LRTKレフィクシア株式会社

電線共同溝の特殊部内で転落事故を防ぐ5つの昇降設備確認

電線共同溝の特殊部内で転落事故が起きやすい理由

電線共同溝は、電力線や通信線などを道路の地下へ収容するための施設です。一般的には本体となる管路、ケーブルの接続や分岐などに用いる特殊部、沿道施設へつなぐ引込管路、既設の管路等へつなぐ連系管路などで構成されます。特殊部の種類や構造は道路管理者の基準、収容条件、施工方式によって異なり、点検や設備更新の際に作業員が内部へ立ち入るものもあります。

特殊部への出入りには、構造に応じて固定はしご、壁面の昇降金物、仮設の移動はしごなどが用いられます。階段と比べて昇降経路が急で、開口寸法が限られ、地上から内部の足元を見通しにくいことが少なくありません。内部が暗い、結露や漏水がある、泥やさびが踏み段に付着している、ケーブルや支持金具が昇降空間へ張り出しているといった条件が重なると、手足を正しく置けず、踏み外しや滑りが起こりやすくなります。

転落は、はしごの途中だけで起こるとは限りません。蓋を開けた直後に開口部へ近づいたとき、地上から最上段へ体を移すとき、最下段から床へ降りるとき、工具を受け渡すとき、作業終了後に地上へ戻るときにも危険があります。そのため、昇降設備だけを単独で点検するのではなく、開口部周辺、乗り移り部分、照明、工具の搬入方法、監視体制、緊急時の退避と救助までを一つの作業系として確認する必要があります。

労働安全衛生規則では、高さまたは深さが1.5メートルを超える箇所で作業を行うとき、作業員が安全に昇降するための設備等を設けることが原則とされています。また、高さ2メートル以上の作業床の端や開口部などで墜落の危険がある場合には、囲い、手すり、覆い等による防止措置が基本となります。ただし、特殊部への適用関係は、開口部の構造、作業位置、作業床の有無、設備の設置方法などによって異なります。数値だけで一律に判断せず、現場条件、施工計画、道路管理者の基準、関係法令を確認しなければなりません。

さらに、地下の閉鎖空間では空気環境への注意も必要です。すべての特殊部が一律に酸素欠乏危険場所となるわけではありませんが、長期間閉鎖されていた、滞水がある、汚泥や有機物が流入した、周辺からガスが侵入する可能性があるなどの条件があれば、入坑前の測定や換気を含む安全措置を検討します。転落防止と酸素欠乏対策は別々に扱うのではなく、安全に入坑し、安全に作業し、安全に退避できる計画としてまとめることが重要です。

確認1 開口部周辺と出入口の安全を確保する

最初に確認するのは、特殊部内部のはしごではなく、地上側の開口部周辺です。固定はしごが健全でも、開口部の周りが滑りやすい、作業空間が狭い、蓋や資材が動線をふさいでいると、はしごへ移る前や地上へ戻る瞬間に転落するおそれがあります。

蓋を開放する前には、舗装の段差、路面勾配、滞水、泥、砂、落ち葉、油分、凍結などを確認します。歩道内の特殊部でも、雨天後や洗浄後は足元が滑りやすくなる場合があります。工具箱、送風機、電源コード、換気用ダクト、排水ホース、撤去した蓋などを開口部の近くへ無計画に置くと、昇降者や監視者のつまずきにつながります。

蓋を開けた後は、開口部そのものを危険区域として管理します。作業員が出入りする部分を除き、囲い、柵、覆いその他の設備によって不用意な接近を防ぎます。歩行者や自転車が通る場所では、表示物を一つ置くだけでなく、通行者が作業区域へ入り込まない連続した動線分離が必要です。夜間や薄暗い場所では、囲いと開口部の両方が認識できる照明や表示を確保します。

車道付近では、交通規制と作業区域の配置が昇降の安全性を左右します。作業車両や規制材によって立ち位置が狭くなると、蓋の開閉時や乗り移り時に無理な姿勢になりやすいためです。蓋を持ち上げる位置、仮置きする位置、昇降者が待機する位置、監視者が立つ位置、救助設備を設置する位置を事前に決め、相互に干渉しない空間を確保します。

