LRTKレフィクシア株式会社

電線共同溝の融雪剤による金属腐食を抑える6つの防食対策

積雪寒冷地の道路では、冬期の安全な交通を確保するために融雪剤や凍結防止剤が散布されます。これらに含まれる塩化物が路面排水や車両の跳ね水とともに電線共同溝へ流入すると、蓋や受枠、支持金具、ボルト、アンカー、ケーブル支持材などの金属部材で腐食が進みやすくなります。 電線共同溝の金属腐食は、外観上のさびだけで終わる問題ではありません。腐食生成物によってボルトが固着したり、蓋の開閉が困難になったり、支持部材の断面が減少したりすると、点検やケーブル更新、安全な維持管理に影響します。さらに、異種金属の接触、滞水、塗膜の傷、泥や堆積物の付着などが重なると、特定の部位だけで局部的に腐食が進む場合があります。 一方で、融雪剤を使用する道路に電線共同溝を整備したからといって、すべての金属部材が短期間で使用できなくなるわけではありません。腐食の進行は、塩化物の流入量、湿潤時間、排水条件、温度、材料、表面処理、施工品質、点検頻度などによって変わります。そのため、設計段階から維持管理までを通じて、塩分を入れない、残さない、金属に触れさせない、腐食しにくい材料を使う、傷を早期に補修するという考え方を組み合わせることが重要です。 この記事では、電線共同溝における融雪剤由来の金属腐食を抑えるために、実務で確認したい6つの防食対策を解説します。

電線共同溝で融雪剤による金属腐食が進む仕組み

道路に散布される融雪剤や凍結防止剤には、塩化物を含む材料が用いられることがあります。散布された成分は、雪解け水や降雨、車両からの飛散水に溶け込み、路面上を移動します。その水が舗装の継ぎ目、蓋周辺、排水施設、引込部、施工目地などを通じて電線共同溝の内部や周辺へ入り込むと、金属部材が塩分を含む水分にさらされます。 鉄系材料の腐食には、水分と酸素が関係します。塩化物が存在すると、金属表面の保護性が低下し、腐食反応が進みやすい環境になります。水が乾燥した後も塩分が表面に残れば、次の結露や漏水によって再び溶け出すため、散布期間が終わっても腐食環境が継続することがあります。 特に注意したいのが、湿潤と乾燥を繰り返す場所です。常に大量の水に浸かっている場所だけでなく、少量の塩水が付着して乾燥し、塩分濃度が高まる場所でも腐食が進みます。蓋の裏面、受枠との接触部、ボルトのねじ部、支持金具の重なり、アンカー周辺、泥がたまる水平面などは、塩分が残留しやすい部位です。 また、電線共同溝には複数の種類の金属が使われることがあります。異なる金属が直接接触し、その周囲に塩分を含む水分が存在すると、電気化学的な作用によって一方の金属の腐食が促進される場合があります。金属の種類だけでなく、接触面積、表面処理の状態、水分の滞留、接地や電気的な接続状態なども影響するため、単に耐食性の高い材料へ変更するだけでは十分でないことがあります。 腐食対策を考える際は、目に見える赤さびだけで判断してはいけません。めっき層の消耗、塗膜下での腐食、孔食、隙間腐食、ボルト内部の腐食、部材の裏側の減肉などは、初期段階では外観から分かりにくい場合があります。点検時には、腐食の色や面積だけでなく、発生位置、深さ、部材の変形、塗膜の膨れ、接合部の固着、排水状態まで確認する必要があります。

