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電線共同溝の特殊部内作業で酸欠事故を防ぐ7つの安全確認

電線共同溝の特殊部は、ケーブルの接続、分岐、敷設、点検などを行う地下構造物です。地上との開口が限られ、内部の空気が入れ替わりにくいため、外観や臭いに異常がなくても酸素濃度が低下しているおそれがあります。ケーブルなど地下に敷設される物を収容する暗きょ、マンホール、ピットの内部は、労働安全衛生法施行令別表第6に掲げる酸素欠乏危険場所に該当します。電線共同溝の特殊部がこれらの構造と用途に当たる場合、内部作業は酸素欠乏危険作業として法令上の措置を組み込む必要があります。([e-Gov 法令検索][1])

酸素欠乏は臭いや色では判別できません。作業者が異常を自覚する前に判断力や運動機能が低下し、昇降設備からの転落や退避の遅れにつながることがあります。また、倒れた作業者を助けようとして、呼吸用保護具を着けずに進入した救助者まで被災する二次災害も繰り返し発生しています。実際のマンホール災害でも、先に倒れた作業者を救助しようとした同僚が続けて被災した事例が公表されています。([あんぜんサイト][2])

酸素欠乏症等防止規則では、空気中の酸素濃度が18%未満の状態を酸素欠乏と定義しています。酸素欠乏危険作業では、作業開始前の濃度測定、換気、作業主任者の選任、特別教育、異常の早期把握、退避、救出用具の準備などが定められています。ただし、呼吸用保護具を常時着用すれば換気を省略できるという意味ではありません。換気ができない場合や著しく困難な場合、危険場所に進入して測定する場合、救出作業を行う場合など、条件に応じて空気呼吸器等を使用します。([厚生労働省][3])

本記事では、電線共同溝の設計、施工、維持管理、ケーブル敷設、点検に携わる実務担当者に向けて、特殊部内作業で酸欠事故を防ぐための7つの安全確認を整理します。現場では、施設管理者や発注者の基準、元請事業者の施工計画、関係事業者の手順、所轄の労働基準監督署等の指導を確認し、対象場所の構造、用途、滞留物、接続設備、作業内容に応じたリスクアセスメントへ反映してください。

電線共同溝の特殊部で酸欠事故が起こる理由

電線共同溝の特殊部は、蓋を閉じている間の自然換気が限られます。内部に雨水、泥、有機物などが滞留すると、微生物の活動や物質の酸化によって酸素が消費される場合があります。また、周辺土壌、隣接する地下設備、接続管路などから流入した気体が内部の空気を置換し、酸素濃度を低下させる可能性もあります。厚生労働省の電気通信業務向け教材でも、マンホール等の長期間水が滞留する場所が酸素欠乏の発生例として示されています。

危険なのは、蓋を開けた直後に内部を目視し、照明が点灯する、底部が乾いて見える、異臭がないといった理由で安全と判断することです。酸素欠乏空気は見た目では判別できません。開口部に顔や上半身を近づける行為自体が危険になる場合もあるため、内部確認は測定器を用いて外部から行うことを基本にします。

電線共同溝の特殊部が、ケーブル等を収容するマンホールやピットとして施行令別表第6第3号に該当する場合、通常は第一種酸素欠乏危険作業として扱われます。一方、し尿、腐泥、汚水その他腐敗しやすい物質を入れてあり、または入れたことのある設備など、施行令別表第6のうち第二種に指定される場所では、酸素だけでなく硫化水素の危険も法令上の管理対象になります。特殊部の名称だけで第二種と決めるのではなく、接続先、流入物、過去の使用状況、滞留物の性状を確認して区分を判断することが重要です。第二種酸素欠乏危険作業では、酸素濃度を18%以上、硫化水素濃度を10ppm以下に保つよう換気することが定められています。([厚生労働省][3])

また、酸素欠乏だけを確認すれば十分とは限りません。発電機や車両の排気が取り込まれる条件では一酸化炭素、溶剤や接着剤を使用する作業では有機溶剤蒸気、可燃性物質が流入する可能性がある場所では可燃性ガスなど、作業内容に応じた危険を別途評価します。酸素濃度が18%以上でも、他の有害ガスが安全とは限らないためです。