蓋の開閉には、蓋の形状と重量に適した器具を使用します。無理な手作業は、腰や指の負傷だけでなく、急な反動で開口部側へよろける原因になります。開放した蓋は、倒れ、回転、横滑りが起きない状態で安定させます。立て掛けただけの蓋や、昇降経路にかかる仮置きは避けます。

固定はしごへ移る部分では、両手で保持できる場所があるか、最上段を目視できるか、開口枠や蓋受けが膝や足先に干渉しないかを確認します。地上面から最初に使う踏み段までの距離が大きい、手掛かりが途中で途切れる、体をひねらなければ乗り移れないといった状態では、昇降開始時の姿勢が不安定になります。

開口部への囲い等が必要かどうかを深さの数値だけで判断するのは危険です。法令上の適用関係を確認したうえで、開口部へ接近する作業員、蓋を扱う作業員、監視者、通行者の全員を対象にリスクを評価します。法令の最低条件に該当しない場合でも、転落のおそれがあれば、囲い、立入管理、監視、照明などの実効的な対策を講じることが必要です。

確認2 固定はしごと昇降金物の健全性を確認する

二つ目は、固定はしごや壁面の昇降金物の健全性確認です。特殊部内は湿気がこもりやすく、結露、漏水、滞水、塩分を含む水の侵入などによって腐食が進むことがあります。外見上の変色が小さくても、被覆の内側、溶接部、アンカー周辺で劣化している可能性があるため、踏み段の表面だけで判断してはいけません。

点検では、踏み段の曲がり、亀裂、欠損、摩耗、腐食、溶接部の割れ、ボルトや取付金具の緩み、アンカー周辺のひび割れや浮き、壁面の剥離などを確認します。樹脂等で被覆された昇降金物では、被覆の破れ、膨れ、浮き、端部からの水の侵入を確認します。異常が疑われる場合は、外観だけで使用可否を決めず、設備管理者の基準に従って詳細点検や補修を行います。

踏み段表面の滑りやすさも重要です。泥、藻、油分、結露水、さび粉などが付着していれば、強度が保たれていても足を滑らせます。清掃で除去できる汚れなのか、摩耗や腐食によって滑り止め形状が失われているのかを切り分けます。清掃後も滑りや変形が残る場合は、継続使用を前提にせず、補修または交換を検討します。

踏み段の位置と間隔は、上端から下端まで連続して確認します。最下段だけが高い、途中の段がずれている、補修した段の位置が他と異なると、一定の感覚で足を運んだ際に踏み外しやすくなります。固定はしご全体が傾いていないか、左右の踏み位置に差がないかも確認します。

壁面と踏み段の間には、靴先を安全に掛けるための空間が必要です。後から設置されたケーブル、支持金具、配管、排水ホース、センサー、仮設配線などが張り出していると、足の置き場が狭くなります。作業服、保護帽、墜落制止用器具、携行品が突出物へ引っ掛かる可能性もあるため、人体と装備を含む通過空間として評価します。

上端部では、地上へ移るまで手掛かりが連続しているかを確認します。下端部では、最下段から床へ無理なく移れるか、床面に滞水や堆積物がないか、着地位置にケーブルや資材がないかを確認します。固定はしご本体が健全でも、上端または下端の乗り移り部分に危険があれば、安全な昇降経路とはいえません。

仮設の移動はしごを使う場合は、丈夫な構造、著しい損傷や腐食の有無、必要な幅、滑りや転位を防ぐ措置など、移動はしごに関する基準を確認します。はしご道に該当する設備では、踏み段の等間隔、壁との間隔、転位防止、上端部等に関する基準の確認が必要です。特殊部に恒久設置された昇降金物がどの規定や管理基準の対象となるかは、設備の構造と使用方法によって判断し、道路管理者の仕様や設計図書も併せて確認します。