防食対策1 塩分を含む路面水の流入経路を把握する

最初の防食対策は、金属部材の仕様を変更することではなく、塩分を含む水がどこから入り、どこにたまるかを把握することです。塩水が継続的に供給される状態のままでは、高耐食材料や塗装を採用しても、防食性能を十分に生かせない可能性があります。 現地調査では、道路の横断勾配と縦断勾配、集水ますや側溝の位置、蓋周辺の舗装状態、沿道からの流入、車両の走行方向、除雪時の雪の寄せ方などを確認します。冬期の散布量だけでなく、雪解け時に水が集中する位置を確認することが重要です。平常時には乾燥している電線共同溝でも、融雪期だけ大量の水が流入している場合があります。 蓋や受枠の周囲では、舗装との境界に生じた隙間や沈下に注意します。受枠周辺が局部的に低くなると、路面水が蓋へ集まりやすくなります。蓋の構造によっては、継ぎ目や開口から少量の水が内部へ入り、それが繰り返されることで塩分が蓄積します。止水性だけを高めるのではなく、蓋周辺へ水を集めない舗装勾配と排水計画を整えることが基本です。 特殊部やハンドホールの内部では、底部に水がたまっていないか、排水先が機能しているか、管路から水が流れ込んでいないかを確認します。排水設備が設けられていても、泥や落ち葉、土砂、さび片などで閉塞していれば機能しません。排水口の位置が高く、底部に常時水が残る構造になっている場合もあります。 管路端部や引込部では、外部からの浸入だけでなく、管路内を伝って水が移動する可能性を考えます。電線共同溝のある区間だけを見ても原因が分からない場合は、接続先の構造物、沿道引込部、道路勾配の上流側まで確認範囲を広げます。 流入経路を把握した後は、水を遮る対策と速やかに排出する対策を使い分けます。すべてを密閉すればよいとは限りません。密閉によって内部の湿気が抜けにくくなったり、別の継ぎ目に水圧が集中したりする場合があるためです。止水材、シール材、目地構造、排水設備、換気条件は、それぞれの役割を整理して設計します。 また、塩分を含む水が金属面へ直接落下する位置には、滴下を避ける納まりや水切りを検討します。蓋の裏面から支持金具へ水が落ちる場合や、壁面を伝った水がアンカー周辺へ集まる場合は、わずかな形状変更でも濡れ方を改善できることがあります。 防食設計の出発点は、腐食した部材だけを見るのではなく、水の移動を立体的に捉えることです。降雨時、融雪時、清掃時などの状態を想定し、流入、滞留、蒸発、再湿潤という一連の動きを確認することで、対策の優先順位を決めやすくなります。

防食対策2 使用環境に適した金属材料と表面処理を選ぶ

2つ目の対策は、塩化物にさらされる可能性を踏まえて、金属材料と表面処理を選定することです。電線共同溝では、部材ごとに必要な強度、加工性、接続方法、交換性、導電性が異なります。耐食性だけを基準に材料を決めるのではなく、使用環境と機能を整理したうえで仕様を決定します。 一般的な鋼材は、適切な防食処理を行わずに塩分環境へ置くと腐食が進みやすくなります。そのため、溶融亜鉛めっき、金属溶射、塗装、樹脂被覆などの表面処理を組み合わせる方法が検討されます。ただし、どの処理にも適用条件と弱点があります。めっきは切断面や溶接部、加工後の傷が弱点になりやすく、塗装は膜厚不足や端部の塗り回り不足、施工時の損傷が耐久性を左右します。 ステンレス鋼は一般に耐食性を期待できる材料ですが、塩化物環境であれば無条件に腐食しないわけではありません。水分が滞留する隙間、塩分が濃縮する箇所、酸素の供給が不均一な箇所では、局部的な腐食が生じる可能性があります。ステンレス鋼を採用する場合も、材質の選定だけでなく、水をためない形状、表面状態、異種金属との絶縁、定期的な洗浄を組み合わせます。 ボルトやナットは小さな部品ですが、維持管理上の重要度が高い部材です。ボルトが腐食して固着すると、蓋や支持材を取り外せず、点検や更新作業が遅れる原因になります。ボルト本体の耐食性だけでなく、座金、ナット、締結対象部材との組み合わせを確認し、締結部全体として防食仕様を整える必要があります。 アンカーや埋込み金物では、露出部とコンクリート内部の境界が弱点になることがあります。表面処理が途中で切れていたり、施工時に被覆が傷ついていたりすると、境界付近で腐食が集中する可能性があります。交換が難しい埋込み部材ほど、初期の仕様選定と施工管理を慎重に行います。 蓋や受枠は、道路上から塩分を直接受けやすく、車両荷重や摩耗の影響も受けます。表面の防食性能だけでなく、接触部の摩耗、排水性、がたつき、土砂のかみ込み、開閉作業による傷も考慮します。摩耗によって表面処理が失われやすい箇所は、点検や補修を前提とした仕様とすることが現実的です。 材料選定では、初期費用だけでなく、点検周期、補修のしやすさ、部品の交換性、供用期間中の維持管理負担を含めて比較します。高耐食材料を一律に使うより、塩水が集中する部位や交換困難な部材へ重点的に採用し、交換しやすい部材には補修可能な表面処理を採用するなど、部位ごとに考え方を分ける方法があります。 最終的な材料や表面処理の仕様は、道路管理者、電線管理者、構造物の設計条件、地域の維持管理基準、使用する部材の仕様などを確認して決定します。名称だけで選ぶのではなく、母材、前処理、被覆方法、端部処理、補修方法までを仕様書や図面で明確にすることが重要です。

