電線共同溝の特殊部で酸欠事故が起こる背景
電線共同溝は、道路の地下に電力線や通信線などを収容し、道路上の電柱や架空線を減らすために整備される施設です。一般に、ケーブルを収容する管路部と、ケーブルの接続、分岐、引込み、点検などを行う特殊部で構成されます。特殊部は地中に設けられた箱状の構造物であり、点検や補修の内容によっては作業員が内部へ入る必要があります。
地下に敷設されるケーブルなどを収容する暗きょ、マンホールまたはピットの内部は、労働安全衛生法施行令別表第6に掲げる酸素欠乏危険場所です。電線共同溝の特殊部がこの構造と用途に該当する場合、その内部での作業は、測定時の酸素濃度が正常であっても酸素欠乏危険作業として管理する必要があります。現場では施設名称だけで判断せず、構造、用途、滞留物の履歴などを確認して第一種または第二種酸素欠乏危険作業の該当性を整理します。([厚生労働省][1])
特殊部は、通常時に人が滞在することを想定した空間ではありません。地上との開口部は蓋で閉じられ、内部へ新鮮な空気が継続的に供給される構造になっていないことがあります。そのため、長期間閉鎖されていた特殊部では、蓋を開けた直後の空気が安全であるとは限りません。
内部に雨水や地下水が流入している場合、堆積した泥や有機物の状態によっては酸素が消費される可能性があります。鋼製部材の腐食も酸素を消費する要因になり得ます。また、接続する管路や周辺地盤から酸素濃度の低い空気が流れ込むことも考えられます。
雨水や湧水が滞留し、または過去に滞留したことのある槽やピットなどは酸素欠乏危険場所に含まれます。さらに、腐泥、汚水その他の腐敗または分解しやすい物質が入っている、または入っていた場所などは、硫化水素中毒のおそれも含む第二種酸素欠乏危険作業に該当する場合があります。単に水があるかどうかだけでなく、水や堆積物の性状、過去の使用履歴、接続設備を確認することが重要です。
酸素欠乏空気には、目視や臭いだけでは気付きにくいという危険があります。特殊部の内部が乾いて見える場合や、異臭が感じられない場合でも、安全な酸素濃度が保たれているとは限りません。過去に同じ特殊部へ問題なく入坑できたとしても、今回も同じ環境であるとは判断できません。
空気の状態は、特殊部の内部で均一になっているとは限りません。開口部付近では安全な濃度が確認されても、底部、隅部、管路接続部、ケーブル棚の裏側などでは異なる値を示す可能性があります。作業員が床面へかがんだときや、奥側へ移動したときに、酸素濃度の低い空気へ接近することも考えられます。
酸素濃度が低下した環境へ入ると、判断力や身体機能が低下し、本人が異常を認識する前に自力で退避できなくなるおそれがあります。さらに、倒れた作業員を救助しようとした人が、適切な呼吸用保護具を着用せずに入坑し、被害が拡大する危険もあります。
酸欠事故を防ぐには、測定器を現場へ持参するだけでは不十分です。誰が作業を管理するのか、どの位置で濃度を測定するのか、換気をいつ開始していつまで続けるのか、誰が地上で監視するのか、異常時にどのように退避させるのかを、一連の入坑管理として整備する必要があります。
電線共同溝の特殊部で安全に作業するためには、入坑前の準備、濃度測定、換気、人員管理、緊急対応を相互に関連付けて運用することが重要です。いずれか一つを省略すると、ほかの対策を行っていても事故を防げない可能性があります。
入坑管理方法1 作業計画と入坑許可の条件を明確にする
一つ目の入坑管理方法は、対象となる特殊部の条件を事前に確認し、作業計画と入坑許可の条件を明確にすることです。現場へ到着してから担当者同士で役割を決める運用では、測定、換気、監視、退避準備などの重要な作業が抜け落ちるおそれがあります。
作業計画を作成する際は、特殊部の位置、施設番号、構造、深さ、開口部の寸法、内部設備、接続する管路、過去の浸水履歴、滞留物の性状などを確認します。図面や施設台帳だけでなく、過去の点検記録や補修記録も確認すると、現場で想定すべき危険を整理しやすくなります。
最初に、対象施設が労働安全衛生法施行令別表第6のどの酸素欠乏危険場所に該当するかを確認します。ケーブルなどを収容するピット等であれば第一種酸素欠乏危険作業となることが基本ですが、腐泥や汚水などの履歴がある場合は第二種酸素欠乏危険作業に該当する可能性があります。区分によって測定対象、作業主任者の資格、換気時の管理濃度が異なるため、作業当日に曖昧なままにしてはいけません。
特殊部内で実施する作業内容も具体的にします。目視点検だけなのか、ケーブルの確認や接続作業を行うのか、床面の清掃や排水を行うのかによって、必要な設備や人員は異なります。内部の泥や滞留水を動かす作業では、作業開始後に空気の状態が変化する可能性も考慮します。
入坑予定人数と作業時間も決めます。狭い特殊部へ必要以上の人数が入ると、避難経路が狭くなり、内部の温度上昇や作業員同士の接触につながります。内部でなければできない作業と、地上から実施できる作業を分け、入坑人数を必要最小限に抑えることが基本です。
