なわけではありませんが、浸水や土砂流入を繰り返す箇所、道路改良前後を比較したい箇所、蓋周辺の沈下傾向を追跡したい箇所では、写真だけでは共有しにくい形状変化を記録できます。点群取得の可否と精度は、使用端末、衛星受信環境、計測方法、対象物の状態などに左右されるため、必要な精度に応じて現場確認や既知点照合を行います。
LRTK Phoneを導入する目的は、測位値を増やすことではありません。どの特殊部の、どの管路口で、いつ、どのような異常があり、誰がどの対策を行い、その後どう変化したかを追える状態にすることです。点検と補修の情報を位置付きで蓄積すれば、再発箇所の抽出、重点点検区間の選定、関係者への説明、次回工事への引継ぎに活用しやすくなります。
まとめ
電線共同溝の管路口から小動物が侵入するのを防ぐには、封止材を追加するだけでは不十分です。使用中の管路口を設計条件に合う構造で閉じ、空き管や施工途中の開口を放置せず、特殊部内の清掃と排水管理を行い、定期点検で劣化と侵入痕跡を確認し、写真と台帳で履歴を残すことが重要です。この五つを一体で運用することで、侵入後の対症対応だけでなく、侵入しにくく、再発も把握しやすい管理へ移行できます。
特に重要なのは、管路口対策を小動物だけの問題として切り離さないことです。止水性、ケーブル保護、更新性、排水、通気、安全、関係者調整を同時に考えなければ、別の不具合を生む可能性があります。現場ごとの構造、使用状況、周辺環境、過去履歴を確認し、道路管理者や電線管理者と協議しながら、適切な材料と施工方法を選定します。
また、補修後の状態を追跡できる記録がなければ、同じ不具合を繰り返しても原因を分析しにくくなります。特殊部番号、管路番号、位置、写真、補修内容、再点検時期を一つにつなげ、現場と台帳の不一致を減らすことが再発防止の鍵です。管路口の状態を位置情報付きで整理し、点検履歴を継続的に蓄積する手段として、LRTK PhoneとLRTKクラウドを活用する方法も検討できます。