入孔前に安全な値を確認できても、作業中に状態が変化する可能性があります。換気装置の停止、ダクトの外れ、滞留水や汚泥のかくはん、隣接設備の操作、溶接や切断、排気源の接近などがあれば、濃度分布が変わり得ます。したがって、作業開始前の測定だけで終わらせず、法令で定める再測定に加え、現場の危険性に応じて携帯型測定器による監視や定期測定を組み合わせます。

安全確認1 作業場所の危険性と作業条件を事前評価する

最初の安全確認は、特殊部へ入る前に、危険要因と法令上の区分を具体化することです。同じ名称の特殊部でも、深さ、容積、開口部の数、管路の接続方向、排水設備の有無、浸水履歴、周辺施設、内部設備は異なります。前回の点検で問題がなかったという情報だけで、今回も安全と判断してはいけません。降雨、近接工事、設備変更、長期間の閉鎖などにより、内部環境は変化します。

事前評価では、施設台帳、竣工図、点検記録、補修履歴、過去の濃度測定結果、浸水記録、周辺埋設物の情報を確認します。現地では、特殊部の位置と管理番号、開口部の形状、内部深さ、周囲の交通、換気装置の設置場所、清浄な吸気を確保できる場所、電源の確保方法、救出用具を設置できる空間、緊急車両の接近経路を確認します。地下だけでなく地上側を含めて一つの作業区域として計画しないと、資機材や規制設備が退避や救出を妨げるおそれがあります。

作業内容の確認も欠かせません。目視点検、排水、清掃、ケーブル引込み、接続、切断、研磨、塗装、接着、溶接など、作業ごとに発生し得るガスや蒸気が異なります。使用材料の安全データシート、機械の動力源、燃焼の有無、排気の方向、粉じんや蒸気の発生可能性を確認し、酸素以外に測定すべき項目を決めます。

作業計画には、作業人数、役割分担、入孔順序、作業時間、換気開始時刻、測定時刻、測定位置、再測定条件、中止基準、退避方法、救助手順を記載します。複数の事業者が関わる場合は、各社の手順を並べるだけでなく、現場で使用する統合手順を定めます。誰が作業主任者で、誰が測定し、誰が監視と連絡を担当し、誰が通報と地上誘導を行うのかを明確にします。

ケーブル等を収容するマンホールやピットに該当する特殊部では、酸素欠乏危険作業として必要な措置を当日の判断に任せず、着手前に準備します。作業主任者の選任、特別教育を受けた作業者の配置、測定器具、換気設備、立入禁止措置、異常を早期に把握する体制、避難・救出用具などを作業計画に落とし込みます。([厚生労働省][3])

安全確認2 入孔前と作業中の濃度測定を徹底する

二つ目の安全確認は、適切な測定器を用い、適切な位置とタイミングで濃度を測ることです。酸素欠乏症等防止規則では、その日の作業を開始する前の測定が必要です。さらに作業主任者には、作業者全員が場所を離れた後に再び作業を開始する前と、作業者の身体や換気装置等に異常があったときにも測定を行わせることが定められています。第二種酸素欠乏危険作業では、酸素と硫化水素の両方を測定します。([厚生労働省][3])

測定前には、測定器の対象ガス、測定範囲、電池残量、警報設定、センサーの使用期限、校正履歴、機能確認の結果を点検します。吸引ホースを使う場合は、折れ、つぶれ、亀裂、接続不良、水分詰まりの有無を確認し、ホースの長さと吸引方式に応じた応答時間を待ってから値を読み取ります。測定器を持ち出しただけで使用可能と判断せず、取扱説明書と社内手順に従って正常作動を確認します。

測定は特殊部の外から行うことを原則とし、開口部に顔や上半身を入れないようにします。内部へ入って測定する必要がある場合は、空気呼吸器等を使用し、転落のおそれに応じて墜落制止用器具等を使用するとともに、測定者の状況を監視する体制を整えます。厚生労働省の教材でも、外部からの測定を原則とし、内部測定では呼吸用保護具、必要に応じた墜落制止用器具、測定者の監視が示されています。