作業計画には、酸素濃度計、必要に応じた硫化水素計や可燃性ガス検知器、換気設備、照明、昇降設備、連絡手段、保護具、避難用具、救出器具などの準備を含めます。必要な機材が現場に到着していても、点検されていなければ使用できません。使用前点検を行う担当者と、その結果を確認する責任者まで定めます。
入坑許可の条件は、安全確認後に入坑するといった抽象的な表現ではなく、現場で判定できる内容にします。所定の濃度測定が完了していること、測定結果が基準を満たしていること、換気設備が正常に運転していること、作業主任者と監視体制が確保されていること、入坑者の特別教育と体調が確認されていることなどを条件として設定します。
特殊部の蓋がすでに開いている場合でも、入坑許可が出る前に内部へ入ってはいけません。別の作業員が先に開けた蓋や、施設管理者が点検のために開けた蓋を見て、安全確認が済んでいると誤解する可能性があります。蓋の開放、換気、濃度測定、入坑許可は、それぞれ確認すべき別の手順です。
入坑許可の有効範囲も明確にします。午前中に測定して許可されたからといって、その許可を夕方まで無条件に有効とするのは適切ではありません。作業に従事する全員が退坑した後に再開する場合、作業員の身体や換気設備などに異常があった場合には、作業主任者が濃度を再測定する必要があります。([厚生労働省][1])
昼休みなどで特殊部を一時的に無人にする場合は、再入坑前に濃度、換気状況、周辺条件を確認します。無人の間に換気設備の電源が切れたり、雨水が流入したり、周囲に車両が停車して排気ガスが入り込んだりする可能性があるためです。
入坑者が交代する場合も、口頭で人員を追加するだけではいけません。交代者が必要な特別教育を受けているか、作業内容を理解しているか、装備が整っているかを確認し、入坑者名簿と許可記録を更新します。
複数の会社が同じ特殊部で作業する場合は、管理責任の境界を明確にします。元請事業者、協力会社、施設管理者、電線管理者などが参加する現場では、それぞれが相手方の担当だと思い込み、測定や監視が実施されない事態を防がなければなりません。
入坑を最終的に許可する人、濃度を測定する作業主任者、換気設備を操作する人、地上で監視する人、緊急通報を行う人を具体的に定めます。担当者が不在になった場合の代行者も決めておくと、作業当日の混乱を防ぎやすくなります。
開口部周辺の安全確保も入坑計画に含めます。道路や歩道上で蓋を開ける場合は、作業員や通行者の転落、工具の落下、車両との接触を防止するため、作業区画や立入制限を設けます。蓋を開けたまま無人にせず、監視できる状態を保つことが必要です。
計画書や許可票を作成する目的は、書類をそろえることではありません。作業開始前に必要な条件を一つずつ確認し、満たされていない条件があれば入坑を止めるための仕組みとして運用することが重要です。
入坑管理方法2 入坑前と作業中の酸素濃度を測定する
二つ目の入坑管理方法は、入坑前に酸素濃度を正しく測定し、作業中も空気環境の変化を監視することです。酸素欠乏症等防止規則では、空気中の酸素濃度が18%未満の状態を酸素欠乏と定義しています。第二種酸素欠乏危険作業では、酸素濃度に加えて硫化水素濃度を測定し、酸素濃度18%以上かつ硫化水素濃度10ppm以下に保つ必要があります。([厚生労働省][1])
法令上の測定は、その日の作業を開始する前に行います。さらに、作業に従事するすべての労働者が場所を離れた後に作業を再開する前、作業員の身体や換気装置などに異常があったときにも、作業主任者が測定します。現場のリスクに応じ、これらに加えて連続測定または定期測定を行い、変化を早期に捉える運用が有効です。
測定器を使用する前に、必要な気体を測定できる仕様であることを確認します。第一種では酸素濃度、第二種では酸素濃度と硫化水素濃度が法令上の測定対象です。周辺施設や作業内容により可燃性ガス、一酸化炭素などの流入が想定される場合は、リスクアセスメントに基づいて追加の測定を検討します。
測定器については、電池残量、センサーの状態、吸引機能、警報機能、表示部などを点検します。必要な校正、バンプテスト、精度確認が所定の方法で行われていることも確認します。前回の使用時に正常だった測定器でも、保管中に電池が消耗したり、センサーが劣化したりすることがあります。
現場で電源を入れて数値が表示されたというだけで、正常に測定できているとは判断できません。使用前点検の手順を定め、異常が確認された場合は、その測定器を安全確認に使用しないことが重要です。予備の測定器や交換用電源を準備しておくと、機器の不具合による作業の混乱を防ぎやすくなります。
