LRTKレフィクシア株式会社

電線共同溝の融雪剤による金属腐食を抑える5つの維持対策

積雪寒冷地の道路では、冬期の安全な交通を確保するために融雪剤や凍結防止剤が散布されます。これらは路面凍結の抑制に有効である一方、散布された成分を含む水が電線共同溝へ流入すると、蓋、受枠、支持金物、ボルト、ケーブルラックなどの金属部材に腐食を生じさせる要因になります。

電線共同溝は、電力線や通信線などを道路地下へ収容し、道路景観の向上や安全性の確保に役立つ施設です。しかし、内部には湿気が滞留しやすく、道路から浸入した水や土砂が長期間残ることもあります。そこへ塩化物を含む水分が加わると、通常の湿潤環境よりも金属腐食が進みやすくなります。

腐食を放置すると、表面にさびが生じるだけでなく、部材の断面減少、ボルトの固着、支持機能の低下、蓋や受枠のがたつきなどにつながるおそれがあります。腐食生成物が膨張すれば、周辺のコンクリートを押し出し、ひび割れや欠けを誘発することもあります。さらに、点検時に蓋を開けられない、固定金具を取り外せないといった維持管理上の支障も生じます。

こうした問題を防ぐには、腐食が目立ってから補修するのではなく、塩分を持ち込ませない、滞留させない、金属表面へ到達させない、劣化を早期に見つける、適切な時期に補修するという考え方で維持管理を組み立てることが重要です。

本記事では、電線共同溝の融雪剤による金属腐食を抑えるための5つの維持対策を解説します。点検や清掃、防食、記録、補修を一連の管理として実施し、金属部材の長寿命化と安全な施設運用につなげましょう。

電線共同溝で融雪剤による金属腐食が進む理由

融雪剤や凍結防止剤には、塩化ナトリウムや塩化カルシウムなどの塩化物系成分が使用されることがあります。道路へ散布された成分は、雪解け水、降雨、車両による水はねなどによって移動し、舗装の継ぎ目、蓋の周辺、排水構造、管路接続部などから地下構造物へ到達する可能性があります。

金属の腐食は、水分と酸素が存在する環境で進みます。塩化物イオンを含む水分は電気を通しやすいため、金属表面で生じる電気化学的な腐食反応を促進する要因になります。塗膜やめっきに小さな傷がある場合には、その部分から腐食が始まり、周辺へ広がることがあります。

電線共同溝の内部は、日光や風が入りにくく、一度流入した水が乾燥しにくい環境です。排水設備が土砂やごみで詰まっている場合や、構造上の低い場所に水が集まっている場合には、塩分を含む水が長時間金属部材へ接触します。湿潤と乾燥が繰り返される場所では、水分が蒸発する過程で塩分濃度が高まり、腐食環境が厳しくなることも考えられます。

特に注意したいのは、水がたまりやすい床面付近、蓋と受枠の接触部、異なる部材が重なる箇所、ボルトやナットの隙間、支持金具の裏面です。見える部分に大きなさびがなくても、接触面や裏側で腐食が進んでいる可能性があります。

また、異なる種類の金属が接触し、その周囲に塩分を含む水分が存在すると、金属の組み合わせによっては一方の腐食が進みやすくなる場合があります。補修時に既設部材と異なる材質のボルトや金具を使用する場合は、単純に耐食性の高い材料を選ぶだけではなく、接触する金属同士の組み合わせや絶縁処理についても確認が必要です。

金属腐食は、すべての場所で同じ速さで進むわけではありません。融雪剤の散布量、交通量、道路勾配、除雪方法、蓋周辺の納まり、排水条件、地下水位、換気状態などによって腐食環境は変化します。そのため、一般的な点検周期だけを機械的に適用するのではなく、路線ごとの条件を踏まえて重点点検箇所を設定することが重要です。

維持対策1 融雪剤を含む水と土砂を早期に除去する

最初の維持対策は、電線共同溝内へ流入した塩分をできるだけ早く除去することです。金属表面へ付着した塩分や、塩分を含む土砂が長期間残れば、湿度が高い状態で腐食が継続しやすくなります。防食塗装を施工していても、汚れや水分を放置すれば、傷や塗膜の薄い部分から劣化が進む可能性があります。

清掃では、床面に堆積した土砂、泥、落ち葉、ごみなどを回収します。土砂は塩分を保持しやすく、表面が乾いているように見えても、内部に水分を含んでいる場合があります。金属部材と土砂が接触している箇所では、乾燥しにくい状態が続くため、支持金物の根元やボルト周辺まで確認することが大切です。