踏み段の欠損、著しい腐食、固定部の緩み、壁面の剥離、昇降空間の重大な干渉などが見つかった場合は、「ゆっくり使えばよい」と判断してはいけません。使用を中止し、開口部を適切に閉鎖または管理したうえで、別の安全な昇降方法を確保するか、補修後に再点検します。異常設備へ仮設材を付け足すだけでは、新たな破損や外れを招くことがあるため、責任者の承認なしに応急変更を行わないことも重要です。

確認3 安全な昇降動作を作業手順に落とし込む

三つ目は、昇降設備の使い方を具体的な作業手順として定めることです。「注意して降りる」「足元を見る」といった抽象的な指示だけでは、作業員ごとに動作が変わり、危険な方法が習慣化するおそれがあります。

はしごを昇降するときは、一般的な安全上の基本として、手足による三点支持をできる限り保ちます。片手に工具や測定機器を持ったまま降りると、保持できる箇所が減り、滑った際に体を支えにくくなります。工具、照明、測定器、記録端末、交換部品などは、収納具、工具袋、荷揚げ設備等を使って搬出入し、原則として手に持ったまま昇降しない手順にします。

小型の機器でも、手首からぶら下げる、胸元から大きく突き出させる、長いストラップを垂らすと、踏み段や開口枠へ引っ掛かる可能性があります。携行が必要な物は、両手の使用を妨げず、落下せず、体の回転を妨げない状態で収納します。落下物は内部の作業員を負傷させるだけでなく、昇降者が反射的に手を離す原因にもなります。

昇降前には、靴底の泥、油分、砂、付着水を除去します。特殊部内から地上へ戻るときも、最初の踏み段へ足を掛ける前に靴底の状態を確認します。靴が濡れている場合や踏み段が滑りやすい場合は、清掃、拭き取り、乾燥、設備の使用中止などを判断し、注意喚起だけで作業を続けないことが大切です。

昇降は一人ずつ行い、先行者が安全な位置へ移動したことを確認してから次の作業員が動きます。人の昇降と工具や資材の揚げ降ろしを同時に行わないよう工程を分けます。地上側と内部側の合図を統一し、昇降開始、着地完了、荷物搬入開始、作業中止、退避開始などのタイミングを明確にします。

開口部付近では、昇降者以外の作業員が不用意にはしごへ近づかないようにします。資材を開口部から下ろしているときに資材が踏み段へ接触すると、設備や作業員へ衝撃を与える可能性があります。人の出入り、換気設備の設置、工具の搬入、ケーブル作業を工程として分け、干渉する同時作業を減らします。

体調確認も昇降手順の一部です。めまい、疲労、足腰の痛み、脱水、眠気、薬の影響などがある状態では、短い昇降でも踏み外しにつながります。防護具や作業服が濡れて重くなっている場合も動作が制限されます。本人の申告だけに頼らず、作業責任者が動作や応答を確認し、入坑を見合わせる判断基準を共有します。

昇降経路には、上端から下端まで確認できる照明を設けます。地上と内部の明るさの差が大きいと、入坑直後に踏み段が見えにくくなる場合があります。照明は作業員の体や開口枠で遮られにくい位置へ設置し、まぶしさや影によって段差が見えなくならないよう調整します。

照明器具のコード、換気用ダクト、仮設配線をはしごへ巻き付けたり、踏み段の近くへ垂らしたりしてはいけません。昇降者の手足や装備が引っ掛からない経路へ固定し、昇降空間から分離します。照明の故障や電源停止が起きても、作業員が安全に退避できる予備照明を準備します。

確認4 墜落制止用器具と救助設備を整える

四つ目は、墜落制止用器具、取付設備、救助設備の確認です。転落防止では、まず開口部の囲い、適切な昇降設備、滑りや干渉の除去、作業手順の整備によって危険を低減します。それでも墜落の危険を十分に除去できない場合は、現場のリスク評価に基づき、作業条件に適した墜落制止用器具や垂直親綱等の方式を検討します。