最初の測定は、原則として作業員が特殊部内へ身体を入れず、地上の安全な位置から行います。測定のために顔や上半身を開口部へ入れると、安全確認が完了する前に酸素濃度の低い空気を吸い込むおそれがあります。測定者を監視する人を置き、開口部からの転落防止も同時に行います。
採気管や延長器具などを使用し、特殊部の内部から空気を採取します。測定者は開口部へ近づきすぎないようにし、必要に応じて墜落制止用器具等を使用します。濃度測定そのものが転落事故の原因にならないよう、測定位置と作業姿勢を事前に確認します。
測定位置は開口部付近だけでは不十分です。作業環境測定に関する行政通達では、作業場所について垂直方向と水平方向にそれぞれ3点以上を目安とし、作業員が立ち入る箇所や、酸素欠乏空気または硫化水素が発生、侵入、停滞するおそれのある箇所を含める考え方が示されています。特殊部の上部、中間部、底部、隅部、作業予定位置、管路接続部などを、構造に応じて選定します。([厚生労働省][2])
内部にケーブル棚や隔壁がある場合は、空気の流れが遮られている場所も確認します。開口部から新鮮な空気が入り、蓋付近だけ測定値が高くなっている可能性があるため、作業員が実際に身体を置く位置や、頭部が近づく位置を想定して測定する必要があります。
採気管を使用する場合は、測定対象位置の空気が測定器へ到達するまでの時間を考慮します。採気管が長いほど、管内の空気が入れ替わるまで時間がかかります。数値が表示された直後に記録せず、取扱説明書や作業手順に従って必要な吸引時間を確保し、測定値が安定したことを確認します。
測定位置を変更したときも同様です。前の位置の空気が採気管内に残っている可能性があるため、新しい測定位置の値が反映されるまで待ちます。吸引ポンプやフィルターの閉塞にも注意します。
測定結果は、測定日時、測定方法、測定箇所、測定条件、測定結果、測定者氏名、防止措置の概要とともに記録します。酸素欠乏症等防止規則に基づく測定記録は3年間保存しなければなりません。単に異常なしと記載するだけでは、法定記録として必要な情報や、後からの検証に必要な情報が不足します。([厚生労働省][1])
入坑前の測定で安全な値が確認されたとしても、その結果が作業終了まで保証されるわけではありません。泥や水の移動、周辺からの空気の流入、作業員の呼吸、換気設備の停止、隣接作業などによって、作業中に濃度が変化する可能性があります。
携帯型測定器を作業員に装着する場合は、工具箱の中や衣服で覆われる位置ではなく、作業員の呼吸域に近い位置で周囲の空気を測定できるようにします。特殊部内に測定器を固定する場合は、開口部直下だけでなく、作業位置や空気が滞留しやすい位置を考慮します。
警報音が作業員と監視人へ確実に伝わることも確認します。道路交通や工具の騒音によって警報音が聞こえにくい場合は、表示灯、振動、地上側の表示などを組み合わせます。警報が作動した場合は、原因確認より先に作業を中止し、全員を退坑させます。
測定値が基準を満たしていない場合や、数値が安定しない場合は入坑を許可してはいけません。測定器の警報を停止したり、測定器を新鮮な空気が流れる位置へ移動したりして作業を続けることは危険です。
異常値が表示されたときは、まず危険な環境である可能性を優先して対応します。測定器の故障確認は、安全な場所へ退避した後に行います。警報の原因を調べるために、作業員を内部へ残してはいけません。
休憩後の再入坑、換気設備の停止後、降雨後、排水や清掃後、周辺工事の条件が変わった後には、再度測定します。法令で定められた測定時機を最低条件とし、環境が変化する節目ごとに確認することが酸欠事故の防止につながります。
入坑管理方法3 換気設備を適切に配置して連続運転する
三つ目の入坑管理方法は、換気によって特殊部内の酸素濃度などを管理し、作業中も安全な空気環境を維持することです。蓋を開けただけでは、特殊部内部の空気が十分に入れ替わるとは限りません。
酸素欠乏危険作業では、原則として作業場所の酸素濃度を18%以上に保つように換気します。第二種酸素欠乏危険作業では、酸素濃度18%以上に加えて、硫化水素濃度10ppm以下に保つよう換気します。換気に純酸素を使用することは禁止されており、新鮮な空気を用いなければなりません。([厚生労働省][1])
爆発や酸化を防止するため換気できない場合、または作業の性質上換気が著しく困難な場合は、同時に就業する労働者数と同数以上の空気呼吸器、酸素呼吸器または送気マスクを備え、労働者に使用させる必要があります。短時間作業であることや、作業員が慣れていることは、呼吸用保護具を省略する理由にはなりません。([厚生労働省][1])
自然換気は、開口部の大きさ、風向、風速、特殊部の形状などに左右されます。蓋付近の空気は入れ替わっても、底部や奥側に古い空気が残る可能性があります。そのため、一般的な特殊部では、現場条件に合った機械換気を計画し、その効果を濃度測定で確認します。