清掃の時期は、冬期が終わってから一度だけ実施するのではなく、降雪状況や融雪剤の散布状況に応じて調整します。散布量が多かった年、雪解け水の流入が確認された場所、過去に腐食が進んだ場所については、融雪期の途中でも状態を確認する必要があります。

金属表面に白色や灰色の析出物が付着している場合、塩分を含む水が乾燥した痕跡である可能性があります。ただし、外観だけで付着物の成分を断定することはできません。析出物を見つけた場合は、水の流入方向、周辺の濡れ、排水状態、さびの発生範囲を併せて確認します。

水洗いを行う場合は、洗浄水を構内に残さないことが重要です。塩分を薄めても、洗浄後の水が滞留すれば湿潤時間が長くなり、腐食を抑える効果が得られにくくなります。排水経路を確保し、必要に応じて吸引や排水ポンプを用いて洗浄水を除去します。

高圧水による洗浄は付着物の除去に有効な場合がありますが、既存の塗膜やシール材を損傷するおそれもあります。洗浄圧力、ノズルとの距離、噴射角度は、対象部材の材質や劣化状態を確認して設定しなければなりません。腐食が進んだ薄い部材へ強い水圧を当てると、穴あきや変形が顕在化する可能性があります。

清掃後は、金属部材の表面を乾燥させます。水滴が残りやすい水平面、重ね部、ボルトの根元、部材裏面などを確認し、必要に応じて拭き取りや送風を行います。ただし、閉鎖的な空間で送風機や電気機器を使用するときは、換気、電源設備、作業環境に関する安全確認が欠かせません。

清掃作業を単なる美観維持として扱わず、腐食原因を取り除く防食工程として位置づけることが大切です。清掃前後の写真を同じ方向から撮影し、堆積物の範囲や水位跡を記録しておけば、次回の点検で流入量の変化を比較できます。

土砂や水が毎回同じ場所に集まる場合は、清掃回数を増やすだけでは根本的な対策になりません。流入経路や排水勾配に問題がないかを確認し、必要な改善へつなげます。清掃で発見した状況を、次の対策である流入防止と排水改善へ反映させることが重要です。

維持対策2 流入経路と排水機能を継続的に改善する

2つ目の維持対策は、融雪剤を含む水が電線共同溝へ入りにくい状態をつくり、流入した場合にも速やかに排出できるようにすることです。清掃だけで塩分を取り除いても、同じ経路から繰り返し水が入れば、腐食環境は改善しません。

まず確認したいのは、蓋と受枠の周辺です。舗装との境界にひび割れや隙間があると、路面水が流入しやすくなります。受枠周辺に段差や局所的なくぼみが生じている場合には、道路上の水が集まりやすくなり、車両通行時の水圧で内部へ押し込まれることもあります。

蓋や受枠にがたつきがある場合は、接触部の摩耗、変形、腐食、周辺舗装の沈下などを確認します。がたつきを一時的に抑えるだけではなく、原因に応じて受枠の固定、蓋の交換、周辺舗装の補修などを検討します。補修方法は施設管理者の基準や既設構造との適合性を確認して選定する必要があります。

管路と特殊部の接続部、継ぎ目、ケーブル引込み部なども水の流入経路になり得ます。止水材が収縮、剥離、ひび割れを起こしていないか、接続部周辺に水の流れた跡がないかを確認します。漏水箇所を補修する際は、表面だけを塞ぐのではなく、部材の動きや水圧、既設材料との相性を考慮します。

地下構造物では、水を完全に入れないことが難しい場合もあります。そのため、流入防止と同時に排水機能を確保することが重要です。集水部、排水口、排水管、逆止機能、ポンプ設備などの状態を確認し、土砂や異物による閉塞を取り除きます。

排水口が見えていても、その先の排水管が詰まっている場合があります。点検時には、表面の清掃だけで終わらせず、通水状態や排水先の状況まで確認します。排水先の水位が高い場合には、逆流によって電線共同溝内へ水が入る可能性もあるため、降雨時や融雪時の水位変化を踏まえた確認が必要です。

床面の勾配が不十分で、排水口とは別の場所に水が残る場合は、局所的なくぼみや施工後の変形がないかを確認します。わずかな水たまりでも、金属製の支持脚やアンカー周辺が継続して濡れると、腐食が集中する可能性があります。