防食対策3 塗装や被覆の弱点を減らして防食性能を保つ

3つ目の対策は、塗装や被覆を設けるだけで満足せず、防食層が弱くなる場所を減らすことです。塗膜や樹脂被覆は、金属と水分、酸素、塩化物との接触を抑える役割を持ちます。しかし、局部的な傷や未被覆部があると、そこから腐食が始まり、被覆の下へ広がることがあります。 塗装品質を左右する最初の要素は、下地処理です。金属表面に油分、粉じん、水分、浮きさび、溶接スラグなどが残っていると、塗膜の密着性が低下します。塗料の種類が適切でも、下地処理が不十分であれば、早期にはがれや膨れが生じる可能性があります。 電線共同溝内では、狭い場所での塗装作業になることがあります。部材の裏面、ボルト周辺、角部、溶接部、重なり部は、塗料が均一に付着しにくい場所です。平らな面だけで膜厚を確認するのではなく、腐食が始まりやすい端部や接合部を重点的に確認します。 鋭い角部では、塗料が流れて膜厚が薄くなりやすいため、可能であれば部材形状の段階で角を緩和します。溶接部は、形状が不均一で塗り残しが発生しやすく、スパッタや凹凸が残っていると水分も滞留します。塗装前に表面を整え、必要な前処理を行うことが重要です。 現場で部材を切断した場合は、切断面の処理を忘れてはいけません。工場でめっきや塗装を施した部材でも、現場加工によって母材が露出すれば、その部分が腐食の起点になります。穴あけ、切断、溶接、研磨を行った箇所は、指定された方法で補修し、補修範囲を記録します。 締結後に隠れる面も注意が必要です。金具を組み立ててから塗装すると、接触面に塗料が入らず、わずかな隙間に塩水が浸入することがあります。一方、接触面まで厚く塗装すると、締結力や電気的な接続に影響する場合があります。部材の役割を踏まえ、塗装する範囲、絶縁する範囲、導通を確保する範囲を設計段階で整理します。 防食層の選定では、単層の塗装だけでなく、金属被覆と塗装を組み合わせる方法もあります。複数の防食機構を組み合わせれば、一方の層に小さな傷が生じたときの影響を抑えられる場合があります。ただし、材料同士の相性、施工手順、補修方法が不明確なまま複雑な仕様にすると、現場管理が難しくなります。 塗膜の検査では、外観だけでなく、塗り残し、ピンホール、膨れ、割れ、はがれ、流れ、異物の付着などを確認します。必要に応じて膜厚を確認し、仕様に適合しているかを判断します。数値基準は、採用した防食仕様や発注図書に従う必要があり、すべての部材に同じ基準を当てはめるものではありません。 施工後の運搬や据付けも重要です。適切に塗装された部材でも、吊り具、工具、仮置き、部材同士の接触によって傷がつくことがあります。完成時の写真だけでなく、運搬後、組立後、埋戻し前など、傷が確認できる段階で検査します。