換気設備を設置する前に、送風機、排風機、ダクト、電源コード、接続部などを点検します。ダクトに破れや折れがあると、必要な位置まで空気を送れません。接続部が緩んでいる場合も、途中から空気が漏れ、換気能力が低下します。
送風用ダクトの先端は、開口部付近に置くだけではなく、特殊部の底部や奥側など、空気が滞留しやすい場所へ届くように配置します。ただし、作業員の昇降経路や緊急時の退避経路を塞いではいけません。
特殊部内にケーブルや支持金具が多い場合は、ダクトが引っ掛かったり、作業中に位置が変わったりする可能性があります。ダクトを適切に固定し、作業員の動きや送風の反力によって外れないようにします。
送風方式では、特殊部内へ送り込まれた空気が排出される経路も必要です。開口部がシートや資材で塞がれていると、空気が十分に循環しないことがあります。雨天時に開口部を養生する場合は、雨水流入の防止と排気経路の確保を両立させます。
排気方式を使用する場合は、排出した空気が作業員や通行者へ向かわないようにします。また、排気された空気が再び送風機の吸気側へ戻らない配置にします。吸気と排気の位置が近いと、同じ空気が循環し、特殊部全体の換気が進まない可能性があります。
送風機の吸気口は、清浄な空気を取り込める位置に設置します。道路上の車両、発電機、舗装機械などの排気が流れ込む位置に置くと、一酸化炭素などを含む排気ガスを特殊部内へ送り込むおそれがあります。
作業開始前に安全な吸気位置を確認しても、周囲の状況は変化します。作業中に車両が近くへ停車した場合や、隣接する工区で機械が稼働し始めた場合は、吸気口周辺の状況を再確認します。
換気開始から一定時間が経過しただけで、安全になったと判断してはいけません。必要な換気時間は、特殊部の容量、形状、送風能力、ダクト位置などによって異なります。換気後に複数位置で濃度を測定し、基準を満たしていることを確認してから入坑を許可します。
入坑時に安全な濃度が確認できても、作業中は濃度を管理できる状態を維持します。機械換気を前提に安全を確保している現場では、作業終了または全員退坑まで連続運転することが基本です。作業の妨げになる、音が大きい、電源を別の工具に使いたいといった理由で停止してはいけません。
換気設備が停止した場合は、直ちに作業を中断して退坑させます。送風機の停止だけでなく、ダクトの外れ、電源コードの抜け、遮断器の作動、吸気口の閉塞なども換気異常として扱います。退坑後に設備を復旧し、濃度を再測定してから新たに入坑を許可します。
換気設備の運転状況は、地上の監視人が継続して確認します。送風機から音が出ているだけで正常と判断せず、ダクトの接続、吸気口、排気経路、内部への送風状態を確認します。
電源コードは、車両や作業員に踏まれないように保護します。蓋や資材で挟み込まれない配置とし、雨水による漏電にも注意します。照明や電動工具と同じ電源を使用する場合は、同時使用による容量不足や電源遮断が起きないか確認します。
作業時間や現場条件によっては、予備電源や代替の換気設備を準備します。換気設備が一台しかなく、故障時に安全な退坑が難しい現場では、故障を想定した設備構成と退避手順が必要です。
気温が高い時期には、換気によって酸素濃度を保てていても、特殊部内の温度や湿度が高くなることがあります。酸欠対策と併せて、熱中症対策、作業時間、休憩、飲水、作業員の体調確認を行います。
換気は、装置を設置してスイッチを入れれば完了する作業ではありません。空気の流れを想定してダクトを配置し、濃度測定で効果を確認し、作業終了まで運転状態を監視することが必要です。
入坑管理方法4 作業主任者と監視人を中心に人員を管理する
四つ目の入坑管理方法は、必要な資格を持つ酸素欠乏危険作業主任者を選任し、常時監視と通報ができる体制を設けて入坑者を管理することです。特殊部内の作業を入坑者だけに任せると、異常が発生しても外部へ伝えられない可能性があります。
第一種酸素欠乏危険作業では、酸素欠乏危険作業主任者技能講習または酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了した者から作業主任者を選任します。第二種酸素欠乏危険作業では、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了した者から選任します。([厚生労働省][1])
作業主任者は、書類上の責任者として名前を記載するだけではありません。作業方法を決定して作業員を指揮し、所定の時機に濃度を測定し、測定器具、換気装置、空気呼吸器等を点検し、呼吸用保護具の使用状況を監視します。
作業主任者が別の現場作業を兼務し、特殊部から長時間離れる状態は避けます。複数の特殊部で同時に入坑作業を行う場合は、それぞれの作業を確実に管理できる体制を整えます。
酸素欠乏危険作業に従事する労働者には、酸素欠乏等の発生原因、症状、空気呼吸器等の使用方法、事故時の退避と救急そ生などについて特別教育を行う必要があります。一般的な新規入場者教育や現場朝礼だけで、法定の特別教育に代えることはできません。([厚生労働省][1])