排水ポンプを設置している場合は、ポンプ本体だけでなく、電源、配線、フロートスイッチ、制御盤、吐出管の状態を確認します。試運転を行い、設定水位で起動するか、停止後に水が逆流しないか、異音や振動がないかを確かめます。ポンプが動作しても、吸込み口の周辺に土砂が堆積していれば、必要な排水能力を確保できないことがあります。

流入経路の調査では、水が存在する場所と入口が一致するとは限らない点に注意が必要です。内部へ入った水が床面勾配に沿って移動し、離れた低所にたまる場合があります。水滴跡、さび汁、析出物、壁面の変色などを連続して確認し、流れを推定します。

流入対策を実施した後は、次の融雪期や降雨時に効果を確認します。補修直後に乾燥していることだけでは、流入が止まったとは判断できません。外部から水が供給される条件で再点検し、濡れ方や水量がどのように変化したかを比較することが必要です。

維持対策3 塗装や防食材で金属表面を保護する

3つ目の維持対策は、塗装、めっき、防錆材などによって金属表面と腐食環境を遮断することです。金属部材に水分や塩分が直接触れにくい状態を維持できれば、腐食の進行を抑えやすくなります。

ただし、防食材を塗ればすべて解決するわけではありません。さび、塩分、油分、水分が残った状態で塗装すると、塗膜が早期に膨れたり剥がれたりすることがあります。防食効果は、材料の性能だけでなく、下地処理の品質に大きく左右されます。

補修塗装を行う前には、浮きさび、劣化塗膜、汚れを除去します。部材の状態に応じて、手工具、動力工具、研磨材などを使用しますが、既設部材を過度に削らないよう注意が必要です。腐食によって断面が減少している箇所では、下地処理によって残存厚さがさらに小さくなることがあります。

下地処理後は、金属表面に塩分が残っていないかを確認します。外観がきれいでも、塩分が残留していると塗膜下腐食の原因になる可能性があります。必要に応じて洗浄を行い、十分に乾燥させてから塗装工程へ進みます。

使用する塗装系は、既設塗膜の種類、金属材質、湿潤環境、施工可能時間、換気条件などを考慮して選びます。既設塗膜と相性の悪い材料を重ねると、軟化、しわ、剥離などが生じることがあります。既存の仕様が確認できない場合は、試験施工や付着性の確認を検討します。

電線共同溝内部では、乾燥しにくく、塗装後に湿気の影響を受けやすい点にも注意が必要です。材料ごとに定められた施工温度、湿度、乾燥時間、塗り重ね間隔を確認します。表面だけが乾いていても、塗膜内部の硬化が不十分な状態で水に触れると、性能を十分に発揮できない場合があります。

ボルト、ナット、部材端部、溶接部、角部は、塗膜が薄くなりやすい箇所です。広い平面と同じように塗るだけでは必要な膜厚を確保しにくいため、先行して部分塗りを行うなど、塗り残しを防ぐ施工管理が必要です。

部材の裏面や重なり部も注意が必要です。表側だけを塗装しても、裏側に塩分を含む水が入り込めば腐食が進みます。可能な範囲で周囲を確認し、工具や刷毛が届かない箇所については、部材の取り外し、交換、別の防食方法を検討します。

めっき部材に補修塗装を施す場合は、表面の状態に適した材料と処理方法を選びます。めっき表面は一般の鋼材と性質が異なるため、適切な下地処理を行わなければ塗膜が付着しにくいことがあります。

ボルトや可動部へ防錆剤を使用する場合は、将来の分解や点検を妨げないことも重要です。固着を防ぐ目的で使用した材料が、ごみを付着させたり、周辺のシール材へ影響を与えたりする可能性もあります。使用箇所と目的を明確にし、適合する材料を選びます。

異種金属の接触が確認された場合は、絶縁材や絶縁ワッシャーなどを用いて電気的な接触を抑える方法があります。ただし、絶縁材が変形したり、締付け力が低下したりすると、構造的な問題が生じる可能性があります。荷重条件や固定方法を確認し、設計上必要な性能を損なわないようにします。

防食施工後は、施工範囲、使用材料、下地処理方法、施工日、気温や湿度、乾燥時間などを記録します。次回の点検で塗膜の状態を比較できるよう、補修前、下地処理後、塗装後の写真を残しておくことが有効です。

防食塗装は永久に機能するものではありません。紫外線の少ない地下環境でも、湿気、結露、摩擦、塩分、部材の動きによって劣化します。塗膜の膨れ、割れ、剥がれ、変色、さび汁が見られた場合は、早めに部分補修を行い、腐食が広がる前に保護機能を回復させることが重要です。