測定点は開口部付近だけでは不十分です。上部、中間部、底部、滞留水の上、管路の接続口付近、隅部、隔壁の裏側、ケーブルや架台で空気が流れにくい場所など、作業者が移動する範囲を考慮します。気体の流入経路や換気の流れによって濃度が均一にならない可能性があるため、立位の呼吸域だけでなく、かがんだ姿勢や底部作業の高さも測定します。

法令上の測定記録には、測定日時、測定方法、測定箇所、測定条件、測定結果、測定者の氏名、測定結果に基づいて講じた措置の概要を記載し、3年間保存する必要があります。実務上は、特殊部の管理番号、測定器識別番号、換気装置の運転状態、天候、測定点を示す図や写真も加えると、次回作業で再利用しやすくなります。法定記録と任意の補足項目を区別しながら、一つの様式で管理すると抜けを防げます。([厚生労働省][3])

作業中の携帯型測定器による継続監視は、濃度変化を早期に把握する方法として有効です。ただし、携帯型測定器は異常を知らせる機器であり、安全な空気をつくる設備ではありません。装着していることを理由に換気、作業主任者の職務、異常把握の体制を省略しないようにします。警報が作動した場合は、原因確認のため奥へ進まず、事前に定めた手順で直ちに退避します。

安全確認3 換気経路と換気装置の状態を確認する

三つ目の安全確認は、換気装置を設置するだけでなく、特殊部全体に清浄な空気が届く流れをつくることです。酸素欠乏危険作業では、爆発や酸化を防止するため換気できない場合、または作業の性質上換気が著しく困難な場合を除き、酸素濃度を18%以上に保つよう換気しなければなりません。第二種酸素欠乏危険作業では、酸素濃度18%以上かつ硫化水素濃度10ppm以下に保つ必要があります。([厚生労働省][3])

換気計画では、特殊部の容積、深さ、開口部の配置、内部の隔壁、ケーブルラック、管路接続部、作業位置を確認し、送気、排気、または送排気の組合せを決めます。送風口と排気側が近すぎると、送り込んだ空気が内部全体を通らずに外へ抜ける短絡が起こります。ダクト先端を作業位置に近づけるだけでなく、押し出された空気がどの経路で外部へ排出されるかまで確認します。

送気用の吸気口は、発電機、車両、燃焼機器、排気ダクト、粉じんや溶剤蒸気の発生場所から離し、清浄な空気を取り込める場所に設置します。排気式では、排出したい空気の滞留部へ吸気側を近づけ、排気口周辺に作業者や第三者を立ち入らせないようにします。送排気式では、吐出口と吸気口を離し、内部を均一に換気できる配置を検討します。

換気開始後は、一定時間運転したという理由だけで入孔しません。複数の測定点で濃度を確認し、換気の効果を数値で判断します。換気前の状態を把握する必要がある場合も、測定者を危険にさらさない方法で外部から測定します。作業可否は、換気後の測定で安全な状態が確認できたことを前提に判断します。

作業中は換気装置を連続運転し、電源喪失、ブレーカー作動、ダクトの外れ、つぶれ、閉塞、吸気口への排気源の接近を監視します。送風機の運転音だけで稼働を判断せず、表示、風量、ダクトの状態を確認します。換気停止は原則として作業中止と退避の条件にし、予備電源や代替装置があっても、切替えが完了して濃度を再確認するまで作業を再開しない運用にします。

酸素濃度を上げる目的で純酸素を換気に使用してはいけません。酸素欠乏症等防止規則では、換気に純酸素を使用することが禁止されています。純酸素は燃焼を著しく促進するため、換気には清浄な空気を使用します。([厚生労働省][3])