教育の受講状況は、本人の申告だけでなく記録で確認します。協力会社の作業員や応援要員が当日に追加された場合も、未確認のまま入坑させてはいけません。作業内容や現場固有の退避方法については、特別教育とは別に作業前打合せで共有します。
作業前には、入坑者の体調を確認します。睡眠不足、発熱、強い疲労、飲酒の影響などがあると、異常を感じたときの判断や退避行動が遅れる可能性があります。閉所作業に強い不安を感じる人を無理に入坑させることも避けます。
事業者は、常時作業状況を監視し、異常があった場合に直ちに作業主任者や関係者へ通報する者を置くなど、異常を早期に把握するために必要な措置を講じなければなりません。自動警報装置付き測定器などを組み合わせる場合でも、入坑者との連絡、換気設備、開口部、周辺交通を含めて異常を把握できる体制が必要です。([厚生労働省][1])
本記事では、道路上の開口部管理や救出初動も含めて確実に対応するため、地上に監視人を配置する運用を基本とします。監視人は、特殊部内の作業状況、入坑者の状態、濃度測定器、換気設備、天候、周辺交通などを継続的に確認します。
監視人が資材運搬や車両誘導に専念すると、内部の異常を見落とすおそれがあります。兼務させる作業は、入坑者の状態を常に確認でき、異常時に直ちに通報と退避指示ができる範囲に限定します。
監視人がその場を離れなければならない場合は、代わりの監視人を配置し、入坑者、測定値、換気状態、作業内容、緊急連絡先の引継ぎが完了してから交代します。監視体制が途切れる時間を作ってはいけません。
入坑者と監視人の連絡方法は、作業開始前に確認します。声が届きにくい場合は、現場条件に合った通話手段や合図を用意します。通信機器を使用する場合は、電池残量、通話状態、防爆性能など、特殊部内への持込み条件を事前に確認します。
連絡が途切れた場合の対応も決めます。一定時間応答がない、通話が切れた、合図に反応しないといった場合は、作業を継続させず、退坑を指示します。原因を確かめるために無装備の人を内部へ入れてはいけません。
入坑時と退坑時には、人員を点検します。誰が内部にいるのか、何時に入ったのか、何時に退坑したのかを一元管理します。複数の会社から作業員が参加する場合も、現場全体の入坑者を把握できる記録を作成します。
作業員が工具を取りに一時退坑した場合や、交代要員が入った場合も記録を更新します。人数だけが一致していても、入坑者の氏名が異なれば、教育、体調、装備の確認ができなくなるためです。
監視人は、作業員の言動や動作の変化にも注意します。返答が遅い、動きが不自然、ふらつく、頭痛や吐き気を訴えるなどの異常があれば、測定器の警報が作動していなくても退坑を指示します。
酸素欠乏による体調変化は、本人が重大性を認識できない場合があります。もう少しで作業が終わるという本人の判断を優先せず、作業主任者や監視人が安全側に判断することが必要です。
開口部周辺では、酸素欠乏危険作業に従事する者以外が特殊部へ入らないよう、立入禁止を明確にします。内部の作業員へ工具を渡すため、未教育の作業員が一時的に入坑するといった行動も認めてはいけません。
作業区画、立入禁止表示、入坑許可票などを用いて、入坑できる人を明確にします。見学者や施設関係者が内部を確認する場合も、通常の入坑者と同じ安全条件を満たさなければなりません。
人員管理の目的は、人数を記録することだけではありません。入坑者の資格、教育、体調、役割、装備を確認し、地上から異常を早期に発見して退避させる体制を維持することにあります。
入坑管理方法5 退避基準と救出計画を事前に定める
五つ目の入坑管理方法は、異常が発生した場合の退避基準と救出計画を、作業開始前に定めることです。酸欠事故は、最初の被災者だけでなく、救助に入った人が次々と倒れることで被害が拡大する場合があります。
退避基準には、酸素濃度が18%を下回った場合、第二種作業で硫化水素濃度が10ppmを超えた場合、測定器が警報を発した場合、数値が不安定な場合を含めます。換気設備の停止、ダクトの外れ、測定器の故障、監視人との連絡途絶なども退避条件とします。
入坑者が頭痛、吐き気、めまい、息苦しさ、強い疲労、動作の乱れなどを示した場合も、作業を中止して退坑させます。症状の原因が酸欠であると現場で断定できなくても、安全な場所へ移動して確認することが重要です。
急な降雨、特殊部への水の流入、道路冠水、周辺車両からの排気流入、照明の消灯、昇降設備の異常なども退避条件として検討します。酸素濃度が正常でも、別の危険によって安全な作業を継続できない場合があります。
中止判断を入坑者だけに任せると、工程や作業進捗を優先して無理をする可能性があります。作業主任者や監視人に中止を指示できる権限を与え、所定の条件に該当した場合は作業員の判断で継続できない仕組みにします。