維持対策4 腐食状態を定期点検し記録を蓄積する

4つ目の維持対策は、金属腐食の状態を定期的に確認し、同じ基準で記録を蓄積することです。腐食は徐々に進行するため、一度の点検だけでは進行速度や優先度を判断しにくい場合があります。前回の状態と比較できる記録があれば、変化の大きい箇所を早期に把握できます。

点検では、赤さび、白さび、塗膜の膨れ、剥離、割れ、変色、さび汁、孔食、部材の変形などを確認します。ボルトやナットについては、外観だけでなく、ねじ山の損傷、断面減少、固着、緩みの有無も確認します。

蓋や受枠では、腐食に加えて、がたつき、段差、摩耗、接触面の欠損を確認します。蓋の開閉が困難な場合、無理にこじ開けると部材を損傷したり、作業者が転倒したりするおそれがあります。腐食による固着が疑われる場合は、適切な工具と作業手順を用い、周囲の交通安全も確保します。

支持金物やケーブルラックでは、表面のさびだけでなく、支持点のぐらつき、たわみ、溶接部の亀裂、アンカー周辺の損傷を確認します。腐食生成物で断面が大きく見えることがありますが、さびを除去すると母材が薄くなっている場合があります。外観だけで健全性を判断せず、必要に応じて残存厚さを測定します。

厚さ測定を行う場合は、対象材質や表面状態に適した測定方法を選びます。測定箇所に厚いさびや塗膜が残っていると、正確な値を得られないことがあります。測定器の校正状態を確認し、同じ位置を継続的に測れるよう基準点を設定します。

孔食がある場合は、平均的な厚さだけでなく、局所的に深い部分を見逃さないことが重要です。部材全体の厚さが比較的保たれていても、ボルト孔、溶接部、部材端部などに深い腐食が集中していることがあります。

写真記録では、近接写真だけでなく、場所を特定できる全景写真も撮影します。近接写真だけでは、次回の点検者が同じ箇所を見つけられないことがあります。施設番号、部材名称、撮影方向、位置関係が分かるように記録します。

撮影条件は可能な範囲で統一します。同じ方向、同じ距離、同程度の照明で撮影すると、腐食範囲や塗膜剥離の変化を比較しやすくなります。表面が濡れていると色や光沢が変わり、腐食状態を判断しにくい場合があるため、濡れの有無も記録します。

点検記録には、腐食の有無だけでなく、水たまり、土砂堆積、漏水跡、排水状態、融雪剤の散布状況なども記載します。腐食の原因となる環境条件を一緒に記録することで、なぜその場所で劣化が進んだのかを分析しやすくなります。

腐食状態の評価基準は、点検者によって判断が大きく変わらないようにします。軽微な表面さび、塗膜の局所的な劣化、断面減少を伴う腐食、支持機能へ影響する腐食など、施設管理者の基準に基づいて区分します。

点検頻度は、すべての施設を一律にするのではなく、腐食環境に応じて調整します。融雪剤の散布量が多い路線、坂道や交差点付近で散布が集中する場所、路面水が流れ込みやすい低所、過去に腐食補修を実施した場所は、重点的に確認します。

冬期前の点検では、塗膜損傷、排水口の詰まり、蓋周辺の隙間などを確認し、融雪剤が散布される前に補修します。融雪期後の点検では、塩分を含む水や土砂の流入状況を確認し、清掃と腐食点検を行います。このように、季節ごとに点検の目的を分けると、対策を実施しやすくなります。

異常を発見した場合は、写真を保存するだけでなく、対応期限と担当者を明確にします。点検記録が補修計画へ反映されなければ、腐食を確認しても放置される可能性があります。記録、評価、補修判断、実施確認までを一つの流れとして管理することが重要です。

維持対策5 腐食度に応じて補修と部材交換を行う

5つ目の維持対策は、腐食の程度と部材の役割を踏まえ、適切な時期に補修または交換を行うことです。表面さびが発生した段階で処置できれば、比較的小さな補修で保護機能を回復できる可能性があります。一方、腐食が進んで断面が減少した部材は、塗装だけでは必要な強度や機能を取り戻せません。

補修判断では、腐食面積だけでなく、腐食深さ、残存厚さ、部材位置、荷重条件、破損時の影響を確認します。同じ大きさの腐食でも、装飾的な部材とケーブルを支持する部材では、優先度が異なります。蓋や受枠のように道路利用者の安全へ直接影響する部材も、早期の対応が必要です。