防食対策4 異種金属接触と隙間部の局部腐食を抑える

4つ目の対策は、異なる種類の金属が接触する箇所と、水分が残りやすい隙間を減らすことです。電線共同溝には、鋼製支持材、ステンレス製ボルト、めっき金具、鋳鉄製の蓋や受枠など、複数の金属材料が使用される可能性があります。 異なる金属が電気的に接触し、塩分を含む水が電解質として存在すると、材料の組み合わせや面積比などにより、一方の金属で腐食が進みやすくなることがあります。この現象を抑えるには、材料の組み合わせを整理し、必要な箇所で絶縁材を用いて直接接触を避けます。 ただし、電線共同溝の金属部材には、接地や等電位化などのために電気的な接続が必要となる場合があります。そのため、すべての金属部材を機械的に絶縁すればよいわけではありません。防食上の絶縁と、電気設備として必要な接続を混同せず、設計条件に基づいて接続方法を決める必要があります。 絶縁座金や絶縁スリーブを使用する場合は、施工時のずれや破損に注意します。締付けによって絶縁材が変形し、ボルト軸と部材が接触すれば、設計上の絶縁が失われます。また、外観から絶縁状態を確認しにくい構造では、施工記録や使用部材の記録を残すことが重要です。 隙間腐食への対策としては、水が入りにくい接合形状と、水が入っても排出できる形状を検討します。密閉を意図した接合部に不完全な隙間があると、内部へ入った水が抜けず、外部より厳しい腐食環境になる場合があります。シール材を使用する場合は、途切れ、接着不良、経年劣化を想定し、点検や補修が可能な納まりとします。 金具の重なり部や座金の下は、外部から清掃しにくく、乾燥もしにくい場所です。必要以上に部材を重ねない、水平な棚状部分を減らす、排水孔を設けるなど、形状による改善が有効です。ただし、排水孔が新たな弱点になったり、強度へ影響したりしないように、構造上の検討を行います。 ボルト接合部では、ねじ山や座面に水が入り込むと、腐食によって締結状態が変化する場合があります。防食用のキャップや保護材を用いる方法もありますが、内部に水分を閉じ込めないことが重要です。保護材の内部へ水が入ったまま確認できない構造は、かえって腐食の発見を遅らせる可能性があります。 コンクリートと金属の境界部も隙間が生じやすい場所です。アンカー周辺や貫通部で充填不足、ひび割れ、収縮による隙間があると、水が内部へ移動します。表面だけをシールするのではなく、施工時の充填状態、材料の付着性、変形への追従性を確認します。 異種金属接触と隙間腐食は、腐食が始まる位置を予測しにくい点が課題です。そのため、設計図上で材料の接触関係を確認し、施工後に見えなくなる箇所を事前に抽出することが重要です。

防食対策5 施工時の傷と水みちを残さない

5つ目の対策は、施工時に防食層を傷つけず、塩水の通り道となる隙間や不陸を残さないことです。防食性能は材料の仕様だけで決まるものではなく、施工品質によって大きく変わります。 部材の搬入時には、塗装面やめっき面を地面へ直接置かないようにします。土砂や砕石の上へ仮置きすると、部材の自重や移動によって表面に傷がつくことがあります。仮置き材を使用し、部材同士が擦れないように保護します。 吊り上げ作業では、ワイヤやチェーンが直接防食面へ接触しないようにします。吊り具の当たり部分は局部的に大きな力が加わるため、外観上は小さな傷でも、防食層が母材まで切れている可能性があります。吊り位置と保護方法を施工計画に明記し、作業者間で共有します。 組立時には、ボルト孔の位置が合わない部材を無理に取り付けないことが重要です。工具で孔を広げたり、部材を強くたたいたりすると、防食層が破損します。位置ずれが生じた場合は、製作寸法、据付け位置、基準線、アンカー位置を確認し、原因を解消してから組み立てます。 現場溶接は、防食層を失わせる大きな要因です。溶接が必要な場合は、溶接範囲周辺の処理、溶接後の清掃、補修方法、検査方法を事前に定めます。狭い電線共同溝内では、補修作業の姿勢や換気条件が制限されるため、可能な範囲で工場加工を増やし、現場での追加加工を減らす考え方も有効です。 コンクリート施工では、金属部材周辺の充填不足やジャンカ、ひび割れ、目地の不良が水みちになります。打込み時の締固めだけでなく、型枠の隙間、埋込み金物の固定、打継ぎ位置、養生条件を確認します。硬化後は外観を確認し、水が集中しそうな凹部や段差を残さないようにします。 蓋や受枠の据付けでは、高さと勾配の管理が重要です。受枠が周囲の舗装より低いと路面水が集まり、高すぎると車両衝撃や除雪作業によって損傷する可能性があります。設計高さだけでなく、舗装仕上がりとの関係、将来のオーバーレイ、周辺の沈下なども考慮します。 シール材や止水材は、施工面の清掃と乾燥状態が性能に影響します。泥や水分が残った状態で施工すると、十分な接着性を得られない場合があります。適用温度、施工可能な湿潤条件、必要な養生時間などを確認し、冬期施工では材料の保管状態にも注意します。 埋戻し前には、完成後に見えなくなる金属部材を確認します。表面の傷、補修箇所、ボルトの締付け、絶縁材の位置、排水経路、シール材の連続性などを記録し、不具合があれば見える段階で是正します。 位置情報付きの写真を活用すると、補修箇所や埋設後に見えなくなる部材の位置を後から確認しやすくなります。例えばLRTK Phoneを用いて、部材位置や施工状況を位置情報とともに記録しておけば、将来の点検時に過去の施工情報を参照しやすくなります。ただし、記録した位置精度や座標系、撮影条件を整理し、工事写真や出来形資料との関係を明確にしておく必要があります。 施工中の防食管理では、傷を完全になくすことだけを目標にするのではなく、傷を発見し、決められた方法で確実に補修し、その履歴を残す仕組みをつくることが重要です。