安全確認4 作業主任者と作業者の資格・教育を確認する

四つ目の安全確認は、必要な技能講習を修了した作業主任者を選任し、作業者全員が特別教育を受けているかを確認することです。第一種酸素欠乏危険作業では、酸素欠乏危険作業主任者技能講習または酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了した者から作業主任者を選任します。第二種酸素欠乏危険作業では、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了した者から選任しなければなりません。([厚生労働省][3])

作業主任者には、作業方法の決定と作業者の指揮、所定の時期の濃度測定、測定器具や換気装置、空気呼吸器等の点検、空気呼吸器等の使用状況の監視といった職務があります。名簿上選任するだけでなく、当日の作業場所で職務を遂行できる配置にすることが重要です。離れた複数の特殊部を一人が形式的に兼務し、測定や指揮ができない状態は避けます。([厚生労働省][3])

酸素欠乏危険作業に係る業務へ労働者を就かせる場合は、酸素欠乏等の発生原因、症状、空気呼吸器等の使用方法、事故時の退避と救急そ生などに関する特別教育が必要です。新規入場者、応援者、短時間だけ入孔する技術者も、実際に対象業務へ従事するなら教育確認から漏らさないようにします。([厚生労働省][3])

作業前ミーティングでは、一般的な症状だけでなく、今回の特殊部の深さ、開口部、換気ダクト、測定点、警報音、退避方向、昇降設備、交通規制、救出用具、通報方法を現場図や写真で共有します。外国人作業者を含む場合は、現場で理解できる言語や図示を用い、資料を配布するだけでなく、本人に退避行動を説明してもらうなどして理解度を確認します。

頭痛、めまい、吐き気、息苦しさ、ふらつき、応答の遅れなどがあれば、測定器の表示にかかわらず異常として扱います。本人が作業継続を希望しても、監視担当者や作業主任者が中止を指示できる体制を整えます。進捗を優先して異常の兆候を見過ごさないことが重要です。

安全確認5 監視、連絡方法、入退場管理を機能させる

五つ目の安全確認は、作業状況を常時監視し、異常を早期に把握して関係者へ直ちに通報できる体制をつくることです。現行の酸素欠乏症等防止規則では、異常時に作業主任者その他の関係者へ通報する者を置くなど、異常を早期に把握するために必要な措置を講じることが定められています。現場では、特殊部外に監視担当者を配置し、内部の人数、作業状況、換気装置、測定器の警報を継続して把握できるようにする方法が一般的です。([厚生労働省][3])

監視担当者に交通誘導、資材運搬、電話対応などを重ねると、監視が途切れるおそれがあります。法令上の要求は現場条件に応じた必要な措置ですが、内部作業の状況を確実に把握できない兼務は避けるべきです。道路上の特殊部では、交通誘導と酸欠作業の監視を別の役割として整理し、どちらも機能する人数を確保します。

連絡方法は、無線、通話装置、有線連絡、定時合図などから現場条件に合うものを選び、入孔前に実際の位置で通信試験を行います。地下では地上で使えた機器が利用できない場合があります。返答がない場合の判断、定時連絡の間隔、警報時の合図を定め、連絡が途絶えたときは確認のため別の作業者を入孔させず、作業中止と退避を優先します。

酸素欠乏危険作業では、作業者を入場させる時と退場させる時に人員を点検することが定められています。入孔者の氏名、入孔時刻、退孔時刻、作業位置、携行測定器、交代状況を記録し、監視担当者が内部人数を即時に答えられる状態にします。短時間の確認や資材受渡しでも無断入孔を認めず、開口部周辺には関係者以外の立入りを防ぐ表示と区画を設けます。([厚生労働省][3])

換気装置の停止、測定器の警報、作業者の返答遅延、ふらつき、予定外の長時間滞在、急な水位上昇、周辺作業の開始などは異常の兆候です。異常を把握したら、様子を見るために待機するのではなく、手順に従って退避を指示し、作業主任者と関係者へ通報します。監視担当者自身が呼吸用保護具なしで救助に入らないことも、作業前に確認します。