退坑の指示が出た場合は、工具や資材を回収するために内部へ残ってはいけません。作業を直ちに停止し、全員が決められた経路から退坑します。退坑後は入坑者名簿と照合して全員を確認します。
倒れた作業員を見つけたとき、呼吸用保護具を着用していない人が反射的に特殊部へ入ることは非常に危険です。息を止める、口元を布で覆う、防じんマスクや防毒マスクを着用するといった方法では、酸素欠乏空気から身体を守れません。
周囲の空気をろ過する方式の防じんマスクや防毒マスクは、酸素そのものを供給しません。酸素欠乏等の場所で救出作業を行う労働者には、空気呼吸器等を使用させる必要があります。無装備での救助は二次災害につながるため禁止します。([厚生労働省][1])
救出計画には、異常時の連絡方法、作業停止の合図、緊急通報担当者、救出担当者、使用する器具、救急隊の誘導方法などを記載します。事故が起きてから役割を決めるのではなく、作業前の打合せで担当を確認します。
酸素欠乏危険作業を行うときは、空気呼吸器等、はしご、繊維ロープなど、非常時に避難または救出するために必要な用具を備えます。現場条件に応じて、救助用ハーネス、引上げ装置、三脚、担架など、救出目的に適合した器具を選びます。通常の墜落制止用器具を、適合性を確認せず救助用吊り具として使用してはいけません。
特殊部の開口寸法や内部構造によっては、意識を失った作業員を垂直方向へ引き上げることが難しい場合があります。ケーブル棚や支持金具が救出経路を狭めていないか、昇降設備と救出器具が干渉しないか、開口部上に引上げ装置を安全に設置できるかを事前に確認します。
救出器具は現場へ置くだけでなく、作業開始前に点検します。損傷、腐食、作動不良などがないことを確認し、使用する人が取扱方法を理解している状態にします。必要に応じて、入坑前に引上げ手順や連絡手順を実際に確認します。
現場の人員と設備だけで安全に救出できない場合は、無理に内部へ入らず、消防へ通報して専門的な救助を要請します。専門救助を待つ場合でも、被災者の位置、内部構造、測定値、危険物、換気状況を救助隊へ正確に伝えられるよう準備します。
緊急通報に備え、特殊部の位置を正確に伝えられる情報を用意します。道路名、交差点、施設番号、周辺の目標物、位置情報などを整理し、救急隊や消防隊が迷わず到着できるようにします。
現場が広い場合や道路規制を行っている場合は、緊急車両の進入経路と誘導担当者も決めます。資材や作業車両によって進入路が塞がれないように配置を調整します。
酸素欠乏症等にかかった労働者には、直ちに医師の診察または処置を受けさせる必要があります。退坑後に一時的に回復して見えても、本人の自己判断だけで通常作業へ戻してはいけません。([厚生労働省][1])
作業を再開する場合は、異常の原因を確認し、必要な対策を実施します。換気設備を再起動しただけで直ちに再入坑せず、内部の濃度を複数位置で再測定します。
当初の入坑許可をそのまま使用せず、作業条件、測定結果、設備、人員を改めて確認したうえで、新たに入坑を許可します。原因が明確でない場合は、安全が確認できるまで作業を再開してはいけません。
救出計画は、事故時に初めて読む書類ではありません。作業前に関係者全員で内容を確認し、救出器具の設置、退避合図、通報、誘導の手順を現場条件に合わせて検証することが重要です。
酸欠以外に特殊部内で注意したい危険
電線共同溝の特殊部へ入坑する際は、酸欠対策だけを実施すれば安全になるわけではありません。特殊部内には、墜落、感電、浸水、火災、熱中症、落下物など、複数の危険があります。
最初に注意したいのが、開口部からの墜落です。蓋を開けると、道路や歩道上に大きな開口部が生じます。濃度測定や換気設備の設置中に、作業員が開口部へ近づきすぎる可能性があります。
開口部の周囲には作業区画を設け、必要に応じて手すりや墜落防止措置を講じます。工具や測定器を開口部の縁へ置くと、内部へ落下して作業員へ当たるおそれがあるため、資機材の置場も決めます。
重量のある蓋を開閉するときは、腰痛、手指の挟まれ、蓋の転倒などにも注意します。蓋の形状や重量に合った器具を使用し、無理な姿勢で持ち上げないようにします。
特殊部への昇降に使用するはしごやステップも確認します。固定はしごに腐食、変形、緩みがある場合や、泥や油で滑りやすくなっている場合は、そのまま使用してはいけません。
可搬式のはしごを使用する場合は、ずれや転倒を防止し、特殊部の深さに合った長さを確保します。作業員が片手に工具や資材を持ったまま昇降すると、足を滑らせたときに身体を支えられません。工具や資材は別の方法で上げ下ろしします。
電線共同溝では、電力用ケーブルや関連設備が収容されている場合があります。作業対象、充電部の有無、停電の必要性、接近可能な範囲などを、関係する管理者と事前に確認します。
ケーブルや設備を見ただけで、停電状態や安全性を判断してはいけません。対象設備の識別、作業許可、必要な検電、接地、離隔などについて、施設管理者と電気作業の手順に従います。