墜落制止用器具は、着用するだけでは機能しません。安全に接続できる取付設備があり、危険箇所へ近づく前から必要な区間を通過するまで使用できることが重要です。取付位置が低い、開口部から遠い、途中で接続を外さなければ通過できない、ランヤードが構造物へ絡むといった配置では、実際の昇降動作に適合しません。

器具と方式の選定では、作業位置、取付位置、自由落下距離、落下後の伸び、作業員と装備品の重量、特殊部の深さ、途中の構造物や床面への衝突可能性などを確認します。墜落を制止する前に床やケーブル支持部へ衝突するおそれがある場合は、同じ器具を形式的に追加するのではなく、転落を開始させない拘束方式、適切な垂直用設備、作業方法の変更などを検討します。

使用前には、ベルト、縫製部、金具、フック、接続部、ロープ、巻取り部、ショックアブソーバ等の異常を確認します。摩耗、切れ、変形、腐食、固着、薬品や熱による損傷がある器具は使用しません。墜落を制止して衝撃を受けた器具は、外観だけで再使用を判断せず、製造者の基準と管理手順に従って使用を停止し、点検または交換します。

高さ2メートル以上の箇所で墜落制止用器具等を使用させる場合には、安全に取り付けるための設備等を設け、器具と取付設備の異常の有無を随時点検することが法令上求められます。ただし、特殊部の昇降にどの規定が適用されるかは作業位置や設備構成によって異なるため、作業計画の段階で確認します。

救助設備は、墜落制止用器具とは目的を分けて考えます。墜落を制止できても、負傷者や意識を失った作業員を地上へ引き上げられるとは限りません。通常の固定はしごだけでは救助できない事態を想定し、開口寸法、内部の障害物、救助対象者の姿勢、地上側の設置空間を踏まえて、救助用三脚、吊上げ装置、救助用ハーネス、担架等の必要性を検討します。使用する設備は現場条件に適合し、必要な能力を備え、取扱者が訓練を受けていることが前提です。

救助計画では、誰が異常を発見し、誰が作業を中止させ、誰が緊急通報を行い、誰が救助設備を操作するかを決めます。救急隊の進入経路、作業場所の伝達方法、交通規制の維持、開口部周辺の確保も具体化します。救助設備が資材の奥にある、組立方法が分からない、必要な取付点が使えないといった状態では、緊急時に機能しません。

空気環境に異常が疑われる場合は、無防備な救助進入を禁止します。酸素欠乏危険作業に該当する場合には、法令に基づく濃度測定、換気、作業主任者、監視、特別教育、避難・救出用具、救出時の空気呼吸器等の措置が必要です。適用対象外と判断した場合でも、警報、臭気、作業員の体調異常、換気停止などが起きたときは、原因を確認せずに別の作業員が内部へ入らない手順を定めます。二次災害を防ぐことを救助計画の最優先事項とします。

確認5 点検記録と使用可否の判断基準を標準化する

五つ目は、昇降設備の点検結果を記録し、使用できる状態かどうかを共通の基準で判断することです。点検者によって判定が変わる運用では、同じ腐食や変形でも、一方では使用中止、別の現場では継続使用となり、安全水準が安定しません。

点検記録には、特殊部の識別情報、点検日、点検者、天候、開口部周辺の状態、蓋と受枠の状態、固定はしごまたは昇降金物の状態、踏み段、取付部、昇降空間の障害物、照明、滞水、清掃状況、墜落防止設備、救助設備、空気環境に関する確認内容を残します。点検範囲と使用した判断基準も記録し、何を確認して使用可としたのかを後から追跡できるようにします。

写真は、異常箇所だけを極端に拡大すると位置関係が分かりません。特殊部内の全体が分かる写真、異常がある面や段の位置が分かる写真、腐食や亀裂の状態が分かる近接写真を組み合わせます。方向、段番号、壁面の区分、撮影位置などを記録すれば、次回点検時に同じ箇所を比較できます。