安全確認6 呼吸用保護具と救出設備を作業前に点検する

六つ目の安全確認は、呼吸用保護具と避難・救出用具が、必要なときに直ちに使える状態かを確認することです。酸素濃度が不足する空気では、ろ過式の防じんマスクや防毒マスクは酸素を供給できないため、酸素欠乏対策の代替にはなりません。換気できない場合や換気が著しく困難な場合には、空気呼吸器、酸素呼吸器、送気マスクなど、法令上の空気呼吸器等を必要数備えて使用させる必要があります。救出のため酸素欠乏等の場所へ入る労働者にも、空気呼吸器等を使用させなければなりません。([厚生労働省][3])

保護具の点検では、作業条件に適した種類か、面体、ホース、接続部、弁、警報、圧力、空気供給源が正常かを確認します。使用者ごとの装着状態、顔面との密着、保護帽や眼鏡との干渉、ホースの取り回し、作業姿勢によるずれも確認します。現場に保護具を置いてあるだけでは不十分であり、使用者が正しく装着し、緊急離脱できる必要があります。

酸素欠乏危険作業では、空気呼吸器等、はしご、繊維ロープなど、非常時に作業者を避難させ、または救出するために必要な用具を備えることが定められています。また、酸素欠乏症等にかかって転落するおそれがある場合は、要求性能墜落制止用器具等を使用させ、安全に取り付けるための設備等を設ける必要があります。すべての現場に同じ器具を機械的に当てはめるのではなく、深さ、開口寸法、昇降方法、内部障害物を踏まえて必要な構成を決めます。([厚生労働省][3])

救出用の引上げ装置、全身を保持できるハーネス、支持設備、ロープなどを使用する場合は、組み立てた状態で巻上げ、制動、ロック、ロープ経路、開口部通過を確認します。支持点は想定荷重に耐え、開口部の縁、換気ダクト、交通車両、ケーブル架台と干渉しない位置に設けます。救出時になってから梱包を開けたり、操作方法を確認したりする状態を避けます。

救助計画では、内部へ進入しない方法で救出できるかを優先して検討します。内部進入が必要な場合は、救助者の呼吸用保護具、監視、予備要員、連絡、交代方法まで含めて計画します。無防備な進入を禁止し、消防などの専門救助機関へ引き継ぐ条件を明確にします。

安全確認7 異常時の中止基準と救助計画を共有する

七つ目の安全確認は、何が起きたら作業を止めるのかを数値と事象で定め、全員が同じ行動を取れるようにすることです。酸素欠乏等のおそれが生じた場合、事業者は直ちに作業を中止し、作業者を退避させなければなりません。また、安全が確認されるまで、特に指名した者以外の立入りを禁止する必要があります。([厚生労働省][3])

中止基準には、酸素濃度や対象ガスの警報、換気装置の停止、測定器の故障、連絡断、監視体制の不成立、作業者の体調異常、予期しない臭気や煙、急な浸水、周辺設備の異常、停電、救出用具の不具合などを含めます。法令上の限界値を下回ってから退避を始めるのではなく、測定器の精度、警報設定、濃度の変化傾向を考慮した管理値を作業計画で定めます。ただし、社内管理値は法令上の基準を緩和するものではありません。

退避時は工具や資材の回収を後回しにし、最短経路で地上へ戻ります。監視担当者と作業主任者が人数を確認し、異常原因が解消したように見えても、換気、再測定、設備点検、作業計画の見直しを行い、再開責任者が許可するまで再入孔しません。

救助計画には、異常の発見、退避指示、通報、換気継続、非進入救助、救助隊への情報提供、応急対応までの流れを記載します。通報時に、現場住所だけでなく、道路上のどの特殊部か、管理番号、開口部の位置、深さ、内部人数、直近の測定値、想定ガス、使用設備、進入経路を説明できるようにします。救急車両や消防隊を誘導する担当者も決めます。

訓練は書面の読み合わせだけでなく、連絡が取れない、換気装置が停止する、作業者が昇降途中で動けなくなるといった場面を想定して実施します。救出用具を実際に操作し、開口部から引き上げられるか、通報情報をすぐ提示できるかを確認します。訓練で判明した問題は、設備配置、要員、手順、連絡先に反映します。