内部の金属製支持材やはしごには、腐食や緩みが生じている可能性があります。作業員が身体を預けた際に金具が外れたり、部材が落下したりするおそれがあるため、入坑前に確認できる範囲を点検します。
滞留水がある場合は、床面の段差、開口、ケーブル、工具などが見えにくくなります。水深が浅く見えても、部分的に深い場所や排水口がある可能性があります。水中へ不用意に足を入れず、排水や内部確認の方法を検討します。
降雨時には、地表から特殊部へ急激に水が流入する可能性があります。現地が晴れていても、上流側や周辺地域の降雨によって排水条件が変化することがあります。
作業前には天候だけでなく、道路排水、過去の浸水履歴、排水設備の状態などを確認します。強い雨が予想される場合や、冠水のおそれがある場合は、入坑作業を延期または中止します。
排水ポンプを使用する場合は、吐出先、電源、ホースの配置、逆流防止を確認します。ポンプの故障や停電が発生した場合の退避基準も決めておきます。
高温多湿の環境では、熱中症にも注意が必要です。特殊部内では風が弱く、作業員が感じる以上に体温が上昇する可能性があります。作業時間を区切り、地上で休憩と水分補給を行います。
作業員の体調は、入坑前だけでなく作業中も確認します。返答の遅れや動作の乱れは、酸欠だけでなく熱中症や疲労の兆候である可能性があります。原因を現場で断定せず、異常があれば退坑させます。
内部で照明や電動工具を使用する場合は、漏電、火災、可燃性ガスへの着火なども検討します。水がある環境では、電気機器や接続部の防護状態、電源保護、コードの損傷を確認します。
可燃性ガスが存在する可能性のある場所では、持ち込む測定器、照明、通信機器などが現場条件に適合しているかを確認します。一般的な携帯端末や照明器具を、適合性を確認せずに持ち込むことは避けます。
地上側では、作業員と車両の接触を防ぐ必要があります。換気設備、電源コード、測定器、救出器具などを道路上へ配置するため、作業帯と交通誘導を適切に設けます。
車両の排気が換気設備の吸気口へ流れ込まないよう、作業車両の停車位置やエンジンの運用も調整します。道路交通への配慮と特殊部内の換気を別々に考えず、現場全体の配置として計画することが重要です。
複数の危険は、同時に発生する可能性があります。急な浸水によって電気設備が危険な状態になり、慌てて退坑する際にはしごから転落することも考えられます。
個別の危険へ対策するだけでなく、異常発生時に全員が安全に退坑できるかを確認します。昇降経路や開口部周辺に資材を置かず、退避経路を常に確保することが必要です。
入坑記録を維持管理へ生かす方法
電線共同溝の特殊部は、施設ごとに構造や周辺条件が異なります。同じ形式の特殊部であっても、浸水の有無、泥の堆積、腐食、換気のしやすさなどに違いがあります。
入坑のたびに測定結果や現場状況を記録し、次回の作業へ引き継ぐことが重要です。過去の記録が整理されていれば、事前に必要な換気設備、人員、作業時間を検討しやすくなります。
記録には、特殊部の施設番号、位置、入坑日時、作業内容、作業員、作業主任者、監視人、天候などを含めます。濃度測定については、測定日時、測定方法、測定箇所、測定条件、測定結果、測定者氏名、防止措置の概要を残し、法定の測定記録は3年間保存します。
作業開始前、作業中、作業終了後の状態を分けて記録すると、環境の変化を確認しやすくなります。作業開始前は基準を満たしていたものの、排水や清掃後に数値が変化した場合なども、経過を追って確認できます。
換気設備については、使用した設備、定格風量、ダクトの配置、換気開始時刻、運転停止や異常の有無などを記録します。換気に必要だった時間を残しておけば、次回作業の準備に活用できます。
特殊部内の滞留水、泥、漏水跡、腐食、はしごの状態なども記録します。酸欠に直接関係しないように見える情報でも、空気環境の変化や入坑作業の安全性を判断する材料になります。
紙の帳票だけで管理すると、施設番号の記載間違い、写真との対応漏れ、保管場所の分散などが起きやすくなります。現地記録をデジタル化し、施設番号、位置情報、撮影日時と関連付けると、対象施設を特定しやすくなります。
ただし、測定器の表示を撮影しただけでは、測定記録として十分ではありません。測定位置、測定方法、測定条件、測定者、換気状態、防止措置など、写真だけでは分からない情報も記録します。
写真を撮ることが目的になり、入坑管理の確認がおろそかにならないようにします。デジタル端末は記録を補助する手段であり、酸素濃度計、硫化水素計、換気設備、監視体制の代わりにはなりません。
位置情報付きの記録を使用すると、似た形状の特殊部が連続している道路でも、どの施設で測定した結果なのかを整理しやすくなります。施設番号と位置情報の両方で管理すれば、記録の取り違えを防ぎやすくなります。