防食対策6 点検・清掃・補修を継続して腐食を早期に止める

6つ目の対策は、供用開始後の点検、清掃、補修を計画的に続けることです。融雪剤の散布環境は毎年同じではなく、降雪量、散布量、除雪方法、道路排水の状態によって変化します。設計時に十分な防食対策を行っても、維持管理を行わなければ塩分や堆積物が蓄積します。 点検時期は、通常の定期点検だけでなく、融雪期の後や大雨の後も検討します。冬期直後は塩分が残留しやすく、雪解け水による流入状況も確認しやすい時期です。点検頻度は、地域条件、道路の散布状況、構造物の重要度、過去の腐食履歴に応じて設定します。 点検では、蓋や受枠のさび、塗膜のはがれ、めっき面の変色、ボルトの固着、支持材の減肉、アンカー周辺のさび汁、コンクリートのひび割れ、排水口の閉塞などを確認します。腐食の有無だけでなく、前回から広がっているか、深くなっているかを比較できるように、同じ位置と方向から写真を撮影します。 腐食箇所には、位置、部材名称、範囲、状態、推定原因、対応内容を紐づけて記録します。単に「さびあり」と記録するだけでは、進行性の判断や補修優先度の比較ができません。表面的な変色、塗膜の膨れ、断面欠損を伴う腐食、締結機能に影響する腐食など、状態を区分して管理します。 清掃は、防食対策として重要です。泥、土砂、落ち葉、さび片が金属面に付着すると、水分と塩分を保持し、乾燥を妨げます。底部や棚状部分、ボルト周辺、受枠の溝などに堆積した異物を除去し、排水経路を確保します。 洗浄を行う場合は、洗浄水が別の場所へ塩分を運ばないように注意します。洗浄後に水が残ると再び湿潤環境になるため、排水と乾燥を確認します。また、電気設備やケーブルに影響を与えない方法を選び、必要に応じて関係する設備管理者と作業条件を調整します。 塗膜の小さな傷や局部的なさびは、早期に補修すれば広範囲な部材交換を避けられる可能性があります。補修時は、浮きさびや劣化塗膜を除去し、下地を整えてから指定された防食材料を施工します。既存の塗膜と補修材料の適合性を確認し、外観だけを覆う応急処置にしないことが重要です。 ボルトが固着してから交換しようとすると、周辺部材まで損傷することがあります。点検時に開閉や締結状態を確認し、必要に応じて早めに交換します。交換部材は、既存部材との異種金属接触や防食仕様の不一致が生じないように選定します。 腐食が進行して断面欠損が疑われる場合は、外観だけで継続使用を判断せず、必要な調査を行います。部材の役割や損傷位置によっては、寸法測定、厚さの確認、締結状態の確認などが必要です。安全性に関わる支持部材や蓋受け部では、関係者と協議し、補修や交換の時期を決定します。 点検記録は、年度ごとに保管するだけでなく、位置を基準に時系列で比較できるように整理します。位置情報付き写真や三次元的な記録を活用すれば、同じ部材の経年変化を追いやすくなります。補修箇所についても、施工日、使用材料、下地処理、施工範囲、施工後の状態を記録しておくと、次回の維持管理に役立ちます。