腐食は、「少しさびている」「かなり傷んでいる」といった主観表現だけで済ませません。表面変色、被覆の浮き、さびの膨れ、剥離、断面減少、穴あき、変形、固定部の緩みを分けて記録します。必要に応じて寸法、変形量、残存断面等を確認し、構造と材質に応じた補修判断につなげます。現場で荷重を掛ける確認は、設備管理者が定めた方法と安全措置なしに行ってはいけません。

判定区分は、使用可能、清掃後に再点検、使用中止、補修後に再点検など、行動と結び付く形にします。条件付き使用を設ける場合は、許容する条件、監視方法、期限、承認者を明確にします。ただし、踏み段の欠損、著しい腐食、固定部の緩み、壁面の剥離など、昇降中の荷重に耐えられない可能性がある異常を条件付き使用で処理してはいけません。

応急処置を行った場合は、内容、実施者、実施日時、使用制限、有効期限、恒久対策の予定を記録します。ロープや仮設材で補助した状態を恒久設備のように扱うと、時間の経過とともに処置の目的や限界が分からなくなります。応急処置後も使用を再開できるとは限らないため、設備管理者による承認と再点検を必須にします。

異常を見つけた際の連絡先と承認経路も標準化します。点検者が現場責任者へ報告し、設備管理者が使用停止を判断し、補修担当者が対応し、再点検後に使用再開を承認する流れを決めます。口頭連絡だけに頼らず、写真、記録票、是正期限、担当者、完了確認を共有し、未処置のまま次回作業へ移らない仕組みを整えます。

過去の点検結果を時系列で確認すると、同じ位置で腐食が進んでいる、雨天後に滞水する、設備更新後から昇降空間が狭くなった、蓋の開閉方法が変わって周辺に傷が増えたといった傾向を把握できます。単発の部品交換で終わらせず、排水、換気、材料、配置、施工方法、作業手順などの根本原因を検討することが長期的な事故防止につながります。

作業前ミーティングで共有すべき事項

昇降設備の点検が終わっていても、その結果と使用条件が作業員へ共有されていなければ安全な作業にはつながりません。作業前ミーティングでは、特殊部の位置や作業内容だけでなく、開口から退避までの手順を具体的に確認します。

まず、開口部を開放する場所、囲いの範囲、歩行者と車両の動線、蓋の仮置き位置、送風機や救助設備の設置位置を共有します。作業員が現地へ到着してから配置を考えるのではなく、作業計画の段階で必要な面積を見込み、現地で支障物や交通条件を確認します。

次に、固定はしごや昇降金物の点検結果を共有します。踏み段に重大な異常があれば、口頭で「注意して使う」と伝えるのではなく、使用中止と代替方法を決めます。清掃後に再点検する箇所、接触してはいけない設備、乗り移り時の手掛かりも、実物を見ながら確認します。

昇降する順番、監視者、内部で待機する位置、工具の搬入方法、合図も決めます。複数の事業者が同じ特殊部で作業する場合は、それぞれが異なる手順で動かないよう、統一した入退坑ルールを共有します。作業中に担当者が交代する場合は、点検結果と異常時の対応を引き継ぎます。

異常時の退避条件も明確にします。照明が消えた、換気設備が停止した、濃度測定器が警報を発した、漏水が増えた、地上の交通規制が維持できない、作業員の体調が悪化したといった場合に、誰の指示で作業を止め、どの順番で退避するかを確認します。警報を一時的な誤作動と決めつけて作業を続けないことも共有します。

作業人数は、内部作業員だけでなく、地上監視、交通誘導、換気設備の管理、救助設備の操作、緊急連絡に必要な役割を満たしているかで判断します。一人が複数の役割を兼務しすぎると、監視が途切れ、異常への対応が遅れます。短時間の点検であっても、必要な役割を省略しない計画が必要です。

「少し見るだけ」「すぐ戻るだけ」という理由で、囲い、照明、監視、作業計画で必要とした濃度測定や換気を省略してはいけません。対策の要否は作業時間の長短ではなく、特殊部の構造、空気環境、昇降設備、交通条件、実施する作業の危険性に基づいて決めます。