過去の写真と今回の写真を比較することで、蓋周辺の沈下、ひび割れ、漏水跡、金具の腐食などの変化も把握できます。酸欠防止の記録と構造物の点検記録を同じ施設に関連付けると、安全管理と維持管理を一体的に進められます。
記録を蓄積すると、雨の後に滞水しやすい特殊部、換気に時間がかかる特殊部、泥が繰り返し堆積する特殊部などを把握できます。こうした施設については、次回の入坑時に通常より長い換気時間を見込み、追加の測定位置や設備を準備できます。
異常が繰り返される特殊部では、入坑時の対策を続けるだけでなく、浸水経路、排水機能、通気性、腐食状況などを調査し、根本的な改善を検討することも重要です。
デジタル記録の入力項目を増やしすぎると、現場で入力しきれず、後から記憶を頼りに記録する状況が生じます。法定記録、入坑許可に必要な項目、維持管理に必要な写真を整理し、現場で確実に入力できる様式にします。
入力した記録は、作業終了後に管理者が確認します。測定値だけがあり測定位置が分からない記録、入坑者数と退坑者数が一致しない記録、換気停止後の再測定がない記録などがあれば、その日のうちに確認します。
記録に異常値や設備不良が含まれる場合は、保存するだけで終わらせず、次回点検、補修、作業手順の見直しへ反映します。記録から改善へつなげる仕組みを作ることで、入坑管理の品質を継続的に高められます。
LRTK Phoneを活用すれば、特殊部の位置と現場写真を関連付け、施設ごとの記録を地図上で整理する運用につなげられます。蓋周辺、開口部、換気設備の設置状況、内部の損傷などを位置情報付きで残せば、次回作業の事前確認にも役立ちます。
ただし、可燃性ガスなどの危険が想定される特殊部では、端末の防爆性能を含め、持込み可否を事前に確認する必要があります。安全性を確認できない場合は、地上側で記録し、内部へ一般的な端末を持ち込まない運用とします。
電線共同溝の特殊部で酸欠事故を防ぐためのまとめ
電線共同溝の特殊部は、ケーブルの接続、分岐、引込み、点検などに欠かせない施設です。一方で、地下に設けられた閉鎖性の高い空間であり、ケーブルなどを収容するマンホールやピットの内部に該当する場合は、法令上の酸素欠乏危険場所として管理する必要があります。
蓋を開けたときに異臭がないことや、内部が目視できることは、安全な空気環境を保証するものではありません。過去に問題なく作業できた特殊部でも、滞留水、泥、腐食、周辺環境などの変化によって、酸素濃度が低下している可能性があります。
酸欠事故を防ぐ第一歩は、対象となる特殊部の構造、用途、浸水履歴、滞留物、作業内容を事前に確認し、第一種または第二種酸素欠乏危険作業の該当性と入坑許可条件を明確にすることです。
入坑前の濃度測定は、原則として作業員が内部へ身体を入れず、地上の安全な位置から行います。開口部付近だけでなく、底部、隅部、作業位置、管路接続部などを複数確認し、特殊部全体の空気環境を把握します。
法令上、その日の作業開始前、全員退坑後の再開前、作業員の身体や換気装置などに異常があったときには、作業主任者が濃度を測定します。測定日時、方法、箇所、条件、結果、測定者、防止措置を記録し、法定記録を3年間保存します。
換気では、酸素濃度18%以上を保ち、第二種作業では硫化水素濃度10ppm以下も維持します。純酸素を換気に使用してはいけません。換気ができない、または著しく困難な場合は、作業員数に応じた空気呼吸器等を使用させます。
作業主任者と監視人は、入坑者の人数、体調、作業状況、換気設備、測定器などを継続して管理します。酸素欠乏危険作業に従事する労働者には法定の特別教育を行い、未教育者や無許可者を入坑させません。
救出計画は、事故が発生してから考えるものではありません。呼吸用保護具を着用していない人が救助のために入坑すると、二次災害が発生する可能性があります。救出器具、空気呼吸器等、通報方法、救急隊の誘導方法まで事前に決めます。
また、特殊部内では酸欠以外にも、墜落、感電、浸水、熱中症、火災、落下物などの危険があります。酸素濃度が安全な範囲にあっても、作業全体が安全であるとは限りません。
入坑時の測定結果、換気状況、人員、写真、異常内容を施設ごとに記録し、次回作業へ引き継ぐことも重要です。繰り返し滞水や腐食が確認される特殊部については、入坑時の対策だけでなく、施設自体の改善も検討します。
電線共同溝の特殊部における酸欠事故は、測定器の準備だけで防げるものではありません。法令上の区分確認、作業計画、濃度測定、換気、人員監視、退避、救出、記録保存を一つの管理体系として運用することが、作業員の安全を守る基本となります。
特殊部の位置と入坑履歴を正確に関連付け、次回の点検や補修へ活用できる記録を残すことで、安全管理と維持管理の両方を効率化できます。現場情報を位置情報付きで整理する方法を検討する際は、持込み条件を確認したうえで、LRTK Phoneを活用した記録管理も有効な選択肢となります。