設計・施工・維持管理を一体で考えることが重要

電線共同溝の融雪剤対策は、防食塗装を厚くするだけで完結するものではありません。塩分を含む水が大量に流入し、泥が堆積して乾燥しない環境では、表面処理への負担が大きくなります。一方で、水が入りにくく、入った水を速やかに排出できる構造であれば、防食層の劣化を抑えやすくなります。 設計段階では、道路排水、蓋周辺の納まり、内部排水、材料、表面処理、異種金属接触、点検空間、交換方法を同時に検討します。施工段階では、防食面を傷つけない運搬と組立て、現場加工部の補修、止水材の施工、排水勾配、埋戻し前の記録を徹底します。維持管理段階では、塩分と堆積物の除去、排水機能の回復、小規模な腐食の早期補修を継続します。 腐食が発生した場合は、腐食部材だけを交換して終わらせず、原因を確認します。同じ位置で腐食を繰り返す場合は、上部からの漏水、蓋周辺の沈下、排水不良、異種金属接触、補修仕様の不適合など、継続的な要因が残っている可能性があります。 点検結果を設計へ戻す仕組みも重要です。ある形式の金具で腐食が集中していることが分かれば、次の更新工事では形状や材料を見直せます。特定の位置で塩水流入が多いことが分かれば、道路排水や蓋周辺の納まりを改善できます。維持管理で得た情報を蓄積し、次の設計と施工に反映することで、同じ不具合の再発を減らせます。 また、融雪剤の種類や散布方法、道路条件は地域によって異なります。全国一律の対策を当てはめるのではなく、対象路線の散布実績、積雪状況、交通量、沿道条件、既設構造物の腐食履歴を確認し、必要な防食水準を設定します。 防食性能を高めるほど、初期の施工管理や材料管理が複雑になることもあります。高度な仕様を採用しても、施工者や点検者が内容を理解できなければ、期待した性能を確保できません。図面には材料名だけでなく、接触部の絶縁、加工後の補修、塗装除外範囲、検査位置などを分かりやすく示し、施工前に関係者間で確認します。 電線共同溝は、完成後に内部のすべてを容易に確認できる構造とは限りません。埋設後に見えなくなる部材や交換が難しい部材ほど、設計・施工段階での防食対策が重要です。反対に、点検しやすく交換可能な部材は、定期的な補修を前提とする考え方も選択できます。すべての部材を同じ仕様にするのではなく、腐食環境、重要度、点検性、交換性に応じて対策を配分することが合理的です。

まとめ

電線共同溝における融雪剤由来の金属腐食を抑えるには、塩分を含む路面水の流入経路を把握し、使用環境に適した材料と表面処理を選び、塗装や被覆の弱点を減らす必要があります。さらに、異種金属接触や隙間部の局部腐食を抑え、施工時の傷と水みちを残さず、供用後の点検・清掃・補修を継続することが重要です。 腐食対策は、耐食性の高い材料へ交換するだけでは十分でない場合があります。水がどこから入り、どこに残り、どの部材へ接触するかを確認し、排水、材料、被覆、接合、施工、維持管理を組み合わせて対策します。 特に、蓋や受枠、ボルト、支持金具、アンカー、金属部材の重なり部は、塩分が残留しやすく、腐食が点検作業や設備機能へ影響しやすい箇所です。融雪期後の点検と清掃を行い、塗膜の傷や初期腐食を早めに補修することで、大規模な部材交換へ進む前に対応できる可能性があります。 電線共同溝を長期間安定して使用するためには、設計時の防食仕様だけでなく、施工記録と維持管理記録を継続的に残すことも欠かせません。対象路線の融雪剤散布状況や過去の腐食履歴を踏まえ、地域条件に合った防食計画を立てることが、金属腐食による不具合を抑えるための基本となります。

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