軽微な表面さびで、母材の断面減少がほとんどない場合は、さびと劣化塗膜を除去し、防食塗装を補修します。ただし、腐食原因である水や塩分の流入を残したまま塗り直すと、再発しやすくなります。補修塗装と同時に、清掃や排水改善を実施することが重要です。

ボルトやナットに腐食がある場合は、締結機能を確認します。外観上は軽微でも、ねじ部や座面で腐食が進んでいることがあります。固着したボルトを無理に回すと破断する可能性があるため、交換を前提とした作業計画を立てることも必要です。

部材交換では、既設部材と同等以上の性能を確保するだけでなく、周囲の材質との組み合わせを確認します。耐食性を高めるために異なる材質を採用しても、異種金属接触による腐食が生じれば、別の箇所の劣化を早める可能性があります。

交換部材の寸法や形状がわずかに異なると、荷重の伝達、排水、蓋の開閉、ケーブルとの離隔などへ影響することがあります。現地寸法を測定し、設計図書や管理台帳と照合したうえで交換仕様を決めます。

腐食した支持金物を交換する場合は、ケーブルや管路に不要な荷重を与えないよう、仮支持や作業順序を検討します。供用中の電力線や通信線が収容されている場合は、施設管理者や占用者との調整が欠かせません。

アンカー周辺で腐食が確認された場合は、金属部だけでなく、固定先のコンクリートも確認します。さびの膨張によってひび割れや剥離が生じている場合、アンカーを交換するだけでは十分な固定性能を確保できない可能性があります。

補修箇所が多数ある場合は、緊急性と影響度に基づいて優先順位を付けます。道路上の安全へ影響する蓋や受枠、ケーブル支持機能が低下している金物、断面減少が大きい部材、漏水箇所の直下にある部材などを優先します。

一時的な応急処置を行った場合は、恒久補修の期限を設定します。応急処置後に問題が見えにくくなり、そのまま長期間使用されることがないよう、記録上で明確に区分します。

補修や交換の完了後は、施工したことだけでなく、機能が回復したことを確認します。蓋であれば開閉、がたつき、段差を確認し、排水設備であれば通水や作動を確認します。支持金物であれば固定状態や変形の有無を確認します。

交換した部材は、可能な範囲で腐食状態を観察します。外から見えなかった裏面や接触部の劣化状況を確認すると、今後の点検箇所や交換時期を見直すための資料になります。撤去部材の状態を記録し、同じ構造を持つ他の施設にも点検結果を展開すると、予防保全につながります。

維持管理計画へ融雪剤対策を組み込むポイント

融雪剤による腐食対策は、清掃、排水、防食、点検、補修を個別に実施するだけでは十分ではありません。それぞれの作業結果を次の対策へつなげ、継続的に改善する仕組みが必要です。

まず、管理対象の電線共同溝を腐食環境によって区分します。融雪剤の散布頻度が高い道路、交差点や坂道、除雪した雪が集められる場所、路面水が滞留しやすい場所などは、塩分の影響を受けやすい可能性があります。

過去の点検記録から、腐食が繰り返し発生している特殊部や金属部材を抽出します。同じ場所で何度も補修塗装を行っている場合は、塗装仕様だけでなく、水の流入や排水構造に原因がないかを見直します。

冬期前には、蓋周辺の隙間、塗膜損傷、排水口、ポンプ設備などを確認します。融雪剤の散布が始まる前に弱点を補修しておけば、塩分を含む水が内部へ入り込んだり、金属表面へ到達したりする可能性を抑えられます。

冬期中は、異常な滞水や蓋のがたつきなど、道路利用者や収容設備へ影響する問題を中心に確認します。積雪時や凍結時の作業は危険を伴うため、点検範囲や方法は安全を優先して決めます。

融雪期後は、塩分を含む土砂や水を除去し、腐食状態を詳しく確認します。清掃と点検を別々の日程で行う場合でも、清掃前の堆積状況を記録しておくことが大切です。清掃後だけを確認すると、どこから水や土砂が流入したのか分からなくなることがあります。

年間計画には、点検日だけでなく、清掃、補修、効果確認の時期を組み込みます。点検で異常を見つけても、補修時期が決まっていなければ対応が先送りされる可能性があります。

予算計画では、腐食が進んだ後の大規模交換だけでなく、清掃や部分塗装などの予防保全費用を確保します。小規模な塗膜損傷の段階で補修できれば、部材交換に至る前に劣化を抑えられる可能性があります。