昇降設備確認を設計・施工・維持管理につなげる

特殊部内の転落事故を減らすには、入坑直前の点検だけでなく、設計、施工、完成確認、維持管理の各段階で昇降性を確認する必要があります。

設計段階では、開口部から昇降設備へ安全に移れるか、ケーブルや支持金具を設置した後も必要な通過空間が残るか、地上側に囲い、換気設備、救助設備を配置できるかを確認します。図面上では十分な寸法があるように見えても、蓋受け、接続金具、ケーブルの曲がり、排水設備、将来増設分を含めると、作業員の動作範囲が不足する場合があります。

施工段階では、固定はしごや昇降金物の位置、踏み段の間隔、壁面との距離、取付部の施工状態、上端と下端の乗り移りを確認します。特殊部の据付後、首部の施工後、ケーブル支持設備の設置後など、空間条件が変わる節目で確認すると、完成時に干渉が判明するリスクを減らせます。

完成確認では、目視だけでなく、実際の昇降動作を想定します。保護帽、作業服、必要な墜落制止用器具等を装着した状態で通過できるか、手掛かりが連続しているか、足元を照らせるか、工具や救助器具を安全に搬入できるかを確認します。確認のために実際に昇降する場合も、完成前の設備を無条件で使用せず、安全な試験手順を定めます。

維持管理では、構造物のひび割れや漏水だけでなく、昇降設備を独立した点検対象として管理します。ケーブルや機器の更新により、当初確保した昇降空間が狭くなることがあります。新たな設備を設置する際は、既存設備との干渉だけでなく、通常の出入り、緊急退避、救助時の吊上げ経路を妨げないかを確認します。

点検情報を位置情報と関連付ける場合は、地上と地下を分けて記録します。衛星測位は地下の特殊部内部では受信が困難なため、内部の異常箇所を位置情報だけで特定しようとしてはいけません。地上では特殊部の開口位置を座標や写真で記録し、内部では特殊部の識別番号、壁面方向、踏み段番号、床からの高さ、写真の撮影方向などを使って異常箇所を表します。

現地情報の記録と共有には、LRTK Phoneのような位置情報と写真を扱える端末を活用する方法があります。地上で特殊部の位置を記録し、その特殊部にひも付けて内部点検の写真、判定、補修指示、再点検結果を管理すれば、点検者の記憶や口頭説明だけに頼らない維持管理につなげられます。ただし、地下内部の測位精度を前提にせず、現場の受信環境、道路管理者の記録方式、必要な位置精度を確認して運用することが重要です。

まとめ

電線共同溝の特殊部内における転落事故は、昇降者の不注意だけで起こるものではありません。開口部周辺の整理不足、固定はしごの腐食、踏み段の汚れ、昇降空間への設備の張り出し、工具を持ったままの移動、監視体制の不足、救助計画の未整備など、複数の要因が重なって発生します。

事故を防ぐためには、開口部周辺と出入口を安全にすること、固定はしごや昇降金物の健全性を確認すること、安全な昇降動作を作業手順として定めること、墜落制止用器具と救助設備を現場条件に合わせて整えること、点検記録と使用可否の判断基準を標準化することが重要です。

特に、踏み段の欠損、著しい腐食、固定部の緩み、壁面の剥離など、重大な異常を見つけた場合は、「慎重に使う」という運用で済ませず、使用を中止して補修や代替設備を検討します。昇降設備は、作業員が特殊部へ入るためだけでなく、異常時に地上へ退避し、必要に応じて救助するための重要な経路です。

設計時の動線確認、施工時の取付確認、完成時の昇降性確認、維持管理時の経年変化の記録を連続させることで、現場ごとの注意だけに頼らない安全管理が可能になります。地上の特殊部位置と内部の設備状態を適切な方法で記録し、使用停止、補修、再点検、使用再開までを追跡できる仕組みを整えることが、電線共同溝の安全な維持管理につながります。

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