酸欠事故では、救助に向かった人が続けて被災する危険があります。異常を発見しても、呼吸用保護具なしで内部へ入ってはいけません。まず退避と通報を行い、可能な範囲で換気を継続し、準備済みの用具による非進入救助を検討します。酸素欠乏等にかかった作業者には、救出後ただちに医師の診察または処置を受けさせることも法令で定められています。([厚生労働省][3])

記録を残して次回作業の安全性を高める

酸欠対策は、当日の作業を無事故で終えるだけでは完結しません。測定結果、換気条件、作業時間、警報履歴、設備異常、滞留水、周辺工事、作業中止と再開の判断を記録し、次回の計画へ反映します。基準内の値であっても、特定の測定点だけ低かった場合や、換気停止後に急速に悪化した場合は、特殊部固有の注意情報として残します。

測定記録は、特殊部の管理番号、位置、開口部、内部構造とひも付けて保管します。法令で定める測定記録は3年間保存し、測定日時、方法、箇所、条件、結果、測定者、講じた措置を確認できる状態にします。平面図や断面図に測定点を示し、換気ダクトの先端位置、送風機の吸気位置、救出用具の設置状況を写真で補足すると、次回の準備精度を高められます。([厚生労働省][3])

ただし、過去記録は今回の測定を省略する根拠にはなりません。過去データは危険箇所の予測、測定点の選定、必要資機材の準備に使い、当日は現況を測定します。設備更新、ケーブル増設、隔壁の追加、排水経路の変更、周辺工事などにより空気の流れが変わるため、使用した図面や台帳の版も記録します。

記録をデジタル化する場合は、入力項目と単位を統一し、未入力や異常値を見つけやすくします。数値を転記する場合は、小数点、単位、測定点の取り違えを防ぐ確認手順を設けます。写真だけを保存して終わらせず、測定器の表示、測定位置、時刻、換気状態が対応するよう整理します。

LRTK Phoneは、特殊部の地上位置や開口部周辺の状況を位置情報付き写真として記録し、クラウドを通じて関係者と共有する補助ツールとして活用できます。換気装置の配置、救出用具の設置場所、交通規制範囲、緊急車両の進入経路などを地上側で記録すれば、関係者間の認識合わせに役立ちます。LRTK Phoneによる測位写真は地図上で確認し、クラウド同期や共有リンクによって閲覧できる機能が案内されています。([Lefixea Irtk][4])

ただし、LRTK Phoneは酸素濃度、硫化水素、一酸化炭素、可燃性ガスを測定する専用機器の代替ではありません。濃度判定は、対象ガスに適合し、点検と校正が行われた専用測定器で実施します。LRTK Phoneは位置、写真、配置、作業記録、共有を支える用途に限定し、安全判定機器と役割を混同しないことが重要です。

まとめ 電線共同溝の酸欠対策は入孔前の確認で決まる

電線共同溝の特殊部内作業で酸欠事故を防ぐには、危険性の事前評価、適切な濃度測定、連続換気、作業主任者と特別教育、監視と連絡、呼吸用保護具と救出用具、中止基準と救助計画という7つの安全確認を連動させる必要があります。測定で状態を把握し、換気で安全な空気を維持し、異常を早期に把握し、危険が生じたら迷わず退避できる仕組みを整えます。

避けるべきなのは、蓋を開ければ自然に換気される、前回問題がなかったから今回も安全である、携帯測定器を持っているから換気は不要である、短時間だから監視体制はいらないといった思い込みです。必要な人員、設備、測定、換気、救出体制のいずれかが欠けている場合は、入孔を開始しない判断が必要です。

安全管理を現場の経験だけに頼らず、特殊部の管理番号、構造、測定点、換気配置、救出経路、過去の異常を継続的に記録すれば、次回作業の準備精度を高められます。専用測定器と法令に基づく安全措置を中心に据えたうえで、LRTK Phoneを地上位置、写真、配置、共有の補助に用い、電線共同溝の維持管理をより確実に進めてください。

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