点検結果は、路線、施設番号、部材、腐食度、原因、対応状況などを整理して管理します。記録を蓄積することで、どの条件で腐食が進みやすいかを分析でき、重点管理箇所の設定や点検周期の見直しに活用できます。

腐食対策の効果は、補修直後の外観だけでは判断できません。次の冬期や融雪期を経た後に、塗膜の状態、塩分を含む水の流入、土砂堆積、滞水時間などを確認します。対策前後を比較し、改善が不十分であれば、施工方法や管理方法を見直します。

維持管理計画は、施設の経年変化、道路環境、融雪剤の使用状況に応じて更新します。過去の計画をそのまま繰り返すのではなく、点検記録や補修実績を根拠として、作業内容と優先順位を調整することが重要です。

電線共同溝の腐食対策で注意したい作業安全

電線共同溝の点検や清掃では、腐食対策そのものと同じくらい、作業安全の確保が重要です。特殊部などの地下空間へ入る場合は、酸素欠乏や有害ガス、浸水、転落、感電などの危険を考慮しなければなりません。

作業前には、施設管理者が定めた手順に従い、必要な資格、測定、換気、監視体制、保護具を確認します。内部へ入る前だけでなく、作業中も環境が変化する可能性があるため、継続的な確認が必要です。

降雨中や融雪が急速に進んでいる時期は、短時間で水位が上昇する可能性があります。上流側の排水状況や天候を確認し、浸水のおそれがある場合は作業を中止します。

蓋の開閉作業では、周囲の交通規制、歩行者の誘導、落下防止措置を行います。腐食した蓋や受枠は、通常より強度が低下している可能性があるため、持ち上げ位置や工具の掛け方に注意します。

清掃で回収した水や土砂には、融雪剤の成分だけでなく、道路上から流入した油分やその他の汚れが含まれる可能性があります。処分方法は、施設管理者の基準や関係する規定に従い、排水先へ無条件に流さないようにします。

塗装作業では、使用材料の安全情報を確認し、換気、火気管理、保護具、保管方法を適切に管理します。閉鎖的な空間では、溶剤蒸気が滞留する可能性があるため、地上と同じ感覚で施工してはいけません。

電線や通信設備の近くで金属工具や洗浄水を使用する場合は、収容設備の状態を確認し、必要な離隔を確保します。設備の管理区分が不明確なまま作業を始めず、関係者と作業範囲を共有します。

安全対策を省略してまで腐食補修を急ぐことは避けなければなりません。作業条件が整わない場合は、立入範囲を限定した点検や地上からの確認を行い、安全な条件を確保してから本作業を実施します。

まとめ

電線共同溝では、道路へ散布された融雪剤を含む水や土砂が内部へ流入すると、蓋、受枠、支持金物、ボルト、ケーブルラックなどの金属部材が腐食しやすくなります。内部は乾燥しにくいため、少量の塩分であっても長期間残れば、腐食が継続する可能性があります。

腐食を抑えるための1つ目の対策は、融雪剤を含む水と土砂を早期に除去することです。清掃後の水を残さず、金属部材の裏面やボルト周辺まで確認します。

2つ目は、流入経路と排水機能を改善することです。蓋周辺、管路接続部、継ぎ目などを点検し、排水口やポンプ設備が正常に機能する状態を維持します。

3つ目は、塗装や防食材によって金属表面を保護することです。防食性能を確保するには、塩分やさびを除去し、適切な下地処理と乾燥管理を行う必要があります。

4つ目は、腐食状態を定期的に点検し、同じ基準で記録することです。写真や厚さ測定結果を蓄積し、前回からの変化を確認することで、補修時期を判断しやすくなります。

5つ目は、腐食度と部材の重要性に応じて補修や交換を行うことです。断面減少が進んだ部材は、表面を塗り直すだけでは機能を回復できないため、残存性能を確認して交換を検討します。

融雪剤による金属腐食は、冬期だけの問題ではありません。融雪剤が散布される前の準備、冬期中の異常確認、融雪期後の清掃と点検、補修後の効果確認を年間の維持管理計画へ組み込むことが重要です。

清掃、流入防止、排水、防食、点検、補修を連携させ、記録に基づいて対策を改善していけば、電線共同溝の金属部材を長く安全に使用しやすくなります。腐食が大きく進んでから対応するのではなく、小さな塗膜損傷や滞水を早期に発見し、予防保全として対処することが、維持管理費の抑制と施設の信頼性向上につながります。

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